2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,400 100.0 63 100.0 2.6

事業内容

3【事業の内容】

 当社は「これからを生きる人の夢を増やす」というパーパスのもと、ますます深刻化する若手人材不足という日本社会の社会課題解決に貢献すべく、高校生に特化した新卒採用支援事業、高卒社会人の教育・転職支援サービス事業及びDX人材の育成・研修サービス等教育事業を展開しております。当社は、新卒採用領域の中でも、高校生に焦点をあて、就職活動の支援やイベントの企画を行ってまいりました。

 

 高校生の就職活動は、ほとんどが学校斡旋によるものです。学校斡旋とは、高校に届いた求人の内、教員が提案する就職先から、高校生が一社に絞り、高校の推薦を受けて就職試験を受ける、というものです。高校生の就職活動に関するルールや取り決めは、厚生労働省人材開発統括官実施の検討会である「高等学校就職問題検討会議」において原案が作られ、高等学校就職問題検討会議から各都道府県の教育委員会教育長及び知事、主要経済団体宛に、例年2月に通知がなされます。(例:「令和8年3月新規中学校・高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等並びに文書募集開始時期等について(通知)」(※1))その通知原案に従い、厚生労働省の地方支分局である労働局(各都道府県ごとに設置)が主催する都道府県高等学校就職問題検討会議で審議検討され、各地の申し合わせ事項として発効するという流れになっています。都道府県高等学校就職問題検討会議の開催を行った結果、高校生の就職活動に関するルールや取り決めは、厚生労働省各都道府県労働局により採用活動ガイドライン(※2)として公布され、記載されている内容を遵守する形で就職活動が進行します。このガイドラインにおいては、選考日の規制・家庭訪問の禁止・学校訪問の規制・文書募集の規制・求人要項に係る留意点などが記載されております。

 

 ※1 厚生労働省 高等学校就職問題検討会議資料ホームページ

 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokunou_515151.html

 ※2 厚生労働省各都道府県労働局が毎年発布する採用活動ガイドラインの一例

  ・東京労働局ホームページ

  https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_shoukai/_121483.html

  ・大阪労働局ホームページ

  https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/mokuteki_naiyou/jigyounushi/_120096.html

 

 結果的に、高校生の就職活動は、「一社ずつ応募する」、「7月から9月の短期間で応募志望先を選定する」、「応募に際して校内選考を受ける」など、大学生の就職活動とは大きく違う点が存在します。また文字情報のみの「求人票」が主な情報源となるため、具体的な仕事や企業のイメージが湧きづらい中で、職場見学先やその先の応募先を決めていく必要があります。

 限られた情報、期間、機会で就職活動をしなければならない高卒人材の課題となっているのが、入社後のミスマッチによる早期離職です。2019年から2021年の3年間に就職した高卒人材の実績では、入社後3年以内離職率及び入社後1年内離職率は、以下のとおり高水準で推移しております。

 

2019年卒業

2020年卒業

2021年卒業

3年以内離職率

35.9%

37.0%

38.4%

1年以内離職率

16.3%

15.1%

16.7%

(厚生労働省:令和6年10月発表「学歴別就職後3年以内離職率の推移」より)

 

 これらの課題を解決すべく、当社は高校生及び高卒社会人に特化した就職・キャリア支援を行っています。

 

1 事業の概要

 当社は、高卒人材採用支援事業の単一セグメントのため、セグメント情報は記載せず、採用領域として「採用支援サービス」、「企画制作サービス」、「代行支援サービス」、教育領域として「教育研修サービス」の区分を設け、主要提供サービスについて記載しております。

セグメント

区分

主要サービス

高卒人材採用支援事業

採用領域

採用支援サービス

企画制作サービス

代行支援サービス

教育領域

教育研修サービス

その他

その他

 

 

(1)採用支援サービス

 採用支援サービスは、企業の高校新卒採用をサポートするサービスです。

 

①高校生の就職を支援する就職求人サイト 「ジョブドラフトNavi」(2015年8月提供開始)

 「ジョブドラフトNavi」は、文字情報のみである「求人票」に記載されている情報だけでなく、高校生が知りたい会社の雰囲気や1日の仕事の流れ、先輩社員インタビューなどを写真や動画を用いて紹介する、高校生向け求人情報メディアです。高校生は、スマートフォンやパソコンなどからいつでも情報にアクセスでき、求人企業の特徴や職種、就業地域など自分が大切にしたい軸で、全国の求人情報を調べることが可能です。また、簡単な質問に答えるだけでできる適職診断を使って自分に向いている職業を見つけることも可能です。掲載社数は2,056社(2025年3月末現在での実掲載数)となっております。

 

 一方で企業にとっては、従来の高校訪問や求人票発送とした採用活動に加え、「ジョブドラフトNavi」上で高校生に直接自社求人の魅力をアピールすることが可能となります。また、「ジョブドラフトNavi」の掲載企業の内、サポートプランでの掲載企業においては、当社のカスタマーサポート部門による顧客フォローアップを行い、採用アクションの進捗確認を目的とした定期ミーティングの開催や、時期別アクションや高校・高校生への対応方法などの高校新卒採用ノウハウの提供、高校別の就職関連情報の提供、企業求人票の添削アドバイス、高校教員を招いたカンファレンスセミナーの開催等を通じて、高校新卒採用の可能性を高めるためのサービス提供を行っています。当社は、掲載企業から掲載料を受領しサイト運営を行っております。

 

 また、2023年6月から、「ジョブドラフトNavi」と連携して利用可能なシステムとして、「ジョブドラフトTeacher」を学校向けに提供しております。「ジョブドラフトTeacher」は、高校に届く紙の求人票をデジタル化するシステムです。「ジョブドラフトTeacher」上で高校教員のアカウントと生徒の個人アカウントを紐づけ、高校に届く紙ベースの求人票をスキャンしデジタル保存することで、高校教員はマイページから、生徒は「ジョブドラフトNavi」から、高校に届いた求人情報を閲覧・検索することが可能です。高校教員にとっては進路指導の作業の減少に繋がるだけでなく、生徒にいち早く会社の求人情報を見せることができます。一方、生徒にとっては自身の興味関心をもとに企業の検索が可能になり、いつでもどこでも情報収集ができるため、保護者への相談もスムーズになります。これは、企業にとって自社の求人を高校教員や生徒の目に触れてもらう機会を増やすことに繋がります。当社にとっては、高校網を更に拡大するための大きなツールとなります。

 加えて、2024年9月より、中小企業向けに、採用、定着、評価、教育の人事機能を担う「人事部パック」のサービスを開始し、顧客への提供が順調に進んでおります。

 

②高校生のための職業体験・就職イベント運営 「おしごとフェア/ジョブドラフトFes/先生Fes」

 高校生の職業体験イベント「おしごとフェア」や、就職活動直結の合同企業説明会「ジョブドラフトFes」、高校教員のための職業体験イベント「先生Fes」を運営しています。

 

 企業が従来採用活動として行っている1校1校に対する訪問や求人票発送は、リソース負担も大きく、リソースを確保できない企業にとって不利な状況が生まれます。「おしごとフェア」や「ジョブドラフトFes」「先生Fes」に参画することで、企業の規模に関係なく、一回のイベントで多くの高校生・高校教員に対して自社求人の魅力を直接アピールすることが可能となります。当社は、出展企業から参画料を受領しイベント運営を行っております。

 

サービス名

イベントの概要

おしごとフェア

(2022年6月提供開始)

求人情報解禁前の5月・6月に開催する、高校生のための大規模職業体験イベントです。企業ブースでの仕事体験を通じた仕事理解・社会理解の促進、7月からの就職活動へのモチベーションの向上を行います。また、高校生は高校教員の引率での参加になるため、企業にとっては高校教員との関係性構築が可能です。

 

2024年5月及び6月には、宮城・栃木・東京・埼玉・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫・広島・福岡・熊本の各都府県の延べ12会場にて開催しております。高校生3,167名(前年2,796名)を集め、全国の製造業・建設業・飲食業・介護業などの中小企業を中心に、389社(前年384社)の企業が参画しております。

 

 

サービス名

イベントの概要

ジョブドラフトFes

(2019年7月提供開始)

求人情報解禁後の7月・10月に開催する、高校生と企業が直接交流できる高校生向け合同企業説明会です。求人票だけでは得られない会社の雰囲気や働く人や情報を知ることができ、業界・企業理解や就職活動へのモチベーションの向上、就職希望先の企業の発見、進路指導教員の負担軽減、そして何より就職活動における高校生の自己選択意識の醸成のサポートを行います。

 

2024年7月は、宮城・新潟・東京・千葉・埼玉・神奈川・愛知・大阪・岡山・広島・福岡・熊本の各都府県の延べ15会場(前年12会場)にて開催しております。高校生3,229名(前年2,734名)を集め、全国の製造業・建設業・飲食業・介護業などの中小企業を中心に、571社(前年491社)の企業が参画しております。また、2024年10月は、宮城・東京・愛知・大阪・広島・福岡の各都道府県6会場にて開催しております。高校生延べ937名(前年568名)を集め、各地域の建設業・製造業・飲食業・介護業の中小企業を中心に、196社(前年160社)の企業が参画しております。

先生Fes

(2022年8月提供開始)

2月に開催する、高校教員と企業が直接交流できる職業体験イベントです。高校生に対する進路指導の精度向上のため、進路指導を行う高校教員が、実際の仕事体験を通じて職業理解を深めて頂くイベントです。

 

2025年2月は、宮城・新潟・東京・栃木・千葉・埼玉・神奈川・静岡・愛知・岐阜・京都・大阪・兵庫・奈良・岡山・広島・島根・福岡・熊本・長崎の各都府県の延べ22会場(前年16会場)で開催いたしました。

 

③入社後のミスマッチ防止をサポートする 「ジョブドラフトSurvey」

 「ジョブドラフトSurvey」は、受検者の特性を明らかにする適性検査アプリと、面接を体系的に進めるためのマニュアルを企業向けに提供しています。適性検査では、性格特性と仕事における優先軸を見える化することで、個々の企業の採用人物像に沿った人材の見極めを可能にします。また、面接マニュアルを提供することで、面接官によってバラバラになりがちな面接内容を体系化し、より適切な人材見極めを可能にします。当社は、掲載企業から利用料を受領し、システム提供を行っております。

 

(2)企画制作サービス

 企画制作サービスは、企業の高校新卒採用における求人ナビ原稿作成、DTP制作(採用パンフレット制作・イベントブース装飾制作)、Web制作(企業紹介動画制作・採用ホームページ制作)を行い、「ジョブドラフトNavi」掲載企業の魅力に関する訴求力を強化することで、企業の採用活動をサポートするサービスです。当社はサービス導入希望の企業から制作費を受領し、当社パートナーとともに役務提供を行っております。

 

①パンフレット制作

 「ジョブドラフトNavi」の掲載内容を基に、高校新卒採用専門のパンフレットの制作を行っております。求人票発送に同封する、高校訪問時の説明資料として活用することで、自社求人の魅力をよりわかりやすくアピールすることが可能になります。

 

②企業紹介動画制作

 アニメーションを主とした動画の制作を行っております。求人票や「ジョブドラフトNavi」だけでは伝わらない自社求人の魅力を動画にまとめ、自社のホームページやSNSにアップロードすること、及び高校訪問時に高校教員に視聴してもらうことで、自社求人の魅力をよりわかりやすくアピールすることが可能になります。

 

③その他

 企業の魅力に関する訴求力を強化する側面から、「ジョブドラフトNavi」原稿作成のための取材、企業採用ホームページの制作、「ジョブドラフトFes」用ブースの装飾セットの制作を行っております。

 

(3)代行支援サービス

 企業は従来、進路指導を担当する高校教員から自社求人を高校生に紹介してもらうために、高校を訪問して進路指導を担当する高校教員に自社求人の紹介をしたり、自社求人の求人票を高校へ発送したりすることが、高卒新卒採用活動の慣例となっています。

 代行支援サービスは、企業の高校新卒採用における活動の代行を行い、「ジョブドラフトNavi」掲載企業の採用活動の効率化・企業負担の軽減をサポートするサービスです。当社はサービス導入希望の企業から委託費を受領し、当社パートナーとともに役務提供を行っております。

 

①高校訪問代行サービス

 前述のとおり、企業が従来採用活動として行っている1校1校に対する訪問や求人票発送は、採用活動のためのリソース負担も大きく、リソースを確保できない企業にとって不利な状況が生まれます。その差を解消するため、

 企業人事担当者に代わって、訪問高校リストの作成から実際の高校訪問までを代行し、企業の魅力アピールを行っております。企業内に採用活動のためのリソースがなくとも、より多くの高校に直接自社求人をアピールし高校教員との関係を持つことが可能になります。

 

②求人票発送代行サービス

 企業人事担当者に代わって、発送高校リストの作成から実際の高校への求人票発送を代行しております。企業内にリソースがなくとも、より多くの高校に求人票を発送し自社求人をアピールすることが可能になります。

 

③その他

 採用活動の効率化・企業負担の軽減の側面から、応募受付窓口代行サービス、「ジョブドラフトFes」用ブースの当日運営代行サービス、採用活動としてのTikTok運用代行サービス、人事部パックサービスを行っております。

 

(4)教育研修サービス

 教育研修サービスは、高校生及び高卒社会人に向けた教育研修プログラムの提供サービスです。当社はサービス導入希望の企業又は一部の高校から委託費を受領し、役務提供を行っております。

 

①高校向けキャリア教育支援 「ジョブドラフトCareer」(2022年4月提供開始)

 「ジョブドラフトCareer」は高校1年~3年生向けに、自己肯定感の醸成、自己理解・社会理解・仕事理解を育むキャリア教育コンテンツです。進学や就職だけに捉われず、将来を見据えた目的意識を持った進路選択を実現してもらうために、将来や自分の興味関心を自ら主体的に考え気付く「きっかけ」を創り出します。高校から委託を受けて、体系的なキャリア教育の提供や個別相談等の就職サポート等、総合的に支援しております。原則、年間5コマ(講師1名)かつ「おしごとフェア」「ジョブドラフトFes」等に高校教員引率で卒業学年度生が参加する場合は無料で提供しています。当社にとっては、高校網を更に拡大するための大きなツールとなっています。

 

②企業向け新人育成定着支援研修 「ROOKIE’S CLUB」(2019年4月提供開始)

 「ルーキーズクラブ」は、高校新卒に特化した、企業向け新人育成研修+定着支援プログラムです。高校新卒が陥りやすい躓きポイントを押さえたアウトプット中心型の研修を1年間行うとともに、チームに1名のファシリテーターが付き研修期間中サポートを行います。

 企業は、ファシリテーターが吸い上げた受講者の現在のメンタル状況や強み・弱みに関する当社発行レポートを通じて、離職率の高い1年目において人事担当者の感覚に頼らない状況把握が可能となります。

 

③社会人向けデジタルマーケティング人材育成研修 「DMU」(2022年1月提供開始)

 「DMU」(Digital Marketing Unit)は、オンライン完結型の「デジタルマーケティング研修プログラム」です。当プログラムは、マーケティングに関する専門スキルを身に着けたいと考える方が未経験からでも学ぶことができるプログラムです。

 

(5)その他

①高卒第二新卒(※)の就転職を支援する 「ジョブドラフトNext」「ジョブドラフトSchool」

 (ジョブドラフトNext:2022年10月提供開始 ジョブドラフトSchool:2023年9月提供開始)

 当社は2022年10月から、高卒第二新卒・既卒生の就職・転職を支援する「ジョブドラフトNext」サービスの提供を開始しました。「ジョブドラフトNext」は、高卒新卒として就職したものの早期離職をしてしまい、その後の再就職で悩んでいる高卒第二新卒者や、進路を決めず高校を卒業しその後に就職で悩んでいる既卒者を対象に、希望者には社会人としてのマインドや社会人基礎力、前述のDMU講座などの専門スキルの講座を「ジョブドラフトSchool」として提供しつつ、高卒第二新卒の就職や転職を支援しています。なお、当社は人材紹介に関する成功報酬を受領しています。若手人材不足に悩む企業においては、高校新卒や大学新卒以外の1つの採用ルートとなり、若手人材不足の解消を実現することが可能になります。

 ※ 高卒第二新卒とは、18~25歳程度までを対象とした高卒社会人全般を指します。

 

2 事業の特徴

(1)高卒就職というニッチ市場へ特化したポジショニング

 当社は、高卒就職というニッチ市場に特化し、高校生及び企業に対して効率的な就職活動及び採用活動の仕組みを提供しています。

 

 これまでの企業に対する採用コンサルティングにより、高校生に選ばれる会社作りの支援、「ジョブドラフトNavi」への掲載や「おしごとフェア」「ジョブドラフトFes」等への参画等これまで企業が行うことができなかった「高校生へ直接知らせる」採用活動の実現、高校との接点支援により高校教員を通して知らせる採用活動の支援を行い、ミスマッチの軽減に取り組んでまいりました。独自に構築した高校データベースを基に、学校ごとの特色や、生徒・高校教員にどのようにアプローチをするか、いつ何をすべきかサポートしています。具体的には、「ジョブドラフトNavi」の掲載企業の内サポートプランでの掲載企業においては、カスタマーサポート部門による顧客フォローアップを行い、採用アクションの進捗確認を目的とした定期ミーティングの開催や、時期別アクションや高校・高校生の対応方法などの高校新卒採用ノウハウの提供、高校別の就職関連情報の提供、企業求人票の添削アドバイス、高校教員を招いたカンファレンスセミナー等の開催等を通じて、高校新卒採用の可能性を高めるためのサービス提供を行っています。また、採用支援サービスだけでなく、企画制作サービスや代行支援サービス、教育研修サービスを拡充することで、一気通貫で企業の悩みに応えるサービス体系を用意しています。

 

(2)全国の高校との強いネットワーク

 高卒就職市場と大卒就職市場の決定的な違いは、学校の存在です。高校生の就職活動には高校が必ず関与します。そのため、採用検討企業が就職希望高校生へ自社の魅力を訴求するには高校との共同歩調は必須であります。高校との関係性構築を当社ビジネスの付加価値の源泉と位置づけ、当社は、2025年3月期には2,214校の高校に訪問をしております。

 

 求人情報メディア「ジョブドラフトNavi」を通じて高校生の就職に関する情報不足を解消するとともに、高校に出向き「ジョブドラフトCareer」キャリア教育コンテンツの提供や、職業体験イベント・合同企業説明会など、仕事や企業を知るイベントを企画し、高校生の就労観の育成、就職活動の理解を深めています。

 

 また、2023年6月から、「ジョブドラフトNavi」と連携して利用可能なシステムとして、「ジョブドラフトTeacher」を学校向けに提供しております。「ジョブドラフトTeacher」は、高校に届く紙の求人票をデジタル化するシステムです。「ジョブドラフトTeacher」上で高校教員のアカウントと生徒の個人アカウントを紐づけ、高校に届く紙ベースの求人票をスキャンしデジタル保存することで、高校教員はマイページから、生徒は「ジョブドラフトNavi」から、高校に届いた求人情報を閲覧・検索することが可能です。高校教員にとっては進路指導の作業の減少に繋がるだけでなく、生徒にいち早く会社の求人情報を見せることができます。一方、生徒にとっては自身の興味関心をもとに企業の検索が可能になり、いつでもどこでも情報収集ができるため、保護者への相談もスムーズになります。これは、企業にとって自社の求人を高校教員や生徒の目に触れてもらう機会を増やすことに繋がります。当社にとっては、高校網を更に拡大するための大きなツールとなります。

 

(3)採用支援サービスと企画制作サービスの相乗効果

 求人企業は、自社の魅力を高校生に訴求する方法への知見が乏しいケースも多く見受けられます。そういった企業に対して、「ジョブドラフトNavi」掲載や「おしごとフェア」「ジョブドラフトFes」等への参画、人事部パックといった採用支援サービスだけでなく、採用パンフレット・イベントブース装飾・企業紹介動画制作・採用ホームページなど、幅広く高卒就活生に刺さる見せ方ノウハウを提供しております。その結果、採用活動に手応えがあれば、採用支援サービスのビジネス機会拡大にも連携する好循環システムができています。

 

(4)金融機関との連携による事業基盤の拡大

 当社は、2020年4月以降、全国の都市銀行・地方銀行・信用金庫との連携に注力しており、2025年3月末現在93行と提携しております。地方企業における人材不足は深刻であり、特に企業の未来を担う若手人材が不足しています。そのような経営課題の解決ニーズは日に日に高まっており、本連携により、全国の都銀・地銀・信金は既存の取引先に対する融資だけでなく、中小企業の経営課題でもある若手人材不足や社員の高齢化等に対して高校生の新卒採用の提案を行うことが可能となっています。現在では、月間平均275社ほどの案件を全国の都銀・地銀・信金よりご紹介いただいており、当社にとっては安定的な商談確保につながっています。

 

[事業系統図]

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 

 当社の収益構造は、求人広告掲載を希望する企業に当社サービスを紹介し、対価として、「ジョブドラフトNavi」掲載料を中心に、付随するオプションサービス料金を受領しております。「ジョブドラフトNavi」及び「ジョブドラフトNext」については、それぞれ、自社保有マッチングプラットフォームであり、人材紹介サービスであるため仕入原価が発生しませんが、付随オプションサービスについては役務提供に関する仕入原価が発生する収益構造となっております。

 掲載料収益は新規及びリピート申込数の影響を受け、新規申込数は新規商談数×新規受注率、リピート申込数は対象顧客数×リピート率で表されます。それぞれの変数に対する当社の対応としては以下のとおりです。

 

 (商談数)

・広告宣伝費を投下し、Web上でのインバウンド商談獲得(※)を促進しています。

・全国の都市銀行・地方銀行・信用金庫と連携し、高卒人材採用を希望する企業紹介を促進しています。

 (※)web上でのインバウンド商談とは、web上でのサービス問い合わせから商談に至ったものを指します。

 

 (受注率)

・金融機関からの紹介商談は、企業のサービスへの期待も高く、受注率が高いため、全国の都市銀行・地方銀行・信用金庫と連携し、高卒人材採用を希望する企業紹介を促進しています。

 

 (リピート率)

・「ジョブドラフトNavi」の掲載企業の内サポートプランでの掲載企業においては、カスタマーサポート部門による顧客フォローアップを行っております。採用アクションの進捗確認を目的とした定期ミーティングの開催や、時期別アクションや高校・高校生の対応方法などの高校新卒採用ノウハウの提供、高校別の就職関連情報の提供、企業求人票の添削アドバイス、高校教員を招いたカンファレンスセミナー等の開催等を通じて、高校新卒採用の可能性を高めるためのサービス提供を行っておりますが、常に顧客の要望する点についてのサポート内容の改善を行っております。

 

 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などを背景に、景気は緩やかな回復傾向を維持いたしました。一方で、原材料価格の上昇や円安の継続、金利上昇、物価高の影響により、個人消費には節約志向が強まるなど、力強さに欠ける状況が続きました。また、米国の政策動向や中国経済の減速、地政学的リスクの高まりなど、海外経済の不透明感もわが国経済の先行きに影響を与えており、依然として不透明な環境が続いております。

 

 そのような下で、当社が属する新卒就職支援市場においては、わが国の大卒求人倍率(2026年3月卒業者)は1.66倍(出典:㈱リクルート「第42回ワークス大卒求人倍率調査」)と2025年卒の1.75倍より0.09ポイント低下いたしましたが、依然人員不足が深刻であり、高い水準で推移しております。反面、300名未満の従業員規模の企業においては8.98倍(出典:㈱リクルート「第42回ワークス大卒求人倍率調査」)とコロナ禍前のピークである2019年卒の9.91倍に次ぐ高い水準となりました。

 また、2025年卒の高卒求人倍率も4.10倍(出典:厚生労働省発表「令和6年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(令和7年3月末現在)」)とついに4倍を突破し、非常に高い水準となっております。特に若年層の人員不足は多くの企業の共通課題となっていることから、総じて若手人材を中心とした企業の採用意欲は高止まりを続けています。産業別には、恒常的に若手の人員不足が顕著な建設業や製造業、本年4月から開催された大阪関西万博のインバウンド需要等を見込んだ小売業・卸売業、昨年4月の労働基準法改正による残業時間規制の影響で人員不足が喫緊の問題となっている運輸業・郵便業において、求人数が高い状態が続いております。

 

 近年、少子化の影響により若手人材の数が減少し、新卒採用の難易度が一層高まっております。これに伴い、第二新卒などを対象とした通年採用を導入する企業が増加し、その動きが加速しております。

 この流れは、人材不足が深刻な中小企業にも波及するものと思われ、当社の若手人材の採用サービス需要が一層高まると考えております。

 

 このような環境の下、当社は、パーパスに「これからを生きる人の夢を増やす」、ビジョンに「若者に希望を与えるNo.1企業」を掲げ、これらを実現するため、高校生及び高卒第二新卒(18歳~25歳の高卒社会人及び離職者)を価値提供のターゲットとした、以下のサービスを展開しております。

 

<採用支援サービス>

 ・高校生の就職を支援する就職求人サイト「ジョブドラフトNavi」

 ・ジョブドラフトNaviと連動した教員のための求人管理システム「ジョブドラフトTeacher」

 ・高校生のための職業体験・就職イベント運営「おしごとフェア/ジョブドラフトFes/先生Fes」

 ・入社後のミスマッチ防止をサポートする適性検査アプリ「ジョブドラフトSurvey」

<企画制作サービス>

 ・企業の高校新卒採用における求人ナビ原稿作成

 ・DTP制作(採用パンフレット制作・イベントブース装飾制作)

 ・Web制作(企業紹介動画制作・採用ホームページ制作)

<代行支援サービス>

 ・求人票発送代行サービス

 ・TikTok等SNS運用代行サービス

 ・人事部パックサービス(※1)

(※1 採用、定着、評価、教育の人事機能を担う人事部パックサービスを昨年9月より開始)

 ・その他採用業務代行支援サービス

<教育研修サービス>

 ・高校向けキャリア教育支援「ジョブドラフトCareer」

 ・企業向け新人育成定着支援研修「ROOKIE’S CLUB」

 ・社会人向けデジタルマーケティング人材育成研修「DMU」

<その他サービス>

 ・高卒第二新卒(※2)の就転職を支援する「ジョブドラフトNext」

 (※2 高卒第二新卒とは、18~25歳程度までを対象とした高卒社会人全般を指します。)

上記の通り、採用分野だけに限らない研修や採用、定着診断などのサービスを実現しております。

 

 当事業年度においても引き続き、当社主軸サービスである「ジョブドラフトサービス」の地方深耕・付加価値向上・商談獲得ルートの新規開拓を進め、特に金融機関等からの見込顧客紹介や広告からの資料問合せ等のインバウンド商談などを主軸として進めてまいりました。

 当事業年度上期においては、提携済金融機関等の深耕が進まず、金融機関等からの顧客紹介数が想定を下回ったこと及び中長期的な事業成長に向けて積極的な人員採用を継続して行っていたものの、組織の拡大に応じた社員育成体制の整備が遅れ、新規受注率が低下いたしました。そのため、受注金額及び受注案件の役務提供に伴う売上高は伸び悩みました。

 当事業年度下期においては、上期までの社員育成の効果も少しずつ出始め、同時に営業体制の見直し、金融機関対応の変更の結果、新規受注率及びリピート受注率が上向きになったことで受注状況は改善されております。

 また、当事業年度下期は、提携済金融機関等に対して持続可能な顧客紹介数の増加の実現に向け、一行一行との対話を増やし、金融機関側のニーズヒアリングや各行のキーマンの把握、紹介促進計画のテストマーケティング等を実行したことにより、顧客紹介数増加の兆しも見えてまいりました。

 さらに、下期から主にグループ会社を多く抱える大手企業や全国にFC・販売代理店を多く抱える企業への提案強化を行い、新たな高校生の選択肢となり得る新規顧客の獲得が実現できています。

 

 そのような中、掲載売上については、掲載数の伸長に伴い前年同期と比較して増加、掲載売上以外のオプション売上につきましては、特に企業の採用を目的としたSNS運用代行、高校生向け大規模合同企業説明会が好調に推移しております。加えて、オプション商品の納品が予定通り進捗したため、結果として、当事業年度の売上高については、下方修正後の売上計画と同水準で着地いたしました。

 また、人事部パックにおいては、ローンチ初年度として当事業年度末で46社と契約に至るなど、想定に近しい結果となっております。

 

 売上原価については、オプション商品の制作を一部内製化すること等の施策により、原価の削減効果を発揮し、粗利益が計画84.1%に対し85.3%で着地、利益の確保を実現いたしました。

 販売管理費については、金融機関経由の受注強化に伴い成約時の紹介手数料が増加している一方で、「生産性向上」の方針の下、全社にてコスト削減に取り組みました。その結果、広告宣伝費などのプロフィットコストについては投資を継続した上で、販売管理費計画2,000百万円に対し1,984百万円の消化となり、結果的に利益確保を実現しております。

 

 以上、事業進捗が復調していること及び全体経費の削減から、売上高については下方修正後の計画と同水準で、営業利益・経常利益及び税引前当期純利益については下方修正後の計画を大きく上回る結果となっております。

 

 一方で、税金費用については、当事業年度において監査法人との協議により将来の課税所得の見通しを慎重に再評価した結果、繰延税金資産の回収可能性が低下したとの判断に至ったことで、繰延税金資産236,485千円を取崩すこととなりました。具体的には、繰延税金資産の回収可能性検討にあたり、現在の分類の変更を行っております。この「分類」とは、繰延税金資産の回収可能性を判断するための基準であり、過去の利益実績や将来の利益見込みに応じて、分類1から分類5の5段階に分けて判定するものです。

 当社は、将来の利益計画に基づく分類4に認められる取扱いから、繰越欠損金に関する繰延税金資産の回収可能性について、課税所得として見積可能な期間を3年としておりましたが、前提となる事業計画の再検討により、課税所得として見積可能な期間を1年といたしました。

 

 これにより繰延税金資産を取崩す影響から法人税等調整額が多額に計上され、結果的に当期純利益が想定を大きく下回る結果となりました。なお、当事業年度及び今後の中期経営計画の期間において、分類の変更の結果繰延税金資産を積み増すことによる収益の計上(税金費用のマイナス)がある可能性はありますが、今回同様の多額の費用計上がなされる可能性はないものと見込んでおります。

 

 これらの結果、当事業年度の売上高は2,400,260千円(前年同期比15.2%増)、営業利益は62,545千円(前年同期比77.0%減)、経常利益は58,884千円(前年同期比76.8%減)、当期純損失は184,425千円(前年同期は当期純利益141,803千円)となりました。

 なお、当社は、高卒人材採用支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

 当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ88,609千円減少し、2,090,700千円となりました。これは主に、現金及び預金が39,328千円増加、前払費用が73,131千円増加、敷金及び保証金が54,156千円増加した一方、繰延税金資産が236,485千円減少したことによるものであります。

 

(負債の部)

 当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べ7,610千円増加し、1,700,829千円となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が50,022千円増加、短期借入金が102,494千円増加した一方、未払法人税等が42,424千円減少、契約負債が84,448千円減少したことによるものであります。

 

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ96,220千円減少し、389,870千円となりました。第三者割当増資等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ44,102千円増加した一方、当期純損失の計上により利益剰余金が184,425千円減少したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ39,328千円増加し、1,593,893千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、128,391千円となりました。これは、主に税引前当期純利益62,998千円、契約負債の減少額84,448千円、前払費用の増加額73,131千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、72,390千円となりました。これは、主に敷金及び保証金の差入による支出54,732千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、240,110千円となりました。これは、主に第三者割当増資等による収入88,205千円、長期借入れによる収入170,000千円、短期借入金の純増額102,494千円、長期借入金の返済による支出119,978千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績は次のとおりであります。なお、当社は高卒人材採用支援事業の単一のセグメントであるため、サービス領域別に記載しております。

サービス領域の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

受注高

受注残高

金額(千円)

前期比(%)

金額(千円)

前期比(%)

採用領域

2,232,123

97.1

1,131,817

95.8

教育領域

136,856

126.6

61,106

107.5

その他

合計

2,368,980

98.4

1,192,924

96.4

      (注)受注高は当該期間における顧客からの受注の総額であり、受注残高は過去受注済のもののうち期間末

         日時点において役務未提供のため売上高に未計上である金額を指します。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社は高卒人材採用支援事業の単一のセグメントであるため、サービス領域別に記載しております。

サービス領域の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

販売高(千円)

前期比(%)

採用領域

2,248,312

113.6

教育領域

132,651

153.7

その他

19,296

110.0

合計

2,400,260

115.2

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対す

        る割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 (1)財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

②財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a 財政状態の状況

 当事業年度の財政状態の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 b 経営成績の状況

(売上高)

 当事業年度の売上高は前事業年度と比較して、317,266千円増加し、2,400,260千円(前年同期比15.2%増)となりました。売上高の分析・検討内容につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は30,806千円増加し、353,320千円(前年同期比9.6%増)となりました。これは主に、オプション商材の販売が好調に推移したことによるパートナー支払の増加によるものであります。この結果、売上総利益は286,459千円増加し、2,046,940千円(前年同期比16.3%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は496,325千円増加し、1,984,394千円(前年同期比33.4%増)となりました。これは主に、業容拡大に伴う新規採用による人件費の増加、及び金融機関への支払紹介手数料(金融機関から紹介頂いた企業との成約に伴う紹介手数料)の増加によるものであります。この結果、営業利益は209,865千円減少し、62,545千円(前年同期比77.0%減)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度は、営業外収入として主に助成金収入等により3,981千円を計上しました。また、営業外費用として主に支払利息により7,642千円を計上しました。この結果、経常利益は195,064千円減少し、58,884千円(前年同期比76.8%減)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

 当事業年度は、特別利益として助成金収入を11,555千円計上し、特別損失として固定資産除却損を7,441千円計上しました。また、繰延税金資産の取崩により、法人税等調整額として236,485千円計上したため、法人税等が136,870千円増加し247,423千円(前年同期比123.8%増)となりました。これらの結果、当期純利益は326,228千円減少し、当期純損失184,425千円(前年同期は当期純利益141,803千円)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社の資金需要のうち主なものは、人件費や広告宣伝投資、システム開発、事務所移転経費等が中心となりますが、これらの資金に関する財源は、自己資金及び金融機関からの借入により対応しております。

 

 なお、当事業年度末の現金及び現金同等物残高は前事業年度末に比べ39,328千円増加し、1,593,893千円となりました。有利子負債(借入金)残高は514,605千円(前事業年度末362,089千円)となっております。

 

 今後の更なる業容拡大に対応するための資金に関しては、自己資金を主として、場合に応じて金融機関からの借入資金を用いて、成長投資の実行とともに財務基盤の強化を図ってまいります。

 

④経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等

 当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標」に記載の指標を重視しており、過年度からの推移は以下のとおりです。

 

第10期事業年度

(2024年3月期)

第11期事業年度

(2025年3月期)

売上高(千円)

2,082,994

2,400,260

営業利益(千円)

272,411

62,545

採用領域に関する受注高(千円)

2,298,957

2,232,123

ジョブドラフトNavi掲載企業数(社)

1,784

2,056