2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,776 100.0 155 100.0 8.7

事業内容

3【事業の内容】

 当社は「われわれは在庫に関わる"人"、"もの"、"金"、"時間"、"情報"を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念とし、在庫を抱える流通業の発展と活性化に貢献するサービスを提供する事業運営を行っております。その実現のために「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに掲げ、需要情報を需要起点で小売業・卸売業・製造業の流通三層に一気通貫で連携するディマンド・チェーン・マネジメント(以下「DeCM」という)(※1)構築を経営戦略の柱としております。このDeCMを実現するために、当社は流通業向けAIサービス「sinops(シノプス)」シリーズを提供しております。

 

■「sinopsシリーズ」の事業領域

 

 

 なお、当社の事業は「sinops事業」の単一セグメントであり、①「sinopsシリーズ」をクラウド型で提供するクラウドサービス、②「sinopsシリーズ」を一括販売型で提供するパッケージ販売、③「sinops」の導入効果を最大化するためのシステム構築及び運用構築を支援する導入支援サービス、④「sinops」の日常運用を支援するサポートサービスの4つのサービスを軸に事業を展開しております。また、当社には、エンドユーザーに対する直接販売及び販売パートナーによる販売の2種類の販売形態があります。

 

 

※1 ディマンド・チェーン・マネジメント

 需要側(消費者等)から得られる情報を基点として商品開発、生産・供給計画、流通、販売体制等を統合的に編成する情報管理システムのことです。具体的には、POSデータ等の情報をもとに需要予測を行い、生産管理や在庫管理を最適化することを目指すシステムです。

 

(1)クラウドサービス

 クラウドサービスは、「sinops-CLOUD」の利用料にサポートサービスが含まれております。「sinops-CLOUD」は、基本機能である「リアルタイム在庫」を中心に需要予測・自動発注・店舗オペレーション改善に関する機能を展開しており、ユーザーは必要な機能を1機能・1カテゴリ・1店舗から利用開始できます。ユーザーとしては、初期費用を抑えたうえでスピーディに利用開始できるため、短期間で導入効果を得られます。「sinops」の導入効果は、①発注時間の削減、②欠品率の削減、③値引・廃棄ロスの削減、④在庫金額の削減といった4つの指標を設定しており、ユーザーが導入効果を実感できるサービスとなっております。

 

(2)パッケージ販売

 当社のパッケージ販売は、小売業向け需要予測・自動発注システム「sinops-R6」を中心に、品揃え計画・棚割計画・棚割メンテナンス・発注端末・本部送り込み支援・賞味期限管理等の機能が統合されたソフトウエアパッケージ群を一括販売型で提供しております。また、卸売業向けキャッシュ・フロー最適化システム「sinops-W」、製造業向け中長期需要予測システム「sinops-M」といったように、流通三層それぞれに適したパッケージ製品を展開しております。当社のパッケージ販売の特徴は、他社事例を参考にした費用対効果の提示ではなく、顧客の実データを利用したシミュレーション結果に基づきsinops導入の費用対効果を具体的な金額で提示することにあります。

 

(3)導入支援サービス

 導入支援サービスは、「sinopsシリーズ」を導入する企業に対して、基幹システムとのデータ連携、本部・店舗・拠点での運用構築支援及びインターフェイスなどのカスタマイズ開発のサービスを提供しております。当社の導入支援サービスの特徴としては、ただシステムを連携するのではなく、導入企業が「sinops」の導入効果を高めるための支援を行うことにあります。また、クラウドサービスもしくはパッケージ販売した企業には、必ず導入支援サービスを提供し、導入企業が「sinopsシリーズ」の導入効果を出すことを最重要視しております。

 

(4)サポートサービス

 サポートサービスは、「sinopsシリーズ」の導入支援サービスが完了した企業に対して、日々の問い合わせ対応、稼働・運用状況の監視、障害発生時のリカバリ作業及びKPIの維持・向上サービスを提供しております。

 

■製・商品及びサービスの特徴

(1)「sinopsサービス」をクラウド型で提供する「sinops-CLOUD」

 「sinops-CLOUD」は、需要予測・自動発注サービスのノウハウを、1機能・1カテゴリ・1店舗から利用できるクラウド型流通業向けAIサービスです。クラウド型でサービスを提供し、ユーザーは必要な機能だけを利用することができます。

 

 

(2)需要予測型自動発注システム「sinops-R6」

 「sinops-R6」はエキスパート法によるAI機能(※2)を搭載した小売業向け需要予測・自動発注システムです。特に牛乳・卵・豆腐・袋麺などの日配食品や、惣菜、パンなど、賞味期限が短く、かつ、週に何度かのチラシ特売により価格も頻繁に変わるカテゴリへの自動発注における実績が多くあります。例えば、ある牛乳を50円引きで特売すると何割販売数が増えるのかの予測はもちろん、代わりに日頃最もよく売れている牛乳がその影響を受け何割販売数が減るのかというカニバリゼーション(共食い状態)を正確に予測する必要があります。カニバリゼーションを考慮しなければ、余った商品に値引きシールを貼って販売せざるをえなくなり、その作業の無駄と値引きによる損失が発生してしまいます。さらに悪化し、廃棄するとその損失は収益に大きな影響を与えることになります。

 「sinops-R6」は過去のデータから商品ごとに販売価格別に数量PI(1,000人あたりの販売数)を自動計算するのみならず、影響を受けるライバル商品の数量PIも合わせて計算し必要に応じて発注数を抑制しますので、欠品による機会ロスのみならず、値引きロスや廃棄ロスをも合わせて改善することができます。

 

 

※2 エキスパート法によるAI機能

 エキスパート法とは、専門知識のない人あるいは初心者でも専門家と同じレベルの問題解決が可能となるよう、その領域の専門知識をもとに動作するコンピュータシステムのことです。システムは専門家のかわりに特定の分野に特化した知識をもとに推論を行い、専門家のようにアドバイスや診断を行います。

 

(3)店舗での発注業務をタブレット1つで完結「sinops-Pad」

 「sinops-Pad」は、iPad/Windowsタブレット上で棚割(※3)を修正できるシステムであり、従来の棚割システムでは非常に面倒だった棚割修正をタブレット上で直感的に操作できるシステムです。その結果、棚割データが現場と一致しやすくなり、最適発注を継続するための重要な要素である棚割情報を正確に把握できるようになります。

 

 

※3 棚割

 棚割とは、商品を陳列棚のどこに、いくつ陳列するかを計画することをいいます。

 

「sinops-Pad画面」

 

 

(4)人的資源最大化AIサービス「sinops-WLMS」

 「sinops-WLMS」(Work Log Management System)は、「作業」と「ヒト」に焦点をあて、人時生産性改善・向上を目的とした人的資源最大化AIサービスです。曖昧になりがちな「人の働き」をデータ化・解析し、最適な稼働計画、予実管理、人材育成を提案します。より少ないコスト(人時数)で最大のパフォーマンス(収益向上)を実現するための現場マネジメントを支援します。

 

(5)食品バリューチェーン最適化サービス「DeCM-PF」

 経営戦略の柱であるDeCM構築に向けて、段階的に「DeCM-PF」のサービス提供を開始しています。「DeCM-PF」はディマンド側である小売業の実績や計画に基づいてAIが算出した需要予測データを、卸売業や製造業に連携することで食品流通の課題を解決し、食品バリューチェ―ンを最適化するプラットフォームです。第一弾の「特売リードタイム長期化サービス」の活用により卸売業の在庫調整業務の負荷軽減や、車両及びドライバーの手配の計画性の向上、物流センターの過剰在庫や欠品リスクの抑制に貢献します。

 

■「sinopsシリーズ」について

対象

製品名

概要

内容

提供価値

sinops-CLOUD(※4)

クラウドサービス

「sinopsサービス」をクラウド型で提供するサービスです。リアルタイム在庫を基本機能として、日配・惣菜向けの自動発注システムやAI値引きサービス等を提供しております。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

sinops-R

自動発注システム

「sinopsサービス」を小売業向けにパッケージ販売型で提供するサービスです。販売実績・価格・売り方・天候などの様々な要素から需要を予測し、最適発注を実現します。日配食品からグロサリ・雑貨まで幅広いカテゴリの需要予測・自動発注が可能です。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

sinops-Pad

棚割メンテナンスアプリ

iPad/Windowsタブレット上で棚割を修正できるシステムです。従来の棚割システムでは非常に面倒だった棚割修正がタブレット上で直感的に操作でき、本当の棚割状況を本部で確認できるようになります。

・棚割修正作業の効率化

・発注端末費用の削減

・店舗との棚割ギャップ解消

sinops-Dcont

賞味期限チェックアプリ

短時間で実施しなければならず、ミスが許されない賞味期限チェック作業を効率化するシステムです。

・賞味期限チェック作業の削減

・賞味期限切れ販売の削減

sinops-MD

品揃最適化

システム

店舗ごとの販売実績から最適な品揃え・最適陳列数を提案するシステムです。「sinops-R」と連携することで、収益を最大化する品揃え計画の立案が可能になります。

・個店採算性の向上

sinops-DM

本部送り込み支援システム

本部送り込み(※5)企画を支援し、企画商品をどの店舗にいくつ配荷したら最適かを自動算出するシステムです。「sinops-R」と連携することで、特売ロスを削減することが可能です。

・特売ロスの削減

sinops-BPO

ワンストップ自動発注サービス

「sinops」に関連する店頭作業を業務受託するサービスです。

・発注作業の効率化

sinops-WLMS

人的資源最大化AIサービス

小売業の作業ログを収集・分析し、勤務シフトや作業スケジュールの作成、教育支援を行うことで、人時生産性改善・向上に貢献するシステムです。

・人時生産性の改善、向上

 

 

対象

製品名

概要

内容

提供価値

sinops-W

キャッシュ・フロー最適化システム

毎日需要予測を行い、発注点を自動更新することで最適在庫を維持し続ける自動発注システムです。仕入条件・賞味期限・商品受け入れ作業時間といった様々なことを考慮し、キャッシュ・フローを最適化できます。

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

・自動化による人手不足解消

・機会ロス削減による売上向上

sinops-IM

移送指示最適化

システム

「sinops-W」と連携することで過剰在庫を算出し、拠点間の在庫偏在をなくすように移送指示を行うシステムです。どの拠点に在庫があるかを電話で確認する必要がなくなり、自動で出てくる移送指示を承認するだけで作業が完了します。

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

・無駄な発注の削減

sinops-M

中長期需要予測

システム

エリア別の製品需要を予測し、製造業の生産計画の精度向上に貢献するシステムです。シリーズの「sinops-R/W」と連携することでDCMを確立でき、大幅な生産ロス改善を実現します。

・生産ロスの削減

 

※4 sinops-CLOUD各サービスについて

対象

製品名

概要

内容

提供価値

sinops-CLOUD

リアルタイム

在庫

クラウドサービス

タイムリーな在庫・売上情報が分かるシステムです。需要予測・自動発注サービスの基盤となるサービスです。

・店舗従業員の作業効率向上

・需要予測・自動発注精度

 の向上

sinops-CLOUD 惣菜

クラウドサービス

惣菜に特化した自動発注サービスです。アウトパック惣菜(※6)、インストア惣菜(※7)のどちらにも対応し、リアルタイム在庫機能と連携することで時間帯別の需要に合わせた最適発注を行います。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

sinops-CLOUD 日配

クラウドサービス

日配食品に特化した自動発注サービスです。値引き・欠品・カニバリゼーションも加味し、売上・粗利を最大化する最適発注を行います。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

sinops-CLOUD グロサリー

クラウドサービス

グロサリーに特化した自動発注サービスです。棚割りシステムと自動連携することで、ボリューム感を考慮した発注数を起案します。

・欠品率、在庫金額の改善

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD パン

クラウドサービス

パンに特化した自動発注サービスです。値引き・欠品も加味し、売上・粗利を最大化する最適発注を行います。

・売上、粗利の最大化

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD 精肉

クラウドサービス

精肉に特化した自動発注サービスです。高精度需要予測により、不定貫の精肉カテゴリに対応。プロセスセンターとの連携により店舗での発注業務を改善できます。

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・自動化による人手不足解消

・生産計画制度の向上

sinops-CLOUD 外食

クラウドサービス

外食業に特化した自動発注サービスです。過去売上情報をもとに原材料の最適な発注数量を予測します。

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

sinops-CLOUD AI値引

クラウドサービス

AIによる適正値引きアラートサービスです。適切なタイミング・値引率をAIが算出することで、ロス削減・売上向上に貢献します。

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD 客数予測

クラウドサービス

高精度で来客数予測ができるサービスです。競合店の開店・閉店や地域の催事を考慮することができるうえ、45日先まで予測が可能です。

・販売予測、生産計画制度

 の向上

・シフト作成の効率化

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD 包材

クラウドサービス

包装資材向けの自動発注サービスです。食品製造業の生産実績、製品マスタなどのデータを用いて、今後の生産計画を予測し、必要な包装資材の発注数を算出します。

・適切なタイミングでの

 包装資材の発注・補充

sinops-CLOUD 本部送込

クラウドサービス

本部送り込み企画を支援し、企画商品をどの店舗にいくつ配荷したら最適かを自動算出するサービスです。特売ロスを削減することが可能です。

・特売ロスの削減

 

※5 本部送り込み

 本部送り込みとは、小売業において、本部のバイヤーが企画・仕入れた商品を本部主導で各店舗へ送り込むことをいいます。

 

※6 アウトパック惣菜

 アウトパック惣菜とは、メーカーや工場など店舗の外で調理・パッケージングした惣菜のことです。店舗では陳列のみを行います。

 

※7 インストア惣菜

 インストア惣菜とは、食品スーパーの店内で調理・パッケージングした惣菜のことです。sinopsは、レシピ・原材料データをもとに発注数を算出します。

 

 

■事業系統図

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度は小売業のシェア獲得を目指して、当社では小売業のDXに貢献する需要予測型自動発注サービスの拡販を継続してまいりました。特に注力している食品スーパーマーケット向けのシェア率は37.1%(前期比1.0pt増)となり、この高いシェア率を活用し、他社とのサービス連携も進めております。

 需要予測型自動発注サービスの拡販により、当社の導入実績は、2024年12月31日時点でARR(注1)は1,335,240千円(前期比17.5%増)、小売業全体でのシェア率は18.7%(同1.0pt減)、契約企業数は123社(同10社増)、クラウドサービスの有償店舗数3,214店舗(同540店舗増)(注2)、クラウドサービスの有償アカウント数は12,035アカウント(同2,983アカウント増)(注3)となっております。

 また、中長期成長に向け、需要予測分野に加え新しい収益の柱とするべく事業領域を拡大する準備も進めてまいりました。2020年より取り組みを開始した食品ディマンドチェーンマネジメント構築については、伊藤忠商事社と共同で2023年12月に提供を開始した「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」の収益化を開始し、最終的にメーカー物流最適化を行うための段階的な機能拡大も進めております。

 小売業の人時生産性改善・向上を目的とした人的資源最大化AIサービスについても、「sinops-WLMS(シノプスダブルエルエムエス)」シリーズの開発を進め、2024年4月に「sinops-WLMS LOG」を、2024年7月に「sinops-WLMS LEARN」を、2024年12月に「sinops-WLMS WORK」を提供開始しました。

 なお、2024年11月29日に開示しましたとおり、2024年12月期中の導入に向けて取り組んでいたクラウド大規模案件が、KPI達成状況の見極めのため検討期間延長となったこと等により、2024年2月13日に発表した2024年12月期業績予想からは大きく減収となりました。

 その結果、当事業年度における売上高は1,776,478千円(前期比2.8%増)、営業利益は154,914千円(同42.8%減)、経常利益は154,773千円(同42.6%減)、当期純利益は108,239千円(同47.5%減)となりました。

 

 (注1)Annual Recurring Revenueの略語。2024年12月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。なお、2024年第1四半期から算出方法を変更し、有償の短期間クラウド契約に伴う月額料金をARRから除いている。

 (注2)有償契約でクラウドサービスを利用している店舗数(旧レンタルサービス、有償の短期間クラウド契約を除く)。

 (注3)有償契約しているクラウドサービス利用数(旧レンタルサービス、有償の短期間クラウド契約を除く)。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて217,997千円減少し、612,550千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は115,918千円(前期は305,881千円の収入)となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益151,057千円、減価償却費120,571千円があった一方で、主な減少要因として、法人税等の支払額80,040千円、その他に含まれる前払費用の増加額49,102千円、長期前払費用の増加額35,345千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は211,235千円(前期は751,206千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出43,023千円、無形固定資産の取得による支出168,912千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は122,680千円(前期は24,410千円の支出)となりました。主な要因は、配当金の支払額124,540千円があったことによるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。

業務区分

当事業年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

パッケージ販売業務

127,086

51.8

67,103

374.2

導入支援業務

457,746

131.9

123,275

182.9

サポート業務

379,392

113.7

165,041

109.8

クラウド業務

969,427

119.3

419,017

109.8

合計

1,933,652

111.2

774,438

125.5

 (注)当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、業務区分別の実績を記載しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。

業務区分

当事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

販売高(千円)

前期比(%)

パッケージ販売業務

77,914

33.8

導入支援業務

401,877

117.2

サポート業務

364,677

108.5

クラウド業務

932,008

113.7

合計

1,776,478

102.8

 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

当事業年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社日本アクセス

175,656

10.2

174,542

9.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

②経営成績の分析

 当事業年度の売上高は1,776,478千円(前期比2.8%増)、営業利益は154,914千円(同42.8%減)、経常利益は154,773千円(同42.6%減)、当期純利益は108,239千円(同47.5%減)となりました。

(単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

増減額

増減率

売上高

1,728,828

1,776,478

47,650

2.8%

 パッケージ売上高

230,255

77,914

△152,340

△66.2%

 導入支援売上高

343,032

401,877

58,845

17.2%

 サポート売上高

336,185

364,677

28,492

8.5%

 クラウド売上高

819,356

932,008

112,652

13.7%

売上原価

874,064

1,050,488

176,424

20.2%

売上総利益

854,764

725,990

△128,773

△15.1%

営業利益

270,751

154,914

△115,837

△42.8%

経常利益

269,684

154,773

△114,911

△42.6%

当期純利益

206,222

108,239

△97,983

△47.5%

 

(売上高)

 新規大型ユーザーへの導入や既存ユーザーへのアップセル・クロスセルがあった一方で、2024年12月期中の導入に向けて取り組んでいたクラウド大規模案件が、KPI達成状況の見極めのため検討期間延長となったこと等により、クラウド売上高は、932,008千円(前期比112,652千円増・13.7%増)、導入支援売上高は、401,877千円(前期比58,845千円増・17.2%増)にとどまりました。サポート売上高は既存ユーザーの店舗展開やクロスセルが主要因となり、364,677千円(前期比28,492千円増・8.5%増)となりました。パッケージ売上高は、食品スーパーの新規受注があった一方でパッケージからクラウドへのビジネスモデル転換が順調に進んでいることが主要因となり、77,914千円(前期比152,340千円減・66.2%減)となりました。

 その結果、当事業年度における売上高は1,776,478千円(前期比47,650千円増・2.8%増)となりました。

 

(売上総利益)

 当事業年度は、ストック売上(クラウド売上高とサポート売上高の合計)が1,296,686千円(前年同期比141,144千円増・12.2%増)となった一方で、利益率の高いパッケージ売上高は77,914千円(同152,340千円減・66.2%減)となりました。さらに、協力会社を活用した製品開発促進のための外注費の増加や、クラウド売上拡大に伴う通信費の増加が主要因となり、売上原価が前期比176,424千円増加(前期比20.2%増)となりました。その結果、売上総利益が725,990千円(前期比128,773千円減・15.1%減)となりました。

 

(営業利益・経常利益)

 当事業年度は、経営基盤の強化にむけた業務効率化のためのアウトソーシング活用促進を行ったことによる外注費の増加等がある一方で、研究開発中であった新製品や既存製品改善機能の製品化が進んだことによる研究開発費の減少等が主要因となり、販売費及び一般管理費が前期比12,936千円減少(前期比2.2%減)となりました。その結果、営業利益が154,914千円(前期比115,837千円減・42.8%減)、経常利益が154,773千円(前期比114,911千円減・42.6%減)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度における当期純利益は108,239千円(前期比97,983千円減・47.5%減)となりました。

 

 なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

③財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は2,165,231千円(前事業年度末比36,925千円の減少)となりました。主な要因は、現金及び預金が217,997千円減少した一方で、ソフトウエアが62,059千円、前払費用が46,674千円、長期前払費用が32,604千円、有形固定資産が17,817千円、繰延税金資産が12,907千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

 負債は400,036千円(前事業年度末比34,785千円の減少)となりました。主な要因は、未払法人税等が24,306千円、未払消費税等が29,027千円、未払金が17,280千円減少した一方で、契約負債が32,805千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

 純資産は1,765,194千円(前事業年度末比2,140千円の減少)となりました。主な要因は、当期純利益として108,239千円を計上した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が124,343千円、自己株式の処分により自己株式が10,250千円減少したこと等によるものであります。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性

 資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社の資金需要は、主として人件費、「sinops」の新製品開発にかかる研究開発費、知的財産の取得に係る費用及び運転資金であります。運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローによって賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。