2025年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

IP Geolocation事業 その他事業 IPアドレス移転事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
IP Geolocation事業 686 100.0 38 100.0 5.5

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、「独自の技術とノウハウを開発し、地域社会にとって価値のある新しいインターネットサービスを提供する」を企業理念として掲げており、この理念に基づき、インターネットユーザーの位置情報を活用した、効果的なウェブマーケティングを実現するサービスや不正アクセスを防止するサービスの開発・提供に取り組んでおります。

 

 当社は、IPアドレス*1を活用したデータベース「SURFPOINT™」を構築し、その運営及び利用による各種サービスの提

供を行うIP Geolocation事業と、これに区分されないその他事業の2つのセグメントを運営しており、各事業の特徴は以下のとおりです。

 

<IP Geolocation事業>

 IPアドレスに、位置情報、組織属性、回線情報、気象情報等100種類以上のデータを組み合わせた当社のデータベー

スである「SURFPOINT™」を維持管理し、これをベースに顧客のサイト閲覧者の属性に合う各種サービスをSaaS*2又は

API*3で提供しております。それらのサービスは、インターネットユーザーの位置情報を把握する技術であるIP

Geolocation(位置情報認識技術)を土台としており、顧客のニーズに応じて、ジオターゲティング、BtoBマーケティング、不正検知、コンプライアンス(DRM)、インターネット広告プラットフォームの提供をしております。

 

 

(1)「SURFPOINT™」について

 「SURFPOINT™」は当社の各種サービスの土台となるデータベースです。当社は、IPアドレスの利用環境の変化に対応

して自動分析プログラムを常時稼働させており、ネットワーク環境を熟知した専門調査員(ネットトレーサー)が、情

報の分析・検証を行っております。このようにしてデータベースの精度を高めているほか、顧客の利用の際に対象デー

タ範囲の絞り込みや、特定の属性データの取得を可能とするために、適宜組み合わせる情報の種類を増やしてより精緻

なバージョンへの更新を行っております。また、顧客のニーズに応じて「SURFPOINT™」の中から必要とされるデータを

販売しております。

 

 

(2)ジオターゲティング

 ウェブサイト閲覧者のいる地域を特定することで、以下のことを可能にしております。

・顧客のウェブサイトをその地域に合った表示にする

・広告や告知内容を地域別に表示する

・閲覧者に一番近い顧客の店舗やアクセスルートを示す

 閲覧者のウェブサイトからの離脱を防ぎ、効果的な販売促進のためのウェブサイト作りに貢献するツールとして、当該機能を顧客に提供しております。

 

(3)BtoBマーケティング

 ウェブサイト閲覧者が属する企業等団体の業種、規模から場合によっては企業名を判別し、効果的なマーケティング

を実施するために必要なデータを提供しております。アクセス分析ツールとの連携により、顧客のウェブサイトに訪問

した企業を可視化することで、営業活動の効率化に役立つデータを提供しております。また、国内、海外の主要なマー

ケティングオートメーションツール*4との連携を可能としており、「SURFPOINT™」を搭載した当社のアプリケーション

である「どこどこJP」によって連携先の機能を補完し、アクセス分析に組織名(法人名)・組織URL・業種・従業員数等

の分析軸を加えることができ、BtoBアクセス解析ツールにカスタマイズできる機能を提供しております。

 

(4)不正検知・コンプライアンス(DRM)

 インターネット上の不正やなりすまし等の詐欺行為を検出することにより、不正アクセスから顧客のアカウントを守

る機能を提供しております。また、ウェブサイトへのアクセスが正しい権利を持ったユーザーからのものか否かを判別

し、当該コンテンツの配信管理を行うことが可能です。これらの特徴によって、複数の金融機関、コンテンツ配信事業

者、その他不正アクセスの防止を望む企業や団体が、当社の顧客となっております。

 

 

(5)インターネット広告プラットフォームの提供

 IPアドレスの活用によって閲覧者の選別・絞り込みが可能な配信サービスである「どこどこad」プラットフォームを提供しております。これは業種・規模・従業員数・社名等の企業属性、気温・天気等の気象情報、利用されている回

線、都道府県、市区町村といったターゲティングの切り口で選択したサイトの閲覧者に対してバナー広告を配信するも

のです。

 「どこどこad」プラットフォームは、当社の「SURFPOINT™」を利用することにより、インターネット広告の配信効果

の最大化を目指し、最適な人や場所に広告を配信するプラットフォームを提供しております。

 

(6)当社の提供するサービスの内容

  当社は、次のサービスを提供しております。

 

① 「どこどこJP」

  「SURFPOINT™」をウェブサイトやアプリケーション上で利用できるサービスで、その用途はマーケティングからセ

 キュリティまで幅広く、IPアドレスから利用者の地域を認識するジオターゲティングの技術や、ウェブアクセス解

 析、金融や証券分野でのオンライン取引時における不正アクセス対策、デジタル配信される映像や音楽等の著作権管

 理に役立てられています。

② 「らくらくログ解析」

  簡単な操作でウェブアクセス解析を行うことのできるツールであり、基本的なアクセス解析機能に加えて、ウェブ

 サイトを訪問した企業のリスト化や経路分析等の本格的な解析も可能なサービスとなっております。

③ 「IPひろば」

  IPアドレスやドメイン名を入力して、検索ボタンをクリックするだけで、簡単に位置情報や組織情報を調べること

  ができるサービスです。検索結果として都道府県名や市外局番、接続回線情報を表示します。ウイルスの発信元調査

  やネット犯罪の初期調査にも活用されております。

④ 「どこどこad」

  IPアドレスから判定される位置情報、企業情報、気象情報、回線情報等で、配信する対象の絞り込みやターゲティ

 ングができるインターネット広告配信サービスです。現在提供している主なターゲティングメニューは、次のとおり

 です。

 ・BtoBターゲティング(上場・非上場の区分、資本金区分、従業員区分、売上高区分、業種区分等により対象となる

  配信先企業を絞り込みます)

 ・回線ターゲティング(特定のインターネット回線、インターネットサービスプロバイダを経由した先のユーザー向

  けに広告配信をします)

 ・気象ターゲティング(天気、気温、湿度、紫外線量により配信先を絞り込みます)

 ・どこどこJP連携データターゲティング(「どこどこJP」との連携により、「どこどこJP」にリクエストが来たIPア

  ドレスに対して広告配信をします)

 ・ジオターゲティング(接続元のIPアドレスから地域を判定し、都道府県、市区町村や郵便番号を指定し広告配信

  をします)

 ・Wi-Fiスポットターゲティング(特定のWi-Fiスポットに接続しているユーザーに対して広告配信をします)

 

(7)web制作・各種受託開発

 各種ウェブサイト制作等のウェブマーケティングサポートや、自治体向けの観光アプリ等の受託・開発及びwebベー

スでの非接触型スタンプラリーのサービスである「てくてくスタンプ」の提供を行うシティプロモーション*5を支援す

るサービスも提供しております。

 

(説明事項)

(*)1.IPアドレスとは、インターネットにつながっているネットワーク上の機器を識別するために割り当てられ

ている識別子で、インターネット上でのいわば住所のような役割を担っています。数字の羅列から構成されており、IPv4規格では32ビットの2進数で表記されています。

2.SaaSとは、クラウド経由で提供されるソフトウエアのことを指します。

3.APIとは、プログラムから当該ソフトウエアを操作するためのインターフェイスのことを指し、ソフトウ

エアの一部をウェブ上で公開して他のソフトウエアの機能を埋め込んで利用できるようにしたものです。

4.マーケティングオートメーションツールとは、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化す

るツール(ソフトウエア)であり、見込顧客の固有情報や、見込顧客から収集した各種情報の一元管理、購買意欲の高い見込顧客の絞り込み等の活動を自動的に行うことができるものです。

5.シティプロモーションとは、自治体が行う宣伝活動・広報活動・営業活動のことを指します。

 

<その他事業>

 法人や各種団体等が保有する未使用のIPアドレスについて、必要とする企業等への移転仲介サービスを提供しております。これまで独立したIPアドレス移転事業として区分しておりましたが、当期よりその他事業に区分しております。

 

 以上、述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりで

あります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 流動資産は前事業年度末と比較して30,168千円増加し、738,197千円となりました。これは主に、前払費用が14,908千円、現金及び預金が7,019千円、売掛金が8,017千円増加したことによるものであります。

 固定資産は前事業年度末と比較して13,446千円増加し、34,146千円となりました。これは主に、長期前払費用が24,482千円増加した一方、繰延税金資産が7,411千円、ソフトウエアが3,415千円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は、前事業年度末と比較して43,614千円増加し、772,344千円となりました。

 

(負債)

 流動負債は前事業年度末と比較して32,662千円増加し、168,731千円となりました。これは主に、前受金が41,171千円増加した一方、未払金が4,733千円、未払法人税等が2,293千円、その他に含まれる未払消費税等が2,673千円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、前事業年度末と比較して32,662千円増加し、171,071千円となりました。

 

(純資産)

 純資産合計は前事業年度末と比較して10,951千円増加し、601,272千円となりました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ5,907千円増加、利益剰余金が当期純利益の計上により18,636千円増加した一方、剰余金の配当により15,559千円減少したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、個人消費やインバウンドの回復により、緩やかな景気回復基調が続きました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東の地政学リスク、中国経済の減速懸念、原材料価格の高止まり、米国の関税措置、加えて金融引き締め圧力が続いていることから、国内企業を取り巻く経済環境には依然として注意が必要です。情報通信業界においても、生成AIやビッグデータ、クラウド技術の進展に伴い新たなサービス創出の機運が高まる一方、個人情報保護やCookie規制の強化といった法制度の変化にも対応が迫られており、業界全体として構造的な変革への対応力が問われる局面を迎えております。このような環境のもと、当社は「独自の技術とノウハウを開発し、地域社会にとって価値のある新しいインターネットサービスを提供する」という企業理念のもと、インターネットを通じた地域社会の活性化を使命とし、事業活動を推進しております。

 当事業年度は、IP Geolocation技術を軸としたサブスクリプションサービスの強化と、プロダクト・営業の両面での改善活動に注力いたしました。主力サービスであるIP Geolocationデータベース「SURFPOINT™」およびWebサービス「どこどこJP」は、いずれも前事業年度を上回る売上高となり、収益の柱として成長を続けております。

 「SURFPOINT™」は、金融機関への導入実績が進展し、信頼性の高さが評価された結果、新たに暗号資産業者や関連業界での導入も進みました。さらに、「API hub」に組み込まれたことで、新たな流通経路による提供機会の拡大が期待されます。

 「どこどこJP」では、無料プランからの有料プラン転換が拡大するなど、無料ユーザー層の顧客化と収益化に一定の成果を上げました。また、匿名ネットワークや気象データに関する新レポート機能の追加、相談会や展示会出展などの営業・カスタマーサクセス活動を通じて、利活用の促進を図りました。

 一方、「web制作・各種受託開発」や「てくてくスタンプ」については、自治体向け案件の受注が想定に届かず、前事業年度を下回る結果となりました。

 営業力の強化、販路および事業の拡大に加え、顧客との関係構築を一層深めるとともに、採用活動の円滑化・効率化を目的として、2025年4月に東京営業所を新設いたしました。本社拠点である静岡県三島市を中心に、東京営業所及び福岡営業所と連携を図り、地域社会活性化への貢献や、さらなる事業規模の拡大と企業価値の向上に努めてまいります。

 この結果、当事業年度の売上高は686,088千円(前事業年度比4.3%減)、営業利益は37,501千円(同50.8%減)、経常利益は38,082千円(同50.8%減)、当期純利益は18,636千円(同50.7%減)となりました。

 セグメント別の状況は次のとおりであります。

 なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しております。以下は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

(IP Geolocation事業)

 「SURFPOINT™」「らくらくログ解析」「どこどこJP」などのサブスクリプションサービスは、いずれも前事業年度を上回る売上高を計上しました。「SURFPOINT™」では、金融関連業界における需要が引き続き拡大しており、安定的な成長に寄与しました。「どこどこJP」では、無料プランから有料プランへの移行に加え、機能強化を進めたことにより、サービス全体の収益基盤を一層強化いたしました。

 また、前期より開始した「セールスマーケティングDX支援」では、SEO対策やSNS運用支援といった案件を受注しており、来期以降の収益貢献が期待されるサービスへと成長を進めております。

 一方で、「web制作・各種受託開発」および「てくてくスタンプ」については、自治体向け案件の受注が想定を下回り、前事業年度を下回る結果となりましたが、「てくてくスタンプ」につきましては、大手飲食チェーンへの導入を通じて、民間企業向けの新たな販路拡大に向けた足掛かりを築きました。

 これらの結果、当事業年度における同事業の売上高は686,088千円(前事業年度比1.9%減)、セグメント利益は37,501千円(同37.6%減)となりました。

(その他事業)

 当事業年度においては、IPアドレス移転サービスの取引は発生せず、その他の収益もございません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比較して7,019千円増加し、621,324千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、16,074千円の収入(前年同期は66,128千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益38,082千円に対し、増加要因として、減価償却費の計上4,472千円、前受金の増加41,171千円があり、減少要因として、売上債権の増加8,017千円、前払費用の増加39,390千円、未払金の減少4,733千円、未払消費税等の減少2,673千円、法人税等の支払額14,328千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,497千円の支出(前年同期は2,599千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出872千円、敷金の差入による支出362千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、7,557千円の支出(前年同期は6,634千円の支出)となりました。これは、増加要因として、新株予約権の行使による収入7,875千円、減少要因として、配当金の支払額15,432千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社の提供する主要サービスは、顧客の申込み又は契約締結から売上計上までの期間が短期間であるため記載

しておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年7月1日

    至 2025年6月30日)

金額(千円)

構成比(%)

前年比(%)

IP Geolocation事業

686,088

100.0

△1.9

その他事業

△100.0

合計

686,088

100.0

△4.3

(注)1.セグメント間の取引は発生しておりません。

   2.当社では相手先別の販売実績において総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先は存在しな

     いため、主要な相手先の販売実績の記載は省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づいて、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のほか、以下のとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

a.売上高

当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ30,849千円減少し、686,088千円となりました。セグメント別の内訳としては、IP Geolocation事業が686,088千円(前年同期比1.9%減)となり、その他事業の売上は発生しておりません。

IP Geolocation事業においては、当社の基幹サービスである「SURFPOINT™」、「らくらくログ解析」、「どこどこJP」などのサブスクリプションサービスがいずれも堅調に推移し、前事業年度を上回りました。特に「SURFPOINT™」は金融業界における需要拡大が寄与し、当社全体の成長を下支えしました。「どこどこJP」においては、有料プランへの移行促進や機能強化が奏功し、収益基盤の強化につながりました。

また、新規に開始した「セールスマーケティングDX支援」においては、SEO対策やSNS運用案件を受注し、来期以降の収益寄与が期待される状況となっております。

一方、「web制作・受託開発」及び「てくてくスタンプ」においては、自治体向け案件の伸長が限定的であったことから、売上高は前事業年度を下回りました。ただし、「てくてくスタンプ」については、大手飲食チェーンへの導入を通じて民間市場における販路拡大の端緒を築くなど、新たな収益機会の創出に向けた取組みが進展いたしました。

 

b.売上原価、売上総利益

当事業年度の売上原価は、主に技術開発部門の人員減少に伴う賃金手当の減少等により、前事業年度に比べ26,357千円減少し、250,081千円となりました。

この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ4,491千円減少し、436,006千円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度の販売費及び一般管理費は、主にIP Geolocation事業にて使用するモバイルデータの開発に要するデータ購入及び開発工数の増加により研究開発費が13,535千円、人員補充のため採用広告費が9,723千円の増加により、前事業年度と比べて34,268千円増加し、398,505千円となりました。

この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ38,760千円減少し、37,501千円となりました。

 

d.営業外収益、営業外費用、経常利益

当事業年度の営業外収益は1,243千円となり、これは主に講演料謝礼の計上によるものであります。

また、当事業年度の営業外費用は662千円となり、これは主に固定資産除却損の計上によるものであります。

この結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ39,360千円減少し、38,082千円となりました。

 

e.当期純利益

以上の結果、当事業年度の法人税等合計は12,035千円となり、また、繰延税金資産の全額取崩したことに伴い法人税等調整額は7,411千円となり、当期純利益は、前事業年度に比べ19,181千円減少し、18,636千円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社は、資金の源泉と流動性を安定的に確保することを基本方針としております。現状、新規拠点の設置やソフトウエア開発は、内部留保の資金によって賄っており、資金の源泉は営業活動によるキャッシュ・フロー及び過年度の財務活動によるキャッシュ・フローによるものであります。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、目標とする経営指標として売上高と、安定的に推移する当社の主力事業でありますIP Geolocation事業の売上高及び同事業の売上高成長率を掲げています。当事業年度の売上高は686,088千円となり、前事業年度末と比較し30,849千円減少しました。このうち、IP Geolocation事業の売上高は686,088千円であり、同事業の売上高成長率は△1.9%となりました。売上高成長率の減少は主にweb制作・各種受託開発において、Webサイトリニューアルを受注したものの官公庁における案件落札数が計画を下回ったことによりますが、「SURFPOINT™」の売上高が好調だったこと、及びサブスクリプションサービスにおいてサービスアップデートの継続実施、積極的な営業活動と解約防止に注力した結果、「SURFPOINT™」「どこどこJP」の新規獲得及び売上高は過去最高となり、Web制作・受託売上の不調を取り戻すことができました。

 今後もサブスクリプションサービス「SURFPOINT™」「どこどこJP」を中心に更なるストック収入の強化に向けた基盤強化を図ります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績は、取引先のニーズ、当社データベースへの情報の集積状況、人材の確保、競合先等、様々な要因による影響を受ける可能性があります。このため、当社事業を取り巻く環境に注視し、営業努力及び開発・運用の体制強化、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応していきます。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針について

今後の我が国経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の不安定化などに伴う資源価格の変動、欧米各国におけるインフレ動向、さらには急激な為替変動等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

当社を取り巻く環境は、より効果的なマーケティングの手法を求めたり、自社サイトへの不正なアクセスをいかに検知し、それらに対応するかを考えたり、コンテンツ等の配信を正しく安全に行うためのツールを欲したりといった法人各社の様々なニーズがますます高まる一方で、それらに対応できる多様なサービスが生まれており、競争は激しさを増してきております。こうした中で、当社としましては、その他事業におけるIPアドレス移転サービスについて、大口商談が成約すれば収益への貢献度が高いものの、競争が激化していることもあり、収益の多寡と予算の精度において見通しが困難なため、第27期につきましては、予算上収益を見込んでおりません。

IP Geolocation事業については、サブスクサービス「SURFPOINT™」「どこどこJP」を中心に更なるストック収入の強化に向けた基盤強化を図ります。

顧客のニーズを汲み取りながら適切なサービスを販売する直接販売の利点を活かし、顧客との信頼関係を構築することで、長期取引につながるものと考え、顧客の属性やニーズに適した営業体制や営業手法の確立に加え、営業人員個々の営業スキルの向上にも努めてまいります。

開発に係る業務では、当社事業の土台となるデータベースである「SURFPOINT™」の精度をより高いレベルで維持管理していくために、すでに取り込んである情報について専門調査員(ネットトレーサー)による詳細な調査とデータ反映を今後も日々継続してまいります。

さらに、新しいインターネットの通信方法に関する規格であるIPv6に対する対応のため外部の研究会等に積極的に参画し、データベースのIPv6アドレスデータベースの充実及び対応サービスの拡充を図ってまいります。