2024年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    337名(単体) 543名(連結)
  • 平均年齢
    41.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    8.5年(単体)
  • 平均年収
    4,527,211円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

設計サービス

343

(36)

メンテナンスサービス

125

(175)

再エネサービス

35

(12)

全社(共通)

40

(4)

合計

543

(227)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は(  )に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

337

(215)

41.6

8.5

4,527,211

 

 

 

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

設計サービス

173

(36)

メンテナンスサービス

125

(175)

再エネサービス

-

(-)

全社(共通)

39

(4)

合計

337

(215)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数は(  )に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

3.全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門等に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループは、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者

の割合(%)(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

22.8

62.5

65.5

71.6

94.9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.連結子会社は、上記準拠法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。なお、特に記載のない限り、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 

当社グループは、設立より30年以上にわたって住宅のライフサイクル全般に関わる領域で事業成長を果たしてまいりました。当社が2002年に上場して以来、増収増配を継続し成長を続けておりますが、当社グループの持続的成長を支えているのは、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)を根幹に位置付け、サステナビリティを重視した事業運営であります。

地球温暖化による影響は年々深刻化しており、それに伴う自然災害が国内外で増加している中、持続可能な社会の実現に向けた事業活動を行うことの重要性が一層高まっております。

そうした中、当社グループは、持続可能な社会の実現を果たすために、パーパス(存在意義)として「HCDs(Housing Carbon Neutrality Digital Solutions)」を新たに掲げて、当社グループの事業活動を通して「住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える」ことを目指しております。

 

 

パーパス:住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支える

 


 

 

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

 

 ①ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、サステナビリティに関するグループ方針や目標の策定、各事業会社・事業部の取り組み状況の進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。

 

<サステナビリティ推進体制図>


 

 

②リスク管理

 

当社グループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。

リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することにより、持続的な成長につながると考えています。

また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。「総合リスク対策委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。

 

当社グループは、「総合リスク対策委員会」で特定したリスクのうち、サステナビリティに係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各事業会社・事業部と共有化を図っています。

各事業会社・事業部ではサステナビリティの取組みを実行計画に落とし込み、「サステナビリティ委員会」で各実行計画の進捗確認を行っています。

その内容について、「総合リスク対策委員会」及び「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。

 

<リスク管理プロセス>


 

<リスク管理体制>

リスク管理プロセス

担当する会議体

リスクの識別・評価・絞り込み

総合リスク対策委員会(対象:経営に係るリスク全般)

サステナビリティ委員会(対象:サステナビリティに係るリスク)

リスク対応

各事業部門

モニタリング・報告

取締役会

総合リスク対策委員会(対象:経営に係るリスク全般)

サステナビリティ委員会(対象:サステナビリティに係るリスク)

 

 

 

 

(3)気候変動への対応

 

当社グループは、気候変動に関するリスク及び機会を重要な経営課題のーつと認識しており、2022年3月「TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明いたしました。TCFD提言への賛同を機に、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取組みを進めてまいります。

 

①戦略

 

異なるシナリオ(平均気温上昇1.5℃、4℃)における財務的影響及び事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。

 

事業/財務影響評価

 大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される

 中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される

 小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される

 

気候変動に関するリスクは、当社グループ経営に少なからずマイナスの影響を与えうると想定されるものの、当社グループの事業は情報システムを活用したソフトサービスが中心で、温室効果ガスの排出量が少ない事業であること、また、多様な事業からなる事業ポートフォリオによりリスク対応が可能であることから、グループ全体に与える財務的なネガティブリスクは限定的と分析しております。

むしろ、多様な技術・事業によって、気候変動に関する新たな事業機会を獲得できるポテンシャルがあると認識しており、財務的な影響としてはネガティブリスクよりも事業機会の獲得に伴うポジティブな影響の方が大きいと捉えております。

 

 

当社グループにおける気候変動に関するリスクと機会の一覧については、下記のとおりです。

 

■リスク

表1 気候変動リスクに関する財務的な影響及び当社グループの対応方針

項目

事業

潜在的なリスク

財務的影響

当社の対応方針

4℃

1.5℃

法・政策規制

全社

炭素税の導入に伴う、直接的な税負担に加え、電気料金に転嫁されることで、操業コストが増加する。

なし

業務のデジタル化に伴う業務工数の削減

カーボンプライス政策動向のモニタリング

脱炭素・低炭素エネルギーの利用促進

再エネ
サービス

固定価格買取制度における売電価格が低下することで、太陽光発電関連事業の損益が悪化する可能性がある。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

原価低減の取組みを継続的に実施

市場

設計
サービス

ZEHの普及に伴って住宅の電化が進み、エプコが提供している関連サービスへの新規参入が増加し、競争激化によりエプコの採算が悪化する。

エプコにてZEH関連の新たな設計及び

申請サービスを拡大することで差別化を実施

再エネ
サービス

太陽光パネル・蓄電池の需要が急拡大することで競争が激化する。その結果、供給不足となり、原価の上昇や納期遅れが発生する可能性がある。

TEPCOホームテックにて、製品メーカーとの

直接取引及び複数社購買で調達力を強化

急性物理

全社

台風等による自然災害の激甚化により、事業拠点が被災し、営業停止や復旧コストが発生する。

各事業におけるバックアップ体制の整備

(複数拠点化)

再エネ
サービス

台風等による自然災害の激甚化により、工程遅延が発生し、対応費用が生じる可能性がある。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

効率的な施工体制の整備

台風等による自然災害の激甚化により、エネカリにおいて提供している設備の故障が増え、修理費用・補償費用が増加する。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

効率的な施工体制の整備

慢性物理

再エネ
サービス

平均気温の上昇に伴って熱中症リスクが高まる等、施工現場の労働環境が悪化し、生産性の低下や対策コストが発生する。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

施工に係る改善活動による作業時間の短縮

 

 

 

■機会

表2 気候変動機会に関する財務的な影響及び当社グループの対応方針

項目

事業

潜在的な機会

財務的影響

当社の対応方針

4℃

1.5℃

法・政策規制

再エネ
サービス

新築住宅への太陽光パネル設置義務化に伴い、太陽光パネル設置工事に関する需要が増加する。

TEPCOホームテックにて、住宅会社等との提携強化

(新築設置工事受託の増加)

設計
サービス

省エネ基準の強化やZEHの推進に伴い、省エネ性能の高い住宅設計への需要が増加する。

エプコにて、ZEH関連の設計及び

申請サービスラインを拡大

技術

再エネ
サービス

蓄電池価格が技術革新及び量産化により低下し、調達コストが低下する。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

お客様メリットの増加に伴い、営業積極化

評判

太陽光パネルの取り付け簡易化により、構造上の理由で設置が難しかった既築住宅における市場が拡大する。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

拡大対象の住宅への営業積極化

市場

全社

顧客事業における環境貢献度を高めることで、投資家からの評判が高まる。

当社事業が環境負荷低減に貢献する事業であることを投資家に対して一層周知する

再エネ
サービス

EVの普及に伴い、V2HやEV充電の需要が増加する。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

今後のEV普及を見据えたV2H工事受託の体制整備

再エネ
サービス

防災やカーボンニュートラルへの意識の高まりから、太陽光パネルや蓄電池の需要が増加する。

TEPCOホームテックにて、住宅会社等との提携強化及び東京電力エナジーパートナー社が推進する電化戦略との連携強化

設計
サービス

顧客の温室効果ガス排出量削減の動きに伴い、詳細情報を保持するBIM設計を通じた情報提供(建設資材からの温室効果ガス排出量やエネルギー使用量等)需要が増加する。

なし

エプコ及びMEDXにて、

BIMを活用した建築ライフサイクル全般に関する

温室効果ガス排出量の算出モデルの整備

急性物理

メンテ
ナンス
サービス

台風等による自然災害の激甚化に伴い、住宅購入者に対するアフターフォローの重要性が高まり、住宅購入者からの問い合わせ対応だけでなく、情報提供の需要も増加する。

自然災害への備えを目的とした

住宅購入者向け情報提供サービスの検討

慢性物理

再エネ
サービス

気象パターンの変化により、太陽光パネルの年間発電量が増加し、需要が増加する可能性がある。

TEPCOホームテック及びENE’sにて、

お客様メリットの増加に伴い、営業積極化

 

※ なお、当社グループにおける気候変動リスク及び機会に重要な影響を与える項目のひとつとして、我が国における長期的な電源構成に関する政策方針が挙げられます。この度の開示においては、2021年10月に公表された第6次エネルギー基本計画における電源構成を前提に検討しておりますが、今後、再生可能エネルギーや原子力発電の活用について様々な議論がなされることが予想されるため、今後ともエネルギー政策動向について注視してまいります。

 

 

②指標と目標

 

当社グループにおけるScope1・2の温室効果ガス(以下、GHG)排出量実績は、下表のとおりです。

 

 

2022年度

2023年度

2024年度

前年比

(%)

Scope1 排出量

(t-CO2)

177

178

153

85.7%

Scope2 排出量

(t-CO2)

493

460

485

105.6%

Scope1・2合計排出量(t-CO2)

670

638

638

100.0%

連結売上高

(億円)

48.1

50.5

56.1

110.8%

GHG排出原単位

(t-CO2/億円)

13.9

12.6

11.4

90.7%

 

(※)上記排出量は、マーケット基準(Scope2を算定する際に、電力会社やメニューごとのGHG排出係数を用いる方法)にて算出しております。GHG排出原単位は、連結売上高1億円当たりのGHG排出量(Scope1・2の合計)です。

(※)電気事業者別排出係数に関しては、算定方法変更に伴い環境省による公表が遅れたため、昨年度の数値を用いて試算しております。

 

<過去3年間のGHG排出量実績推移>


 

<GHG排出量に関する当社グループの分析>

1.2024年度の排出量(Scope1)が前期比で減少しているのは、Scope1排出の大半を占める子会社のENE‘s社において、効率的な施工管理体制を構築したことで、社用車での移動距離が削減されたことによるものであります。

2.一方、排出量(Scope2)排出量に関しては金沢オペレーションセンター増床に伴う電気使用量の増加等により、5%程上昇しております。

3.この結果、2024年度における連結売上高当たりのGHG排出量は前期比で減少しております。

 

<GHG排出量に関する当社グループの目標>

前述した実績の推移を踏まえて、当社グループは今後の取組みとして下記の事項を進めてまいります。

1.Scope1・2におけるGHG排出量については、デジタル化による業務効率向上を推進することで、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、GHG排出量の削減を行う上では、連結売上高当たりの排出量(GHG排出量原単位)をKPIとして設定し、定量的な管理を実施する方針です。

2.当社グループにおけるGHG排出量を削減するにあたり、再生可能エネルギーの調達やJクレジットの導入についても併せて検討いたします。

3.当社グループにおけるGHG排出量の削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献するサービスを提供することで取引先企業におけるGHG排出量を削減することについても注力してまいります。

 

 

 

(4)人的資本に対する取組み

 

①   経営戦略と連動した人材戦略

 

エプコグループは、「住まいと暮らし、環境を支える」をミッションに掲げ、住宅のライフサイクル全般に関わる3つのサービス(設計、メンテナンス及び再エネサービス)を提供しております。

当該サービスはいずれもソフトサービスが中心であり、資本集約型産業ではなく知識・労働集約型産業であることから、当社グループにおけるもっとも重要な価値創造の源泉は人的資本であります。

 

当社グループの主たる事業領域である住宅・建設業界は、日本をはじめとする先進国で少子高齢化が進む中、デジタル技術を活用したイノベーションによる生産性向上及び世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すことが求められております。当社グループが持続的に企業価値を向上させるためには、社会的なニーズに応える経営戦略と表裏一体で、その実現を支える人材戦略を策定し、実行することが不可欠と捉えております。

 

また、当社グループは2025年2月に「中期経営計画(2025-2027)~変化への挑戦(第1フェーズ)~」を策定いたしました。本中期経営計画では、再エネ領域において再エネ設備の普及拡大で売上を増加させ、住宅領域においてDXによる生産性向上で利益率を向上させることを目指しております。また、第2フェーズ(2028年~2030年)にむけて、第3の事業の柱を創出し、①住宅領域、②再エネ領域、③新規事業領域の3本柱で事業成長を果たしてまいります。この計画を達成するための人材戦略として、先に掲げた3つの事業領域での人材ポートフォリオの転換とダイバーシティ・イノベーションに取り組んでまいります。

 

<人的資本に関する取り組みの全体像>経営戦略と人材戦略の連動

 


 

② 人材登用方針

 

a.エプコグループが求める人材像

 

当社グループは「住まいと暮らし、環境を支える」という当社グループのミッションおよび中期経営計画の実現に向け、下記に掲げる当社グループが求める人材像を定義しております。

 

(エプコグループが求める人材像)

  1.当社グループ中期経営計画の実現に向けリーダーシップを発揮できる人材

  2.主体的に学び、専門性を身に着け、新しいことに挑戦できる人材

  3.常識を疑い、革新を起こせる人材

 

このような人材を確保し、登用するために「人材ポートフォリオの転換」、「ダイバーシティ・イノベーション」を実行し、持続的な企業成長に繋げてまいります。

 

b.人材ポートフォリオの転換

 

当社グループは中期経営計画に基づき、成長事業への人材シフトを行ってまいります。事業領域別の注力テーマと施策は以下の通りです。

 

(再エネ領域)

再エネサービスにおけるエプコグループ各社のさらなる連携強化を目的として、2025年より再エネ事業本部を新設しました。また、通常の配置転換に加え、グループ会社への出向公募制度を活用し、エプコグループで働く従業員に等しく成長領域である再エネ領域での就業機会を提供しております。今後も計画的に再エネ領域に携わる人員転換を図ってまいります。

 

(住宅領域)

住宅領域においては、DXによる労働生産性の革新的な向上を目指してまいります。祖業である設計サービスにおいては、「D-TECH2.0プロジェクト」を始動し、既存業務を3分の1の人員で遂行することを目標とし、業務自動化・自動作図/検図・クラウド化を進めることで省力化・効率化を図ります。それに伴いより専門性の高い人材を育成し、業務の高度化を進めるとともに成長分野(再エネ、BIM、火災保険関連、施工技術者等)への人材配転を行ってまいります。また、メンテナンスサービスにおいては、既存のメンテナンス業務の効率化をDXで実現し、既存業務人員については、より付加価値の高い業務設計や家歴データ活用ができるプロフェッショナル人材として育成することと、新規事業領域(再エネ、火災保険関連等)へのシフトを実現してまいります。

 

(新規事業領域)

当社グループは、エネルギー領域、住宅領域に加えて、新規事業領域で第3の事業の柱を創出するため、火災保険関連事業、非住宅BIM事業、データ活用事業などの新サービスを検討しております。特に火災保険関連事業においては、各事業部門から横断的にメンバーを募り、新サービスの立ち上げに向けたプロジェクトを開始しております。今後はプロジェクトの進行に合わせて、対象者に対する教育研修の実施や損害保険登録鑑定人などの資格取得の推進を図り人員を配置していく方針です。

 

c.ダイバーシティ・イノベーションの推進

 

当社グループの組織の特徴は、①男女比率がほぼ同数であること、②外国籍社員比率が27%と高い水準であることが挙げられます。一方で、当社の組織は、①コールセンターや再エネ施工技術者の不足、②子育て世代が最大限に活躍できる環境整備、③抜本的な業務改革を先導する高度専門技術者の確保、④カルチャー・トランスフォーメーションの中心となる新卒・若手人材の確保などの課題を抱えております。この当社グループの組織の特徴を活かしつつ、抱える課題を解決するためには、多様な国籍・人種・性別・価値観・働き方にとらわれず、幅広くご参加頂くことが必要不可欠と考えており、当社グループとして、多様な人材を登用し活躍する体制を整備してまいります。

 

 

当社グループのダイバーシティ・イノベーション全体像

 


 

(グローバルな人材活用)

当社グループは、2000年代初頭より中国での事業展開を開始し、現在では設計サービスにおける生産設計拠点である東北部の吉林省吉林市を中心にグループ全体で182名の社員が外国籍であり、エプコグループ全体に占める外国籍従業員比率は約27%であることから、今後もグローバルに活躍する人材を積極的に登用する方針です。特に、新卒採用においては、留学生を中心とした海外出身の学生を積極的に採用することで、海外との連携を深めていく方針です。

また、当社グループの再エネサービスにおいては、施工人材が不足しており、採用競争が激化していることから、外国籍人材を施工技術者として育成し、事業成長に応じたキャパシティ確保に努めてまいります。

さらに、当社の設計サービスおよび情報システム管掌の執行役員として外国籍(中国)の人材を登用しており、従業員だけでなく経営管理職においても国籍・人種を問わず優秀な人材を登用してまいります。

 

(高度専門技術者の確保)

当社グループは、特に住宅領域における抜本的な業務改革を推し進め、利益率の向上を図るために、これまで以上にDXを進めていく方針であり、IT分野における高度技術者の確保が急務となっております。このような人材に参画いただくために、テレワーク活用等の柔軟な働き方を前提とし、オフィスから遠方に居住する方々に対しても採用活動を行ってまいります。

 

(聴覚障碍者の積極的採用)

当社のメンテナンスサービスにおいて、また、コールセンター業界全体としても、人材不足が常態化した課題です。それに対する解決策として、デジタルツールをフル活用し、音声でのやり取りを必要としない「日本一静かなコールセンター」を目指しており、聴覚に不安を覚える方が安心して無理なく働ける職場づくりに取り組んでいます。聴覚障碍者の方を積極的に採用し、10名程度を目標に採用活動を行っており、人員を増やしながらメンテナンス業務の抜本的変革を実現してまいります。

 

(従業員(男性・女性)の雇用状況)

当社グループでは、女性が仕事と家庭を両立しつつ、その個性と能力が十分に発揮できる職場環境をつくることは企業に求められる基本的役割の一つであると考えています。

また、当社グループは業務の特性上、男性・女性を問わず活躍できる環境であることから、従業員における男性・女性比率は概ね同数の人員構成であります。

今後は、特に子育て世代に対する支援を手厚く提供することで、事業領域を問わず様々な挑戦を後押しし、人材の流動性を高めることで人材ポートフォリオの転換および管理職への抜擢を図ってまいります。

 

③   人材育成方針

 

当社グループの中期経営計画の実現に向け、当社グループの求める人材像およびスキルセットに基づき、以下のような教育プログラムを提供してまいります。

 

<当社グループの人材育成 全体像>


 

(当社で活躍するためのベーススキルに関する育成項目)

当社グループにて採用・育成した人材が持てる能力を最大限に発揮するためには、信頼関係に基づき、より良い職場環境づくりに継続して取り組む組織風土が重要であると考えております。

当社グループでは、「エプコグループ行動規範」において不正や法令違反等の行為を許さない経営メッセージを伝えるとともに、全ての役職員を対象としてコンプライアンス研修を定期的に実施することで、健全な組織風土の理解浸透に取り組んでおります。

 

また、従業員の成長度合いに合わせた階層別の研修を実施しています。当社グループでは階層毎にテーマを定め、業務上で必要なスキルだけではなく、企業運営において守るべき労働関連法規をはじめとする法令、組織運営に欠かせない人材マネジメント、コンプライアンス・リスク管理を基本とし、そのうえで特に注力するテーマとして、当社グループにおける次世代上級管理職候補であるチームリーダーに対する研修を充実させることと、次期経営者候補である上級管理職に対するアセスメントおよび教育プログラムを導入することに注力してまいります。

 

 

<階層別の成長度合いと主な研修内容>


 

(事業領域別のスキルに関する育成項目)

当社グループでは、事業領域毎に求められるスキルセットを定義し、それに応じた教育プログラムや資格取得支援策を実施しております。特に、エネルギー領域においては電気に関わる各種取得支援を実施しており、電気主任技術者、電気工事士第2種、電気工事施工管理技術者の取得を推奨しております。

 

また、住宅領域は前述したようなDXによる効率化・省力化が重要テーマとなるため、ITに関わる教育プログラムを充実させております。2024年度の取組みとして、Eラーニングを導入した全従業員のITスキル底上げを行っており、今後は勉強会の実施と組み合わせて、ITパスポート取得によるリテラシー向上、上級システム資格を取得する従業員の数も計画的に増やしてまいります。

 

新規事業領域においては、新たな事業の開発から実行・運用までの一連のプロセスに対応可能な人材を育てるべく、専門性の強化に力を入れております。例えば、損害保険鑑定人、BIM利用技術者、BIMプロフェッショナルプラクティショナーといった資格取得に挑戦する社員を発掘し、取得に向けたサポートを行ってまいります。

 

今後も、従業員個々人の能力・スキル・キャリアビジョンに応じた柔軟な学びを提供することで、従業員がより一層、個々人が持つ能力を最大限に発揮できる体制を整備してまいります。

 

 

④   社内環境整備方針

 

当社グループは、社員一人ひとりの活躍を企業の持続的な成長の原動力ととらえ、個々人が能力を最大限に発揮できるよう、業務内容やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にする取り組みを推進しております。

 

(エンゲージメントサーベイの実施)

当社グループは、当社グループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求することを経営理念として掲げており、社員の能力を最大限発揮できる環境を整備することを重視しております。そこで、従業員からの声を幅広く聞くための仕組みとして、エンゲージメントサーベイを年に2回実施しております。

当該サーベイの結果は、人事制度の改定や職場の環境改善、従業員の異動等に活かしております。このほか、サーベイ結果に基づき、業務を円滑に遂行するためには社員同士の相互理解や交流機会を促すことも有益であるとの考えから、公認部活動制度の新設や地域イベントへの参加など社内コミュニケーション活性化に向けた取組みも実施しております。

 

(柔軟な働き方を可能にする人事制度)

当社グループは育児・介護と仕事を両立したい社員、傷病や遠隔地に居住している等の事情のある社員にもできる限り多様な働き方を提供したいと考えており、テレワーク、時短勤務といった働き方を選択可能にしています。

上記のような事情がない従業員に対しても、「テレワーク50」という制度を実験的に設けており、年間50日までテレワークを行うことができます。

また、当社グループでは産休・育休制度を整備し、復職支援も積極的に実施しており、実績として過去10年間(2015~2024年)における産休・育休取得者は延べ83名(復職率は83.1%)となります。

さらに、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が出来るよう時間単位での年次有給取得も可能としております。

今後はこれらの取組みに加え、女性活躍の推進、子育て世代への支援強化、介護と仕事を両立する社員への支援体制の整備などの各種取組みを加速させてまいります。

 

(健康経営)

当社グループは従業員一人一人が心身ともに健康な状態(ストレスに適切に対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、かつ組織貢献が出来る状態)を維持するために社員の健康管理や健康増進の取り組みを積極的に推進し、2021年度に健康保険組合東京連合会より健康優良企業認定「銀の認定証」を取得しております。今後「金の認定証」取得を目指してまいります。

 

(快適な職場づくりへの取り組み)

当社グループのオフィスは従業員同士のコミュニケーションを促進し、快適かつ効率的に就業できる環境を重視しております。拠点ごとに開放的なオープンスペースを用意し、休憩室としての用途に加え、社内イベントにも活用しております。

 

東京オフィス風景

沖縄オフィス風景

金沢オフィス風景

 


 

⑤ 指標と目標

 

人的資本経営推進においては、テーマごとに2025年3月末時点における状態目標を定義しております。

 

(人材登用に関する指標と目標)

人材登用のテーマにおいては、チームリーダー以上の女性管理職の登用率を25%にすることを目標としています。

当社グループの男女比率はほぼ同数であるにもかかわらず、チームリーダー以上の管理職に占める女性割合は22.8%に留まっており、優秀な女性従業員の管理職登用割合を高めることは、当社グループの生産性向上に貢献すると考えております。

当該目標の達成に向けては、働き続けたい女性が家庭と仕事を両立し、意欲的にキャリア形成が出来る仕組みを整えることが重要であると捉えております。そこで、2023年度より女性社員が集い、意見発信を行う場として女性活躍推進活動「ルミライズ」を立ち上げ、1か月に1回、定期的な活動を行っております。

 

<取組み事例> 女性活躍推進に向けた、従業員と経営者によるタウンホールミーティングの開催

2024年実施、従業員の66.5%が働く沖縄に焦点を当て、従業員が抱える様々な働きづらさや会社に期待することについて、当社経営陣や社外有識者を交えて対話。


(人材育成に関する指標と目標)

人材育成のテーマにおいては、リーダー研修受講率100%を目標としてまいります。

当社グループでは再エネサービスに経営資源を集中させる中で、グループ会社の業務領域が拡大しており、これらを担う管理職人材の育成が急務となっております。そのため、チームリーダーをはじめとした管理職候補者を対象にしたリーダー研修を確実に行い、今後は次世代幹部育成に向けた上級管理職育成プログラムを充実させ、実施してまいります。

 

(社内環境整備に関する指標と目標)

社内環境整備のテーマにおいては、健康診断有所見50%以下を目標としてまいります。

当社従業員の平均年齢が41.6歳に達する中で、従業員と組織の活性化により業績向上を図るためには、従業員の健康維持は重要な経営テーマであると認識しております。健康経営の推進に向けて、定期的な健康セミナーやウェルネスイベントの計画等を実施してまいります。

 

方針

テーマ

指標

目標値

実績

人材登用方針

ダイバーシティの推進

女性管理職登用率

25.0%

22.8

人材育成方針

管理職人材育成

リーダー研修受講率

100.0%

93.8

社内環境整備方針

健康経営

健康診断有所見率

50.0%以下

74.3