2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    96名(単体) 2,419名(連結)
  • 平均年齢
    42.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.3年(単体)
  • 平均年収
    7,978,692円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    6.2%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

(人材戦略)

 当社グループは、既存事業の競争力維持・強化と新しい成長領域の開拓を課題として認識しています。この課題に対して迅速に対応するためには、既存事業を支える技術者の確保とともに次世代への確実な技術の継承、新しい成長領域の開拓に対応できる多様な知識・経験を有する人材の確保・育成が必要不可欠であると考え、近年、リファラル採用制度等を導入するなど中途採用の強化を図り、新卒・中途一体となった人材確保を推進しています。また、従来より実施してきた階層別研修の強化に加え、より実践的な目的別研修及び若年層に対する研修を拡充し、きめ細やかな教育を実施することで早期育成と定着を図るとともに、優秀な人材については年齢に捉われない早期抜擢を進めています。一方で市場構造のシフトが進行している事業については、人材の適切なアロケーションを推進することにより技術者の最適配置を図っています。

 

(提出会社及び最大人員会社における従業員給与の額及び内容の決定に関する方針)

 人材獲得力の向上を図るため、業界のトレンドを注視し、採用競争力のある初任給水準を維持するとともに、従業員給与についても若年層から中堅層に重きを置いた昇給を継続しています。また、市場構造のシフトに対応した人材アロケーションの最適化を推進すべく、現場エンジニア並びに転勤者への処遇改善を図り、現場エンジニアへの職種転換を後押ししています。一方で少子化が急速に進むなかでは経験と実績のあるシニア層に長く意欲をもって働ける環境整備が必要不可欠であると捉え、再雇用者の働き方に応じた処遇改善について早期導入に向け対応を進めています。

 なお、従業員給与の昇給・賞与の決定にあたっては労働組合と団体交渉を行い、会社毎の業績・業界動向等をふまえた協議を経て決定しています。

(注)最大人員会社には川田工業㈱のほか、川田建設㈱を含みます。

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

鉄構

943

土木

577

建築

145

ソリューション

190

その他

413

全社(共通)

151

合計

2,419

(注)1 従業員数は就業人員数であります。

2 全社(共通)は、総務及び経理などの管理部門並びに研究開発部門の従業員であります。

 

 

② 提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

96

42.8

16.3

7,978,692

6.2

 

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

96

合計

96

(注)1 従業員数は就業人員数であります。

2 平均勤続年数は、当社グループでの勤続年数を加算しています。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

4 全社(共通)は、総務及び経理などの管理部門並びに研究開発部門の従業員であります。

 

③ 最大人員会社の状況

イ.当事業年度における従業員数が最も多い会社

川田工業㈱

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,139

44.6

19.8

7,702,619

5.6

(注)1 従業員数は就業人員数であります。

2 平均勤続年数は、当社グループでの勤続年数を加算しています。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

ロ.上記イ.の次に従業員数が多い会社

川田建設㈱

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

577

46.3

19.9

8,302,106

6.8

(注)1 従業員数は就業人員数であります。

2 平均勤続年数は、当社グループでの勤続年数を加算しています。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

④ 労働組合の状況

 当社グループには、主に川田労働組合(組合員数 872人)が組織されています。

 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

⑤ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

イ.提出会社

当事業年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児

休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の額の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

9.1

100.0

81.5

77.6

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 当社の登用基準は知識、経験、能力をもって判断するものであり、賃金制度においても同一労働・同一賃金の原則に則り、性差は設けていません。

 

ロ.連結子会社

当事業年度

名称

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

 

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

川田工業㈱

0.9

88.5

(注)2

73.1

75.1

44.9

川田建設㈱

1.9

94.1

(注)1

60.3

64.0

60.9

川田テクノシステム㈱

100.0

(注)2

70.7

74.4

53.3

㈱橋梁メンテナンス

66.7

(注)2

91.4

91.9

富士前鋼業㈱

(注)2

東邦航空㈱

50.0

(注)2

78.0

83.8

44.5

新中央航空㈱

4.5

100.0

(注)2

71.7

74.2

61.0

カワダロボティクス㈱

(注)2

85.4

85.4

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 「*」は割合算出の対象となる労働者が無いことを示しています。

4 当社グループの各企業における登用基準は知識、経験、能力をもって判断するものであり、賃金制度においても同一労働・同一賃金の原則に則り、性差は設けていません。

 

ハ.連結会社

当連結会計年度

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児

休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

1.7

85.7

70.3

72.9

47.5

(注) 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

 当社グループは、グループ理念である「安心で快適な生活環境の創造」を基に、「八方よし」(※)の精神に則り、全てのステークホルダーとの対話や共創を通じて、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」を目指し、2022年3月に以下のサステナビリティ基本方針を制定いたしました。

※「八方よし」とは、近江商人の心得と言われる「三方良し」を独自に、さらに拡張し、ステークホルダー全てに利をもたらす企業グループを目指すという考え方です。

 

<サステナビリティ基本方針>

 

 

 また、サステナビリティ基本方針と整合する形で、環境(E)・社会(S)・統治(G)の各領域において、以下のとおり個別方針を策定しています。これらの方針は当社グループすべての役員・従業員に適用され、事業活動を通じ、取引先とも連携しながら、サプライチェーン全体の持続可能性の向上に取り組んでまいります。

 

●環境(Environment)

○川田グループ 環境方針(要旨)

 当社グループは、グループ理念である「安心で快適な生活環境の創造」及びサステナビリティ基本方針のもと、地球環境の保全・改善に積極的に取り組むため、「川田グループ環境方針」を策定しています。気候変動が事業活動に与える影響を認識し、温室効果ガス排出量の削減や持続可能な代替エネルギーの活用など具体的な対策に取り組むとともに、廃棄物の発生抑制(Reduce)・再利用(Reuse)・再生利用(Recycle)の3R活動を推進し、循環型経済・社会の形成に貢献してまいります。また、環境課題の解決に資する技術の研究開発を推進し、環境に配慮した製品・サービスの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

○川田グループ 生物多様性方針(要旨)

 当社グループは、生物多様性の保全・回復を地球環境への貢献における重要な側面と位置づけ、「川田グループ生物多様性方針」を策定しています。事業活動が生物多様性へ依存し、また影響を与えていることを認識し、生物多様性の豊かな生息地の保全、水資源の保護と効率的な利用、汚染の予防、生態系保全への配慮など、具体的な取り組みを通じて、その影響を回避・最小化するよう努めています。さらに、自然との共生に資する技術や生態系保全技術を積極的に開発・採用し、生物多様性への正の影響を創出することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

●社会(Society)

○人材育成方針

 当社グループは、グループ理念である「安心で快適な生活環境の創造」の実現において社員が企業の最も重要な財産であり、社員の成長と幸福感を尊重し共有することが組織の持続的発展に繋がると考えています。いつの時代にも技術をもって社会に貢献するために、経営理念に共感する多様な人材を採用し、培った技術の確実な伝承と専門性の向上に努めるとともに、時代の先を読み変革を推進できる人材の育成に努めてまいります。

 また、グループの価値創造力の向上を図るため、人材のグループ内外の交流を促進してまいります。

○社内環境整備方針

 当社グループは、社員の誠実さと主体性を引き出し、グループの一員としての誇りとやりがいを育む多様性と包摂性を兼ね備えた職場を重要と考えています。そのため、人権尊重経営の徹底をはじめとする適切な施策を実施し、社員が心身ともに健康で安心して働くことができる職場環境を整備してまいります。

 また、安全と効率性・快適性を確保するため多彩なグループの専門性をもって技術的に職場の課題解決に当たるとともに、豊かな人生の実現とグループの持続的な発展に向けて、社員のキャリア形成を支援する教育体系の整備、多様な働き方を選択できる社内制度の拡充、働き方の変化に応じた公正な人事制度づくりを進めてまいります。

○人権方針(要旨)

 当社グループは、グループ理念である「安心で快適な生活環境の創造」の実現には、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた国際的な人権規範に則った人権尊重への取り組みが不可欠であるとの認識のもと、「人権方針」を策定しています。本方針は当社グループすべての役員・従業員に適用されるとともに、ビジネスパートナーにも支持を期待するものであります。人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築・継続的に実行し、事業活動における人権への負の影響の防止・軽減に努めてまいります。

○川田グループ サステナブル調達方針(要旨)

 当社グループは、「八方よし」の精神のもと、公平・公正な調達を目指し「川田グループサステナブル調達方針」を策定しています。取引先との相互信頼に基づくパートナーシップを構築しながら、法令遵守・人権尊重・環境配慮・安全衛生など多角的な観点から責任ある調達を実践し、サプライチェーン全体の持続可能性向上を目指してまいります。

●統治(Governance)

○コーポレートガバナンス基本方針(要旨)

 当社は、当社及び当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、「コーポレートガバナンス基本方針」を策定しています。株主の権利尊重と実質的な平等性の確保、多様なステークホルダーとの適切な協働、会社情報の適時・適切な開示による透明性の確保、取締役会による実効性ある監督機能の発揮、そして株主との建設的な対話の促進に努めてまいります。

○川田グループ リスクマネジメント基本方針(要旨)

 当社グループは、リスクの適切な認識と対処を通じて健全な事業活動を持続的に維持し、すべてのステークホルダーに対する社会的責任を果たすため、「川田グループリスクマネジメント基本方針」を策定しています。本方針のもと、事業継続の確保、会社の社会的評価の維持・向上、経営資源の保全、並びにステークホルダーとの信頼関係の構築を目的として、グループ全体のリスクを統括的に管理してまいります。また、役員・従業員への教育・啓発活動及びリスク関連情報の共有を通じ、リスク意識の浸透とリスクリテラシーの向上に努めてまいります。

○情報セキュリティーポリシー(要旨)

 当社グループは、情報資産の機密性・完全性・可用性を維持するため、物理的・人的・技術的な脅威への対策を含めた「情報セキュリティーポリシー」を策定しています。同ポリシーは役員・従業員及び外部委託先に適用され、教育訓練の実施、ウイルス対策・アクセス制御・ネットワーク管理などの技術的対策、業務継続のための処置を規定しています。また、不正アクセス禁止法や個人情報保護法など関連法令の遵守も求めており、定期的な監査と見直しを通じてポリシーの継続的改善を図ってまいります。

 

①ガバナンス

 取締役会の諮問機関として、サステナビリティ推進委員会を設置しています。委員長は取締役であるサステナビリティ推進室長が務め、取締役会が選任する委員で構成されています。委員会は原則として毎月開催され、同委員会の下部組織として当社グループ各社の総務部長等をメンバーとしたサステナビリティ推進会議が存在し、同会議への指示・諮問に対する報告・答申に基づき、幅広いサステナビリティ課題について、その相互連関性などを含めたリスクと機会を議論し、対応策を検討し、定期的又は必要に応じて取締役会に報告・答申を行っています。

 取締役会は重要な方針や課題についての審議・決定を行い、その後、サステナビリティに関するさまざまな活動の内容や進捗状況等についてモニタリングを行っています。また、指揮・監督の責任も担い、サステナビリティへの取り組みがサプライチェーンを含めて適切に進められているかを確認しています。

 このように、取締役会並びにサステナビリティ推進委員会がそれぞれの役割分担を通じて、そしてそれらが有機的に連携することで、サステナビリティ経営を着実に推進しています。

 

<サステナビリティ推進体制>

 

②戦略

 当社グループは、企業経営と社会課題の長期的なトレンドを重視し、事業環境や社会・地球規模の課題に対する長期的な展望とビジョンを検討することにより、様々なリスクと機会を抽出しています。また、業界として期待される役割や社会的使命にも目を向け、企業が果たすべき責任について考察しています。さらに、組織全体で共有する企業理念や価値観を明確化し、それに基づいた行動を推進しています。これらの要素を総合的に考慮したうえで、組織としての持続可能性に関する重要課題(マテリアリティ)を特定し、それらに対する重点課題とその考え方等を明確化いたしました。

 

<重要課題(マテリアリティ)における検討要素>

 

 

<重要課題(マテリアリティ)>

 

 

③リスク管理

 サステナビリティ推進委員会は、当社グループ各社の取締役や経営幹部に対して意識調査を実施し、サステナビリティ課題に関する認識を確認するとともに、重要なリスクと機会を網羅的に抽出します。さらに、外部専門家の助言を活用し、専門的知見に基づく重要なリスクと機会の特定を行っています。

 特定されたリスクと機会は、取締役会に報告され、審議・決定の対象となります。取締役会の関与により、組織全体におけるリスク管理の透明性と実効性を確保しています。また、取締役会はリスクと機会への対応状況等のモニタリングを行い、適切な指揮・監督を行っています。以上のようなサイクルを継続的に運用することで、環境変化に伴う新たなリスクと事業機会への対応力の強化に努めています。

 

④指標及び目標

 指標及び目標については、重要課題(マテリアリティ)、重点課題、基本的な考え方、対応策、具体的な取り組み内容及び実績を一覧表として整理し、継続的なモニタリングを通じて適切な管理を行っています。詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。
[マテリアリティURL]https://www.kawada.jp/csr/materiality/

 

(2)重要なサステナビリティ課題

①気候変動問題への積極的な貢献

 国際連合「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新の科学的知見である第6次評価報告書において、産業革命前からの気温上昇を1.5℃以内に抑えられない場合、異常気象や生物多様性の損失などのリスクが大きく高まると警鐘を鳴らされるとともに、気温上昇を1.5℃以内に抑えるために、新たに「温室効果ガス排出量を2035年に2019年比で60%削減する」という目標が追加提言されています。当社グループは、重要課題(マテリアリティ)として「地球環境への貢献」を掲げ、その重点課題として「気候変動問題への積極的な貢献」を設定しています。地球温暖化を含む気候変動問題は、当社グループのステークホルダーを含めて、この地球に暮らす全ての人びとにとって、喫緊の課題となっています。

 2023年6月、当社グループは、TCFD(※)提言への賛同を表明いたしました。現在、TCFDの枠組みは国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に引き継がれ、より高度な開示基準への移行が進んでいます。当社グループは、まずはTCFD提言を基礎とした情報開示の充実を図りつつ、今後の新たな基準への対応に向けた準備を段階的に進めるとともに、気候変動に関するリスクと機会に適切に対応し、「カーボンニュートラル社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を目指してまいります。

※TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)

 G20の要請を受け、2015年に金融安定理事会(各国の金融関連省庁及び中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関)により設置された組織です。金融市場の安定化を図ることを目的に、企業等に対して気候変動リスクと機会の財務的影響の把握と情報開示を促しています。

 

<戦略>

 当社グループは、気候変動問題を非常に重要な社会課題と認識しており、リスクと機会の両面で捉えています。カーボンニュートラル社会の実現と中長期的な企業価値の向上を達成するため、2026年3月に「川田グループ環境方針」を策定いたしました。詳細は、「(1)サステナビリティ共通 ●環境(Environment)」をご参照ください。

 今般、事業環境の変化等を踏まえ、気候変動に関するリスクと機会の見直しを行いました。移行リスクについては1.5℃以下シナリオ(※)、物理的リスクについては4.0℃シナリオ(※)を活用し、主に2030年代までを中心に、当社グループの全ての事業を対象に検討や分析を行いました。

 これらの検討や分析を通じて抽出されたリスクと機会の評価にあたっては、財務的影響の定量化が可能な項目については一定の閾値を設けて優先順位付けを行い、定量化が困難な項目については定性的な影響度を総合的に評価して優先順位を決定しています。また、これらの評価結果に基づく具体的な対応策も策定いたしました。策定プロセスにおいては、想定される対応策の効果を加味して再度評価を行い、最終的に重要度が高いと特定された項目に対して重点的な対応策を明確にいたしました。

 これらの取り組みは、サステナビリティ推進委員会を中心としたグループ横断的な体制のもとで推進しており、継続的なレジリエンスの強化と、気候変動を事業機会として活かす経営の実現を目指しています。以下に、本プロセスを経て特定された主なリスクと機会及びその対応策を示します。

 

<気候変動に関するリスクと機会>

※1.5℃以下シナリオ

IEA「NZE(Net Zero Emissions by 2050)」等を使用。2050年までに世界全体の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指し、1.5℃に整合した移行シナリオ。再エネ導入、電化、炭素価格の導入などを前提とし、急速な制度・市場変化を伴う移行リスクを評価する上で有効であるため、本シナリオを採用。

※4.0℃シナリオ

IPCC「SSP5-8.5」等を使用。排出削減策がほとんど講じられなかった場合を想定し、2100年時点で気温が2.6~4.8℃上昇する高排出シナリオ。極端気象の頻発、海面上昇、インフラやサプライチェーンへの影響など、深刻な物理的リスクを評価する上で有効であるため、本シナリオを採用。

 

<指標及び目標>

 当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を管理するための指標として、環境負荷に関する重要な要素である温室効果ガス排出量を位置づけています。また、気候変動への取り組みを推進し、環境への負の影響を最小限に抑えるためには、当社グループ自身の温室効果ガス排出量の削減に加え、サプライチェーン全体での排出量削減に向けた取り組みも重要であると認識しています。

 こうした認識のもと、2025年12月にSBTi(※)の認定を取得し、2030年度を達成期限とする中間目標(Near-term目標)を設定いたしました。当社グループは、脱炭素への取り組みを単なるコスト負担としてではなく、受注機会の拡大やコスト削減といった事業機会の創出等にもつながるものと捉え、リスクと機会の両面から気候変動対応を推進してまいります。こうした考え方のもと、削減目標を着実に達成するための道筋を示すものとして、気候移行計画の策定を進めています。

 温室効果ガス排出量、目標並びにその対応策については、以下のとおりです。

※SBTi(Science Based Targets initiative)とは、世界の産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えることを目指すパリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減目標を認定する国際的なイニシアチブです。

 

●Scope1・2 排出量

 GHGプロトコルの基準に基づき、2022年度を基準年度として、当社及び連結子会社8社のScope1(直接排出)とScope2(間接排出)の排出量を算定しています。なお、SBTiの認定取得に伴い、2022年度以降の排出量について再算定を実施しています。

 削減目標として、2050年度までに実質ゼロ、2030年度までに2022年度比42%の削減(内訳:航空2社合計で4%削減、その他7社合計で61%削減)を設定しています。なお、SBTiの認定取得に際し、従来の2030年度までの削減目標を見直しており、本目標は認定基準に整合した水準として改めて設定したものです。

 排出量の算定及び削減目標に基づき、Scope1では生産性向上によるエネルギー削減を最優先としつつ、社有車等のハイブリッド車への計画的切り替えやバイオ燃料の導入を進めています。また、Scope2においては、本社・工場等及び建設現場において再生可能エネルギー由来の電力プランへの切り替えを行うとともに、工場では自家消費型太陽光発電(自己所有およびPPAモデル)の導入を進めています。

 

●Scope3 排出量

 GHGプロトコルの基準に基づき、2023年度を基準年度として、当社グループのScope3(サプライチェーンを含む間接排出)の排出量を算定しています。なお、Scope1・2同様、SBTiの認定取得に伴い、2023年度以降の排出量について再算定を実施しています。

 算定の結果、当社グループのScope3排出量のうち、カテゴリ1(購入した製品・サービス)に係る排出量が概ね8割を占めることを確認しています。この結果を踏まえ、SBTiの認定基準と整合するカテゴリ1を対象に、2030年度までに2023年度比で25%削減する目標を設定しています。

 この目標の達成に向けては、排出量の大部分を占める鉄鋼材料の調達において、GXスチール(グリーントランスフォーメーション対応鋼材)の採用や高炉材から電炉材への転換を推進するなど、サプライヤーとの積極的なエンゲージメントに取り組んでいます。

 

<温室効果ガス排出量の削減目標と実績>

 

 

 マーケット基準

契約に基づいて購入した電力の排出原単位に基づき算定する方法で、電気事業者別排出係数を用いて算定しました。

 ロケーション基準

事業活動を行う国などの区域内における発電に伴う平均の排出原単位に基づき算定する方法で、全国平均係数を用いて算定しました。

(注)2025年12月のSBTi認定取得に伴い、2022年度以降の数値を遡及して再算定しているため、過去の開示数値と異なります。

 

②自然資本・生物多様性問題への積極的な貢献

 当社グループは、持続可能な環境・社会・経済の実現に向けて、「自然資本および生物多様性の保全」を重点的に取り組むべき課題の一つとして認識しています。当社の事業活動は、サプライチェーン全体を通して、豊かな自然資本(生態系サービスや資源)に大きく依存していると同時に、環境に対して様々なインパクトを与えています。自然資本の劣化は当社の事業継続における重大なリスクとなる一方で、ネイチャーポジティブ(自然再興)への積極的な貢献は、新たな事業機会の創出や企業価値の向上につながると考えています。

 

<戦略>

 このような認識のもと、2026年3月に「川田グループ生物多様性方針」を策定いたしました。詳細は、「(1)サステナビリティ共通 環境(Environment)」をご参照ください。

 さらに、この方針に基づいた取り組みを国際的な枠組みに沿って高度化するため、TNFD(※)の提言の重要性を理解し、同フレームワークに沿った情報開示に向けた準備を開始いたしました。現在は、外部の専門的知見も取り入れながら「LEAPアプローチ」(※)の分析手法について理解を深めるとともに、実際の評価プロセスに着手しています。

 今後は、現在進めている評価プロセスを踏まえ、まずはTNFD提言に基づいた情報開示を行う予定です。開示後は、さらに「LEAPアプローチ」への造詣を深め、自然関連の「リスクとインパクトの管理」を強化するとともに、既存の方針に基づく具体的な「測定指標とターゲット(目標)」の設定を行い、ネイチャーポジティブに向けた新たな事業機会の創出や、当社の事業戦略への統合に繋げてまいります。

※TNFDとは、「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(自然関連財務情報開示タスクフォース)」の略。企業・団体が自身の経済活動による自然環境や生物多様性への影響を評価し、情報開示するための国際的な枠組みです。

※LEAPアプローチとは、企業が自然資本に関するリスクと機会を特定、評価、管理する評価手法です。

 

③人的資本経営の徹底

 当社グループは、技術で社会に貢献してきた創業100年を超える企業集団であり、培ってきた技術の確実な伝承とさらなる発展により、全てのステークホルダーへ安心で快適な製品やサービスを提供することが使命であると考えています。その使命の遂行には「人材」が最も重要であり、社員一人ひとりが誇りを持ち、活き活きと働くことができる環境づくりが大切であると考えています。このことから、当社グループでは重要課題(マテリアリティ)として「安心で公正な労働環境の整備」を掲げ、その重点課題の一つとして「人的資本経営の徹底」を設定しています。

 

<戦略>

 この課題解決に向け、2024年3月に「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を策定いたしました。詳細は、「(1)サステナビリティ共通 ●社会(Society)」をご参照ください。

 

<指標及び目標>

 当社グループは、重点課題である「人的資本経営の徹底」を目指す上で、「多様な人材の採用」、「人材の育成及びキャリア構築支援」及び「ワークライフバランス・健康経営の継続的推進」は特に重要度の高い課題と認識しており、それぞれに目標を設定しています。

 

●多様な人材の採用

 企業価値のさらなる向上のためには、人材の確保だけでなく、その多様化と育成が重要と考えています。今後、多様性のある専門技術者やマネジメント人材の育成にはその母集団に多様性を確保することが不可欠であることから、当社グループの中で割合の少ない女性や外国人材の採用を強化すべく、目標を設定しています。

 また、中途採用者についても中核人材への登用が進んでいる状況を踏まえ、この流れを着実なものとするため、その採用割合について目標を設定しています。

 

●人材の育成及びキャリア構築支援

 当社グループでは、グループ会社独自のOJTや選抜型などの研修により社員の育成を図るとともに、グループ合同での研修などを通して交流を促進し、シナジー効果の最大化を目指しています。

 また、資格の取得支援についてはグループ各社がそれぞれの事業特性に合わせ、独自の制度を運用しています。2020年度より役割等級制度を導入したグループ会社については各等級への昇級要件として職務遂行上不可欠と思われる公的資格を設定しており、キャリア構築の支援にも繋がっています。人材の育成及びキャリア構築支援の両面で有効な施策として、資格取得の支援について目標を設定しています。

 

●ワークライフバランス・健康経営の継続的推進

 ワークライフバランスの推進においては、グループ会社がそれぞれの事業特性に合ったさまざまな働き方改革の施策や各種教育を確実に実行することが不可欠と考えています。男性労働者の育児休業取得率は、いわゆる「仕事と家庭の両立支援」の風土醸成及び柔軟な勤務体制の整備状況を端的に示すものと考え、指標としています。また、複数のグループ会社においては、マネジメント人材におけるメンタルヘルスの理解促進を図るため、管理職者に「メンタルヘルス・マネジメント検定(Ⅱ種)」の取得を義務付けています。管理職登用前の取得や若手社員による早期取得を促進する観点より、当該資格の取得率を目標として設定しています。

 

今後さらに人的資本経営の拡充に向け、企業価値の向上に資する施策を立案し、実施してまいります。

 

④人権尊重経営の徹底

 国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」や一般社団法人日本経済団体連合会の「企業行動憲章」が示すように、従業員の人権はもちろん、サプライチェーンや地域社会における人権尊重にも配慮することが、企業に強く求められています。当社グループは、重要課題(マテリアリティ)として「安心で公正な労働環境の整備」を掲げ、その重点課題として「人権尊重経営の徹底」を設定しています。当社グループは、この課題に真摯に取り組み、社会的責任の実現を目指してまいります。

 

<戦略>

 この課題解決に向け、2024年3月に「人権方針」を策定いたしました。詳細は、「(1)サステナビリティ共通 ●社会(Society)」をご参照ください。

 また、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築し、人権尊重経営の徹底に取り組んでおり、当社グループの事業における重要な人権リスクを以下のとおり特定いたしました。今後は人権デュー・デリジェンスにおいて特定された重要な人権リスクに対し、適切な措置の実施・追跡調査・情報公開に取り組んでまいります。

・ハラスメント対策

・労働安全衛生

・過剰不当な労働時間

・環境・気候変動に関する人権問題

・腐敗防止・企業倫理

 また、こうした事前の予防・軽減策と並行して、当社グループの事業活動における人権救済メカニズム(是正・苦情処理メカニズム)の拡充を図るため、2026年3月開催の取締役会において、以下の方針の新設と関連規程の改正を決議し、2026年度より運用してまいります。

・川田グループサステナブル調達方針

詳細については、「(1)サステナビリティ共通 ●社会(Society)」をご参照ください。

・内部通報制度運用規程

サプライチェーンを含むライツホルダーからの人権に関する相談を受付ける人権救済窓口を設置し内部通報後の社内における報告及び指示・命令ラインを整理し、人権リスクに的確で迅速な対応ができる体制を再構築

 

 

<指標及び目標>

 当社グループの役員・従業員の人権意識を高め、人権尊重の企業文化を醸成することが企業の持続的な成長に不可欠であると考えています。そのため人権啓発研修会を開催し、その受講率を指標として設定しています。

今後さらに人権尊重経営の徹底に向け、企業価値の向上に資する施策を立案し、実施してまいります。