2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 市況変動のリスク

当社グループが主に取り扱っている販売用食肉や、ハム・ソーセージ及び調理加工食品の原材料となる畜産物は、国内外から調達しております。ASF(アフリカ豚熱)、BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢など家畜の疫病発生や輸入豚肉・輸入牛肉を対象としたセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動などの輸入制限により仕入数量の制限や仕入価格の上昇が考えられます。また、原油価格の変動により、石油製品である容器類、包装材料の仕入価格が変動する可能性があります。これらの市場変動により、仕入価格や供給量に大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この対策として、市場ニーズに沿った商品やサービスの提供やオリジナルブランドを中心に相場に左右されにくい商品の取扱いの拡大を行ってまいります。また、新しい国内外の仕入産地の開発や原材料の調達ルートの分散化、代替原材料の検討などの対応策を進めております。

 

② 減損会計適用の影響について

当社グループの事業所開設の際には、敷地を取得するケースと賃借で使用するケースがあり、事業用の設備、不動産等の様々な有形固定資産、無形固定資産を所有しております。固定資産の減損の兆候がある資産及び資産グループについて、当該資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当社グループが保有する固定資産について減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 退職給付債務のリスク

当社グループは、退職給付費用及び債務を将来の退職給付債務算出に用いる割引率などの年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、金利環境の変化等により実際の結果が仮定と異なる場合や仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び計上される債務に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。それにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 自然災害等のリスク 

当社グループは、地震や台風等の大規模な自然災害により生産及び物流拠点や営業拠点の設備に甚大な損害を受ける可能性があります。さらに交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受け、事業活動に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この対策として、「FRA(福留ハム・リスクマネジメント・アクション)委員会」を設置し、実際に自然災害が発生した場合には、直ちに対策本部を立ち上げ、対応する体制を整備しております。また、広島豪雨災害や熊本地震により被害を受けた広島工場と熊本工場の災害に対してのリスク分散のため、2019年5月岡山県に岡山昴工場を新設・稼働しております。

 

⑤ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

当社グループは、複数の工場、事業所等を使用し事業活動を行っております。新型コロナウイルス感染症分類が5類へ移行したことに伴い、経済活動は正常化が進んでおりますが、未確認の変異株の新たな発生等により、事業活動の停止を余儀なくされた場合、当社グループの事業活動及び業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、今後も感染の状況を注視しながら事業運営に取り組むとともに、引き続き適切な感染症防止対策を実施してまいります。

 

 

⑥ 商品の安全性のリスク

当社グループの提供する商品において、異物の混入、表示不良品の流通、あるいは社会全般にわたる一般的な品質問題など、商品の品質に重大な瑕疵や不備、その他当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。  

この対策として、当社グループは、「安全・安心」をモットーに商品づくりに取り組んでおります。外部認証(ISO、HACCP)の取得、トレーサビリティシステムやフードディフェンスの強化をはじめとして品質保証部門による厳しい品質保証体制を構築し、常に運用の向上・見直しを図りながら、危機意識の浸透による安心・安全な生産を行ってまいります。なお、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるISO22000を2022年3月に製造工場である広島工場、熊本工場及び岡山昴工場で認証取得し、運用しております。

 

⑦ 法的規制のリスク

当社グループの取扱い品目の大半は、「食品衛生法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」を始めとした多くの法的規制を受けております。これら法的規制に大幅な改正や新設があった場合や、何らかの理由で関連法規等を遵守できず、法的規制等の適用を受けることになった場合などには新たな費用の発生、あるいは事業活動を制限されるなど、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

この対策として、当社グループは、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、総務人事部に法務担当を設置して、製品・商品の安全・安心の包括的な管理体制のみならず、全般的な法令遵守体制を強化し、関連法規の遵守に努めてまいります。

 

⑧ 情報セキュリティ

当社グループの業務は、基幹システムを導入し、業務の運営を行っています。昨今頻発している豪雨や地震等の自然災害、大規模停電や不正アクセスなど不測の事態により情報の漏洩やシステム障害が発生した場合、当社グループの信用低下や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この対策として、VPN(バーチャル プライベート ネットワーク)を構築し、ネットワークのセキュリティを確保するとともに、コンピュータにセキュリティソフトやウイルス対策ソフトを導入し、セキュリティ強化を図っております。また、機密性の高い情報は、データセンターにおいて、より強固なセキュリティにより保管するよう対策を行っております。

 

⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、当連結会計年度において、重要な営業損失を計上していること及び、2期連続となる営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

しかしながら、当社グループは、当該状況を解消するために、「成長戦略構築」と「収益体質改善」を最重要課題 として、以下の4点に取り組んでまいります。

Ⅰ. ハムソーセージ、デリカ商品の「競争力の強化」

Ⅱ. 生産性向上と営業力強化による「生産量・販売量の拡大」

Ⅲ. 業務改革ならびにシステム化推進による「収益構造改革」

Ⅳ. 企業理念再構築と組織改編による「組織力強化」

なお、ⅠからⅣの詳細等については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。

また、現金及び預金、短期間に資金化可能な投資有価証券、取引金融機関との当座貸越契約の未実行残高等の資金余力を十分確保しております。今後も機動的に資金調達を行っていくことで、当面の間の運転資金及び投資資金が十分に賄える状況にあることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は強固な経営基盤に基づく安定的な配当の継続を基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としており、配当の決定機関は取締役会であります。また、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

当社では、期末配当金として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。

当事業年度におきましては、黒字化を達成いたしましたが、未だ先行きが見通せない状況下において、経営の安定を図るためには、慎重な財務管理が求められます。原材料価格やエネルギーコストの高騰、人件費や物流費の上昇等、経営環境が依然として厳しい状況が続いており、将来における事業継続のためにも、財務基盤の安定化を図ることが現状において最優先課題であるとの考えから、無配とさせていただきます。

なお、当社は連結配当規制適用会社であります。