2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

再生医療支援事業 細胞シート再生医療事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
再生医療支援事業 192 99.4 -21 - -10.7
細胞シート再生医療事業 1 0.6 -596 - -48,933.5

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、日本発の「細胞シート工学」を基盤技術とし、この技術に基づいて作製される「細胞シート」を用いて従来の治療では治癒できなかった疾患や障害を治す再生医療アプローチである「細胞シート再生医療」の世界普及を目指して、以下の2つの事業を展開しております。

 

(1) 「再生医療支援事業」

 細胞シート再生医療の基盤ツールである「温度応答性細胞培養器材」及びその応用製品の研究開発・製造・販売、並びに再生医療に関わる総合的なサポートを通じて、再生医療の研究開発・事業化を支援する事業

 

(2) 「細胞シート再生医療事業」

 細胞シート再生医療等製品及びその応用製品の研究開発・製造・販売を通じて、細胞シート再生医療の普及を推進する事業

 

系統図は次のとおりであります。

 

①再生医療支援事業

 

「温度応答性細胞培養器材」及びその応用製品の研究開発・製造・販売

 

 

再生医療受託サービス

 

②細胞シート再生医療事業

 細胞シート再生医療事業では患者自身(自己細胞)あるいは患者以外(同種細胞)から必要な細胞を少量採取し、それを当社が開発した温度応答性細胞培養器材で培養して組織を作り、患者に提供するというものです。

 細胞シート再生医療事業は現在事業化準備段階にあり、当社は細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化を目的とした他社との協力体制等も視野に入れ、その実現を目指しております。従いまして事業系統図は、上述の状況等を踏まえた上で具体化していく内容となることから、現段階において事業系統図は記載しておりません。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の概要

①財政状態

(資産)

 当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて39,592千円減少し、2,312,219千円となりました。これは、現金及び預金が28,992千円、売掛金が14,745千円減少したことなどによります。

 当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて6,907千円増加し、120,865千円となりました。これは、長期前払費用が6,159千円増加したことなどによります。

 この結果、当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて32,684千円減少し、2,433,084千円となりました。

(負債)

 当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて20,424千円減少し、103,144千円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が3,334千円増加した一方で、未払金が29,823千円減少したことなどによります。

 当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて10,742千円減少し、166,735千円となりました。これは、長期借入金が10,834千円減少したことなどによります。

 この結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて31,167千円減少し、269,880千円となりました。

(純資産)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて1,517千円減少し、2,163,204千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ435,075千円増加した一方で、当期純損失を859,840千円計上したことなどによります。

②経営成績

 当事業年度におけるわが国経済は、内需及びインバウンド需要の回復など、社会活動の正常化の動きがみられ、また、賃金上昇を中心とした雇用環境の改善による個人消費の回復などの要因から、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、国際情勢不安、円安の進行、物価上昇など、景気動向についてはいまだ予断を許さない状況が続いております。

 当社はこのような環境の下、コスト削減による財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図りつつ、再生医療支援事業及び細胞シート再生医療事業における活動を推進いたしました。

 この結果、当事業年度における売上高は193,277千円(前事業年度比1.7%の増加)、営業損失は846,378千円(前事業年度比148,601千円の増加)、経常損失は847,675千円(前事業年度比137,398千円の増加)、当期純損失は859,840千円(前事業年度比13,306千円の増加)となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(a)再生医療支援事業(細胞培養器材、製造受託など)

 細胞培養器材事業では、器材製品の拡販に向けた既存代理店との協業強化及び日本再生医療学会、日本免疫学会、日本生化学会、日本分子生物学会年会など複数の学会において研究開発の成果をポスター発表するとともに、器材製品を展示した企業ブースを出展するなど、積極的な販売促進活動を継続しました。また、海外市場においては売上が前年比大幅に増加し、器材事業としては昨年度を更新し、過去最高の売上を達成することができました。直近8年間で器材事業の売上は3.5倍に増加しており、今後も更なる売上拡大を目指し、主要販売代理店からの売上情報等の収集分析などにより、より慎重かつ積極的な判断のもとで既存製品の販売拡大を目指すとともに、顧客ニーズ、市場動向に合致した新製品開発のための研究開発にも注力し、新規の顧客を獲得できるよう努めてまいります。

 再生医療受託事業では、再生医療等安全性確保法に基づく特定細胞加工物製造許可及び薬機法に基づく再生医療等製品製造業許可を取得した細胞培養センター(CPC)において、主に細胞シートの製造を受託しております。当事業年度においても、先進医療の治療が行われている東海大学より2症例の自己軟骨細胞シートの製造、成育医療研究センターより1症例の小児食道シートの製造を受託しました。加えて、引き続き他の医療機関や企業からの受託案件の獲得にも注力しております。

 以上のような結果、当事業年度における売上高は192,059千円(前事業年度比9,725千円の増加)、営業損失は20,535千円(前事業年度比11,903千円の減少)となりました。

(b)細胞シート再生医療事業

 細胞シート再生医療事業では、同種軟骨細胞シートの再生医療等製品の自社開発を中心とした研究開発を継続して推進しております。

 同種軟骨細胞シートは、2023年9月20日に、同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の第3相試験の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、治験審査委員会(IRB)を経て、各治験実施施設との契約を締結し、各治験実施施設において手術を行える体制を整えてきました。

 一方で、2024年9月25日開示「同種軟骨細胞シートの治験開始時期に関するお知らせ」のとおり、東海大学とは治験の進展に応じたマイルストンの支払金額について交渉を行っております。2025年2月末現在、2024年9月25日時点よりも双方が想定している支払金額の乖離幅は縮小しております。治験の開始には東海大学医学部医学科整形外科学の佐藤正人教授のご協力が必要であるため、1日でも早い合意に向けた交渉を継続し、治験開始に至るよう努めてまいります。

 事業提携活動につきましては、事業化の加速、また将来の同種軟骨細胞シートの販売に向けて、引き続き複数の会社との事業提携及び共同研究契約の締結に向けた活動を積極的に行っております。

 以上のような活動の結果、売上高は1,217千円(前事業年度比6,582千円の減少)、営業損失は595,521千円(前事業年度比126,830千円の増加)となりました。

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べて28,992千円減少し、2,134,299千円となりました。当事業年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動に使用した資金は866,104千円(前事業年度比86,668千円の支出増)となりました。これは、税引前当期純損失を857,550千円計上したことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動に使用した資金は18,367千円(前事業年度は56,315千円の獲得)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出18,367千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は855,479千円(前事業年度比958,721千円の収入減)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入862,979千円などによるものです。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。

 この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

⑤生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

セグメント

当事業年度

(自  2024年1月1日

 至  2024年12月31日)

前年同期比(%)

再生医療支援事業(千円)

76,419

100.3

細胞シート再生医療事業(千円)

22

3.1

合計(千円)

76,441

99.3

 

(b)受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(c)販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

当事業年度

(自  2024年1月1日

 至  2024年12月31日)

前年同期比(%)

再生医療支援事業(千円)

192,059

105.3

細胞シート再生医療事業(千円)

1,217

15.6

合計(千円)

193,277

101.7

(注)1 最近2事業年度の主要な輸出先及び輸出販売高並びに割合は、次のとおりであります。

なお、( )内は販売実績に対する輸出高の割合であります。

輸出先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

欧州

112,350

94.2

146,736

99.7

アジア

6,882

5.8

387

0.3

合計

119,233

(62.7%)

100.0

147,123

(76.1%)

100.0

2 最近2事業年度の主要な販売先及び販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Thermo Fisher Scientific Inc.

112,350

59.1

146,736

75.9

フナコシ(株)

37,618

19.8

30,127

15.6

学校法人東海大学

25,777

13.6

7,384

3.8

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、将来に関する事項は当事業年度末日現在において判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

①財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べて39,592千円減少し、2,312,219千円となりました。これは、現金及び預金が28,992千円、売掛金が14,745千円減少したことなどによります。

 当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べて6,907千円増加し、120,865千円となりました。これは、長期前払費用が6,159千円増加したことなどによります。

 この結果、当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて32,684千円減少し、2,433,084千円となりました。

(負債)

 当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べて20,424千円減少し、103,144千円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が3,334千円増加した一方で、未払金が29,823千円減少したことなどによります。

 当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べて10,742千円減少し、166,735千円となりました。これは、長期借入金が10,834千円減少したことなどによります。

 この結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて31,167千円減少し、269,880千円となりました。

(純資産)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて1,517千円減少し、2,163,204千円となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ435,075千円増加した一方で、当期純損失を859,840千円計上したことなどによります。

 

②経営成績の分析

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 細胞培養器材事業では、器材製品の拡販に向けた既存代理店との協業強化及び日本再生医療学会、日本免疫学会、日本生化学会、日本分子生物学会年会など複数の学会において研究開発の成果をポスター発表するとともに、器材製品を展示した企業ブースを出展するなど、積極的な販売促進活動を継続しました。また、海外市場においては売上が前年比大幅に増加し、器材事業としては昨年度を更新し、過去最高の売上を達成することができました。直近8年間で器材事業の売上は3.5倍に増加しており、今後も更なる売上拡大を目指し、主要販売代理店からの売上情報等の収集分析などにより、より慎重かつ積極的な判断のもとで既存製品の販売拡大を目指すとともに、顧客ニーズ、市場動向に合致した新製品開発のための研究開発にも注力し、新規の顧客を獲得できるよう努めてまいります。

 再生医療受託事業では、再生医療等安全性確保法に基づく特定細胞加工物製造許可及び薬機法に基づく再生医療等製品製造業許可を取得した細胞培養センター(CPC)において、主に細胞シートの製造を受託しております。当事業年度においても、先進医療の治療が行われている東海大学より2症例の自己軟骨細胞シートの製造、成育医療研究センターより1症例の小児食道シートの製造を受託しました。加えて、引き続き他の医療機関や企業からの受託案件の獲得にも注力しております。

 以上のような結果、当事業年度における売上高は192,059千円(前事業年度比9,725千円の増加)、営業損失は20,535千円(前事業年度比11,903千円の減少)となりました。

 細胞シート再生医療事業では、同種軟骨細胞シートの再生医療等製品の自社開発を中心とした研究開発を継続して推進しております。

 同種軟骨細胞シートは、2023年9月20日に、同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の第3相試験の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、治験審査委員会(IRB)を経て、各治験実施施設との契約を締結し、各治験実施施設において手術を行える体制を整えてきました。

 一方で、2024年9月25日開示「同種軟骨細胞シートの治験開始時期に関するお知らせ」のとおり、東海大学とは治験の進展に応じたマイルストンの支払金額について交渉を行っております。2025年2月末現在、2024年9月25日時点よりも双方が想定している支払金額の乖離幅は縮小しております。治験の開始には東海大学医学部医学科整形外科学の佐藤正人教授のご協力が必要であるため、1日でも早い合意に向けた交渉を継続し、治験開始に至るよう努めてまいります。

 事業提携活動につきましては、事業化の加速、また将来の同種軟骨細胞シートの販売に向けて、引き続き複数の会社との事業提携及び共同研究契約の締結に向けた活動を積極的に行っております。

 以上のような活動の結果、売上高は1,217千円(前事業年度比6,582千円の減少)、営業損失は595,521千円(前事業年度比126,830千円の増加)となりました。

③キャッシュ・フローの分析

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べて28,992千円減少し、2,134,299千円となりました。当事業年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動に使用した資金は866,104千円(前事業年度比86,668千円の支出増)となりました。これは、税引前当期純損失を857,550千円計上したことなどによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動に使用した資金は18,367千円(前事業年度は56,315千円の獲得)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出18,367千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は855,479千円(前事業年度比958,721千円の収入減)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入862,979千円などによるものです。

 

④資本の財源及び資金の流動性

 当社は引き続き細胞シート再生医療の実現に向けた研究開発投資を推進する予定であります。そのために必要となる今後の資金については、現有手許資金を充当する他、公的助成・補助の活用、エクイティ・ファイナンスを含めた金融的手法など様々な手段を活用して機動的に手当てを行う方針です。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤として様々な細胞シート再生医療等製品を開発し、その世界普及を目指しております。

 当社の基盤技術である細胞シート工学は、バラバラの細胞から生体組織・臓器の基本単位となる「細胞シート」を生体外で人工的に作製することができる再生医療基盤技術です。

 細胞シート再生医療については既に様々な組織の再生に関する臨床研究が実施されており、実際にヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示され始めています。

 また2014年11月に「医薬品医療機器法」並びに「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」が施行され、日本における再生医療を取り巻く環境が大きく変化し、再生医療等製品の産業化が進みつつあります。この日本における大きな外部環境の変化を活かしつつ、上記概要の通り計画を推進して参ります。

 

⑥経営戦略の現状・問題認識と今後の方針について

 上述⑤のような状況の中、この日本における大きな外部環境の変化を活かすべく、下記概要の通り計画を推進して参ります。

●日本で早期の同種軟骨細胞シートの製造販売承認申請を目指す。

●日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極的に推進し収益の拡大を目指す。

●再生医療支援製品の新製品開発及び研究用細胞の大量培養を目的とした新たな市場への製品供給並びに海外売上の拡大による需要増加に対応した生産体制・能力を充実、拡大し、更なる収益機会の拡大を目指す。

●受託製造、コンサルティング事業を推進し、更なる収益機会獲得を目指す。