人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数821名(単体) 8,644名(連結)
-
平均年齢38.2歳(単体)
-
平均勤続年数12.7年(単体)
-
平均年収11,434,189円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ICTソリューション |
1,589 |
[233] |
電子・デバイス |
3,769 |
[1,534] |
食料 |
791 |
[448] |
鉄鋼・素材・プラント |
1,213 |
[142] |
車両・航空 |
764 |
[60] |
報告セグメント計 |
8,126 |
[2,417] |
その他 |
84 |
[8] |
全社(共通) |
434 |
[16] |
合計 |
8,644 |
[2,441] |
(注)従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在 |
||||
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
821 |
[43] |
38.2 |
12.7 |
11,434,189 |
(注)1.上記従業員数に他社からの出向者13人を含め、他社への出向者127人を除いた就業人員数は707人であります。また、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.上記人員のほか、海外事業所における現地従業員が6人おります。
3.平均年間給与は、賞与および時間外勤務手当等を含んでおります。
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
ICTソリューション |
5 |
[-] |
電子・デバイス |
60 |
[6] |
食料 |
213 |
[17] |
鉄鋼・素材・プラント |
79 |
[4] |
車両・航空 |
76 |
[4] |
報告セグメント計 |
433 |
[31] |
その他 |
14 |
[-] |
全社(共通) |
260 |
[12] |
合計 |
707 |
[43] |
(注)従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。
(3) 労働組合の状況
特記事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合 (%)(注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率 (%)(注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1,3 |
||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||
5.9 |
85.7 |
68.5 |
70.7 |
36.6 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3.労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金を100%とした場合の女性の賃金の割合を示しております。なお、人事制度における男女の給与テーブルに差はなく、差異は職種・職責・等級別の人員構成によるものであります。
② 連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める |
男性労働者の (%)(注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1,3 |
||
全労働者 |
うち 正規雇用 労働者 |
うち パート・ 有期労働者 |
|||
兼松エレクトロニクス㈱ |
3.7 |
100.0 |
57.6 |
57.7 |
70.1 |
ケー・イー・エル・テクニカルサービス㈱ |
4.0 |
100.0 |
71.8 |
70.4 |
65.8 |
日本オフィス・システム㈱ |
6.1 |
66.7 |
78.7 |
79.0 |
89.0 |
日本アクセス㈱ |
0.0 |
25.0 |
84.4 |
79.8 |
105.3 |
㈱i-NOS |
8.3 |
0.0 |
73.1 |
73.5 |
70.9 |
兼松コミュニケーションズ㈱ |
9.4 |
26.8 |
74.0 |
76.4 |
83.4 |
キンキテレコム㈱ |
6.7 |
0.0 |
79.5 |
83.9 |
54.7 |
㈱エヌ・エス・シー |
0.0 |
- |
81.0 |
82.0 |
74.0 |
㈱シーシーディ |
12.5 |
66.7 |
66.9 |
70.6 |
- |
兼松サステック㈱ |
1.6 |
50.0 |
54.8 |
66.2 |
69.9 |
兼松フューチャーテックソリューションズ㈱ |
6.0 |
- |
67.7 |
66.1 |
54.4 |
兼松食品㈱ |
6.1 |
66.7 |
62.4 |
68.5 |
27.7 |
グローカルペットケア㈱ |
4.8 |
- |
39.4 |
68.3 |
87.0 |
兼松ペトロ㈱ |
2.6 |
66.7 |
72.9 |
69.0 |
78.6 |
㈱兼松ケージーケイ |
0.0 |
0.0 |
71.4 |
71.3 |
61.8 |
㈱建鋼社(注)4 |
0.0 |
0.0 |
78.5 |
78.5 |
- |
新東亜交易㈱ |
0.0 |
66.7 |
65.5 |
64.0 |
60.9 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3.労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金を100%とした場合の女性の賃金の割合を示しております。なお、人事制度における男女の給与テーブルに差はなく、差異は職種・職責・等級別の人員構成によるものであります。
4.㈱建鋼社については、2025年4月1日付で保有する全株式(100%)を譲渡いたしました。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループは、創業者兼松房治郎の創業主意を基本理念としており、国際社会や経済の発展に寄与していくことを使命とし、国内のみならず広くグローバルにビジネスを展開しております。多岐にわたる事業において、あらゆるモノ・機能・サービスを提供し、多様なサプライチェーンを構築する中で、地球環境や人権への対応が喫緊の課題であると認識しております。当社グループは、お客さまやパートナーとの共生・発展を念頭に、これまでの長い歴史の中で培ってきた知見やノウハウを活かし、付加価値のあるモノやサービスを提供する企業活動を通じて、地球環境や社会・経済と、当社グループの持続的な発展を目指して参ります。なお、このサステナビリティに関する考え方及び取組の記載内容は有価証券報告書提出日現在のものとなります。
(1) サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社では、サステナビリティ経営を推進していく体制として、サステナビリティに関する基本的な方針、戦略、調査、業務の推進等についてサステナビリティ推進室が企画・立案し、サステナビリティ推進委員会にて討議・決定しております。サステナビリティ推進委員会は、営業部門の責任者および企画担当役員を中心に構成され、サステナビリティ推進室が事務局となり、定期的に開催しております。また、サステナビリティ推進委員会での討議内容は四半期ごとに取締役会へ報告されております。取締役会は、サステナビリティ推進委員会の委員長である取締役をはじめ、ESG思考を有する社外取締役等による学術的な観点からの助言もあわせて、当社のサステナビリティ経営を監視監督しております。当社が社会から期待される役割や課題を把握し、これを営業部門の意見とすり合わせるとともに、今後の事業活動の方向性に反映することでサステナビリティ経営の推進に活かしております。
サステナビリティ推進委員会での主な討議内容(2025年3月期)
・サステナビリティに関する取組みの情報開示(人権、生物多様性、気候変動(CDP)など)
・2024年3月期GHG排出量報告と増減分析
・GHG排出削減貢献に関する取組みと貢献量の進捗確認
・企業サステナビリティ報告指令(CSRD)対応の進捗確認
② 戦略
当社は、持続可能な開発目標(SDGs)など国際社会の動向やステークホルダーからの期待、当社の基本理念、経営にとっての重要性を踏まえ、当社グループが企業活動を通じて注力する5つの重要課題(マテリアリティ)を設定しております。
当社は、事業活動を通じて「持続可能なサプライチェーンの構築」、「脱炭素社会に向けた取組み」、「地域社会との共生」に取り組むとともに、それらの事業活動を支える重要な経営基盤として「多様な働き方を実現する環境づくり」および「ガバナンスの強化&コンプライアンスの徹底」に取り組んで参ります。
③ リスク管理
(執行)
当社グループにおける事業活動は、営業部門(7部門)を中心に推進・執行され、気候関連のリスク識別および評価についても、各営業部門が事業活動と照らし合わせて行っております。
(管理)
当社は、事業内容を熟知する執行機関である営業部門の責任者(執行役員)と、当社グループの基本的な経営方針、経営戦略、および経営資源の配分を主管する企画担当役員(執行役員)でサステナビリティ推進委員会を構成し、企画担当役員が委員長を務めております。サステナビリティ推進委員会は、営業部門において識別・評価された気候関連のリスクについて討議しております。また当社グループのCO₂排出量を定期的に算定し、その増減要因や対策の方向性を協議することで総合的なリスク管理を行っております。
(監視監督)
取締役会は、サステナビリティ推進委員会より定期的な報告を受け、当社グループにおける気候関連の総合的なリスク管理について監視監督を行っております。
(2) 気候変動に関する取組み
当社は、2021年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同し、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、より分かりやすくお伝えできるようTCFDのフレームワークに沿った情報開示に努めております。
当社は、創業以降、事業の選択と集中を経て取組みを進めた結果、現在は火力発電や石炭事業をはじめとする環境負荷の高い事業のない事業ポートフォリオとなっております。また、すべての投資案件の実行、重要な契約の締結、および重要な資産の取得に際しては、当社グループのサステナビリティの考え方および重要課題(マテリアリティ)を踏まえており、今後も環境負荷の高い事業に取り組むことを回避できるよう、その執行を管理、監督するガバナンス体制も構築しております。
こうした長年にわたる環境負荷に対する管理・制御が奏功し、当社グループの事業活動におけるCO₂排出量(Scope1、2)は当社の事業規模に照らし合わせて極めて低い水準にあるため、SBT(Science Based Targets)に基づく更なる削減目標を設定することは現実的でなく、困難であると考えております。今後も大きくは増加させない仕組みとしてこのガバナンス体制を維持して参ります。
一方、当社グループは、近年、森林保全事業、二国間クレジット事業、および再生可能エネルギー関連事業等を積極的に推進しており、これらの事業活動を通じて創出するクレジット、CO₂削減貢献量が当社グループのCO₂排出量を大幅に上回る水準を目指して取り組みます。その結果として地球全体の排出削減に貢献し、世界の脱炭素に資することが、サプライチェーンを繋ぐ商社としての役割であり、使命であると考えます。当社のこの考え方は、SBTをはじめとする国際基準が示す定義とは一線を画すものですが、商社としての業態、ビジネス、そしてあるべき姿を鑑みた際に、わが国および国際社会に貢献し続ける企業グループであり続けることを志向するものです。
① ガバナンス
「(1) サステナビリティ全般」に記載のとおりであります。
② 戦略
当社グループは、当社グループが行う事業のうち、気候変動の影響が大きい事業を選定してシナリオ分析を行った結果、いずれのシナリオにおいてもリスクと機会が存在するものの、リスクの影響度を機会の影響度が上回ると捉えております。
当社グループは、中期経営計画「integration 1.0」の基本方針のひとつに顧客に提供する最適なソリューションとしての提供価値の拡充を掲げ、そのなかでサプライチェーンの脱炭素化、サーキュラーエコノミーの創出等を重点的に強化することとしており、気候変動を積極的な事業機会と捉えております。
TCFD開示推奨項目 |
当社の事業 |
リスク |
機会 |
(a) 短・中・長期の気候関連のリスクおよび機会
|
北米牛肉事業 |
平均気温上昇による飼料・牧草の価格上昇(物理リスク) |
新技術の開発・普及に伴う新たな機会(植物由来肉) |
鋼管事業 |
化石燃料の需要減少(移行リスク) |
新技術の開発・普及に伴う新たな機会(CCUS、EOR) |
|
トウモロコシ事業 |
畜肉需要の低下に伴う売上高の減少、および飼料用途以外の需要拡大による調達コストの増加(移行リスク)、平均気温上昇や干ばつによる調達コストの増加(物理リスク) |
新技術の開発普及に伴う新たな機会(バイオプラスチック) |
|
灯油事業 |
規制の強化による需要減少(移行リスク)、海面上昇に伴うサプライチェーンの分断(物理リスク) |
再生可能エネルギー事業の拡大と低GHG排出製品の販売 |
|
コーヒー事業 |
法規制強化による調達コストの増加(移行リスク)、異常気象の激甚化によるサプライチェーン分断に伴う売上の減少(物理リスク) |
サステナブルコーヒーの販売拡大 |
|
二輪部品事業 |
原材料の価格高騰に伴う調達コストの増加、規制強化に伴う小型エンジン車部品の売上の減少(移行リスク) |
消費者の嗜好・意識変化による小型ZEV部品の売上増加 |
|
(b) 気候関連のリスクおよび機会のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響 |
(影響) 気候関連のリスクと機会による影響度(財務インパクト)は当社全体に対するものではなく、それぞれのシナリオ分析対象事業の収益または費用に対するインパクトで、次の定量的基準により、大/中/小で整理しております。
(定量的基準) 大 : 10億円以上 中 : 5億円以上、10億円未満 小 : 5億円未満 |
||
(c) 複数シナリオを活用したシナリオ分析および気候変動に対する戦略のレジリエンス |
(分析結果) 北米牛肉事業、鋼管事業、トウモロコシ事業、灯油事業、コーヒー事業、二輪部品事業いずれのシナリオにおいても、リスクと機会が存在し得ます。分析を踏まえ、当社としては気候変動を機会と捉えて事業戦略を策定しております。 当社の中期経営計画「integration 1.0」の基本方針のひとつに、顧客に提供する最適なソリューションとしての提供価値の拡充を掲げ、そのなかでサプライチェーンの脱炭素化、サーキュラーエコノミーの創出等を重点的に強化しております。 |
③ リスク管理
「(1) サステナビリティ全般」に記載のとおりであります。
④ 指標及び目標
(指標)
当社グループは、工場等の所有も少なく、CO₂以外の温室効果ガスの排出が少ない事から、気候関連のリスクと機会の評価指標にCO₂排出量を用いております。
(目標)
今後の目標として、再生可能エネルギーへの転換でCO₂排出量の削減を行い、当社グループ会社数の増加がある場合でも、CO₂排出量を30,000t-CO₂以下に抑制すべく取り組みます。また、当連結会計年度において、削減貢献量が1,000,000t-CO₂を超えたことから今回、将来の削減貢献量の目標値を1,000,000t-CO₂から1,500,000t-CO₂に引き上げます。
REDD+等の森林保全事業や二国間クレジット事業、および再生可能エネルギー関連事業を拡大し、削減貢献量を積み増すことで、2050年には当社グループのCO₂排出量の50倍程度に相当する1,500,000t-CO₂の削減貢献量を目指し、わが国および国際社会のGHG排出削減に寄与して参ります。
TCFD開示推奨項目 |
当社の取組み(要約) |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(a) 気候関連のリスクおよび機会を評価する際に用いる指標 |
(指標) CO₂排出量、CO₂削減貢献量 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(b) Scope1Scope2および当てはまる場合はScope3の温室効果ガス(GHG)排出量とその関連リスク |
注1:CO₂削減貢献量の算定は、2025年3月期より開始 注2:Scope3については、カテゴリー1、2、3、6、7、15を対象として部分的に算定 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(c) 気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標および目標に対するリスク |
|
(3) 人的資本・多様性に関する取組み
数ある経営資源の中でも、人材は当社にとって大切な財産であります。以下の記載内容に沿って企業価値の向上を推し進めて参ります。
① ガバナンス
目指す姿の実現に向けて経営戦略と人材戦略を連動させ、価値創造の源泉となる人的資本を強化するため、人事担当役員を委員長とし、代表取締役社長・企画担当役員・財務担当役員の4名からなる人的資本委員会を2024年4月1日から発足し、人的資本経営の実行体制を整えております。
本委員会では「新たな価値創出を支える兼松パーソンの定義・見直し」、「経営戦略に基づいたグループ全体の人材ポートフォリオの最適化」、「人的資本投資プログラムの策定検討」等を行っております。
② 戦略
当社の戦略については、次のとおりであります。
なお、当社の人材戦略は、経営戦略に基づいて策定されており、企業の成長と持続可能性を支える重要な指標と位置付けております。経営戦略の目標を実現するためには、質の高い人材の確保、育成、そして適切な配置が不可欠であり、そのため、当社は常に経営戦略と連動した人材戦略を構築し、柔軟かつ迅速に対応できる体制を整えております。
前述のとおり、当社は2024年4月~2027年3月を対象期間とする中期経営計画「integration 1.0」を策定しましたので、それに伴い新たに人材戦略を構築し、また各種重点テーマ、指標および目標も見直しております。
(ⅰ)人的資本基本方針
(方針)
新たな価値創造の源泉となる人材(兼松パーソン)を確保・育成し、人材の能力が十分に発揮される組織を作ることで持続的に企業価値を向上させる
(概要)
「お客さまやお取引先に愛され、選ばれる人」これが兼松パーソンです。創業当時より大切にする以下の価値観を一人ひとりが主体的に体現し、兼松パーソンとして持続的な価値の創造を目指しております。
・お客さま・お取引先、社会の課題を解決する使命感、責任感
・一粒の種をまくための創意工夫と挑戦心
・お客さま・お取引先との共創共栄を大切にする誠実心
・働く情熱と共に同じ目的に向かって邁進する団結心
(ⅱ)人材戦略
(方針)
当社が目指す姿(ソリューションプロバイダー)に向けて活躍できる人材を確保、育成し、人材の能力が充分に発揮されるよう社内環境を整備する
(概要)
当社は中期経営計画「integration 1.0」において、兼松が5年後に目指す姿として「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」を掲げております。ソリューションプロバイダーとして活躍できる人材になるためには、「①深い現場知見に根差した最適な解決策をデザインする力」「②顧客課題解決に向け複数のレイヤーに跨り様々な外部パートナーとの最適な組合せでソリューションを実装・運用する力」の大きく2つの力が必要だと考えております。
後述する人材育成方針、環境整備方針に基づいた取組みを行うことで、中期経営計画「integration 1.0」“組織能力・人的資本の強化”のモニタリング指標として掲げている「新たな行動様式を実践する従業員」、「組織横断プロジェクトに従事する従業員」も増加すると考えております。
当社の人材戦略イメージ
(ⅲ)人材育成方針
(方針)
新しいビジネスと持続可能な社会を築く商社として、変化を機微に捉えて素早く対応することで、多くのお客さま・取引先の皆さまに愛され選ばれる兼松パーソンとなる人材の採用・研修・育成を実施する
(概要)
上述の兼松パーソンが大切にする価値観を体現するためには、どのような環境下でも実行力を発揮し、最後まで責任を持ってやり遂げる意欲を持ち、取引先や社内関係者と適切なコミュニケーションを取ることができる優れた人格が必要であると考えております。
当社の人材は、新規ビジネスを事業化していく熱意、挑戦心のある旺盛な冒険心、新たなビジネスモデルの構築や既存の概念に捉われない新しい発想の展開ができる革新的な思考を大切にしております。
当社では、持続的な価値創造のために、優れた人格を基盤として、人材戦略に合わせた人材育成を行って参ります。
(重点テーマ)
人材育成に関する重点テーマは、次のとおりであります。
(a)深い現場知見に根差した最適な解決策をデザインする力
・OJT(On the Job Training)制度
深い現場知見を養うために日常の業務を通じて教育するOJT制度を取り入れております。新入社員1名に対し、直接実務を指導する実務指導員に加え、部署の中枢を担う中堅社員がOJTサポーターとしてアサインされ、2名体制で教育をしております。実務指導員、OJTサポーターには研修を実施し、新入社員の育成において必要となる情報提供を行うことで、業務知識のみならず、社会人としての基礎を効果的に指導できる体制を整えております。東京本社の座席には、新入社員+実務指導員+OJTサポーター3名で利用できる優先席を設け、新入社員がいち早く現場知見を身に付けられるようチーム一体となって育成しております。
・若手海外実習制度
グローバルな深い現場知見を養うための初期教育として、若手のうちに実務を通じた海外経験を積むことができる若手海外実習制度を設けております。多様な文化や価値観を体感することはもちろん、海外駐在員としてグローバルな環境でも深く現場に入り込んでいくために求められるスキルと自身の能力のギャップを認識することで、若手社員の自己啓発を促しております。
・兼松ユニバーシティ
従来の研修制度を強化・体系化した「兼松ユニバーシティ」(以下「KGU」という。)を、2019年7月より開講しております。KGUのカリキュラムは、教養、対人知識・対人スキル、業務知識・業務スキルの3カテゴリーで構成されており、内容によってe-learningと集合研修に振り分けた豊富な講座を受講できる仕組みになっております。ビジネスマナーや語学など基礎的なものから、事業投資や法務、アンガーマネジメントなど専門的な知識も身に付けることができる内容となっており、次世代のマネジメント層となる人材の育成に努めております。
・ビジネスプラン策定研修
事業創造に必要な「新たなビジネスを生み出し、具体化していく」ためのスキルの習得を目的として、2007年よりビジネスプラン策定研修を行っております。本研修では事業創造を行うための知識や学びを「分かる」状態から「活用できる」状態へと昇華・強化するために、事前学習編と学びの活用編(グループワーク)の2つから構成されております。学びの活用編では現実のビジネス課題をテーマに設定し、ビジネスプランを約半年にわたりチームごとに練り上げ、社内で最終発表会を開いております。
(b)最適な組合せでソリューションを実装・運用する力
・DX人材の育成
当社が関わるサプライチェーンにおいて、デジタル技術や自動化技術を活用しながら次世代に適合したビジネスへのシフトを目指し、取引先と協力して共に変革への困難を克服するDXを推進しております。当社が求めるDX人材には、デジタルの知見だけではなく、ビジネスの知見との掛け合わせが必要と考えており、ITリテラシー向上のための研修のみならず、デジタル技術を扱うグループ内企業との人材交流等も通じて、取引先などのデジタル化段階に合わせたDXを推進できる人材を育成しております。
・GXアクセラレーター
グループ内での環境関連ビジネスの推進に向け、新規案件の企画・立案から、グループ内GX機運の醸成に向けたあらゆるサポート活動を行う「GXアクセラレーター」を組織しております。GXアクセラレーターは、当社グループ各社において高い業界知識を有し活躍している社員で構成されております。
(ⅳ)環境整備方針
(方針)
・新たな事業や既存事業の刷新が次々と生まれるとともに、常に進化することを楽しむ個人/組織/風土に向けて、個々人の能力を活かし、お互いが尊重し合い、団結する組織を目指す。
・これらの実現に向けてオフィス環境や業務フローを継続的に見直し、時間や場所に捉われない環境、基盤となる従業員の健康維持・増進および安全に働くことができる環境を整備し、従業員エンゲージメントをさらに高める。
(概要)
ソリューションプロバイダーとして活躍する人材を活かしサポートするためには、組織の環境を充実させる必要があります。多様な人材がフラットな関係でお互いを尊重・協力し合い、多様なキャリアを築くことができ、チャレンジを促し、チャレンジした人が報われる環境が必要であると考えております。
当社では人材の能力を活かす組織を作るためにはDE&Iの考え方が根底にあると考えております。また、社員エンゲージメント等の観点から、下図のとおり組織・会社作りをしていくうえで重要な価値観(コアバリュー)を4つ(個性を活かす、フラット&リスペクト、チャレンジをサポート、働き方にも選択肢)定めております。コアバリューは一人ひとりの能力を最大化させるために必要に応じて見直して参ります。
人材の能力を活かす組織作りのコアバリューイメージ
(重点テーマ)
環境整備方針に関する重点テーマは、次のとおりであります。
(a)多様な個性を活かすDE&I
・DE&Iチームの取組み
当社ではDE&Iチームを組成し、多様な価値観や考えを尊重し受け入れることで、誰もがより働きやすく、より能力を発揮できる職場環境の整備を進めております。当事者意識の醸成を目的に、全社向けe-learningや情報発信を行っております。また国際女性デーやLGBTQ+の理解促進を目的としたプライドウィーク、社員のご家族をオフィスに招くファミリーデー等の企画を通して、多様な社員同士の理解を深める取組みを行っております。
・ダイバーシティ採用、キャリア採用
当社内部の知識・経験だけではアプローチできない市場・商材・顧客にも進出していくため、世界中から多様なバックグラウンドを持つ人材の確保に努めております。新卒採用では女性や日本における外国籍留学生に対して目標値を持って採用活動を実施しております。また当社内部とは異なる知識・経験の獲得を期待したキャリア採用の拡大も進めております。
・タレントマネジメント
属人的な人材配置から脱却すべく、人材プールの可視化を目的としてタレントマネジメントを推進しております。一人ひとりのスキル、経験、特性といった人材情報を一元管理し、どのような人材が社内にいるのか適切に把握するよう努めて参ります。
(b)エンゲージメント向上によるパフォーマンスの最大化
・エンゲージメント調査
当社では、中期ビジョン「future 135」から継続して従業員エンゲージメントの向上を重視しております。2021年度に2回目となるエンゲージメント調査を実施し、第1回目の調査と比較して、エンゲージメントの改善が見られたものの、協力体制などいまだ複数の課題が残っていることも分かり、これらの課題に対する施策を検討・実行することにより、部門や組織の壁に縛られないチャレンジを奨励する会社となり更なるエンゲージメントの向上を図って参ります。
なお、エンゲージメント調査自体は2024年度に第3回目を実施しており、その結果に対する施策の検討も今後あわせて進めて参ります。
・エンゲージメント向上のための施策
(ヒトツブクラブ)
新規事業のためのアイデア創出・事業化推進を行うコミュニティである「ヒトツブクラブ」を発足しております。研修ではなく、参加型イベントやTeamsグループを通じて、新規事業の創造に挑戦する「時間」と「場」を設けるだけでなく、参加者の熱意さえあれば、アイデアの具現化に向けた支援・サポートを実施しております。
(新人事制度)
2024年4月より新人事制度を導入し、各々がチャレンジングな目標を掲げ、組織全体の底上げを図るような土壌形成と、その取組み・成果に報いる仕組み作りを行っております。
(TANEMATSU ~カルチャーデザインプロジェクト~)
創業主意「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」の更なる浸透・再解釈を土台とした「兼松らしい企業文化づくり」を目指す全社横断プロジェクトを2023年12月から開始しております。当社が大切にする価値観に共感することで従業員のエンゲージメントを高め、その結果、新たな事業や既存事業・業務の刷新と改善が次々と生まれる企業文化にするべく、当社ひいては当社グループ会社一体となって企業理念に向き合い、未来を考える機会を創出して参ります。
(c)多様な働き方
・フルフレックス制度
柔軟な働き方を推奨するため、2021年度よりコアタイムのないフルフレックスタイム制度を導入しております。従業員が業務の繁閑に合わせて出社・退社時刻を原則自由に設定でき、今まで以上に自身の業務に合わせた効率的な働き方が可能となりました。
・テレワーク制度
従業員のWell-beingの観点や、外出時の移動時間削減等による業務効率化の観点から、テレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス勤務)を制度化いたしました。「従業員の自律的な働き方の尊重」と「会社業績の向上」を両輪で実現することを目指し、働き方の選択肢としてテレワーク(在宅勤務・サテライトオフィス勤務)を位置付けております。
・有給休暇取得推奨
「働きやすく、働きがいのある職場環境」の実現を目指し、従業員が有給休暇を取得しやすい制度として、年次有給休暇の計画的付与制度「ブロンズウィーク・プラス制度」を導入しております。より働きやすい職場環境を整え、公私のメリハリをつけて業務にあたることを目指しております。
(d)従業員のWell-beingを追求する健康経営、安心して働ける労働慣行
・健康経営宣言
従業員が能力を拡大し可能性を育てながら生き生きと働くためには、健康経営の推進が必須であると考えております。当社は2025年3月に、経済産業省および日本健康会議が実施する健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門において「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」の認定を受けております。
・健康状態の把握
当社では従業員の健康に関するデータを可視化するため健康管理システムを2024年3月に導入いたしました。同システムを用いて、兼松健康保険組合と連携してデータ分析を行い、従業員の健康状態に即した健康施策を実施し、効果を測定しております。また、従業員自身も同システムを使うことで、自身の健康課題の把握、健康的な生活の習慣づけが可能となっており、全従業員の健康意識向上を図っております。
・安全衛生委員会
従業員の健康を守り、明朗な職場環境をつくるため安全衛生委員会を設置しております。同委員会は総括安全衛生管理者(人事部長)の監督の下、産業医、安全管理者、衛生管理者、会社推薦の社員、そして労働組合が推薦した社員で構成されております。月に1度、委員会を開催し、産業医から助言を受けながら、労使共同で各施策を協議し、推進しております。
・ハラスメント対策
ハラスメントについては、社内相談窓口を設置しており、ハンドブックの配布による啓蒙活動に加え、ハラスメント防止のための研修を実施しております。
③ リスク管理
人的資本・多様性に関する取組みの強化とあわせて、近年、従業員・組織を取り巻く多様なリスクへの備えが一層重要となっております。
当社では、人的資本に係るリスク管理体制も強化しており、例えばコンプライアンス違反・ハラスメント・人権に関する問題や、人的流出・健康起因のリスク、またDX推進や働き方改革等に伴う新たなストレスへの脅威への認識を高めております。具体的には、人事部を中心にリスク事象の早期発見・相談体制の整備、エンゲージメントサーベイ・ストレスチェックの分析や職場環境のモニタリング、社内研修や情報発信による予防策の徹底等を実施しております。あわせて、社内通報・相談窓口や産業医と連携し、メンタルヘルスから不正・ハラスメントまで幅広く対応しております。
これらを通じて、「人」に起因する事業継続・価値創造上のリスクを最小化し、従業員一人ひとりが安心して高パフォーマンスを発揮できる健全な組織風土の醸成を目指して参ります。
④ 指標及び目標
当社の人材育成および環境整備に関する指標及び目標は、次のとおりであります。
なお、連結グループでの集計が困難な指標であるため、当社単体の数値を記載しております。
(ⅰ)人材育成方針 (目標及び実績/当社)
重点テーマ |
KPI |
2025年3月期実績 |
2027年3月期目標 |
深い現場知見に根差した最適な解決策をデザインする力 |
ビジネスプラン策定研修 |
49.7% |
60% |
最適な組合せでソリューションを実装・運用する力 |
ITパスポート取得率 |
58.2% |
100% |
DX関連研修受講率 (注) |
57.6% |
70% |
|
ICT・データビジネス企業との人材交流 |
28人 |
60人 |
(注)Business Process Management研修、DXプロジェクト推進研修、プロセスアドバイザー研修、データ利活用研修、ビジネスアナリティクス研修、KGUのDXカリキュラムのいずれかを受講した割合であります。
(ⅱ)環境整備方針 (目標及び実績/当社)
重点テーマ |
KPI |
2025年3月期実績 |
2027年3月期目標 |
多様な個性を活かす DE&I |
女性管理職比率 (注)1 |
5.9% |
10% |
男性育児休業取得率 |
85.7% |
100% |
|
多様な人材の採用比率(女性・外国籍) (注)2 |
34.7% |
35%維持 (4年平均) |
|
エンゲージメント向上によるパフォーマンスの最大化 |
エンゲージメントスコア (注)3 |
62.0% |
グローバル企業 上位10%平均 |
多様な働き方 |
有給休暇取得率 |
71.2% |
75% |
フルフレックス利用率 |
80.3% |
95% |
|
従業員のWell-beingを追求する健康経営、安心して働ける労働慣行 |
定期健康診断受診率 |
99.9% |
100% |
ストレスチェック受検率 |
98.3% |
100% |
|
ハラスメント防止の研修受講率 |
98.0% |
100%維持 |
(注)1.有価証券報告書提出日現在において当初の目標であった7%を上回ったため、10%に上方修正いたしました。
2.新卒採用における2023年度から4年間の平均を目標値としております。そのうちの2年目のため、過去2年の平均の値を記載しております。
3.グローバル平均のデータベースに含まれる企業数は約700社、社員数約700万人(各業界で際立った財務実績を有するグローバル企業上位10%の平均スコア)であり、2024年の実績値は72%であります。
(ⅲ)中期経営計画における戦略目標
中期経営計画「integration 1.0」“組織能力・人的資本の強化”のモニタリング指標として「新たな行動様式を実践する従業員」または「組織横断プロジェクトに従事する従業員」を戦略目標に掲げております。
(注意事項)
上記の「指標及び目標」などの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実数値等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。