2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。以下に記載したリスクは、当社グループの事業活動等に係るすべてのリスクを網羅したものではなく、記載していない他のリスクの影響を受ける可能性もあります。

なお、リスクが顕在化する可能性のある時期は、予見することが困難なため記載しておりません。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)外部環境変化に係るリスク

リスク

1.学齢人口及び待機児童の減少(発生可能性:高 影響度:大)

内容

日本国内は、出生率の低下等により少子化の問題に直面しております。少子化は、塾生となりうる児童の絶対数の減少という直接的な影響に留まらず、入学試験の平易化等により、入塾動機の希薄化に繋がる可能性があります。

また、保育業界においては、国がとりまとめた「新子育て安心プラン」に基づき保育の受け皿が拡大し、待機児童は減少傾向にあります。

今後、予想以上に少子化等が進行し学習塾や保育施設のニーズが低下した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、少子化等の進行が比較的緩やかで学習塾等のニーズが高い地域を営業エリアとしております。

学習塾では、個別指導の「個別指導学院フリーステップ」、クラス指導の「開成教育セミナー」等の複数ブランドを運営し、様々なニーズに対応しております。また、保育施設では地域に根付いた保育サービスを提供しております。

 

 

リスク

2.競合の影響(発生可能性:中 影響度:大)

内容

当社グループが主要なターゲットとしている高校受験、大学受験に向けた教育サービスを提供する学習塾等の競合先は多数存在いたします。また、生成AIの出現等によりオンラインコンテンツも充実し、競合サービスも増加しております。

保育業界においては、早期の待機児童の解消を目指すべく保育の受け皿が拡大しており、競合先は増加する傾向にあります。

今後、競合先の優位により相対的に当社サービスの需要が低下した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループの学習塾では、独自の教育コンテンツの運用、良好な合格実績等、当社の特色をアピールし集客を図っております。また、「オンライン個別指導 フリーステップ Link One」を開講し、オンライン授業に特化したコースを設けております。

保育施設では、学習塾のノウハウを生かした知育を実施し、競合先との差異化を図っております。

 

 

 

リスク

3.近畿圏の人口動向及び経済動向(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社グループは、2024年3月末において、フランチャイズ教室を含めた学習塾等を330教室展開しており、大阪府の教室数は48.2%(近畿圏77.9%)を占めております。

このため、大阪府及び近畿圏の人口動向及び経済動向によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

2011年に東京都に教室を初開校し、2024年3月末の関東圏の教室の割合は19.1%と事業展開地域の分散をすすめております。また、通塾エリアを問わないオンライン授業も提供しております。

 

 

リスク

4.教育制度等の変更(発生可能性:中 影響度:小)

内容

学習指導要領の改訂や入試制度の変更など教育制度の変更が度々行われ、当社グループでは、これらに対応したサービスを提供しております。

今後、これらの制度変更に早期に対応できなかった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

入試情報を取り扱う専門部署を設置するとともに、各部署は社外セミナー等を通じた情報収集等に努め、教育制度の変更等に応じたカリキュラムの設定やサービスの提供を実施しております。

 

 

(2)事業戦略リスク

リスク

5.人材確保と育成(発生可能性:高 影響度:大)

内容

当社グループの学習塾では、正社員又は契約社員が教員として学習指導及び進路指導を行うとともに、優秀な大学生等を講師として採用し、教務にあたっております。また、保育施設では、保育士の資格保有者が保育サービスを提供しております。当社グループにおいて、人材は重要な経営資源であり、教員・講師及び保育士の安定的確保と内部育成は、提供する教育及び保育の質に直結するものであります。

今後、人材の確保や育成が計画通りに行えない場合は、新規教室開校計画の遂行に支障が生じる可能性があります。また、提供する教育及び保育の質の低下から塾生等のニーズを満たすことが困難になること等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、要員計画に沿った適切な人材を確保するために新卒採用及び中途採用を実施しております。また、長期インターンシップの導入、大学生の非常勤講師の内部リクルートの活用等により若い人材の確保にも努めております。

様々な研修を実施し従業員教育に努めることにより、人材の早期育成を図り、能力を公正に評価する人事評価制度や褒賞制度により社内の活性化を図っております。

 

 

リスク

6.教室展開(発生可能性:中 影響度:中)

内容

当社グループでは、事業拡大すべく、積極的に教室を新規開校しておりますが、希望する物件が確保できない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、一定の開校基準に則り物件を選定しております。恒常的に不動産仲介業者から情報提供を受け、物件確保に努めております。

 

 

リスク

7.固定資産の減損損失(発生可能性:高 影響度:小)

内容

当社グループでは、教室設備等の有形固定資産、事業譲受に係るのれんやソフトウエア等の無形固定資産を計上しております。

今後、当該資産の将来キャッシュ・フローが当初の想定を下回り、設備投資の金額を回収できない場合は、減損損失を認識することになり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

教室の新規開校にあたっては経営会議で十分議論し、将来のキャッシュ・フローを生み出すものに設備投資を行っております。また、事業譲受を行う場合は当社グループの事業とのシナジー効果、相手方の収益性、将来性等を十分に検討し意思決定を行っております。

 

 

 

リスク

8.業績の季節変動(発生可能性:中 影響度:小)

内容

当社グループの学習塾部門では、月々の通常授業に加え、学校の長期休暇を利用した講習会や合宿を実施しており、これらの実施月の売上高は増大いたします。また、塾生数は、期首より月を追うほどに増加し、11月から12月にかけてピークを迎え、卒塾を迎える2月から3月にかけて最も塾生数が少なくなる傾向にあります。一方、教室運営費用(人件費・家賃等)の固定費は毎月継続して発生いたします。そのため、講習会等を実施せず塾生数も少ない第1四半期(4月~6月)の収益性が低くなる傾向にある一方、第2四半期(7月~9月)・第3四半期(10月~12月)は収益性が高くなる傾向にあります。

今後、学校の長期休暇の短縮、長期的な天候不良等により想定した授業が行えない場合は、収益性の悪化を招き当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、学習塾に限らない教育分野を事業領域としております。主力事業である学習塾では、固定費削減等に努めておりますが、進級時の塾生数の減少は避けられず、第2四半期・第3四半期に収益が偏る傾向は続くものと考えております。

 

 

リスク

9.フランチャイズ事業展開(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社グループでは、2024年3月末日現在、「個別指導学院フリーステップ」のフランチャイズ教室を47教室展開しております。フランチャイズ教室は、当社グループと同様のカリキュラム及び教材を使用し、直営教室と同水準の教育サービスを提供しております。

しかしながら、何らかの理由で直営教室と同水準のサービスが提供できない事態が生じた場合は、ブランド価値を毀損し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

「個別指導学院フリーステップ」では直営教室と同等のサービスを提供できる地域でのみフランチャイズ展開しております。また、当社グループの理念を共有できる者をフランチャイジーとして選定するとともに、教室運営経験を有するスーパーバイザーが定期的にフランチャイズ教室を巡回し、運営指導や運営指導等の助言を行い、フランチャイズ教室の品質維持に努めております。

 

 

リスク

10.差入保証金等の保全(発生可能性:中 影響度:小)

内容

当社グループの教室等は賃借物件を基本としており、2024年3月末における差入保証金の残高は連結総資産の10.47%を占めております。

また新たに建物を建設する際に、賃貸人に対して賃借料と相殺して返済を受ける建設協力金を拠出する場合があります。

このため、賃貸人の経営破綻等によって差入保証金等の返済が受けられない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、可能な限り賃貸人の経営状況等を確認したうえで賃貸借契約を締結しております。また、契約締結後も管轄部署が賃貸人等の状況把握に努めております。

 

 

(3)オペレーションリスク

リスク

11.災害・感染症等の発生(発生可能性:中 影響度:大)

内容

当社グループが事業展開している地域において、大規模な地震等の災害の発生、大規模な感染症等が蔓延した場合は、当社グループの一部又は全部の業務遂行が困難となり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、災害時のマニュアルの制定、防災防犯訓練の実施、保護者への連絡手段の確保等、有事に備えた体制づくりに努めております。

また、オンライン授業の提供、在宅勤務制度の導入等、事業継続のための対策を講じております。

 

 

リスク

12.個人情報の取扱(発生可能性:低 影響度:大)

内容

当社グループは、相当数の塾生等に関わる個人情報を有しております。今後、何らかの原因により当社グループが保有するこれらの情報が外部に流出した場合は、当社グループの信用低下を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

社内規程の制定並びに従業員への啓蒙、データの社外持ち出し制御措置等により、情報漏洩の未然防止を徹底しております。

 

 

リスク

13.情報セキュリティ(発生可能性:低 影響度:大)

内容

当社グループの事業活動において、情報システムへの依存度は年々高まっております。また、近年ではサイバー攻撃やコンピューターウイルス等による被害も増加傾向にあり、その手口も巧妙化しております。今後、サイバー攻撃やその他の要因により深刻なシステム障害が発生した場合は、業務の中断等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

回線や重要なデータの完全二重化により障害発生時にも適時に対応できる体制を構築しております。また、全従業員にサイバー攻撃やコンピューターウイルス感染の未然防止について啓蒙しております。

 

 

リスク

14.安全管理(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社グループでは、安全な学習環境、保育環境の提供に努めております。今後、これらに関する費用が増加した場合や、何らかの事情により当社グループの管理責任が問われる事態が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、周辺の環境を調査したうえで教室等を開校しており、一部の教室にはスクールバスを導入しております。入退室の保護者へのメール通知、防犯カメラや防犯グッズの配備、防災防犯訓練の実施等により安全な環境を確保しております。また、事故発生時のマニュアルを制定し、万一の事故発生にも対応できる体制を整えております。

 

 

リスク

15.保育施設の許認可(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社の運営する「かいせい保育園」、「かいせいプチ保育園」及び子会社の運営する「アイテラス保育園」は、保育所設置に関する許認可のもとに運営しております。認可保育所は、保育所ごとに許認可権限を持つ行政機関へ保育所設置の申請を行い、審査を経た上で許認可が付与されます。

今後、何らかの理由によりこれらの許認可が取り消された場合や営業停止となった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、許認可を継続するための諸条件や関連法令の遵守しており、行政の指導のもとで認可保育所を運営する体制を整えております。

 

 

リスク

16.法的規制(発生可能性:低 影響度:小)

内容

学習塾運営に関連する主な関連法令は、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、著作権法、個人情報の保護に関する法律等があります。また、保育施設や飲食店舗は、食品衛生法に基づき飲食を提供しております。

今後、何らかの法令違反により処分がなされた場合、訴訟等が提起された場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、全従業員に法令等の遵守の重要性及び必要性について周知、実践するとともに、組織的な予防体制を構築しております。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、長期にわたる安定基盤の確立に努めるとともに、継続的かつ安定的な配当の実施を基本方針とし、収益状況に応じて配当性向を勘案し、1株当たり配当額の向上を図る方針であります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度の配当については、上記方針に基づき、1株当たり18.00円(うち中間配当9.00円)を実施することを決定いたしました。この結果、配当性向は25.1%となりました。

内部留保した資金については、業容拡大のための設備投資、新規事業の開発並びにM&A等に活用し、企業価値を高めてまいります。

なお、当社は会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

(注)  基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月13日

取締役会

49,931

9.00

2024年6月27日

定時株主総会

49,931

9.00