2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定の市場への依存度について

 当社グループは、「自動車」に関わる事業の売上構成比が高く、自動車関連産業の市況や制度の変更により業績に影響が出る可能性があります。ファインケミカル事業における一般消費者向け自動車ケミカル用品の一部の製品については、市場内でのシェアが高いことから、市場の縮小による業績への影響を受けやすく、売上高及び利益において減少する懸念があります。

 また、自動車販売時に施工されるコーティング剤等の業務用製品は、自動車ディーラーへの販売依存度が高く、自動車販売の増減に影響されることから、売上高や利益において極端に浮沈する可能性があります。

 サービス事業における自動車整備鈑金事業についても同様に、自動車関連産業の動向及び市況の影響を受け、売上高や利益において下降する懸念があります。

 ポーラスマテリアル事業において、半導体業界向けの洗浄材及び研磨材の製造販売の依存度が高く、また、市場シェアも高いことから半導体の景気動向による業績への影響を受けやすく、売上高及び利益において浮沈する可能性があります。

 また、半導体業界は製品技術の進歩が速く、業界を構成する企業の合併等の業界再編・市場再編が頻繁に行われます。これらの技術の切り替えや企業再編のタイミングにおいて需給調整が行われることにより、当社の売上高や利益に影響を与える可能性があります。加えて、国内外において性能面及び価格面での他社との競争が激化しており、競合品の台頭により主要得意先の販売が下落し、売上高及び利益において減少する懸念があります。

 

(2)石油加工品の原材料への依存度について

 当社グループが提供する製品は、原材料及び容器等に合成樹脂や溶剤等を多く使用しており、石油加工品への依存度が高くなっております。このような事業構造のため、災害や国際情勢の悪化等により原材料の調達が不可能になった場合、中長期にわたって一部の製品供給が困難になる可能性があり、また、原油価格の上昇により原材料の調達コストが上昇し、売上高や利益面において下降する懸念があります。これに対して当社グループは、より付加価値の高い製品提供による利益の維持確保や、詰め替えタイプ・濃縮タイプ等の省パッケージ製品の開発によるトータルコストの低減に取組んでおります。

 

(3)化学製品の法規制について

 当社グループの製品及び製造過程において、化学物質を多く使用していることもあり、化学品規制に関する法律が変更された際に、従来通りの製造、販売活動を継続できなくなる懸念があります。当社グループでは、海外を含む化学品規制に関する法律改定の最新情報を常に更新し、さらに製品の配合変更を適宜実施することで、市場に安定して製品を供給できる体制を構築しておりますが、法令の公布から施行までの期間が短い場合は、その製品の出荷を一時的に停止させる措置をとることが考えられます。

 

(4)仕入先企業の営業方針の転換に伴う影響について

 当社グループは、多くの仕入先から原料や製品を仕入れ、それを加工・販売することで円滑な事業活動を継続しておりますが、仕入先において化学品の規制強化対応のための製品廃番や、経営合理化のための事業停止による品番統合・廃番などが発生する可能性があります。その結果、競合他社との仕入競争が激化し、仕入価格の高騰や、潤沢な原材料の確保が行えないことによる生産・販売計画の遅延などといった影響が出る懸念があります。

 

(5)製造物責任について

 当社グループが提供する製品・サービスの欠陥により、人又は財産に被害が生じるリスクがあります。製造物責任賠償やリコール等が発生した場合は、当社グループのブランド価値低下を招くとともに、多額の費用負担が発生する可能性があります。これに対して、当社グループでは、ISOに準拠した開発・生産体制の構築を進め、製品・サービスの品質維持に取組んでおります。

 

(6)季節商材の返品による業績への影響について

 当社グループは、ファインケミカル事業において、冬季商材であるタイヤチェーンの販売を行っております。この製品は、積雪量の増減といった天候の変動により消費者の購買行動が左右されますが、天候を事前に予測し、生産計画を立てることは困難であるため、返品による在庫の増加や、製品が欠品する懸念があります。

(7)海外事業について

 当社グループは、ファインケミカル事業において、拡大する海外市場への展開を進めており、展開する国や地域

において政治的・経済的・社会的不安定要素や、法律の改正や為替相場の変動、知的財産に関する問題、テロ・紛

争等による社会的混乱等により販売面で影響を受け、売上高や利益面において低下する懸念があります。

 またポーラスマテリアル事業において、海外の売上構成比が高く、特に、海外向け半導体関連製品については、

米国・欧州・中国の政治経済状況の影響を受ける可能性が高くなっております。これら海外販売については、仕向

け地の増加拡大により、地域リスクの低減・平準化を目指しております。

 

(8)洪水・震災等の自然災害及び感染症の流行に伴うリスクについて

 当社グループは、製造業の占める売上比率が高く、複数の製造工場を保持しておりますが、各種自然災害の発生

や感染症の流行などの影響により、当社グループの製造工場における燃料供給の不足、インフラの障害、操業の中

断などが発生し、製造工程の一部ないし全てを停止させることになる恐れがあります。BCP対策として、製品在

庫について外部倉庫を含む全国いくつかの倉庫に分散して預けておくことで、急な災害時にも欠品を起こさない体

制づくりを行っておりますが、これらの製造工場における被害が想定を上回る水準で被害を受けたことにより、営

業再開に想定以上の時間を要した場合、業績に大きく影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは原料や資材の調達網を世界に広げていることから、各種の自然災害や感染症の流行によっ

て流通網が寸断され、流通・製造・その他営業活動に関わる資源が不足することや、気候変動に伴い植生が変化す

ることで天然資源が安定的に供給されなくなるリスク等があります。事前の情報収集や、適切な在庫の確保に努め

てまいりますが、調達面では世界的に広がった調達網が機能しなくなることによる製造の停止や製品供給停止によ

り業績に大きく影響を与える可能性があります。重症化リスクの高く、治療方法が確立されていない感染症が流行

するなどした場合、各事業への影響度合いに違いはあるものの、収束までの期間が長引くと業績に大きく影響を与

える可能性があります。

 

(9)人的資本の確保について

 人財の多様性確保は、持続的な事業運営の担保における重要な経営課題の1つであると認識しており、多様な人

財の採用・育成や省力化などの労働環境の整備を進めることで、人的資源の確保及び有効活用に努めております。

しかし労働人口の減少などにより、じゅうぶんに適切な人財を確保できなかった場合、当社グループの事業活動に

制約を受け機会損失が生じるなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営政策のうちの1つとして位置付けております。

 利益配分につきましては、「安定的・継続的な配当」を基本方針としております。その具体的な目標値については、3年毎の中期経営計画策定時にその時々の経営状況を勘案した上で検討を行い、中期経営計画の発表時に、株主還元に関する目標値を併せて開示いたします。

 当事業年度につきましては、本来の事業運営結果に直結し、かつ、特殊要因の影響を受け難い安定した還元実行を目指し、『連結営業利益の25%』を基本方針とした還元を実施いたします。

 内部留保については、将来の事業拡大と経営体質強化に向けた投資に活用してまいります。

 なお、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月6日

438,503

20.0

取締役会決議

2024年6月27日

457,551

21.0

定時株主総会決議