2024年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスク

①事業環境について

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、ブライダルジュエリーによる売上高がグループ売上高全体の約7割を占めております。ファッションアイテムの販売強化や新規マーケット開拓のための海外進出など、国内ブライダルジュエリーによる売上高への依存度を低下させる取組みを行っておりますが、想定を上回って少子化・晩婚化が進行するなど、想定以上に国内ブライダルジュエリー市場が縮小した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②原材料価格の高騰について

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中)

当社グループは、金・白金をはじめとした貴金属やダイヤモンド等、価格に為替相場や国際的な市況の影響を受けやすい原材料を使用しております。これらの原材料は世界的なインフレやパンデミック、ロシア・ウクライナ情勢等の地政学リスクの影響の高まりを受けて既に価格が高騰していることから、原材料の購入時期の分散、既存取引先との価格交渉、独自研磨技術を用い付加価値を高めたダイヤモンドの商品開発を行う等の取り組みを行っておりますが、今後さらに原材料価格が上昇し、販売価格に完全に転嫁できない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスク

①個人情報管理について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは事業運営を行う上で、お客様の個人情報を取得しております。個人情報の管理徹底を図るため、個人情報管理規程等に基づく管理体制の整備や従業員教育を行っておりますが、外部からの不正侵入等、不測の事態により個人情報が外部に漏洩するような重大なトラブルが発生した場合には、社会的信用を失うこととなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②版権元との商品化許諾契約について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、キャラクター商品の製造販売にあたり、版権元から商品化許諾を受けております。当社グループは版権元と良好な関係を維持できるよう十分なコミュニケーションを図るとともに、当社にしかできない高クオリティ商品の開発や、販売チャネルの拡充等を行うことで、契約の更新が行われるように取り組みをしておりますが、既存版権元との商品化許諾契約が何らかの理由によって更新拒絶、又は解除等により終了した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)事業運営体制に関するリスク

①子会社の業績・財政状態について

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの子会社である「U-International Factory Co.,Ltd.」は、当社グループの第2の生産拠点として2022年1月に工場を開設し操業を行っておりますが、工場立上げに伴う新規投資により債務超過の状態にあります。これを解消するために業務の効率化や新規採用による生産量の拡大、生産可能アイテムの増加など収益改善を図っておりますが、今後、急激な金融情勢の変化や為替の変動等、経済的に不利な要因の発生や政治的混乱、採用活動の難航化などにより、生産計画が予定どおり進行しなかった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②合弁事業について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、台湾において合弁会社である「愷吾柔璞琳夢股份有限公司」を設立し、店舗運営を行っております。現在は設立以来順調に業績が伸びており、経営の安定化が進んでおりますが、何らかの理由により合弁解消に至り、海外店舗戦略を変更せざるを得ない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

③人材の確保及び育成について

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、「お客様に特別な感動と喜びを贈り続ける」という理念のもと、長年のオーダーメイドビジネスによって培ったお客様のニーズを引き出す提案力、職人の高い技術力により、お客様のこだわりをひとつひとつ反映した商品をご提供しております。これらの商品を安定的に提供するためには、質の高い人材の育成・確保が必要であることから、積極的な採用活動を行うとともに、従業員への継続的な教育や適切な人事評価を行う等従業員ロイヤルティ向上のための取り組みを行っておりますが、このような人材の育成・確保が十分に出来ず、適正な人員配置が困難になった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④店舗の賃借物件への依存について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループは、店舗の大半を賃借により出店しております。出店前に適切な情報収集を行い長期的に店舗運営が可能な物件を選定するよう努めておりますが、貸主の事由によっては業績が好調な店舗であっても当該店舗の退店を余儀なくされたり、出店時の差入保証金が倒産その他貸主の事由によって全部又は一部が回収できなくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤繰延税金資産について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥棚卸資産の評価について

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループは、オーダーメイドによる受注生産品だけではなく、即日ご購入頂ける商品を求めるお客様のニーズに応えるために製品在庫を有しております。在庫量を適正に保つため、直近の受注状況や今後の需要予測等を考慮しながら必要量の生産を行っておりますが、消費動向等の変化により滞留在庫が生じ、棚卸資産の評価減を実施することとなった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦固定資産の減損について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、保有する固定資産について減損会計を適用しております。新規出店時には損益計画を作成してリスク検討を行っておりますが、今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理がさらに必要になった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧業績の季節変動について

(顕在化の可能性:高、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中)

当社グループは、プレゼント需要の高い商品を取り扱っていることから、クリスマス商戦のある第1四半期に売上が偏る傾向があります。当社グループでは、その他の季節に合わせた新作リリースやフェア等の施策を行い、業績の平準化を図っておりますが、第1四半期の業績が当初の計画を著しく下回った場合は、年間の業績予想に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは積極的に新卒採用をしており、4月に入社する新卒社員は接客研修や技術研修をベースとした教育を概ね3ヶ月程度受け業務に従事しております。そのため下半期においては、教育研修費にかかる経費が増加するほか、職人の稼働率が低下する傾向にあります。当社グループでは、実務に即した教育の充実を図り、新卒社員の早期戦力化に努めておりますが、利益は下半期が少なくなる傾向があります。

 

基準連結会計年度(自 2023年10月1日 至 2024年9月30日)

 

 

上半期

 

下半期

通期

 

第1四半期

第2四半期

 

第3四半期

第4四半期

 

 

売上高(百万円)

1,747

1,608

3,355

1,600

1,699

3,300

6,656

構成比(%)

26.3

24.2

50.4

24.1

25.5

49.6

100.0

営業利益(百万円)

122

126

248

0

12

13

262

構成比(%)

46.7

48.1

94.9

0.2

4.9

5.1

100.0

(注)上記四半期連結会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査法人東海会計社の四半期レビュー又は期中レビューを受けておりません。

(4)法的規制に関するリスク

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、事業運営を行う上で古物営業法、特定商取引法、景品表示法、下請代金支払遅延等防止法、製造物責任法等の法的規制の適用を受けております。当社グループにおきましては、これらの法的規制を遵守するように努めておりますが、法令違反が発生した場合や、今後これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる等の理由により事業運営に制約を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)競合リスク

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループが属するジュエリー業界には多くの競合企業が存在しております。当社はオーダーメイドを主軸とし、お客様の100%の満足を目指す提案力や技術力で競合他社との差別化を図っておりますが、競争の激化による顧客の流出やコストの増加等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)その他のリスク

①自然災害について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社グループは、国内店舗での販売、国内自社工場での生産が売上高、生産量の大半を占めております。当社グループは、店舗においては全国的な店舗展開のほか、ECや卸販売等販売チャネルの多角化を行うとともに、製造拠点においては国内3か所、海外1か所の複数拠点を構えることで当リスクの分散に努めておりますが、当社グループの店舗、工場を含む地域において、大規模な地震や台風等の自然災害等が発生し、事業拠点の損壊・消滅、電力供給の制限等により店舗の営業や工場の操業が一部又は全部不能になった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②有利子負債の依存度について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループは、出店に要する資金の他、一部の運転資金を主として金融機関からの借入金によって賄っております。当社グループの連結有利子負債残高は、2024年9月期連結会計年度末において1,492,300千円、総資産に占める有利子負債の比率は、2024年9月期連結会計年度末において33.9%となっております。当社グループは財政の健全化に取り組み、有利子負債比率を低下させておりますが、積極的な事業展開のために今後も金融機関からの借入を継続する方針であります。今後、現在の低金利水準が変動したり、金融情勢の急速な変化等何らかの理由により十分な資金が調達できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③支配株主との関係について

(顕在化の可能性:低、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の代表取締役社長であった久野雅彦氏は、2022年5月4日に逝去いたしました。同氏が所有しておりました当社株式を同氏の子である久野新太郎氏及び久野栄太氏が相続した結果、本書提出日現在、久野栄太氏が代表取締役を務める資産管理会社である有限会社秀吉が所有する当社株式と併せると、両氏で発行済株式総数の60.4%を所有することとなり、両氏は当社の支配株主となります。当社グループの事業計画の円滑な遂行のために、支配株主とは定期的に意思疎通を行い良好な関係を築いており、当社グループと支配株主との間に特別な取引関係はありません。現時点において、支配株主が所有する当社株式についての方針は具体化しておりませんが、将来、何らかの事情によって、支配株主が所有株式を当社の想定しない第三者に譲渡し、かつ当該第三者が当社と敵対又は競合する関係である場合、並びにその可能性をもつ場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④配当政策について

(顕在化の可能性:中、顕在化する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、創業以来、経営基盤の強化及び積極的な事業展開に備えるため、内部留保の充実を図り、配当を実施しておりません。株主に対する利益還元については経営の最重要課題の一つとして位置付けておりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等は未定であります。内部留保の水準や事業成長フェーズの変化などを適切に判断し、経営成績・財政状態を勘案しながら、配当などによる株主への利益還元に努める所存であります。

 

 

⑤新株予約権の行使による1株当たりの株式価値の希薄化について

(顕在化の可能性:高、顕在化する可能性のある時期:短期、影響度:中)

当社グループは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図ると共に、当社グループの業績に対する役職員の意欲を高めることを目的として、新株予約権を発行しております。本書提出日現在、発行済株式総数1,043,200株に対する割合は9.11%となっております。これらの新株予約権の行使がなされた場合、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、中長期的な展望に基づく投資を推進し、事業基盤の拡充を図ることにより、株主の皆さまに対する利益配分が重要であると考えております。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。当社は、内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応するべく、安定した経営基盤を拡充し、将来に向けた成長戦略を推進する必要があると考えており、内部留保の拡充を優先してきたため近年配当を実施しておりません。今後も収益力向上に努め、株主の皆さまの利益貢献に努めてまいります。