2025年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

ペイメントインテグレーション事業 ペイメントサービス事業 報告セグメント合計 連結合計又は全社合計 その他事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ペイメントインテグレーション事業 721 13.0 -60 - -8.3
ペイメントサービス事業 1,123 20.3 41 - 3.7
報告セグメント合計 1,844 33.3 -19 - -1.0
連結合計又は全社合計 1,844 33.3 -80 - -4.3

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、「社会に貢献する企業として、高品質の商品とサービスの提供により、顧客満足度を高め、社員一人一人が高いモラルを維持し、社会にとってなくてはならない会社となる。」を経営理念として、電子マネーの急速な普及に伴い多様化するカード取引に対応するシステムを開発し、キャッシュレス決済サービス事業としてカード会社加盟店や企業への導入及びクラウドによる決済ASPサービスを行ってまいりました。また、導入後の保守・運用に関するサポートサービスは自社でヘルプデスクを備え、24時間体制でタイムリーに対応できるよう整備しております。

なお、当社の事業セグメントについて、前事業年度は「ペイメントインテグレーション事業」、「ペイメントサービス事業」、「その他事業」の3つに区分しておりましたが、2024年8月にNUCADOCO事業を廃止したことにより「その他事業」セグメントを廃止し、当事業年度より「ペイメントインテグレーション事業」、「ペイメントサービス事業」の2セグメントに変更しております。

 

(1) ビジネスモデルの概要
 買い物は現金決済が当たり前で、クレジットカードはお金持ちが使うものという時代から、日々の買い物をカードや電子マネーで決済することが普通に行われる時代へと変遷しております。当社は創業時よりこれらのキャッシュレス決済の仕組みを提供しております。我が国のキャッシュレス決済比率は国家戦略として2025年に40%到達が目標(注1)とされていましたが、2024年に42.8%(注2)に到達しました。しかし2021年の韓国95.3%(注1)、中国83.8%(注1)といったキャッシュレス先進国と比較すると大きく出遅れており、こうした現状を受け今後もキャッシュレス決済の需要は高まるものと考えられます。

当社の顧客は中堅から大手の流通事業者が中心となっております。これら事業者は複数のテナントがあったり、フランチャイズで多店舗展開を行ったりしており、複数のレジで発生するクレジットカードや電子マネー等の決済をこなし、これに伴う与信処理や取消・返品の対応、決済後のクレジットカード会社等との精算業務などが必要です。
 当社が提供するキャッシュレス決済サービスはこれらカード会社加盟店とカード会社を接続し、クレジットカード会社などの事業者の間に入って決済処理、精算データ生成のうえ、カード会社加盟店にデータ還元を行うなどのプロセシング(注3)の一部を担います。

 (注)1 2023年8月 一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2023」

2 2025年3月 経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」

3 プロセシングとは、会員管理や加盟店管理に関する業務の総称です。当社では、その業務のうち決済に必要な通信環境やシステムを用意し、売上集計や請求等の加盟店業務を補佐するとともに、日々の運用に必要なメンテナンスやコールセンター業務を提供しております。

 

 


 

(注)POS:販売時点情報管理(英語:Point of sale system、略称POS system)
ここでは、店舗に置かれたPOSシステムにつながれたレジスターを意味します。 

(注)決済端末:

クレジットカード決済に対応するために設置する信用照会端末を言います。クレジットカードの有効性をスイッチングセンターを通じてカード会社に問合せて決済を行います。

(注)スイッチングセンター:

カード会社加盟店とカード会社、金融機関をネットワークで結び、決済を実行するための環境を提供しています。株式会社NTTデータが構築するCAFIS、株式会社日本カードネットワークが構築するCARDNETを指しています。

 

当社のその他の関係会社である株式会社トランザクション・メディア・ネットワークスは、クラウド型電子マネーサービスを国内で初めて商用化して以来、電子マネーを中心にクレジット、コード決済等あらゆるキャッシュレス決済に対応し、国内でも有数の規模を図る決済ゲートウェイサービスを提携する事業者であり、当社は従前より開発パートナーとして関係を築いてまいりました。

今般の資本業務提携により、今後更に技術やノウハウを活かし、金融やマーケティング事業領域で新たなサービス開発を行うなど、イノベーションを加速することで、より便利で安全な消費環境の創出を目指してまいります。

 

(2) 具体的な商品又はサービスの内容
 当社の主要事業であるキャッシュレス決済サービス事業は、カード会社加盟店の運用負担やコスト低減、セキュリティの確保など多様なニーズにお応えするため、カード会社加盟店が自身で管理する環境へシステム構築を行うオンプレミス型(注1)に加え、当社が保有するシステムをクラウドとしてご利用いただく決済ASPサービスを提供しております。いずれの場合にもカード会社加盟店向けのサービスとして24時間365日のヘルプデスクを設置し、開発、導入から保守、運用までワンストップで提供しております。

 

① ペイメントインテグレーション事業
 プロセシング業務を顧客自身が運用する場合に必要な決済処理システムを提供するものです。顧客は当社が直接契約するカード会社加盟店と大手システムインテグレータを通して契約するカード会社加盟店となっております。基本機能は決済パッケージソフトウェアCARD CREWシリーズ(注2)をライセンス提供しております。顧客ニーズに合わせてオンプレミス型、決済ASPサービス型で提供しておりますが、オンプレミス型ではほとんどの場合、カスタマイズが発生し、決済ASPサービス型では顧客環境に合わせたカスタマイズが発生することがあります。これら顧客に対し直接営業することにより発注をいただくほか、既存顧客からの照会にお応えしプロポーザル方式でのご用命をいただくケースもございます。特にPOSシステムとの親和性が高い事から対面販売事業者(注3)を中心にユーザーを獲得しております。
  また、対面販売での決済に欠かせない決済端末の販売もこのカテゴリーに含んでおります。決済端末アプリケーションは全て自社開発し、基本パッケージをベースにご希望のカスタマイズを承っています。収益構造としてはフロー収益であり、需要により売上が変動します。

 

② ペイメントサービス事業
 上記に対し、ストック収益となっているのが、以下の2つのサービスです。

(a) 決済ASPサービス(クラウド型) 

顧客環境に当社の決済システムを設置又は導入するのではなく、当社がプロセシングに必要なソフトウェア、通信専用回線、サーバー、保守・運用までを用意しご利用いただくクラウド型のサービスです。当社ではセキュリティが厳しく安定的なシステム運用が可能な外部事業者が提供するデータセンター内にサービスに必要なシステムと通信環境を設置した当社専用データセンターで運用しております(注4)。

 

 初期費用を抑え永くご利用いただくことで、顧客にとっては導入しやすく、当社にとっては安定的なストック収益となっています。

第30期事業年度においては、収益全体のうちペイメントインテグレーション事業のフロー収益が39.1%、ペイメントサービス事業のストック収益は60.9%であります。
 クレジット取引セキュリティ対策協議会(注5)が2020年3月までにPCI DSSの準拠又はカード情報の非保持化を求めたことから管理コストが上昇したため、顧客にとっては、面倒なシステム管理が不要で、多様化する決済手段にも柔軟に対応することが可能なことから、当初オンプレミス型でスタートした顧客がリプレースの段階でクラウド型の決済ASPサービスに切替えるケースが増加しております。

(注)

1 オンプレミスとは自社で情報システムを保有し自社内の設備で運用することを指します。これに対し、クラウド上に置いた情報システムを利用しその管理までを委託するクラウド型の対語となっております。

2 決済パッケージソフトウェア CARD CREWシリーズとは、キャッシュレス決済を実行するために必要な機能を揃えた基本パッケージソフトウェアです。顧客環境でご利用いただくためにライセンス供与し、運用も顧客自らが行うオンプレミス型で提供するほか、決済ASPサービスもこのパッケージソフトウェアで運用します。

3 対面販売とは、消費者と対面して販売する一般的な販売形式です。インターネットによるEC決済が非対面であることから区分するために使用しています。

4 この施設は当社専用ルームとなっており、「ジィ・シィ企画データセンター」(略称GDC)と呼んでおります。

5 クレジット取引セキュリティ対策協議会とは「国際水準のセキュリティ環境」を整備することを目指し、 クレジット取引に関わる幅広い事業者(カード会社、カード会社加盟店・関係業界団体、国際ブランド(注6)、端末機器メーカー、決済代行業者、セキュリティ事業者、情報処理センター等)及び行政が参画して2015年に設立されました。割賦販売法に基づき、クレジットカードの不正を防止するための実行計画を立て、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者が定められた加盟店調査義務を果たさない場合は経済産業大臣が業務改善命令や登録の取消しを行います。当社の業務ではクレジットカード番号等取扱契約締結事業者の登録は不要とされていますが、その他関係事業者として決済端末やソリューション等の機能・仕様面で情報漏えい防止のための必要なセキュリティ対策を講じることが求められています。

6 国際ブランドとは、世界各地に数多くのカード会社加盟店を持ち、国際的に通用するクレジットカードブランドを言います。 VISA(ビザ)、Mastercard(マスターカード)、American Express(アメリカン・エキスプレス)、DinersClub(ダイナースクラブ)、JCB(ジェーシービー)の5大国際ブランドに加え、Discover Card(ディスカバーカード)と銀聯(ぎんれん)を含めることもあります。

 

 (b)保守運用サービス 

当社がオンプレミス型で提供したシステムの保守並びに運用サービスを行っております。24時間365日対応の保守運用体制とヘルプデスクを自社で用意し、緊急時には開発者も交えながら万全の体制で決済システムを監視サポートしております。

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 

 


 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当社における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。

 当事業年度の期首より、表示方法の変更を行っており、当該表示方法の変更を反映させた組替え後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(表示方法の変更)」をご参照ください。

 

① 財政状態の状況
a.資産の部

流動資産は、前事業年度末と比べて73,852千円増加し、1,590,436千円となりました。これは主に、現金及び預金45,998千円売掛金及び契約資産50,354千円リース投資資産111,897千円仕掛品1,947千円増加した一方で、商品134,988千円減少したことによるものであります。固定資産は、前事業年度末と比べて165,814千円増加し、414,090千円となりました。これは主に、有形固定資産が13,529千円、自社利用ソフトウエアの開発により無形固定資産が184,992千円増加した一方で、長期前払費用が3,591千円、繰延税金資産が29,313千円減少したことによるものであります。

この結果、当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ239,666千円増加し、2,004,527千円となりました。

b.負債の部

流動負債は、前事業年度末に比べて1,094千円減少し、1,112,702千円となりました。これは主に、買掛金が13,146千円1年内返済予定の長期借入金133,753千円、預り金が17,716千円増加した一方で、未払金が1,863千円未払費用6,309千円、契約負債が126,871千円、未払消費税等が30,166千円減少したことによるものであります。固定負債は、前事業年度末と比べて386,198千円増加し、621,810千円となりました。これは主に、長期借入金が386,198千円増加したことによるものであります。

この結果、当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ385,103千円増加し、1,734,512千円となりました。

c.純資産の部

純資産合計は、前事業年度末に比べて145,436千円減少し、270,015千円となりました。これは主に、新株予約権の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ225千円、新株式申込証拠金が450千円増加した一方で、当期純損失の計上により利益剰余金が146,336千円減少したことによるものであります。

 
② 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、インバウンド需要の継続や賃上げによる雇用・所得環境の改善等により緩やかな回復基調となりました。一方、米国の政策動向や地政学リスクの高まり等の海外情勢不安等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社が属する情報サービス産業においては、少子高齢化・生産年齢人口減少の影響等を受け、既存システムの刷新やデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進められており、あらゆる産業において、業務効率化・競争力強化を図るためのIT投資意欲は引き続き拡大していくことが見込まれております。

経済産業省の発表(2025年3月31日)によれば、2024年のキャッシュレス決済比率は、42.8%と政府目標である4割を達成しました。将来的にはキャッシュレス決済比率80%を目指し、必要な環境整備が進められるものとされています。なかでも、当社の主要な事業領域であるクレジットカードによる決済額は、他の決済手段と比べて依然として高い比率を占めております。

このような環境の中、当社はスーパーマーケット・ディスカウントストア等、小売業の新規・既存顧客を中心に、マルチ決済システムの導入やリプレース、決済端末の販売、新たな決済手段やサービス開始の提案等を引き続き進めております。また、マルチ決済端末のサブスクリプションサービス「サクラ」の提供を進め、マーケットターゲットの拡大を図るとともに、安定した収益確保に取り組んでおります。

当社は、2024年2月に株式会社トランザクション・メディア・ネットワークス(以下、「TMN社」といいます。)と資本業務提携契約を締結し、2025年3月にはその深化を図り、TMN社は当社の主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社となりました。決済事業領域におけるTMN社と当社のサービス・機能を組み合わせ、顧客への提案力を強化することに継続して取り組み、事業の拡大を図っております。

以上の結果、当事業年度における売上高は1,844,329千円(前年同期比6.0%増)、営業損失は80,040千円(前年同期は営業利益58,558千円)、経常損失は115,610千円(前年同期は経常利益44,702千円)、当期純損失は146,336千円(前年同期は当期純利益72,602千円)となりました。

セグメント別の経営成績は以下のとおりです。

当社の事業セグメントは、「ペイメントインテグレーション事業」、「ペイメントサービス事業」、「その他事業」の3つに区分しておりましたが、2024年8月にNUCADOCO事業を廃止したことにより「その他事業」セグメントを廃止し、当事業年度より「ペイメントインテグレーション事業」、「ペイメントサービス事業」の2セグメントに変更しております。ヘルスケアアプリの設計・開発・販売・サービスの提供(NUCADOCO事業)は廃止いたしましたが、事業化を検討している新規ビジネス等につきましては、継続して取り組んでまいります。

なお、前年同期の数値については、変更後の区分により作成したものを記載しております。

 

(セグメント売上高):当事業年度(自 2024年7月1日 至 2025年6月30日

セグメントの名称

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期増減率(%)

ペイメントインテグレーション事業

721,140

39.1

△6.9

ペイメントサービス事業

1,123,189

60.9

16.3

合       計

1,844,329

100.0

6.0

 

 

(ペイメントインテグレーション事業)

ペイメントインテグレーション事業は、端末販売は堅調に推移したものの、リプレース大型案件の影響があった前年同期に比べ、受託開発売上が減少しました。

棚卸資産(商品)の評価を行い、商品評価損(売上原価)を29,765千円計上したことに加え、積極的な研究開発を行ったため、当事業年度はセグメント損失を計上することとなりました。

以上の結果、売上高は、721,140千円(前年同期比6.9%減)、セグメント損失(営業損失)は60,138千円(前年同期は82,680千円のセグメント利益)となりました。

(ペイメントサービス事業)

ペイメントサービス事業は、決済ASPサービス、保守運用サービスの提供等、ストック売上として計上されるものについて、一部のサービス料金見直しを実施したことにより堅調に推移しました。

当事業年度より、ストック売上に加えてサブスク売上を計上しており、売上は増加しました。サブスクのうち、継続的なサービスの提供による分はストック売上として計上されますが、決済端末貸与分については、「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)を適用し、リース取引開始日に売上高と売上原価を計上しております。

サブスク案件にかかる端末原価等の計上があったこと、また、利益率の高いASPユーザーよりも利益率の低い電子マネーユーザーが増加するなど、売上構成の変化により、セグメント利益については減少いたしました。

以上の結果、売上高は、1,123,189千円(前年同期比16.3%増)、セグメント利益(営業利益)は41,139千円(同27.0%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ42,392千円増加し、742,232千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は△229,160千円(前年同期は63,492千円となりました。これは主に、税引前当期純損失の計上△115,610千円、減価償却費33,274千円、売上債権の増減額△50,354千円、リース投資資産の増減額△111,897千円、棚卸資産の増減額133,040千円、契約負債の増減額△126,871千円、法人税等の支払額又は還付額△1,448千円、そのほか、預り金の増減額、未払消費税等の増減額等によるものであります。

受託案件の大型化に伴い売上債権が増加傾向にあること、サブスクのうち決済端末部分については、リース投資資産として一時点で売上計上されるものの、債権回収が長期に渡ることから、当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっているものと分析しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は△234,326千円(前年同期は△190,773千円となりました。これは主に、サーバー等機器類の購入により、有形固定資産の取得による支出△19,570千円、自社利用ソフトウエアの開発を中心に無形固定資産の取得による支出△210,479千円、定期積金の預入による支出△3,606千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は505,851千円(前年同期は101,943千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入650,000千円、長期借入金の返済による支出△130,048千円及び支払手数料の支出△15,000千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

当事業年度における受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

ペイメントインテグレーション事業

881,621

189.93

409,306

164.50

合計

881,621

189.93

409,306

164.50

 

(注)1.当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、ペイメントインテグレーション事業におきまして、大型案件を受注したことによるものであります。

2.ペイメントサービス事業については、その事業の性質上、受注生産形態になじまないため、受注実績は記載しておりません。

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高

(千円)

前期比

(%)

ペイメントインテグレーション事業

721,140

93.1

ペイメントサービス事業

1,123,189

116.3

合計

1,844,329

106.0

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

 第29期事業年度

(自 2023年7月1日

  至 2024年6月30日

 第30期事業年度

(自 2024年7月1日

  至 2025年6月30日

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス

222,129

12.8

381,583

20.7

東神開発株式会社 

82,720

4.8

252,062

13.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

この財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 財政状態の状況

財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」をご参照ください。

 

③ 経営成績等の状況

a.売上高

当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ103,898千円増加し、1,844,329千円(前期比6.0%増)となりました。ペイメントサービス事業売上は前期比16.3%増となり当社の経営指標の1つであるペイメントサービス事業売上成長率の目標値10%超を達成しました。

b.売上原価、売上総利益

当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ175,617千円増加し、1,261,492千円(前期比16.2%増)となりました。これは主に、サブスク案件にかかる端末原価等により商品売上原価が80,808千円増加したこと、外注費、支払手数料等により製品売上原価が94,808千円増加したことによるものであります。その結果、当事業年度における売上総利益は582,837千円(同11.0%減)となりました。売上総利益率は6.0ポイント低下し、31.6%となりました。

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ66,879千円増加し、662,877千円(前期比11.2%増)となりました。これは主に、研究開発費が46,848千円増加したほか、給与手当の増加等によるものであります。研究開発の内容につきましては、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。

この結果、当事業年度における営業損失は、80,040千円(前期は営業利益58,558千円)となりました。

d.営業外損益、経常利益

当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ4,761千円減少し、3,303千円となりました。また、営業外費用は、支払利息、支払手数料、訴訟関連費用の増加により前事業年度に比べ16,951千円増加し、38,872千円となりました。

この結果、経常損失は、115,610千円(前期は経常利益44,702千円)となりました。

e.特別損益、当期純利益

当事業年度における特別損益の計上はありません。

また、当事業年度は繰延税金資産の取崩に伴う法人税等調整額(損)29,313千円(前期は法人税等調整額(益)29,313千円)の計上がありました。

この結果、当期純損失は、146,336千円(前期は当期純利益72,602千円)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは、労務費、外注加工費、商品仕入、並びに販売費及び一般管理費となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、新たなパッケージソフトの開発や、データセンター等への投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関等からの借入による資金調達で対応していくこととしております。なお、現在の現金及び現金同等物の残高については、当事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

今後の重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑦ 経営戦略の現状と見通し

当社の中長期における最重要課題は、当社商品とサービスの機能拡張を行うことにあります。成長戦略の一つとして決済端末の販売方法を従来の売切り型に加え、ユーザーが購入しやすいサブスク型販売を拡大し、マーケットシェアの拡大につなげるなど、積極的に営業推進・研究開発・人材等に投資を行い、将来につながる基礎を確立させてまいります。
 

⑧ 経営者の問題意識と今後の方針

経営者の問題意識と今後の方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。