2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,125名(単体) 114,570名(連結)
  • 平均年齢
    42.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.0年(単体)
  • 平均年収
    19,911,534円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    10.3%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

①経営方針と人材戦略の関係性

当社グループは、企業理念「三方よし」及び企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」を経営の基軸

とし、「マーケットインの発想」による迅速かつ柔軟な事業活動を通じて、社会とともに持続的に成長する

ことを基本方針としております。「商いの根幹は人である」との考え方のもと、人材を価値創造の基盤と位置

付け、変化の大きい経営環境下でも競争力を維持・向上させるため、人的資本への投資を重要な経営課題と

して推進しております。

当社の人的資本経営は、少数体制であることから「厳しくとも働きがいのある会社」を掲げ、従業員が働き

がいを感じ、能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、従業員のモチベーション及び労働生産性を

高め、その成果を社会からの評価や企業ブランド価値につなげることを目指しております。これにより企業

価値を向上させ、優秀な人材の確保・定着を促進する好循環を実現し、経営方針・経営戦略の実行力を高める

仕組みとして位置付けております。

この好循環を進めるため、当社の人材戦略は相互に関連する次の要素で構成し、各施策を有機的に連動

させております。これらに関する具体的な取組については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに

関する考え方及び取組 (5)人的資本経営・多様性 ②戦略」をご参照ください。

(a) 成果を出せる状態をつくる取組:

従業員の能力発揮を最大化するためには、「働き方の進化」、「健康力向上」、「主体的なキャリア形成

支援」を一体で推進していくことが重要と考えております。朝型勤務に代表されるような時間あたりの

生産性向上に資する取組を進めるとともに、心身の健康を能力発揮の礎と位置付け、安心して働ける環境

整備に取組んでおります。併せて、従業員が適性や志向に基づき主体的に成長・挑戦できる機会を提供

し、従業員のやりがいやエンゲージメント向上を図っております。

(b) 成果を出し続ける仕組み:

経営戦略の実行を現場の実践と成果につなげるため、組織重点施策から個人目標へと落とし込みを行い、

「成果に応じた評価・報酬」を実現する制度を構築しております。挑戦と貢献が適切に評価され、メリ

ハリある報酬を実現することにより、成果の再現性を高め、継続的な能力発揮につなげております。

併せて、定期的なフィードバックを重視し、評価の納得性向上を図っております。

(c) 定着及び当事者意識を高める仕組み:

当社は短期的な成果にとどまらず、中長期の企業価値向上に向け、従業員の「経営参画意識の向上」を

重視しております。企業価値との連動を意識し、株式付与制度や資産形成支援等を通じて、従業員が経営

状況を意識し、長期的なエンゲージメントと定着につながるよう取組んでおります。

(d) 外部評価・企業ブランド価値を通じて採用競争力に回帰させる取組:

人材戦略の取組を従業員の能力発揮・生産性向上にとどめず、当社らしい先進的な取組の発信と外部評価

の獲得を通じて企業ブランド価値の向上に波及させ、「優秀な人材の確保」につなげることを重視して

おります。先進的な取組の発信と外部評価の獲得により、採用市場での競争力を高めております。

当社グループにおいては、当社の人材戦略及び人事制度の考え方をグループ内で共有・横展開を図り、

各社が事業特性、人材ポートフォリオ及び現場の実情を踏まえて具体的施策を実装することにより推進

しております。当社は、採用、人材育成、労務管理等の支援機能を担い、各社は、必要な人材の確保、

適材適所の配置及び育成施策の実行を通じて、成果創出につなげております。なお、当社では、

グローバル経営人材の育成、「伊藤忠らしさ」の伝承、及び「学び続ける」支援等を通じて、多様な人材

が最大限能力を発揮し、組織としての実行力を高めていくことを重視しており、これらの具体的な取組

内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)人的資本

経営・多様性 ②戦略」に記載しております。また、人材戦略の実効性を継続的に高めるため、重要な

人事政策に係る意思決定及び監督の枠組を整備するとともに、エンゲージメントサーベイといった

従業員の意識や課題を把握する調査等を活用して、速やかに対応策を講じ、重点施策を適宜見直す等

継続的な改善を行っております。これにより、人材戦略の形骸化を防ぎ、当社グループの持続的な

企業価値向上を支える経営基盤の強化を図っております。

 

②従業員の給与・報酬・その他待遇の決定に関する方針

当社グループの人的資本経営が目指す好循環を実現するためには、当社の従業員の成長が不可欠との考え方

のもと、「成果に応じたメリハリある評価・報酬」を給与制度の基本方針としております。従業員の年収は、

職務・職責、能力・経験及び成果等を踏まえ決定し、貢献に応じたメリハリある処遇により、挑戦と成長を

促すこととしております。当該方針は、上記「①経営方針と人材戦略の関係性」に記載した人材戦略、特に

「(b) 成果を出し続ける仕組み」及び「(c) 定着及び当事者意識を高める仕組み」をご参照ください。本方針

は当社の従業員を対象とし、対象となる臨時従業員は、当事業年度はおりません。

本方針の具体的内容及び決定方法は以下の通りです。

月例給は、職務・職責及び能力・経験等を踏まえた基準に基づき決定しております。

賞与は、目標管理に基づく個人の業績評価に加え、会社業績等を踏まえて決定しております。目標管理は、

経営方針及び当事業年度の経営計画から落とし込まれた組織目標との整合を踏まえて個人目標を設定し、その

達成状況を評価のうえ、賞与に反映することで、戦略の実行を現場の成果につなげる仕組みとして運用して

おります。

株式付与等の制度は、従業員の経営参画意識の向上を目的に、会社業績等に応じた設計としており、従業員

持株会を活用した株式報奨制度の拡充等を行っております。

福利厚生、健康支援等のその他待遇は、従業員が安心して能力を最大限発揮するための基盤として位置付け

ております。働き方、健康、キャリア形成の観点から制度及び支援策を整備し、働きがい及び生産性の向上に

資する運用をしております。

また、評価・報酬制度の実効性を確保するため、公平・公正な評価及びフィードバックを重視し、評定者の

育成、面談等を通じたフィードバックの充実等、評価の妥当性確保に資する運用により、報酬決定の納得性

向上に取組んでおります。

当社は、人材市場の変化及び従業員の状況を踏まえ、給与・報酬制度及び運用を継続的に改善しており

ます。従業員の意識や課題を把握する調査等を活用し、制度改訂及び運用改善を行うことで、人的資本の強化

に資する処遇のあり方を追求しております。

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

事業セグメントの名称

従業員数(人)

繊維

8,402

[2,699]

機械

13,337

[1,381]

金属

536

[78]

エネルギー・化学品

11,619

[3,822]

食料

30,677

[19,738]

住生活

21,046

[5,045]

情報・金融

19,736

[8,126]

第8

6,674

[4,442]

その他

2,543

[128]

合計

114,570

[45,459]

 

 (注)1 従業員数は、就業人員数であり、[ ]は、臨時従業員の年間平均人員数を外数で記載しております。

2 臨時従業員には、契約期間が1か月以上の派遣社員、アルバイト、パートタイマーを含んでおります。

 

② 提出会社の状況

(a) 従業員に関する指標

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

4,125

42.0

17年

9か月

19,911,534

10.3

 

 (注)1 平均年間給与は、賞与、従業員持株会制度の特別奨励金を含んでおります。上記従業員数より、休職者及び

定年後再雇用等の有期雇用従業員を除いて算定しております。

2 上記従業員数に海外支店・事務所の現地社員317名、受入出向者178名を加え、国内826名、海外295名の他社

への出向者、海外現地法人での勤務者・実習生等421名を除いた提出会社の就業人員数は、3,078名であり

ます。セグメントごとの就業人員数は、次のとおりです。

事業セグメントの名称

従業員数(人)

繊維

319

機械

425

金属

172

エネルギー・化学品

364

食料

415

住生活

232

情報・金融

251

第8

42

その他

858

合計

3,078

 

(b) 多様性に関する指標

会社名

管理職に占める

女性従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員の

育児休業取得率(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

伊藤忠商事㈱

10.1

128

56.9

57.9

59.3

 (注)1 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。課長級以上の女性従業員を対象

      として2024年度に導入した女性執行役員特例措置制度に基づき、2024年4月1日付及び2025年4月1日付で

      登用した、女性執行役員10名を従業員に含みます。

2 育児介護休業に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び

  育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

 

<多様性に関する指標の補足>

a.管理職に占める女性従業員の割合

 当社は、生活消費分野に強みを持つ商社として、多様化する消費者ニーズを「マーケットインの発想」で

捉え、ビジネスモデルを進化させるために、組織の多様性・女性の活躍は不可欠であるという一貫した考えの

もと、20年以上にわたり女性活躍支援を推進してきました。

 現在、女性総合職の約8割が20代・30代であることから、数年後には、多くの女性総合職が管理職へ登用され

ることを見込んでおります。加えて、過去に採用を拡大した男性従業員の定年到達に伴う退職の増加や、新卒

女性採用比率が約4割となっていることも踏まえると、中期的に女性管理職比率は着実に増加する見込みです。

 今後、更なる女性管理職比率の向上に向けて、女性従業員の着実な育成及び計画的な登用、キャリア形成上の

障壁に対する丁寧な個別支援に加え、男性従業員の育児休業取得促進、フェムテック活用等を通じた職場の意識

改革等の取組を着実に推進してまいります。

 これらの取組を通じて、女性管理職比率については、2030年代半ばを目途に現在の2倍程度の水準を目指して

まいります。

 

b.男性従業員の育児休業取得

 当社では、男性従業員の共働き世帯の増加を背景として、2022年度の「育児両立手当(注)1」導入等、社会

課題である男性の家事育児参加を支援しております。男性従業員の育児休業取得を更に後押しするため、配偶者

が出産した男性従業員について、2024年度から育児休業の取得を「必須化」しました。配偶者が出産した男性

従業員全員とその上司に対し、育児休業の取得に向けたきめ細かな働きかけを行った結果、2024年度の男性

従業員の育児休業取得率は96%、2025年度は128%と着実に定着しております。また、育児両立手当は、4週間

以上の育児休業取得が支給要件であることに加え、社内の意識改革が進展した結果、育児両立手当導入前の2021

年度と比較すると、2025年度は4週間以上の育児休業を取得する男性従業員が約8倍に増加しました。

 性別を問わず、仕事と家庭の両立を周囲が理解し、支援する環境を整えることは、多様性を尊重する社内風土

醸成に加え、従業員の「働きがい」向上、女性の更なる活躍推進にもつながるものと考えております。

(注)1 育児両立手当:4週間以上の育児休業を取得し、対象となる子どもが満1歳未満で復職する場合、

育児と仕事との両立に伴う追加費用(保育費用等)の補填等を目的として支給するものです。

2 男性育児休業取得率:男性の場合、育児休業の取得時期は、必ずしも配偶者出産直後とは限らない

  ことから、配偶者が出産した年度と育児休業取得の年度が異なる場合があり、対象男性従業員に

  ついては、全員育児休業を取得しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 <男性従業員の育児休業取得促進状況>      <男性従業員の共働き比率>

 

c.正規雇用従業員における男女間賃金格差の主たる要因

職位

非管理職等

マネジャー級

課長代行級

課長級以上(注)2

女性従業員比率

35.6%

18.1%

11.6%

2.3%

男女間賃金格差

98.5% (注)1

97.1% (注)1

99.4%

97.3%

  (注)1 女性従業員は、育児休業取得期間の給与が影響しております。

2 課長級以上の女性従業員を対象として2024年度に導入した女性執行役員特例措置制度に基づき、2024

  年4月1日付及び2025年4月1日付で登用した女性執行役員計10名を従業員に含みます。

 

 上表のとおり、正規雇用従業員における同一役位内での男女間賃金格差はありません。一方、女性総合職の

約8割が20代・30代であり管理職登用まで時間を要することが、女性従業員の平均賃金が相対的に低い主たる

要因です。今後、以下の女性活躍支援策の推進により、男女間賃金格差を着実に是正していきます。

 

()女性管理職層及び上位職層の育成及び登用の推進

 多様な経験・視点を有する人材の意思決定層への参画は、当社の事業特性に照らして重要であると認識して

おります。この実現に向け、当社では、女性管理職及び上位職層の計画的な育成・登用を進めるための目標を

設定し、各種施策を推進しております。2024年度には、女性執行役員特例措置制度を導入し、女性従業員に

対する選抜・育成機会を強化しました。当該取組は、女性従業員の育成及び登用を着実に進めるための施策

として実施しているものであり、その継続を通じて、女性従業員の登用は着実に進展しております。対象者

には、経営に近い視点での業務経験や重要案件への関与機会を付与することにより、視座の向上、経験の蓄積

及び能力開発を図っております。今後、女性の課長級以上の人材層の拡大が見込まれることから、中長期的には

上位職層における女性比率の更なる向上を見込んでおります。これを着実に実現するため、挑戦機会の付与、

配置・登用機会の拡充及び個別支援の強化を通じて、女性管理職候補者の育成基盤を整備しております。

 

()キャリア継続支援

 当社は、男性・女性ともに従業員の平均勤続年数は約18年と男女間の差異は無く、性別を問わず仕事と家庭が

両立できる環境が整っております。当社において、重要なキャリアパスであるグループ会社・投資先等への出向

や海外駐在とライフイベントとの両立を支援すべく、若手社員一人ひとりに対し、入社8年目までのキャリア

プランイメージを提示しております。

 また、仕事と家庭の両立を後押しすることを目的に、フェムテック活用(卵子凍結、不妊治療の費用補助)、

職場の意識改革・ハラスメント撲滅等、性別を問わない個別支援を実行しております。更に、2018年3月の男性

総合職向けの独身寮統合に続き、2025年3月には、首都圏2ヵ所に分散していた女性総合職向けの独身寮を統合

のうえ、新たに独身寮を設立しました。部署を超えたコミュニケーションの深化を図るべく、多彩な共用設備を

設け、社内人脈形成や研修・セミナーの開催を通じて人材育成の場として活用するとともに、キャリア支援を

強化しております。

 

()事務実務を担うビジネスエキスパート(BX)職の活躍支援

 生成AIの進化や内部管理の高度化等により、事務業務を取り巻く社内外の環境は大きく変化しております。

一方、今後も基幹的な事務業務は当社の成長を支える重要な業務であることから、事務職を、高い専門性を

活かして「組織運営の要」を担う期待役割と再定義した制度改訂を2024年度に実施し、総合商社の業務に必要な

専門知識・スキル取得の体系的な支援を強化しました。更に、2025年4月より、「事務職=女性」というアン

コンシャスバイアスからの脱却を図るべく、職掌の名称を「ビジネスエキスパート(BX)職」に変更しました。

2026年3月には、福利厚生として、BX職向け独身寮の供与を開始しております。性別を問わず新卒・即戦力人材

の採用を強化し、キャリア志向に応じた育成・登用を推進してまいります。

 

d.有期雇用従業員における賃金格差の主たる要因

 個々の専門性に応じて採用しており、高度な専門家・管理職比率の男女間差異によるものです。

 

③ 国内子会社の多様性に関する指標

会社名

管理職に 

占める女性 

従業員の割合(%) 

(注)1

男性従業員 

の育児休業 

取得率 

(%) 

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

賃金格差の

主たる要因

従業員301名以上

(繊維)

㈱レリアン

88.4

(注)3

-

64.5

67.1

64.0

(注)4

㈱三景

3.2

70

62.9

75.5

49.7

(注)5

㈱ジョイックスコーポレーション

9.1

83

69.6

78.3

52.7

(注)5

㈱エドウイン

8.9

(注)3

-

62.8

72.5

60.2

(注)5

(機械)

㈱ヤナセ

3.2

42

72.2

76.0

71.8

(注)6

伊藤忠マシンテクノス㈱

2.3

100

65.9

65.8

61.7

(注)4

(エネルギー・化学品)

タキロンシーアイ㈱

2.9

100

70.4

72.9

66.3

(注)6

伊藤忠エネクス㈱

3.0

120

61.1

60.6

56.7

(注)4

伊藤忠プラスチックス㈱

5.3

111

67.1

67.7

59.8

(注)4

伊藤忠リーテイルリンク㈱

11.6

83

69.0

75.7

56.9

(注)7

(食料)

㈱日本アクセス

2.7

69

66.9

70.7

56.6

(注)7

プリマハム㈱

7.1

80

61.5

79.5

86.1

(注)5

伊藤忠食品㈱

16.7

90

68.2

69.2

74.9

(注)8

(住生活)

伊藤忠アーバンコミュニティ㈱

13.4

100

100.6

69.3

82.0

(注)4

DAIKEN㈱

2.6

73

68.4

71.3

86.0

(注)8

伊藤忠ロジスティクス㈱

9.0

57

70.6

73.5

61.5

(注)8

伊藤忠建材㈱

6.7

100

60.1

59.2

69.0

(注)9

(情報・金融)

伊藤忠テクノソリューションズ㈱

7.3

89

78.1

78.6

66.0

(注)8

ほけんの窓口グループ㈱

14.1

84

70.3

70.2

72.5

(注)7

エイツーヘルスケア㈱

34.5

88

82.2

83.7

58.3

(注)4

センチュリーメディカル㈱

16.9

(注)3

-

77.7

77.9

69.1

(注)4

(第8)

㈱ファミリーマート

5.7

83

69.6

79.2

68.5

(注)4

エイ・ケイ・フランチャイズシステム㈱

0.0

(注)3

-

73.4

92.5

93.2

(注)5

従業員101名以上-301名未満

(繊維)

㈱ドーム

18.8

80

82.6

82.5

91.9

(注)8

コロネット㈱

14.8

(注)3

-

56.2

67.0

55.7

(注)7

シーアイ繊維サービス㈱

30.0

100

67.5

59.2

69.0

(注)7

㈱ロイネ

5.0

100

75.3

74.7

78.4

(注)5

コンバースジャパン㈱

6.3

100

75.1

83.6

40.7

(注)6

(機械)

伊藤忠オートモービル㈱

0.0

100

62.5

63.6

73.0

(注)4

日本エアロスペース㈱

0.0

100

67.7

67.4

22.9

(注)4

 

会社名

管理職に 

占める女性 

従業員の割合(%) 

(注)1

男性従業員 

の育児休業 

取得率 

(%) 

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

賃金格差の

主たる要因

伊藤忠アビエーション㈱

10.0

66

70.7

69.4

(注)10

-

(注)4

伊藤忠プランテック㈱

0.0

(注)3

-

69.8

70.6

50.0

(注)4

(金属)

伊藤忠メタルズ㈱

3.7

100

63.1

67.6

44.0

(注)4

(エネルギー・化学品)

伊藤忠ケミカルフロンティア㈱

5.1

100

58.2

58.4

55.3

(注)4

(食料)

伊藤忠食糧㈱

9.3

100

75.5

78.1

43.4

(注)7

伊藤忠飼料㈱

0.0

25

65.6

66.4

67.1

(注)4

(住生活)

伊藤忠都市開発㈱

5.4

77

71.1

75.6

33.0

(注)4

伊藤忠紙パルプ㈱

0.0

100

76.9

75.2

(注)10

-

(注)8

イトーピアホーム㈱

2.7

(注)3

-

65.0

69.3

40.8

(注)4

伊藤忠セラテック㈱

4.3

50

73.6

75.0

48.2

(注)4

伊豆大仁開発㈱

16.7

100

71.2

74.0

97.4

(注)5

(情報・金融)

伊藤忠オリコ保険サービス㈱

25.0

(注)3

-

77.0

70.5

97.9

(注)4

東洋メディック㈱

2.6

100

74.0

73.8

39.8

(注)4

伊藤忠ケーブルシステム㈱

6.5

66

74.1

72.4

(注)10

-

(注)4

㈱Belong

11.1

250

60.7

62.1

100.1

(注)5

伊藤忠インタラクティブ㈱

33.3

(注)3

-

77.8

79.7

61.0

(注)7

(総本社)

伊藤忠ユニダス㈱

16.0

100

88.0

99.6

77.8

(注)4

伊藤忠人事総務サービス㈱

72.7

(注)3

-

80.8

84.4

47.9

(注)4

伊藤忠フィナンシャルマネジメント㈱

11.1

(注)3

-

76.8

77.6

171.9

(注)7

 (注)1 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 育児介護休業に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び

  育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

3 該当する男性従業員はおりません。

4 職種・職掌により従業員に占める女性従業員に偏りがあるためです。

5 非正規雇用の女性従業員が多いためです。

6 従業員に占める女性従業員の比率が低く、かつ男性従業員の平均勤続年数に比べて女性従業員の平均勤続

年数が短いためです。

7 女性従業員の管理職登用推進の途上のためです。

8 女性従業員の平均年齢が低く、かつ男性従業員の管理職層比率に比べて女性従業員の管理職層比率が低い

ためです。

9 女性従業員の新卒採用を強化した結果、相対的に賃金水準の低い女性従業員が増えたためです。

10 該当する有期雇用従業員はおりません。

 

④ 労働組合の状況

 当社及び子会社と各社の労働組合との関係について、特記すべき事項はありません。

 

⑤ 役員・従業員株式所有制度の内容

 当該制度の内容については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (8) 役員・従業員株式所有

制度の内容」をご参照ください。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティの考え方

 当社グループは、創業の精神である企業理念「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」のもと、

自社の利益だけではなく、投資家や株主の皆様、取引先、社員をはじめ、周囲の様々なステークホルダーの

期待と信頼に応えることで、社会課題の解決に貢献することを目指しております。

 

 2018年4月に環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取入れ、社会影響と事業影響という2つの観点から

7項目のマテリアリティ(サステナビリティ上の重要課題)を特定しました。マテリアリティに対して、

リスクと機会の両方の観点から対応していくことで、当社の中長期的な企業価値向上に

つながると認識しております。詳細は当社「ESGレポート 2025」P.15 マテリアリティの特定・レビュー   プロセスをご参照ください。

 当社グループは、2024年4月に発表した経営方針「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」において

「業績の向上」「株主還元」と並んで「企業ブランド価値の向上」を実現することを掲げております。

 当社グループは、160年を超える発展の過程で変化をチャンスと捉えて、川上から川下まで、原料から小売

までとその影響範囲を拡大しつつ、時代とともに取扱商品の構成や事業領域を転換しながら発展して

きました。そのため、常に既存ビジネスの枠組を超えて新たな価値創造を行うことが、当社グループの

企業ブランドを築き上げ、財務面の成長との相乗効果を生んでおります。当社グループは、強みである生活

消費分野における消費者接点を活用し、全社員で「マーケットインの発想」のもと、市場・社会・生活者の声

に耳を傾けること及び地道な定性面の磨きを継続することで、企業ブランド価値の更なる向上を目指して

おります。

 

 2024年4月に、ハーバード・ビジネス・スクール(以下、「HBS」という。)にて「信頼される企業構築」

の研究を専門とするサンドラ・サッチャー教授が、グループ企業理念「三方よし」のもとで信頼とサステナ

ビリティを確保している企業として当社に注目し、事例研究(ケーススタディ)対象として選定、2025年3月

に正式なHBSのケースとして採用、出版されております。「三方よし」に立脚した当社グループの取組と、

企業価値向上・サステナビリティとの関連性を学術的に説明しているものであり、HBSにおける講義での使用のみならず、経営者、教育機関、投資家等幅広いステークホルダーを対象とする出版物として長期的に活用 されることにより、今後「三方よし」が企業の競争戦略としてグローバルに認知・波及していくことが期待 されております。

 

(2)サステナビリティの取組

① ガバナンス

 当社のサステナビリティ関連のガバナンス体制図は次のとおりです。

 

(a) 監督機能としての取締役会

 当社グループは、サステナビリティ課題への対応を経営の重要課題の一つと認識し、取締役会にてサステナビリティに関するグループ方針、戦略、関連ビジネス推進の承認をするとともに、サステナビリティ開示情報の適切性を監督しております。

 マテリアリティに関して、リスクと機会への対応方針や具体的アプローチ、成果指標及び進捗度合等の重要事項のレビューを通し、マテリアリティの妥当性につき取締役会が監督しております。

 環境・社会リスクを含むサステナビリティ関連のリスクと機会に対応する事業戦略・投資戦略の執行(戦略

の見直し・事業撤退判断を含む)に関して、当社ではすべての新規投資案件に対し、事前のESGリスク評価

として「投資等に関わるESGチェックリスト」を使用し、サステナビリティ関連のリスクに関する方針、体制

及び取組状況を把握、分析したうえで、重要事項を協議するHMC(HMCについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。)にてサステナビリティ関連のリスクを

検証しております。

 また、投資実行後は、サステナビリティ関連のリスクの予防を目的とする事業会社のモニターレビューや、

人権デューデリジェンス、環境汚染等の未然防止を目的とする現地訪問調査等を多面的に実施しております。

 バリューチェーン上の管理については、サプライヤーのESG取組状況を確認するサステナビリティ調査を

毎年実施しております。また、気候変動や自然資本へのリスクと機会に関する取組は、TCFD(気候関連財務

情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フレームワークに基づく分析・

開示を行っております。

 これらの審議内容や取組については、定期的にCAO(Chief Administrative Officer)から取締役会に

報告され、取締役会が監督しております。

 

(b) 監督機能における取締役会のスキル・コンピテンシー

 当社CAOはSDGs/ESG分野の専門的経験・知見を有しており、サステナビリティに関する各種施策の

立案・実施を担当するサステナビリティ推進部より月2回程度の頻度で定期報告を受けております。また、

外部有識者を招聘して毎年開催するサステナビリティアドバイザリーボードでの講義、意見交換を通じて、

サステナビリティに関する世の中の動向、当社への期待、対応すべき課題に対する知見を深めております。

 当社CAOは、会社の全般的経営方針及び経営に関する重要事項を協議するHMCのメンバーであると同時に、サステナビリティ委員会の委員長を兼務しており、サステナビリティに関する統括責任者としてサステナビリティ委員会で審議した事項を決定しております。なお、重要事項については、CAO決定後に、HMCで承認しております。当該決定事項は、CAOからサステナビリティ推進の主たる活動状況とともに適宜

取締役会に報告することで、取締役会の監督にあたってのコンピテンシーを確保していると考えております。

 

(c) 執行機能としてのサステナビリティ委員会

 サステナビリティ関連事項に対応するための各種施策の立案・実施に関する審議を行うサステナビリティ

委員会は、サステナビリティ関連目標の設定や進捗管理、リスクと機会の識別・評価・管理を行って

おります。取締役会は、サステナビリティ関連のリスクと機会に対応する事業戦略・投資戦略の執行(戦略の見直し、事業撤退判断を含む)を監督しております。また、各事業セグメント及び職能部署の経営管理者をESG責任者に任命し、ESG責任者がサステナビリティ関連事項について各種施策・取組の進捗を管理し、

サステナビリティ委員会に報告しております。

 

2025年度サステナビリティ関連審議、報告実績

サステナビリティ

関連会議体

開催数

主な承認・審議・報告事項

取締役会

4回

・サステナビリティ委員会での審議内容及びCAO決定事項の報告

・ESG評価関連の報告

・社会貢献活動の報告

サステナビリティ

委員会

3回

承認事項

・有価証券報告書サステナビリティ関連開示

・環境方針改訂

 

報告事項

・マテリアリティの確認

・サステナビリティアクションプランレビュー

・伊藤忠グループ サステナビリティ・モニターレビュー結果

・GHG関連報告(GHG排出量、GHG削減貢献量)

・水・廃棄物関連新目標の立案

・ISO14001環境マネジメントレビュー

 

② 戦略

 当社グループは、企業理念や外的環境の変化を踏まえた「サステナビリティ推進基本方針」を定め、

組織的・体系的にサステナビリティに資する取組を推進しております。当社グループのマテリアリティを

サステナビリティアクションプランに落とし込み、経営方針及び経営計画の方針に基づき推進するトレー

ディングや事業投資を通じて、課題解決につなげていきたいと考えております。

 

(a) 当社グループ方針

 当社グループの「サステナビリティ推進基本方針」は次のとおりです。

伊藤忠グループ「サステナビリティ推進基本方針」

 

 伊藤忠の創業の精神である企業理念「三方よし」のもと、グローバルに事業を行う伊藤忠グループは、
地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項の一つとして捉え、持続可能な社会の実現に貢献

します。本方針は企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」及び企業行動倫理規範に基づいて策定して

います。

 

1.マテリアリティの特定と社会課題の解決に資するビジネスの推進

 国際社会の一員として、自社のみならず社会にとっても持続可能な成長につながるマテリアリティを

 策定し、事業活動を通じて企業価値向上を目指します。

 

2.社会との相互信頼づくり

 正確で明瞭な情報開示及び開示情報の拡充に努め、ステークホルダーとの双方向の対話を通じて、

 社会からの期待や要請を受けとめ、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。

 

3.持続可能なサプライチェーン・事業投資マネジメントの強化

 地球環境の保全や気候変動の緩和と適応、汚染防止と資源循環、生物多様性及び生態系の保護、人権と
 労働における基本的権利に対し、問題の未然防止及び継続的な配慮に努め、持続可能な事業活動を推進

 します。

 事業投資先や取扱商品のサプライチェーン上の資源(大気、水、土地、食糧、鉱物、化石燃料、動植物

 等)の有効利用、人権の尊重、及び労働安全衛生への配慮に努めます。取引先に対しては当社グループ

 のサステナビリティに対する考え方への理解と実践を求め、持続可能なバリューチェーン構築を目指し

 ます。

 各国法制度及び国際規範を尊重し、世界各国・地域の文化、伝統、慣習の理解に努め、公正かつ誠実な

 企業活動を展開します。

 

4.サステナビリティ推進に向けた社員への教育・啓発

 「サステナビリティを推進するのは社員一人ひとり」であることから、社員に対し重要課題に関する
 意識を醸成するための教育・啓発活動を行います。社員一人ひとりが、本方針に基づき各組織のアク

 ションプランを実行します。

 

上席執行役員 CAO
西口 知邦

 

(b) マテリアリティごとの戦略

 当社は、自社のみならず社会にとっても持続可能な成長につながるマテリアリティについて、全社的な意見を反映した対象候補を「事業影響」「社会影響」の面からマッピングして重要度を判定したのち、外部有識者が参加するサステナビリティアドバイザリーボードで「経営への影響」と「ステークホルダーの意見・期待」の両面から「マテリアリティマトリックス」を作成し、マテリアリティを7項目に特定しました。マテリアリティについては、当社の事業範囲や全社リスク管理(ERM)下における主要リスクのレビュー結果、アドバイザリーボードや株主との面談を通じて寄せられる関心事項とも照らし合わせて、引続き有効であるか毎年見直しており、サステナビリティ委員会で審議、CAOが決定したのち、取締役会に報告しております。

 マテリアリティに関する事業を通じた取組として、各事業セグメントや職能組織で事業分野ごとのリスクと機会等を抽出したうえで、短期から中長期的な目標達成に向けたサステナビリティアクションプランを定めております。サステナビリティアクションプランでは、取組むべき課題、対象事業分野、具体的アプローチ、

成果指標及び進捗状況を管理しております。毎年成果指標に基づくレビューを8つのカンパニー及び職能組織

ごとに実施し、サステナビリティ委員会に進捗状況を報告します。このようなPDCAサイクルを回し開示する

ことにより、確実なマテリアリティごとの戦略推進を目指しております。

 

マテリアリティごとのリスクと機会

マテリアリティ

リスク

機会

技術革新による商いの進化

・IoT、AI等、新技術の台頭に伴う

既存ビジネスモデルの陳腐化

・先進国での人手不足や、効率化が

遅れている事業での優秀な人材の

流出 等

・新市場の創出や、革新性のある

サービスの提供

・新技術の活用による人的資源や

物流の最適化、働き方改革推進に

よる競争力強化 等

気候変動への取組

(脱炭素社会への寄与)

移行リスク

・温室効果ガス排出に対する事業

規制等による化石燃料需要の

減少、関連資産の価値低下、炭素

税や再生可能エネルギー使用に

よるコスト増加

物理的リスク

・生態系保護に資するためのコスト増加、異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生増加による事業被害 等

・気候変動の緩和に寄与する、再生

可能エネルギー等の事業機会の

増加

・異常気象に適応できる供給体制

強化等による顧客維持・獲得 等

働きがいのある職場環境の

整備

・団体交渉権や団結権の阻害により

 当社従業員の不満が蓄積。

 その結果、労働生産性の低下、

 訴訟リスクの発生

・成果に応じた評価・報酬を実現

 しない場合、優秀な人材の流出に

 よるビジネスチャンスの逸失

・過剰労働による健康被害や人権

 侵害に伴う健康関連費用の増加、

 レピュテーションリスクの発生 等

・働きがいのある職場環境の整備や

スキル向上の機会を提供すること

による労働生産性の向上、

健康力・モチベーション向上

・多様な人材が活躍することが

できる環境を整えることによる、

優秀な人材の確保、環境変化や

ビジネスチャンスへの対応力強化

人権の尊重・配慮

・バリューチェーン上の労働者及び

関係者に係る人権問題発生に伴う

事業遅延や継続リスク

・当社が提供する社会インフラ

サービスの不備による事業

不安定化・信用力低下 等

・地域社会との共生による事業の

安定化や優秀な人材確保

・サプライチェーン人権への配慮、

労働環境の改善に伴う生産性向上

・安全かつ安定的な商品供給体制の

構築 等

健康で豊かな生活への貢献

・消費者やサービス利用者の安全や

健康問題発生時の信用力低下

・政策変更に基づく、市場や社会

保障制度の不安定化による事業

影響 等

・食の安全・安心や健康増進の需要

増加

・個人消費の拡大や次世代インターネットの普及に伴う情報・金融・物流サービスの拡大 等

安定的な調達・供給

・環境問題の発生及び地域社会との

関係悪化に伴う反対運動の発生に

よる影響

・現地エコシステムの変化による

  持続可能な調達・供給力の低下

・地政学や為替変動等に起因する

  インフレによる調達・供給力の

  低下 等

・新興国の人口増及び生活水準向上

  による資源需要の増加

・生態系に配慮した持続可能な資源や素材の安定供給による顧客の

信頼獲得や新規事業の創出 等

確固たるガバナンス体制の

堅持

・コーポレート・ガバナンス、内部

統制の機能不全、法令違反に伴う

事業継続リスク、予期せぬ損失の

発生 等

・強固なガバナンス体制の確立に

よる意思決定の透明性の向上、

変化への適切な対応、安定的な

成長基盤の確立 等

 

 

(c) 具体的アプローチ

 当社は、2024年4月3日の取締役会において「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」を経営方針と

定め、企業ブランド価値の向上を目指して、それまでの3ヵ年の中期経営計画から引継ぐ「SDGsへの貢献・

取組強化」に本業を通じて取組んでおります。本取締役会決議を踏まえ、2026年5月のサステナビリティ

委員会で、各マテリアリティに関する具体的施策及び目標に対する進捗状況の審議・レビューを

行うとともに、2026年度のサステナビリティアクションプランを決定し、各事業セグメントにおいてこれらの

施策を継続的に実行しております。詳細は2026年9月発行予定の当社「ESGレポート 2026」サステナビリティアクションプランをご参照ください。

 

各事業セグメントにおける2025年度の具体的成果の一例は次のとおりです。

事業セグメント

2025年度の具体的成果

繊維

・生成AIを積極的に活用し、業務時間の削減、商品企画の精度向上、接客改善、在庫 最適化等を一段と推進した結果、小売系事業会社7社合計のROAが前年度比1.9%

改善

・繊維由来の再生ポリエステル「RENU」等、サステナブル素材の普及促進及び繊維 製品を再資源化する仕組みを構築し、横展開を推進

機械

・北米における再生可能エネルギー資産を投資対象とするファンドを設立し、累計 3件406MWhの風力発電等へ投資を実行

・アンモニア焚き大型バラ積み船のエンジン開発を完了

金属

・デンマークEverfuel A/Sと共同でグリーン水素バリューチェーン構築を推進

・鉄鋼業界のグリーン化に貢献する低炭素還元鉄サプライチェーン構築を推進

エネルギー・化学品

・家庭用蓄電池の販売拡大及び大型蓄電池事業を本格展開(計1.1GWh超)

・航空業界へ持続可能な燃料SAFを供給継続

食料

・持続可能な調達に寄与する認証付き商品(パーム油、コーヒー豆等)の推進及び

フードロス削減に向けた規格外バナナの取扱増

・複数の小売業者に対して業務改善に向けた需要予測・物流効率サービスを提供

住生活

・林産物の取扱において、認証材または高度な管理が確認できる林産物の比率で100%を達成

・天然ゴム加工事業でトレーサビリティ、サステナビリティが確保された原料を調達

情報・金融

・中古携帯端末における取扱品目を拡大、調達ソース及び流通チャネル拡充

・抗がん剤治療に伴う脱毛の抑制につながる頭皮冷却システムの導入を拡大

第8

・ファミリーマート約16,400店中約11,000店まで大型サイネージ導入を進め、来店客へ新しい店舗体験を提供、データ連携によるデジタルマーケティングを高度化

 ・店長業務サポートを担うAIモデルを約13,000店舗に導入し運営業務を効率化

その他

・奄美大島/宇検村で日本初マングローブ由来のブルーカーボン・クレジットを創出

 

③ リスク管理

(a) 全社的リスクマネジメントシステム

 当社は、主要リスクの責任部署による定常的なリスク管理(第1線)、取締役会による監督のもと、

HMCとリスクマネジメントに関連する各委員会による全社的なリスク管理(第2線)、そして内部監査部門

による独立した視点での推進状況や体制に関する監督(第3線)というリスク管理体制をおくことで、全社的

なリスク管理を行っております。これは、COSO-ERMフレームワークが推奨する3ラインモデルに沿った体制と

なっております。定常的なリスク管理については、迅速な意思決定を実現するため各事業セグメントが委譲

された権限の範囲内で管理し、リスク責任部署が状況をモニタリングしております。

 このように当社グループでは、サステナビリティ関連をはじめとする様々なリスクと機会に対処するため、

各種の社内委員会や責任部署を設置するとともに、各種管理規則、投資基準、リスク・取引限度額の設定や

報告・監視体制の整備等、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクと機会を総括的かつ個別的に

管理しております。

 半期に一度、主要リスクの責任部署が連結リスク管理のアクションプランのレビューを行い、主要リスク別に管理状況を内部統制委員会へ報告することで、管理体制の有効性を定期的にレビューしております。更に、このレビュー結果は取締役会にも報告されております。
 詳細は当社「ESGレポート 2025」P.229-231 リスクマネジメントをご参照ください。

 

(b) 事業運営レベルのリスク管理体制

 事業運営レベルのリスク管理としては、各カンパニーにおいてカンパニーの長であるカンパニー

プレジデントの諮問機関としてDMC(Division Company Management Committeeの略)が、各カンパニーに

おける経営方針及び経営に大きな影響を及ぼす投資・融資・保証・事業等における重要案件を審議して

おります。委譲された権限を超えるリスクを負担する場合は、重要度に応じ、各種委員会を経てHMC及び

(または)取締役会へ付議されます。

 

(c) サステナビリティ関連のリスクと機会の評価

 当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と認識し、COSO-ERMフレームワークの考え方を参考に、当社

グループにおけるリスクマネジメントの基本方針を定め、必要なリスク管理体制及び手法を整備しており

ます。将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があるものを重要なリスクと

考え、気候変動、サプライチェーン、人権等のサステナビリティに係る規制等の動向及び、世界各地の事業に与えるサステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報収集を定期的に行っております。それらの情報を

踏まえ、リスクの発生頻度及び深刻度、操業/活動範囲等の評価指標から、以下の一覧にある環境・社会面の

テーマやガバナンス面について、営業部門や一部職能部でリスクと機会を定量評価し、社会へのインパクトと

当社グループへのインパクトの両面から影響度合いを可視化し、特に重要なリスクや機会を把握しており

ます。

主な環境・社会リスクに関する社内のリスク管理制度

 

(d) サステナビリティ関連のリスクと機会の管理

 当社グループでは、全社的リスクマネジメントシステムのガバナンスのもと、次のような事業運営に伴う

サステナビリティ関連のリスクと機会の管理を行っております。

 事業投資では新規投資時にはESGチェックリストによる確認をしたのち、各事業セグメントのDMCに

おいて、経営方針及び経営に影響を及ぼす投資・融資・保証・事業等が審議され、カンパニープレジデントが

それらを決定しております。なお、当該決定事項は、事業段階ごとの状況に応じて管理し、投資後はグループ

会社に対するモニターレビューを毎年実施しております。

 トレードで新規商品群を取扱う場合は、著しい環境・社会面のリスクをLCA(ライフサイクルアセス

メント)により確認し、適切な法規制対応ができる体制とモニタリング制度を整えております。新規取引先に

は当社のサステナビリティ行動指針を通知し、当社のESGに対する考え方に理解を求めること、重要な取引先

には毎年サステナビリティ調査にて取引先のESG対応状況を確認し、懸念点がある場合は対面や現地訪問に

より詳細を確認し必要な措置を講じております。

 またテーマ別に、気候変動はTCFD、自然資本はTNFDのフレームワークに沿って、環境変化による事業への

影響と対応策の有効性を分析することや、人権侵害に加担していないかサプライヤーやグループ会社に対して

実地調査を行う人権デューデリジェンスにも取組んでおります。

 

④ 指標及び目標

 サステナビリティアクションプランの取組むべき課題、アプローチ、成果指標及び進捗度合の詳細は2026年

9月発行予定の当社「ESGレポート 2026」サステナビリティアクションプランをご参照ください。

 

(3)気候変動対応

 当社グループは気候変動を最も緊急性が高い地球環境問題の一つと認識しております。

 当社グループは、パリ協定や日本国が決定する貢献(NDC)を支持し、気候変動による事業環境の変化への

適応に努めるとともに、これを更なる成長機会と捉えております。当社グループは、2030年・2040年・2050年

までの温室効果ガス(GHG)排出量削減達成のため、バリューチェーン上の関係者と協力し、省エネや再生

可能エネルギーの利用、一般炭権益からの撤退をはじめとする資産入替、環境に配慮した商品やサービスの

提供等により排出量を可能な限り削減し、また社会全体の排出量を削減する削減貢献ビジネスを

積極的に推進することで、企業価値向上につなげていきます。

 当社は、気候関連財務情報開示の重要性に応えるべく、2019年5月、TCFDの提言への賛同を表明して以降、

TCFD提言に基づく情報開示に努めております。

 詳細は当社「ESGレポート 2025」P.49-68 気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)をご参照ください。

① ガバナンス

 気候変動に係るリスクと機会への対応方針やGHG排出量の削減目標・取組、気候変動リスクと機会を考慮

した年度予算・事業計画等の重要事項につき、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述の

サステナビリティ全般のガバナンスにおいて統合的に管理・監督しております。

② 戦略

 当社の事業は、気候変動の移行リスク及び物理的リスクの影響を短期・中期・長期の様々な時間軸で受けて

おります。そのため当社は、各事業案件の推進プロセス及び気候変動を含む環境・社会リスクの管理プロセス
の中で、事業や戦略、バリューチェーン等に重大な財務的影響を与える可能性のあるリスクと機会を特定・

評価・管理しております。

(a) 気候変動関連のリスクと機会

気候関連の

リスクと機会

気候関連のリスクと機会が

組織の事業、戦略、

財務計画に及ぼす影響

影響を
受ける
時間軸(注)

影響を受ける
バリューチェーン

影響を受ける

事業・業種の例

移行

リスクと

機会

政策と

法制度

・世界各国のGHG排出計画の厳格化・GHG排出に対する事業規制等による化石燃料

需要の減少

・カーボンプライシング
(炭素税等)や事業規制等

による事業コストの増大

中期

長期

上流・

当社グループ

発電事業、

化石燃料事業、

鉄鉱石事業、

自動車事業、

化学品事業

技術革新

気候変動の緩和に寄与する
再生可能エネルギー・蓄電池関連事業、低炭素燃料、
低炭素製鉄原料等の事業機会

の増加

短期

中期

長期

当社グループ

再生可能エネルギー

・蓄電池関連事業、
低炭素燃料事業、
新素材事業、

鉄鉱石事業

市場状況の変化

政策と法的リスク及びクリーンテック等のテクノロジーの影響を受ける製品・サービスの需要の増加と減少

短期

中期

長期

上流・

当社グループ

化石燃料事業、
化学品事業、

自動車事業、

再生可能エネルギー

・蓄電池関連事業、

新素材事業、

CCUS・排出権関連

事業

 

 

 

気候関連の

リスクと機会

気候関連のリスクと機会が

組織の事業、戦略、

財務計画に及ぼす影響

影響を
受ける
時間軸(注)

影響を受ける
バリューチェーン

影響を受ける

事業・業種の例

物理的
リスクと
機会

急性的な物理的

リスク・
機会

異常気象(干ばつ、洪水、
台風、ハリケーン等)発生

増加による事業被害等

短期
中期
長期

上流・

当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業、

鉱業

異常気象に適応できる供給

体制強化等による顧客維持・

獲得等

短期
中期
長期

上流・
当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業

慢性的な物理的

リスク・機会

気温上昇と気候変動に付随

する干ばつ等が農業・林業の
収穫及びそれらの関連製品の

生産量に与える影響

中期

長期

上流・
当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業

(注)短期:~1年、中期:~3年、長期:4年~

 

(b) シナリオ分析

 当社事業を、GHG排出量等気候影響度と財務影響度をもとに分類し、双方の影響度が大きい事業を分析対象

としております。その結果、政策と法的リスク等の移行リスク影響の大きい事業として、「発電事業」

「エネルギー事業」「石炭関連事業」「鉄鉱石事業」「自動車事業」「化学品事業」を、また気候変動の

物理的リスク影響の大きい事業として、「Dole事業」「飼料・穀物トレード事業」「パルプ事業」を、

シナリオ分析を行う対象事業に選定しました。上述9事業は、TCFDが指定した気候変動の影響を潜在的に

大きく受ける4つの非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業・食品・木材製品)に含まれる

ものです。

 

(c) 既存戦略への影響と事業の移行計画

 シナリオ分析を行う中で、現状の事業戦略や事業地域の転換といった気候変動対策を取らない場合の財務的

な負の影響が大きいリスクを把握しました。また、経営方針「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」に

て推進する「SDGsへの貢献・取組強化」のもと、具体的な事業の移行計画、財務計画(資産入替を含む)の

策定に既に着手しております。シナリオ分析の対象以外の事業も含め、気候変動対策に資する取組として、

次のようなビジネスを推進しております。

分野

概要

環境配慮型繊維素材

・サステナブル素材の拡充による循環型経済への貢献

水・廃棄物処理

・有力パートナーとの協業を通じ、欧州・中近東を中心に事業展開
・ドバイにて世界最大級の廃棄物処理発電施設の運営

再生可能エネルギー
・蓄電池

・北米・欧州・アジア中心に風力・太陽光・地熱等、発電事業を推進
・太陽光発電所向け運転・保守サービスを北米約1,000ヵ所で展開
・AIによる蓄電池等の充放電制御と分散型太陽光発電ネットワークを活用したクリー

 ン電力サービス・環境価値取引を推進

金属リサイクル

・リサイクル事業者の全国ネットワーク活用や、廃棄物処理の最適管理サービス提供

 を通じ、金属スクラップ他幅広くリサイクル事業を展開

還元鉄

・鉄鋼業界のグリーン化に貢献する低炭素還元鉄サプライチェーン構築を推進

CCUS(CO2回収・

利用・貯留)

・豪州MCi Carbon Pty Ltdの有するCO2固定化技術の商業化を目指し、国内外の取引先企業と協業

・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に

参加し、液化CO2輸送技術の研究開発・実証事業も実施

持続可能な航空燃料

・ディーゼル燃料

・日本初となる航空会社向け持続可能な航空燃料(SAF)及び商用車向けリニューア

 ブルディーゼル(RD)の販売・供給を実現

 

分野

概要

水素・アンモニア

・デンマークEverfuel A/Sと共同でグリーン水素バリューチェーン構築を推進

・クリーンアンモニアのバリューチェーン構築に向け、アンモニア燃料船開発及び

 保有運航モデルの創出、舶用燃料供給(バンカリング)事業、発電燃料代替として

の利活用、製造販売事業等を推進

プラスチックリサイクル

・リサイクル技術を持つ有力パートナーとプラスチックリサイクル事業展開
・海洋プラスチックごみを原材料に使用した製品開発

サステナブル

コーヒー豆・植物油

・児童労働・環境破壊を排除したサステナブル製品・第三者認証品を安定供給
・生産・流通・加工過程のサステナビリティが確立された原料サプライチェーンを

 構築

青果物生産・加工

廃棄物削減

・Dole商品の生産・流通・加工工程における格落ち品・残渣の再利用を促進

サステナブル天然

ゴム

・持続可能な天然ゴムのための国際コンソーシアム「GPSNR」に設立メンバーとして

 参画

・天然ゴムの持続可能性向上を目指す取組「PROJECT TREE」をバリューチェーン全体

 に展開

中古携帯端末流通

・スマートフォン買替による環境負荷増大等の市場動向を捉え、中古携帯端末流通

  事業を運営

IT機器リサイクル

・米国最大手IT機器リサイクルパートナーと提携し、IT機器リサイクル事業へ参入

CVS事業(ファミ

リーマート)

・サプライチェーン改革による業務効率化、食品ロス削減
・脱プラスチック、GHG排出量削減等「ファミマecoビジョン2050」を推進

 

③ リスク管理

 気候変動リスクは、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述のサステナビリティ全般の

リスク管理において統合的に管理しております。なお、気候変動のリスク管理は、次のとおり、事業の段階

ごとの評価手法に組込まれております。

 

事業の段階ごとの評価手法

事業の段階

評価手法

事業開始

・新規投資案件の気候変動リスクを含む環境・社会リスク評価

・炭素税コスト等をシャドープライシングで算定し、ストレステストを実施

 (インターナルカーボンプライシング)

事業運営

・取扱商品の環境リスク評価(サプライチェーン全体でLCA評価)

・グループ会社の環境実態調査(1年に2、3社)

・サプライチェーン・サステナビリティ調査(取引先)

・ISO14001に基づく内部環境監査(当社、対象グループ会社3社)

・Scope1/2/3集計と経年評価、インターナルカーボンプライシングインパクト

評価(例:発電事業(米国)の場合205米ドル/t-CO2

事業戦略の見直し

事業戦略、資産入替の検討

 

 各事業段階の評価手法でリスクまたは機会が特定された場合、リスクと機会の事業への影響を評価しております。それにはシナリオ分析・ストレステスト等の定量評価、投資方針・GHG排出量削減目標への準拠性評価のような定性評価が含まれます。定量評価された気候変動のリスクと機会の情報には、気候変動以外のリスクと機会の定量情報が加算され、収益への貢献度合を分析しております。

④ 指標及び目標

 当社グループは、気候変動リスクと機会への対応の一環として、GHG排出量とクリーンテックビジネスに

関し、以下の指標及び目標を設定しております。指標及び目標を定める際には、パリ協定や日本国NDC、国際的な信頼性が高く多岐にわたる事業領域をカバーできるIEA(国際エネルギー機関)の資料等を参照して

おります。

<GHG排出量削減目標>

指標(集計範囲):

Scope1/2/3(当社及び子会社)、化石燃料事業・権益(当社及び子会社・関連会社・一般投資)

目標:

・2050年までにGHG排出量「実質ゼロ」を実現。

・2040年までに2018年比75%削減を実現し、GHG排出量削減に貢献するビジネスの積極推進を通じ

「オフセットゼロ(注)」を目指す。

(注)オフセットゼロ:削減貢献量(既存の製品やサービスをよりGHG排出量が少ない製品やサービスに

   置き換えた場合に削減・抑制可能なバリューチェーン上のGHG排出量)が当社GHG排出量を上回る

   状態。

・2030年までに2018年比40%削減を実現。

 

⑤ GHG排出量データ

                       (単位:千t-CO2e)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

Scope1

1,087

1,162

Scope2

640

699

・千t-CO2e単位で表示している数値については、千t-CO2e未満の端数を四捨五入して表示しております。

・当連結会計年度のScope1及びScope2の数値は第三者保証を受ける予定です。集計範囲、算出方法及び  第三者保証の詳細につきましては、2026年7月に更新予定の当社サステナビリティウェブサイトのESG  データページをご参照ください。

・サステナビリティウェブサイト「ESGデータ」URL https://www.itochu.co.jp/ja/csr/data/index.html

(4)自然資本・生物多様性への対応(TNFDに基づく開示)

 当社は自然資本・生物多様性を含む地球環境問題を経営の最重要課題の一つとして捉えております。当社

グループは川上から川下まで事業投資やトレードをグローバルに展開しており、人々に便益をもたらす

植物、動物、空気、水、土壌、鉱物等の自然資本の恵みに大きく依存し、またこれらに負の影響を与える

可能性があります。このため、伊藤忠グループ環境方針に示す生物多様性の保全を推進すべく、生物多様性

方針を定め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 また、TNFDの議論を加速させるためにTNFDフォーラムへ参画しており、2024年10月にはTNFD提言に基づく

情報開示への意思を宣言するTNFD Adoptersにも登録し、TNFD提言に基づく情報開示に努めております。

詳細は2026年9月発行予定の当社「ESGレポート 2026」自然資本・生物多様性(TNFD 提言に基づく情報

開示)をご参照ください。

 

 

① ガバナンス

 自然関連リスクと機会への対応方針やリスク・機会を考慮した年度予算・事業計画等の重要事項につき、

前述のサステナビリティ全般のガバナンスの仕組みの中で管理・監督しております。((2)サステナ

ビリティの取組①ガバナンスをご参照ください。)

 

② 戦略

 TNFDフレームワークを参考に、当社グループの全事業について潜在的な自然資本への依存と影響を机上分析のうえで、LEAPアプローチ(注)によるトライアル分析を実施しました。TNFDが推奨する手法が当社でも活用可能であると確認されたため、自然資本への依存度が比較的高い天然ゴム事業(天然ゴムの調達とゴム加工)と、影響度が比較的高い不動産事業(建材調達と不動産開発)を対象にLEAPアプローチによる分析を実施し、自然資本への依存・影響の評価と、シナリオ分析を用いた同事業のリスクと機会の特定を行いました。その

結果、天然ゴム事業については自然の持つ浄化や減災機能に強く依存し、土地利用の転換や廃棄物の排出等が自然に影響を与える可能性があります。また、土壌劣化による天然ゴムの収量低下や水質汚染による品質低下等がリスクに該当し、認証材の販売量増加等が機会になりうることがわかりました。不動産事業については

降雨パターン等に強く依存し、建設作業中の騒音や粉じん等が自然環境に影響を与える可能性があります。

また、洪水や土砂災害による工期の遅延や物件の運用が困難になること等がリスクに該当し、災害レジリ

エンス強化による安定的な施設稼働が機会になりうることがわかりました。一定以上の重要度が認められる

リスクについて、いずれの事業においても既に十分な対応策を行っていることが確認されております。なお、これらのリスク・機会の評価を行う際のシナリオ分析は、2030年を想定して実施されました。

加えて、木材・パーム油・カカオ豆・コーヒー豆という自然への依存度と影響度が高いコモディティに

ついては、調達段階を対象とした個別分析を行いました。調達地域の地理的な特徴等も踏まえて、自然への

依存と影響及びこれらが発現した場合のリスクを特定し、対応策を確認したところ、その商品特性に合わせたリスク低減策が講じられていることがわかりました。

(注)TNFDが開発したLocate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備

   する)という4つのステップで構成された対象事業の自然関連課題を明確にする分析手法。

 

③ リスクとインパクトの管理

 自然関連リスクは、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述の(2)サステナビリティの

取組③リスク管理において統合的に管理しております。なお、自然関連のリスク管理は、事業の段階ごとの

評価手法に組込まれております。

 

④ 指標及び目標

 当社では、TNFDが開示を推奨しているコアグローバル指標及び、分析結果を踏まえて検討した当社固有の

指標に対応するデータを収集しております。今後は目標の設定についても検討していきます。

 

(5)人的資本経営・多様性

 当社グループは、企業理念である「三方よし」の精神を継承し、企業行動指針である「ひとりの商人、無数

の使命」を体現する人材の確保・育成に努めております。その実現には、人種、性、宗教、国籍、年齢等に

かかわらず、従業員一人ひとりの能力を最大限に引出す人材戦略の実行と環境の整備が不可欠であり、当社の

朝型勤務・健康経営等の働き方改革や人事政策の事例を当社グループで共有したうえで、グループ各社の

ビジネスに合わせた独自の人材戦略を展開しております。また、グループ各社の採用、人材育成、労務管理等における課題に対し、きめ細やかな支援を行う等、当社グループが一体となって企業価値の向上に努めており

ます。

 

① ガバナンス

 当社グループの企業理念である「三方よし」を実現するため、人材戦略を経営戦略の一つとして位置付けて

おります。人的資本に関する重要な方針及び施策は、人事・総務部の立案、CAO、CSO(Chief Strategy

Officer)、業務部の審査を経て、HMCで決定し、CAOより取締役会に適時または定期的に報告しております。また、「人材多様化」に関する社会的な要請が一層高まる中、喫緊の課題である「女性の活躍支援」を加速すべく、2021年10月に設立した取締役会の諮問委員会である女性活躍推進委員会における審議及び答申を通じて、人材戦略に関する重要施策、目標設定及びその進捗を監督しております。なお、女性活躍推進委員会

は、社外取締役を委員長とし、委員総数の半数以上を社外役員で構成しております。

 

② 戦略

 当社グループの育成方針・社内環境整備方針・具体的アプローチは、次のとおりです。

<商人の育成方針>

 当社は、1999年度より人材育成費用を持続的な企業価値の向上のための「人的資本投資(E&D費)」と位置

付け、毎年全社でレビューし、グローバル経営人材育成、「伊藤忠らしさ」の伝承、「学び続ける」支援を

柱に人材育成を推進しております。

 

 現場(OJT)を育成の中心とし、20代のうちに海外駐在・出向を含む多様な経験を提供し、成長を促進する

ことを重視しており、キャリア棚卸の機会を通じて従業員の強み・弱みを把握し、現場での実践と豊富な研修

(Off-JT)の両輪で成長を支援しております。これらの取組を通じ、社会環境の変化や顧客ニーズを捉えた

「無数の使命」を果たす「商人」を育成し、当社グループの企業理念である「三方よし」を実現しており

ます。重点的施策は、次のとおりです。

 

(a) 採用市場での優位性を活かした優秀な人材の確保

 優秀な人材の採用は、当社競争力の源泉です。積み重ねてきた先進的な取組により、数多くの高い外部評価

を通じて採用市場における企業ブランドを築き上げ、就職人気ランキング等に基づく「学生から選ばれる企業

No.1」の地位堅持により、優秀な人材を継続して確保していきます。

(b) 経営人材の多様化

 経営人材の多様化は、生活消費関連ビジネスに注力する当社にとって非常に重要な要素になるため、「2030年までに、全役員(執行役員を含む)に占める女性比率を30%」とする数値目標を定めております。2024年度

に導入した女性執行役員特例措置制度をはじめ、性別関係なく従業員が幅広い職務領域において中核的な

役割を担う職場環境の整備を進めております。

 

(c) グローバル経営人材育成

 「マーケットインの発想」に基づき現地に根差したビジネスを推進するため、優秀な海外現地従業員の登用と、本社従業員の海外派遣を両輪として推進しております。本社新卒採用の総合職は、原則入社8年以内に

海外を経験し、駐在や実習、語学研修を通じて現地の語学・文化や商慣習を習得しております。更には

グループ会社の経営管理を担う人材育成として、川下起点の投資を加速し、ハンズオンで事業領域拡大や事業

基盤の更なる強化・拡充に向けたプログラムを構築しております。

 

(d) 「伊藤忠らしさ」の伝承

 当社では、企業理念「三方よし」の精神を次世代に伝承するために、創業地訪問、企業理念教育、役員等に

よる経営や投資に関するノウハウ共有機会の提供等、毎年様々な取組を行っております。

 

(e) 「学び続ける」支援

 当社は、全従業員を「学び続ける」対象とし、OJTでは身に付けることが難しいビジネスモデルの進化に

資する組織戦略に紐づく新たな知識を、豊富な研修メニューの選択を通じて習得する機会を設けております。

また、組織戦略上必要となる知識・スキルの習得に従業員が自発的に取組めるように、個人業績評価における目標として「学び続ける」項目を設定しております。特に、DXの知識獲得においては、習得度合いによる階層別のプログラムや、全従業員を対象とした生成AIのeラーニングを構築する等、DXを目的化せず、当社の業容

変革を実現・推進できる人材を体系的に育成しております。

 

(f) 主体的キャリア形成支援

 当社は、従業員一人ひとりが「キャリアを自ら考え、成長すること」を後押しし、働きがいを高めていく

ことが、組織全体の持続的な成長につながると考えております。この考え方のもと、会社としての育成方針を示しつつ、従業員本人の志向、適性、家庭等の事情に応じた多様なキャリア形成の機会と働き方の選択肢を

整備しております。

 具体的には、定期的な所属長との面談や人材アセスメントを通じて、従業員が自身のキャリアを棚卸しし、今後のキャリアについて考える機会を設けております。また、本社新卒採用の総合職新入社員に対しては、

若手育成方針に基づく入社後8年間の「個人別キャリアプランイメージ」を提示するとともに、経営層から

育成方針を共有する機会を提供しております。

 併せて、希望部署への異動を可能とする「チャレンジキャリア制度」(社内公募)や、組織横断的な案件に参加できる「バーチャルオフィス」を通じて、従業員の主体的なキャリア形成を職掌移動制度、在宅勤務・

朝型フレックスタイム制度、育児や介護等の事情に配慮した一時的な転勤免除、キャリアカウンセリング室における相談体制等、多様な事情に応じた支援策を講じることで、従業員に寄り添う当社らしい施策を実施して

おります。

 

<従業員の貢献意欲向上・更なる労働生産性の追求>

 成果に応じたメリハリのある評価・報酬、早期抜擢やチャレンジングな経験の機会の創出により、全従業員

が能力を最大限に発揮できる「厳しくとも働きがいのある会社」の実現を目指しております。

 朝型勤務・健康経営等の働き方改革の先進的な取組の積み重ねに加え、2024年度には、約10年ぶりとなる

大規模な人事制度の改訂を行いました。年功的な要素を廃し、30歳前後で事業会社にてマネジメント経験を

積むことを可能とする等、優秀な従業員を早期に抜擢する仕組みを導入しております。また、若手・中堅を

中心とした給与水準の引上げや個人の頑張りに応じた処遇のメリハリ強化を通じて全従業員平均の年収ベースで2023年度比約2%の年収増を実現しております。更に2025年度より全従業員を対象に約2~3%の固定給

増額に加え、従業員持株会を活用した株式報奨制度の拡充等により約10%の年収増となる改訂を実現しており

ます。

 

<社内環境整備方針>

 「健康力向上」こそが、企業行動指針である「ひとりの商人、無数の使命」を果たす人材力強化の

礎であるという考えに基づき、当社は「伊藤忠健康憲章」の制定、がんと仕事の両立支援等をはじめとした

健康・安全に対する万全な体制を構築しております。また、従業員の健康維持・増進を図るため、睡眠を含む

健康課題への対応や、労働安全衛生に関する情報提供を通じて、従業員が安心して働くことができる職場環境の整備を推進しております。今後も、従業員一人ひとりの健康を第一に、当社グループ全体で安全で働きがい

のある職場環境の実現を目指していきます。

 

③ リスク管理

 当社は、価値創造の原動力である従業員一人ひとりの能力を最大限に引出すための基盤整備に努めており、迅速な意思決定を実現する観点から各事業セグメントに権限を委譲し、事業運営に伴う人材に関するリスクと機会の管理を行っております。経営戦略に基づいた人材戦略のもと、各カンパニープレジデントが人材確保や適材適所等を推進しております。また、定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、その結果を各事業セグメントに報告することにより、従業員の働きがい等の人的資本に関する重要な状況をモニタリングしており

ます。当社グループ各社に対しては、事業セグメントを通じて労務管理リスク及び人材リスクの把握を行い、課題に応じたきめ細やかな支援を実施しております。更に、コンプライアンス意識の向上及び事案の未然防止を目的として、実際に発生したコンプライアンス事案を教材として含めた「コンプライアンス巡回研修」を

当社及び国内グループ会社の役職員に対して実施しております。なお、これら人的資本経営・多様性に関するリスクと機会の識別、評価、管理及びモニタリングは、「(2) サステナビリティの取組 ③リスク管理」

に記載の全社的なリスク管理の枠組に沿って運用しております。

 

④ 指標及び目標

(a) 人材育成・働き方

指標

前連結会計年度

当連結会計年度

目標

集計対象

労働生産性(注)1

5.7倍

5.8倍

-

提出会社

従業員持株会加入率

100%

100%

-

提出会社

自己都合退職率

1.6%

1.7%

-

提出会社

月平均残業時間(法定)

10.7時間

10.3時間

-

提出会社

男性育児休業取得率

96%

128%

2031年3月末目標:100%

提出会社

年次有給休暇取得率

69.1%

70.7%

-

提出会社

女性従業員比率

26%

26%

 -

提出会社

女性新卒採用比率

39%

42%

 -

提出会社

女性役員比率(注)2

21%

28%

2030年目標:30%

提出会社

研修受講者数(延べ人数)

56,831名

53,811名

-

提出会社

入社8年目までの総合職海外派遣比率

87%

86%

-

提出会社

一人あたり研修時間(年間)

31.0時間

29.8時間

-

提出会社

人材育成投資総額(注)3

24.5億円

27.0億円

-

提出会社

 

 ・グローバル・経営人材育成

16.3億円

18.6億円

-

提出会社

 

 ・「伊藤忠らしさ」の伝承

4.7億円

5.1億円

-

提出会社

 

 ・「学び続ける」支援

3.4億円

3.3億円

-

提出会社

一人あたり人材育成投資額

(注)4

60.6万円

66.4万円

-

提出会社

企業理念「三方よし」を深く理解するための創業地訪問参加者数

(注)5

3,943名

4,319名

-

連結会社

(注)1 働き方改革を開始した2010年度を1とした場合の労働生産性推移(連結純利益÷単体従業員数)

です。

2 女性役員比率は、会社法上の役員に加え執行役員を含みます。

3 人材育成を目的とする統合型独身寮に関連する費用を一部含みます。

4 期末時点での休職者を人員数より除きます。

5 2004年度より導入した創業地訪問の参加者数の直近連結会計年度までの累計です。

 

(b) 社内環境整備方針

指標

前連結会計年度

当連結会計年度

集計対象

がん特別検診対象者受診率

97%

99%

提出会社

労働災害の罹災者数

9名

10名

提出会社

死亡災害件数

0件

0件

提出会社

グループコンプライアンス意識調査の  回答率(注)

98%

99%

連結会社

(注)独自で調査をしている上場子会社を除く国内外子会社及びその事業会社の従業員61,317名が対象です。