事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
売上
-
利益
-
利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 22,330 | 100.0 | 493 | 100.0 | 2.2 |
事業内容
3【事業の内容】
当社は、ネットビジネス支援事業を主たる事業とし、当事業年度末において、当社内における12の本部、社内カンパニー20社によって構成されています。
・ネットビジネス支援事業
「制作/UIUX」「デジタルマーケティング」「デジタルサービス開発」「データ活用支援」の4事業において、「DGT(Digital Growth Team)」サービスを提供。顧客企業のデジタルビジネスに寄与するべく、データ分析やUX(※1)、エンジニアリング等も含む様々な専門スキルを持ったデジタルクリエイターが3名以上で顧客専任チームを編成し、顧客企業のデジタル化を顧客と共に実際に手を動かしながら顧客伴走型で推進・支援を行います。デジタルクリエイターがダイレクトに顧客企業のデジタルビジネスの成果向上を追求し、その運用を仮説検証型で継続的に支援します。
また、運用を通じて顧客企業の炭素生産性(※2)向上を支援し、脱炭素につながるアクションを日々の運用業務で実施する取組みも行っております。
(※1)UX(ユーザーエクスペリエンス):製品やサービスなどを利用するにあたって得られる「体験・経験」のこと。
(※2)炭素生産性:温室効果ガスの排出量あたりの国内総生産(GDP)のこと。当社では、商品やサービスの製造、販売、回収などの際に排出される炭素あたりの利益などを企業の炭素生産性として計測し、ビジネスモデル構築や運用支援を立案。
◎提出日現在
当事業年度末においてカンパニー等の再編を行い、事業年度末から提出日現在において、新たに3つの社内カンパニーを設立し、当社内における10の本部、社内カンパニー21社によって構成されています。
事業区分 |
主要製品 |
ネットビジネス支援 |
・ウェブサイト制作/UIUX支援 ・マーケティングDX支援 ・デジタルサービス開発支援 ・データ活用支援 |
・その他事業(再生可能エネルギー発電事業) |
(注)当社はネットビジネス支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりま
す。
当社の事業に関わる位置付けは、以下のとおりです。(提出日現在)
(※)2025年4月1日設立
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
経営者の視点による当社の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当社は、適切なる流動性の維持、事業活動のための資金確保および健全なバランスシートの維持を財務方針としております。日本基準に準拠した当事業年度末における財政状態の状況は以下のとおりであります。
(資産)
当事業年度末の資産合計は10,789百万円(前事業年度末比176百万円の増加)となりました。これは主として、その他の流動資産が81百万円、売掛金が53百万円、関係会社株式が50百万円減少したものの、現金及び預金が254百万円、繰延税金資産が58百万円、投資有価証券が39百万円増加したことによるものです。
(負債)
負債合計は、4,866百万円(前事業年度末比118百万円の増加)となりました。これは主として、預り金が125百万円、未払金が99百万円、買掛金が47百万円減少したものの、賞与引当金が161百万円、未払法人税等が132百万円、リース債務が38百万円、未払消費税等が23百万円、資産除去債務が21百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は、5,923百万円(前事業年度末比58百万円の増加)となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が30百万円、利益剰余金が25百万円増加したことによるものです。
参考情報として、IFRSに準拠した当事業年度末における財政状態の状況は以下のとおりであります。
(資産)
当事業年度末の資産合計は11,778百万円(前連結会計年度末比251百万円の増加)となりました。これは主として、その他の金融資産が200百万円、その他の流動資産が106百万円減少したものの、現金及び現金同等物が237百万円、使用権資産が218百万円、繰延税金資産が149百万円増加したことによるものです。
(負債)
負債合計は、5,970百万円(前連結会計年度末比377百万円の増加)となりました。これは主として営業債務及びその他の債務が96百万円減少したものの、リース負債が223百万円、未払法人所得税が131百万円、その他の流動負債が82百万円増加したことによるものです。
(資本)
資本合計は、5,808百万円(前連結会計年度末比126百万円の減少)となりました。これは主として、資本剰余金が368百万円増加したものの、利益剰余金が392百万円、その他の資本の構成要素が103百万円減少したことによるものです。
b.経営成績
<決算の概況>
当事業年度の日本基準に準拠した業績は、売上高22,329百万円(前期比9.1%増)、営業利益590百万円(同703.2%増)、経常利益598百万円(同835.7%増)、当期純利益420百万円(同357.1%増)となりました。
なお、参考情報として、以下すべてIFRSに準拠した数値を記載しております。当社は2024年11月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社メンバーズエナジーを吸収合併したことに伴い、非連結決算に移行しました。そのため、当期は組織再編後のIFRS個別決算の数値、比較情報は組織再編前の従来のIFRS連結決算の数値を掲載しております。
IFRSに準拠した当事業年度の売上収益は22,329百万円(前期比9.1%増)、営業利益は493百万円(前期比1,082.0%増)、税引前利益は472百万円(前期比246.1%増)、当期利益は349百万円(前期比176.5%増)となりました。
売上収益は前期比9.1%増、重要指標としている付加価値売上高(売上収益から外注・仕入を差し引いた社内リソースによる売上高)は21,277百万円(前期比10.8%増)となり、ともに過去最高を更新しました。高付加価値であり高い需要が見込まれるDX領域においてプロダクト・サービス開発やデータなどの専門カンパニーやPMO
(※1)サービスを中心に人材育成ならびに営業体制を戦略的に強化し、Web運用領域からDX領域へ事業領域の転換を進めてまいりました。これにより、当事業年度におけるDX領域の付加価値売上高成長率は前期比30.8%増と高成長を継続し、全社の付加価値売上高に占めるDX領域の比率は前年同期比5.5ポイント増の41.5%と順調に拡大しました。
付加価値売上高の成長率に対し採用抑制により人員増加率は低水準で推移した一方、期末に決算賞与を0.6億円支給したことにより、当事業年度における売上総利益率は20.9%(前期比0.1ポイント減)、決算賞与支給前の売上総利益率は21.2%と前期比で改善いたしました。また、中途採用の抑制などコストコントロールを徹底したことで、売上収益に対する販売費及び一般管理費の比率は18.7%(前期比2.1ポイント減)、営業利益は通期業績予想(400百万円)を上回る493百万円と収益性が大幅に向上し、2026年3月期以降の更なる収益性回復に向けた道筋をつけることができたと考えております。
「中期的な成長に向けた戦略」で掲げる当事業年度における主要戦略およびKPIの進捗は下記の通りです。
1.収益性の回復・高収益事業の確立
2024年4月に新卒社員が411名入社しましたが、2025年以降は新卒社員の採用数を付加価値売上高の成長率の範囲内に抑制し、人材ポートフォリオにおける新卒割合の改善を図ります。併せて、利益重視のマネジメントを徹底し、稼働率が適切な水準になるまで中途採用の抑制や人員配置の最適化などにより新卒1、2年目を除くDCの稼働率向上に最注力し、未稼働人材を解消いたします。それらの取組みにより売上総利益率を改善し収益性を回復することで、営業利益率を段階的に5%、10%と高めてまいります。
KPI |
実績値 |
・新卒1、2年目を除くDCの稼働率 ・売上総利益率 |
・85.4%(前年同期比1.0ポイント低下) ・20.9%(前期比0.1ポイント低下) |
当事業年度末におけるDC数は2,627名、前期末比145名増(増加率は5.8%)、新卒1、2年目を除くDC数は1,728名、前期末比263名増(増加率は18.0%)となりました。KPIである新卒1、2年目を除くDCの稼働率は85.4%となり前年同期比で低下したものの前四半期比で3.3ポイント改善いたしました。
稼働率の改善が道半ばである一方、DX領域の拡大等による売上単価の向上ならびにコストコントロールの徹底に取り組み、当事業年度における売上総利益率は20.9%(前期比0.1ポイント低下)となりました。付加価値売上高成長率の改善およびコスト抑制により通期業績予想を超過達成する見通しとなったことを勘案し、従業員に対し決算賞与を支給したことを考慮すると売上総利益率も改善傾向にあり、筋肉質な組織体制への転換は順調に進捗しております。
当事業年度において利益重視マネジメントを徹底したことにより収益性回復の道筋をつけられたと考えており、営業利益率目標(2026年3月期に5%、2027年3月期に10%)に向け、収益性の回復は順調に進捗しております。引き続きコストコントロールを徹底するとともに、新卒1、2年目を除くDCの稼働率の改善を重要課題として取り組んでまいります。
2.高成長事業の確立
上記施策と並行し、以下2点を強力に推進することで、付加価値売上高成長率20%超へと中期的に引き上げを図ります。
(1)サービス戦略の抜本的強化
顧客企業のDX支援領域として「制作/UIUX」「デジタルマーケティング」「デジタルサービス開発」「データ活用支援」の4つの事業領域で、当社の強みを築き上げるサービスを明確にすると同時に事業領域内でのクロスセルにより主力顧客へのサービスを進化させ取引拡大につなげます。主要顧客に対しては事業領域を跨いだアカウントマネジメントを強化し、既存の顧客企業一社あたり売上収益の最大化を強力に推進していくことにより、年間取引額1億円以上を基準とした大口取引社数を増加させてまいります。
KPI |
実績値 |
・DGT一社あたり付加価値売上高 ・年間売上収益1億円以上の取引社数 |
・3,150万円(前年同期比2.7%減) ・55社(前期末比9社増) |
上記方針に基づき、Web運用領域が中心であったDGT上位50社の顧客企業に対し、データ活用支援やプロダクト開発、PMO等のDX領域サービスのクロスセルに注力した結果、全社の付加価値売上高に占めるDX領域の比率は41.5%(前期比5.5ポイント上昇)と着実に拡大しました。また、当第4四半期会計期間におけるDGT上位50社の一社あたり付加価値売上高は7,158万円(前年同期比1.8%増)、当事業年度末における年間売上収益1億円以上の取引社数は55社、前期末比9社増と順調に拡大しました。
なお、当事業年度における専門カンパニーの付加価値売上高は7,083百万円、前年同期比36.6%増と引き続き高い成長を継続しております。
更なる顧客企業一社あたりの取引規模拡大に向けアカウントマネジメントを強化し、引き続き顧客企業の投資需要が見込まれるAI・データ活用支援やプロダクト開発などのDX領域を中心にクロスセルを進めてまいります。
(2)顧客企業のDX内製化伴走支援ポジションの獲得
顧客企業のDX内製化の取組みが大きく進む中で、当社はこれまで「実行運用」フェーズに集中してサービスを提供してまいりましたが、今後はこれまで培ってきたUIUXデザインやアジャイル開発などによるデジタルビジネス成果向上支援の強みを活かしつつ、顧客企業のDX投資効果最大化の実現に貢献するために、「実行企画・推進」フェーズにおけるサービスにより注力し、各段階においてDCが顧客企業に伴走支援する体制へとポジションを転換します。これを実現するべく、プロジェクトの進行、品質および予算管理、チームの人材調整などのプロジェクト全体のマネジメントを行うPMO人材の育成を強化します。従来のデジタルの専門技術育成のみならず、ビジネススキルやコンピテンシーの育成も強化し、業界一、顧客企業の現場改善に伴走できるDX人材を数多く輩出することを目指します。
KPI |
実績値 |
・売上単価 ・PMO人材数 |
・912,681円(前年同期比3.5%増) ・358名(前期末比291名増) |
売上単価は、Web運用領域と比較し単価の高いUIUXやプロダクト・サービス開発、PMOサービス等を中心とするDX領域の売上構成比が高まったことにより前年同期比で3.5%増加しました。特に、新卒1、2年目を除くDCの売上単価は前年同期比7.2%増と順調に向上しております。
また、注力していたPMO人材育成においてPMO人材数は358名(前期末比291名増)と、2025年3月期末の目標であった120名を大幅に上回り、当事業年度におけるPMO専門カンパニーの付加価値売上高は前期比56.0%増と順調に拡大しました。
これらのポジション転換に向けた取組みにより顧客企業のNPS®(※2)は大幅に改善していることから、当社のDX現場支援のサービスポジションが顧客企業からの支持を得ていると考えています。今後はUXデザイナーやマーケティングDX人材など顧客企業の現場から伴走支援するDX人材の育成を強化し、DX領域への転換を加速させます。また、DCが自主的に学び続けられる環境を整備し顧客企業の現場支援におけるノウハウの蓄積・活用を進めることにより、PMO・DX人材の稼働を推進し売上単価の向上を図ります。
3.将来への投資
当社のミッションおよびビジョンの実現に向けて更なる成長を目指すべく、脱炭素DX(※3)事業の確立と脱炭素DX人材の育成に取り組み、顧客企業のサステナブル経営に向けた基盤確立を支援してまいります。
当事業年度における脱炭素DXカンパニーの付加価値売上高は前期比147.9%増と大幅に拡大しました。気候変動の影響や国際情勢によりGX市場は急速に拡大し、GXリテラシーとデジタルスキルを兼ね備えた脱炭素DX人材のニーズは加速度的に高まると予想しております。今後3年で脱炭素DX人材1,000名の育成・輩出を目指します。
上記の通り、当事業年度においては新卒・中途採用の抑制をはじめとするコストコントロール等の利益重視マネジメントに加えて、DX領域への転換による売上単価向上、新卒1、2年目を除くDCの稼働率の引き上げに最注力した結果、先行投資フェーズから収益化フェーズへの転換が当初計画以上に進捗しました。
付加価値売上高成長率は、Web運用領域の成長率鈍化に対しDX領域の高成長が継続していることから改善傾向にあり、2027年3月期に高収益・高成長事業を確立するため、2026年3月期は成長率を引き上げるべくDX人材育成ならびに顧客企業のDX内製化を伴走支援するポジションの確立を推進し、DX領域への転換を一層加速させてまいります。
なお、当社では事業特性上、第2、第4四半期に売上および利益が増加する季節性が存在するものの、顧客企業のDXプロジェクトの内製化を伴走支援するための人材提供型サービスの割合が増加したことにより、四半期毎の季節性の平準化が進んでおります。
当事業年度においては第3四半期会計期間の付加価値売上高成長率は回復傾向にあった一方、季節性が減少することにより第4四半期会計期間の付加価値売上高成長率は第3四半期比で鈍化しました。2026年3月期以降も季節変動による業績の偏りが平準化する傾向が継続し、売上および利益の推移はより緩やかになる見込みです。
(※1)PMO(Project Management Office):企業や各組織のプロジェクトを円滑に進めるために、部署の枠をこえて横断的にプロジェクトマネジメントを統括する部門や体制を指す。プロジェクトを統括し、様々な意思決定を担う立場であるPM(Project Manager)に対し、PMOはPMが円滑に意思決定できるよう情報収集や関係各所との調整を行い、PMのプロジェクトマネジメントを支援する立場。
(※2)NPS®(Net Promoter Score):顧客が企業の製品やサービスを他の人に薦める意欲を指数で表したもの。サービスに対する顧客企業の総合的な満足度やロイヤリティを測る指標として利用される。なお、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
(※3)脱炭素DX:GHG(Greenhouse Gas=二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス)排出量を減らしながら経済成長を続ける「デカップリング・モデル」をデジタルテクノロジーの力で実現することを指す。
②キャッシュ・フローの状況
a.キャッシュ・フローの状況
当社は、当事業年度より非連結決算に移行したことから、キャッシュ・フローの状況について、前事業年度との比較は行っておりません。
日本基準に準拠した当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は4,014百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、733百万円となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益586百万円、賞与引当金の増加額161百万円、法人税等の還付額114百万円、減価償却費105百万円によるものであり、支出の主な内訳は、その他の負債の減少額196百万円、法人税等の支払額97百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、49百万円となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入49百万円によるものであり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出61百万円、投資有価証券の取得による支出44百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、445百万円となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額396百万円、リース負債の返済による支出51百万円によるものであります。
参考情報として、IFRSに準拠した当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当事業年度末における資金は、前連結会計年度末に比べ258百万円増加(合併に伴う増加20百万円、その他の増加238百万円)し、4,014百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,211百万円(前年同期は584百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、減価償却費及び償却費590百万円、税引前利益472百万円、その他118百万円、法人所得税の還付額114百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、49百万円(前年同期は100百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、投資の売却による収入50百万円によるものであり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出61百万円、投資の取得による支出44百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、923百万円(前年同期は1,187百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出529百万円、配当金の支払額396百万円によるものであります。
b.資金調達の方法及び状況並びに資金の主要な使途を含む資金需要の動向
(ア)持続的な成長のための財務戦略
当社は持続的な成長を実現するため、財務の安全性と収益性、およびステークホルダーへの収益還元の優先順位づけとバランスに留意した財務戦略を立案し、実施しております。
ⅰ.健全な挑戦のためのリスクに見合った適正現預金の確保
当社ではクリエイター人材の旺盛な需要を見込み、積極的に体制増強を進めております。しかしながら、固定化した人件費はリスクを伴います。体制増強の推進を担保するためのリスクヘッジ策として、想定する危機を回避できるだけの現預金を常に保持することとし、指標化により管理しております。
具体的にはリーマンショックと同等の経済混乱ならびに、大口顧客との取引中止および信用不和による新規取引ゼロの事態が発生し、いずれもその状態の解消に1.5年から2年かかると想定した場合、最大の赤字幅は月間平均社内総経費の2.8~3.3ヶ月分と試算しております。
したがって、最適現預金を月間社内総経費予算の3ヶ月分と定めております。当事業年度(第30期)の最適現預金額は5,445百万円と試算しており、第31期の適正現預金額の試算額は5,589百万円としております。
ⅱ.資本コストを上回る高収益性の確保
資本コストを上回る高い収益性を確保するため、ROE指標と事業ROE指標を設定しております。
・ROE指標は、事業ROE指標をもとに運営される事業から生み出される利益に加え、適正現預金指標によって保持される現預金を加味した値とし、25%を目標としております。
・事業ROE指標は、メンバーズが行う事業が生み出す利益水準を示し、35%を目標としております。事業運営やM&A等、すべての事業における収益面で本指標をクリアすることを前提として行っております。
ⅲ.株主還元・配当方針
当社は、株主への利益還元の充実とさらなる企業価値の向上を図る観点から、ミッション実現に向けた新たな事業への投資及び業容の拡大に備えるための内部留保を行うとともに、経営成績の伸長に見合った成果の配分や配当金額の継続的な増額を実施してまいります。この方針に基づき、目標とする配当の指標を中長期的な目標資本配当率5%としております。
(イ)持続的な成長のための事業投資
サービス産業である当社にとって、研究開発とは事業投資やサービス開発投資であり、高収益・高成長を持続的に維持するためには当該領域への投資が不可欠であると認識しております。当社では持続的な成長に向けて、サービスの向上・開発に向けた継続的なサービス開発投資、新規事業開発を進めるための投資枠、経費枠の指標を次のとおり設けております。
項 目 |
内 訳 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
指 標 |
付加価値売上高に 占める割合 |
事業開発 投資 |
サービス開発投資 新規事業開発投資 生産性向上投資 DGT推進 |
252百万円 |
事業開発投資+人材育成投資 毎期、付加価値売上高の3.5%~5% |
2.8% |
人材育成 投資 |
教育研修費 教育研修部門 総経費 |
347百万円 |
③生産、受注及び販売の実績
a.制作実績
区分 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
ネットビジネス支援事業(千円) |
17,591,753 |
- |
合計(千円) |
17,591,753 |
- |
(注)1.上記金額は、製造原価によっております。
2.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。
b.受注実績
区分 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
ネットビジネス支援事業 |
22,651,420 |
- |
1,706,839 |
- |
合計 |
22,651,420 |
- |
1,706,839 |
- |
(注)1.上記金額は、販売価格によっております。
2.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。
c.販売実績
区分 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
ネットビジネス支援事業(千円) |
22,329,565 |
- |
合計(千円) |
22,329,565 |
- |
(注)1.外部顧客への販売実績において、損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
2.当事業年度より非連結決算に移行したことから、前年同期比は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の重要指標・KPIに対する経営成績は次のとおりであります。
重要な指標 |
時点 |
前連結会計年度 |
当事業年度 |
増減 |
デジタルクリエイター(DC)数 |
事業年度末 |
2,482名 |
2,627名 |
145名増 |
付加価値売上高 |
事業年度 |
19,208百万円 |
21,277百万円 |
+10.8% |
売上総利益率 |
事業年度 |
21.0% |
20.9% |
▲0.1pt |
DGT一社あたり付加価値売上高 |
事業年度末 |
3,239万円 |
3,150万円 |
▲2.7% |
新卒1、2年目を除くDCの稼働率 |
第4四半期 |
86.4% |
85.4% |
▲1.0pt |
年間売上収益1億円以上の取引社数 |
事業年度 |
46社 |
55社 |
9社増 |
売上単価 |
第4四半期 |
882,004円 |
912,681円 |
+3.5% |
PMO人材数 |
事業年度末 |
67名 |
358名 |
291名増 |
資本配当率(DOE) |
事業年度 |
6.5% |
7.0% |
+0.5pt |
(注)参考情報としてすべてIFRSに準拠した数値を記載しております。当社は2024年11月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社メンバーズエナジーを吸収合併したことに伴い、非連結決算に移行しました。そのため、当事業年度は組織再編後のIFRS個別決算の数値、前連結会計年度は組織再編前の従来のIFRS連結決算の数値を掲載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資金需要及び資金調達
当社は、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するために、事業投資やサービス開発投資や人材育成投資に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しているほかに国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づく財務諸表も作成しております。この財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
参考情報として、IFRSに準拠した財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (2) 国際会計基準による財務諸表 注記事項 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。