人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数9,264名(単体) 16,650名(連結)
-
平均年齢43.7歳(単体)
-
平均勤続年数13.3年(単体)
-
平均年収5,710,981円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
複合ソリューション事業 |
11,905 |
(7,325) |
国内物流事業 |
1,728 |
(1,212) |
国際物流事業 |
2,674 |
(164) |
報告セグメント計 |
16,307 |
(8,701) |
その他 |
32 |
(23) |
全社(共通) |
311 |
(12) |
合計 |
16,650 |
(8,736) |
(注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は年間の平均人員数を()内に外数で記載しております。
2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
(2)提出会社の状況
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|
|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
9,264 |
(4,818) |
43.7 |
13.3 |
5,710,981 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
複合ソリューション事業 |
7,675 |
(4,195) |
国内物流事業 |
966 |
(598) |
国際物流事業 |
312 |
(13) |
報告セグメント計 |
8,953 |
(4,806) |
その他 |
- |
(-) |
全社(共通) |
311 |
(12) |
合計 |
9,264 |
(4,818) |
(注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は年間の平均人員数を()内に外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合には、総合職社員、地域総合職社員、一般職社員を構成員とする鴻池運輸総合職労働組合と、専門職社員を構成員とする支店別の鴻池運輸労働組合とがあり、それぞれが鴻池運輸労働組合連合会に加入し、同連合会がUAゼンセン及び港運同盟に加盟しております。2025年3月31日現在の組合員総数は9,532名であります。また、当社関係会社のうち14社は、各社において労働組合を形成しております。
なお、労使関係につきましては、労働組合の形成状況に係わらず円満に推移しており、特に記載すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)3 |
||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うち非正規雇用 労働者 |
||
4.2 |
70.5 |
48.0 |
74.1 |
52.9 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。前提として、正規雇用労働者、非正規雇用労働者とも、性別による人事制度上の差異はありません。その上で、差異が生じている理由は以下のとおりであります。
①正規雇用労働者、非正規雇用労働者とも、男性のほうが女性よりも平均勤続年数が長いため。
②非正規雇用労働者では、男性は正規雇用労働者と同程度の時間・日数勤務の割合が多いのに対して、女性は短時間・短日数勤務の割合が多いため。
② 連結子会社
当事業年度 |
補足説明 (注)3 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1 |
|||
全労働者 |
うち正規 雇用労働者 |
うち非正規 雇用労働者 |
||||
鴻池メディカル㈱ |
9.0 |
11.1 |
59.4 |
73.4 |
81.7 |
④、⑤ |
九州産交運輸㈱ |
6.5 |
50.0 |
70.5 |
77.8 |
71.7 |
①、④ |
関西陸運㈱ |
- |
0.0 |
52.2 |
74.8 |
69.5 |
④、⑤ |
コウノイケ・エアポートサービス㈱ |
- |
80.0 |
60.7 |
79.5 |
70.0 |
③、④、⑥ |
㈱Kスカイ |
98.1 |
- |
138.6 |
110.8 |
114.2 |
⑦ |
㈱Kグランドサービス |
2.1 |
92.3 |
66.8 |
69.5 |
81.9 |
①、②、 ④、⑤ |
㈱Kグランドエキスパート |
12.5 |
- |
75.4 |
71.8 |
83.5 |
②、③、 ④、⑤ |
日本空港サービス㈱ |
10.3 |
100.0 |
71.3 |
88.0 |
81.4 |
①、②、 ④、⑤ |
空港ターミナルサービス㈱ |
66.6 |
- |
89.9 |
82.6 |
94.3 |
③ |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.労働者の男女の賃金の差異は、前提として、正規雇用労働者、非正規雇用労働者とも、性別による人事制度上の差異はありません。その上で、各社の理由は、以下補足説明欄に記載の番号のとおりであります。
①正規雇用労働者、非正規雇用労働者とも、男性のほうが女性よりも平均勤続年数が長いため。
②正規雇用労働者、非正規雇用労働者とも、男性のほうが女性よりも平均年齢が高いため。
③正規雇用労働者では、男性のほうが女性よりも平均勤続年数が長いため。
④正規雇用労働者では、男性のほうが女性よりも管理職が多いため。
⑤非正規雇用労働者では、男性は正規雇用労働者と同程度の時間・日数勤務の割合が多いのに対して、女性は短時間・短日数勤務の割合が多いため。
⑥正規雇用労働者、非正規雇用労働者とも、男性のほうが女性よりも平均総労働時間・平均深夜労働時間が長く、平均夜勤回数が多いため。
⑦全労働者に対する男性の非正規雇用労働者の割合が、女性よりも多いため。
4.「-」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない、若しくは配偶者が出産した男性労働者がいないため、記載を省略しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社グループは、お客様、地域社会の皆様と共に、140年以上の歴史を歩んでまいりました。2030年、またその先を見据えた際にも、「社会基盤の革新」という創業以来の理念を大切に、ひたむきに取り組むことで、さらに豊かな企業価値を創出し、ステークホルダーの皆様と共有してまいります。そのために、近年ますます重要視されているサステナビリティ・ESG課題に焦点を当て経営としての取り組みを強化し、SDGsの多面的な目標に対して貢献を果たしてまいります。
①ガバナンス
サステナビリティ委員会を取締役会の諮問機関として設置し、取締役会で選任された委員長のもとで、取締役会からの諮問に対する答申の他、サステナビリティに関する個別の課題についての討議を行っております。同委員会の活動内容は翌月に開催する取締役会に報告され、取締役会では報告に対する質疑・指摘がなされます。質疑・指摘は同委員会に共有され、以降の取り組み・活動に反映されます。
また、同委員会傘下の3部会(リスクマネジメント部会・情報セキュリティ部会・環境部会)では年次計画、運用状況などを同委員会に定期的に報告し、各部会には社外有識者を招くなど、公正性・客観性の確保に努めております。
その他、2025年4月から組織体制を見直し、サステナビリティ委員会とは独立した諮問機関として内部統制委員会・人材戦略委員会・技術戦略委員会を新設しました。これにより内部統制・人材・技術の各テーマに関しては各委員会にて個別の討議・検討を行い、取締役会にも定期的に報告することとしております。
■サステナビリティに関わる組織体制図
■各組織の役割
組織 |
メンバー |
主な役割 |
|
取締役会 |
・議長:代表取締役会長兼社長執行役員 ・取締役:5名(社内2名、社外3名) ・監査役:4名(社内2名、社外2名) |
経営全般における重要事項の決議 業務執行の監督 |
|
サステナビリティ 委員会 |
・委員長:コーポレート部門担当兼サステナビリティ担当役員 ・副委員長:経営企画本部、経営品質本部、財務経理本部、営業統括本部、総務本部の各本部長 ・委員:その他各本部長等 |
サステナビリティ分野全般の課題に関する審議・答申 傘下各部会の全体掌理 |
|
|
リスクマネジメント部会 |
・部会長:総務本部本部長 ・メンバー:重要リスク所管部門の部室長(事業系本部を除く)、及び内部監査室長等 ・社外有識者:1名 |
定期的なリスクアセスメントの実施 リスク所管部門の取組状況モニタリング |
|
情報セキュリティ部会 |
・部会長:ICT推進本部本部長 ・メンバー:本社総務部長、人事・勤労部長、法務部長、デジタルトランスフ ォーメーション推進部長等 ・社外有識者:1名 |
情報セキュリティ全般に関する人的・物理的・技術的対策の検討 |
|
環境部会 |
・部会長:経営品質本部本部長 ・メンバー:環境部長、総務部長、各事業本部副本部長又は部長等 ・社外有識者:1名 |
環境関連活動の評価、改善施策の立案・実施 |
内部統制委員会 |
・委員長:代表取締役会長兼社長執行役員 ・副委員長:コーポレート部門担当兼サステナビリティ担当役員 ・委員:専務執行役員、全本部長、全常勤監査役、内部監査室長等 ・社外有識者:2名 |
当社グループの内部統制の構築・運用の推進や内部統制上の課題対応に関する取組の審議・答申 |
|
|
内部統制推進部会 |
・部会長:経営品質本部本部長 ・メンバー:全支店長、全経営品質責任者等 |
内部統制委員会での審議・決議事項及び指示事項の迅速な伝達、実効性の向上 |
人材戦略委員会 |
・委員長:人材開発本部本部長 ・副委員長:事業開発本部部長、営業企画部長 ・委員:人事・勤労部長、人材教育部長等 |
人材に関する戦略及び中長期課題の解消・解決に向けた取組の審議・答申 |
|
技術戦略委員会 |
・委員長:技術革新本部本部長 ・副委員長:ICT推進本部本部長、事業開発本部部長 ・委員:食品本部、食品プロダクツ本部、鉄鋼本部、ロジスティクスシステム部、技術革新部等 |
技術全般の中長期ロードマップとその実現、及び課題解決に関する事項についての審議・答申 |
|
ロジスティクス |
・委員長:ロジスティクス戦略担当役員 ・副委員長:生活産業本部本部長、食品プロダクツ本部本部長、生活産業本部副本部長、委員長補佐(事業開発本部) ・委員:上記を除く各事業本部長、営業統括本部本部長、ICT推進本部本部長、経営企画本部本部長 |
ロジスティクス事業全般の中長期成長戦略、及び中長期課題解消・解決取組に向けた事項についての審議・答申 |
|
人事・報酬委員会 |
・委員長:独立社外取締役 ・委員:3名(代表取締役会長兼社長執行役員1名、社外取締役2名) |
取締役、監査役、執行役員の指名・報酬に関する審議・答申 |
■取締役会での主な検討事項
2025年3月期における取締役会でのサステナビリティ関連テーマの検討状況は下記の通りです。
●サステナビリティ委員会の活動報告 <リスクマネジメント部会> ・リスクマップに基づく優先対策リスク対応状況の確認 ・リスクマップの見直し ・当社版BCP策定(対策本部の初動対応訓練の実施) など <情報セキュリティ部会> ・セキュリティ規程策定 ・CSIRT(情報セキュリティインシデント対応の専門チーム)整備・拡大 ・セキュリティ教育・訓練、サーベイの実施 など <環境部会> ・CO2排出量実績、再エネ切替進捗の報告 ・気候変動関連の情報開示(環境データの第三者検証、Scope3排出量算定、サプライチェーンとの対話)など ●サステナビリティ委員会関連の組織体制・規程の見直し ●重要課題(マテリアリティ)に関する討議 ●ESG外部評価の報告 ●人材戦略に関する討議 ●表彰・事故・トラブル・行政指導に関する報告 ●不正再発防止の取組及び開示 ●取締役会の実効性評価に関する討議 など |
この他、取締役会では「環境」「人」「技術」の非財務目標を含む当社グループ2030年ビジョン、及び中期経営計画2027を策定しており、その進捗状況についてもモニタリングを実施する予定です。
②戦略
当社グループの2030年ビジョンでは「技術で、人が、高みを目指す」を「私たちの目標」に掲げ、その実現に向けて2026年3月期より3か年の中期経営計画を策定しております。その中で中長期的な非財務目標として「環境」「人」「技術」の3項目を以下のとおり設定しております。
環境:カーボンニュートラルの実現を目指し、循環型社会の形成に貢献してまいります。
人 :経営戦略に基づく人材の確保・育成の推進、従業員のウェルビーイング向上を目指します。
技術:技術革新・DXによる自動化・省力化、技術を活用した安全・安心な労働環境づくりに努めてまいります。
また、これら3項目の非財務目標に加え、以下の通り「重要課題(マテリアリティ)」を特定し、経営戦略に組み込んでおります。
■重要課題(マテリアリティ)と主な取組
分類 |
重要課題 |
主な取組 |
人と絆を大切にする |
安全・品質 |
お客様との信頼関係の基盤 ・安定的な生産・流通・サービス提供プロセスを下支えする「安全・品質」の維持・向上 |
人 (人権・ダイバーシティ、人的資本開発) |
「従業員とその家族の幸せ」の追求 ・当社グループ事業の根幹にある「人」に関し、多様な人材の採用・登用、処遇改善・職場環境改善、教育・学習機会の提供 |
|
パートナーシップ・地域との共存 |
140年以上の歴史を支える「絆」 ・お客様や取引先との協働、適正な取引関係を通じた新たな価値創造、持続可能なサービス提供体制の維持・構築 ・地域貢献活動 |
|
社会の基盤を革新し、新たな価値を創造する |
社会課題解決に貢献するサービスの提供 |
グローバルな社会基盤の革新 ・自動化・機械化や他社との協業を通じた取組みによる人手不足の解決への貢献 ・当社グループの技術・ノウハウの活用による海外のインフラ整備・経済成長への貢献 |
技術革新・DX |
「技術で、人が、高みを目指す」の具現化 ・新技術を活用した新規ソリューション・サービスの開発 ・高付加価値物流サービス ・新技術を活用した教育・労働負荷軽減 |
|
事業活動の 基盤 |
気候変動 |
脱炭素・循環型社会への移行・適応 ・省エネ・省資源、新技術導入によるCO2削減業務効率化を通じた排出原単位削減 ・低炭素輸送・モーダルシフトの取組 |
ガバナンス・コンプライアンス |
企業価値向上に資するガバナンス・コンプライアンス体制の整備 ・「公明正大」な企業風土の確立 |
③リスク管理
■リスク・機会の識別・評価・管理の過程
サステナビリティ全般におけるリスク・機会の内容に関しては、上記「重要課題(マテリアリティ)」に集約されると捉えております。例えば「安全・品質」の場合、「安全・品質」の維持・向上を実現することでお客様との取引拡大という機会獲得に繋がる一方、事故・トラブルの頻発により「安全・品質」が損なわれれば、お客様との信頼関係が失われるリスクに繋がります。
このようなリスク・機会を含む重要課題(マテリアリティ)は、下記の過程を経て識別・評価されました。
A) GRI(Global Reporting Initiative)スタンダード・SASBスタンダード等の国際ガイドライン、及び各ESG 評価機関(MSCI・FTSE等)が公表する評価項目を参考に、重要課題の候補となるキーワードをリストアップ
B) 各事業部門より3~4名程度プロジェクトメンバーを募集、ワークショップ形式で自由討議を行い、各部門にとって重要なサステナビリティ要素、リスク・機会の抽出、及び重要度評価を実施
C) B)の内容を踏まえ、サステナビリティ委員会・取締役会で複数回の検討を行い、経営理念・ビジョンとの一貫性を考慮した項目の絞り込み、具体的な指標への落とし込み等を実施し、「②戦略」に記載の「重要課題(マテリアリティ)」を特定しました。
<取締役会・サステナビリティ委員会等での検討実施状況>
・サステナビリティ委員会(2024年2月・11月)
・サステナビリティ委員会付属の正副委員長会議(2024年10月、2025年3月・4月)
・取締役会(2024年5月、2025年1月、及び2025年5月(決議))
また、上記を経て特定された重要課題(マテリアリティ)の管理の過程としては、サステナビリティ委員会及び正副委員長会議にて、定期的に取り組みの進捗を確認し、経営環境の変化に応じた見直し等の審議を行っていく予定です。また、審議の内容は取締役会にも定期的に報告し、取締役会の管理・監督を受けることとしております。
なお、リスクに関しては、サステナビリティ委員会傘下のリスクマネジメント部会が中心となり、リスクアセスメントを実施しリスクの識別を行っております。リスクマネジメント部会で識別されるリスクは、①戦略的意思決定により当社グループの成長及びサステナビリティを巡る課題の解決を図り、将来に向け企業価値を向上させるにあたり、これを阻害する事項 ②法令遵守や経営課題への取り組み不足ほか、既存の事業活動や業務運営の健全な展開を阻害し、現在の企業価値を毀損させる事項 の2点になります。
リスクの評価については、識別したリスクを「発生可能性」と「影響度」で評価を行っております。
評価基準
レベル |
発生可能性 |
影響度 |
4 |
今後半年以内に発生する可能性がある当該リスクが過去に発生しており、再発のリスクが高い |
会社経営に甚大な影響をもたらす |
3 |
今後1年以内に発生する可能性がある |
会社経営に大きな影響をもたらす |
2 |
今後3~5年以内に発生する可能性がある |
会社経営に中程度の影響をもたらす |
1 |
今後10年以上発生する可能性がほとんどない |
影響はほとんどない |
評価されたリスクについては、リスクの内容や評価を基に管理レベルを以下の3つに区分し、リスクマネジメント部会にて、取り組み状況をモニタリングしております。
1.優先対策リスク
リスクの中でも特に経営層も把握しておくべきリスク。
所管部門を定めて各種対策を実施することが求められるリスク。
2.全社リスク
リスクの中でも全社的、且つ影響度・発生可能性が相対的に高いリスク。
継続的に状況をトレースしておくべきリスク。
3.部門リスク
影響度・発生可能性は低く、基本的に日常業務の中で各部門が管理するリスク。
④指標及び目標
サステナビリティに関する目標は、グループ非財務指標として当社の2030年ビジョン、また中期経営計画に織り込まれております。
(2)気候変動
当社グループは気候変動が地球環境や人類、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しており、持続可能で豊かな社会の実現に貢献するためにも、地球温暖化の緩和に向けた活動を積極的に推進しております。当社グループは2022年6月にTCFDへの賛同を表明いたしました。
①ガバナンス
(1)サステナビリティでも記載のとおり、サステナビリティ委員会を取締役会の諮問機関として設置し、取締役会の監督の下、気候変動に係る事項を含むサステナビリティに関する課題についての討議を行っております。 また取締役会では、同委員会の評価結果を踏まえ、当社グループの2030年ビジョンと中期経営計画で掲げる「環境」の非財務目標を策定しており、その進捗状況についてもモニタリングを実施しております。 なお、同委員会傘下の環境部会では、毎四半期、各本部の環境データをもとに本部ごとの環境取り組み状況について情報共有し、気候変動を含むそれぞれの課題に対する具体的な解決策を議論しております。また、同部会には社外有識者1名を招くなど、公正性・客観性の確保に努めております。 |
(1)「サステナビリティに関わる組織体制図」より一部抜粋 |
②戦略
気候変動の顕在化による事業上のリスクや機会を特定するとともに中長期戦略を策定しております。下表は特定したリスクと機会の概要であります。
分類 |
影響 |
時間軸 |
対応方針 |
||
リスク |
移行 |
政策・ 法規制 |
炭素税の導入等に伴う租税負担増による業績悪化の可能性 |
中期 |
自社の契約電力は25年3月期までにすべてCO2フリー電力に切替済み。また、運行効率の向上・低炭素技術の導入により排出原単位の削減努力を継続 |
技術 |
政策変化や法規制の強化に伴い、低炭素に資する新技術導入の必要性が高まり、設備代替・新設コストが嵩む可能性 |
短・ 中期 |
・生産性の向上や自社施設への太陽光パネル設置等での原資創出により、普及フェーズに達した低炭素技術は適時導入を図る ・料金改定による代替コストの一部収受 |
||
物理的 |
急性 |
台風・河川氾濫等の気候変動に起因する災害が増加し、自社拠点が被害を受け、事業継続が危ぶまれる可能性 |
長期 |
BCPの高度化(災害対応工事、移転、停電・断水対策等)を図る |
|
慢性 |
気温上昇に伴う労働環境の暑熱化による生産性悪化、及び採用困難化の可能性 |
長期 |
暑熱環境下でも労働負荷を軽減する施策(冷風機・ネッククーラー等)を講じ、労働衛生を維持すると同時に、技術導入・DX化による省人化も推進 |
||
機会 |
資源効率 |
CO2排出削減等の環境対応強化による顧客への訴求力獲得を通じた取引機会拡大の可能性(逆に、うまく対応できなければ取引機会を失う可能性) |
短・ 中期 |
運行効率の向上、製造・サービス提供プロセスの生産性向上や、モーダルシフト・共配の推進等 |
|
新市場 |
CO2排出削減への取組が進む社会において市場の拡大が予想される事業領域・分野への進出の可能性 |
短・ 中期 |
業界ごとに成長分野を見極め、機会の獲得に向けた情報収集や経営資源の拡充を図る |
(注)時間軸の考え方 短期:1年、中期:3年、長期:4年以上
上記で洗い出したリスク・機会項目の内「炭素税影響」について、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook2021を参照し自社に与える影響額を試算しました。ただし、本分析は現時点で可能な取組として試算を行ったもので、あくまで大まかなイメージを示したに過ぎない点にご留意ください。
検討ケース |
2030年 |
2050年 |
影響額 |
影響額 |
|
非対応(BAUケース) |
▲36~42億円 |
▲50~92億円 |
会社目標達成ケース |
▲23~27億円 |
影響なし |
(注)上記は下記前提に基づき各年の想定CO2排出量と備考2の炭素価格を単純に掛け合わせて算出した数値。
(備考1)各ケースの説明
検討ケース |
内容 |
非対応(BAU)ケース |
概ね24/3期実績の排出原単位のまま2030年・2050年を迎えたケース |
会社目標達成ケース |
会社目標(2030年:35%削減(2018年度比)、2050年カーボンニュートラル)が実現できたケース |
(備考2)炭素価格の前提
(単位:円/t-CO2)
前提 |
2030年 |
2040年 |
2050年 |
STEPS※1 |
18,203 |
19,568 |
20,478 |
NZE※2 |
21,237 |
31,096 |
37,923 |
※1 Stated Policies Scenario。WEO2023で設定されている、既に世界で公表・実施されている政策イニシアティブなど、各国政府の現在の計画を組み込んだシナリオ
※2 Net Zero Emissions by 2050 Scenario。WEO2023で設定されている産業革命前からの温度上昇を1.5℃以内に抑えるシナリオ
(注)炭素価格は、STEPSはEUの値を、NZEは「ネットゼロ目標を持つ先進国」の値を1USD=151.69円で換算
(備考3)2030年・2050年の業績・CO2排出量の前提
・2024年3月期の当社グループ各事業におけるCO2排出量・CO2排出原単位に基づき、将来の事業計画(2030年ビジョン)が実現された場合の2030年度CO2排出量を算出した。またその時点から2050年まで日本国全体の成長率(CAGR1%)並みで当社グループが成長すると仮定した場合の2050年時点の売上高を算出した。
・2030年・2050年のCO2排出量は備考1の各ケースの前提に従い算出。
③リスク管理
全社にわたるリスク情報は、気候関連リスクは「環境部会」で、その他のリスクは、各部会からの情報を集約する形で「リスクマネジメント部会」(部会長:全社のリスクマネジメント担当)で把握・管理しております。 気候関連リスク・機会の識別・評価については、まず事務局部門(環境、経営企画、総務、財務経理等)にて、当社グループにとって関連の深い機会項目の洗出し、及び機会発現の時間軸、影響度・発生確率の評価を実施したのちに、「環境部会」傘下の「環境小部会」を通じ、各事業部門で考えられる機会項目の抽出、及び時間軸、影響度・発生確率の評価を実施しております。これらを事務局部門にて集約し、グルーピング・整理作業を経て(2)気候変動の②戦略の3行目以降に記載した一覧表に取りまとめました。 気候関連リスク・機会の管理については、環境部会傘下の「環境小部会」にて、リスクへの対応や機会獲得に関わる各本部取組の進捗について定期的に報告されております。それに応じ、リスクや機会項目の洗替え・更新などを継続的に実施しております。同内容は環境部会に報告後、リスクマネジメント部会にも報告しております。 |
|
|
④指標及び目標
CO2排出量削減目標
時期 |
目標 |
対象 |
範囲 |
2025年3月期 |
20%削減(2019年3月期比) |
国内連結 |
Scope1・2 |
2028年3月期 |
28%削減(2019年3月期比) |
||
2031年3月期 |
35%削減(2019年3月期比) |
||
2050年 |
カーボンニュートラルを目指す |
Scope1、Scope2の排出量
(単位:t-CO2e)
範囲 |
2025年3月期の排出量実績 |
目標に対する達成度 |
Scope1 |
101,978t-CO2e |
2019年3月期比35.2%削減 |
Scope2 |
23,915t-CO2e |
(注)1.GHGプロトコルに基づき算定
2.Scope2はマーケット基準
3.排出量実績は第三者検証未了の速報値
カーボンニュートラル実現に向け、まずは2025年3月期末までに、自社契約電力はCO2フリーの電力への切り替えが完了しました。加えて、燃費改善などの省エネ活動の推進や定期的な車両の代替、加えて一部拠点においてはバイオディーゼル燃料やEVトラックの導入の導入も開始し、2025年3月期の2019年3月期比20%削減の目標は達成いたしました。この達成には、一部子会社の操業状況低下の影響も加わり、この要素を除くと24.7%の削減となります。
今後はグループ全体での業務の拡大や、上述の子会社の操業も回復する見込みのため、さらなる取り組みとして業務連絡車のEV代替・太陽光パネル設置、各種省エネ施策等CO2排出量削減に資する取り組みも行ってまいります。
(3)人的資本
当社グループの経営課題と経営戦略においては「人」に関するテーマが大きなウエイトを占めております。それは、当社グループの強みの源泉である「人」の成長こそが、持続的な企業価値向上につながることを表しております。2030年ビジョンでは、教育・訓練など人への投資を通じて、そのパフォーマンスを最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげていこうとする「人的資本経営」に取り組んでまいります。最先端技術の導入、デジタル化、働き方の変化や価値観の多様化など、これまでの常識を超えたイノベーションを起こすために、高い専門性や多様な視点で新たな発想を生み出せる人材を確保、育成するために人への投資を強化してまいります。こうした取組みは「従業員とその家族の幸せ」の追求という、当社グループにとって最も重要な課題に資するものであることが前提となります。従業員の一人ひとりがウェルビーイングを向上させることで、持続的に企業価値を押し上げてまいります。
①戦略
人材育成については、経営戦略を支える上で最も注力すべき経営課題の一つであると考えております。専門職に対してはすべての職場において不可欠となる「安全と品質」をベースとしたプロフェッショナルな知識・技術の習得のための様々な教育充実を図ってまいります。総合職に対しては「当社グループの永続的発展に積極的に貢献し、広い視野と良識、強い責任感をもった社員を育成する」、「業務遂行に必要な知識・技能を習得させ、優れた創造力と合理的判断力、実行力、指導力を有する社員を育成する」、「経営人材要件にかなう人材プールによるタレントマネジメントを行う」という方針に沿って次世代経営人材の育成を促進しております。
また、社内環境整備については、多様な従業員が活躍できる風土醸成を目指し、海外人材の採用や、女性活躍の推進、障がい者の雇用等、様々な取り組みを進めております。特に近年は総合職社員のキャリア採用を強化し、その結果2025年3月期では通期で44名を採用し、新卒採用(同年実績47名)とは異なるキャリアやバックグラウンドを持った人材が活躍しております。今後も新しい発想や知見・技術を取り入れ、新たな企業文化の醸成と革新的なビジネスモデルの創造を目指し、企業価値向上を目指してまいります。
②指標及び目標
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容、並びに当該指標を用いた実績及び目標は以下のとおりであります。
開示事項 |
対象 |
25年3月期 (実績) |
26年3月期 (予想) |
28年3月期 (計画) |
研修費用 |
全労働者計 |
6.6億円 |
6.8億円 |
7.1億円 |
研修時間 |
全労働者計 |
20.2時間/人 |
20.3時間/人 |
20.5時間/人 |
サーベイ結果 良好度(偏差値) 注意度(偏差値) モラール(0~7の平均値) プレゼンティーイズム損失割合 |
専門職(管理監督者) 総合職 |
良好度 49 注意度 48 モラール 4.31 損失割合14.8% |
良好度 50 注意度 47 モラール 4.40 - |
良好度 53 注意度 44 モラール 4.75 - |
3年以内離職率 |
正規雇用労働者計 |
20.2% |
18.2% |
14.7% |
障がい者雇用率 |
全労働者計 |
2.60% |
2.51% |
2.75% |
(注)1.当社グループでは、当社及びグループ各社の事業特性等に応じてそれぞれ独自に具体的な取り組みを進めているため、指標及び目標については連結会社での記載が困難であります。このため、上記指標の数値はすべて提出会社を対象に算出したものであります。
2.サーベイ結果につきましては、2024年2月にパーソル総合研究所によるウェルビーイングサーベイを実施した結果であります。
(1)良好度及び注意度は、パーソル社の全国平均に対する当社スコアの偏差値であります。
・良好度:社員のはたらく幸せ実感(高偏差値ほど良好)
・注意度:社員のはたらく不幸せ実感(低偏差値ほど良好)
(2)モラールは、組織の状態(集団の士気)を7段階評価で測定した当社の平均値であります。
(3)プレゼンティーイズム損失率は東大1項目版を使用し、算出しております。
3.障がい者雇用率は、障害者雇用促進法第43条第7項に基づき、当該年度の6月1日時点の障がい者雇用人数を報告することが義務付けられていることから、同時点の人数より算出した数値となります。
③人権への取り組み
近年の人権対応は、一企業内にとどまることなく海外を含めたサプライチェーン全体にわたるものとされ、その領域は大きく広がっています。KONOIKEグループでも対応を進めるべく、2023年4月に「KONOIKEグループ人権方針」を策定し、新たな視点で人権に対する取り組みを開始しました。
人権デュー・ディリジェンスについては、外部機関の協力を得ながら外国人労働者を対象とした多言語対応相談窓口を2024年11月に設置いたしました。今後は、サーベイや面談を実施し、人権の侵害を早期に摘み取る活動に取り組みます。また引き続きサプライチェーン全体における社内教育・研修を充実させ、人権侵害のリスクの軽減を図ってまいります。
④健康経営の推進
当社は2023年2月に「健康経営宣言」を発表し、組織的な健康保持・増進活動の展開と健康づくりのための様々な施策を推進、従業員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと輝くことで、幸せを実現できるよう健康経営に積極的に取り組んでいくことを宣言しております。
2025年3月には、経済産業省及び日本健康会議主催の「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に昨年度に引き続き認定されました。今後も、従業員の心身の健康の保持・増進によるパフォーマンス向上と、ワークライフバランス推進施策による人材の安定的な確保と定着率の向上に取り組んでまいります。