リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 不動産市況の悪化
当社の主要事業である戸建販売事業は、消費者の需要動向に大きく左右される傾向にあります。そのため、景気動向、金利動向、地価動向及び物価動向の変動、消費税及び住宅減税等の税制変更、公的融資制度の変更・廃止、少子化による人口減少、新型コロナウイルス感染症の再拡大などにより、消費者の需要が低下した場合には、着工・引渡し棟数の減少や販売価格の低下等が生じ、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(2) 事業エリアの集中について
当社の事業展開は、対象エリアを首都圏とし、その中でも特に多摩エリア及びそれに隣接する地域を中心としております。したがって、当社の業績は首都圏内の景気動向、経済環境、住宅需要、地価の動向等により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合について
当社の属する戸建販売業界は、技術の独自性等に基づくものではないため、参入障壁は高くありません。
当社は、企画設計から施工管理、販売、建築請負業務など不動産業、建築業の事業領域において様々なノウハウの蓄積に努めておりますが、競合他社の参入に伴い、差別化のための各種方策等が必要になった場合、又は、当社が提供する物件の競争力が低下した場合は、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(4) 販売期間の長期化等について
当社の主力事業である戸建販売事業における用地仕入決済日から引渡までの平均事業期間は約11ヶ月となっております。景気動向・需要動向の悪化や競争激化、新型コロナウイルス感染再拡大といった影響により販売が長期化した場合、販売価格の下落や棚卸資産の評価損の計上等により、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 季節変動について
当社の主要事業である戸建販売事業においては、物件の完成・引渡しが9月、12月、3月に集中する傾向があります。そのため、当社の第1四半期の売上高は、他の四半期に比して少なくなり、また、第2四半期及び第4四半期、特に3月の売上高が相対的に多くなる傾向があり、2023年3月の戸建販売事業に係る売上高は4,302,602千円(構成比20.2%)であります。なお、2022年3月期から2023年3月期における四半期別の売上高及び営業損益の構成は、次のとおりであります。
(2022年3月期)
(2023年3月期)
(6) 自然災害・人災等に係る影響について
地震や台風等の大規模な自然災害が発生した場合、当社において、物件の点検や応急措置等により、多額の費用が発生する可能性があります。また、建築用資材・部材については複数の発注先を確保するよう努めておりますが、社会インフラの大規模な毀損で建築現場の資材・部材の供給が一時的に途絶えた場合等には、完成引渡しの遅延等により当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
また、新型コロナウイルス等の感染症の流行が急速に拡大した場合、当社の本社や事業所の一時的な閉鎖の可能性があり、当社の業績に影響が生じる可能性があります。当社としては、複数の事業拠点を有しており特定の事業所において感染症が発生した場合にも事業継続が可能な体制を構築しており、また、在宅勤務が可能な環境を整備しており、感染症流行時に出社しなくても業務遂行が可能となっております。
(7) 用地取得について
当社の主要事業である戸建販売事業においては、戸建住宅用の用地を、立地条件や周辺環境等に応じて、適正価格で継続的に取得することが必要です。当社としては、土地売却情報の入手先を複数確保するとともに、土地取得に際しては立地条件・周辺環境・面積等について調査の上、適正価格で取得するよう努めております。
しかしながら、他社との競合、情報収集の遅れ・不足等により相場よりも高価格で土地を購入することとなった場合や土地の仕入れが想定どおりに進捗しない場合には、当社の経営成績に影響が生じる可能性があります。
(8) 外注先について
当社は、戸建分譲住宅における施工面の大部分を外注に依存しております。当社としては、外注先の確保に注力しておりますが、万が一、職人不足等に伴って外注先が減少した場合、販売棟数の増加に伴って選定基準に合致する外注先を十分に確保できない場合、または外注先の経営不振・繁忙等により工期が遅延した場合等には、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(9) 資材及び住宅設備機器等の調達・価格の変動について
国内外の市場の動向等により、木材・建材等の資材価格が上昇した場合、当社又は外注先の原材料調達状況に影響が及ぶ可能性があります。また、当社としては適正な利益を確保するよう努めておりますが、資材価格の上昇分を販売価格へ転嫁することが困難な場合には、当社の利益が減少するなど、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の流行下における世界的なリモートワークの普及等を背景とした、アメリカを中心とする住宅需要の増加により、住宅の主要材料であります輸入木材の不足が懸念されております。今後、輸入木材の価格高騰や納期遅延により、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(10) 組織・人材・陣容の充実
当社は今後も戸建住宅の販売を中心に事業を展開してまいりますが、不動産業界の競争激化の中で業績拡大を図るためには、継続して優秀な人材を確保・育成していくことが最重要課題であると認識しております。そのため、中途・新卒採用の強化及び不動産関連の資格取得支援並びに当社の経営理念及び行動規範を理解した責任ある社員の育成を行っていく方針であります。しかしながら、当社の求める人材の確保が困難となった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(11) 金融機関からの資金調達にかかるリスクについて
当社は戸建販売事業の分譲用地、アセットソリューション事業のマンション用地の取得資金及びマンション建設資金について、主に金融機関からの借入金により調達しているため、有利子負債への依存度が高い水準にあります。今後、有利子負債の圧縮を図るとともに自己資本の充実に注力する方針ではありますが、金融政策や経済情勢等により金利水準及び金融環境等に変動があった場合、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(12) 個人情報の管理について
当社は、事業の特性上、仕入先、顧客(潜在顧客含む。)等に関して、住所、氏名等の個人情報を多数お預かりしております。個人情報保護につきましては、個人情報の保護に関する法律に従い、全社的な対策を継続的に実施しておりますが、万一個人情報の漏えい等が発生した場合には、信用を大きく毀損することとなり、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(13) 法的規制について
当社の業務は、分譲用地の仕入から企画設計業務、施工管理業務、販売業務、建築請負業務など不動産業、建築業に関連する業務を幅広く行っております。そのため、当社の事業に関連する法規は多岐にわたり、宅地建物取引業法、建設業法、国土利用計画法、都市計画法以外にも土地区画整理法、農地法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法等の規制を受けております。今後これらの公的規制を強化する改正や、当社の事業に関連する法規の新設等がなされた場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
また、当社では、当社の主要事業の継続に必要となる、宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業者免許(東京都知事免許(1)第106450号)、建設業法に基づく特定建設業許可(東京都知事許可(特-3)第153663号)及び建築士法に基づく一級建築士事務所登録(東京都知事登録 第56852号)を行っておりますが、本書提出日までの間において、これらの免許、許可及び登録の取消事由は存在しておりません。しかしながら、将来においてこれら免許、許可及び登録の取消等があった場合には、主要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在における当社の許認可取得状況は以下のとおりです。
(14) 住宅品質保証について
住宅供給業者は、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(以下「住宅瑕疵担保履行法」)により、新築住宅の構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分については、住宅の引渡日から10年間、瑕疵担保責任を負い、また、住宅の瑕疵担保責任履行のための資力の確保が義務付けられております。
当社では、当社が供給する住宅の品質確保のため、住宅の設計、施工及び監理に万全を期し、また、住宅瑕疵担保履行法による資力確保の方法として保険に加入しております。
しかしながら、万が一、当社の販売した物件に重大な瑕疵があることが判明した場合、売主としての瑕疵担保責任を負い、その結果として、当社が負担すべき費用の増加や信用の低下等が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) コンプライアンス体制について
当社は、コンプライアンス体制の整備及びその運用により訴訟及びクレーム等の発生の回避に努めております。
しかしながら、今後、当社が販売した物件における瑕疵の発生、建築に際しての近隣住民からのクレーム等、及びこれらに起因する訴訟やその他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社の事業展開及び経営成績に影響が生じる可能性があります。
(16) 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である大林竜一は、最高経営責任者として経営方針や経営戦略の決定等、事業活動上の重要な役割を果たしております。当社においては、同人に過度に依存することがないよう、合議制や権限委譲の推進を図っておりますが、現時点において同人が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)小規模組織であることについて
当社は社歴が浅く、また、組織規模が小さいため、内部管理体制もこのような事業規模に応じたものとなっております。今後、事業規模の拡大に伴い人員の増強や内部管理体制の一層の強化・充実を図る方針でありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的対応ができなかった場合には、当社グループの事業遂行及び拡大に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要政策のひとつとして認識しており、現在及び今後の事業収益をベースに、将来の事業展開に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針とし、当期純利益の30%を配当額の目途とし(配当性向30%)、各期の業績に応じた配当を実施してまいります。
また、当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。
当期の期末配当につきましては、年1株当たり配当額を78円00銭としております。
内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開のための備えと、主に戸建販売事業における事業用地の取得のために投入していくこととしております。
なお、当社は会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議をもって中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。