2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,114名(単体) 115,089名(連結)
  • 平均年齢
    42.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.0年(単体)
  • 平均年収
    18,045,578円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

事業セグメントの名称

従業員数(人)

繊維

8,971

[2,694]

機械

13,388

[1,310]

金属

524

[85]

エネルギー・化学品

11,650

[3,888]

食料

31,380

[20,102]

住生活

21,454

[4,729]

情報・金融

18,034

[7,804]

第8

7,069

[5,341]

その他

2,619

[127]

合計

115,089

[46,080]

 

 (注)1 従業員数は、就業人員数であり、[ ]は、臨時従業員の年間平均人員数を外数で記載しております。

2 当連結会計年度末の従業員数が前連結会計年度末に比し、1,356名増加しております。その主な理由は、

繊維セグメントで(株)デサントを子会社化したこと等によるものです。

3 当連結会計年度末の臨時従業員数が前連結会計年度末に比し、846名増加しております。その主な理由は、

繊維セグメントで(株)デサントを子会社化したこと等によるものです。

4 臨時従業員には、契約期間が1か月以上の派遣社員、アルバイト、パートタイマーを含んでおります。

 

(2)提出会社の状況

 ① 従業員に関する指標

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,114

42.2

18年

0か月

18,045,578

 

 (注)1 平均年間給与は、賞与、従業員持株会制度の特別奨励金を含んでおります。上記従業員数より、休職者及び

定年後再雇用等の有期雇用従業員を除いて算定しております。

2 上記従業員数に海外支店・事務所の現地社員327名、受入出向者168名を加え、国内808名、海外302名の他社

への出向者、海外現地法人での勤務者・実習生等414名を除いた提出会社の就業人員数は、3,085名であり

ます。セグメントごとの就業人員数は、次のとおりです。

事業セグメントの名称

従業員数(人)

繊維

309

機械

413

金属

167

エネルギー・化学品

374

食料

413

住生活

232

情報・金融

246

第8

44

その他

887

合計

3,085

 

 ② 多様性に関する指標

会社名

管理職に占める

女性従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員の

育児休業取得率(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

伊藤忠商事㈱

9.0

96

58.4

59.2

60.9

 (注)1 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。課長級以上の女性従業員を対象として2024年度に導入した女性執行役員特例措置制度に基づき、2024年4月1日付で登用した、女性執行

役員5名を従業員に含みます。

2 育児介護休業に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の

取得割合を算出したものです。

 

<多様性に関する指標の補足>

(a)管理職に占める女性従業員の割合

 当社は、生活消費分野に強みを持つ商社として、多様化する消費者ニーズを「マーケットインの発想」で

捉え、ビジネスモデルを進化させるために、組織の多様性・女性の活躍は不可欠であるという一貫した考えの

もと、20年以上にわたり女性活躍支援を推進してきました。その結果、2024年度に導入した女性執行役員特例

措置制度により登用された執行役員(注)をはじめとして、多くの女性が中核的役割を果たしております。

現在、女性総合職の約8割が20代・30代であることから、数年後には、多くの女性総合職が管理職となります。加えて、1980年代後半から1990年代初頭に大幅に増やした新卒の男性が定年年齢を迎え、退職が増加する見込みであること、また、新卒女性採用比率が約4割となっていることから、中期的に女性管理職比率は、着実に増加

する見込みです。

 今後、更なる女性管理職比率の改善に向け、女性の着実な育成と計画的登用、キャリア形成上の障壁に対する丁寧な個別支援に加え、男性従業員の育児休業取得促進、フェムテック活用等現場の意識改革等、当社らしい

女性活躍支援策を着実に推進していきます。

 これらを通じ、女性管理職比率は、2030年代半ばを目途に現在の2倍程度の水準を目指していきます。

(注)2025年4月1日現在、特例措置制度により10名の女性執行役員を登用しております。

 

(b)男性従業員の育児休業取得

 当社では、男性従業員の共働き世帯の増加を背景として、2022年度の「育児両立手当(注)1」導入等、社会課題である男性の育児参加を支援しております。男性従業員の育児休業取得を更に後押しするため、配偶者が

出産した男性従業員について、2024年度から育児休業の取得を「必須化」しました。配偶者が出産した男性

従業員全員とその上司に対し、育児休業の取得に向けたきめ細かな働きかけを行った結果、2024年度の男性

従業員の取得率は96%となり(注)2、女性活躍推進委員会を設置した2021年度の約3倍となりました。また、

育児両立手当は、4週間以上の育児休業取得が支給要件であることに加え、社内の意識改革が進展した結果、

育児両立手当導入前の2021年度と比較すると、4週間以上の育児休業を取得する男性従業員が約6倍に増加

しました。

 性別を問わず、仕事と家庭の両立を周囲が理解し、支援する環境を整えることは、多様性を尊重する社内風土

醸成に加え、従業員の「働きがい」向上、女性の更なる活躍推進にも繋がるものと考えております。

(注)1 育児両立手当:4週間以上の育児休業を取得し、対象となる子どもが満1歳未満で復職する場合、

育児と仕事との両立に伴う追加費用(保育費用等)の補填等を目的として支給するものです。

2 男性育児休業取得率:男性の場合、育児休業の取得時期は、必ずしも配偶者出産直後とは限らない

ことから、配偶者が出産した年度と育児休業取得の年度が異なる場合があります。取得率が概ね

100%の当社は、配偶者が出産した男性従業員は、必ず育児休業を取得しております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<男性従業員の育児休業取得促進状況>       <男性従業員の共働き比率>

 

 

(c)正規雇用従業員における男女間賃金格差の主たる要因

職位

非管理職等

マネジャー級

課長代行級

課長級以上(注)2

女性従業員比率

31.3%

19.2%

10.2%

1.5%

男女間賃金格差

97.4% (注)1

97.1% (注)1

101.0%

97.5%

  (注)1 女性従業員は、育児休業取得期間の給与が影響しております。

2 課長級以上の女性従業員を対象として2024年度に導入した女性執行役員特例措置制度に基づき、

2024年4月1日付で登用した、女性執行役員5名を従業員に含みます。

 

 上表のとおり、正規雇用従業員における同一役位内での男女間賃金格差はありません。一方、女性総合職の

約8割が20代・30代であり管理職登用まで時間を要することが、女性従業員の平均賃金が相対的に低い主たる

要因です。今後、以下の女性活躍支援策の推進により、男女間賃金格差を着実に是正していきます。

 

1.女性の執行役員への登用

 女性経営者による視点は、消費者ビジネスの優位性を有する当社にとって非常に重要な要素です。その実現のため、「2030年までに、全役員に占める女性比率(執行役員を含む)を30%以上」とする数値目標を定めております。2024年度に女性執行役員特例措置制度を導入し、2024年4月1日付で5名の女性執行役員を内部登用した結果、全役員に占める女性比率は21%(注)となりました。この取組は、女性の役員登用に向けた経営の強い

意志と本気度を示しております。登用された女性執行役員には、経営情報に触れる機会を通じて視座を上げ、

経験の蓄積と更なる能力の向上を期待しております。また、今後、女性の課長級以上の人材の増加が見込まれているため、一定期間経過後は、女性が自然に執行役員に登用される見通しです。これを着実に実現するため、

アファーマティブな挑戦機会の提供と、キャリアの障壁を軽減するための個別支援を強化し、女性幹部候補の

育成パイプラインを構築しております。

(注)2025年4月1日付で更に5名の女性執行役員を登用し、全役員に占める女性割合は28%です。

 

2.計画的な機会提供・キャリア継続支援

 当社は、男性・女性ともに従業員の平均勤続年数は約18年と男女間の差異は無く、性別を問わず仕事と家庭が両立できる環境が整っております。また、重要なキャリアパスであるグループ会社・投資先等への出向や海外

駐在経験の提供、仕事と家庭の両立における選択肢の拡充を目的としたフェムテック活用(卵子凍結、不妊治療の費用補助)、職場の意識改革・ハラスメントの撲滅等、性別を問わない個別支援を実行しております。更に、2025年3月には、首都圏2か所に分散していた女子寮を統合のうえ、新たに女子寮を設立しました。部署を

超えたコミュニケーションの深化を図るべく、多彩な共用設備を設け、社内人脈形成や研修・セミナーの開催を

通じて人材育成の場として活用するとともに、キャリア支援を強化しております。

 

3.女性活躍支援の拡大

 デジタルトランスフォーメーション(DX)推進や内部管理の高度化等により、事務業務を取り巻く社内外の

環境は大きく変化しております。当社も同様に、事務業務のアウトソースや社内資料の電子化等を推進して

きましたが、今後も基幹的な事務業務は当社の成長を支える重要な業務となります。この点を踏まえ、取締役会の諮問委員会である女性活躍推進委員会並びに全般的な経営方針及び経営に関する重要事項を協議するHMCに

おいて、事務職の必要性や高い専門性を活かして「組織運営の要」を担う期待役割を再確認の上、2024年度に

事務職制度を改訂し、必要な知識・スキル取得の体系的な支援を強化しました。更に、2025年4月より、

「事務職=女性」というアンコンシャスバイアスからの脱却を図るべく、本事務職制度改訂の趣旨を踏まえ、

職掌の名称を「ビジネスエキスパート(BX)職」に変更しました。今後は、BX職についても、性別を問わず

新卒・即戦力人材の採用を強化し、キャリア志向に応じた育成・登用を推し進めるとともに、専門知識・スキル

向上に向けた社員の「学び続ける」支援を拡充します。

 

(d)有期雇用従業員における賃金格差の主たる要因

 個々の専門性に応じて採用しており、高度な専門家・管理職比率の男女間差異によるものです。

 

(3)国内子会社の多様性に関する指標

会社名

管理職に

占める女性

従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員

の育児休業

取得率

(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

賃金格差の

主たる要因

従業員301名以上

(繊維)

㈱三景

3.5

(注)3

-

63.5

73.1

59.0

(注)4

㈱エドウイン

10.2

33

64.7

72.4

84.4

(注)4

㈱ジョイックスコーポレーション

9.7

40

72.0

74.6

74.2

(注)4

㈱レリアン

84.9

(注)3

-

66.4

69.8

51.0

(注)5

(機械)

伊藤忠マシンテクノス㈱

2.8

40

65.3

67.6

62.8

(注)5

㈱ヤナセ

3.2

18

70.7

77.6

83.0

(注)6

(エネルギー・化学品)

伊藤忠エネクス㈱

3.0

75

60.4

59.7

64.6

(注)5

伊藤忠プラスチックス㈱

7.0

88

68.2

68.8

55.8

(注)5

タキロンシーアイ㈱

2.9

103

71.2

74.3

65.7

(注)6

伊藤忠リーテイルリンク㈱

10.8

50

69.0

72.2

69.8

(注)7

(食料)

プリマハム㈱

6.0

60

57.2

76.6

84.7

(注)4

伊藤忠食品㈱

14.7

60

66.6

67.6

68.1

(注)8

㈱日本アクセス

4.2

72

65.9

70.2

55.6

(注)7

(住生活)

伊藤忠ロジスティクス㈱

7.5

40

69.5

71.8

69.0

(注)8

大建工業㈱

2.8

82

65.2

69.4

74.4

(注)8

伊藤忠建材㈱

7.2

33

60.1

59.1

50.4

(注)9

伊藤忠アーバンコミュニティ㈱

8.4

100

99.9

70.6

82.3

(注)5

(情報・金融)

伊藤忠テクノソリューションズ㈱

6.5

68

77.8

78.2

67.0

(注)8

エイツーヘルスケア㈱

36.7

58

85.9

87.0

80.6

(注)5

ほけんの窓口グループ㈱

19.3

57

65.2

65.1

78.1

(注)7

センチュリーメディカル㈱

16.9

14

77.0

77.0

67.1

(注)5

(第8)

㈱ファミリーマート

5.3

81

69.5

78.1

77.0

(注)5

エイ・ケイ・フランチャイズシステム㈱

0.0

100

70.9

86.7

99.0

(注)4

従業員101名以上-301名未満

(繊維)

㈱ロイネ

25.0

100

62.9

77.7

42.7

(注)8

シーアイ繊維サービス㈱

15.8

(注)3

-

65.0

59.7

62.7

(注)7

㈱ドーム

21.6

38

78.9

79.6

88.0

(注)8

コロネット㈱

15.2

(注)3

-

72.6

65.0

75.1

(注)7

コンバースジャパン㈱

6.3

100

68.3

75.6

38.2

(注)6

(機械)

伊藤忠オートモービル㈱

7.7

 

100

65.2

66.9

67.6

(注)5

 

会社名

管理職に

占める女性

従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員

の育児休業

取得率

(%)

(注)2

男女間賃金格差(%)(注)1

全従業員

うち正規雇用従業員

うち有期雇用従業員

賃金格差の

主たる要因

日本エアロスペース㈱

0.0

25

66.0

66.1

29.4

(注)5

伊藤忠アビエーション㈱

11.1

66

64.7

71.2

(注)10

-

(注)5

(金属)

伊藤忠メタルズ㈱

11.4

75

64.4

67.9

47.9

(注)5

(エネルギー・化学品)

伊藤忠ケミカルフロンティア㈱

4.2

175

55.9

56.2

56.8

(注)5

(食料)

伊藤忠飼料㈱

0.0

50

71.6

70.9

73.4

(注)5

伊藤忠食糧㈱

7.8

66

73.3

75.6

53.0

(注)7

(住生活)

伊藤忠紙パルプ㈱

5.1

100

75.6

73.1

(注)10

-

(注)8

伊藤忠都市開発㈱

6.5

50

69.2

79.2

32.7

(注)5

伊藤忠セラテック㈱

3.1

50

70.1

71.3

53.0

(注)5

イトーピアホーム㈱

0.0

(注)3

-

66.9

67.7

60.5

(注)5

伊豆大仁開発㈱

16.7

(注)3

-

78.5

50.3

129.8

(注)4

(情報・金融)

伊藤忠オリコ保険サービス㈱

25.0

200

73.7

71.6

83.0

(注)5

伊藤忠ケーブルシステム㈱

6.7

75

70.8

70.6

(注)10

-

(注)5

(総本社)

伊藤忠人事総務サービス㈱

50.0

(注)3

-

83.3

86.8

49.0

(注)5

伊藤忠ユニダス㈱

10.5

100

86.4

94.8

81.7

(注)5

伊藤忠フィナンシャルマネジメント㈱

10.5

(注)3

-

80.1

81.8

(注)10

-

(注)7

 (注)1 女性活躍推進法(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 育児介護休業に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の

取得割合を算出したものです。

3 該当する男性従業員はおりません。

4 非正規雇用の女性従業員が多いためです。

5 職種・職掌により従業員に占める女性従業員に偏りがあるためです。

6 従業員に占める女性従業員の比率が低く、かつ男性従業員の平均勤続年数に比べて女性従業員の平均勤続

年数が短いためです。

7 女性従業員の管理職登用推進の途上のためです。

8 女性従業員の平均年齢が低く、かつ男性従業員の管理職層比率に比べて女性従業員の管理職層比率が低い

ためです。

9 女性従業員の新卒採用を強化した結果、相対的に賃金水準の低い女性従業員が増えたためです。

10 該当する有期雇用従業員はおりません。

 

(4)労働組合の状況

当社及び子会社と各社の労働組合との関係について、特記すべき事項はありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティの考え方

 当社グループは、創業の精神である企業理念「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」のもと、

自社の利益だけではなく、投資家や株主の皆様、取引先、社員をはじめ、周囲の様々なステークホルダーの

期待と信頼に応えることで、社会課題の解決に貢献することを目指しております。

 

 2018年4月に環境・社会・ガバナンス(ESG)の視点を取入れ、社会影響と事業影響という2つの観点から

7項目のマテリアリティ(サステナビリティ上の重要課題)を特定しました。マテリアリティに対して、

リスクと機会の両方の観点から対応していくことで、当社の中長期的な企業価値向上に

つながると認識しております。詳細は当社「ESGレポート 2024」P.14 マテリアリティの特定・レビュープロセスをご参照ください。

 当社グループは、2024年4月に発表した経営方針「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」において

「業績の向上」「株主還元」と並んで「企業ブランド価値の向上」を実現することを掲げております。

 当社グループは、160年を超える発展の過程で変化をチャンスと捉えて、川上から川下まで、原料から小売

までとその影響範囲を拡大しつつ、時代とともに取扱商品の構成や事業領域を転換しながら発展して

きました。そのため、常に既存ビジネスの枠組を超えて新たな価値創造を行うことが、当社グループの

企業ブランドを築き上げ、財務面の成長との相乗効果を生んでおります。当社グループは、強みである生活

消費分野における消費者接点を活用し、全社員で「マーケットインの発想」のもと、市場・社会・生活者の声

に耳を傾けること及び地道な定性面の磨きを継続することで、企業ブランド価値の更なる向上を目指しており

ます。

 

 2024年4月に、ハーバード・ビジネス・スクール(以下、「HBS」という。)にて「信頼される企業構築」

の研究を専門とするサンドラ・サッチャー教授が、グループ企業理念「三方よし」のもとで信頼とサステナ

ビリティを確保している企業として当社に注目し、事例研究(ケーススタディ)対象として選定、2025年3月

に正式なHBSのケースとして採用、出版されております。「三方よし」に立脚した当社グループの取組と、

企業価値向上・サステナビリティとの関連性を学術的に説明しているものであり、HBSにおける講義での使用のみならず、経営者、教育機関、投資家等幅広いステークホルダーを対象とする出版物として長期的な活用が

期待されております。

 

(2)サステナビリティの取組

① ガバナンス

 当社のサステナビリティ関連のガバナンス体制図は次のとおりです(2025年6月18日現在)。

 

(a) 監督機能としての取締役会

 当社グループは、サステナビリティ課題への対応を経営の重要課題の一つと認識し、取締役会にてサステナビリティに関するグループ方針、戦略、関連ビジネス推進の承認をするとともに、サステナビリティ開示情報の適切性を監督しております。

 マテリアリティに関して、リスクと機会への対応方針や具体的アプローチ、成果指標及び進捗度合等の重要事項のレビューを通し、マテリアリティの妥当性につき取締役会が監督しております。

 環境・社会リスクを含むサステナビリティ関連のリスクと機会に対応する事業戦略・投資戦略の執行(戦略

の見直し・事業撤退判断を含む)に関して、当社ではすべての新規投資案件に対し、事前のESGリスク評価

として「投資等に関わるESGチェックリスト」を使用し、サステナビリティ関連のリスクに関する方針、体制

及び取組状況を把握、分析したうえで、重要事項を協議するHMC(HMCについては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。)にてサステナビリティ関連のリスクを

検証しております。

 また、投資実行後は、サステナビリティ関連のリスクの予防を目的とする事業会社のモニターレビューや、

人権デューデリジェンス、環境汚染等の未然防止を目的とする現地訪問調査等を多面的に実施しております。

 バリューチェーン上の管理については、サプライヤーのESG取組状況を確認するサステナビリティ調査を

毎年実施しております。また、気候変動や自然資本へのリスクと機会に関する取組は、TCFD(気候関連財務

情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フレームワークに基づく分析・

開示を行っております。

 これらの審議内容や取組については、定期的にCAO(Chief Administrative Officer)から取締役会に

報告され、取締役会が監督しております。

 

(b) 監督機能における取締役会のスキル・コンピテンシー

 当社CAOはSDGs/ESG分野の専門的経験・知見を有しており、サステナビリティに関する各種施策の

立案・実施を担当するサステナビリティ推進部より月2回程度の頻度で定期報告を受けております。また、

外部有識者を招聘して毎年開催するサステナビリティアドバイザリーボードでの講義、意見交換を通じて、

サステナビリティに関する世の中の動向、当社への期待、対応すべき課題に対する知見を深めております。

 当社の代表取締役であるCAOは、会社の全般的経営方針及び経営に関する重要事項を協議するHMCの

メンバーであると同時に、サステナビリティ委員会の委員長を兼務しており、サステナビリティに関する統括

責任者としてサステナビリティ委員会で審議した事項を決定しております。なお、重要事項については、

CAO決定後に、HMCで承認しております。当該決定事項は、CAOからサステナビリティ推進の主たる

活動状況とともに適宜取締役会に報告することで、取締役会の監督にあたってのコンピテンシーを確保して

いると考えております。

 

(c) 執行機能としてのサステナビリティ委員会

 サステナビリティ関連事項に対応するための各種施策の立案・実施に関する審議を行うサステナビリティ

委員会は、サステナビリティ関連目標設定、進捗状況、現状のサステナビリティ関連のリスクと機会を識別・

評価・管理しております。取締役会は、サステナビリティ関連のリスクと機会に対応する事業戦略・投資戦略

の執行(戦略の見直し、事業撤退判断を含む)を監督しております。また、各事業セグメント及び職能部署の

経営管理者をESG責任者に任命し、ESG責任者がサステナビリティ関連事項について各種施策・取組の進捗を

管理し、サステナビリティ委員会に報告しております。

 

2024年度サステナビリティ関連審議、報告実績

サステナビリティ

関連会議体

開催数

主な承認・審議・報告事項

取締役会

3回

・サステナビリティ委員会での審議内容及びCAO決定事項の報告

・ESG評価関連の報告

・社会貢献活動報告

サステナビリティ

委員会

2回

承認事項

・有価証券報告書サステナビリティ関連開示

・環境方針改訂

・「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」の改訂及び

配布先拡大

 

報告事項

・マテリアリティの確認

・サステナビリティアクションプランレビュー

・伊藤忠グループ サステナビリティ・モニターレビュー結果

・開示関連(CSRD、ISSB/SSBJ等)対応状況報告

・GHG関連報告(GHG排出量、GHG削減貢献量)

・ISO14001環境マネジメントレビュー

・人権デューデリジェンス、サステナビリティ調査報告

 

② 戦略

 当社グループは、企業理念や外的環境の変化を踏まえた「サステナビリティ推進基本方針」を定め、

組織的・体系的にサステナビリティに資する取組を推進しております。当社グループのマテリアリティを

サステナビリティアクションプランに落とし込み、経営方針及び経営計画の方針に基づき推進するトレー

ディングや事業投資を通じて、課題解決につなげていきたいと考えております。

 

(a) 当社グループ方針

 当社グループの「サステナビリティ推進基本方針」は次のとおりです。

伊藤忠グループ「サステナビリティ推進基本方針」

 

 伊藤忠の創業の精神である企業理念「三方よし」のもと、グローバルに事業を行う伊藤忠グループは、
地球環境や社会課題への対応を経営方針の最重要事項の一つとして捉え、持続可能な社会の実現に貢献

します。本方針は企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」及び企業行動倫理規範に基づいて策定して

います。

 

1.マテリアリティの特定と社会課題の解決に資するビジネスの推進

 国際社会の一員として、自社のみならず社会にとっても持続可能な成長につながるマテリアリティを

 策定し、事業活動を通じて企業価値向上を目指します。

 

2.社会との相互信頼づくり

 正確で明瞭な情報開示及び開示情報の拡充に努め、ステークホルダーとの双方向の対話を通じて、

 社会からの期待や要請を受けとめ、それらを実践していくことで信頼される企業を目指します。

 

3.持続可能なサプライチェーン・事業投資マネジメントの強化

 地球環境の保全や気候変動の緩和と適応、汚染防止と資源循環、生物多様性及び生態系の保護、人権と
 労働における基本的権利に対し、問題の未然防止及び継続的な配慮に努め、持続可能な事業活動を推進

 します。

 事業投資先や取扱商品のサプライチェーン上の資源(大気、水、土地、食糧、鉱物、化石燃料、動植物

 等)の有効利用、人権の尊重、及び労働安全衛生への配慮に努めます。取引先に対しては当社グループ

 のサステナビリティに対する考え方への理解と実践を求め、持続可能なバリューチェーン構築を目指し

 ます。

 各国法制度及び国際規範を尊重し、世界各国・地域の文化、伝統、慣習の理解に努め、公正かつ誠実な

 企業活動を展開します。

 

4.サステナビリティ推進に向けた社員への教育・啓発

 「サステナビリティを推進するのは社員一人ひとり」であることから、社員に対し重要課題に関する
 意識を醸成するための教育・啓発活動を行います。社員一人ひとりが、本方針に基づき各組織のアク

 ションプランを実行します。

 

代表取締役 副社長執行役員 CAO
小林 文彦

 

(b) マテリアリティごとの戦略

 当社は、全社的な意見を反映したマテリアリティ候補について「事業影響」「社会影響」の面から

マッピングして重要度を判定したのち、外部有識者が参加するサステナビリティアドバイザリーボードで

「経営への影響」と「ステークホルダーの意見・期待」の両面から「マテリアリティマトリックス」を

作成し、マテリアリティを7項目に特定しました。マテリアリティについては、毎年、アドバイザリー

ボード、株主との面談を通じて寄せられる関心事項や、当社の事業範囲とも照らし合わせて見直しており、

サステナビリティ委員会で審議、CAOが決定したのち、取締役会に報告しております。

 マテリアリティに関する事業を通じた取組として、各事業セグメントや職能組織で事業分野ごとのリスクと機会等を抽出したうえで、短期から中長期的な目標達成に向けたサステナビリティアクションプランを定めております。サステナビリティアクションプランでは、取組むべき課題、対象事業分野、具体的アプローチ、

成果指標及び進捗状況を管理しております。毎年成果指標に基づくレビューを8つのカンパニー及び職能組織

ごとに実施し、サステナビリティ委員会に進捗状況を報告します。このようなPDCAサイクルを回し開示する

ことにより、確実な推進を目指しております。

 

マテリアリティごとのリスクと機会

マテリアリティ

リスク

機会

技術革新による商いの進化

・IoT、AI等、新技術の台頭に伴う

既存ビジネスモデルの陳腐化

・先進国での人手不足や、効率化が

遅れている事業での優秀な人材の

流出 等

・新市場の創出や、革新性のある

サービスの提供

・新技術の活用による人的資源や

物流の最適化、働き方改革推進に

よる競争力強化 等

気候変動への取組

(脱炭素社会への寄与)

移行リスク

・温室効果ガス排出に対する事業

規制等による化石燃料需要の

減少、関連資産の価値低下、炭素

税や再生可能エネルギー使用に

よるコスト増加

物理的リスク

・生態系保護に資するためのコスト増加、異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生増加による事業被害 等

・気候変動の緩和に寄与する、再生

可能エネルギー等の事業機会の

増加

・異常気象に適応できる供給体制

強化等による顧客維持・獲得 等

働きがいのある職場環境の

整備

・団体交渉権や団結権の阻害により

当社従業員の不満の蓄積に伴う、

労働生産性の低下、訴訟リスクの

発生

・成果に応じた評価・報酬を実現

しない場合、優秀な人材の流出に

よるビジネスチャンスの逸失

・過剰労働による健康被害や人権

侵害に伴う健康関連費用の増加、

レピュテーションリスクの発生 等

・働きがいのある職場環境の整備や

スキル向上の機会を提供すること

による労働生産性の向上、

健康力・モチベーション向上

・多様な人材が活躍することができる環境を整えることによる、優秀

な人材の確保、環境変化や

ビジネスチャンスへの対応力

強化

人権の尊重・配慮

・バリューチェーン上の労働者及び

関係者に係る人権問題発生に伴う

事業遅延や継続リスク

・当社が提供する社会インフラ

サービスの不備による事業

不安定化・信用力低下 等

・地域社会との共生による事業の

安定化や優秀な人材確保

・サプライチェーン人権への配慮、

労働環境の改善に伴う生産性向上

・安全かつ安定的な商品供給体制の

構築 等

健康で豊かな生活への貢献

・消費者やサービス利用者の安全や

健康問題発生時の信用力低下

・政策変更に基づく、市場や社会

保障制度の不安定化による事業

影響 等

・食の安全・安心や健康増進の需要

増加

・個人消費の拡大や次世代インターネットの普及に伴う情報・金融・物流サービスの拡大 等

安定的な調達・供給

・環境問題の発生及び地域社会との

関係悪化に伴う反対運動の発生に

よる影響

・現地エコシステムの変化による

持続可能な調達・供給力の低下

・地政学や為替変動等に起因する

インフレによる調達・供給力の

低下 等

・新興国の人口増及び生活水準向上

による資源需要の増加

・生態系に配慮した持続可能な資源や素材の安定供給による顧客の

信頼獲得や新規事業の創出 等

確固たるガバナンス体制の

堅持

・コーポレート・ガバナンス、内部

統制の機能不全、法令違反に伴う

事業継続リスク、予期せぬ損失の

発生 等

・強固なガバナンス体制の確立に

よる意思決定の透明性の向上、

変化への適切な対応、安定的な

成長基盤の確立 等

 

 

(c) 具体的アプローチ

 当社は、2024年4月3日の取締役会において「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」を経営方針と

定め、企業ブランド価値の向上を目指して、それまでの3ヵ年の中期経営計画から引継ぐ「SDGsへの貢献・

取組強化」に本業を通じて取組んでおります。本取締役会決議を踏まえ、2025年5月のサステナビリティ

委員会で、各マテリアリティに関する具体的施策及び目標に対する進捗状況の審議・レビューを行う

とともに、2025年度のサステナビリティアクションプランを決定し、各事業セグメントにおいてこれらの施策

を継続的に実行しております。詳細は2025年9月発行予定の当社「ESGレポート 2025」サステナビリティアクションプランをご参照ください。

 

 各事業セグメントにおける、2024年度の具体的成果の一例は次のとおりです。

事業セグメント

2024年度の具体的成果

繊維

繊維由来の再生ポリエステル「RENU」等、サステナブル素材の普及促進

及び繊維製品を再資源化する仕組みを構築し、横展開を推進

機械

北米における再生可能エネルギー資産を投資対象とするファンドを設立

し、初号案件として風力発電へ出資

金属

欧州における世界最大級のグリーン水素バリューチェーンの構築に向け

商業用途で製造を開始

エネルギー・化学品

家庭用蓄電池の販売拡大及び大型蓄電池事業への本格展開

食料

Dole Philippines, Inc.のバイオガスプラントの稼働によるクリーン

エネルギーの活用や持続可能な調達に寄与する認証付き商品(パーム

油等)の取扱

住生活

天然ゴム加工事業でトレーサビリティ、サステナビリティが確保された

原料を調達

情報・金融

中古携帯端末における取扱品目の拡大、調達ソース及び流通チャネルの

拡充、抗がん剤による脱毛抑制となる頭皮冷却システムの導入拡大

第8

AIやデジタルマーケティングを駆使したファミリーマート店舗の運営

効率化や来店客へ新しい店舗体験の提供

その他

「ITOCHU SDGs STUDIO」からの発信を強化

 

③ リスク管理

(a) 全社的リスクマネジメントシステム

 当社は主要リスクの責任部署による定常的なリスク管理(第1線)、取締役会による監督のもと、

HMCとリスクマネジメントに関連する各委員会による全社的なリスク管理(第2線)、そして内部監査部門

による独立した視点での推進状況や体制に関する監督(第3線)というリスク管理体制をおくことで、全社的

なリスク管理を行っております。これは、COSO-ERMフレームワークが推奨する3ラインモデルに沿った体制と

なっております。定常的なリスク管理については、迅速な意思決定を実現するため各事業セグメントが委譲

された権限の範囲内で管理し、リスク責任部署が状況をモニタリングしております。

 このように当社グループでは、サステナビリティ関連をはじめとする様々なリスクと機会に対処するため、

各種の社内委員会や責任部署を設置するとともに、各種管理規則、投資基準、リスク・取引限度額の設定や

報告・監視体制の整備等、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備し、リスクと機会を総括的かつ個別的に

管理しております。

 主要リスクの責任部署が半期に一度「連結リスク管理アクションレビュー」を行い、主要リスク別に管理

状況を内部統制委員会へ報告することで、管理体制の有効性を定期的にレビューしております。更に、主要

リスク別の定期的なレビュー結果は、各リスクを担当するオフィサーが取締役会に報告しております。
 詳細は当社「ESGレポート 2024」P.214 リスクマネジメントをご参照ください。

 

(b) 事業運営レベルのリスク管理体制

 事業運営レベルのリスク管理としては、各カンパニーにおいてカンパニーの長であるカンパニー

プレジデントの諮問機関としてDMC(Division Company Management Committeeの略)が、各カンパニーに

おける経営方針及び経営に大きな影響を及ぼす投資・融資・保証・事業等における重要案件を審議して

おります。委譲された権限を超えるリスクを負担する場合は、重要度に応じ、各種委員会を経てHMC及び

(または)取締役会へ付議されます。

(c) サステナビリティ関連のリスクと機会の評価

 当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と認識し、COSO-ERMフレームワークの考え方を参考に、当社

グループにおけるリスクマネジメントの基本方針を定め、必要なリスク管理体制及び手法を整備しており

ます。将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があるものを重要なリスクと

考え、気候変動、サプライチェーン、人権等のサステナビリティに係る規制等の動向及び、世界各地の事業に与えるサステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報収集を定期的に行っております。それらの情報を

踏まえ、リスクの発生頻度及び深刻度、操業/活動範囲等の評価指標から、以下の一覧にある環境・社会面の

テーマやガバナンス面について、営業部門や一部職能部でリスクと機会を定量評価し、社会へのインパクトと

当社グループへのインパクトの両面から影響度合いを可視化し、特に重要なリスクや機会を把握しており

ます。

主な環境・社会リスクに関する社内のリスク管理制度

 

(d) サステナビリティ関連のリスクと機会の管理

 当社グループでは、全社的リスクマネジメントシステムのガバナンスのもと、以下のような事業運営に伴う

サステナビリティ関連のリスクと機会の管理を行っております。

 事業投資では新規投資時にはESGチェックリストによる確認をしたのち、各事業セグメントのDMCに

おいて、経営方針及び経営に影響を及ぼす投資・融資・保証・事業等が審議され、カンパニープレジデントが

それらを決定しております。なお、当該決定事項は、事業段階ごとの状況に応じて管理し、投資後はグループ

会社に対するモニターレビューを毎年実施しております。

 トレードで新規商品群を取扱う場合は、著しい環境・社会面のリスクをLCA(ライフサイクルアセス

メント)により確認し、適切な法規制対応ができる体制とモニタリング制度を整えております。新規取引先に

は当社のサステナビリティ行動指針を通知し、当社のESGに対する考え方に理解を求めること、重要な取引先

には毎年サステナビリティ調査にて取引先のESG対応状況を確認し、懸念点がある場合は対面や現地訪問に

より詳細を確認し必要な措置を講じております。

 またテーマ別に、気候変動はTCFD、自然資本はTNFDのフレームワークに沿って、環境変化による事業への

影響と対応策の有効性を分析することや、人権侵害に加担していないかサプライヤーやグループ会社に対して

実地調査を行う人権デューデリジェンスにも取組んでおります。

 

④ 指標及び目標

 サステナビリティアクションプランの取組むべき課題、アプローチ、成果指標及び進捗度合の詳細は2025年

9月発行予定の当社「ESGレポート 2025」サステナビリティアクションプランをご参照ください。

 

(3)気候変動対応

 当社グループは気候変動を最も緊急性が高い地球環境問題の一つと認識しております。

 当社グループは、パリ協定や日本国が決定する貢献(NDC)を支持し、気候変動による事業環境の変化への

適応に努めるとともに、これを更なる成長機会と捉えております。当社グループは、2030年・2040年・2050年

までの温室効果ガス(GHG)排出量削減達成のため、バリューチェーン上の関係者と協力し、省エネや再生

可能エネルギーの利用、一般炭権益からの撤退をはじめとする資産入替、環境に配慮した形での商品や

サービスの提供等により排出量を可能な限り削減し、また社会全体の排出量を削減する削減貢献ビジネスを

積極的に推進することで、企業価値向上につなげていきます。

 当社は、気候関連財務情報開示の重要性に応えるべく、2019年5月、TCFDの提言への賛同を表明して以降、

TCFD提言に基づく情報開示に努めております。

 詳細は当社「ESGレポート 2024」P.48 気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)をご参照ください。

① ガバナンス

 気候変動に係るリスクと機会への対応方針やGHG排出量の削減目標・取組、気候変動リスクと機会を考慮

した年度予算・事業計画等の重要事項につき、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述の

サステナビリティ全般のガバナンスにおいて統合的に管理・監督しております。

② 戦略

 当社の事業は、気候変動の移行リスク及び物理的リスクの影響を短期・中期・長期の様々な時間軸で受けて

おります。そのため当社は、各事業案件の推進プロセス及び気候変動を含む環境・社会リスクの管理プロセス
の中で、事業や戦略、バリューチェーン等に重大な財務的影響を与える可能性のあるリスクと機会を特定・

評価・管理しております。

(a) 気候変動関連のリスクと機会

気候関連の

リスクと機会

気候関連のリスクと機会が

組織の事業、戦略、

財務計画に及ぼす影響

影響を
受ける
時間軸(注)

影響を受ける
バリューチェーン

影響を受ける

事業・業種の例

移行

リスクと

機会

政策と

法制度

・世界各国のGHG排出計画の厳格化・GHG排出に対する事業規制等による化石燃料

需要の減少

・カーボンプライシング
(炭素税等)や事業規制等

による事業コストの増大

中期

長期

上流・

当社グループ

発電事業、

化石燃料事業、

鉄鉱石事業、

自動車事業、

化学品事業

技術革新

気候変動の緩和に寄与する
再生可能エネルギー、蓄電池関連事業、低炭素燃料、
低炭素製鉄原料等の事業機会

の増加

短期

中期

長期

当社グループ

再生可能エネルギー

・蓄電池関連事業、
低炭素燃料事業、
新素材事業、

鉄鉱石事業

市場状況の変化

政策と法的リスク及びクリーンテック等のテクノロジーの影響を受ける製品・サービスの需要の増加と減少

短期

中期

長期

上流・

当社グループ

化石燃料事業、
化学品事業、

自動車事業、

再生可能エネルギー・蓄電池関連

事業、

新素材事業、

CCUS・排出権関連

事業

 

 

 

気候関連の

リスクと機会

気候関連のリスクと機会が

組織の事業、戦略、

財務計画に及ぼす影響

影響を
受ける
時間軸(注)

影響を受ける
バリューチェーン

影響を受ける

事業・業種の例

物理的
リスクと
機会

急性的な物理的

リスク・
機会

異常気象(干ばつ、洪水、
台風、ハリケーン等)発生

増加による事業被害等

短期
中期
長期

上流・

当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業、

鉱業

異常気象に適応できる供給

体制強化等による顧客維持・

獲得等

短期
中期
長期

上流・
当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業

慢性的な物理的

リスク・機会

気温上昇と気候変動に付随

する干ばつ等が農業・林業の
収穫及びそれらの関連製品の

生産量に与える影響

中期

長期

上流・
当社グループ・
下流

食料事業、

森林関連事業

(注)短期:~1年、中期:~3年、長期:4年~

 

(b) シナリオ分析

 当社事業を、GHG排出量等気候影響度と財務影響度をもとに分類し、双方の影響度が大きい事業を分析対象

としております。その結果、政策と法的リスク等の移行リスク影響の大きい事業として、「発電事業」

「エネルギー事業」「石炭関連事業」「鉄鉱石事業」「自動車事業」「化学品事業」を、また気候変動の

物理的リスク影響の大きい事業として、「Dole事業」「飼料・穀物トレード事業」「パルプ事業」を、

シナリオ分析を行う対象事業に選定しました。上述9事業は、TCFDが指定した気候変動の影響を潜在的に

大きく受ける4つの非金融セクター(エネルギー、運輸、材料及び建物、農業・食品・木材製品)に含まれる

ものです。

 

(c) 既存戦略への影響と事業の移行計画

 シナリオ分析を行う中で、現状の事業戦略や事業地域の転換といった気候変動対策を取らない場合の財務的

な負の影響が大きいリスクを把握し、経営方針「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」にて推進する

「SDGsへの貢献・取組強化」のもと、具体的な事業の移行計画、財務計画(資産入替を含む)の策定に既に

着手しております。具体的には次のようなビジネスを推進しております。

分野

概要

環境配慮型繊維素材

・サステナブル素材の拡充による循環型経済への貢献

水・廃棄物処理

・有力パートナーとの協業を通じ、欧州・中近東を中心に事業展開
・ドバイにて世界最大級の廃棄物処理発電施設の運営

再生可能エネルギー

・北米・欧州・アジア中心に風力・太陽光・地熱等、発電事業を推進
・太陽光発電所向け運転・保守サービスを北米約1,400ヵ所で展開

金属リサイクル

・リサイクル事業者の全国ネットワーク活用や、廃棄物処理の最適管理サービス提供を通じ、金属スクラップ他幅広くリサイクル事業を展開

還元鉄

・鉄鋼業界のグリーン化に貢献する低炭素還元鉄サプライチェーン構築を推進

CCUS(CO2回収・

利用・貯留)

・豪州MCi Carbon Pty Ltdの有するCO2固定化技術の商業化を目指し、国内外の取引先企業と協業

・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に

参加し、液化CO2輸送技術の研究開発・実証事業も実施

蓄電池・再生可能

エネルギー

・自社ブランドAI蓄電池と分散型太陽光発電ネットワークを活用した、クリーン電力サービス・環境価値取引を推進

・次世代電池開発と車載用電池リユースによる循環型ビジネスを推進

・太陽光・バイオマス・風力等の再生可能エネルギー電源事業を推進

持続可能な航空燃料

・ディーゼル燃料

・日本初となる航空会社向け持続可能な航空燃料(SAF)及びリニューアブルディーゼルの販売

 

分野

概要

水素・アンモニア

・デンマークEverfuel A/Sと共同でグリーン水素バリューチェーン構築を推進

・クリーンアンモニアのバリューチェーン構築に向け、アンモニア燃料船開発及び

 保有運航モデルの創出、舶用燃料供給(バンカリング)事業、発電燃料代替として

の利活用、カナダ他での製造販売事業等を推進

プラスチックリサイクル

・リサイクル技術を持つ有力パートナーとプラスチックリサイクル事業展開
・海洋プラスチックごみを原材料に使用した製品開発

サステナブルコー

ヒー豆・植物油

・児童労働・環境破壊を排除したサステナブル製品・第三者認証品の安定供給
・生産・流通・加工過程のサステナビリティが確立された原料サプライチェーンの

構築

青果物生産・加工

廃棄物削減

・Dole商品の生産・流通・加工工程における格落ち品・残渣の削減

サステナブル天然

ゴム

・持続可能な天然ゴムのための国際コンソーシアム「GPSNR」に設立メンバーとして

 参画

・ブロックチェーンを使ったトレーサブルシステムを開発、バリューチェーン全体を

 巻込んだPROJECT TREEを展開

中古携帯流通

・新品携帯電話の過剰供給、端末買替による環境負荷増大等の市場動向を捉え、

中古携帯流通事業へ参入

CVS事業(ファミ

リーマート)

・サプライチェーン改革による業務効率化、食品ロス削減
・脱プラスチック、GHG排出量削減等「ファミマecoビジョン2050」を推進

 

③ リスク管理

 気候変動リスクは、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述サステナビリティ全般のリスク

管理において統合的に管理しております。なお、気候変動のリスク管理は、次のとおり、事業の段階ごとの

評価手法に組込まれております。

事業の段階ごとの評価手法

事業の段階

評価手法

事業開始

・新規投資案件の気候変動リスクを含む環境・社会リスク評価

・炭素税コスト等をシャドープライシングで算定し、ストレステストを実施

 (インターナルカーボンプライシング)

事業運営

・取扱商品の環境リスク評価(サプライチェーン全体でLCA評価)

・グループ会社の環境実態調査(1年に2、3社)

・サプライチェーン・サステナビリティ調査(取引先)

・ISO14001に基づく内部環境監査(当社、対象グループ会社3社)

・Scope1/2/3集計と経年評価、インターナルカーボンプライシングインパクト

評価(例:発電事業(米国)の場合205米ドル/t-CO2

事業戦略の見直し

事業戦略、資産入替の検討

 

 各事業段階の評価手法でリスクまたは機会が特定された場合、リスクと機会の事業への影響を評価しております。それにはシナリオ分析・ストレステスト等の定量評価、投資方針・GHG排出量削減目標への準拠性評価のような定性評価が含まれます。定量評価された気候変動のリスクと機会の情報には、気候変動以外のリスクと機会の定量情報が加算され、収益への貢献度合を分析しております。

④ 指標及び目標

 当社グループは、気候変動リスクと機会への対応の一環として、GHG排出量と電力使用量、クリーンテックビジネスに関し、以下の指標及び目標を設定しております。指標及び目標を定める際には、パリ協定や日本国NDC、国際的な信頼性が高く多岐にわたる事業領域をカバーできるIEA(国際エネルギー機関)の資料等を参照しております。

<GHG排出量削減目標>

指標(集計範囲):

Scope1/2/3(当社及び子会社)、化石燃料事業・権益(当社及び子会社・関連会社・一般投資)

目標:

・2050年までにGHG排出量「実質ゼロ」を実現。

・2040年までに2018年比75%削減を実現し、GHG排出量削減に貢献するビジネスの積極推進を通じ

「オフセットゼロ(注)」を目指す。

(注)オフセットゼロ:削減貢献量が当社GHG排出量を上回る状態。

・2030年までに2018年比40%削減を実現。

 

⑤ GHG排出量データ

             (単位:千t-CO2e)

 

2024年3月期

Scope1

1,062

Scope2

627

・千t-CO2e単位で表示している数値については、千t-CO2e未満の端数を四捨五入して表示しております。

・2024年3月期のScope1及びScope2は「ESGレポート 2024」の数値を記載しており、同数値は、第三者保証を受けております。集計範囲、算出方法及び第三者保証の詳細につきましては、当社「ESGレポート 2024」P.107 ESGデータ(環境)にある集計範囲及び気候変動パフォーマンスデータにある注意書き並びに第三者保証報告書をご参照ください。

・2025年3月期のScope1及びScope2については、2025年9月発行予定の当社「ESGレポート 2025」をご参照ください。

 

(4)自然資本・生物多様性への対応(TNFDに基づく開示)

 当社は、自然資本・生物多様性を含む地球環境問題を経営の最重要課題の一つとして捉えております。当社

グループは川上から川下まで事業投資やトレードをグローバルに展開しており、人々に便益をもたらす

植物、動物、空気、水、土壌、鉱物等の自然資本の恵みに大きく依存し、またこれらに負の影響を与える可能

性があります。このため、伊藤忠グループ環境方針に示す生物多様性の保全を推進すべく、生物多様性方針を

定め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 また、TNFDの議論を加速させるためにTNFDフォーラムへ参画しており、2024年10月にはTNFD提言に基づく

情報開示への意思を宣言するTNFD Adoptersにも登録しました。

 

① ガバナンス

 自然関連リスクと機会への対応方針やリスク・機会を考慮した年度予算・事業計画等の重要事項につき、

前述のサステナビリティ全般のガバナンスの仕組みの中で管理・監督しております。((2)サステナビリ

ティの取組①ガバナンスをご参照ください。)

② 戦略

 TNFDが推奨する手法が当社でも活用可能か確認するため、まずはTNFDフレームワークを参考に、

当社グループの事業についてスコーピングとLEAPアプローチによるトライアル分析を実施しました。

そのうえで、自然資本への依存度、影響度を加味し、特定の事業について詳細な分析を実施しました。

 

(a) スコーピング

 全事業の潜在的な自然資本への依存と影響について机上分析を行いました。国連環境計画等が開発した

自然資本影響評価ツール(ENCORE)を用いて、各事業の自然資本への依存度・影響度それぞれのスコアを算出

しました。

 

(b) LEAPアプローチ

 LEAPアプローチとは、TNFDが開発したLocate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、

Prepare(準備する)という4つのステップで構成された対象事業の自然関連課題を明確にする分析手法

です。当社は、スコーピングで自然資本への影響度が高いことがわかった金属資源事業を対象にトライアルで

LEAP分析を実施しました。この結果、LEAPアプローチの可用性が確認されたため、自然資本への依存度が

比較的高い天然ゴム事業を対象にLEAP分析を実施し、事業プロセスごとに自然資本への依存・影響を評価し、

同事業のリスクと機会を特定しました。

 

詳細な分析の流れについては、2025年9月発行予定の当社「ESGレポート 2025」自然資本・生物多様性(TNFD 提言に基づく情報開示)をご覧ください。

 

③ リスクとインパクトの管理

 天然ゴム事業の中でも、調達(天然ゴムの栽培)と製造(ゴム加工)プロセスでの自然資本への依存度が

高いため、これら2つのプロセスに焦点を当て、同事業の自然資本への依存と影響及びリスクと機会を

特定し、それらへの対応状況を整理しました。この作業においては、TNFD関連文書を用いた文献調査に加え、

事業の現場を知る当社従業員によるレビューを行いました。なお、以下の表でまとめているリスクと機会は

それぞれその重要性が「高」または「中」と評価されたものに限定しております。

 LEAPアプローチによる分析・評価の結果、天然ゴム事業について、バイオマスや遺伝資源の供給等に依存

しており、土地利用の転換や廃棄物の排出等により自然環境に影響を与えうることがわかりました。また、

持続可能性やトレーサビリティに関する規制導入・厳格化への対応が求められることがリスクに該当する

一方、持続可能な天然ゴムの供給によるブランド価値の維持、市場での優位性の確保が機会となることが

明らかになりました。天然ゴム事業では、これらを含む重要なリスク、機会について、次のとおりの対応を

既に行っており、引続き自然資本や生物多様性に配慮しながら事業活動を継続していきます。対応状況に記載

している「PROJECT TREE」とは、小規模農家への農業技術の教育を行い、当社が独自に開発したシステムを

用いて、原産地情報付きの天然ゴムを調達するプロジェクトです。タイヤメーカーに原産地情報付きの

天然ゴム素材を販売し、生産された協賛タイヤの売上の一部を小規模農家へ還元し、資源の持続可能な調達を

目指しております。

 

(a) 自然資本関連のリスク

区分

事業

プロセス

内容

対応状況

重要性

物理的リスク

急性

調達

クローン個体で形成されるゴム

農園の病気への脆弱性により、

病原菌やウイルスが蔓延する

ことによる天然ゴムの収量低下

PROJECT TREEにおいて、適切な農園管理により病原菌やウイルスが蔓延しづらい状態に保つことの重要性に関する教育活動を実施

パラゴムノキの単一栽培が続くことで土壌中の微生物の多様性が減少し、根白腐病が蔓延することによる収量低下、品質低下

PROJECT TREEにおいて、根白腐病

対策としてアグロフォレストリーを

含む他品種作物の栽培を農家に推奨

集中豪雨・洪水・台風等の自然災害の増加による天然ゴム栽培の継続性喪失

購買地域を工場所在地近郊のみ

ならず、スマトラ島南部全体に分散

気候変動に起因する栽培適温からの逸脱、日照不足、降雨パターンの変化等に伴うゴムの木の生育不良、収量低下

PROJECT TREEにおいて、適切な農園管理に関する教育活動を実施

加工

気候変動に起因する異常気象や自然災害による工場インフラの損傷や工場停止

過去の発災時に、洪水等の自然災害にすみやかに対応可能であることを確認済み

洪水時における適切な取水不能

水質基準を超過した排水の河川

への流出による、河川と流域

土壌の汚染

排水処理設備を備え、排水の水質

調査を毎時実施

慢性

調達

ゴム農園による化学肥料の多量使用や、産業活動に伴う周辺の水質・土壌劣化による天然ゴムの収量低下、品質低下

PROJECT TREEにおいて、汚染原因

となる化学薬品や排水処理に関する

教育活動を実施

病原菌、害虫、害獣の増加に

よる天然ゴムの収量低下

PROJECT TREEにおいて、適切な農園管理に関する教育活動を実施

移行リスク

政策・法規制

調達

持続可能性やトレーサビリティに関する規制導入・厳格化

トレーサビリティを確保し、天然ゴムの持続可能性を高める活動であるPROJECT TREEを更に拡大、TREE+(注)の導入推進

ゴム農園周辺の環境保護を目的

とした法規制の導入・変更、

報告義務の強化

PROJECT TREEを通じ、小規模農家

への法規制に関する周知・教育

によって法規制対応を推進

加工

ゴム加工工場による負の環境

影響からの保護を目的とした

法規制の導入・変更、報告義務

の強化

環境関連データの整備を進め、必要に応じて改善

市場

調達

自然への負の影響が小さい、

持続可能な方法で生産・製造

された商品に対する需要増等の顧客の嗜好変化

PROJECT TREEを通じ、持続可能な

天然ゴム生産を小規模農家に広め、

市場に供給

収益性の変化によりゴム農家が

転作することによる調達先の

減少

PROJECT TREEにより農家が適切な

対価を得られる仕組みを整え、

ゴム農家の転作を抑制(売上の

一部還元等)

 

区分

事業

プロセス

内容

対応状況

重要性

移行リスク

市場

加工

環境負荷の少ない製造工程の構築や、資源効率向上のための設備導入等ネイチャーポジティブな生産方法への移行

天然ゴム乾燥の熱源としてバイオマスを導入済みであり、ネイチャーポジティブな生産方法への移行を常に検討

技術

調達

ゴム農家へのスマートフォンの普及停滞によるトレーサビリティ確保推進の遅延

農家に対するスマートフォン無償

提供を計画中

評判

調達

自然管理が不十分な農園からの天然ゴム調達による、消費者や投資家からの批判増加、ブランド価値の低下

PROJECT TREEにおける農家のリスク

アセスメントにより、自然管理が

不十分な農園を特定・改善

サステナビリティ等を謳ったプロジェクトが実態を伴っていないことによる、グリーンウォッシュ批判の発生

PROJECT TREEは国際NGOのPro-

forest、SNVの協力、指導を得て

推進

加工

環境マネジメントの管理不足やそれに伴う環境事故による、認証の取消や企業価値の毀損

外部機関によるISO監査に加え、

天然ゴム加工会社であるPT. Aneka Bumi Pratama(以下、「ABP社」という)の社内でも年に1度の内部監査を実施し、認証取消リスクを低減

責任

調達

上流サプライヤーから排出される廃棄物、汚染物質起因の悪臭や水質汚染による、地域コミュニティからの訴訟や罰金

PROJECT TREEにおいて、農家に

対する汚水処理、廃棄物処理に

関する教育活動を実施

加工

工場から生じた有害汚染物質や

内分泌攪乱物質由来の健康被害

等による周辺コミュニティから

の訴訟や罰金

汚水処理、排気処理、廃棄物処理に関してはルールに従い適切に処理をして排出

(注)トレーサビリティを確保し、EUDR(欧州森林破壊防止規則)に対応している天然ゴム

 

(b) 自然資本関連の機会

区分

事業

プロセス

内容

対応状況

重要性

企業に関するパフォ|マンス

資源効率

調達

PROJECT TREEによる天然ゴム供給の高効率化

PROJECT TREEにおいて、天然ゴムの収量増に寄与する農業技術支援・

教育活動を展開

品種改良(自然災害や病害、

高温への耐性、不稔化等)

PROJECT TREEにおいて、ABP社の主要取引先が自社農園において改良した品種を小規模農家へ配布計画中

ブロックチェーン等技術を活用したトレーサビリティの促進

自社で開発したブロックチェーン

技術を活用したトレーサビリティ

システムを用いてデータ収集中。

データを活用した物流の効率化やCO2排出量の削減を検討中

加工

廃タイヤの回収工程、再生加工の効率化

当社が資本参加している㈱ナルネットコミュニケーションズ向けの

タイヤ配送網を活用した、廃タイヤ

の回収及び回収タイヤの中古タイヤ

ショップへの販売を検討中

 

 

 

 

区分

事業

プロセス

内容

対応状況

重要性

企業に関するパフォ|マンス

製品・

サービス

調達

サステナビリティ認証された

天然ゴムの提供増加

PROJECT TREEを通じたEUDR対応品の供給に注力。タイヤメーカーのEUDR対応品に対する高い需要に対応中

加工

廃タイヤ回収によるリサイクル製品の提供増加

回収した廃タイヤのうち、まだ使用可能なものは、中古タイヤショップ経由で消費者に再販予定

市場

調達

持続可能な天然ゴムの供給に

よるブランド価値の維持、市場での優位性の確保

PROJECT TREEのブランド価値向上により当該天然ゴムの流通量が増加し小規模農家のインセンティブ収入が増加

昆明・モントリオール生物多様

性枠組み(GBF)2030及び2050の

目標に合致した事業戦略の策定

PROJECT TREEでは「保護エリア周辺の農地開拓と違法伐採を止める

こと」を目的としており、GBF

「ターゲット1空間計画の策定と

効果的管理」を推進可能

資本

フロー・資金調達

調達

自然関連や環境に配慮した

ファンド、債券、またはローンへのアクセス

金融機関がPROJECT TREE参加企業に対してサステナビリティリンクローンの提供を提案する等、PROJECT TREE参加企業全体への資金調達力

増強を期待

持続可能性に関するパフォ|マンス

自然資源の持続可能な利用

調達

自然への正の影響を増加/負の影響を減少させるプロセスへの移行

PROJECT TREEでは保護林での違法

伐採を回避させることでネイチャーポジティブに貢献。また、常に

ネイチャーポジティブな生産方法への移行を検討

加工

リサイクルシステムの確立に

よる自然への正の影響を増加/負の影響を減少させるプロセスへの移行

これまで廃棄されていたタイヤを

再利用することによる環境負荷の

低減を目指す

 

④ 指標と目標

 当社では、TNFDが開示を推奨しているコアグローバル指標及び、分析結果を踏まえて検討した当社固有の

指標に対応する、PROJECT TREE参画農家数や工場・オフィスにおけるISO14001取得数等のデータを収集して

おります。今後は数値目標の設定についても検討していきます。収集指標の一覧等の詳細は、2025年9月発行予定の当社「ESGレポート 2025」をご覧ください。

 

(5)人的資本経営・多様性

 当社グループは、企業理念である「三方よし」の精神を継承し、企業行動指針である「ひとりの商人、無数

の使命」を体現する人材の確保・育成に努めております。その実現には、人種、性、宗教、国籍、年齢等に

かかわらず、従業員一人ひとりの能力を最大限に引出す人材戦略の実行と環境の整備が不可欠であり、当社の

朝型勤務・健康経営等の働き方改革や人事政策の事例を当社グループで共有したうえで、グループ各社のビジ

ネスに合わせた独自の人材戦略を展開しております。また、グループ各社の採用、人材育成、労務管理等に

おける課題に対し、きめ細やかな支援を行う等、当社グループが一体となって企業価値の向上に努めており

ます。

 

① ガバナンス

 当社グループの企業理念である「三方よし」を実現するため、人材戦略を経営戦略の一つとして位置付けて

おります。また、当社では、経営方針に係る重要な人事政策等の関連事項は、人事・総務部の立案、CAO、

CSO(Chief Strategy Officer)、業務部の審査を経て、全般的な経営方針及び経営に関する重要事項を

協議するHMCで決定しております。決定事項は、CAOより取締役会に定期的に報告され、取締役会が監督

しております。当社グループは、ガバナンス強化の観点から、当社より適切な人材をグループ各社に派遣して

おります。また、改訂コーポレートガバナンス・コード等により「人材多様化」に対する社会的な要請が一層

高まる中、喫緊の課題である「女性の活躍支援」を加速させるため、当社では2021年10月に取締役会の諮問

委員会として「女性活躍推進委員会」を新設し、取締役会が重要施策を監督する体制を構築しました。委員長

を社外取締役とし、委員総数の半数以上を社外役員で占めております。今後も現場や個々の事情を把握した

うえで、「①現場との協議、②女性活躍推進委員会での議論、③取締役会への報告」という一連のサイクルを

継続し、実効性のある施策(注)に落とし込んでいきます。計画的な採用、育成を通じて、取組方針の一つで

ある役職を担う人材の候補者数の拡大を図っていきます。また、当社グループ各社との人材交流等を行い、

グループ全体での女性活躍を推進していきます。

(注)女性活躍推進委員会からの答申により、2022年度に男性育児休業取得促進を目的とした「育児両立

手当」を導入、2024年度に女性執行役員特例措置制度を導入。

 

② 戦略

 当社グループの育成体系・社内環境整備方針・具体的アプローチは、次のとおりです。

<商人の育成方針及び育成体系>

 当社は、1999年度より人材育成費用を持続的な企業価値の向上のための「人的資本投資(E&D費)」と位置

付け、毎年全社でレビューし、グローバル経営人材育成、「伊藤忠らしさ」の伝承、「学び続ける」支援を

柱に人材育成を推進しております。

 

 現場(OJT)を育成の中心とし、20代のうちに海外駐在・出向を含む多様な経験を提供し、成長を促進する

ことを重視しており、キャリア棚卸の機会を通じて従業員の強み・弱みを把握し、現場での実践と豊富な研修

(Off-JT)の両輪で成長を支援しております。これらの取組を通じ、社会環境の変化や顧客ニーズを捉えた

「無数の使命」を果たす「商人」を育成し、当社グループの企業理念である「三方よし」を実現しており

ます。重点的施策は、次のとおりです。

 

(a) 採用市場での優位性を活かした優秀な人材の確保

 優秀な人材の採用は、当社競争力の源泉です。積み重ねてきた先進的な取組により、数多くの高い外部評価

を通じて採用市場における企業ブランドを築き上げ、就職人気ランキング等に基づく「学生から選ばれる企業

No.1」の地位堅持により、優秀な人材を継続して確保していきます。

(b) 女性の執行役員への登用

 経営人材の多様化は、生活消費関連ビジネスに注力する当社にとって非常に重要な要素になるため、

「2030年までに、全役員(執行役員を含む)に占める女性比率を30%以上」とする数値目標を

定めております。2024年度、女性執行役員特例措置制度を導入し、2024年4月1日付で5名の女性執行役員を

内部登用し、全役員に占める女性比率は21%まで拡大しております。

(注)2025年4月1日付で更に5名の女性執行役員を内部登用。全役員に占める女性比率は28%まで拡大。

 

(c) グローバル経営人材育成

 60か国、約90拠点を構える当社として、「マーケットインの発想」に基づき現地に根差したビジネスを推進

するため、優秀な海外現地従業員の登用と、本社従業員の海外派遣を両輪として推進しております。海外現地

従業員約1,800名のうち、管理職相当は4割の約740名、海外店長クラス以上の主要役職に約10名を登用して

おります。また、本社での業務経験・人脈形成の機会として、海外現地従業員の本社駐在制度を導入しており

ます。2008年度以降の駐在人数累計は128名となり、日本の文化・商慣習を学び、人脈形成をしたうえで現地

に戻り、活躍しております。

 本社新卒採用の総合職は、入社8年以内に必ず海外を経験し、駐在や実習、語学研修を通じて現地の語学・

文化や商慣習を習得しております。総合職全体では、5名に1名(約2割)の約750名が海外駐在員です。

また、最新の経営知識習得と外部経営層との人脈形成のため、新任課長や選抜された従業員を国内外の短期

ビジネススクールへ定期的に派遣しており、2024年度は37名が派遣されました。更にはグループ会社の経営

管理を担う人材育成として、川下起点の投資を加速し、ハンズオンで事業領域拡大や事業基盤の更なる強化・

拡充に向けたプログラムを構築しております。

 

 

 

(d) 「伊藤忠らしさ」の伝承

 当社では、企業理念「三方よし」の精神を次世代に伝承するために、様々な取組を行っております。毎年、

創業地を訪問し、当社役員、組織長、新入社員、グループ役員・従業員、海外現地従業員を対象として

企業理念教育を実施しております。また、過去の経営や投資の教訓から学ぶ場を設け、役員や優秀な従業員が

自身の経験を共有し対話する機会を提供しており、これらの学びを現場における実践に活かしております。

2004年に創業地訪問を開始して以来、累計3,943人が創業精神を現地で学んでおります。

 

 

(e) 「学び続ける」支援

 当社は、全従業員を「学び続ける」対象とし、OJTでは身に付けることが難しいビジネスモデルの進化に

資する組織戦略に紐づく新たな知識を、13,000以上の研修メニューの選択を通じて習得する機会を設けて

おります。また、2016年9月より、朝型勤務推進の一策として、早朝時間を活用し、従業員の知見を深め、

能力開発や活力増強に繋げる取組「伊藤忠朝活セミナー」を開催しております。2024年度は、ビジネスの進化

及び健康をテーマとして計3回開催し、延べ1,162名が参加しました。また、組織戦略上必要となる知識・

スキルの習得に従業員が自発的に取組めるように、個人業績評価における目標として「学び続ける」項目を

設定しております。特に、DXの知識獲得においては、習得度合いによる階層別のDXプログラムや、全従業員を

対象とした生成AIのeラーニングを構築する等、DXを目的化せず、当社の業容変革を実現・推進できる人材を

体系的に育成しております。

 

(f) 主体的キャリア形成支援

 全従業員が「キャリアを自ら考え、成長すること」を後押しするとともに、「働きがい」を持ってキャリア

を築いていけるよう、個々の家庭等の状況・価値観に応じた業務経験・働き方の選択肢を用意して

おります。

 定期的な所属長との面談や、人材アセスメントによる年1回のキャリア棚卸の機会を通じて、従業員の

モチベーションやキャリア志向を確認する場を定期的に設けております。これらの面談を通じて、従業員に

組織戦略に基づくキャリアプランや期待を伝えるだけでなく、従業員自身が思い描くキャリアへの挑戦を

後押しし、業務上必要なスキルと高いエンゲージメントを併せ持つ従業員を育成しております。

 

 

1.組織戦略の従業員への落込み

 本社新卒採用の総合職新入社員には、「基礎教育期間(受渡等)は最長2年、8年目までに海外派遣」の

全社方針を踏まえた各所属別の若手育成方針に基づき、入社後8年間の「個人別キャリアプランイメージ」

を提示しております。また、「キャリアミーティング」として、経営層からキャリア育成方針について聞く

機会を定期的に設けております。

 全社経営計画から落込まれた組織目標に基づき、期初に個人目標を設定し、期末に達成度合いを評価し、

個人の頑張りを翌年度の変動給(賞与)に反映する仕組みを設けております。

 

2. 主体的キャリアを後押しする制度

 従業員が自ら希望するキャリアを実現できる環境を整備するため、希望する部署への異動が叶う

「チャレンジキャリア制度」(社内公募)を設けております。年2回募集を行い、毎年20名程度が希望部署へ

異動しております。また、社内兼業の仕組みとして、案件組織をオンライン上で構築し、高い関心・熱意を

持つ従業員が兼業できる「バーチャルオフィス」を導入し、組織を越えた人材流動化・新規事業の創出を促進

しております。

 国家資格であるキャリアカウンセラーが所属するキャリアカウンセリング室において、いつでも相談が可能

な環境が整っております。

 在宅勤務・朝型フレックスタイム制度等の柔軟な働き方に加え、育児等の事情ある従業員の一時的な転勤

免除等、「価値観の多様化」に対応し、従業員に寄り添う当社らしい施策を実施しております。

 従業員自身の能力・適性を踏まえた適材適所・能力発揮の支援のため、職掌移動制度を設けております。

 

<従業員の貢献意欲向上・更なる労働生産性の追求>

 朝型勤務・健康経営等の働き方改革の先進的な取組の積重ねに加え、2024年度には、約10年ぶりとなる

大規模な人事制度の改訂を行いました。年功的な要素を廃し、30歳前後で事業会社にてマネジメント経験を

積むことを可能とする等、優秀な従業員を早期に抜擢する仕組みを導入しております。また、若手・中堅を

中心とした給与水準の引上げや個人の頑張りに応じた処遇のメリハリ強化を通じて全社平均の年収ベースで

前年度比約2%の年収増を実現しております。更に翌年度より全従業員を対象に約2~3%の固定給増額に

加え、従業員持株会を活用した株式報奨制度の拡充等により約10%の年収増となる改訂を決定しております。

今後も成果に応じたメリハリのある評価・報酬、早期抜擢やチャレンジングな経験の機会の創出により、

全従業員が能力を最大限に発揮できる「厳しくとも働きがいのある会社」の実現を目指していきます。

 

<社内環境整備方針>

 「健康力向上」こそが、企業行動指針である「ひとりの商人、無数の使命」を果たす人材力強化の

礎であるという考えに基づき、当社は「伊藤忠健康憲章」の制定、がんと仕事の両立支援等をはじめとした

健康・安全に対する万全な体制を構築しております。2024年度においては、全社員を対象とした睡眠

プロジェクトを推進した結果、うち約1,000名の従業員が睡眠実態調査に参加し、SAS(睡眠時無呼吸症候群)

の懸念のある従業員に対し改善プログラムを実施しました。また、労働安全衛生に関する情報提供等、当社

産業医によるグループ会社支援を行っております。今後も、従業員一人ひとりの健康を第一に、従業員が安心

して働くことができる職場環境の実現を当社グループ全体で目指していきます。

 

③ リスク管理

 当社は、価値創造の原動力である従業員一人ひとりの能力を最大限に引出すための基盤整備に努めており
ます。その一環として、迅速な意思決定を実現するため各事業セグメントに権限を委譲し、事業運営に伴う
人材に関するリスクと機会の管理を行っております。経営戦略に基づいた人材戦略のもと、各カンパニー
プレジデントが人材確保や適材適所等を推進しております。また、定期的にエンゲージメントサーベイを
実施し、結果を各事業セグメントに報告しており、従業員の働きがいをモニタリングする仕組みを構築して
おります。なお、当社グループ各社に対しては、事業セグメントを通じた労務管理リスク・人材リスクの把握

や課題に対するきめ細やかな支援に努めております。コンプライアンス意識の向上と事案の発生を未然に予防

することを目的に、実際に発生したコンプライアンス事案を教材として含めた形で、「コンプライアンス巡回

研修」を当社の役職員のみならず、国内のグループ会社の役職員に対しても実施しており、2024年度には

グループ全体で23,120人が参加しました。

 

④ 指標及び目標

(a) 人材戦略(人材育成方針)

指標

前連結会計年度

当連結会計年度

目標

集計対象

労働生産性(注)1

5.2倍

5.7倍

-

提出会社

従業員持株会加入率

100%

100%

-

提出会社

自己都合退職率

1.6%

1.6%

-

提出会社

月平均残業時間(法定)

12.4時間

10.7時間

-

提出会社

男性育児休業取得率

53%

96%

2026年3月末目標:100%

提出会社

年次有給休暇取得率

66.2%

69.1%

-

提出会社

女性従業員比率

25%

26%

2026年3月末目標:30%

提出会社

女性新卒採用比率

39%

39%

2026年3月末目標:40%

提出会社

女性役員比率(注)2

12%

21%

2031年3月末目標:30%

提出会社

研修受講者数(延べ人数)

68,824名

56,831名

-

提出会社

20~30代海外駐在・出向経験者率

71%

70%

-

提出会社

一人あたり研修時間(年間)

28.2時間

31.0時間

-

提出会社

人材育成投資総額(注)3

22.7億円

24.5億円

-

提出会社

 

 ・グローバル・経営人材育成(海外研修等)

14.9億円

16.3億円

-

提出会社

 

 ・「伊藤忠らしさ」の伝承    (創業地訪問等)

4.4億円

4.7億円

-

提出会社

 

 ・「学び続ける」支援      (DX研修等)

3.5億円

3.4億円

-

提出会社

一人あたり人材育成投資額

(注)4

55.5万円

60.6万円

-

提出会社

企業理念「三方よし」を深く理解するための創業地訪問参加者数

(注)5

3,565名

3,943名

-

連結会社

(注)1 働き方改革を開始した2010年度を1とした場合の労働生産性推移(連結純利益÷単体従業員数)

です。

2 女性役員比率は、会社法上の役員に加え執行役員を含みます。

3 人材育成を目的とする統合型独身寮に関連する費用を一部含みます。

4 当連結会計年度より、期末時点での休職者を人員数より除きます。

5 2004年度より導入した創業地訪問の参加者数の直近連結会計年度までの累計です。

 

(b) 社内環境整備方針

指標

前連結会計年度

当連結会計年度

集計対象

がん特別検診対象者受診率

94%

97%

提出会社

労働災害の罹災者数

8名

9名

提出会社

死亡災害件数

0件

0件

提出会社

グループコンプライアンス意識調査の  回答率(注)

98%

98%

連結会社

(注)独自で調査をしている上場子会社を除く国内外子会社及びその事業会社の従業員56,090名が対象です。