2025年1月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

TraaS事業 受注型Product事業 テクニカルサービス事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
TraaS事業 93 22.7 59 24.7 63.7
受注型Product事業 128 31.1 80 33.1 62.3
テクニカルサービス事業 190 46.3 102 42.2 53.4

事業内容

3 【事業の内容】

(1) 事業概要

当社は、「お客様への“真の価値提供”を第一に モノづくりを通じVirtualとRealを融合 最適化した新しい社会の礎を創造する」を経営理念とし、モノは買う物から、サービス提供に付帯するプラットフォームになるべきであり、モノの価値は物体価値になくサービス価値にあると考えております。当社は、「モノづくり4.0」(当社ウェブサイト「モノづくり4.0」参照)の価値の主体から、本当に求められる製品を0から組上げられる調合士であり、今後の社会が待ち望んでいるサービス価値を提供しております。

 

(2) セグメント区分

① TRaaS事業

BtoB市場向けに、お客様の価値を最大化させるための適切なIoTソリューションと最適なモノの選定をし、そのモノを起点としたSaaSサービスを提供しております。モノは、ファブレス型で自社設計開発した製品特性に応じた海外ネットワークを選定することにより、価格競争力のある製品となっております。お客様がIoT、DXを進めるうえでのモノの導入コストの高さを、当社のテクノロジーで解消すべく、今後SaaSサービスを更に拡充してまいります。

 

② 受注型Product事業

IoT技術を用いた製品・ソリューションの企画、設計、製造からの運用・保守サポートまで完全垂直統合を実現し、お客様(VAR※)が望む製品を柔軟に提供いたします。

※VAR:Value Added Reseller 付加価値再販パートナー

当社製品に価値を付加し再販する事業者をVARとして定義し、そのVARと協業することで事業拡大を図っております。VARが当社製品に価値を付加し、様々なマーケットや顧客に横展開することで、当社製品は新たなマーケットに拡販されております。

 

③ テクニカルサービス事業

基幹業務システム等のアプリケーションソフトウエアの受託開発、システム運用に必要なパソコンやサーバー等の提供及びメンテナンス、開発したソフトウエア及びシステムのメンテナンスや常駐型保守に向けたエンジニア派遣サービスを提供しております。

 

(3) 当社の強み

① モノを起点としたSaaSサービスによるVirtualとRealの融合

当社は、IoT機器の開発・製造で培ったモノづくりの知見から、最適なモノの選定をし、そのモノを起点としたSaaSサービスを、様々な人が集まる場所のロケーションオーナー、パートナー企業に向け、そのニーズに合わせた企画提案、製品開発から、総合的なロケーションメディアの構築まで、顧客の価値が最大化する最善のIoTソリューションの提案を当社単独で行うことが可能であります。

 

② 垂直統合

当社は、IoT製品の設計から製造までを一気通貫で行う垂直統合型のビジネスを展開しており、IoT製品に組み込まれるソフトウエア及びパートナー企業がIoT製品の最終利用者にサービス提供をするために必要となるシステムの開発も行っております。

ソフトウエア開発を内製化することで顧客の要望に柔軟に対応することができ、また、ハードウェアの開発に当たっては、部材の選定から関わり主に中国の電子機器の受託メーカー(EMS)に製造委託することで、顧客にとっての機能最適化を図るとともに、低コスト化を図っております。

 

③ 小ロット生産

当社は、製品の設計段階から製品開発に加わり、部品レベルでのコスト削減を行った上で、製造委託を実施しているため、低製造コストを実現しております。また、製品開発に必要なソフトウエアの知的財産権を社内に蓄積しており、それを横展開することでソフトウエアの開発を省力化でき短期間・少人数での開発を実現しております。

これにより、競合が少ない小ロットでの生産にも対応しております。

 

④ ソフトウエアの横展開

当社は開発してきたソフトウエアの知的財産権を社内に蓄積しております。そのため、過去に開発したソフトウエアの転用と開発のノウハウを活かして、短期間で安定稼働を実現するIoT製品向けソフトウエアやシステムの開発を可能としております。

また、当社は開発が複雑な映像配信用ターミナルのソフトウエアを数多く開発しておりますが、そのソフトウエアはウエアラブルデバイスやデジタルサイネージといった他分野のターミナルやシステム構築に展開することができます。これにより、IoT製品をはじめとした通信機能を持つターミナルを早期に開発していくことが可能であります。

 

(4) 事業系統図

サービス別の事業の系統図は、次のとおりであります。

 

① TRaaS事業

 

② 受注型Product事業


 

③ テクニカルサービス事業


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、雇用、所得環境の改善により緩やかに回復しているものの、原油や資材価格高騰、為替変動による物価の上昇、ウクライナ危機や中東情勢の悪化などの地政学的リスク等により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当事業年度においては、過去からのBtoB市場に向けた単なるモノの販売から脱却し、成長方針に掲げるBtoB市場に向けたモノづくりを基盤としたSaaS月額課金型サービスを当社の主力事業とすべく、前事業年度より継続して経営資源をその事業へ集中し事業転換を図ってまいりました。

当事業年度においては、TRaaS事業では、AI電力削減ソリューション「AIrux8」、流通小売店舗を対象としたDX店舗活性プロダクト「店舗の星」及びデジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」を中心としたSaaS月額課金型サービスへの事業転換を継続して推進し、戦略販売パートナーと共に更なる販売拡大を目指し事業を推進してまいりました。受注型Product事業では、ホスピタリティ市場の回復と共に、STB及びサーバー等の受注が想定を上回り順調に推移すると共に、テクニカルサービス事業においても、大型のシステム開発案件の継続受注が大きく売上に貢献いたしました。

以上の結果、当事業年度の売上高は411,492千円(前年同期比32.3%増)、営業利益は5,269千円(前年同期は69,638千円の損失)、経常利益は6,919千円(前年同期は76,376千円の損失)、当期純利益は2,346千円(前年同期は85,810千円の損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(TRaaS事業)

TRaaS事業の当事業年度におきましては、AI電力削減ソリューション「AIrux8」、流通小売店舗を対象としたDX店舗活性プロダクト「店舗の星」及びデジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」を中心として、BtoB市場に向けたモノづくりを基盤としたSaaS月額課金型サービスへ集中し、事業転換を推進してまいりました。

「AIrux8」については、戦略販売パートナーとして、2024年4月に丸紅情報システムズ株式会社様及び加賀FEI株式会社様へ「AIrux8」の提供を開始いたしました。加えて、「AIrux8」の技術が日本で特許として登録されたことから、お客様に対する一層の信頼感が得られることに繋がり、現在、戦略販売パートナーとの連携がより強固なものになってきております。実際に、導入を検討されているお客様からのお問い合わせも着実に増えており、その消費電力削減効果及び機能性を十分に確認いただきながら商談が進行し、空調消費電力量削減実績及び導入効果に高い評価をいただいた結果、大手老舗百貨店の本社ビルや大手電子機器メーカーの事業所等への導入が着実に進んでおります。

また、「店舗の星」については、海外では大手小売企業の店舗へ追加導入を実施し、日本での実証実験においても、「店舗の星」が OMO(Online Merges With Offline)ソリューションとして、海外同様、非常に高い導入効果が見られたことから、本格的な国内展開が開始いたしました。今後、更なる販売拡大を目指し、様々な流通小売店舗様との実証実験を通じて、改善点等のアップデートやシステム開発を計画、実行しながら、「店舗の星」の経済効果及び社会効果の検証を継続的に進めていく予定です。デジタルサイネージプラットフォーム「CELDIS」については、国内最大規模のオープンイノベーション施設へ2024年9月に納品が完了し、さらに2026年1月期においてドコモショップ2,000店舗へ採用されることが決定いたしました。

以上の結果、TRaaS事業の売上高は93,215千円(前年同期比15.2%増)、セグメント利益は59,388千円(同49.7%減)となりました。

 

 

(受注型Product事業)

受注型Product事業の当事業年度におきましては、訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の拡大により、ホテル、飲食店等のホスピタリティ市場の回復が顕著となっております。その需要増加に伴い、お客様からのSTB等の引き合いが増加しており、当社が長年培ったSTBの開発技術力と調達ネットワークを活かしたお客様のニーズを捉えた的確な提案が実を結んできており、STB及びサーバー案件等の受注が大幅に増加いたしました。また、DX(Digital Transformation)を推進し、業務効率の改善を目指すお客様からのCygnus2の引き合いも堅調に推移いたしました。

以上の結果、受注型Product事業の売上高は127,874千円(前年同期比28.4%増)、セグメント利益は79,713千円(同21.2%増)となりました。

 

(テクニカルサービス事業)

テクニカルサービス事業の当事業年度におきましては、大型のシステム開発案件の継続受注が大きく売上に貢献すると共に、エンジニア派遣ビジネスも堅調に推移いたしました。

以上の結果、テクニカルサービス事業の売上高は190,402千円(前年同期比45.9%増)、セグメント利益は101,729千円(同58.0%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における総資産は542,471千円となり、前事業年度末に比べ29,129千円増加いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が11,078千円、無形固定資産が25,473千円増加した一方で、現金及び預金が15,245千円減少したことによるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債合計は130,398千円となり、前事業年度末に比べ25,168千円増加いたしました。これは主に、買掛金が8,284千円、流動負債その他が11,999千円増加したことによるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は412,073千円となり、前事業年度末に比べ3,961千円増加いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ807千円、利益剰余金が2,346増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ15,245千円減少し、314,851千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は28,017千円(前年同期は72,561千円の支出)となりました。これは主に、増加要因として、減価償却費23,788千円、仕入債務の増加額8,284千円、税引前当期純利益6,781千円があったものの、減少要因として、売上債権の増加額11,078千円、法人税等の支払額3,190千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果支出した資金は45,200千円(前年同期は53,957千円の支出)となりました。これは主に、減少要因として、無形固定資産の取得による支出41,578千円、有形固定資産の取得による支出3,622千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は1,387千円(前年同期は67,834千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,615千円、リース債務の返済による支出227千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

TRaaS事業

12,234

147.4

受注型Product事業

40,058

15.4

テクニカルサービス事業

△100.0

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

b.受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

TRaaS事業

31,131

△11.3

3,395

△83.4

受注型Product事業

186,670

142.1

61,900

837.9

テクニカルサービス事業

195,232

343.7

 

(注) 当事業年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主にアフターコロナでのインバウンド

   需要拡大に伴い、ホスピタリティ市場(ホテル、飲食店等)の顕著な回復を受け、STB案件等の安定受注に

   より受注型Product事業の受注残高が増加しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

TRaaS事業

93,215

15.2

受注型Product事業

127,874

28.4

テクニカルサービス事業

190,402

45.9

合計

411,492

32.3

 

(注) 最近2事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社DINOS CORPORATION

66,178

21.3

53,523

13.0

三波工業株式会社

45,011

14.5

53,650

13.0

株式会社ジーエーピー

44,000

14.1

124,220

30.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、仕入活動、製造活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金及び設備投資は自己資金及び金融機関からの借入、社債発行、新株予約権発行及び増資による方針であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に業界動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し顧客のニーズに合った製品・サービスを提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。