人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,622名(単体) 15,980名(連結)
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平均年齢42.5歳(単体)
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平均勤続年数16.2年(単体)
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平均年収8,940,448円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員を記載しています。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員を記載しています。
2 平均年間給与の対象者は、正社員のうち、地域限定社員、短時間勤務者、休職者を除き、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
当社従業員が加入する労働組合は、日本特殊陶業労働組合と称し、1946年1月結成以来労使一体となって生産性向上に協力し、争議の経験はなく、現在全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)及び日本自動車部品産業労働組合連合会(部品労連)に加盟しています。
同労働組合には、現在当社従業員の他、国内連結子会社である㈱日特スパークテックWKS、セラミックセンサ㈱、㈱NTKセラテック、NTKセラミック㈱、㈱南勢セラミック等の従業員が加入しています。
(4) 多様性に関する指標
①提出会社
(注) 1 非正規雇用労働者は、定年後再雇用者、パートタイマー、契約従業員、嘱託を含み、派遣社員を除いています。
2 賃金は、労働の対償として支払う全てのものを含み、退職手当、通勤手当は除いています。男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人員構成の差によるものです。
②主要な連結子会社
(注) 1 対象会社は、常時雇用する労働者が101名以上の国内連結子会社としています。
2 「*」は、男性の育児休業取得の対象となる労働者がいないことを示しています。
3 非正規雇用労働者は、定年後再雇用者、パートタイマー、契約従業員、嘱託を含み、派遣社員を除いています。
4 賃金は、労働の対償として支払う全てのものを含み、退職手当、通勤手当は除いています。男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人員構成の差によるものです。
5 「-」は、女性の非正規雇用労働者がいないことを示しています。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本」を参照ください。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティ共通
当社は、森村グループの礎である森村組創立時から大切にしてきた考え方を整理し直し、2017年4月「日特ウェイ」を制定しました。日特ウェイは、全従業員の間で共有され次の時代に継承されるべきグループの共有価値観を含めた理念体系であり、その体系は企業理念、CSR・サステナビリティ憲章、企業行動規範、CSR基本方針、基本方針などから構成しています。
当社の企業理念、CSR・サステナビリティ憲章には、世界の人々に「新たな価値を提案」、「貢献」といった言葉があり、事業を通して社会的課題の解決に貢献したい、というサステナビリティにつながる思いが込められています。その思いに基づき、さまざまな社会的課題解決に資する製品、サービスを生み出していくことが、我々の使命であり、存在意義であると認識しています。
持続可能な社会の実現に向けて、推進体制を構築し、事業を通じた社会的課題の解決での貢献を基軸に、国連グローバル・コンパクト、ISO26000、SDGs、TCFDなどの国際的な規範や目標、ガイドラインに賛同する意思表明を行うとともに、長期経営計画の中でESG(環境、社会、ガバナンス)に関する「優先的に取り組む課題」を特定するなど取り組みを進めています。
① ガバナンス
当社は、社会とともに持続的に成長していくため、取締役会の諮問機関としてCSR・サステナビリティ委員会を設置し、社外取締役を委員長に据えて外部視点を重視し、ESGの各分野で優先的に取り組む課題を特定して、その課題解決に向けた活動を推進しています。また、経営側のCSR・サステナビリティ委員会の他に、業務執行側にも6つの専門委員会を設置し、CSR基本方針の実現に向けて、ESGの各分野での活動を実践・推進する体制を執っています。
CSR・サステナビリティ委員会は、取締役会の諮問機関として、取締役会からの諮問に対して答申・提言する機能と、各専門委員会を監督する機能を担います。答申・提言においては、ゲスト委員として外部有識者を招いて知見・視座を高め、長期を見据えたサステナビリティ経営の推進を図るべく多角的に議論をしていきます。また、各専門委員会に対しては、業務執行側に位置付ける各専門委員会が有効に機能しているかを注視し、必要に応じてそれらを監督する役割を担っています。
優先的に取り組む課題に特定されている「気候変動への対応」や「リスクマネジメント」などの進捗に関わる重要な情報は、CSR・サステナビリティ委員会にも共有され、各専門委員会での重要決定事項は、業務執行における重要事項を審議・決定・監督する経営会議を通じて取締役会に報告されています。
② 戦略
当社は、持続可能な社会の実現に寄与することで、企業価値の向上を目指しています。そのためには、社会的課題を的確に捉えたうえで、当社グループとしてESGの各分野で優先的に取り組むべき課題(マテリアリティ)を特定し、中長期的な視点で目標を設定して取り組んでいくことが重要だと考えています。
現在進めている長期経営計画「2030 長期経営計画 日特BX」においては、マテリアリティとして8項目を特定しており、事業を通して社会的課題を解決するというサステナビリティ共通の考え方の下、「環境に配慮して設計した製品の提供や社会的課題の解決に寄与する技術・製品・事業の開発」を中心テーマに据えています。
優先的に取り組む課題の特定プロセス
(環境に配慮して設計した製品の提供)
当社グループは、製品・サービスの使用時や廃棄時なども含めたライフサイクル全体を俯瞰し、環境負荷がより小さい製品・サービスを提供することで、社会の持続的な発展に貢献したいと考えています。特に、自動車部品では、製品使用時でのCO2排出量が大きいため、省燃費タイプのスパークプラグ・酸素センサのCO2削減貢献量を増やすべく、それら製品の販売を促進します。(それぞれ目標は2030年3月期で販売比率50%以上)
(社会的課題の解決に寄与する技術・製品・事業の開発)
当社グループは、世界が抱える課題に向き合い、その解決に資する新たな価値を共創・提供することで、よりよい社会の実現に寄与していきたいと考えています。
気候変動や食料不足など、世界が直面する課題はさまざまですが、当社グループの技術と蓄積した経験を活かして、世界の人々に新たな価値を提案します。CO2フリー水素利用を視野に入れた高効率分散型電源となる燃料電池の普及、有鉛圧電材から無鉛圧電材への代替促進、陸上養殖用の水質管理システムなどのセンシングIoTソリューション、セラミック技術を応用したCO2回収、水素製造からの合成燃料(メタン)製造システム、そのソリューションの提供などを推進します。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ戦略、ESGテーマを含めて、事業の目標達成や存続を阻害する可能性を低減もしくは回避するため、リスクマネジメントの最高責任者が任命した執行役員を委員長とするリスクマネジメント委員会を専門委員会の一つとして設置し、CSR・サステナビリティ委員会の監督の下、全社的なリスクマネジメントの実践、維持、改善を推進しています。
リスクマネジメント委員会では、リスクについて、全社的見地で事業存続や目標達成に大きな影響を及ぼすか否かを、影響度と発生可能性、及びその対策状況を分析して評価しています。重点的な対応が必要と評価されたリスクは「優先リスク」として主管部門を定め、リスクマネジメント委員会で低減活動の状況を確認しています。気候変動や人権をはじめとするESGに関するリスクについても併せて評価しています。一方、重要な機会については、CSR・サステナビリティ委員会で確認し、必要に応じて経営戦略や優先的に取り組む課題に反映しています。
なお、当社グループはグローバルかつ多くの分野で事業を展開しており、事業毎にさまざまなリスクと機会があることから、事業毎にリスクと機会を把握して、それぞれに対応しています。気候変動に関するリスクと機会についても、規制動向等を注視して事業への影響をそれぞれに評価し、対応しています。
④ 指標と目標
当社グループは、2030年長期経営計画の実現に向け、環境・社会・ガバナンスにおいてそれぞれ具体的な指標・目標を設定しています。
(2) 気候変動:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
気候変動の緩和のため温室効果ガスの排出量を削減することは、地球規模で緊急かつ重要であり、当社グループにとっても優先的な課題です。特に、ものづくり企業である当社グループにとって、CO2排出量を削減することは、当社グループが果たすべき責任と考えています。
当社グループは、『エコビジョン2030』において、2050年カーボンニュートラルを目指すことを前提として、CO2排出量の削減目標「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ1・2)を宣言しています。また、サプライチェーンや製品ライフサイクルにおいてもCO2排出量削減を推進し、「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ3)を目指します。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略のガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
気候関連のリスク・機会について、川上から川下までのサプライチェーン全体を見渡して、短期・中期・長期における社会動向や規制動向などを予測し、TCFD提言の例示を参考にしながら、幅広くリスク・機会の項目を選定しています。
選定したリスク項目について、主に2℃シナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関するリスク」と、世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動による物理的変化に関するリスク」を想定し、TCFDの分類に沿って整理した上で事業インパクトを評価しました。
<検討に用いた主なシナリオや予測>
2℃シナリオ:IPCC RCP2.6、IEA ETP 2DS 等
4℃シナリオ:IPCC RCP8.5、IHS Markit Automotiveの“Mobility and Energy Future” サービスデータ 等
なお、ここでいう短期・中期・長期は、次の通りです。
短期:中期経営計画の目標年度に合わせた2025年頃まで
中期:長期経営計画の目標年度に合わせた2030年頃まで
長期:長期経営計画の目指す姿に合わせた2040年頃まで
<気候関連のリスク>
また、主要な事業拠点を対象に、現状の洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査を行い、想定される被害の程度や頻度を勘案した結果、深刻な被害が発生する可能性は低いことが分かりました。
一方、将来の洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査も行い、降水量の増加が見込まれる地域があることが分かりました。しかし、洪水や土砂崩れなどのリスク増に直結するか否かは、各事業拠点の立地(地盤、標高、河川との距離など)や治水対策の状況によるため、引き続き調査を行います。
<気候関連の機会>
気候変動のリスクと機会をより具体的にするため、各事業について、2℃及び4℃シナリオ下における事業環境とその対応について検討した結果、物理的リスクについての致命的な影響は見受けられませんでした。
事業については、現在、売上収益の8割を占める内燃機関に関連する事業が大きな変革を迫られており、一方で、脱炭素社会の実現に向けて、水素関連をはじめとして新たなニーズや市場が期待されることから、「2030 長期経営計画 日特BX」において、今後注力する事業分野の一つに「環境・エネルギー」を掲げ、2040年に向けて事業ポートフォリオ転換(売上収益構成比率:内燃機関事業40%、非内燃機関事業60%)を推進しています。2024年3月期において事業ポートフォリオ転換進捗は(売上収益構成比率:内燃機関事業82%、非内燃機関事業18%)です。
自動車関連事業では2℃シナリオ下において、規制強化により将来的に売上減少が見込まれるため、事業ポートフォリオ転換が必要です。その他の事業については、2℃及び4℃いずれのシナリオ下においても、市場の動向を注視し、柔軟かつ戦略的に事業を展開しており、中・長期の観点からも高いレジリエンス性を有しています。
※1 内燃機関事業の財務面の影響額について
IHS Markit Automotiveの分析に基づく当社予測では、各国の気候変動対策によって内燃機関への規制が進むことで、内燃機関を有する自動車は2030年代半ば以降減少すると見込んでいます。
一方、当社の内燃機関事業の中核であるスパークプラグは、新車用だけでなく補修用の需要もあり、当社予測では、引き続き内燃機関を有する自動車が保有されていると考えられることから、2040年以降に売上がピークを迎え、徐々に下降していくことを見込んでいます。こうした状況を踏まえて、内燃機関事業の売上収益が2040年度以降に2020年度から10%減少すると仮定して試算すると、売上収益の減少額は350億円程度になります。
③ リスク管理
気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティ戦略に含めて管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」を参照ください。
④ 指標と目標
当社グループは、2020年5月に発表した長期経営計画「2030 長期経営計画 日特BX」において、「CO2排出量:30%削減 [2018年度比](2030年度)」という目標を掲げています。また、長期的な視野で環境保全活動を進めるため、2021年4月に「エコビジョン2030」を策定し、その中で2050年に向けてカーボンニュートラルを目指すという長期目標を掲げました。
エコビジョン2030では、重要4課題として、気候変動への対応、環境配慮製品の拡充、水資源の保全、廃棄物管理を挙げています。環境配慮製品の拡充は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)やカーボンニュートラル・アズ・ア・サービスなど、気候変動対応やCO2削減をはじめとする環境配慮製品・サービスの提供を目指すものです。また、水資源の保全のために節水することや、資源投入量や廃棄物排出量を削減することは、CO2排出量の削減に繋がります。そのため、これらを重要4課題と設定し、個別の課題として取り組むのではなく、相互に関係する課題として取り組んでいくことで、よりシナジーのある対応を目指しています。
目標の達成に向けて取り組みをより一層推進するため、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)及び執行役員(雇用型執行役員を除く)を対象とする業績連動型株式報酬制度の中で、評価指標の一つに「CO2排出量削減率」を設けています。また、グループが一丸となってCO2削減の取り組みを進めていくため、ICP(インターナルカーボンプライシング)を導入しています。CO2排出量1トンあたり10,000円を排出部門から徴収し、徴収した金額は、社内環境ファンドとして脱炭素のための投資支援やインフラ整備に充当しています。
同時に、サプライチェーンも含めたスコープ3の削減も推進しています。スコープ3においては、まずはカテゴリ1「購入した製品・サービス」、カテゴリ4「輸送、配送(上流)」の一部、カテゴリ11「販売した製品の使用」の各カテゴリで2030年度 30%削減(2018年度比)を目指します。また、取引先(サプライヤー)に対してはCO2の削減目標を設定して取り組むよう求めており、適宜支援を行っています。
(3) 人的資本
当社グループは、2040年の目指す姿である「これまでの延長線上にない変化」の実現に向け、「志を持った多様な人財とともに共生する企業になる」ことを人財方針における基本的な考え方としています。「セラミックスで何ができるか」にこだわらず、セラミックスの領域を越え、世の中や私たちの想像を超えた挑戦のため、自律した人財の獲得と育成、多様な知と知の組み合わせ、エンゲージメントの向上を通じ、人的資本の最大化を目指すことで、企業価値向上を実現します。
① ガバナンス
人財戦略および経営上重要な人事施策、また、経営戦略上、重要なグループ全体のコアポジションの人事については、人的資本管理責任者である人事戦略室管掌役員のもと、人事戦略室にて立案し、経営会議に諮ります。
② 戦略
( i ) グローバル人財マネジメント(人財育成・獲得戦略)
長期経営計画で謳われている事業ポートフォリオ転換のためには、延長線上にない変化のためのイノベーションをおこしていく必要があります。そのためには、多様な知と知の組み合わせという思想を根幹に置いた人財ポートフォリオ転換が必要であり、「グローバル人財マネジメント」と称する人財育成・獲得戦略を推進しています。大きな2つの柱があり、ひとつが適所適財の人財配置とスキル向上による現人財の一層の活躍、もうひとつが外部専門人財の戦略的な獲得です。その人財の目指す姿が「自律創造人財」です。またこれらの戦略の基盤としてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進します。
<ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進>
グローバル人財マネジメントを推進するためには、志を持った多様な人財が必要です。従業員一人ひとりが個性を活かし、能力を存分に発揮し続けることが、企業の成長と個人の幸福に繋がると考え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを重要な経営戦略の一つとして位置づけています。性差や年次等の各種属性を問わず、多様な人財を認めて受け入れ、多様な知と知を組み合わせるために、それぞれに最適なサポートや機会を公平に提供するよう努めています。
<自律創造人財の創出>
全従業員に求める人財像を、自ら主体的に働き、新しく創造することができる「自律創造人財」と定め、人財ポートフォリオ転換の実現に向けて人財の強化を図っています。大きな2つの柱があり、ひとつが適所適財の人財配置とスキル向上による現人財の一層の活躍です。
人財配置については、まずは基幹職レベルでしくみの構築を行っています。次世代経営層を対象とした選抜の育成施策を実行し、姿勢や思考、知識の習得を進めています。さらに、サクセッションプランとして、重要ポジションの後継者候補を、 「今すぐ」「1~3年後」「5年後」の各時間軸で明確化しています。コアなポジションに最適な人財を配置して、組織パフォーマンスの最大化を計画的に推進します。
また、現人財の活躍推進について、まずは、「自律創造人財」に必要なスキルを定義しました。コアスキルと、当社グループのコアコンピタンスに基づき注力する事業領域において必要となるテクニカルスキルのふたつの軸で、現従業員の保有スキルを可視化し、全社共通のスキルマップの整備をしています。現状と目指すスキルとのギャップも明らかにし、従業員自らがギャップを埋めるためスキルアップしていける環境を整え、個々のスキル向上を推進します。実施例としてDX教育については、全従業員の底上げ教育と一部業務に必要な専門教育の両面で2022年度より育成施策を積極的に展開しています。国内全グループ会社の全従業員を対象としたデジタルリテラシー教育を皮切りに、2023年度は、デジタル活用による業務改善を推進するため、ノーコードツール開発者育成を展開し、デジタルで業務改善を推進できるノーコードツール開発者が年間100名以上輩出できる教育体制を構築しました。今後は、業務改善から業務変革への拡大と、事業変革を目指し、教育施策を展開していきます。もうひとつが外部専門人財の戦略的な獲得です。急激な環境の変化に対応する技術や新規事業の創出のため、内部人財の一層の活躍のみならず、尖った専門性をもつ外部人財を「自律創造人財」として戦略的に獲得していくことにも注力しています。
(ⅱ)環境整備戦略
<多様な働き方>
多様な人財が活き活きと働くために、働き方の選択肢の多様化を進めています。リモートワークについても、既に2018年から始動し、在宅勤務を働き方の選択肢として制度整備を行い、コロナ感染症拡大の際にも、リモートワークへスムーズに移行することができました。さらに新たな価値創出、自律した人財の育成を目的に、より良い働く環境を整備すべく、2021年1月には、第2弾として働き方改革を本格的に展開しています。働き方改革宣言のもと、改革に踏み出す為の意識改革活動、インフラの再整備等、多様かつ柔軟に、働く環境整備を進めています。
「働く時間」の多様化としては、勤務時間の選択肢を広げることで、仕事とプライベートの調和を可能にし、自律した人財への成長を促す環境を整えています。また、「働く場所」の多様化として、2024年2月には遠隔地勤務制度を導入し、場所に制約される働き方から脱却することで、遠地に住む人財の確保や離職防止に繋げています。
<健康経営>
従業員一人ひとりの健康は、当社を支える重要な経営資源のひとつであり、「健康経営」を推進しています。2017年12月には「健康経営宣言」を掲げ、「生活習慣病対策」「メンタルヘルス対策」「受動喫煙対策」の観点から各種施策を推進しています。特に、従業員の健康管理の基礎となる、健康診断の受診率は100%に達しています。また、受動喫煙防止の観点から、2023年4月より敷地内全面禁煙を実施しています。従業員のみならず、その家族も含めた健康増進活動を、長期的な視点に立って積極的に推進していきます。
<従業員エンゲージメント>
多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境を整備するために、従業員エンゲージメントの向上を図っています。エンゲージメントサーベイを年に1度実施しており、モチベーションや負担感の把握、各種施策の検討や効果検証を行っています。サーベイの結果は、各担当役員及び部門長へフィードバックし、部門を超えた取り組みの共有会を実施することで、環境改善のアクションに繋げています。また、従業員エンゲージメントの向上を目指し、2022年度よりエンゲージメント指標を役員賞与算定に用いる指標の一つとして採用しました。
他にも、毎月のエンゲージメントを測定し、組織の現状把握とアクションの効果の確認を行うパルスサーベイツールの導入、また日々の心身の調子を色で表現して可視化するGOOD MORNING COLORというツールも一部の部門で導入し、適時エンゲージメントを測定できる環境整備を推進しています。ツールの導入とともに、上司と部下の1on1ミーティングを実施しており、対話の機会を通じて心理的安全性を醸成しています。
③ リスク管理
当社グループは、持続的な成長を担う多様な人財の確保・育成に努めていますが、各分野で必要とする専門性を持つ人財や組織を先導する多様な個性を持った人財を獲得し適切に配置できない場合は、事業活動が停滞し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、専門性を持つ多様な外部人財の戦略的な獲得を進めるとともに、人財戦略及び経営上重要な人事施策や、グループ全体のコアポジションの人事については、代表取締役及び一部の上席執行役員で構成される経営会議において議論し、計画的に進めています。
④ 指標と目標
当社グループは、人財の多様性を重要な経営戦略の一つとして位置づけており、数値目標として2030年までに、取締役の女性・外国籍比率を30%以上、管理職の女性・外国籍・キャリア採用比率を25%、と定めています。これらの指標は、性別や国籍だけに拘る意図で設定されているものではなく、彩り豊かな個性と特性を受け入れ、活かす組織に繋がると確信し、経営としてコミットし取り組んでいるものです。
(注) 1 取締役の女性・外国籍比率は、取締役のうち、女性・外国籍の者が占める比率です。
2 管理職の女性・外国籍・キャリア採用比率は、管理職のうち、女性・外国籍・中途入社者が占める比率です。なお管理職とは、職務の内容及び責任の程度が「課長級」又はそれより上位に相当する者です。当社には、管理職級の専門職がいますが、上記には含んでいません。
取締役の女性・外国籍比率については、経営の意思決定に大きな影響力を持つことから先んじて推進し、2023年度末時点で目標を達成(5/11名、45%、外国籍の社外取締役含む)しています。なお、取締役の女性の比率は36%(4/11名)となります。
管理職の女性・外国籍・キャリア採用比率については、目標値の25%に向けて進捗しており、2023年度末時点で23%を超えています。また、母数に占める管理職クラスの比率が男性と比べて女性が低いことが、男女の賃金の差異を生む主要因のため、新たに女性管理職比率についても、2030年までに10%とすることを目標に掲げて、向上のための人事施策を推進しています。具体的には、女性の管理職登用促進の研修プログラム(Raise Up)を実施し、複数のメンターから支援を受けながら、管理職に必要な知識・スキル・マインドを学ぶ場を作り、各自の成長を促進しています。多様性を受け入れ、適財を登用していることから、比率は年々逓増傾向にあります。比率の向上を促進することに加え、質も定量的にモニタリングしていく必要があると考えています。導入している各種サーベイツールを活用し組織分析を行い、改善施策に取り組むことで、環境整備も並行して推進していきます。
新卒採用においても、性別という属性を超え、ポテンシャル人財の獲得を促進し、今年度新卒入社者は、技術系女性を含め半数以上が女性となっています。外国籍労働者の採用については、継続的に積極的な新卒採用選考を行っています。入社以降、文化の異なる日本で働くという精神的負担を軽減すべくフォロー施策(交流会等)も実施しています。
キャリア採用についても、ダイレクトリクルーティング等活用し、戦略的な獲得を進めています。常に市場を見張り、タレントをモニタリングし、高度な専門性を持ったタレントの採用を増やしています。昨年度40名の採用であったのに対し、今年度は53名の採用となっています。特に女性は管理職だけでなく、係長級もターゲットに積極的にスカウトを行っています。
多様な知と知を組み合わせ、これまでの延長線上にない未来を目指すため、当社グループは今後もダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを重要な経営戦略として取り組んでいきます。