2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 681 100.0 37 100.0 5.4

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、「データから、新たな価値を。」を経営理念として、アナリティクス・AIサービスを提供しております。経営理念には、「データから価値を創造し、顧客企業のビジネスを加速させる。そして日本をデータ活用先進国にしていきたい」という思いが込められております。

当社の事業は、アナリティクスコンサルティングとAIプロダクトから構成されており、ワンストップでアナリティクス・AIの開発・導入・活用・運用のサービスを提供する「アナリティクスを活用したビジネス価値創造企業」として事業を展開しております。

 

(1) 事業の概要

当社の事業は、機械学習を活用して個々のビジネス課題を解決するアナリティクスコンサルティング事業と、そのアナリティクスコンサルティングを通じて培われたノウハウ、市場のニーズの理解及び先端の機械学習技術を適用して、汎用的に利用できるシステムを開発し、提供するAIプロダクト事業とによって構成され、その両輪により事業を拡大させていくモデルとなっております。

 


 

アナリティクスコンサルティング事業は、顧客の特定のビジネス課題を解決するために、データ分析及び機械学習モデルの構築を支援することで、アナリティクスを基礎としたコンサルティングを提供しております。当社が構築した機械学習モデルを有効に利用し続けるためには、複雑かつ高度な技術や知識が必要であり、当社によるメンテナンス及び運用サポートのニーズが高く、多くの顧客で継続的な関与をしております。

AIプロダクト事業は、アナリティクスコンサルティングを通じて開発された自動化のプログラム及び機械学習モデル構築のノウハウを基に、顧客ニーズに合致した汎用性の高い製品を開発し、自社による販売及び事業パートナーを通じた販売を行っています。

当社は両事業を展開することで、クライアントの様々な経営課題を解決するためのAIサービスをワンストップで提供しております。当社の事業は、データ分析コンサルティングなどのアナリティクスコンサルティングがビジネスの起点となり、フロー売上を主軸とした顧客個別対応型事業で知見を集積し、それをAIプロダクトの開発に応用しています。各事業内においても、フロー型ビジネスをストック型ビジネスへとシフトさせる構造を構築しています。

 


当社は、データアナリティクス・AI(機械学習)、データエンジニアリング及び経営課題解決を三位一体で対応しており、アカデミックなアプローチとものづくり(技術者)の視点、ビジネス目線アプローチの融合を追求しています。先端技術を積極的に導入しつつ、実践に則した課題解決支援策を提供する独自のポジションを追求いたします。

 


(2) 展開するサービス及びソリューション

① アナリティクスコンサルティング事業

アナリティクスコンサルティング事業は、機械学習モデルを構築・活用したデータ分析により、アナリティクスに特化した付加価値の高いコンサルティングサービスを提供するビジネスです。

当社は、コンサルティング力を強みとして顧客の様々な経営課題に対するきめ細やかなサービスを展開しており、独自開発の機械学習アルゴリズムに加え、公表されている論文等を取り入れた機械学習アルゴリズムを活用することで、顧客の業務効率や精度の向上に寄与しております。

 

② AIプロダクト事業

AIプロダクトにおいて製品化されている主な製品として、「R2Engine」、「StrategyDesigner」、「アナリティクス・プラットフォーム」、「Object Recognition」、「SXスコア」、「SkyFox」をSaaS型/SI型で展開しています。いずれも初期導入時のフロー収入と保守・運用等のストック収入で構成されるビジネスモデルです。


 

(3) 事業系統図


(用語の説明)

当社の事業に関わる用語の定義は以下のとおりです。

用語

定義

アナリティクス

統計学やAI技術を用いたデータ分析の総称

AI(人工知能)

Artificial Intelligenceの略で、コンピュータープログラムを用いて人間の知能の持つ機能を実現するための技術やシステム

機械学習

AIの中核的な技術。データから反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出すことで予測・判断を行うための手法・技術

ディープラーニング(深層学習)

機械学習のいち手法であり、人間の神経細胞の仕組みを模したシステムであるニューラルネットワークをベースとする技術。画像などを精度高く認識することができる

アルゴリズム

コンピュータープログラムにおいて問題を解くための計算方法や手順

SaaS

Software as a Serviceの略で、インターネット経由で、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア又はその提供形態

SI

System Integrationの略で、情報システムの企画・設計から導入までを行うサービス

 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度は決算期変更の経過期間に伴い、2023年4月から2023年12月までの9か月決算となっております。このため、対前期増減率につきましては記載しておりません。

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態の状況

(資産の部)

当事業年度末の資産合計は789,563千円となり、前事業年度末に比べ254,560千円減少いたしました。

流動資産は553,902千円となり、前事業年度末に比べ225,510千円減少いたしました。これは主に、自己株式の取得等により現金及び預金が100,657千円、売上債権の回収により売掛金が161,801千円減少したことによるものであります。

固定資産は235,660千円となり、前事業年度末に比べ29,050千円減少いたしました。これは主に、減価償却によりソフトウェアが22,843千円減少したことによるものであります。

(負債の部)

当事業年度末の負債合計は146,678千円となり、前事業年度末に比べ29,759千円減少いたしました。

流動負債は133,678千円となり、前事業年度末に比べ29,759千円減少いたしました。これは主に、未払金が28,215千円増加した一方で、未払法人税等が36,055千円、未払消費税等が12,148千円減少したことによるものであります。

固定負債は13,000千円となり、前事業年度末に比べて変動はありませんでした。

(純資産の部)

当事業年度末の純資産合計は642,885千円となり、前事業年度末に比べ224,801千円減少いたしました。これは主に、自己株式を299,984千円取得したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度における国内経済は、景気は一部に足踏みも見られるものの、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行に伴う経済活動の正常化などにより、緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、引き続き回復が続くことが期待されます。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

このような環境の中、当社は協業パートナーとの連携強化、技術・製品サービスの強化及び事業の拡大に向けたデータサイエンス人材の確保に取り組んでまいりました。当事業年度においては、アナリティクスコンサルティング事業におけるデータ利活用支援やAIモデル構築、AIプロダクト事業におけるR2Engine導入等の案件を中心に売上が拡大いたしました。

以上の結果、当事業年度の売上高は680,837千円、営業利益は36,717千円、経常利益は34,917千円、当期純利益は24,674千円となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ100,657千円減少し、当事業年度末には361,239千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、191,067千円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少額160,920千円及び減価償却費40,345千円等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、10,421千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出8,017千円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、281,303千円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出301,105千円等があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

(b) 受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

(c) 販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

アナリティクス・AIサービス事業

680,837

 

(注) 1.当事業年度は決算期変更の経過期間に伴い、2023年4月から2023年12月までの9か月決算となっております。このため、前期比につきましては記載しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

 前事業年度
(自  2022年4月1日
  至  2023年3月31日)

当事業年度
(自  2023年4月1日
  至  2023年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

SBペイメントサービス株式会社

194,700

21.5

151,600

22.3

TIS株式会社

75,825

11.1

エクシオグループ株式会社

120,021

13.2

 

(注) 販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のものについては記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。

なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

アナリティクスコンサルティング事業におけるデータ利活用支援やAIモデル構築、AIプロダクト事業におけるR2Engine導入等の案件を中心に売上が拡大いたしました。

以上の結果、当事業年度の売上高は680,837千円となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は347,834千円となりました。これは主に、事業規模拡大により原価部門の人員数が増加したことに伴う人件費等の増加及び円安影響でのクラウドサービス利用料の増加によるものであります。

以上の結果、当事業年度の売上総利益は333,003千円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は296,285千円となりました。これは主に、人員増に伴う人件費及び採用費の増加、株式分割等の実施に伴う支払手数料の増加によるものであります。

以上の結果、当事業年度の営業利益は36,717千円となりました。

(営業外損益、経常利益)

当事業年度の営業外収益は3千円、営業外費用は1,803千円となりました。営業外費用は主に、自己株式の取得に伴う手数料であります。

以上の結果、当事業年度の経常利益は34,917千円となりました。

(特別損益、当期純利益)

当事業年度は特別利益、特別損失の発生はなく、税引前当期純利益は34,917千円となり、法人税等(法人税等調整額を含む)を10,242千円計上したことにより、当期純利益は24,674千円となりました。

 

 

③ 財政状態の分析

財政状態の分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

④ キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり売上高、営業利益、従業員数としております。過年度における当社の各指標の進捗は以下のとおりです。

(単位:千円)

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2023年12月

売上高

272,415

495,131

738,063

905,951

680,837

営業利益

47,021

154,437

154,437

223,924

36,717

従業員数(名)

18

24

35

39

44

 

(注) 従業員数は、期末人員数を記載しております。また、受入出向者は従業員数に含めております。

 

売上高及び営業利益については、前述の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

従業員数については、44名となりました。従業員数は売上の伸びに直結するものと考えており、社内採用体制の強化やデータサイエンス専門の採用エージェントの積極活用等により、引き続き高度な人材獲得を目指してまいります。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る事項

当社の運転資金の使途の主要なものは、人件費、採用費、クラウドサービス利用料等があります。また、投資を目的とした資金使途には、データセンター、分析サーバー投資等があります。

当社の資本の財源については、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入及びエクイティ・ファイナンスでバランスよく調達することを基本方針としております。資金の流動性については、毎月支出する金額の2か月程度を常時確保することを基本方針としております。

 

⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。