リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況・経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、下記における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 市況変動の影響について
① 飼料原料及び鶏肉の市況変動
当社グループは、鶏肉を主力製品として製造、販売しております。鶏肉は、特にもも肉を中心に市況変動が大きく、クリスマス向け商品や鍋物等冬場の需要増加による価格上昇に見られる固有の季節要因が存在しております。また、当社グループの主要製造コストである飼料原料価格は、穀物相場、為替、海上運賃、原料産地の地政学的リスク等により大きく変動します。この価格変動に対して、国からの拠出金と飼料業界・生産者の積み立てにより運営される飼料安定基金制度があり、価格の高騰時には、この基金からの補填により生産段階の負担増が大きく軽減される仕組みとなっています。しかしながら、飼料価格の高騰が長期化する場合には、飼料コストの上昇は避けられず、売上原価に影響を及ぼすおそれがあります。なお、当社が輸入する飼料原料市況と鶏肉市況の間には、これまで一定の連動性は認められるものの、タイムラグを伴っており、これらの動向によっては当社の業績にも影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、相場変動の影響を受けにくい加工品の取扱拡大や差別化商品の販売強化、生産効率を向上させることにより製造原価の低減を図り、市況変動の影響を軽減するよう努めております。
② 為替変動
当社の飼料原料輸入取引にかかる決済方法については、為替変動リスクが存在しております。当社では、為替予約やデリバティブ取引等によって為替変動の影響を軽減するよう努めておりますが、予期せぬ大幅な為替変動による不測の事態が生じた際には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 自然災害について
当社グループの事業拠点及び取引先のある地域において、天災や悪天候、火災、テロ、ストライキ、戦争等が発生した場合、また疾病や伝染病の発生・蔓延等により、原材料・商品の仕入や工場稼働、受発注、商品配送等の事業継続に支障をきたすことが予想されます。
(3) 鳥インフルエンザ等家畜伝染病の発生リスクについて
当社では、万全の防疫体制を構築しておりますが、当社グループの事業拠点及びその周辺地域において、鳥インフルエンザ等の家畜伝染病が発生した場合、肥育施設や工場の稼働、事業継続に支障をきたすことが予想されます。
(4) 主要な販売先について
当社グループの総販売実績に対し、内部売上を除く主な販売先は「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績 c.販売実績」に記載のとおりであります。当社グループでは、主要な販売先への依存割合が高くなり過ぎないよう、新規取引先開拓も含め、幅広く営業活動を行うとともに、販売数量を拡大することにより当社の業績への影響を最小限に抑える努力をしておりますが、特にフードリンク株式会社と株式会社ニチレイフレッシュに対する販売が全体の売上高の約40%を占めていることから、両社の経営戦略が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 種鶏の調達について
海外の育種会社で改良された種鶏を採用しており、大手総合商社系販売会社を通じ調達をおこなっております。海外の育種会社が所在する国において鳥インフルエンザ等の疫病発生等により、種鶏の確保が困難となる等不測の事態が生じた場合は、鶏肉の製造に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 競合について
① 輸入品等との競合
輸入鶏肉に代表される冷凍鶏肉と当社の冷蔵鶏肉を比較すると、冷凍することによりその細胞膜が破壊され、解凍する際にドリップとして肉汁が逃げ出しやすいため、肉質が硬くなり旨みがなくなると同時に鮮度も悪くなりますが、鮮度の良い冷蔵鶏肉は、細胞膜内に肉汁を保ち、柔らかさや旨みを保つことができる特徴があります。
当社の冷蔵鶏肉は、製造工程及び輸送中の品温管理の徹底により、品質面の優位性はあると判断されますが、景気動向に伴い、品質面にこだわらず、価格面からのみ鶏肉を購入する価格重視の消費動向によっては、当社製品の販売動向に影響を受ける可能性があります。
② 国産品との競合
国内において多くの鶏肉生産業者が存在しております。当社は卸売業者や小売業者と連携強化を図ることに加え、広告宣伝等も含めた営業力を強化し、抗生物質・抗菌製剤を投与せずに飼育したブロイラー(特別飼育鶏)による当社製品の販売拡大に努めておりますが、品質面及び価格面における競争上の優位性が確保されない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、他の食品メーカーとの競合に関しましては、当社が鶏肉生産メーカーである利点(食品加工工場を鶏肉加工工場に隣接させ当日処理した新鮮な鶏肉の原材料を使用したチルド商品製品等)を生かし商品開発をおこなっておりますが、それによって価格面での差別化が図れるとは限りません。
(7) 食品の安全性の確保及び関係法令ついて
当社は、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律に基づく「食鳥処理業」として、鶏肉及びその関連製品の製造、販売をおこなっております。食鳥処理業は食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律をはじめとして、衛生上、食品衛生法等各種法令により規制を受けております。また、当社連結子会社である株式会社アクシーズフーズは食品衛生法に基づく「飲食業」として飲食店の経営をおこなっております。
主な関係法令は次のとおりであります。
※ アレルギー表示は食品衛生法
※ ポジティブリストは食品衛生法
また、当社の社内の検査体制は、「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」に定める食鳥処理衛生管理者により、食鳥加工時に、疾病及び放血、脱毛、中抜き工程(内臓等の摘出)における不良品の摘出をおこなっております。さらに、同法に基づき、日々搬入される生鳥に対し、県又は政令指定都市の検査機関から肥育施設毎に生鳥検査及び内臓・鶏肉等の検査を受けておりますが、当社においても自主的に社内検査を実施しております。
食品産業にとって製造過程における安全の確保は社会的責務と認識しております。当社は、飼育過程においては、抗生物質や合成抗菌剤を与えないため、肥育施設や鶏肉加工工場の安全管理を徹底しております。
さらに流通過程においても品温管理等安全管理を徹底しておりますが、万が一、鳥インフルエンザ等の疫病又は食中毒等不測の事態が生じた際には、企業の信用や業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、安定的な経営基盤の確保に努めるための積極的な設備投資と会社の競争力の維持強化を行うとともに、株主に対する利益還元を経営の最重要政策として位置付けており、業績に裏付けされた成果の配分を行うことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本方針としており、この剰余金の配当の決定機関は、株主総会であります。
上記方針に基づき、2024年6月期の期末配当につきましては、1株当たり98円50銭の配当を実施することを決定いたしました。この結果、当連結会計年度は配当性向44.6%、自己資本利益率6.1%となりました。
内部留保資金につきましては、今後予想される業界他社との競争激化に対処し、今まで以上に生産基盤の強化を行うための生産設備への投資やお客様からのより一層の信頼を得るための環境保全並びに製品品質向上への投資を行いたいと考えております。
当社は、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。