2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 24,218 100.0 2,590 100.0 10.7

事業内容

3【事業の内容】

(1)当社の事業内容について

 当社は、ビルならびに工場、産業施設、大型マンション向けの高低圧配電盤、制御盤、分電盤などの配電制御設備をカスタムメイドで製作(顧客が指定する製品仕様に従い、一品毎に製作)する大手専業メーカーで、1940年の設立以来長い歴史を有しております。

 なお、当社は配電制御設備製造事業の単一セグメントとなっております。

(2)当社製品について

 当社の製品は、日本国内の大型・中型オフィスビル、病院、学校、工場、大型マンション等に設置されております。機能により高低圧配電盤、制御盤、分電盤等に区分されますが、多くの場合、それら一式を配電制御設備として受注しております。製品は重量物であり、かつ容積が嵩むこと、更にカスタムメイドの場合は納期が建築物の建築工程に深く組み込まれていること、受注から製造までの間に顧客から仕様変更を要求されることが多いこと等の特性により、国内の建築物向けとして、海外での生産には不向きな製品であり、ほとんどが国内企業によりまかなわれているものと思われます。

 外注に多くを依存する競合他社が多い中、当社は社内で研究から設計、製造、販売、アフターサービスまでの事業部門を有しており、柔軟な対応が可能な体制を敷いております。

[事業系統図]

 事業系統図は次のとおりであります。

 

[製品設置イメージ]

(3)当社が属する市場・競合他社について

 当社の製品は、日本国内の大型・中型オフィスビル、病院、学校、工場、大型マンション等に設置されており、これらの新築、リニューアル時に当社製品に対する需要が発生します。そのため、当社は国内の民間設備投資の動向による影響を強く受け易いと言えます。

 配電制御設備市場の業界団体である日本配電制御システム工業会に属するメンバー(正会員)は、2025年3月時点で約360社ありますが、その他地場需要に依存する零細企業や下請け中心に営む企業等が存在しており、全体でのメーカー数は2,000社にものぼると言われており、これらのほとんどは未公開企業により占められています。

 更に配電制御設備業界は標準的な型の配電制御設備を製造する標準型市場と、納入先にあわせてカスタマイズして製造するカスタム型市場の二つに分かれます。当社はカスタム型市場に属し、現在のところこの市場に公開企業はなく、当社がこの市場において競合企業として認知できる企業は未公開企業のみとなっております。

(4)改善活動について

 当社は永年積み重ねてきた生産方式に日々改善を加えております。徹底した生産拠点の効率性を追求し、製品品質の向上とリードタイムの短縮、コスト低減を目指し、改善活動に取り組んでおります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、良好な業況感により企業収益や設備投資が緩やかな増加傾向で推移しておりま

すが、米国の関税政策等の動向により今後の経済状況や物価への影響について十分注視していく必要があります。

 当業界におきましては、デジタル化や脱炭素化などを中心とした民間設備投資が引き続き増加傾向で推移しているものの、原材料価格の高騰・人手不足による人件費の高騰などによる影響が継続しております。

 このような状況下で当社におきましては、都市部におけるオフィス・商業施設の再開発やデータセンター・半導体

関連の大型工場建設に伴う受注が堅調に推移したことから、売上高は24,218百万円(前期比13.5%増)となりました。

 利益につきましては、増収による影響に加え高付加価値案件の受注や平準化の推進によって営業利益は2,589百万円(前期比128.2%増)、経常利益は2,664百万円(前期比131.0%増)、当期純利益は1,963百万円(前年同期比163.7%

増)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、投資活動によるキャッシュ・フローで

564百万円の資金の減少、財務活動によるキャッシュ・フローで226百万円の資金の減少があったものの、営業活動に

よるキャッシュ・フローで1,537百万円の資金の増加となり、これらの結果、前事業年度末比747百万円(10.1%)増

加し、8,119百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,537百万円の資金の増加となりました。これは未収入

金の増加額1,336百万円及び法人税等の支払額633百万円による資金の減少があったものの、税引前当期純利益2,649

百万円及び減価償却費584百万円による資金の増加があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは564百万円の資金の減少となりました。これは山形工場

及び九州工場における設備の更新などに伴う有形固定資産取得による支出321百万円、社内システムの増強に伴う無

形固定資産取得による支出150百万円などの資金の減少があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは226万円の資金の減少となりました。これは長期借入金

の借入による収入400百万円の資金の増加があったものの、長期借入金の返済による支出304百万円、配当金の支払額

284百万円などの資金の減少があったことによるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度における生産実績は次のとおりであります。

区分

生産高(千円)

前期比(%)

配電制御設備

24,705,185

115.3

24,705,185

115.3

 

b.受注実績

当事業年度における受注実績は次のとおりであります。

区分

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

配電制御設備

27,325,764

115.1

24,003,727

114.9

27,325,764

115.1

24,003,727

114.9

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

区分

販売高(千円)

前期比(%)

配電制御設備

24,218,746

113.5

24,218,746

113.5

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

販売先

金額(千円)

割合(%)

販売先

金額(千円)

割合(%)

 ㈱きんでん

4,916,150

23.0

 ㈱きんでん

4,116,803

17.0

 関工商事㈱

2,745,798

12.9

 関工商事㈱

3,730,293

15.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営陣による会計方針の選択・適用と、資産、負債の評価などの会計上の判断・見積りが含まれております。

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

(流動資産)

 受取手形が211百万円減少いたしましたが、その一方で未収入金が1,338百万円、現金及び預金が747百万円、売掛金が670百万円増加いたしました。これらの結果、流動資産合計は前事業年度末比2,795百万円(17.1%)増加し、

19,158百万円となりました。

(固定資産)

 減価償却等により有形固定資産が77百万円減少いたしましたが、投資その他の資産が232百万円増加、無形固定資産が69百万円増加いたしました。これらの結果、固定資産合計は前事業年度末比224百万円(3.7%)増加し、6,270百万円となりました。

(流動負債)

 短期借入金が33百万円減少したものの、買掛金446百万円、賞与引当金246百万円、未払法人税等185百万円の増加などにより、流動負債合計は前事業年度末比1,144百万円(22.3%)増加し、6,267百万円となりました。

(固定負債)

 長期借入金が91百万円増加したことなどにより、固定負債合計は前事業年度末比170百万円(13.7%)増加し、

1,417百万円となりました。

(純資産)

 前事業年度の期末配当160百万円及び当事業年度の中間配当128百万円による減少がありましたが、当期純利益1,963百万円の計上により利益剰余金が1,674百万円増加いたしました。これに加えその他有価証券評価差額金が29百万円増加したことにより、純資産合計は前事業年度末比1,704百万円(10.6%)増加し、17,744百万円となりました。

2)経営成績

(営業損益)

 当事業年度は、都市部におけるオフィス・商業施設の再開発やデータセンター・半導体関連の大型工場建設に伴う受注が堅調に推移したことから、売上高は前事業年度の21,334百万円に比べ13.5%増収の24,218百万円となりました。

 売上原価については、平準化の取組みにより外注費などの抑制効果があったものの、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費の上昇などの影響が継続しているため、前事業年度の15,704百万円から3.2%増加し16,200百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、人件費や物流コストの上昇に伴う運搬費の増加などの要因により、前事業年度の4,494百万円から934百万円増加し5,428百万円となり、売上高に対する比率は22.4%となっております。

 利益につきましては、増収による影響に加え高付加価値案件の受注や平準化の推進によって営業利益は前事業年度の1,134百万円に対し128.2%増益の2,589百万円となりました。

 

(営業外損益)

 営業外収益・費用は前事業年度の18百万円の収益(純額)から75百万円の収益(純額)となりました。営業外収益の増加が主な要因であり、受取配当金19百万円、受取補償金18百万円の計上、ならびに貸倒引当金戻入10百万円が寄与しました。一方、営業外費用では、売上債権売却損が前事業年度末比13百万円減少し26百万円となったことが挙げられます。

 この結果、経常利益は前事業年度の1,153百万円に対し131.0%増益の2,664百万円となりました。

 

(特別損益)

 特別損失は固定資産除却損を12百万円、減損損失を3百万円計上し、この結果、税引前当期純利益は前事業年度の1,153百万円に対し129.8%増益の2,649百万円となりました。

 

(当期純利益)

 法人税、住民税及び事業税が前期より増加し、税金費用686百万円計上いたしました。この結果、当期純利益は前事業年度の744百万円に対し163.7%増益の1,963百万円となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、2025年4月よりスタートいたしました中期経営計画において売上高・営業利益・ROE・配当性向を主要KGIと位置付けております。2030年3月期までに売上高350億円、営業利益40億円、ROE10.0%を安定的に計上出来る体制の確立を目指し、各種施策展開に取組んで参ります。

 当事業年度のROEは11.6%となっております。今後につきましても当該指標の向上に努めて参ります。

 

5)資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費であります。

 当社は現在、運転資金及び設備投資資金につきましては内部資金または借入により資金調達することとしております。

 借入による資金調達に関しましては、安定的な長期借入金で調達することを原則としております。

 当社は健全な財務状態、営業活動を基盤としたキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 また、当社は資本政策の柔軟性・機動性を確保するため自己株式を取得しております。

 なお、自己株式の取得の状況は「第4 提出会社の状況、2 自己株式の取得等の状況」に記載のとおりであります。

 

6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。