事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| (単一セグメント) | 832 | 100.0 | 142 | 100.0 | 17.1 |
3【事業の内容】
障害は、人ではなく社会にあります。障害者を取り巻く不利益や困難の原因は、障害のない人を前提に作られた社会に原因があり、これらの社会的障壁を取り除くことが社会の責務となりつつあります。2016年4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、「障害者差別解消法」という。)では、障害者への合理的配慮(注1)などの努力義務が求められており、さらに2021年5月には、同法律の改正が国会で可決され、2024年4月には義務として、あらゆる事業者に配慮提供が求められることとなりました。しかしながら、企業・団体・行政等(以下、「企業等」という。)には、障害者にとっての社会的障壁を取り除くためのノウハウや仕組みが欠如しているのが実状です。
当社では「バリアバリュー」を企業理念とし、当事者の視点から「障害=バリア」を取り除き、「価値=バリュー」に転換するインフラやソリューション、サービスの提供を行っております。デジタル障害者手帳「ミライロID」によるインフラの提供、企業等への「バリアバリューソリューション」の提供を軸として、障害者とその家族が今日を楽しみ、明日を期待できる社会を実現するための事業展開を行っております。
なお、当社のセグメントは、バリアバリュー事業の単一セグメントであり、事業セグメント情報の記載を行っておりません。
(注1)合理的配慮とは、障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応することです。
(1) デジタル障害者手帳「ミライロID」
障害者手帳とは、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の3種の手帳の総称であり、いずれの手帳の保有者も「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の対象となります。障害者手帳の保持者は、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けることもでき、障害者にとって障害者手帳は生活の中で必要不可欠なものとなっております。しかしながら、これまで障害者手帳は、現物のみが証明手段であったため、当事者にとっての現物の所持・提示の負担だけではなく、インターネット上のオンライン取引での利用や他のシステムとの連携が不可能であることが社会課題となっております。さらに、障害者手帳の色・形状・レイアウト等の仕様については各自治体で定めているため、自治体ごとに様式が異なり、事業者にとっては正しく手帳を見分けることは困難です。結果として、不正利用等が横行している他、時間を割いて現物確認を行うことも事業者にとって負担となっております。
デジタル障害者手帳「ミライロID」は、2019年7月からスマートフォンのアプリとして提供されており、ユーザーは個人情報と障害者手帳画像を登録し、さらに当社で登録内容を目視で確認して認証することにより、スマートフォンだけで障害者手帳の確認と同等の効果をユーザーに提供することを目指しております。さらに登録情報の信頼性を高めるため、2020年6月から政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」との連携が可能となり、現在、鉄道会社をはじめとして、高速道路・バス・タクシー・航空等の交通機関、美術館・博物館・レジャー施設等の障害者割引を提供する施設、地方自治体の関連施設で障害者手帳の現物がなくとも、スマートフォン上の「ミライロID」画面の提示により障害者割引の適用が可能となっております。
当社では「ミライロID」をデジタル障害者手帳として、さらなる利便性・メリットの向上、利用拠点の拡大により、ユーザー数の増加を図り、障害者が社会活動を行うためのインフラとして無償で提供しております。
また「ミライロID」には、障害情報登録機能、プッシュ通知機能、クーポン機能、アンケート機能、マップ機能、ストア機能など多様な機能を実装しており、他のシステムとのAPI連携(注2)も可能となっております。今後、ユーザー及び事業者にメリットのある機能開発及びAPI連携による「ミライロID」を活用したサービス開発を推進してまいります。
なお、2025年9月30日現在における「ミライロID」の導入事業者数は4,214事業者、ユーザー数は55.2万人となっております。
<ミライロID画面イメージ>
(注2)APIとは、「Application Programming Interface」の略語でソフトウエアの一部機能やデータを外部から利用できるようにしたインターフェイスの仕様を指します。APIでソフトウエア同士をつなぐことをAPI連携といいます。
(2) バリアバリューソリューション
当社は、企業等に対して、障害者にとっての社会的障壁を取り除き、障害者との共生社会を実現するため、障害を価値に転換するためのバリアバリューソリューションを提供しております。
① ミライロIDソリューション
「ミライロID」による障害者に対するサービス提供や、企業等からの障害者への対応・取り組みに関する相談に対し、「ミライロID」や専門人材を活用したソリューションやコンサルティングを提供しております。
「ミライロID」のお知らせ画面を活用した広告配信や、「ミライロID」ユーザーが利用可能な障害者割引サービス「ミライロクーポン」、割引価格での製品購入が可能なオンラインストアサービス「ミライロストア」、割引価格でのチケット購入が可能なオンラインチケット販売サービス「ミライロチケット」、バリアフリー情報を発信する「ミライロマップ」を通じて、障害者向けのマーケティング支援サービスを提供しております。企業等は、障害者を消費者としたプロモーション効果だけではなく、障害者の社会参画に寄与することから、SDGsやCSRの観点からも「ミライロID」を活用した取り組みを行っております。その他、「ミライロID」によるサービスとして、障害者向けがん保険(ミライロ保険<がん保険>)の販売、オンラインチケットシステムや交通系アプリとのAPI連携やシステム開発、QRコードを活用した駐車場の障害者割引適用サービス、「ミライロID」ユーザーに向けた求人募集サービスも実施しております。
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サービス名称 |
サービスの内容 |
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広告配信 |
「ミライロID」のお知らせ画面内に、インフィード広告やタイアップ広告の掲載が可能です。タイアップ広告に関しては、インタビュー等を実施後、内容を記事化し、記事の掲載及び拡散を行います。 |
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ミライロクーポン |
企業等が自社のクーポンや情報を掲載することが可能なサービスです。企業等は、障害者などの新たな顧客を集客できることに加えて、これまで届きづらかった情報を必要な方に届けることで、社会的責任を果たすことにも繋がります。 |
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ミライロストア |
企業等が自社の製品情報を掲載し、「ミライロID」ユーザーへの販促が可能なオンラインストアです。「ミライロID」ユーザーに限定したクローズドマーケットでの割引販売とすることで、安売りによるブランド毀損等を避けることが出来ます。 |
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ミライロチケット |
企業等が提供する障害者割引に対応したオンラインチケットの販促サービスです。「ミライロID」へのログインによって、これまで紙の手帳では実現が出来なかった、オンライン上で障害者を認証したうえでの購入を可能としております。 |
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ミライロマップ |
施設や店舗のバリアフリー情報を発信できるサービスです。企業等が提供する情報に基づき、マップ画面から施設や店舗のバリアフリー情報(エレベーターや優先駐車場の有無等)や、店舗で使えるクーポン情報を閲覧できます。 |
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システム連携 (API連携) |
企業等の保有する会員データやシステムなどの外部サービスと、「ミライロID」の登録情報を連携することが可能です。ユーザーの利便性向上及び企業等のサービス向上やオペレーション負担の軽減に繋げることが出来ます。 |
企業等からの障害者への対応・取組みに関する相談に対し、必要に応じて障害者をモニターとして活用した調査サービス「ミライロ・リサーチ」を行い、障害者にとっての障壁となっている問題点を発見し、解決するためのソリューションの提供を実施しております。モニターとなる障害者については、2025年9月30日現在、当社WEBサイトで募集したモニター約2千人、及び「ミライロID」ユーザーのうち、障害者手帳の有効期限切れなどの不備がなく障害者手帳情報を登録している41.5万人の配信対象者に実施しております。アンケートに回答したモニターに対しては、謝礼を支払うことで、継続的な回答をいただくことにつなげています。その他、障害者へのサービス提供や就業時における事前的改善措置(注3)や合理的配慮が適切になされているかを把握し、組織的な課題の改善を推進する「ミライロ・サーベイ」、「ミライロ・アーキテクチャー」及び「ミライロ・クリエイティブ」などのコンサルティングも実施しております。
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サービス名称 |
サービスの内容 |
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ミライロ・リサーチ |
「ミライロID」ユーザー等を対象に、定量的なアンケート調査や定性的なインタビュー調査、リサーチ要件に合わせたモニター派遣等を行うサービスです。市場調査や製品・サービスの開発や改善に活かせる他、WEBアクセシビリティのチェックなど、幅広い用途で活用いただけます。 |
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ミライロ・サーベイ |
企業等に当社が独自に作成した5つの観点から構成される調査票に回答いただき、改善に向けたレポートを作成します。改正障害者差別解消法への対応に向けた「サービス版」と、障害者雇用促進法への対応に向けた「雇用版」があります。 |
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ミライロ・アーキテクチャー |
既存施設のバリアフリー化やユニバーサルデザイン化に向けた施設環境の調査や、新規施設の図面監修や配慮事項の提案を行うサービスです。障害のある当事者視点と専門的な知識を持つスタッフの客観的な視点で、施設が個々に有する課題の発見から改善提案までを行います。 |
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ミライロ・クリエイティブ |
ユニバーサルデザイン対応の情報媒体(マニュアル、ガイドブック、サイン、マップ、動画、WEBサイトなど)の制作や監修を行うサービスです。障害のある従業員やモニターとともに課題の抽出を行い、利用者が必要とするツールの制作に繋げます。 |
(注3)事前的改善措置とは、施設のバリアフリー化、職員に対する研修、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービスや人的支援、情報アクセシビリティの向上など、合理的配慮を提供するための環境の整備のことです。障害者差別解消法においては、「行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない」とされております。
② ユニバーサルマナー研修及び検定
当社は、障害者・高齢者・LGBTQ+(注4)等の多様な人との向き合い方をユニバーサルマナーと定義し、障害のある当事者が講師となるユニバーサルマナー研修及び検定を会場開催・オンライン開催・eラーニングにより実施しております。なお、検定における資格認定については、一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会(当社非連結子会社)が行っております。
個人受講者には、ユニバーサルマナー検定(1級から3級)及び認知症、LGBTQ+対応も含めた各種研修を会場開催、オンライン開催、eラーニングにより実施しております。
企業等の団体での受講者に対しては、同様にユニバーサルマナー研修及び検定を会場開催、オンライン開催、eラーニングにより提供するだけでなく、企業等のニーズに合わせた業界特化型のユニバーサルマナー検定や、当事者講師による講演にも対応しております。
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カリキュラム名称 |
カリキュラムの内容 |
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ユニバーサルマナー検定3級 |
ユニバーサルマナー検定3級は、当事者講師から障害者や高齢者への基本的な向き合い方や声がけ方法を学ぶ導入のための講座であり、会場開催・オンライン開催・eラーニングにより実施しております。 |
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ユニバーサルマナー検定2級 |
車いすの操作方法や視覚障害者の誘導方法など実践的なサポート方法とより詳しい知識を学ぶ講座です。多様な方々への適切なサポートが出来る人を目指しており、試験合格者のみを認定しております。会場開催により実施しておりますが、講義のみ事前にeラーニングで学習するなど、会場の受講時間を短縮できる分割受講も可能です。 |
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ユニバーサルマナー検定1級 |
認知症対応マナー研修、ユニバーサルワーク研修、LGBTQ+対応マナー研修、ユニバーサルコミュニケーション研修の4つの研修うち、3つの研修のオンライン受講及びトークライブ・座談会・外部イベントを体験し、ユニバーサルマナーの考えや体験をレポートとして提出し、合格基準を満たした方のみ1級認定を行います。 |
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認知症対応マナー研修 |
認知症の基礎を学び、様々な場面で認知症の方が求めていることを把握し、対応する力を身につける講座です。実際にあった事例を基にしたケーススタディによって、認知症の方の行動の理由を考える練習をします。 |
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LGBTQ+対応マナー研修 |
当事者講師からLGBTQ+の基礎的な用語やこれまでの歴史、職場における対応方法や具体的な取組み事例などを総合的に学ぶ講座です。ハード面、ソフト面における配慮事項やカミングアウト時における対応、企業における先進的な事例も学ぶことができます。 |
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ユニバーサルワーク研修 |
精神障害者・発達障害者と一緒に働くことを起点にすべての人に共通するコミュニケーションやマナーを学ぶ講座です。講義として精神障害者・発達障害者の基礎理解を深め、得た知識を基にケースワークで実践的な対応方法を考えます。パーソルダイバース株式会社と連携して実施しております。 |
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ユニバーサルコミュニケーション研修 |
聴覚障害を理解し、手話、筆談、読話などの多様なコミュニケーション方法を学ぶための講座です。これまで聴覚障害者と接点がなかった人や直接質問をする機会が少なかった人を対象に当事者講師による講義とワークを行います。 |
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業界特化型ユニバーサルマナー検定 |
各業界に合わせたオリジナル版のユニバーサルマナー検定です。宅配ドライバー向けの「ユニバーサルマナー検定 ヤマトグループオリジナル版」、鉄道事業者向けの「ユニバーサルマナー検定(鉄道)」、不動産事業者向けの「ユニバーサルマナー検定(不動産)」、株主総会の実務担当者向けの「ユニバーサルマナー検定(株主総会)」等を提供しております。 |
(注4)LGBTQ+とは「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クイア、クエスチョニング」の頭文字をとった言葉に、「+(プラスアルファ)」を付けた、セクシャルマイノリティ(性的少数者)の人々を指す言葉です。
③ コミュニケーションサポート
聴覚や発話に困難のある方(以下、「聴覚障害者等」という。)に向けた情報保障サービス「ミライロ・コネクト」を提供しております。「ミライロ・コネクト」では、企業や自治体に向けた遠隔手話通訳サービス、手話リレーサービス、手話・文字通訳派遣の提供に加えて、電話リレーサービス(注5)のオペレータ業務の受託、手話通訳者を目指す方や手話を学びたい方のスキルアップをサポートする手話オンライン講座「ミライロ・コネクトClub」を行っております。
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サービス名称 |
サービスの内容 |
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遠隔手話通訳サービス |
聴覚障害者等が窓口に来られた場合に、オンラインで当社の通訳オペレータが手話通訳を行うサービスです。主に多言語通訳サービスを提供している企業との連携により、金融機関、行政等で利用されております。 |
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手話リレーサービス |
聴覚障害者等がコールセンター等に電話をしたい場合に、オンラインで当社の通訳オペレータが手話通訳を実施するサービスです。主に金融機関やメーカーの問い合わせ窓口として利用されております。 |
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手話・文字通訳派遣 |
関東・関西を拠点として、様々な場面に合わせて手話または文字通訳者を派遣するサービスです。イベント、研修等への現地派遣や、オンライン会議システムを利用した遠隔通訳派遣、リアルタイムでの映像配信や映像収録などにも対応しております。 |
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電話リレーサービス受託 |
「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づき、電話リレーサービス提供機関として指定を受けた一般財団法人日本財団電話リレーサービスより、通訳オペレータ業務を受託しております。 |
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ミライロ・コネクト |
手話通訳者が講師となり、手話で聴覚障害のある方とコミュニケーションを取ることを目指す方のためのオンライン講座を開催しております。 |
(注5)電話リレーサービスとは、聴覚や発話に困難のある人(きこえない人)と、きこえる人(聴覚障害者等以外の人)との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につながることができるサービスのことです。2020年6月、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」が制定され、公共インフラとしての電話リレーサービスが制度化されました。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
業績状況
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,025,478千円となり、前事業年度末に比べ486,623千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使や株式上場に伴う新株発行等により現金及び預金が482,253千円増加したことによるものであります。固定資産は146,500千円となり、前事業年度末に比べ15,463千円減少いたしました。これは主に、ソフトウエアが14,899千円増加し、繰延税金資産が23,086千円、ソフトウエア仮勘定が2,840千円、長期前払費用が1,919千円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は1,171,979千円となり、前事業年度末に比べて471,160千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は237,992千円となり、前事業年度末に比べ5,432千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が24,925千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が約定返済及び一部繰上返済により19,440千円減少したことによるものであります。固定負債は52,063千円となり、前事業年度末に比べ79,167千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が約定返済及び一部繰上返済により79,168千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は290,056千円となり、前事業年度末に比べて73,734千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は881,923千円となり、前事業年度末に比べ544,895千円増加いたしました。これは、新株予約権の行使や株式上場に伴う新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ232,278千円、当期純利益の計上に伴い繰越利益剰余金が81,472千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要により緩やかな景気回復が見られる一方で、原材料価格の高騰や円安による物価上昇、米国の発表した関税政策による貿易相手国の対抗措置の懸念によって、国際的な情勢の不安は長期化しており、依然として先行きの不確実性の高い状況が継続しております。
このような状況の中、当社は「バリアバリュー」を企業理念とし、障害(バリア)を価値(バリュー)に変えることで社会を変革することを目指し、様々な障害者に関連するサービスの提供に取り組んでまいりました。デジタル障害者手帳「ミライロID」によるインフラの提供、企業・団体・行政へのバリアバリューソリューションの提供を軸として、障害者が活躍できる社会への変革を実現するための事業展開を行っております。
2019年7月にリリースしたデジタル障害者手帳「ミライロID」は、当事業年度末現在で、導入事業者数4,214事業者(前事業年度末より152事業者増加)、ユーザー数55.2万人(前事業年度末より14.7万人増加)と50万人を突破し、着実に認知度の向上を図っております。また、2025年4月から開催された大阪・関西万博の本人確認書類として「ミライロID」が採用される等、使える場所やユーザー数の増加、コンテンツ力の向上等に伴い、アクティブユーザー数は月間20.8万人と増加傾向にあり、障害者の外出や消費の促進に寄与しております。2024年1月よりリリースしたオンラインショップ「ミライロストア」においては、当事業年度末現在で、セラー数76事業者、商品数657アイテムを掲載しており、今後さらなる商品数の拡充と、GMV(流通取引総額)の増加を目指しております。また、「ミライロID」とのシステム連携も増加しており、駐車場・駐輪場における「ミライロID」活用による障害者割引の適用駐車場は、当事業年度末現在で207箇所となりました。
バリアバリューソリューションにおきましては、2024年4月の改正障害者差別解消法の施行や、2026年7月の法定雇用率の引き上げに伴い、障害者に対する合理的配慮の提供や事前的改善措置への対応に関する需要がこれまで以上に高まっております。ユニバーサルマナー研修及び検定におきましては、業界別のユニバーサルマナー検定の導入先や認定者数が増加しており、新たにライブやコンサート会場におけるサポート方法を伝える「ユニバーサルマナー検定(村上学縁)」もリリースいたしました。また、障害者雇用の現場で役立つ実践的なコミュニケーション手法など、障害のある社員が活躍するための雇用ノウハウの習得を目的とした「ユニバーサルワーク研修 実務編」の提供も開始いたしました。当事業年度末現在におけるユニバーサルマナー検定の認定者数は30.8万人(前事業年度末より8.3万人増加)と30万人を突破し、多様な方々へ向き合い、一歩を踏み出す人の増加に繋がっております。また、コミュニケーションサポートにおきましては、聴覚障害のある方々が社会のあらゆる場面で円滑にコミュニケーションを行えるよう、遠隔手話通訳専用の「ミライロ・コネクトオンライン手話通訳サービス」を開始しました。大阪・関西万博の運営参加にも協力し、「ミライロ・コネクトオンライン手話通訳サービス」を提供することで、耳の聞こえない、聞こえにくい、また発話が困難な来場者へのサービス向上にも寄与しました。
以上の結果、当事業年度の売上高は832,291千円(前事業年度比17.3%増)、営業利益は142,125千円(前事業年度比21.6%増)、経常利益は123,006千円(前事業年度比1.4%増)、当期純利益は81,472千円(前事業年度比54.4%減)となっております。
なお、当社は、バリアバリュー事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ482,253千円増加し、904,017千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は179,057千円(前事業年度は137,801千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益123,006千円、減価償却費31,388千円、助成金の受取額6,703千円、棚卸資産の減少額4,995千円による資金の増加及び売上債権の増加額11,405千円、未払消費税等の減少額4,792千円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は41,025千円(前事業年度は37,912千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出37,777千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は344,221千円(前事業年度は37,037千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入388,704千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入67,200千円、長期借入金の返済による支出98,608千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
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サービスの名称 |
当事業年度 (自 2024年10月1日 至 2025年9月30日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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ミライロIDソリューション |
276,155 |
115.9 |
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ユニバーサルマナー研修及び検定 |
364,370 |
122.1 |
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コミュニケーションサポート |
191,765 |
110.9 |
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合計 |
832,291 |
117.3 |
(注)1.当社の事業セグメントは、バリアバリュー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記
載しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度末の財政状態は、前事業年度末に比べて、総資産額は471,160千円、純資産額は544,895千円増
加しております。
資産、負債、純資産別の財政状態は、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」にも記載しております。
(売上高)
売上高は832,291千円(前事業年度比17.3%増)となりました。これは主に、2024年4月の改正障害者差別解消法施行に伴い、ユニバーサルマナー研修及び検定に関しては、改正法の施行前に役員や従業員に対する知識習得を図りたいという企業が一定数発生し、大規模な検定の実施に繋がったことによるものであります。また、ミライロIDソリューションに関しては、「ミライロID」の導入事業者数4,214事業者(前事業年度末より152事業者増加)、ユーザー数55.2万人(前事業年度末より14.7万人増加)となり、ユーザー数は毎月約1万人が継続的に増加しております。プラットフォームとしての価値がより一層高まったことで、障害者の就労支援サービスを提供する企業からの広告掲載や、デジタル上での割引決済や認証等を目的としたシステム連携による継続的な売上が増加しております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は275,131千円(前事業年度比10.3%増)となりました。これは主に労務費等の固定費や手話通訳派遣やモニター派遣などの業務委託費の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は557,162千円(前事業年度比21.1%増)となり、売上総利益率は66.9%(前事業年度比2.0ポイント上昇)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、415,034千円(前事業年度比20.9%増)となりました。これは主に労務費等の固定費やミライロIDに係る業務委託費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は142,125千円(前事業年度比21.6%増)となり、営業利益率は17.1%(前事業年度比0.6ポイント上昇)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、6,122千円(前事業年度比25.4%減)となりました。これは主に助成金収入の減少によるものであります。
営業外費用は、25,241千円(前事業年度比575.4%増)となりました。これは主に株式交付費及び上場関連費用の計上によるものであります。
この結果、経常利益は123,006千円(前事業年度比1.4%増)となり、経常利益率は14.8%(前事業年度比2.3ポイント減少)となりました。
(特別損益、当期純利益)
特別損益は、当事業年度は発生しなかったため、この結果、税引前当期純利益は123,006千円(前事業年度比1.4%増)となり、法人税、住民税及び事業税18,446千円及び法人税等調整額23,086千円を計上した結果、当期純利益は81,472千円(前事業年度比54.4%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源は、第三者割当増資及び金融機関からの借入等を中心に資金調達を行ってまいりましたが、今後はエクイティファイナンスを合わせて、手元流動性、財務健全性、ROI(投資収益率)を総合的に判断し、資金調達を行ってまいります。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて
は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。