リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。
また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①経済状況等の変動
当社グループの提供するIM-DMPはデジタル及びオフラインのマーケティングに活用されるため、日本国内外の経済状況、各業界の動向、各企業の経営成績やマーケティング予算、広告代理店の広告取扱高の変動等による影響を受ける可能性があります。また、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源価格の高騰やインフレ、金利上昇による経済活動への影響により、個人消費の減速や企業活動の停滞が発生する可能性があります。
当社グループの顧客の商品・サービスの市場規模や活動が縮小し又は停滞する場合には、当社グループのサービスに対する需要が減速する等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②インターネット市場の動向について
当社グループはインターネット関連のデータ保有を強みとするデータマネジメントプラットフォーム「IM-DMP」を事業基盤としており、当社グループ事業の継続的な拡大・発展のためには、更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が必要と考えております。
しかしながら、インターネットの普及に伴う弊害の発生やその利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因等により、今後のインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が阻害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、昨今、海外の「GDPR(EU一般データ保護規則)」や「CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」などの影響により、日本でもCookieの取り扱いに関する規制強化が議論されるなど、Cookie規制の影響により、3rd Party Cookieを活用できるブラウザの比率が低下し続けることが予想されることから、インターネット市場全体への影響が発生する可能性があります。当社グループとしては、ポストCookie対応はしているものの、これらの影響によるインターネット市場全体の落ち込みや今後ポストCookie対応による共通IDソリューションへの規制、インターネット関連のデータ保有自体への利用規制などが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③顧客ニーズの変化について
インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告はテレビに次ぐ広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。また、インターネット広告市場においては、顧客ニーズが急速に変化することから、頻繁に新しい商品やサービスが導入されており、当社グループにおいてもこれらの変化に迅速に対応していく必要があります。
当社グループにおいても顧客ニーズの変化に対応するため、新たな広告商品へのデータ連携を行っておりますが、予期しない顧客ニーズの変化があった場合には、その対応に係る追加のシステム開発等が必要になります。適切な対応に支障が生じた場合には、競争力の低下及びクライアント企業の流出等を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④技術革新について
当社グループは、インターネット広告分野において事業を展開しておりますが、当該分野においては技術の進歩及び変化が著しく、新技術及び新サービスが頻繁に導入されております。また、スマートフォンやタブレット端末等、パソコン以外の多様なデバイスも急速に普及しております。このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成やインターネット広告に関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、今後の技術革新への対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤競合他社の動向について
当社グループの競合となる、パブリックDMPを中心としたDMP事業を行っている事業者は、国内において数社存在しております。当社グループの提供するIM-DMPは、当社グループの方針及びパブリックDMPというサービスの性質上、プライベートDMPとも積極的に連携を行っており、プライベートDMP事業者の多くと協力関係を構築することで、より顧客ニーズに対応できる優位性を確保しております。また、海外においても、機能面では当社グループのIM-DMPと競合する、パブリックDMPのサービスを提供するDMP事業者が存在しておりますが、海外の事業者が日本国内のマーケットに参入するためには、日本国内のデータプロバイダーとのアライアンスが障壁になるものと考えております。
当社グループは国内の新規参入企業の増加に対して、上記の通り、協力事業者との連携やデータプロバイダーとのアライアンス強化の対策を講じておりますが、今後何らかの事業環境の変化により、国内又は海外の新規参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等が増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥DMPの接続先について
当社グループの提供するIM-DMPは、データの入力元、出力先の両面において、インターネットリサーチ会社、提携するWebメディア、外部事業者の運営するプライベートDMPやDSP、アクセス解析ツール、オンラインリサーチツールなど様々なデジタルマーケティングツールと接続しております。当社グループでは、多種多様なデータ活用先を競争力の源泉の一つと考え、顧客ニーズの高いデータ活用先の新規開拓や、当社グループの保有するデータのDSPへの連携率の向上といった既存のデータ活用先との連携機能の強化など、データ活用先の維持拡大を施策として進めております。
しかしながら、これらのデータ活用先の方針や仕様の変更によりデータ活用先が減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)組織体制に関するリスク
①特定の人物への依存について
当社の代表取締役である簗島亮次は、DMPを含め様々なWebマーケティングに関するノウハウや新規事業の立案、業界での情報収集等に関して豊富な知識と経験を有しており、当社グループの事業運営において重要な役割を果たしております。当社グループでは、同氏に過度に依存しないよう、経営体制の整備、権限委譲及び次代を担う人材の育成強化を進めております。
しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制について
当社グループは今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。
しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③少人数での組織編成及び優秀な人材の確保について
当社グループは、業務執行上必要最低限の人数での組織編成を行っており、継続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。
そのため、当社グループは優秀な人材の確保及び育成のために採用活動及び人事制度の強化に努めておりますが、当社グループが求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制に関するリスク
①訴訟等について
当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めており、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。
しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、顧客等から当社グループが提供するサービスの不備等により訴訟を提起された場合には、当社グループの社会的信用が毀損され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②インターネット広告の配信に関連する法的規制について
当社グループはIM-DMPを最大限に活用するためのワンストップサービスを提供しており、様々な広告配信ツールを利用してクライアント企業の求める方法でデジタル広告の配信を行うデータ活用広告配信サービスを展開しております。現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の法的規制が存在しております。
個人情報の取扱いについては「個人情報保護法」等が存在しております。「個人情報保護法」第2条第1項では、個人情報を「生存する個人に関する情報であって」、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文面、図面若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」又は「個人識別符号が含まれるもの」と定義しておりますが、当社グループがDMP事業において収集する様々な属性情報には、それ自体で、又は他の情報と容易に照合することにより特定の個人を識別することが可能な情報は含まれておりません。したがって、当社グループがDMP事業において収集する様々な属性情報には個人情報が含まれておらず、これらの情報について、個人情報保護法上の対応は行っておりません。しかしながら、インターネット上のプライバシー保護の観点から、2022年4月1日施行の改正個人情報保護法により、Cookie(ウェブサイトの閲覧情報等を一時的に保存しておくためのウェブブラウザ上の記憶領域やそこに保存される情報)等の端末識別子を通じて収集された個人のウェブサイトの閲覧履歴等が、新たに「個人関連情報」と定義され、個人情報保護法の規律対象となりました。これにより、個人関連情報を第三者に提供する場合、提供先において個人データとして取得することが想定されるときは、当該個人関連情報に係る本人の同意が得られていることの確認が義務付けられましたが、当社グループにおける確認義務の発生する個人関連情報の提供は限定的であり、かつ、該当のケースにおいては、改正個人情報保護法に従い適切に同意状況を確認した上で、個人関連情報の第三者提供を行っております。
個人情報保護法については、個人情報保護委員会において、社会・経済情勢の変化を踏まえ、いわゆる3年ごと見直しを進めており、インターネット利用の普及に伴う法的規制の在り方については引き続き検討が行われている状況にあります。
また、インターネットを通じた電気通信サービスを提供する際は、webサイトに設置されたタグ等を送信したり、アプリケーションを起動する等の電気通信を行うことにより、利用者の意思によらずに、その利用者の端末設備に記録された利用者に関する情報(webページの閲覧履歴、入力履歴、システム仕様、システムログ等)を外部の第三者等に送信する状況が生じます。この状況に対して、安心して利用できる通信サービス・ネットワークの確保を目的として、2023年7月に電気通信事業法が改正施行され「外部送信規律」が導入されました。当該規律においては、多くの電気通信事業を営む者に対して、当該事業者が提供するサービス利用者のCookie等の端末識別子を通じて、当該利用者に関する情報を外部送信しようとするときは、利用者に対し、通知・公表を行い、もしくは利用者の同意を取得あるいはオプトアウト措置を提供することにより、利用者に対して確認の機会を与えることが確保できるようにすることが求められます。本書提出日現在、当社グループは当該規律の規制対象となる事業を営んでおりませんが、今後新たなサービスを提供する際には、当社グループにおいても対応が必要となる可能性があります。
なお、EU一般データ保護規則(GDPR)等の外国法令等には、Cookie等に対し、個人情報や個人データと同等又は類似の規制を行っているものがありますが、当社グループとしては、これらの外国法令等の適用のある国又は地域からはCookieを用いたデータ収集を行っていないこと等から、これらの外国法令等の適用を受けないものと考えております。
このように、今後、個人インターネット広告の配信に関連する分野において新たな国内外の法令等の制定や、EU一般データ保護規則(GDPR)を含む国内外の既存法令等の改正等による規制強化がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、個人情報保護法の改正により、当社グループがDMP事業において収集する様々な属性情報が同法の定義する個人情報に該当することとされた場合には、ウェブサイトのユーザーからの同意取得が必要となることによるIM-DMPの総データ数の減少及びこれに伴うサービス品質の低下、Cookieを利用した一部のサービスの提供が困難になること、並びにCookieを利用しない代替的な技術の実用化に伴う費用の増加等が想定され、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③知的財産権について
当社グループが運営するサービスにおいて使用する商標、ソフトウェア、システム等については、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものではないと認識しております。今後も、侵害を回避するための著作権等の管理、監視等を当社顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに当社グループの事業分野で第三者により知的財産権が成立する可能性も考えられます。そのような場合には、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定されます。そのような事態が発生する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)システムに関するリスク
①システム基盤について
当社グループでは、様々なクラウドプラットフォームやクラウドサービスを活用することで、信頼性・安定性が高く、開発効率・コスト効率の良いシステムを実現しております。特定の事業者・サービスに依存しない構成を目指しております。
しかしながら、利用中のサービスの契約内容の変更、急激な価格変動、システム障害等によるサービスの一時的な中断、サービス内容の見直しによる機能提供の停止が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②情報セキュリティについて
当社グループは、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として取引先から預託された機密情報の管理・運用を行っております。情報管理には万全な方策を講じておりますが、万が一当社グループの従業員や取引先等が情報を漏洩又は誤用した場合、またシステム上の不具合やコンピューターウィルス、不正アクセス等に起因する情報の漏洩が発生した場合には、当社グループが社会的信頼を失い、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①配当政策について
当社は、経営基盤の安定化を図るために内部留保の充実を図ることが重要であると考えておりますが、株主に対する利益還元も経営の重要な経営課題であると認識しております。そのため、事業基盤の整備状況、業績や財政状態などを総合的に勘案のうえ配当を実施してまいりたいと考えております。また、配当政策が業績に連動しているため、業績が悪化した場合、これに伴い配当が減少又は無配となる可能性があります。しかしながら、当面は事業基盤の整備を優先することが株主価値の最大化に資するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針とさせていただく所存であります。
②新株予約権行使による株式価値の希薄化について
当社では、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。現在付与している新株予約権が行使された場合は、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、2023年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は95,300株であり、発行済株式総数3,289,350株の2.90%に相当しております。
③季節変動について
当社グループの売上は、広告主の広告予算をベースに構成されるため、広告主の予算の月ごとの配分の影響を受けます。特に年度末に予算が配分される広告主との取引は、多くの広告主が年度末として設定している12月及び3月に売上が集中する傾向があります。最近はその傾向が分散されつつあり影響は薄まっているものの、安定的に月次業績が推移する業種に比し売上及び利益の変動が起こりやすいほか、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④自然災害等について
当社グループは、自然災害や事故に備え、システムの定期的なバックアップや稼働状況の監視によりシステムトラブルの未然防止及び回避に努めております。
しかしながら、地震等の大規模災害の発生等により本社又は外部のクラウドプラットフォームのデータセンターが被害を受けた場合、当社グループ事業の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
(1)配当の基本的な方針
当社は、将来の事業展開に即応できる財務体質の強化を重要課題として位置付けております。現在は成長過程にあると考えていることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保を充実させ、新規事業の早期展開、事業拡大、事業効率化のために投資を行い、企業価値向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
(2)毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針
当社は、内部留保の充実を図り、再投資していく方針であるため、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。
(3)配当の決定機関
配当の決定機関について、中間配当は取締役会であり、期末配当は株主総会であります。
(4)当事業年度の配当決定に当たっての考え方及び内部留保資金の使途
当社は、上記(1)の方針に従い、創業以来配当を行っておらず、当事業年度においても剰余金の配当は実施しておりません。内部留保資金につきましては、上記(1)の目的を実行するにあたり、有効に活用してまいります。
(5)中間配当について
当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当ができる旨を定款に定めております。