2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

日本 アメリカス 中国 EMEA イーストアジア・グローバルサウス その他 事業計 アジア・ラテンアメリカ
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
日本 - - 71,724 9.4 -
アメリカス - - 158,257 20.8 -
中国 - - 57,202 7.5 -
EMEA - - 35,938 4.7 -
イーストアジア・グローバルサウス - - 27,381 3.6 -
その他 - - 29,641 3.9 -
事業計 - - 380,143 50.0 -

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、連結子会社48社および持分法適用会社1社で構成され、その事業内容を医薬品事業とその他事業に区分しています。医薬品事業では、医療用医薬品、一般用医薬品等の研究開発・製造・販売を行っており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。なお、アジア・ラテンアメリカ医薬品事業の管轄エリアがアジア(日本、中国を除く)、中南米、南アフリカであった状況に鑑み、2024年10月1日より、イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業に名称変更しました。

 

事業区分、主要製品等および主要な会社の関係は、次のとおりです。

事業区分

主要製品等

主要な会社

医薬品事業

医療用医薬品

一般用医薬品

(日本)

当社

EAファーマ株式会社

(北米)

Eisai Corporation of North America (米国)

Eisai Inc. (米国)

(中国)

衛材(中国)投資有限公司

衛材(中国)薬業有限公司

衛材(蘇州)貿易有限公司

(欧州)

Eisai Europe Ltd. (英国)

Eisai Ltd. (英国)

Eisai Manufacturing Ltd. (英国)

Eisai GmbH (ドイツ)

Eisai S.A.S. (フランス)

Eisai Farmacéutica S.A. (スペイン)

Eisai S.r.l. (イタリア)

(アジア他)

Eisai Asia Regional Services Pte. Ltd. (シンガポール)

衛采製薬股份有限公司(台湾)

Eisai (Thailand) Marketing Co., Ltd. (タイ)

Eisai Korea Inc. (韓国)

Eisai Pharmaceuticals India Pvt. Ltd. (インド)

その他事業

ライセンス

医薬品原料

業務サービス

(日本)

当社

株式会社サンプラネット

上記における事業区分は、「第5  経理の状況、1  連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記、5. セグメント情報」における事業区分と同一です。

 

事業の系統図は、次のとおりです。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)事業の概況

○ 当社グループは2021年4月よりスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」に基づき、「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に視点を拡大し、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正に向けたソリューションをお届けすべく、他産業との協業によるエコシステムの構築をめざしています。また、持続的な企業価値向上のため、人財の価値を最大限に引き出すべく人的資本経営を推進しています。企業理念・経営戦略と連動した統合人事戦略を策定し、国籍・性別・年齢などを問わず多様な価値観を持つ人財が活躍できる風土づくりを進め、イノベーションの創出を目指しています。

○ 疾患の根本原因に紐づくゲノム情報、病態生理学に基づいたDeep Human Biology Learning(DHBL)創薬体制のもと、当社グループのみが有するヒューマンバイオロジーの知見や、高質な臨床サンプルから得られるゲノム情報に基づいて、注力分野である神経変性疾患および難治性がんに加えて、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)をはじめとするグローバルヘルス分野における創薬を推進しています。

○ 認知症領域では、アルツハイマー病(AD)治療剤「レケンビ」が2024年度末までに40カ国以上で承認を取得しました。2025年度以降、当事者様の利便性向上が期待できる皮下注射製剤の承認を取得する予定です。さらには、プレクリニカル期(無症状期)ADを対象とする臨床試験も進行しています。また、すべての当事者様の健康憂慮の解消と医療較差の是正に貢献すべく、中国における認知症を対象としたワンストップオンライン健康プラットフォームの構築や、日本、アジアにおける他産業や非営利団体との提携といったソリューションを備えたエコシステムの構築を進めています。2025年5月には、エコナビスタ株式会社へのTOB(株式公開買付け)が成立し、認知症プラットフォームをベースとしたさらなるソリューション構築を進めています。

○ がん領域では、抗がん剤「レンビマ」について、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)の共同販促による既存適応症における価値最大化に取り組んでいます。また、肝動脈化学塞栓療法併用肝細胞がん、食道がんなどの臨床試験(LEAP試験)に加え、腎細胞がんを対象とした新規併用療法(LITESPARK試験)など、複数の適応追加に向けた臨床試験が進行中です。

○ 当社事業の持続的成長を目指すと同時に、効率的な事業活動推進による中長期での収益性向上を実現するため、組織体制の再構築やリソース配分の見直しなどを進めています。

○ これらの活動の結果、2024年度の売上収益は7,894億円となりました。うち、「レンビマ」は3,285億円、不眠症治療剤「デエビゴ」は538億円、「レケンビ」は443億円となり、前年度から大幅な成長を遂げました。営業利益は、「レケンビ」への患者様アクセス拡大や新たな適応、製剤の開発に対する投資を継続する一方、財務規律に基づいて研究開発費、販売費及び一般管理費の管理を行った結果、544億円となりました。安定した利益およびフリー・キャッシュ・フロー創出により、2024年度末におけるNet DER(負債比率)は-0.12倍、自己資本比率は60.7%と健全な財務ポジションを堅持しており、成長投資と安定配当を両立しています。

 

(2)経営成績の状況

○ 当期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。

(単位:億円、%)

 

2023年度

2024年度

前期比

売上収益

7,418

7,894

106.4

売上原価

1,553

1,688

108.7

売上総利益

5,864

6,206

105.8

販売費及び一般管理費

3,744

4,080

109.0

研究開発費

1,690

1,716

101.5

その他の収益

120

172

143.0

営業利益

534

544

101.8

税引前当期利益

618

611

98.8

当期利益

438

481

109.8

親会社の所有者に帰属する当期利益

424

464

109.5

当期包括利益

1,228

432

35.2

基本的1株当たり当期利益

147円86銭

163円76銭

110.8

○ 売上収益は、「レケンビ」、「レンビマ」、および「デエビゴ」が引き続き伸長したことにより、戦略的オプション等による一時金が減少したものの、増収となりました。医薬品事業の売上収益は7,490億円(前期比108.3%)となりました。

○ 主要品目の売上収益は、「レンビマ」が3,285億円(前期比110.4%)、「デエビゴ」が538億円(同128.6%)、「レケンビ」が443億円(前期は43億円)、抗てんかん剤「フィコンパ」が298億円(前期比115.3%)となりました。

○ 販売費及び一般管理費は、「レケンビ」に係る販売費の増加や「レンビマ」の売上拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払いが増加したことに加え、円安の進行の影響により、増加となりました。

○ 研究開発費は、パートナーシップモデルの活用により効率性を高めた一方で、「レケンビ」や抗MTBRタウ抗体「E2814」などの重要プロジェクトへの積極的な資源投入および円安の進行の影響などにより、増加となりました。

○ その他の収益は、抗体薬物複合体farletuzumab ecteribulinに関するBristol Myers Squibb(米国、以下 BMS社)との戦略的提携契約の終結に伴い、提携契約締結時にBMS社から受領した預り金の取崩益59億円を計上したことにより、増加となりました。

○ 以上の結果、営業利益は増益となり、医薬品事業のセグメント利益は3,505億円(前期比108.1%)となりました。

 

[セグメントの状況]

(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)

 当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米、南アフリカ等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。

 なお、アジア・ラテンアメリカ医薬品事業の管轄エリアがアジア(日本、中国を除く)、中南米、南アフリカであった状況に鑑み、2024年10月1日より、イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業に名称変更しました。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

 また、当連結会計年度より、経営の実態をより適切に表示するため、従来、研究開発費に含めていた各報告セグメントにおけるメディカル活動に伴う費用を各セグメントの利益に反映しています。前連結会計年度のセグメント情報は、当該変更を反映しています。

 

<日本医薬品事業>

○ 売上収益は2,163億円(前期比99.7%)、セグメント利益は717億円(同101.0%)となりました。売上収益の主な内訳は、医療用医薬品が1,938億円(同99.8%)、一般用医薬品等が225億円(同99.1%)でした。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「デエビゴ」が445億円(前期比125.2%)、「フィコンパ」は77億円(同111.4%)と大幅に伸長しました。2023年12月に新発売した「レケンビ」は127億円(前期は4億円)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」は139億円(前期比89.4%)、抗がん剤「ハラヴェン」は69億円(同87.3%)となりました。ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」は148億円(同117.3%)、慢性便秘症治療剤「グーフィス」は78億円(同112.3%)と大幅に伸長しました。なお、2023年6月に、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」の共同販促契約が満了しました。一般用医薬品等では、チョコラBBグループの売上収益が152億円(同101.7%)と伸長しました。

○ 2024年4月、「フィコンパ」について、注射剤を新発売しました。

○ 2024年11月、抗がん剤「タスフィゴ」を新発売しました。

○ 2024年11月、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン」を新発売しました。

○ 2025年3月、「チョコラBB ナイトウェル」を新発売しました。

 

<アメリカス医薬品事業>

○ 売上収益は2,783億円(前期比119.7%)、セグメント利益は1,583億円(同114.5%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が261億円(前期は38億円)、「デエビゴ」が68億円(前期比132.7%)と大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が2,323億円(同113.8%)と大幅に伸長し、「ハラヴェン」は75億円(同60.5%)となりました。

 

<中国医薬品事業>

○ 売上収益は1,155億円(前期比103.2%)、セグメント利益は572億円(同101.1%)となりました。

○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が248億円(前期比92.1%)となりました。めまい・平衡障害治療剤「メリスロン」は142億円(同107.2%)と伸長しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は115億円(同91.4%)となりました。「レケンビ」は47億円(前期は0.3億円)となりました。

○ 2024年6月に中国、同年8月に香港、2025年2月にマカオにおいて、「レケンビ」を新発売しました。

 

<EMEA医薬品事業>

○ 売上収益は794億円(前期比104.5%)、セグメント利益は359億円(同100.9%)となりました。

○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「フィコンパ」が157億円(前期比122.2%)と大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が419億円(同109.8%)と伸長し、「ハラヴェン」は87億円(同74.2%)となりました。

○ 2024年7月にイスラエル、同年9月にアラブ首長国連邦、同年10月に英国において、「レケンビ」を新発売しました。

 

<イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業>

○ 売上収益は596億円(前期比109.8%)、セグメント利益は274億円(同120.2%)となりました。

○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が156億円(前期比120.6%)と大幅に伸長しました。アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は142億円(同105.4%)と伸長しました。

○ 2024年5月、マレーシアにおいて、パーキンソン病治療剤「エクフィナ」を新発売しました。

○ 2024年7月、南アフリカにおいて、「デエビゴ」を新発売しました。

○ 2024年11月、韓国において、「レケンビ」を新発売しました。

○ 2024年11月、シンガポールにおいて、「ジセレカ」を新発売しました。

 

(3)財政状態の状況

○ 資産合計は、1兆3,865億円(前期末より73億円減)となりました。「レケンビ」等の生産を進めたことにより棚卸資産が増加した一方で、為替の影響により海外連結子会社の資産が減少したことに加え、現金及び現金同等物が減少しました。

○ 負債合計は、5,206億円(前期末より258億円増)となりました。預り金の減少に伴いその他の金融負債が減少した一方で、短期借入金が増加しました。

○ 資本合計は、8,660億円(前期末より330億円減)となりました。為替の影響により在外営業活動体の換算差額が減少したことに加え、配当金の支払いおよび取得した自己株式の消却に伴い利益剰余金が減少しました。

○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は60.7%(前期末より2.1ポイント減)となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、301億円の収入(前期より259億円の収入減)となりました。運転資本は、「レケンビ」等の棚卸資産が増加したことに加え、預り金の減少などにより増加となりました。

○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、101億円の支出(前期より152億円の支出減)となりました。販売権を譲渡したことによる一時金を受領した一方で、製造設備の増強を進めたことに加え、無形資産の取得による支出が発生しました。

○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、578億円の支出(前期より351億円の支出増)となりました。主に自己株式の取得および配当金の支払いによるものです。

○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,656億円(前期末より391億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは199億円の収入となりました。

 

(5)生産、受注および販売の実績

① 生産実績

(a) 生産実績

当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本医薬品事業

219,388

97.8

アメリカス医薬品事業

392,200

71.2

中国医薬品事業

108,365

119.8

EMEA医薬品事業

124,032

110.9

イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業

71,011

113.9

報告セグメント計

914,996

88.0

その他事業

3,480

76.9

合計

918,476

87.9

(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
 

(b) 商品仕入実績

当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本医薬品事業

18,483

69.8

アメリカス医薬品事業

39

968.2

中国医薬品事業

5,985

113.4

イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業

2,198

155.7

報告セグメント計

26,706

80.5

その他事業

724

108.4

合計

27,430

81.0

(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。

(注2) 当期においてEMEA医薬品事業の商品仕入実績はありませんでした。

 

② 受注実績

当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本医薬品事業

216,281

99.7

アメリカス医薬品事業

278,259

119.7

中国医薬品事業

115,539

103.2

EMEA医薬品事業

79,397

104.5

イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業

59,555

109.8

報告セグメント計

749,031

108.3

その他事業

40,369

80.3

合計

789,400

106.4

(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。

(注2) 主な相手先別の販売実績については、前期・当期とも総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しています。

 

(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  連結財務諸表注記  3. 重要性のある会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、資金調達手段について、「手元現金」、次に「負債による資金調達(デット)」、最後に「株式の新規発行による資金調達(エクイティ)」とするペッキング・オーダー理論にもとづく優先順位付けをしています。原則として、手元現金の活用および負債が優先であり、既存株主の価値を毀損する可能性があるエクイティによる資金調達は最終手段として考えています。

そのため、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシートマネジメントを継続的かつグローバルに推進することで資産効率を高め、最適資本構成にもとづく最適配当政策と積極的な成長投資の両立を可能としています。

2024年度において、株主還元については、健全なバランスシートを維持していることから、1株当たり年間配当金を前年と同額の160円としました。成長投資については、将来の成長のための川島工園・筑波研究所の設備・施設への投資継続などを積極的に実施しました。2025年度においても積極的な成長投資を継続する計画で、資本的支出は365億円を見込み、手元資金を充当する予定です。

資金の流動性については、現時点では概ね月商の3倍を適正な運転資金の水準と考えています。2024年度末における現金及び現金同等物残高は2,656億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完により、流動性を一層強化しています。また、手元資金の効率的な活用を企図して、日本国内・EMEA域内におけるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)に加え、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(GCMS)を導入しています。

2024年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは1,006億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、「ネットキャッシュの維持」を主要な財務規律として重視するとともに、Net DERを±0.3レベルにコントロールすることで財務の健全性を維持します。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ④目標とする経営指標」に記載のとおり、中長期での数値目標は設定していません。その代わり、年次事業計画を精緻に策定しています。これに加え、売上収益の拡大と事業活動の効率性を高めることで、2026年度にROE8%レベル、2027年度において営業利益率10%以上を達成することをめざしています。

2024年度業績予想(売上収益:7,540億円 営業利益:535億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:430億円ROE:5.2%、2023年度有価証券報告書提出日時点)との比較では、売上収益は7,894億円(業績予想対比104.7%)、営業利益は544億円(同101.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は464億円(同108.0%)、ROE5.4%(業績予想差0.2ポイント増)となりました。

売上収益は、グローバルブランドである「レンビマ」、「デエビゴ」、「レケンビ」が伸長したことにより業績予想を上回りました。営業利益は、「レケンビ」へ継続して資源投入を行ったことに加え、「レンビマ」の売上拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払いが増加した一方、パートナーシップモデルの活用、開発テーマの優先度を踏まえた研究開発費の効率的な投入など、財務規律に基づいた費用管理を行った結果等により、業績予想を上回りました。

セグメント情報

5. セグメント情報

(1) 一般情報

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、トップマネジメントが定期的に検討を行う対象となっているものです。

当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米、南アフリカ等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。

なお、アジア・ラテンアメリカ医薬品事業の管轄エリアがアジア(日本、中国を除く)、中南米、南アフリカであった状況に鑑み、2024年10月1日より、イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業に名称変更しました。当該変更は名称変更のみであり、セグメント情報に与える影響はありません。

また、当連結会計年度より、経営の実態をより適切に表示するため、従来、研究開発費に含めていた各報告セグメントにおけるメディカル活動に伴う費用を各セグメントの利益に反映しています。前連結会計年度のセグメント情報は、当該変更を反映しています。

 

(2) 報告セグメントに関する情報

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 当連結会計年度

(自 2024年4月 1日

 至 2025年3月31日)

 前連結会計年度

(自 2023年4月 1日

 至 2024年3月31日)

 

売上収益

セグメント利益

売上収益

セグメント利益

医薬品事業

 

 

 

 

日本

216,281

71,724

216,935

71,032

アメリカス

278,259

158,257

232,381

138,182

中国

115,539

57,202

111,928

56,596

EMEA

79,397

35,938

75,989

35,611

イーストアジア・グローバルサウス

59,555

27,381

54,226

22,782

 報告セグメント計

749,031

350,502

691,458

324,204

その他事業(注1)

40,369

29,641

50,293

40,188

 事業計

789,400

380,143

741,751

364,392

研究開発費(注2)

△150,329

△149,628

親会社の本社管理費等(注3)

△175,436

△161,357

連結損益計算書の営業利益

54,378

53,408

(注1) その他事業は、親会社のライセンス収入及び医薬品原料などに係る事業です。前連結会計年度の売上収益及びセグメント利益には、米メルク社との抗がん剤「レンビマ」に関する戦略的提携のマイルストン18,926百万円を含めています。

(注2) 研究開発費は各報告セグメントに反映したメディカル活動に伴う費用を除いた研究開発費です。

(注3) 親会社の本社管理費等は、当社グループ全体の運営に係る費用等であり、その他の収益及び費用ならびにパートナーとの戦略的提携に伴う利益及び費用の折半金額を含めています。当連結会計年度の親会社の本社管理費等には、当社グループが米メルク社に支払う抗がん剤「レンビマ」の折半利益154,190百万円(前連結会計年度は141,586百万円)を含めています。

 

 

(3) 主要な製品に関する情報

外部顧客への売上収益

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

ニューロロジー

領域製品

オンコロジー

領域製品

その他

合計

 当連結会計年度

(自 2024年4月 1日

 至 2025年3月31日)

199,889

365,800

223,712

789,400

 前連結会計年度

(自 2023年4月 1日

 至 2024年3月31日)

145,720

343,174

252,857

741,751

 

 

(4) 主要な顧客に関する情報

  連結損益計算書における売上収益の主な相手先(グループ会社を含む)は、次のとおりです。

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 

 

(単位:百万円)

顧客の名称

売上収益

関連するセグメント名

McKesson Corporation

73,532

アメリカス医薬品事業

Cencora,Inc.

66,970

アメリカス医薬品事業

㈱メディパルホールディングス

54,920

日本医薬品事業

 

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

(単位:百万円)

顧客の名称

売上収益

関連するセグメント名

McKesson Corporation

58,287

アメリカス医薬品事業

㈱メディパルホールディングス

53,482

日本医薬品事業

Cencora,Inc.

51,209

アメリカス医薬品事業

 

(5) 主要な地域に関する情報

売上収益(注1)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

米州

(注2)

欧州

(注3)

中国

その他

合計

 当連結会計年度

(自 2024年4月 1日

 至 2025年3月31日)

228,731

286,583

74,287

127,490

72,309

789,400

 前連結会計年度

(自 2023年4月 1日

 至 2024年3月31日)

226,445

253,756

90,528

109,283

61,739

741,751

(注1) 売上収益を顧客等の所在地により、主要な地域に分類しています。

   日本及び中国以外の区分に属する主な国または地域は、次のとおりです。

   ① 米州:北米、中南米

   ② 欧州:イギリス、フランス、ドイツ、スペイン

   ③ その他:アジア、中東、オセアニア

(注2) 米州のうち、米国における当連結会計年度の売上収益は272,990百万円(前連結会計年度は243,142百万円)です。

(注3) 前連結会計年度の売上収益には、米メルク社との抗がん剤「レンビマ」に関する戦略的提携のマイルストン18,926百万円を含めています。

 

 

非流動資産(注1)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

日本

米州

(注2)

欧州

中国

その他

合計

当連結会計年度末

(2025年3月31日)

157,320

269,954

19,513

14,657

7,995

469,440

前連結会計年度末

(2024年3月31日)

165,661

279,357

19,300

16,121

8,093

488,532

(注1) 非流動資産を資産の所在地により、主要な地域に分類しています。

   日本及び中国以外の区分に属する主な国または地域は、次のとおりです。

   ① 米州:北米、中南米

   ② 欧州:イギリス、フランス、ドイツ、スペイン

   ③ その他:アジア、中東、オセアニア

   なお、非流動資産は、主に有形固定資産、のれん及び無形資産で構成されており、金融資産、繰延税金資産及び退職後給付に係る資産を除いています。

(注2) 米州のうち、米国における当連結会計年度末の非流動資産は269,584百万円(前連結会計年度末は278,965百万円)で

す。