2024年9月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,265 100.0 695 100.0 54.9

事業内容

3【事業の内容】

1.事業の概要

 当社は、位置情報等を必要とするお客さまに対して、衛星測位による測量、GNSS(※1)測位により発生したメートル級の誤差をセンチメートル級までに補正する情報を配信しております。GNSS測位とは、GPSなどに代表される衛星が発信する電波を利用して、受信機の緯度、経度、高度等を測定する方法であります。位置情報等を求めるにあたっては、近年、GPSをはじめGNSS衛星を使って測位することが身近になってきておりますが、衛星からの情報(単独測位 ※6)だけではどうしてもメートル級の誤差が生じてしまいます。より正確な位置等を求めるためには、その誤差を補正する作業が必要であり、当社の補正情報等を利用することで、その誤差を補正しセンチメートル級の高精度な位置情報等を求めることが可能になります。

 ・誤差が発生する原因と補正情報等について

 GNSSによる位置情報等の測位は、GNSSからの電波を取得するまでに要した時間を用いて行います。しかし、GNSSから発信された電波は大気層(※8)を通過する際、電離層(※9)と対流圏(※10)で電波速度に影響が発生するため、測位結果にメートル級の誤差が生じてしまいます。また、電波を受信する場所によっては、周辺の建物による電波の反射や回折(※11)などの影響も受けてしまいます。当社は、既に位置情報が分かっている箇所(電子基準点 ※12)からの当該既知情報と計測地点(未知点 ※13)の情報をもとに、これらの影響による誤差を解析して、当該誤差を排除することができるデータ(補正情報等)を配信しております。

 なお、当社は、GNSS補正情報配信サービス等の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。

 

2.当社のサービスの体系

 当社は、お客さまが現在の位置を正確に把握するためにリアルタイムに補正データを提供するリアルタイムデータ配信と、ドローン等で取得した観測記録を元に観測時の移動状況を後日分析の上、補正データを提供する後処理データ配信の2種類の配信サービスを行っております。サービスに関する料金体系については、リアルタイムデータ配信サービスにおいては「従量プラン」、「定額プラン」、「年間契約プラン」、後処理データ配信サービスにおいては「後処理専用プラン」を設けておりますが、利用台数や方法に応じて個社別に契約等を締結する場合もあります。また、どちらのサービスを利用いただく際も、初回登録料を頂いております。さらに、初めて当社のサービスを利用されるお客さま(建機・農機・特殊車両等ご希望になるお客さま)に向けて、通信機器の販売も行っております。電源を入れると、すぐに当社のデータセンターと接続を開始して補正データを受信するため、お客さまは接続設定等の煩わしい作業を行うことなく、簡単に使用を開始できる環境を提供しております。

 

(1)リアルタイムデータ配信

 当社のサービスを利用するお客さまは、ネットワーク通信を介して、お客さま側で単独測位した観測結果である位置情報を当社に送信した後、当社から送信した位置に対する補正データを受信し、お客さま側の機器で解析(基線解析(※14))することで、リアルタイムに高精度測位を行うことが可能になります。補正データを作成するに当たり、一般的には観測現場毎に基準局(既知点(※16)・基準点(※17))を設置する必要がありますが、当社のサービスは、国土地理院が日々管理している電子基準点情報を基に作成するため、それらが不要となります。

 このリアルタイムデータ配信は、「仮想点方式」「電子基準点方式」のいずれでも利用することが可能であります。

 この方式の違いは、補正データとして使用する基準局が、任意の位置に仮想的に生成された仮想点か、国土地理院の電子基準点かの違いで、お客さまの用途によって使い分けることができます。

 

(i) 仮想点方式(VRS(※18)方式)

 仮想点方式は、観測位置の近傍に仮想的に基準局を生成し、仮想点からの基線解析を行うことで、高精度な位置情報を求める方式です。

仮想点は、国土地理院の電子基準点の成果と高精度な現在座標をもとに誤差要因を補正した理想空間における仮想観測データと地殻変動による推定計算を行った仮想の電子基準点であるため、極めてバラツキが少なくなっております。そのため、国家座標に整合した高精度測位が可能になっております。

また、物理的な基準局ではないため、台風や地震などの外部環境の影響を受けません。

(仕組み)

①お客さまが観測した単独測位(衛星のみで取得した概算位置)を当社に発信いたします(NMEA GGAフォーマット・・・GNSS受信機から測位結果として出力されるデータ形式の一つで、時刻や位置とGPS関連の情報をまとめたセンテンスの集合で構成されております)。

②当社は、衛星から発信され電子基準点が受信する測位衛星信号と、地殻変動補正を行った高精度な位置座標を使用して、お客さまの近傍に受信機が出力した概略位置の仮想観測情報(仮想位置と観測情報)を作成いたします(これが仮想点になります)。

③当社から補正情報をお客さまの受信機に発信いたします(RTCM(=Radio Technical Commission for Maritime Services)形式・・・補正情報を送信するための標準フォーマット)。

④受信機は補正情報を入力、解析し、測量地点の正確な位置(国家座標又は測量法に基づく座標)を求めることができます。

 

 

(ⅱ) 電子基準点方式

 電子基準点方式は、観測地点の最寄りの国土地理院の電子基準点の実観測データを使った補正データを受信機に配信し、基線解析することで、高精度な位置情報を求める方式です。

 利用する電子基準点は観測開始時に取得し、観測終了するまで利用いたします。特に、島しょ部では、VRS方式での観測ができない可能性があるため、直接的な観測で活用されるという特長があります。

(仕組み)

①お客さまが観測した単独測位(衛星のみで取得した概算位置)を当社に発信いたします(NMEA GGAフォーマット)。

②当社はリアルタイムの電子基準点情報を保持しており、概略位置に近い電子基準点1点のRTK(※19)データを利用者に配信いたします(RTCM形式)。

③受信機は電子基準点情報を解析し、測量地点の正確な位置を求めることができます。

 

(2)後処理データ配信(PPK(※20)方式)

 後処理データ配信は、現地でのネットワーク通信を必要とせず、お客さまが単独で衛星測位を行った後に、その観測したデータと、当社が配信する後処理データによって高精度な位置情報を取得することができます。

基準局については、リアルタイムデータ配信の仮想点方式と電子基準点方式と同様に、物理的な機器の設置は不要であり、指定された座標で仮想的に生成する方法と、あるいは電子基準点を指定することで取得できる方法があります。

後処理データは、当社のWebサイトにおいて観測した日時と座標の入力、あるいは電子基準点を指定し、ダウンロードすることで入手できます。

 

(ⅰ) 仮想点データ

 仮想点データは、お客さまが任意座標と観測した時間帯を指定し、その指定した位置と時間帯に仮想的に基準局設置した時の、後処理データであります。

 

(ⅱ) 電子基準点データ

 電子基準点データは、お客さまが利用する電子基準点と観測した時間帯を指定し、その電子基準点の観測データを基に作成された後処理データであります。

 

 

 

3.当社サービスの特長及び強み等

(1)国土地理院の電子基準点約1,300点を活用した仮想点方式による配信処理、測地成果(※21)への整合

  当社の配信サービスは、国土地理院によって全国に設置された約1,300点の電子基準点網(GEONET(※22))を活用しており、高精度で安定した補正データを提供しています。

  仮想の基準局の生成には既知点である電子基準点のデータが必要で、理論的には、使用可能な電子基準点が高密度であるほど精度の高い補正データを提供することができます。当社では業界最多水準の全て(=約1,300点)の電子基準点網の中から観測位置から最寄りの3点を自動的に選定しております。また、当社が配信する補正データは「測地成果2011」(国土地理院が公表している最新座標値)に整合しているため、公共測量の際に用いることができます。

(2)地殻変動の影響も加味していること

  日本及び周辺には複数のプレートが有り、さまざまな力が加わって複雑な地殻変動が生じております。その変動量は、年間0.2ppm(100kmで2cm)程度であることが知られています。そのため、公共作業を行う場合は、補正して国家基準点に準拠させる必要があります。当社では定期的に計算する理想空間座標を使用して推定計算を行う方法により、国家基準点に準拠した高精度の補正情報を生成してお客さまに提供しています。

(3)電子基準点で対応している全ての衛星システムに対応

米国のGPSをはじめ、ロシアのGLONASS、日本のQZSS(みちびき)、EUのGalileoに対応しています。複数のGNSS信号を受信することで、常に安定した数のGNSS信号を受信できます。このことは観測する様々な環境下において安定した精度をもたらします。

(4)観測支援ツールの提供

  当社では、スマートフォン及びWebアプリの「J-View®」(※23)や、衛星飛来予測ツールなど、観測支援ツールを提供しています。「J-View®」は、当社が提供する現場観測支援サイトで、ネットワーク型GNSSサービス(JENOBA方式)を利用した観測状況を事務所PCやスマートフォン等で確認ができるサービスです。衛星飛来予測ツールは、観測地域、観測日時及び時刻を指定することで、そのときの衛星の配置、測位精度への影響度を計算します。

(5)GNSS受信機別の技術検証に合格したデータ配信であること

  GNSS受信機はメーカーごとに異なるため、GNSSの電波から受け取る信号の取り扱いもそれぞれのGNSS受信機ごとに異なる場合があります。その場合、正しいデータ生成を行うためには補正が必要となります。当社は、測量業務に適した最高水準の配信を実現するため、仮想点の座標指定や変更機能など、継続作業・点検作業に最適の利用環境を、多くのGNSS受信機メーカーと共同で開発・検証しています。

(6)補正情報の品質チェック、配信システムの冗長化

  当社では、電子基準点のデータを24時間365日監視し、補正データ等の品質をチェックしています。例えば、太陽フレア等に起因する障害が発生していないかの監視等も行っており、データ的な問題があれば注意喚起するなどの対策を講じています。また、安定して品質の高いサービスを提供するために、解析用電子基準点の高密度化を図っており、解析用ソフトウエアの研究やテストを継続的に行っており、常に最適なデータ生成の研究を行っています。さらには、配信システム及びデータセンター等の冗長化を実現し、サーバー自体の物理環境の保護に加え、電源やセキュリティの強化、メンテナンスの充実により、配信を停止しないシステムの構築に努めております。サーバーの開発・テスト環境との分離により配信用のサーバーには負荷はかからず、商業用として独立で機能しています。当該サーバーの管理は全てリモートコントロールで行うことができ、当社の技術者の管理により24時間体制での配信サービスを提供しています。

 

4.当社サービスの利用事例

測量・土地家屋調査

 測量分野における衛星測位において、GPS測量から始まり、近年ではGLONASS、Galileo、準天頂衛星など、数多くの衛星が使用可能となっています。国土地理院が定める公共測量作業マニュアルにおいても、マルチGNSS測量(※24)の利用ができるようになりました。マルチGNSS化により、ネットワーク型RTK(※25)-GNSS測位の使用用途が広がっています。

測量業務

土地家屋調査

位置出し・土量計算

 道路や建物を建てる前など、位置情報を計測するためには測量業務が必要となりますが、現在はネットワーク型RTKが多くの場面で利用されています。

 従来は複数人が複数の受信機を使うなどしておりましたが、当社のような技術を用いることで、受信機1台での作業が可能となり、公共測量や公共工事の効率向上につながっています。

 測量業務の多くは公共作業(国家座標を使用)となることから非常に高い精度が求められます。

 当社が配信するデータはこの国家座標に整合し、精度が常に安定したものとなっております。

 365日24時間、全国での利用が可能です。

 不動産登記時に行われる筆界(土地の範囲、区画)の特定のための測量を行います。この分野でもネットワーク型RTKの利用が進んでいます。

 土地家屋調査士が登記する図面(地積測量図)は土地の境界を明らかにし、登記することが重要であり、そのためには非常に高度な測量技術が必要となります。

 当社の技術は、登記する土地を測量するための基準点測量作業に主に使用されます。

 また、地籍測量(※26)においても単点観測法が承認され、直接的に筆界を図ることが可能になり、さらなる効率化が図られています。

 工事は設計図に従って行われますが、設計図に記載されている位置を現場に目印をつける必要があり、その作業を「位置出し」と言います。

 土木工事や造成工事など土を掘削したり盛土したりする時に土量の体積を計算します。従来は設計図に記載のある基準点からの距離や角度から測量作業を行って位置を割り出していましたが、ネットワーク型RTKを利用することによって、直接位置を指定することができるようになり、作業の大幅な軽減を実現することができました。

 工事測量においては、雨・風・雪・夜間等、様々な環境下で安定した精度で使用できる必要があります。当社のサービスを使用した位置出し等はどのような場面でも、安定した精度で使用が可能であります。

 

 

ICT施工

 国土交通省は、建設現場の生産性向上と魅力ある建設現場に向けて、測量・設計・施工・管理の全プロセスにおいて、情報化施工を前提とした新基準 『i-Construction』を2016年度より導入いたしました。現在はICT土工、ICT舗装工に続き、ICT浚渫工・ICT地盤改良工など全国で取り組みが進んでいます。

 使用されるICT建機において、施工精度が必要になるため、GNSS測位を用いて高精度な位置情報を取得し、3次元設計データとの差分によって自動制御やガイダンスが可能になりました。これにより習熟度の浅いオペレーターでも、効率的に施工ができるようになります。

ドローン測量

マシンコントロール

出来形管理

 工事の着手前に現状の形状を把握するために行う起工測量や施工後に実施する出来形測量(※27)等で利用されています。

 ネットワーク型RTK-GNSS測位を活用することによって、カメラ位置に座標を持つことが可能になり、正確な位置情報を把握できるドローンとしてカメラ撮影で測量を行い、標定点設置等の観測業務やデータ解析等における従来作業からの効率化を図ることができました。

 リアルタイムの座標確定には高精度が求められます。近い将来、LTEを搭載したドローンが主流になることが予想されます。

 機械の刃先などの位置情報を把握することで、高精度な施工をすることができます。また、施工履歴データとしても利用されます。

 3次元化されたデジタル図面を基に施工が行われます。その際に使用されるICT機器が図面の位置と正確に合致する必要があるため、高精度な位置情報は、3次元ICT施工では重要な要素です。

 この分野においてもネットワーク型RTK-GNSS測位は欠かせない技術になっています。

 出来形管理とは、施工された構造物が発注者の意図する規格基準に対して、どの程度の精度で施工されたか、その施工技術の度合を管理することです。

 設計された図面通りに施工が実施されているか座標管理等を最終的に確認する必要があります。

 その際に高精度な位置座標を必要とします。位置情報が安定的に高精度でなければ施工現場での座標管理ができない事になります。

 当社のサービスを利用することで、シームレスな作業工程でワンマン測量等に利用されるようになりっております。

 

IT農業

 国内における農業の現場では、依然として人手に頼る作業や熟練度が必要な作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減が重要な課題です。そこで、日本の農業技術にICT技術(スマート農業)を活用することで、省力・軽労化をさらに進めることができるとともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待されています。

GNSSガイダンスシステム

GNSS自動操舵システム

ドローンによる農薬散布、育成管理

 トラクターにGNSS受信機と表示用ディスプレイを搭載し、農作業機械の作業幅に合わせて作業経路を誘導するシステムです。

 ユーザーは、表示された設定ラインからの離れ量を見ながらハンドル操作を行い、作業した場所が色塗りされ、作業部分が明確に判るようになります。

 例えば、田植え機においては、苗のラインを高精度データであればぶれなく揃えることが可能です。

 左記ガイダンスシステムでは、表示機を見ながらオペレーターがハンドル操作を行うことになりますが、自動操舵システムは、設定したラインからの離れ量を計算し、その差分を戻すようにハンドルを自動で制御させるシステムです。

 オペレーターはハンドル操作に集中することなく、牽引している作業機械のコントロールに集中することができます。

 ドローンの位置情報を把握し、自動航行技術による農薬散布や、センシング技術による農作物の育成管理を行います。

 農薬散布は作業時の平面の位置及び高さが重要です。仮に高さが最適でなければ農薬の濃度が変わることになります。

 

その他

 ドローン測量、ドローン物流、さらには、公共事業等で建設・整備されたものの、かなりの年数を経年した橋・道路・その他の各種インフラ点検時などに導入されるドローン点検のようなドローン分野における利活用、また、自動車をはじめとした運行管理などのモビリティ分野でも衛星測位の利用が研究されています。

 

 当社の事業系統図は以下のとおりであります。

 

〔事業系統図〕

 

  ※1 GNSS(読み:ジーエヌエスエス)

 Global Navigation Satellite Systemの略語であり、GPS(アメリカ国防総省が運営、Global Positioning System ※2)、QZSS(日本の準天頂衛星、Quasi(準)-Zenith(天頂)Satellites System ※3)、GLONASS(ロシア宇宙軍が運営、Global Navigation Satellite System ※4)、Galileo(EUが運営 ※5)等を用いた衛星測位システムを指します。GNSSのみを用いた単独の測位ではメートル級の誤差が発生します。

※2 GPS(読み:ジーピーエス)

 Global Positioning Systemの略語であり、アメリカ国防総省が航空機や船舶の位置を求めるために開発した衛星測位システムです。地球をカバーする24個の衛星で構成される「宇宙部分」、衛星の軌道の監視と発信電波の制御を行う「管制制御部分」、航空機や船舶等の位置を決定するための「利用者部分」の3つから構成されています。

※3 QZSS(読み:キュージーエスエス)

 Quasi-Zenith Satellites Systemの略語であり、日本が運営する測位衛星で現在4機打ち上げられ全7機構成の測位システムです。8の字軌道が特徴で天頂に1機は見えるため、どこでも測位できることが期待されています。QZSSの他に、「みちびき」「準天頂衛星」とも呼ばれています。

※4 GLONASS(読み:グロナス)

 Global Navigation Satellite Systemの略語であり、ロシア宇宙軍が運営する航空機や船舶の位置を求めるために開発した衛星測位システムです。

※5 Galileo(読み:ガリレオ)

 欧州(EU)が運営する全地球衛星測位システムで、GPSやGLONASSと同様に全世界での利用が可能です。AltBOC型と呼ばれる信号があり、E5信号のE5aとE5bを1つに合成したもので、マルチパスに強いという特徴があります。

※6 単独測位

 1台の受信機で同時に4個以上の測位衛星から電波を受信し、各衛星からの距離を算出して測位する方法です。距離の算出には測位衛星から送信される搬送波に乗ったC/AコードやPコードを利用します(元々GPSは軍用と民生用の測位信号を発信するように設計されており、軍用コードはPコード(= Precision Code)、民生用コードはC/Aコード(= Clear and Acquisition Code)と呼ばれます)。この方法は、衛星の位置誤差や衛星からの電波が対流圏や電離層を通過するときの電波の遅れなどから、測位精度が概ね数10m程度の誤差になります。そのため、相対測位(※7)の方が精度は良くなります。

※7 相対測位

 2台以上の受信機で同時に4個以上のGNSS観測を行い、衛星信号が受信機に到達する時間差を測定して2点間の相対的な位置関係を算出します。

※8 大気層

 大気は4層構造をしており、下から「対流圏」「成層圏」「中間圏」「熱圏」と名付けられています。各層の境界の高度は、概ね10km、50km、80kmで、気温変化に着目して分けられています。この大気圏の外側は一般に宇宙と呼ばれています。

※9 電離層

 地球大気の領域の一部ですが、太陽からの紫外線やⅩ線によって地球大気(酸素や窒素)の分子や原子が電離され、プラズマ状態になった領域です。 電離層は電気伝導度が高い"導体"であり、電波を反射いたします。

※10 対流圏

 地球の大気の層の一つで、大気の鉛直構造において一番下(高度0kmから約11km)、地表と成層圏の間に位置します。 成層圏との境界は対流圏界面と呼ばれています。

※11 回折(読み:かいせつ)

 媒質中を伝わる波(又は波動)に対し障害物が存在する時、波がその障害物の背後など、つまり一見すると幾何学的には到達できない領域に回り込んで伝わっていく現象のことを言います。 障害物に対して波長が大きいほど回折角(障害物の背後に回り込む角度)は大きくなります。

※12 電子基準点

 国土地理院が所管する全国約1,300ヶ所に設置されたGNSS連続観測点であり、GNSS測量の基準点データとして使えるように2002年5月から民間開放されています。これら電子基準点と茨城県つくば市に設置されたGNSS中央局からなる、高密度かつ高精度の測量網の構築と広域の地殻変動の監視を目的としたシステムを総称して、

GEONET(GNSS Earth Observation Network System ※22参照)と呼びます。

※13 未知点

 位置や高さを、与点からの測量により求める点です。求点ともいいます。

※14 基線解析

 干渉測位(※15)において、各受信機によって記録された位相データを解析して基線の長さと方向を決定する手続きを言います。

※15 干渉測位

 2つの受信機からある衛星までの距離の差(行路差)を搬送波の位相を使ってもとめ、基線ベクトルを決定する計測方法です。したがって、受信機ではそれぞれの搬送波の位相角を測定することになります。

※16 既知点

 座標値や標高が既に与えられている点で、この点を使って求点(又は未知点(※13))の座標値や標高を求める時に使います。

※17 基準点

 地球上の位置や海面からの高さが正確に測定された電子基準点(※12)、三角点、水準点等から構成され、地図作成や各種測量の基準となるものです。これらの基準点は、全ての測量の基礎として、公共測量、地籍測量、地殻変動観測等に使用されています。

※18 VRS(読み:ブイアールエス)

 Virtual Reference Stationの略語であり、GNSS測位の精度向上や生産性向上を図る目的で開発されたネットワーク型GNSS測位技術の一つです。60km程度の間隔に配置されたGNSS固定観測局で、GNSS衛星から発せられる電波を常時モニタリングすることにより、上空の電離層、対流圏の状態や衛星の軌道に関する情報を掌握し、それらの誤差要因を考慮し固定観測局情報として移動観測局に提供するものです。 リアルタイムにセンチメートル精度の位置を決定できる「RTK固定観測局情報」と、サブメートル精度の位置を決定できる「DGPS固定観測局情報」並びに、後処理解析によってミリメートル精度の位置情報を決定できる「後処理データ」があります。 さらにリアルタイムの補正情報サービス形態としては、携帯電話などを利用する双方向通信と、テレビやラジオ電波のような放送型に分けられます。

※19 RTK(読み:アールティーケー)

 Real Time Kinematic(リアルタイムキネマティック)の略語であり、GNSS測位の相対測位(※7)の一種です。座標既知点である固定観測局からその地点の位置座標と観測情報を携帯電話や無線モデムを利用して移動観測局に送信し、移動局では送られてくる固定局の情報と自局の観測情報を利用して即座に移動局に於ける位置情報を求めるものです。精度は概ね誤差1cm程度で、後処理解析に比較して若干劣るところがありますが生産性は大きく変わるため、土木・測量業界では期待されている測位方法です。

※20 PPK(読み:ピーピーケイ)

 Post Processing Kinematicの略語であり、後処理キネマティック方式のことです。GNSS受信機を設置した固定局と移動局の2台で同時観測したデータを後処理解析して移動局の座標を求める方式になります。

※21 測地成果

 日本国内の位置(緯度・経度・高さ)を表した現在の測地基準(測地基準点=電子基準点・三角点・水準点等)であり、現在の「測地成果2011」(JGD2011)は、2011年10月に公開されました。2002年4月に日本測地系から世界測地系に移行した際は「測地成果2000」(JGD2000)が定められていましたが、東日本大震災による地殻変動に伴い、新たに測地成果2011(JGD2011)が定められました。

※22 GEONET(読み:ジオネット)

 国土地理院が、全国約1,300ヶ所の電子基準点を使用し地殻変動監視・高精度な測位網構築を目的とした観測システムになります。

※23 J-View®(読み:ジェイビュー)

 当社が提供している現場観測支援のスマートフォン及びWebアプリです。年間契約・定額・従量の各プランをご契約のお客さまには無償でご利用いただいております。本アプリでは以下の情報が判別できます。

・ジェノバのサーバーへの接続の有無

・概略位置情報の着信状況

・観測中の測位品質(未測位、単独測位、FLOAT、FIX)

・配信衛星数(GPS8、QZS1等、計個数)、共通衛星数(個数)

・利用している電子基準点名(電子基準点RTK利用時)

・基線長

・観測位置情報(緯度、経度、高さ:楕円体高)、地図表示

 なお、J-View®に表示される情報は、観測者から当社のサーバーに送信されたデータを基に表示されますので、観測位置に居なくても測位状況を確認できます。

※24 マルチGNSS測量

 マルチGNSS測量とはGPS、QZSS(準天頂衛星システム)、GLONASS及びGalileoの人工衛星からの信号を用いて位置を決定する測量のことを言います。

※25 ネットワーク型RTK

 ネットワーク型RTKとは、お客さまが現場で取得した衛星データと、周辺の電子基準点の観測データから作成された補正情報を組み合わせ、リアルタイムでセンチメートル級の測量を効率的に行う方式です (RTK:リアルタイムキネマティック)。お客さまが現場に基地局(基準点)を設置する必要はありません。当社はこの補正データを生成し配信しています。

※26 地籍測量

 土地登記に必要な所有者、地番、地目の調査や境界、地積(水平面上に投影した土地の面積)の測量のことを言います。

※27 出来形測量

 工事施工が完了した部分の測量のことを言います。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は3,699,453千円となり、前事業年度末と比較して332,039千円の増加となりました。これは主に、利益の計上に伴う現金及び預金の増加338,875千円、商品の減少9,156千円によるものであります。固定資産は284,395千円となり、前事業年度末と比較して159,859千円の増加となりました。これは主に、投資有価証券の取得100,443千円、保険積立金の積立91,650千円による増加の一方で、工具、器具及び備品の減価償却費の計上36,960千円によるものであります。この結果、総資産は3,983,849千円となり、前事業年度末と比べ491,898千円の増加となりました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は373,822千円となり、前事業年度末と比較して27,055千円の増加となりました。これは主に、年間契約の増加による契約負債16,723千円の増加の一方で、未払消費税等2,501千円の減少があったことによるものです。固定負債は61,765千円となり、前事業年度末と比較して9,028千円の増加となりました。これは、役員退職慰労引当金の増加10,422千円によるものであります。この結果、負債合計は435,588千円となり、前事業年度末に比べ36,083千円増加いたしました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産は3,548,261千円となり、前事業年度末と比較して455,815千円の増加となりました。これは主に当期純利益482,399千円の計上、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ13,750千円増加した一方、配当金の支払いにより54,392千円減少したためであります。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、インバウンド需要がコロナ禍前を上回るほどの状況にあり、また、官製春闘とも呼ばれる賃上げ実施が数多くの企業で行われたことが寄与するなどし、コロナ禍前と比べて個人消費にも持ち直しの動きが見受けられています。さらには、日銀がマイナス金利政策を解除し、金融緩和の修正に向けた第一歩を踏み出したことで、世界的にも異例な対応が続いてきた日本の金融政策は正常化に向けての大きな転換点となり、国債の買い入れを減額する方針を決定し、量的引き締めに向けて動き出しました。しかし、内外金利差、予見が難しい為替相場の状況、及び中国経済の今後の行方など、先行き不透明な状況が払拭されたとまでは言えない状況は依然と続いており、まだまだ慎重を期す状況にあります。

 衛星測位分野のビジネス環境は、用途の多様化ニーズが進む中、従前はBtoBでの利用が主なものではありましたが、BtoBtoCでの事例も出始めるようになり、着実に用途のすそ野が拡大してきています。

 また、政府主導で、官民による社会実装に向けた約10年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」においても、高精度位置情報が必要とされる領域は幅広く、引き続きその多様化と使用用途の拡大が進んでおります。さらには、本年の6月に、改正食料・農業・農村基本法が施行、農業の生産性向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律(スマート農業技術活用促進法)、いわゆるスマート農業法が本年10月に施行され、2025年度から5年間を「農業構造転換集中対策期間」と位置づけ、政府主導で農政の再構築に取り組んでいく方向性を示すとともに、生産方式革新の側面から農業者又はその組織する団体を、開発供給事業の側面から農機メーカーやサービス事業者等をそれぞれ支援し、農業分野における技術対応力や人材創出の強化のみならず、スマート農業に適した農業農村整備の推進、農業農村の情報通信環境の整備まで予算として組み込んでおり、ICT土木の分野と並び世の中が求める自動化・省人化のニーズとも相俟って、注目度の高いビジネス領域として大きく成長が期待できる分野へと変貌していくと思われます。

 このような状況下において当社は、上記にあるデジタルライフライン全国総合整備計画や従来からの政府の国土強靭化政策による災害対策に関連した予算の増加、災害の広域化と激甚化に対する防災の観点から、おおよそ日本国内全域で土木工事の必要性が求められている現状や、国を挙げての今後のスマート農業分野における求められるニーズに応えるべく、高精度の位置補正データを安定的かつ高品質に提供し、社会に求められる高付加価値のサービスとして展開するビジネスに邁進しております。

 業績面においては、測量分野において、お客様の屋外での活動に物理的に制限が出てしまう一昨年のような天候による影響等もなく、必要な公共測量作業に準じてお客様のご利用時間も順調に推移いたしました。ICT土木、IT農業分野においては、当社のサービスが必要とされている状況はさらに拡大しており、建機レンタル会社や道路会社、ゼネコン等からのニーズは強く、また、政府主導の計画もあり、国土交通省が進める土木ICT施工に利用できる工種が広がっており(今後も拡大が検討されております。)、政府が中小企業に対してICT機器の導入を補助金等で後押ししていることなども背景に、順調に契約者数の増加と利用時間の拡大につながっております。

 その結果、売上高は1,265,333千円(前年同期比4.9%増)となり、人件費の増加や上場後初めての株主総会費用や利用用途のすそ野拡大を見越して今まで接点をあまり設けていなかったような分野も含めた積極的な展示会の出展に伴う費用の計上等により販売費及び一般管理費がやや増加いたしましたが、営業利益は694,918千円(前年同期比6.7%増)となりました。営業外損益においてはとくに大きな計上は無く、経常利益は696,774千円(前年同期比8.7%増)となり、特別損益は無く、法人税等合計額を214,374千円計上したことで、当期純利益は482,399千円(前年同期比8.7%増)となり、売上・利益ともに過去最高であった前事業年度の業績を上回り、当事業年度においても過去最高を更新いたしました。

 なお、セグメント別の経営成績につきましては、当社はGNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して338,875千円増加し、3,510,827千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは主に法人税等の支払額206,425千円により資金が減少した一方で、税引前当期純利益696,774千円、減価償却費41,971千円を計上したことにより増加した影響で、572,460千円の増加(前事業年度は536,690千円の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは主に投資有価証券の取得による100,000千円の支出、保険積立金の積立による91,650千円の支出により、206,927千円の減少(前事業年度は6,963千円の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入27,500千円により資金が増加した一方で、配当金の支払額54,158千円により減少した影響で、26,658千円の減少(前事業年度は346,822千円の増加)となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略してお ります。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略してお ります。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社は、GNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントであるため、データ配信サービスと通信機器販売等にサービスを区分して記載しております。

 当事業年度の販売実績を単一セグメント内の項目ごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自2023年10月1日

至2024年9月30日)

前年同期比(%)

データ配信サービス(千円)

1,229,007

105.1

通信機器     (千円)

36,326

98.5

合計(千円)

1,265,333

104.9

 (注)1.当社の事業区分は、GNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントです。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合について、最近2事業年度において当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先が存在しないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成において、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」に記載しておりますが、重要な会計上の見積りを要する項目はないと判断しております。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当事業年度における重要なものはありません。

 

② 経営成績の分析

 当社の報告セグメントは、GNSS補正情報配信サービス等事業のみであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

(売上高、売上原価、売上総利益)

 売上高については、測量分野において、お客様の屋外での活動に物理的に制限が出てしまう一昨年のような天候による影響等もなく、必要な公共測量作業に準じてお客様のご利用時間も順調に推移いたしました。ICT土木、IT農業分野においては、当社のサービスが必要とされている状況はさらに拡大しており、建機レンタル会社や道路会社、ゼネコン等からのニーズは強く、また、政府主導の計画もあり、国土交通省が進める土木ICT施工に利用できる工種が広がっており(今後も拡大が検討されております。)、政府が中小企業に対してICT機器の導入を補助金等で後押ししていることなども背景に、順調に契約者数の増加と利用時間の拡大につながっております。その結果、売上高は1,265,333千円となりました。売上原価については、前事業年度と比べてサーバー等の固定資産の減価償却費が12,516千円減少し、商品原価が2,796千円減少したことなどで、16,734千円の減少となり231,664千円となりました。その結果、売上総利益は1,033,669千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は338,751千円となりました。主に給料及び手当の増加6,285千円、採用関連費用の2,116千円の計上により人件費18,840千円の増加となり、また、株主総会費用による支払報酬7,888千円の増加、積極的な展示会の出展費に伴う費用の増加により、32,182千円の増加となりました。その結果、営業利益は694,918千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は1,893千円となりました。主に有価証券利息677千円を計上したことにより1,111千円の増加となりました。営業外費用は37千円となりました。主に前事業年度に上場関連費用10,303千円を計上したことにより、10,662千円の減少となりました。その結果、経常利益は696,774千円となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純利益)

 特別利益、特別損失は発生しておりません。法人税等合計は17,038千円増加となり214,374千円となりました。その結果、当期純利益は482,399千円となりました。

 

③ 財政状態の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご確認ください。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご確認ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

 当社における資金需要は、主として運転資金とGNSS測位における位置情報の補正データを配信するサービスにおける設備投資であります。運転資金需要のうち主なものは、売上原価である商品原価、労務費、支払手数料等の経費や販売費及び一般管理費である人件費、販売手数料等であります。設備投資のうち主なものは配信サーバーの増強であります。これらの資金需要については、上場時に調達した資金を活用するとともに、自己資金及び場合によっては金融機関からの長期借入金による調達資金を充当することも選択肢の一つとして検討の視野には入れております。自己資金及び上記の資金調達を併用することにより、当社の事業を継続していく上で十分な手許流動性を確保するとともに、必要とされる運転資金及び設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。

 

⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、持続的な成長を目指し、継続的に事業拡大をさせるため、事業の成長性や収益性の向上に取り組んでいることから、期末時点のリアルタイムデータ配信における契約数を重要な経営指標として、持続的な事業拡大と企業価値向上を目標に、各経営課題に取り組んでおります。過去5ヵ年においても契約件数は順調に拡大しており、直近期においても、高精度な補正データを必要とする用途先の広がり等により堅調に拡大しております。なお、配信方法や1社当たりの契約件数等を踏まえ、提供料金(単価)は一律ではなく、今後、契約件数の増加割合に対して、売上の増加割合が小さくなる場合もございます。

 各事業年度末日の契約数は次のとおりであります。

回次

第20期

第21期

第22期

第23期

第24期

決算年月

2020年9月

2021年9月

2022年9月

2023年9月

2024年9月

期末契約数          (件)

6,678

7,393

7,903

8,529

9,064