事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 1,232 | 100.0 | 78 | 100.0 | 6.3 |
事業内容
3【事業の内容】
当社は、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に掲げ、顧客対応業務の課題解決を目的としたクラウド型コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」を提供しております。近年、様々な分野においてテクノロジー化が進展しておりますが、中小企業等における顧客対応業務においては、未だテクノロジー化が遅れており、多くの課題が存在します。特に、電話を中心とした顧客とのコミュニケーションにおいては、コミュニケーションの記録がなされていない、または記録されていても顧客情報との紐づけが不十分であること、顧客対応が担当者のスキルに依存し属人化していること、組織として顧客とのコミュニケーション状況を把握・管理することが困難であること等の課題が顕著です。
これらの課題を解決するため、当社は“会話を クラウドで おもしろく”をコンセプトとする「カイクラ」を提供しております。「カイクラ」は、顧客(注1)に関する情報をクラウド(※)上に集約し、カイクラユーザー(注2)のオフィスの固定電話への着信時に顧客情報をパソコン、タブレット、スマートフォン等の画面にポップアップ表示する機能を有しております。これにより、担当者は過去の会話履歴や録音記録を参照しながら対応できるため、顧客対応の質を向上させ、属人化を解消することができます。
さらに、「カイクラ」は、SMS(※)送信機能、通話録音機能、ビデオ通話機能、携帯通話録音機能、メール連携機能等の機能を提供し、顧客との多様なコミュニケーションチャネルを一元管理します。これらの機能により、電話だけでなく、SMS、ビデオ通話、メール等のコミュニケーション履歴も顧客情報と紐づけて自動的に保存・管理することが可能となり、組織的な顧客管理を実現します。
また、販売面では、自社の販売部門や、販売代理店や取次店などの販売パートナーによる「カイクラ」の販売に加え、「カイクラ」の機能をより迅速に展開するため、「カイクラ」の一部機能を他社にOEM(※)提供することで、先方の販売力とブランド力を生かして「カイクラ」機能の拡大を担っていただいております。
当社は「カイクラ」を通して、顧客との様々なチャネルによるコミュニケーションを自動で記録・整理し一元管理し、必要な時にこれを参照できるようにすることで、顧客とのコミュニケーションロスやクレームを減らし、カイクラユーザーと顧客の双方の満足度を向上させるとともに、コミュニケーションに関する業務の効率化やカイクラユーザーにとって優良な顧客の囲い込みを可能とすることで、「カイクラ」を利用する企業や店舗、個人事業主などの生産性の向上に寄与していきたいと考えております。なお、当社は、カイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の開示を省略しております。
(注)1.カイクラユーザーのお客様(カイクラユーザーが提供する製品・サービスを利用している企業や個人)
2.当社が提供する「カイクラ」を利用している、当社の直接のユーザー
(1)コミュニケーションプラットフォーム「カイクラ」
(a)「カイクラ」の特徴
「カイクラ」は、企業活動で発生する様々なコミュニケーションのDX(※)を実現するサービスであり、個別の機能として、オフィスの固定電話でのコミュニケーション支援機能やSMS送信機能、通話録音機能、ビデオ通話機能、携帯電話録音機能、及びメール連携機能などを備えております。「カイクラ」を使うことにより、顧客とのこうしたコミュニケーションを自動で記録・整理し、一元管理することが可能です(下図①)。
例えば、固定電話とSMSなど、異なるコミュニケーション手段を用いて顧客とコミュニケーションを取った場合であっても、カイクラユーザーはカイクラを通じ、これらを自動で記録・整理し、顧客情報と関連付けして一元管理することが可能となります(下図②)。その結果、「カイクラ」を導入したオフィスでは、コミュニケーションの属人化を排除することができ、電話対応者の業務経験やスキルに依存しない、より質の高い顧客対応が可能となります。
また、固定電話及び携帯電話の会話を「カイクラ」で録音した場合、AI(※)により自動でテキスト化することができます。このテキスト化されたデータを用いて、「解約」等ビジネス上影響があると考えられる単語の強調表示や会話内で頻出する単語の分析などが可能となります。
「カイクラ」は、オフィスに設置したカイクラアダプターにより、そのオフィスへの固定電話への着信時に、インターネット回線を通じて関連する顧客情報やコミュニケーション履歴を自動で呼び出し、パソコン/タブレット/スマートフォンにこれらをポップアップします。カイクラアダプターを設置しても、カイクラユーザーは自身の固定電話番号などの電話環境を変更する必要はありません。
加えて、CTIを標準装備したクラウド電話サービス「カイクラフォン」の提供も開始しております(下図③
)。「カイクラフォン」はPCやスマートフォンアプリを用いて、固定電話の発着信を可能としており、オフィス以外でも固定電話業務を継続できることから、テレワークや外出先における電話対応の効率化を実現します。
上記により、顧客対応業務の効率を改善させ、電話対応の負担を軽減できることから、顧客満足度及び従業員満足度を向上させ、結果、カイクラユーザーの収益向上に貢献します。
(b)「カイクラ」の主な機能
イ.固定電話でのコミュニケーション支援
カイクラユーザーのオフィスの固定電話へ着信があった時に、関連する顧客情報や会話履歴を自動で呼び出し、パソコン/タブレット/スマートフォンにこれらをポップアップします。ポップアップさせる情報はカスタマイズ可能であり、例えば顧客氏名、住所、営業担当者、商品購入日、商品の詳細など、カイクラユーザーのニーズに合わせたオリジナルの画面を提供することができます。
また、カイクラユーザーが他社のCRM(※)システムを通じて顧客情報を管理している場合、API連携(※)により「カイクラ」とこれらCRMシステムとを連携させることが可能です。この場合、カイクラユーザーのオフィスへ着信があった時に、当該CRMシステムで管理されている情報を、「カイクラ」の画面上に表示させることができます。
これにより、電話の対応時に、カイクラユーザーが必要とする情報を確認できることから、よりきめ細やかで安定したコミュニケーションが可能となります。また、顧客情報はクラウド上のデータベースに蓄積されており、これは電話着信時だけではなくいつでも参照することができるため、カイクラユーザーは組織として、顧客情報やコミュニケーション履歴を管理することができます。
なお、カイクラ画面のイメージは以下のとおりです。
ロ.SMS送信
「カイクラ」の画面から、顧客や自社の従業員に対してSMSを送信することができます。SMSは携帯電話の番号に対して送信できるため、顧客への連絡や不在時の伝言に有効となります。また、「カイクラ」は送信したSMSの履歴を自動で記録し、顧客情報と関連付けて一元管理するため、どの顧客に・いつ・どのようなSMSを送信したか、顧客情報から検索できるだけでなく、カイクラユーザーのオフィスの電話に着信があった時にはその内容がパソコンなどの画面にポップアップされます。
さらに、「カイクラ」のSMS送信機能は予約送信機能を有しているため、例えば来店予約の前日に来店リマインドのメッセージを自動で送付するなど、いわゆるMA(※)ツールとして利用することも可能です。
ハ.通話録音
カイクラユーザーのオフィスの電話の内容を自動で録音し保存することができます。また、この電話の会話内容をAIにより自動でテキスト化し、さらに生成AIによりそのテキストを要約することも可能です。
通話録音の音声データ及びそれをテキスト化したデータは、「カイクラ」により自動で顧客情報と関連付けられ、一元管理されます。
この通話録音機能により、カイクラユーザーは重要な会話などについてあとから聞き直すことができ、より適切な顧客対応が可能となります。また、会話のテキストデータは「カイクラ」上で検索や分析が可能となるため、「解約」「キャンセル」などの特定のキーワードが含まれている会話だけを抽出したり、どのようなキーワードが頻繁に使われていたりするのかなどの分析も可能となります。
通話録音機能に関する「カイクラ」の画面は以下のとおりです。
ニ.AI要約機能(テキスト要約、感情ラベリング)
「カイクラ」での通話内容を自動でテキスト化し、そのテキスト化済みの発着信履歴の内容をAIが要約します。また、要約した内容をもとにAIが話者の感情をラベリングすることも可能です。これにより、会話内容のスムーズな共有や、話者の感情からクレームやカスタマーハラスメントの早期発見、対策も可能となります。
AI要約機能のイメージ図は以下のとおりです。
ホ.ビデオ通話
「カイクラ」はビデオ通話機能を有しております。特定のアプリケーションのインストールは不要で、パソコンやスマートフォンのブラウザ上で簡単にビデオ通話を行うことができます。このビデオ通話機能ではカメラを通じた動画や音声だけでなく、パソコンやスマートフォンの画面の共有も可能であり、ビデオ通話内容を録画することも可能です。この録画データも「カイクラ」により自動で顧客情報と関連付けて記録・整理され、他のコミュニケーション履歴とともに一元管理されます。また、その履歴は必要に応じて検索が可能です。
ビデオ通話機能のイメージ図は以下のとおりです。
ヘ.携帯通話録音
「カイクラ」は、固定電話だけでなく、社用の携帯電話で会話した内容を自動で録音することができます。また、この電話の会話内容をAIにより自動でテキスト化することも可能です。
この携帯電話での会話の音声データ及びそれをテキスト化したデータは、「カイクラ」により自動で顧客情報と関連付けて記録・整理され、他のコミュニケーション履歴とともに一元管理されます。その結果、カイクラユーザーはこの携帯電話での会話データを、顧客情報、オフィスの固定電話での会話内容、送信したSMS、ビデオ通話内容とともに参照することが可能です。
「カイクラ」の携帯通録は、録音データのアクセス権をアカウントごとに設定できるだけではなく、電話の相手先の属性ごとに、携帯電話での会話の録音可否を設定できます。このように、携帯電話での会話については、録音記録が必要な会話のみを記録し、必要な従業員にしかそれをアクセスできないようにすることで、個人情報やプライバシーに配慮しながら、必要な会話を一元管理することが可能となります。
携帯通話録音機能のイメージ図は以下のとおりです。
(注)3.現在、携帯通話録音機能はNTTドコモ、au、SoftBankの提供する社用携帯電話のみ対応しております。
ト.メール連携
「カイクラ」は、オフィスの固定電話着信と同様に、メールの送信時及び受信時にその内容を「カイクラ」に取り込み、社内のチームメンバーに対してポップアップ通知することができます。これにより、「カイクラ」の画面上で顧客とのメールのやり取りを確認・共有できるとともに、固定電話やSMS、ビデオ通話、携帯電話など、「カイクラ」で一元管理されているその他のコミュニケーション履歴を参照しながらメール対応することが可能となります。
また、「カイクラ」に取り込むメールは顧客とのメールに限定し、その他の不要なメールは取り込まないなど、個人情報やプライバシーに配慮しながら必要なメールのみを一元管理することが可能です。
メール連携機能のイメージ図は以下のとおりです。
チ.クラウド電話(カイクラフォン)
「カイクラフォン」はCTIが標準装備されているクラウド電話です。本サービスの利用に際しては、専用機器の設置や電話番号の変更を行う必要がありません(注4)。PCやスマートフォン向けアプリを利用することで、オフィス外でも固定電話の発着信が可能となり、テレワークや外出先における効率的な電話対応が実現できます。また、本サービスはクラウドCTIが搭載されており、電話の着信時に顧客情報とコミュニケーション履歴を自動的に表示させることができ、迅速かつ効率的な電話対応が可能となります。
クラウド電話(カイクラフォン)のイメージ図は以下のとおりです。
(注)4. 一部エリアに限定されます。順次拡大を予定しております。
(2)「カイクラ」の収益構造
「カイクラ」の主な収益構造は、カイクラユーザーから得られる「カイクラ」の利用料収入であります。
この利用料収入は、「カイクラ」導入時の初期費用、サブスクリプション(※)型の月額利用料及びSMSなどの従量課金売上の3つから構成されます。
初期費用は「カイクラ」を導入した拠点ごとに収益計上されます。また、月額利用料及び従量課金売上は「カイクラ」を導入した拠点が継続して「カイクラ」を利用することで収益が計上されます。
当社の収益モデルは、「カイクラ」導入拠点数及びその利用量が増加するに従って月額利用料及び従量課金売上などの収益が逓増する、いわゆるSaaS(※)型の収益モデルとなっております。
2018年12月期以降の各期末時点でのアクティブユーザー(注5)(会社)及びその拠点数の推移、業界ごとの導入企業割合は以下のとおりです。
(注)5.アクティブユーザー:獲得したカイクラユーザーのうち、解約によりカイクラを利用しなくなったユーザーを除いたユーザー数
また、当社の事業系統図は以下のとおりであります。
[事業系統図]
<用語集>
下記は、「3 事業の内容」の文章中において※で示した用語の本書内での意味を説明しております。
用語 |
説明 |
クラウド |
インターネット等を経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する形態のこと。 |
SMS |
「Short Message Service」の略称で、携帯電話の電話番号を使ってメッセージのやりとりができるサービスのこと。 |
OEM |
「Original Equipment Manufacturing」の略称で、委託者や発注元の名称・ブランドで製品やサービスを生産・提供すること。 |
DX |
「Digital Transformation」の略称で、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織などを変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
AI |
「Artificial Intelligence(人工知能)」の略称で、コンピュータがデータを分析し、推論、判断、最適化提案、課題定義や解決、学習等を行う、人間の知的能力を模倣する技術のこと。 |
CRM |
「Customer Relationship Management」の略称で、顧客管理のためのツールやシステムのこと。 |
API連携 |
APIは「Application Programming Interface」の略称で、API連携とはアプリケーション間やシステム間でデータや機能を連携し、利用できる機能を拡張すること。 |
MA |
「Marketing Automation」の略称で、ソフトウエアを利用してマーケティング活動を自動的に行うプロセスのこと。 |
サブスクリプション |
顧客に対し提供するサービスの対価を、利用期間に応じて継続的に受領する収益モデルのこと。 |
SaaS |
「Software as a Service」の略称で、クラウド上にソフトウエアを用意し、インターネット経由でその機能を利用できるサービスのこと。 |
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が和らぎ、雇用・所得環境の改善等もあり緩やかな回復基調となりました。一方で、中東地域をめぐる情勢やウクライナ情勢の長期化、世界的な資源・エネルギー価格の高騰、円安基調の経済情勢等を背景とした物価の上昇や金利上昇圧力の高まりなど、先行きが不透明な状態が続いております。
このような中、当社が属するクラウドサービス市場においては、デジタル化の進展とともに企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が加速し、クラウド技術の活用が一層拡大しています。総務省「令和5年通信利用動向調査」によると、国内でクラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は年々増加しており、企業の業務効率化やデータ活用の高度化が進んでいます。さらに、政府においても「ガバメントクラウド」の整備が進められ、各府省庁が共同で利用するクラウド基盤の拡充が進行しており、今後もクラウドサービスの普及は一層進むものと予測されます。
このような状況のもと、当社は、「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念とし、当社サービスである「カイクラ」を提供してまいりました。「カイクラ」はもともと固定電話への着信時に顧客情報をポップアップ表示するCTI機能が中心でしたが、現在ではそれに加えて通話録音機能や音声テキスト化機能、SMS送信機能、ビデオ通話機能などを有し、また固定電話だけではなく携帯電話も含めた様々なチャネルのコミュニケーションを一元管理し、顧客情報と自動で紐づけを行っております。さらに現在「カイクラ」はAIを活用したテキストの自動要約、感情ラベリング等の機能を有しており、顧客とのコミュニケーションをよりきめ細かに分析することができるようになりました。
当事業年度においては、生成AIを活用し、通話中に発生する多様なタスクやフォローアップ事項を自動で整理する「AIタスク抽出機能」や、顧客対応業務におけるカスタマーハラスメント対策として有用な「アラートワード機能」をリリースいたしました。これにより、カイクラは、顧客コミュニケーションの改善や顧客満足度の向上に寄与するとともに、従業員のエンゲージメント向上にも貢献できるようになりました。
こうした「カイクラ」の継続的な開発を通じて、企業の顧客対応力の向上、業務効率化、リスク管理の高度化を支援し、クラウドサービス市場の成長とともに、当社の事業拡大を図ってまいります。
営業面では、前事業年度に引き続き、自動車業界や不動産業界などユーザーニーズの高い業界に対する「カイクラ」の営業に注力し、その結果大型拠点を獲得できたことなどにより、アクティブユーザーを継続して増加させることができ、当事業年度末のアクティブユーザー数は会社数で2,889社(前事業年度末比11.0%増)、拠点数は5,648拠点(前事業年度末比25.3%増)となりました。
以上の結果、当事業年度における当社の経営成績は、売上高1,232,218千円(前事業年度比18.5%増)、営業利益78,065千円(前事業年度比23.0%減)となりました。さらに、上場関連費用や本社オフィスの移転に関する事務所移転費用を営業外費用に計上した結果、経常利益は48,758千円(前事業年度比50,3%減)、当期純利益は16,073千円(前事業年度比85.2%減)となりました。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は1,105,847千円となり、前事業年度末に比べ666,466千円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が652,512千円増加したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定資産合計は123,109千円となり、前事業年度末に比べ25,738千円増加いたしました。これは、主に有形固定資産合計が25,538千円増加、無形固定資産合計が35,146千円増加、投資その他の資産合計が34,946千円減少したことなどによるものであります。
この結果、資産合計は1,228,956千円となり、前事業年度末に比べ692,205千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は250,944千円となり、前事業年度末に比べ128,007千円増加いたしました。これは、主に短期借入金が90,000千円増加、未払法人税等が24,927千円増加、契約負債が14,188千円増加、未払消費税等が23,333千円減少したことなどによるものであります。
当事業年度末における固定負債合計は、前事業年度末に比べ21,875千円減少したことにより残高なしとなりました。これは、長期借入金が21,875千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は250,944千円となり、前事業年度末に比べ106,132千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は978,011千円となり、前事業年度末に比べ586,073千円増加いたしました。これは、主に東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴う新株発行等による資本金284,999千円の増加及び資本剰余金284,999千円の増加によるものであります。
この結果、自己資本比率は79.6%(前事業年度末は73.0%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、972,053千円となり、前事業年度末に比べ652,512千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、101,623千円(前年同期は146,663千円の収入)となりました。これは、主に税引前当期純利益48,758千円の計上、減価償却費及びその他の償却費25,218千円、前渡金の減少額18,942千円により増加したこと、売上債権の増加額24,298千円、未払消費税等の減少額23,333千円により減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、64,918千円(前年同期は35,077千円の支出)となりました。これは、主に基幹システムの開発などに伴う無形固定資産の取得による支出43,317千円、本社オフィスの移転などに伴う有形固定資産の取得による支出41,106千円、敷金及び保証金の回収による収入17,108千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、615,807千円(前年同期は10,560千円の支出)となりました。これは、主に東京証券取引所グロース市場への新規上場等に伴う株式の発行による収入569,999千円、短期借入れによる収入90,000千円などによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は、カイクラ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を収益区分別に示すと、次のとおりであります。
収益区分 |
当事業年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
初期売上 |
190,532 |
125.9 |
月額売上 |
871,850 |
116.6 |
従量課金売上 |
164,620 |
118.5 |
その他 |
5,215 |
213.7 |
合計 |
1,232,218 |
118.5 |
(注) 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(1)経営成績の分析
(売上高)
前事業年度に引き続き、自動車業界や不動産業界などユーザーニーズの高い業界に対する営業や通話録音オプションの販売に注力いたしました。これにより、アクティブユーザーを継続して増加させることができ、当事業年度末のアクティブユーザー数は会社数で2,889社(前事業年度末比11.0%増)、拠点数は5,648拠点(前事業年度末比25.3%増)となりました。また、ARPA(ユーザー1拠点あたりの売上単価)は17,503円(前事業年度末比1.0%増)となりました。
さらに、獲得したユーザーのオンボーディング活動や、「カイクラ」の追加機能の開発にあたりユーザーの声を反映するなどの取り組みを継続することにより、当事業年度の月次解約率(年度平均)は前事業年度と同率の0.33%を維持することができました。
この結果、初期売上は190,532千円(前年同期比25.9%増)と前年同期から増加し、月額売上が871,850千円(前年同期比16.6%増)、従量課金売上が164,620千円(前年同期比18.5%増)と大きく伸長し、当事業年度の売上高は1,232,218千円(前年同期比18.5%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
カイクラアダプターの仕入やサーバ利用料などにより、売上原価は216,348千円(前年同期比25.3%増)となりました。アクティブユーザー数、アクティブ拠点数の増加やARPAの向上によりサブスクリプション収入が増加し、売上総利益率は82.4%(前年同期は83.4%)となりました。この結果、当事業年度の売上総利益は1,015,869千円(前年同期比17.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当社の販売費及び一般管理費は、主に人件費、広告宣伝費、その他の経費で構成されております。今後の成長に備えた体制整備に伴い人件費が増加、また、一過性の事務所移転関連費用を計上した結果、当事業年度の販売費及び一般管理費は937,804千円(前年同期比22.4%増)となりました。この結果、当事業年度の営業利益は78,065千円(前年同期比23.0%減)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)
保険返戻金等の計上により営業外収益は1,724千円(前年同期比252.6%増)、上場関連費用や事務所移転費用の計上により営業外費用は31,032千円(前年同期比717.6%増)となりました。この結果、当事業年度の経常利益は48,758千円(前年同期比50.3%減)となりました。
(特別利益・特別損失、法人税等、当期純利益)
前事業年度に引き続き、特別利益及び特別損失の発生はありません。主に法人税等調整額を17,704千円(前年同期は△12,123千円)計上した結果、当事業年度の当期純利益は16,073千円(前年同期比85.2%減)となりました。
(2)財政状態の分析
財政状態の状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源及び資金の流動性については、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主への利益還元を考慮し実施していくこととしております。
当社の資金需要の主なものは、主たる事業であるカイクラ事業に係る仕入原価のほか、販売費及び一般管理費の人件費等の事業に係る運転資金であります。
当社は必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しておりますが、安定的な財源確保のため、株式の発行による資金調達を行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。