人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,195名(単体) 15,644名(連結)
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平均年齢43.0歳(単体)
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平均勤続年数18.8年(単体)
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平均年収9,874,845円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員を記載しています。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員を記載しています。
2 平均年間給与の対象者は、正社員のうち、地域限定社員、短時間勤務者、休職者を除き、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
当社従業員が加入する労働組合は、日本特殊陶業労働組合と称し、1946年1月結成以来労使一体となって生産性向上に協力し、争議の経験はなく、現在全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)及び日本自動車部品産業労働組合連合会(部品労連)に加盟しています。
同労働組合には、現在当社従業員の他、国内連結子会社である㈱日特スパークテックWKS、セラミックセンサ㈱、㈱NTKセラテック、NTKセラミック㈱、㈱南勢セラミック等の従業員が加入しています。
(4) 多様性に関する指標
①提出会社
(注) 1 非正規雇用労働者は、定年後再雇用者、パートタイマー、契約従業員、嘱託を含み、派遣社員を除いています。
2 賃金は、労働の対償として支払う全てのものを含み、退職手当、通勤手当は除いています。男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人員構成の差によるものです。
②主要な連結子会社
(注) 1 対象会社は、常時雇用する労働者が101名以上の国内連結子会社としています。
2 非正規雇用労働者は、定年後再雇用者、パートタイマー、契約従業員、嘱託を含み、派遣社員を除いています。
3 賃金は、労働の対償として支払う全てのものを含み、退職手当、通勤手当は除いています。男女の賃金の差異は、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人員構成の差によるものです。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する考え方」を参照ください。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) サステナビリティ共通
当社グループのCSR・サステナビリティ憲章に、持続可能な社会の実現に寄与することで、企業価値の向上を目指すとあり、社会的課題の解決と新たな価値の提供はサステナビリティの原点となっています。当社グループでは、森村グループの礎であり森村組創立時から大切にしてきた考え方を整理し直し、2017年4月に「日特ウェイ(現、Niterraウェイ)」を制定しました。Niterraウェイは、全従業員の間で共有され次の時代に継承されるべき当社グループの共有価値観を含めた理念体系であり、その体系は企業理念、CSR・サステナビリティ憲章、企業行動規範、CSR基本方針、基本姿勢などから構成しています。この理念に基づき、さまざまな社会的課題解決に資する製品、サービスを生み出していくことが、我々の使命であり、存在意義であると認識しています。
持続可能な社会の実現に向けて、推進体制を構築し、事業を通じた社会的課題の解決での貢献を基軸に、国連グローバル・コンパクト、ISO26000、SDGs、TCFDなどの国際的な規範や目標、ガイドラインに賛同する意思表明を行うとともに、長期経営計画の中で優先的に取り組む課題を特定し、さまざまな取り組みを進めています。
① ガバナンス
当社グループは、社会とともに持続的に成長していくため、取締役会の諮問機関としてCSR・サステナビリティ委員会を設置し、委員長は社外取締役に委嘱して外部視点を重視し、ESGの各分野で優先的に取り組む課題を特定して、その課題解決に向けた活動を推進しています。また、経営側のCSR・サステナビリティ委員会の他に、業務執行側にも6つの専門委員会を設置し、CSR基本方針の実現に向けて、ESGの各分野での活動を実践・推進する体制を執っています。必要に応じて外部有識者を招いて知見・視座を高めながら、長期を見据えたサステナビリティ経営の推進を図るべくさまざまなESGテーマに関して多角的に議論をして答申していきます。
また、重要なESGテーマに関しては、分科会をCSR・サステナビリティ委員会に設置して注視していきます。現時点では人権分科会を立ち上げて人権デュー・ディリジェンスの有効性を監督しています。
優先的に取り組む経営課題の主な取り組み内容である「気候変動への対応」や「リスクマネジメント」などの進捗に関わる重要な情報は、各専門委員会で報告され、業務執行における重要事項を審議・決定・監督する経営会議を通じて取締役会に報告されています。
② 戦略
当社グループは、Niterraウェイ(CSR・サステナビリティ憲章)にも謳われているように、持続可能な社会の実現に寄与することで、企業価値の向上を目指しています。
そのためには、社会的課題の解決が最重要経営課題と考え、Niterraならではの想いも込めて「技術と発想で地球を輝かせる」こと、そして「地球を輝かせる」ための人材創出を行い「多様で主体的な人材がNiterraウェイを体現する」こと、また「地球を輝かせる」ための基盤整理を行い「変革を促す新たなグローバル経営基盤を作る」ことをあわせて推進していきます。
具体的には、多様な技術の組み合わせを通じた社会的課題解決への貢献、再生可能・循環可能なソリューションの提供を行っていきます。またそれを支える人的資本投資としては、多様な人材が個を活かしていきいきと働くことができる仕組みの拡充、変革中で主体的に動き、未来を切り開く人材の育成、より高度な課題に対し、専門性を持って、新たな価値を創造できる人材の育成などを実現できるように行います。さらにこれらを支える経営基盤整理として、迅速な意思決定を支え、戦略的なリスクコントロールを可能にする組織プラットフォームの構築を実現していきます。
そしてこれらの項目を実現するために、「社会的課題解決」、「人的資本」、「経営基盤」のそれぞれの分野で中長期的な視点でより具体的な取り組み内容とその目標を設定して取り組んでいくことが重要だと考えています。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ戦略、ESGテーマを含めて、事業の目標達成や存続を阻害する可能性を低減もしくは回避するため、リスクマネジメントの最高責任者が任命した執行役員を委員長とするリスクマネジメント委員会を専門委員会の一つとして設置し、全社的なリスクマネジメントの実践、維持、改善を推進しています。
リスクマネジメント委員会では、リスクについて、全社的見地で事業存続や目標達成に大きな影響を及ぼすか否かを、影響度と発生可能性、及びその対策状況を分析して評価しています。重点的な対応が必要と評価されたリスクは「優先リスク」として主管部門を定め、リスクマネジメント委員会で低減活動の状況を確認しています。気候変動や人権をはじめとするESGに関するリスクについても併せて評価しています。一方、重要な機会については、CSR・サステナビリティ委員会で確認し、必要に応じて経営戦略や優先的に取り組む経営課題に反映しています。
なお、当社グループはグローバルかつ多くの分野で事業を展開しており、事業毎にさまざまなリスクと機会があることから、事業毎にリスクと機会を把握して、それぞれに対応しています。気候変動に関するリスクと機会についても、規制動向等を注視して事業への影響をそれぞれに評価し、対応しています。
④ 指標と目標
当社グループは、2030年長期経営計画の実現に向け、優先的に取り組む経営課題に紐づいた主な取り組み内容においてそれぞれ具体的な指標・目標を設定しています。
(2) 気候変動:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示
気候変動の緩和のため温室効果ガスの排出量を削減することは、地球規模で緊急かつ重要であり、当社グループにとっても優先的な課題です。特に、ものづくり企業である当社グループにとって、CO2排出量を削減することは、当社グループが果たすべき責任と考えています。
当社グループは、『エコビジョン2030』において、2050年カーボンニュートラルを目指すことを前提として、CO2排出量の削減目標「2030年度:2018年度比30%削減」「2035年度:2018年度比71.4%削減」(スコープ1・2)を掲げています。また、サプライチェーンや製品ライフサイクルにおいてもCO2排出量削減を推進し、「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ3)を目指します。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略のガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
気候関連のリスク・機会について、川上から川下までのサプライチェーン全体を見渡して、短期・中期・長期における社会動向や規制動向などを予測し、TCFD提言の例示を参考にしながら、幅広くリスク・機会の項目を選定しています。
選定したリスク項目について、主に2℃シナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関するリスク」と、世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動による物理的変化に関するリスク」を想定し、TCFDの分類に沿って整理した上で事業インパクトを評価しました。
<検討に用いた主なシナリオや予測>
2℃シナリオ:IPCC RCP2.6、IEA ETP 2DS 等
4℃シナリオ:IPCC RCP8.5、S&P Globalの“Mobility and Energy Future” サービスデータ 等
なお、ここでいう評価(影響度)、リスク/機会が現れる時期は、次の通りです。
小:数億円程度の影響
中:50億円程度の影響
大:100億円以上の影響
短期:中期経営計画の目標年度に合わせた2025年頃まで
中期:長期経営計画の目標年度に合わせた2030年頃まで
長期:長期経営計画の目指す姿に合わせた2040年頃まで
<気候関連のリスク>
また、主要な事業拠点を対象に、現状の洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査を行い、想定される被害の程度や頻度を勘案した結果、深刻な被害が発生する可能性は低いことが分かりました。
一方、将来の洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査も行い、降水量の増加が見込まれる地域があることが分かりました。しかし、洪水や土砂崩れなどのリスク増に直結するか否かは、各事業拠点の立地(地盤、標高、河川との距離など)や治水対策の状況によるため、引き続き調査を行います。
<気候関連の機会>
気候変動のリスクと機会をより具体的にするため、各事業について、2℃及び4℃シナリオ下における事業環境とその対応について検討した結果、物理的リスクについての致命的な影響は見受けられませんでした。
事業については、現在、売上収益の8割を占める内燃機関に関連する事業が大きな変革を迫られており、一方で、脱炭素社会の実現に向けて、水素関連をはじめとして新たなニーズや市場が期待されることから、「2030 長期経営計画 日特BX」において、今後注力する事業分野の一つに「環境・エネルギー」を掲げ、2040年に向けて事業ポートフォリオ転換(売上収益構成比率:内燃機関事業40%、非内燃機関事業60%)を推進しています。2025年3月期において事業ポートフォリオ転換進捗は(売上収益構成比率:内燃機関事業84%、非内燃機関事業16%)です。
自動車関連事業では2℃シナリオ下において、規制強化により将来的に売上減少が見込まれるため、事業ポートフォリオ転換が必要です。その他の事業については、2℃及び4℃いずれのシナリオ下においても、市場の動向を注視し、柔軟かつ戦略的に事業を展開しており、中・長期の観点からも高いレジリエンス性を有しています。
※1 内燃機関事業の財務面の影響額について
S&P Globalの分析に基づく当社予測では、各国の気候変動対策によって内燃機関への規制が進むことで、内燃機関を有する自動車は2030年代半ば以降減少すると見込んでいます。
一方、当社の内燃機関事業の中核であるスパークプラグは、新車用だけでなく補修用の需要もあり、当社予測では、引き続き内燃機関を有する自動車が保有されていると考えられることから、2040年以降に売上がピークを迎え、徐々に下降していくことを見込んでいます。こうした状況を踏まえて、内燃機関事業の売上収益が2040年度以降に2024年度から5%減少すると仮定して試算すると、売上収益の減少額は270億円、営業利益の減少額は70億円程度になります。
③ リスク管理
気候変動に関する主なリスクは、サステナビリティ戦略に含めて管理しています。詳細については「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」を参照ください。
④ 指標と目標
当社グループは、2020年5月に発表した長期経営計画「2030 長期経営計画 日特BX」において、「CO2排出量:30%削減 [2018年度比](2030年度)」という目標を掲げています。また、長期的な視野で環境保全活動を進めるため、2021年4月に「エコビジョン2030」を策定し、その中で2050年に向けてカーボンニュートラルを目指すという長期目標を掲げました。2050年に向けたマイルストーンとして、2035年には71.4%削減[2018年度比]を新たに設定しました。
エコビジョン2030では、重要4課題として、気候変動への対応、環境配慮製品の拡充、水資源の保全、廃棄物管理を挙げています。環境配慮製品の拡充は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)やカーボンニュートラル・アズ・ア・サービスなど、気候変動対応やCO2削減をはじめとする環境配慮製品・サービスの提供を目指すものです。また、水資源の保全のために節水することや、資源投入量や廃棄物排出量を削減することは、CO2排出量の削減に繋がります。そのため、これらを重要4課題と設定し、個別の課題として取り組むのではなく、相互に関係する課題として取り組んでいくことで、よりシナジーのある対応を目指しています。
目標の達成に向けて取り組みをより一層推進するため、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)及び執行役員(雇用型執行役員を除く)を対象とする業績連動型株式報酬制度の中で、評価指標の一つに「CO2排出量削減率」を設けていました。(2024年度まで)また、グループが一丸となってCO2削減の取り組みを進めていくため、ICP(インターナルカーボンプライシング)を導入しています。CO2排出量1トンあたり10,000円を排出部門から徴収し、徴収した金額は、社内環境ファンドとして脱炭素のための投資支援やインフラ整備に充当しています。
同時に、サプライチェーンも含めたスコープ3の削減も推進しています。スコープ3においては、まずはカテゴリ1「購入した製品・サービス」、カテゴリ4「輸送、配送(上流)」の一部、カテゴリ11「販売した製品の使用」の各カテゴリで2030年度 30%削減(2018年度比)を目指します。また、取引先(サプライヤー)に対してはCO2の削減目標を設定して取り組むよう求めており、適宜支援を行っています。
(3) 人的資本に関する考え方
当社グループは、人材方針で定めるように、従業員は最大の経営資源であると認識し、従業員の多様性・個性を尊重することで、自律的に行動し最適解を考え実践する「自律創造人材」を活かし、当社グループの発展を目指すことを人材方針に掲げ、志を持ち、自らの価値を高めると同時に、社会に価値を提供できる人材の育成と活躍を促し、従業員と会社がともに成長しつづけられる関係を築いていきます。また、多様な個性を有する人材が、一人ひとりの力を合わせ、ポテンシャルを最大限発揮できる環境を整えていきます。
この方針の下、2040年の目指す姿である「これまでの延長線上にない変化」の実現に向け、従業員の多様性と個性を尊重することで、自律創造人材を活かし、持続的な発展を目指すことを人材方針の基本としています。「セラミックスで何ができるか」にこだわらず、セラミックスの領域を越え、世の中や私たちの想像を超えた挑戦のため、自律した人材の獲得と育成、多様な知と知の組み合わせ、エンゲージメントの向上を通じ、人的資本を最大化することで、企業価値向上を実現します。
そのために、長期経営計画においては「Change with Will」を行動指針として掲げ、「志を持ち、変わる・変えるための行動ができる人材」を育成することを目指しています。
2024年度までの中期経営計画では、この「自律創造人材」の育成を重点施策としています。「自律創造人材」の育成は、変化の激しい現代社会において、企業が持続的に成長するために不可欠であり、その創出に向けて、「人材の一層の活躍」「経営人材の育成・管理」「外部専門人材の獲得」を施策の柱に取り組みを進めてまいりました。
① 戦略
◆2025年度以降の取り組み
2025年度以降は、Niterraで働く一人ひとりが仕事を通じて成長し、社会で輝き続ける。そして、その成長がNiterraグループの永続的発展の原動力になることで、企業価値の向上を目指してまいります。この考えを、2025年度から始まる中期経営計画に入れていきます。
<戦略> Niterraタレントマネジメントの推進
① 事業ポートフォリオの最適化に向け、その実現を適時適切、適所適材で支える人材ポートフォリオの構築にグローバルで取り組む
② 本社、各地域での人材会議を行い、人材ポートフォリオについて討議し、これを踏まえて採用、育成、
登用施策を実現する。特に、環境変化に対応した多様な人材プールの強化を図る。
③ 社内のジョブを明確化し、キャリアパスを示すことで、「個の志を尊重した人材登用」、
「フェアな機会提供」、「公平なジョブアサイメント」を実現し、自律的なキャリア形成支援を通じて、強い意志と行動力を兼備した人材を育成する。
<風土改革>
現在の「安定的であるが故に個の成長に結びにくい職場風土」を「強い意志と行動力を兼備した人材を育む職場風土」へ改革すべく、グループの共有価値観であるNiterraウェイを軸とした風土改革に取り組みます。
多様な個を結び付け、知と知を組みあわせていく際に、常にこのNiterraウェイが行動指針として意識されるように人事制度・人材育成・採用活動・表彰制度など、様々な施策の判断基準を統一するなどし、浸透活動を推進いたします。そして、当社で働く一人ひとりがNiterraウェイに基づく行動をすることで、仕事を通じ成長し、エンゲージメントが高まっている状態を目指してまいります。
<ガバナンス>
上記をグローバルで推進していくために、経営会議(人材)やグローバルHR会議、その他人材開発会議等を通じ、各人事機能と連携しながら推進いたします。
また、人材戦略及び経営上重要な人事施策、及び、経営戦略上重要なグループ全体のコアポジションの人事については、人的資本管理責任者であるウェルビーイング戦略グループ管掌役員のもと、人事戦略室にて立案、経営会議に諮り、必要な内容に関しては取締役会にて報告します。
②具体的な施策
(i)求める人材の育成と輩出
▲人材戦略の概要図
<人材の一層の活躍 -従業員の主体的なキャリア開発支援>
◆従業員の主体的なキャリア開発
従業員の主体的なキャリア開発を支援するため、「キャリアデザインサイクル」を回していく仕組みを整備しています。具体的には、以下の3つのステップで構成されます。
1. WILL(なりたい自分を描く): 毎年実施される「マイキャリア」面談を通じて、上司と将来のキャリアについて話し合い、実現したいことや理想の自分を明確化します。
2. CAN(できることを把握する): スキルマップを活用し、自身のスキルを客観的に把握し、成長すべき領域を特定します。
3. MUST(求められる役割を知る): 定期的な面談や日常的な1on1を通じて、上司と期待される役割について認識を共有し、自身のWILL、CANとの整合性を確認します。
このサイクルを継続的に回すことで、従業員が自身のキャリアプランを具体化し、実現に向けて主体的に行動することを目指しています。
◆全社共通スキルマップの導入
従業員一人ひとりがコアスキルの向上に取り組める環境整備を進めています。これまで各職場で個別に作成・運用してきた専門スキル(テクニカルスキル)についても、全社で運用できる粒度で作成し、全社共通スキルマップとして展開しました。
また、従業員個人が保有する専門スキルの点検と並行して、事業ポートフォリオ最適化のため、事業戦略に則した優先度の高い専門スキルの特定を進めています。優先度の高いスキルを保有する従業員が不足している場合には、充足に向けた取り組みも並行して検討していきます。
<経営人材の育成・管理 -将来を担う人材の育成>
◆次世代経営人材の育成
次世代の経営を担う人材を発掘・育成するため、グローバル次世代経営人材育成プログラム「HAGI」、次世代リーダー育成プログラム「日特ビジネススクール」などのプログラムを実施しています。HAGI及び日特ビジネススクールの卒業生は、当社グループのコアポジションで活躍しています。各国・各地域においても、域内選抜による人材育成プログラムを策定・開催し、経営に資するリーダーシップの育成に取り組んでいます。
グローバルにビジネスが拡大する中で、すべてのグループ会社から次世代経営を担う人材を発掘・育成するため、2016年から「グローバル次世代経営人材育成プログラム」を開講しています。国籍を問わず、Niterraグループ内の部長クラスの次期経営候補人材に対し、経営者に求められる軸の考察などを探求するプログラムを実施しています。
このプログラムは、幕末期に多彩な人材を輩出した松下村塾の発祥地(山口県萩市)にちなんで「HAGI」と名付け、会長の尾堂が塾長を務めています。HAGIは、全社視点の実践を重視した相互に学び合う場として継続的に開講しており、将来の当社グループを担う志と使命感を持った人材を育成し、輩出しています。
<外部専門人材の獲得 -戦略的採用>
◆採用戦略
事業環境の変化に迅速に対応し、人材ポートフォリオの最適化を図るため、管理職クラスを含め、本社部門や新規事業部門、IT部門を中心にキャリア採用を積極的に進めています。
また、急速に進展するグローバル化に対応し、多様な人材の活躍を促進するため、外国籍従業員の採用を行っています。新卒採用においては、外国籍従業員を継続的に採用しており、近年は、日本の大学への留学生のみならず、海外の大学でより専門性を身につけた外国籍従業員の採用にも力を入れています。
さらに、多様な人材が活躍できるよう、女性や障がい者の雇用機会拡大にも積極的に取り組んでいます。キャリア採用者や外国籍従業員を含め、様々なバックグラウンドを持つ人材がそれぞれの能力を発揮できる環境を整備することで、グループ全体のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進しています。
(ii)企業風土文化の醸成、環境整備
当社は、従業員一人ひとりが持つ多様な個性を尊重し、その能力を最大限に引き出すことができる組織風土・文化の醸成に努めています。
従業員一人ひとりがそれぞれの個性と能力を活かし、最大限に活躍できるよう、最適なサポート体制を構築し、公平な機会を提供することで、従業員のエンゲージメント向上と、組織全体の活性化を目指しています。
<DE&I -多様な人材が個性と能力を発揮できる環境>
◆多様な人材が働きやすい環境の整備
男性の育児休業が取得しやすい環境整備の一環として、上司や子育て世代それぞれに向けた育児・介護休業法改正セミナーや育児と仕事の両立戦略セミナーなどを開催しました。その結果、2024年度の男性の育児休業及び育児目的休暇の取得率は、グループ全体で69.68%となっています。
また、従業員が自身のキャリアと向き合う施策として、キャリア相談窓口の設置に加え、45歳や55歳など対象者を絞ったキャリア研修を開催しています。
加えて、従業員一人ひとりが年齢に関わらず能力を最大限に発揮できるよう、2025年4月より雇用継続制度を改定しました。役割・成果に応じた処遇体系を構築し、従業員がこれまで培ってきたスキル・知見を活かして当社グループでの更なる活躍を促進することで、エンゲージメントの向上を図ります。
◆社内におけるDE&Iの推進
「誰もが自分らしく活躍し続けられる環境」を職場で実現できるよう、DE&Iの更なる推進に取り組んでいます。
具体的には、従業員と一緒にDE&Iについて考え、推進していく期間として「DE&I WEEK」を毎年開催しています。2025年は、外部の有識者を招き、DE&Iの要素の一つである「インクルージョン」について、その重要性と、組織内で実現するためのコミュニケーションについてお話しいただきました。その他にも、リーダー・上司向けのワークショップ、経営層からのDE&I推進に関するメッセージ発信、従業員同士のコミュニティサイト開設などを行い、「DE&I WEEK」を通じて、従業員がDE&Iを自分事として捉え、アクションを起こす機会を創出しました。
また、管理職を対象にダイバーシティをはじめ、Niterraウェイやコンプライアンスなどをテーマに、「耳にタコ(MT)」ができるまで繰り返し受講するMT研修もおこなっています。
これらの活動やDE&Iに関する様々な情報は、全社へ向けて、毎月「ダイバーシティフォーラム」を発行しており、定期的な周知・理解浸透に努めています。
さらに、従業員一人ひとりの人権を尊重し、多様性や個性を大切にする取り組みの一環として、2024年12月より、同性パートナーシップに関する制度を拡充しました。具体的には、同性パートナーシップを宣誓している従業員も、異性婚の従業員と同様に、慶弔金や結婚時特別休暇などの福利厚生制度を利用できるようになりました。今後も、すべての従業員が安心して働ける環境づくりを目指して、制度の拡充を進めてまいります。
<働き方改革 -働きやすさの醸成>
◆働き方改革
「2030 長期経営計画 日特BX」で掲げた働き方改革の目指す姿を実現するため、従業員一人ひとりが多様な働き方を選択できる環境の整備に継続的に取り組んでいます。従業員が、自身の状況や希望に合った働き方を多様な選択肢の中から選択することで、「価値を創造し続けられる、自律した人材」を育成し、従業員のパフォーマンス最大化とエンゲージメント向上を目指します。
具体的には、2023年度より、短時間勤務者のフレックスタイム勤務制度を導入しております。これにより、短時間勤務者も勤務時間を柔軟に選択し、仕事とプライベートの調和を図りながら効率的に働くことが可能になりました。
加えて2024年度には、遠隔地勤務制度を導入し、従業員が場所に制約されることなく柔軟に働くことを可能にするとともに、遠隔地に住む優秀な人材の確保や離職の防止を図っています。また、国外にある家族居住地からのリモートワークも導入し、従業員が最適な働き方を選択できる環境を整備しています。
このように、柔軟な働き方の拡充によって、従業員一人ひとりがライフステージに応じた働き方を選択し、自分らしいキャリアを実現することを後押ししていきます。
◆健康経営の取り組み
持続的な成長を実現するため、従業員の健康を重要な経営資源の一つとして捉え、従業員一人ひとりの健康増進を図り、「健康経営」を推進しています。2017年12月には当社グループの「健康経営宣言」を策定し、「生活習慣病対策」「メンタルヘルス対策」「受動喫煙対策」の3つの観点から各種施策を推進しています。
特に、従業員の健康管理の基礎となる健康診断の受診率向上に注力しており、100%を達成しています。また、婦人科検診やピロリ菌検査など任意検診の受診促進にも取り組んでいます。さらに、生活習慣病対策を目的とした「健康チャレンジキャンペーン」を展開し、目標達成者にカフェテリアポイントを進呈しています。
受動喫煙対策では、2023年4月より敷地内全面禁煙とし、それに伴い社内禁煙外来を開設しました。
これらの健康経営施策を、当社のみならずグループ会社にも順次展開し、グループ全体で従業員の健康増進に取り組んでいます。
<エンゲージメントの向上 -働きがいの醸成>
当社グループでは、従業員の多様性・個性を尊重し、自律した人材を育成するため、エンゲージメント向上を重要課題と認識し、改善活動に取り組んでいます。
従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みとして、組織課題を可視化し、組織改善に繋げるため、従業員意識調査を実施しています。調査結果については、役員へのフィードバックを行い、対話を通して取り組むべき課題を検討し、改善活動へと繋げています。
活動の具体例としては、人事部門が中心となり、若手社員や課長へのヒアリング、ワークショップなどを実施し、各組織の改善活動を支援しています。また、各部門での改善活動事例の共有会を実施し、好事例を水平展開することで、組織全体の改善を促進しています。
さらに、エンゲージメント向上の意義やサーベイの目的を上長から各部門の従業員へ共有するとともに、2022年度より従業員意識調査の結果を役員賞与算定に用いる指標の一つとして採用し、エンゲージメント向上に向けた取り組みを加速させています。これらの結果、現在の中期経営計画期間においては、従業員意識調査への回答率が96%台を維持しており、総合満足度も年々向上しています。
今後は、組織改善の取組に留まらず、各職場で一人ひとりのキャリア自律を支援することで、グループ全体のエンゲージメント向上に取り組んでまいります。具体的な目標値として、2025年以降は、エンゲージメントサーベイにおける動機付け要因項目の平均点を、2025年3月期時点の3.37から、2030年3月期に3.56へ向上させることを掲げています。
③リスク管理
当社グループは、持続的な成長を担う多様な人材の確保・育成を最重要課題と考えています。このため、専門性を持つ多様な外部人材の獲得を進めるとともに、グループ全体のコアポジションの人事については、経営会議での議論を経て戦略的に育成・配置しています。さらに今後は、グローバルを視野に取り組みを進め、人材の質と量の充足に努めてまいります。
④指標と目標
当社は、多様な人材の確保を重要な経営戦略の一つとして位置付けており、数値目標として2030年までに、取締役の女性・外国籍比率を30%以上、管理職の女性・外国籍・キャリア採用比率を25%と定めています。これらの指標は、性別や国籍のみにとらわれる意図で設定されたものではなく、多様な個性と特性を受け入れ、活かす組織づくりを目指したものです。当社グループは、この目標達成にコミットし、積極的に取り組んでまいります。
取締役の女性・外国籍比率については、経営の意思決定に大きな影響力を持つことから先行して推進し、2023年度末時点で目標を達成しており、2024年度末時点で取締役全体に占める女性比率は、36%(4/11名)です。
管理職の女性・外国籍・キャリア採用比率については、2024年度末時点で26.9%となり、目標値の25%を達成しました(*)。
管理職クラスの女性比率が低いことが、男女の賃金格差を生む主要因の一つであるため、新たに女性管理職比率についても、2030年までに10%とすることを目標に掲げ、各種人事施策を推進しています。
(*)管理職の女性・外国籍・キャリア採用比率は、2025年3月末日時点における、管理職全体に占める女性、外国籍、及びキャリア入社者の割合です。なお、管理職とは、職務の内容及び責任の程度が「課長級」以上に相当する者を指します。当社には、管理職級の専門職がいますが、上記には含めていません。