2025年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,112 100.0 39 100.0 3.5

3【事業の内容】

 

(1)ミッション

 当社は、「音から価値を創出し、革新的サービスを提供することにより社会に貢献する」を経営理念に掲げ、産総研技術移転ベンチャーの獲得を契機に、「音」に着目したAI(※1)の研究・開発を行い、その成果を社会実装することを目指してまいりました。また、当社は社名の由来ともなっているHuman Machine Communicationの実現により、新しい社会を自ら創造することを目指しております。

 当社は、創業からAIに関する研究開発を行っており、近年の生成AI(※2)および大規模言語モデル(LLM)(※3)の急速な進展を踏まえ、これらを「AI×音」技術と組み合わせることで、コンタクトセンター業務のみならず、バックオフィスや製造現場、人事・採用領域など、多様な業務プロセスの高度な自動化・効率化を実現できると考えております。

 

(2)当社の特徴と優位性

 当社の特徴は、「音」に着目したAIに関する研究開発から製品提供まで、自社内で完結することを目的に、研究開発人材を採用し、またこの独自の研究開発型ビジネスプロセスを実践しているところにあると考えております(全体像は下図に記載)。研究開発型ビジネスプロセスの実践とは、「R&D(※4)初期フェーズ」から始まり「サービス提供運用保守フェーズ」までを順番に実行することを意味しております。当社は創業以来、このプロセスを着実に実践してきた成果として、2025年には従来のAI音声自動応答プロダクト「Terry」を大幅に進化させた、対話型AIエージェント「Terry2」をリリースいたしました。本製品は、高度な自然言語処理と音響解析を組み合わせた「AIエージェント機能」を搭載しており、より人間に近い柔軟な対話コミュニケーションを実現しております。

 

(図1) 研究開発型ビジネスプロセス

 

 「R&D初期フェーズ」においては、2014年8月の産総研技術移転ベンチャー認定取得や、国立研究開発法人の政府予算による複数件の研究開発プロジェクトの採択を通して、音声認識技術や異音検知技術の研究開発を実施してきました。本フェーズにおいては、今後訪れると予測される社会課題の解決につながる研究課題を当社で考え選定したうえで研究を進めてきております。その過程における活動が評価され「NEDO(※5)AIベンチャーコンテスト最優秀賞」、「JEITA(※6)ベンチャー賞」、「大学発ベンチャー表彰 NEDO理事長賞」等を受賞しております。

 「R&D初期フェーズ」の研究開発成果を、個別企業の課題解決のために活用し、社会実装へと高める活動として「R&Dプロジェクトフェーズ」においては、資本業務提携を含む当社と密接な関係を有する先との実証実験を推進してまいりました。2025年度においても、コンタクトセンター分野に加え、製造業、インフラ、教育分野、さらには採用・人事領域等の新たな業務領域において、生成AIおよびLLMを組み合わせた実証実験・PoCを進めております。

 「自社製品開発プロダクト化フェーズ」では、個別企業の課題解決の成果から生み出された機能を、多くの企業で必要となる標準的な機能としてまとめ、当社のAIプロダクトとし開発、提供しております。

 「サービス提供保守運用フェーズ」では、顧客からの製品の設定・使用・動作状況についての技術的質問に関する助言や、当社製品のマイナーバージョンアップデートの提供、製品のソフトウェア障害への対応等を実施しております。また、保守運用フェーズにおける当社製品の導入による業務改善の取組み支援も行っております。

 当社では、これらのビジネスプロセスを複数年にわたり実践することにより、社会課題解決につながる研究実践に加えて、個別企業と密接な提携関係を構築し課題解決を行えていると考えております。その結果、顧客企業や業界課題の理解度の向上、競合他社が簡単には入り込めない信頼関係の構築、課題解決に効果的な機能開発等を実施することができていると当社では認識しており、このビジネスプロセスにより当社ならではの競争優位性を構築できていると考えております。また、自社プロダクトに対しては、上記「自社製品開発プロダクト化フェーズ」で記載した通り、多くの企業で必要となる標準的な機能が実装されていくこととなり、課題解決につながる機能が拡大されていきます。そのため、当社プロダクトが課題解決につながる幅が大きくなっていくことにより、より多くの企業への導入につながるものと考えております。さらに、このビジネスプロセスがスパイラルアップされることで、今後より大きな社会課題の研究や個別企業の課題に取り組む機会を生み、この高度な課題を解決する機会を求めて優秀な人材が集まるという好循環も実現されていると当社では認識しております。

 

(3)当社が展開するサービス及びソリューションの内容

 当社では「AI×音」サイエンス事業の単一セグメントとしており、当該事業内でAIプロダクト事業(2025年度売上高比率:38.8%)とAIソリューション事業(2025年度売上高比率:61.2%)を展開しております。AIプロダクト事業は、コンタクトセンターにおける応対品質向上を支援する音声認識プロダクト「Voice Contact」、電話応対を自動化・高度化するAI音声自動応答プロダクト「Terry」および対話型AIエージェント「Terry2」を展開しております。また、会議の生産性を高めるAI議事録自動作成プロダクト「ZMEETING」や、製造現場等における機械の異常音を検知する「FAST-D」など、音声認識から異音検知まで幅広い領域で製品開発・提供を行っております。AIソリューション事業は、AIプロダクト事業で培った技術や知見を基に、AI活用や、顧客のDX(※7)推進等の課題解決をトータルに支援するAI開発・コンサルティングを実施しております。

 

■AIプロダクト事業

 当社では、2015年より「音声認識を民主化し、キーボードレスの新しい社会を自ら創造する」というビジョンの実現に向け、音声認識・言語解析プロダクトの開発に取り組んでまいりました。主にコールセンター領域において研究開発型ビジネスプロセスを推進し、その成果として「Voice Contact」や「Terry」等のプロダクトを市場へ提供しております。さらに2025年度からは、従来の音声AIボット「Terry」の設計思想を継承・発展させた、生成AI搭載の対話型AIエージェント「Terry2」の提供を開始いたしました。

 「Terry2」は、定型的なシナリオによる対応に留まらず、会話の文脈をリアルタイムに理解し、予約受付、決済、本人確認といった実務タスクを自律的に遂行する能力を有しております。また、AIでの対応が困難な場面では即座にオペレーターへ引き継ぐ「有人連携機能」や、会話の停滞を検知するアラート機能を備えており、顧客体験の質を維持しながら業務の自動化を実現いたします。当社は、「Terry2」の普及により、コンタクトセンターの在り方が「システムによる人の支援」から、「AIエージェントによる自律的業務を人が管理・補完する形態」へと変容していくものと認識しております。

 2026年度以降は、顧客ニーズに応じて「Terry」および「Terry2」の販売を加速させるとともに、これらのフロントエンド機能を核とした製品体系の再編を推進いたします。具体的には、業務通話の記録・分析基盤である「Voice Contact」を、AIエージェントが生成する膨大な対話データを高度に処理・蓄積するバックエンド基盤として位置づけ、「Terry2」の統合プラットフォームへと融合させてまいります。これにより、AIエージェントによる自動応対から有人による高度な顧客対応までを一気通貫で管理する「次世代対話プラットフォーム」の開発を推進し、コンタクトセンター全体のDXを牽引してまいります。

 これまでは音声認識や自動要約技術を通じた「オペレーターの負担軽減」に主眼を置いてまいりましたが、今後はAIエージェントが対話の主体を担う構造への転換を想定しております。人は、AIでは対応困難な高付加価値業務や例外対応、およびAIエージェントの運用設計・品質改善といった「管理・監督」業務に注力することで、コンタクトセンター全体の生産性と応対品質の飛躍的な向上を目指してまいります

 当社は、これらの「次世代対話プラットフォーム」の提供を通じ、コンタクトセンターやバックオフィス、人事・採用領域をはじめとする幅広い業務分野において、業務プロセスの自動化および顧客・利用者体験(CX/UX)の抜本的な向上を推進し、持続的な成長を目指してまいります。

 当社では、個別企業の課題解決の成果を、多くの顧客が活用できる標準的な機能としてまとめ製品化しているため、多くの顧客で求められる実用的なAIプロダクトとして提供することができていると認識しております。また、音に着目したAIプロダクトの開発を会社設立後から継続的に実施し、その知識および経験の長さを評価されていると判断しております。当社ではこれらの理由から当社のプロダクトを選定いただけているものと考えております。

 AIプロダクト事業における、当社が提供するプロダクトは以下の表のとおりです。

 

<当社プロダクト一覧と概要>

プロダクト名

概要

Voice Contact

(AI音声認識プロダクト)

法人向けに、コンタクトセンター向けAI音声認識・自然言語処理を活用したプロダクトとして、1,116ライセンス(2025年度末)の利用があり、以下の機能を提供しています。

1.顧客の音声をリアルタイムにオペレーターとカスタマーの会話をテキスト化してモニターに表示

2.顧客との会話のキーワードより最適なFAQ自動表示

3.顧客との会話終了後に会話の内容を生成AIによる自動要約の実施およびFAQの自動作成の実現

4.利用者自身で音声認識率をチューニング可能な自動学習機能を提供

5.生成AIによる自動要約作成や、会話データからのQ&Aの自動作成

Terry

法人向けに、音声認識と音声合成、自然言語処理、生成AIを活用し、お客様の電話にAIが回答するサービスであり、AIエージェント機能の有無により製品名称を分けております。

 

Terry(AI音声自動応答プロダクト)

法人向けに、音声認識と音声合成、自然言語処理、生成AIを活用し、お客様の電話にAIが回答するサービスとして、104ライセンス(2025年度末)の利用があります。主に以下のサービスを提供しております。

1.通信販売のコンタクトセンターで、商品申し込みをお客様との会話により注文受付を実現

2.家電量販店の夜間の修理受付対応の実現

3.企業の代表電話に対する代理応答の実現

4.生成AIによるお客様の問い合わせに対する回答の自動作成

 

Terry2(対話型AIエージェントプロダクト)

生成AIを活用し、人間のような自然な対話と実務レベルのタスク遂行(FAQ対応、予約受付、支払い、本人確認等)を実現する対話型AIエージェントです。

2025年度は複数の導入プロジェクトが進んでおりますが、顧客企業との守秘義務により、ライセンス数については非公開とさせていただいております。

1.会話の文脈をリアルタイムに理解し、柔軟かつ自然な応対を実現

2.FAQ対応に加え、予約受付や支払い、本人確認など実務タスクにも対応

3.AIでの対応が難しい場面では、即座にオペレーターへ引き継ぎ、中断を最小限に抑制

4.会話の停滞やループを検知し、適切なタイミングでアラートを出して対応遅延を回避

ZMEETING(AI議事録プロダクト)

法人および個人向けの業務効率化推進ツールとなり、以下のサービスを提供しております。なお、マーケティング戦略によりライセンス数については非公開とさせていただいております。

1.議事録自動作成

2.メッセージのリアルタイムテキスト化、リアルタイム翻訳

3.生成AIによる自動要約作成

FAST-D(異音検知プロダクト)

法人向けにAI技術者でなくても異音検知用のAIモデル作成とメンテナンスができることを目指し研究・開発を実施し、サブスクリプション型のプロダクトとして、13ライセンス(2025年度末)の利用があり、以下の機能を提供しています。

1.熟練した職人の耳で判断している知見をAIモデルへ反映し、工場インフラの異常検知や非破壊検査を自動化する機能

2.稼働中の機械・設備が発する音の解析を通じた、故障の早期発見や部品交換時期の特定による予防保守・予知保全等

 

 「Voice Contact」、「Terry/Terry2」、および「FAST-D」については、導入時の開発対応等により対価を受領しております。さらに、本導入以降は製品の利用による対価をライセンス利用料として受領しております。これらの対価は顧客の要求仕様、利用者数、追加開発の要否などを勘案し個別に決定しております。「ZMEETING」については、製品の利用による対価をライセンス利用料として受領しております。なお、2025年度AIプロダクトの取引先数(社数)は42社、顧客取引平均単価は10.2百万円(ZMEETINGを除く)となっております。

 

■AIソリューション事業

 2020年に国がDX認定制度の運用を開始すると、企業においてもDX推進が重要視されはじめました。当社においても、顧客の要望が「集めたデジタルのデータをどう活用するか」という次の段階に進んできたと認識しております。また、2022年にChatGPT(※8)に代表される生成AIが登場すると、当社でもこの生成AIの効果的な活用を含めた課題解決が求められてきていると認識しております。

 そのため、当社ではAIプロダクト開発事業を通して培った以下4つのノウハウ(XI)を集結し、データの持つ力で新たな社会的価値を創造する「データサイエンス」により企業の課題解決やDX化の推進をトータルにサポートを行うことを目的として、2021年6月より、顧客の持つデータの利活用にかかわる経営課題を分析し、生成AIを活用した課題解決やDX化推進支援を目的にAIソリューション事業を開始しております。

 

(図2)Hmcomm.XI事業

 

 「XI」とは、当社の造語であり以下4つのノウハウを集結し、データの持つ力で新たな社会的価値を創造する「データサイエンス」により企業のDX推進をトータルにサポートする意味を込めています。

AI:自社プロダクト開発で培ってきたAI(人工知能)技術

BI:自社プロダクトの導入サポートにより蓄えられたBI(ビジネスインテリジェンス)技術

CI:自社プロダクトの導入サポートにより蓄えられたCI(カスタマーインテリジェンス)技術

DI:上記をより効率的に活用するためのDI(データインテグレーション)の知見

 当社では、AIプロダクト開発で蓄積されたAI技術、蓄積されたデジタルのデータをビジネスの意思決定に活用するためのデータマイニング(※9)やテキストマイニング(※10)、データ分析等のBI(ビジネスインテリジェンス)技術、お客様の声を分析するVOC(※11)分析技術、サービスやセールスに活用するCI(カスタマーインテリジェンス)技術を保持していると認識しております。さらにこれらを効率的に活用するためのDI(データインテグレーション)のノウハウを提供する必要があると当社では考えAIソリューション事業を開始しております。

 事業内容としては顧客の課題に応じてAIの開発受託やコンサルティング業務を提供しており、契約形態としては準委任契約を中心に、一部業務については請負契約を適用しております。当社収益としては、役務提供による対価を受領しております。

 当事業の具体例としては、コールセンターを持つ教育分野の事業者との取組みとして、当社がもつ、AI開発の経験から得られた知見を活用し、コールセンターの全体の顧客体験と生産性の大幅な向上に向けた、「Voice Contact」に生成AIを組み合わせたシステム要件のコンサルティングから実際のシステム開発までを事業者とともに推進しております。なお、2025年度AIソリューションのプロジェクト数は152件、顧客取引平均単価は4.5百万円となっております。

 今後も当社ではAIプロダクト事業で培った技術力を武器としてAIソリューション事業を着実にすすめてまいります。また、本事業の顧客との課題解決活動を通して当社の信頼感を高めるとともに、技術力を感じていただくことで、同社のプロダクト製品の導入などにつながる活動を推進し事業拡大を図れるように努めてまいります。

 

(4)具体例

当社プロダクトを活用した具体的な取組みの事例は以下となります。

顧客業種

取組内容

想定する効果

コンタクトセンター

「Voice Contact」と生成AIを用いた次世代型コンタクトセンターの確立

コンタクトセンター全体の顧客体験と生産性の大幅な向上

化粧品

「Voice Contact」の自動帳票入力機能を導入し、顧客との会話内容を自動入力。

顧客との受電対応後の帳票入力業務を約80%削減(ユーザーヒアリングより)

電話対応業務の効率化、オペレーターの作業負荷低減

通販

「Terry」を導入し、電話による注文受付業務の自動化対応。

受電注文の約80%を自動化にて対応(ユーザーヒアリングより)

電話対応業務効率化、オペレーターの省人化

教育

「Terry」を導入し、本人確認業務の自動化対応。

確認作業が効率化され、月額数百万円のコスト削減効果を実現(ユーザーヒアリングより)

確認業務の効率化、オペレーターの作業負荷低減

インフラ

「FAST-D」を導入し、設備の動作音から正常と異常を判断。

顧客との実証実験により排水ポンプの動作音から異音を検知(実証実験結果より)。

故障の早期発見、メンテナンス業務の非属人化の実現性

鉄道

「FAST-D」を活用し、列車走行中の音からレールの歪みや継ぎ目の異常を検知するAIの開発。

レールの異常な継ぎ目判定にて異常検知性能70%を確認。(実証実験結果より)。

異常の早期発見、異常検知の効率化

畜産

「FAST-D」の技術を活用した養豚現場における咳や発情状況などを音から検知するシステムの研究・開発。

少人数の効果的な畜産業務

 

 

 以上を踏まえた当社の事業系統図は、次のとおりであります。

(図3)事業系統図

 

[用語解説]

注釈番号

用語

用語の定義

※1

AI

Artificial Intelligenceの略称であり、コンピューターで、記憶・推論・判断・学習など、人間の知的機能を代行できるようにモデル化されたソフトウエア・システムのこと

※2

生成AI

あらかじめ学習したデータをもとに、画像や文章、動画などを新たに作成するAIの総称のこと。ジェネレーティブAIともいわれる

※3

大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)

大規模言語モデルとは、膨大なデータセットと多数のパラメータをもつディープラーニング技術によって構築された言語モデル

※4

R&D

Research and Developmentの略称であり、研究開発活動を行うこと

※5

NEDO

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称

※6

JEITA

一般社団法人電子情報技術産業協会の略称

※7

DX(デジタルトランスフォーメーション)

データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

※8

ChatGPT

OpenAI社が2022年11月から提供を開始した、会話型の文章生成を可能とする生成AI

※9

データマイニング

構造化された膨大な量のデータ(ビッグデータ)に、統計学や人工知能(AI)、パターン認識などの技法を網羅的に適用することで有益な情報を取り出す技術のこと

※10

テキストマイニング

大量の文章データ(テキストデータ)から、自然言語解析の手法を使って、文章を単語(名詞、動詞、形容詞等)に分割し、それらの出現頻度や相関関係を分析することで有益な情報を抽出する技術のこと

※11

VOC

Voice of Customerの略称。顧客の声のことを言う。評価、苦情、要望、問合せなどがその代表的なもの

 

 

業績状況

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産合計は1,542,837千円となり、前事業年度末に比べて293,044千円減少しました。これは主に、前事業年度末に計上していた開発案件の納品・検収完了に伴う入金等により契約資産が249,152千円減少したこと、前述の入金決済等がありながらも事業譲受に係る決済が影響し現金及び預金が57,613千円減少したことによるものです。また、固定資産合計は541,125千円となり、前事業年度末に比べて471,887千円増加しました。これは主に、事業譲受に係るのれんの計上等により無形固定資産が329,500千円増加したこと、事業譲受に伴う繰延税金資産の計上等により投資その他の資産が142,805千円増加したことによるものです。この結果、資産合計は2,083,963千円となり、前事業年度末に比べ178,842千円増加しました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債合計は401,977千円となり、前事業年度末に比べて223,827千円増加しました。これは主に、株式会社IPパートナーズとの事業譲渡契約で定められた条件付取得対価に係る未払金の計上等により未払金が254,605千円増加した一方で、前事業年度末のサーバ仕入決済等により買掛金が25,769千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は1,681,986千円となり、前事業年度末に比べて44,984千円減少しました。これは当期純利益の計上により利益剰余金が18,515千円、新株予約権の行使により資本金が1,434千円、資本剰余金が1,434千円それぞれ増加した一方で、自己株式の取得により66,368千円減少したことによるものです。この結果、自己資本比率は80.7%(前事業年度末は90.6%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業収益を背景とした設備投資の拡大に加え、インバウンド需要の定着や賃上げに伴う個人消費の底堅さが継続し、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価上昇の長期化や金利のある世界への移行、米国の通商政策や中国経済の減速、不安定な中東情勢など、海外経済や地政学的リスクを巡る不確実性が続いており、景気の先行きには依然として不透明感が残っています。こうした環境下において、政府及び企業による賃上げ・投資促進の動きや、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進・カーボンニュートラル対応といった構造的な変化に向けた取り組みが進展しております。

 当社を取り巻く環境としましては、生成AIの社会実装が本格化し、実用的なソリューションへのニーズが一段と高まるなか、国や企業のDX推進に向けた投資が継続しております。当社においても、これらの市場動向を踏まえ、事業活動を通じて社会及び企業のDX推進に貢献してまいります。

 こうした経営環境のもとAIプロダクト事業では、音声認識プラットフォーム「Voice Contact」及びAI議事録作成サービス「ZMEETING」において、生成AIを活用した高度な自動要約機能のブラッシュアップを継続し、企業の業務効率化を強力に支援いたしました。特に「Voice Contact」については、セコム株式会社などの大手企業への導入が進んだほか、対話型AIエージェント「Terry2」のリリースにより、電話応対の完全自動化領域を拡大させ、深刻な人手不足に悩むコンタクトセンター業界の課題解決を推進いたしました。

 また、異音検知プロダクト「FAST-D」においては、スマートメンテナンスの需要を取り込み、LNG気化プラントの設備監視や、衛星データと連携した漏水検知システムの実証・実装を進めるなど、インフラ保全業務のDX化をさらに深化させております。

 AIソリューション事業では、顧客企業のDX推進に向けたAI開発・コンサルティングを提供しております。当事業年度においては、DXパートナー事業の譲受による体制強化に加え、生成AIを基盤としたシステム開発案件が大幅に増加いたしました。具体的には、ベネッセi-キャリア向けの「AI自動採点サービス」の開発や、金融機関とのAIエージェントに関する共同研究など、高度な自然言語解析技術を活かした新規プロジェクトが順調に推移しております。これらの施策により、既存顧客の継続的な支援に加え、パートナーシップを通じた多角的な受注拡大を実現いたしました。

 これらの結果、当事業年度の売上高は1,112,224千円と前年同期と比べ165,866千円の増収(17.5%増)、営業利益は38,573千円と前年同期と比べ56,225千円(59.3%減)の減益、経常利益は39,570千円と前年同期と比べ32,434千円(45.0%減)の減益、当期純利益は18,515千円と前年同期と比べ77,603千円(80.7%減)の減益となりました。

 なお、当社は「AI×音」サイエンス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度に比べて57,613千円減少し、1,317,463千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、277,822千円の資金収入(前事業年度は139,713千円の資金支出)となりました。その要因は、契約資産の減少額249,152千円、税引前当期純利益39,220千円等による資金増加、仕入債務の減少額25,769千円等による資金減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、271,935千円の資金支出(前事業年度は11,026千円の資金収入)となりました。その要因は、事業譲受による支出264,972千円、無形固定資産の取得による支出

9,968千円、敷金・保証金の返還による収入3,005千円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、63,500千円の資金支出(前事業年度は197,060千円の資金収入)となりました。その要因は、自己株式の取得による支出66,368千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,868千円によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社は、「AI×音」サイエンス事業の単一セグメントであるため、セグメント別に記載しておりませんので、サービス区分別に記載しております。

a 生産実績

 当社は、生産活動を行なっておりませんので、該当事項はありません。

 

b 受注実績

 当事業年度における受注実績は、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

「AI×音」サイエンス事業

1,079,227

121.1

94,963

79.4

合計

1,079,227

121.1

94,963

79.4

 

c 販売実績

 当事業年度における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

前年同期比(%)

AIプロダクト(千円)

431,369

75.7

AIソリューション(千円)

680,855

180.7

合計(千円)

1,112,224

117.5

 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

当事業年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ベネッセコーポレーション

137,556

14.5

52,922

4.8

株式会社ゼンリンデータコム

115,062

12.2

21,365

1.9

株式会社システムエグゼ

139,140

12.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであり、実際の結果と異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は1,112,224千円(前年同期比17.5%増)となり、前事業年度と比較して165,866千円の増収となりました。これはAIプロダクトの売上が138,184千円減少しながらも、AIソリューションの売上が304,050千円増加したことによるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は625,468千円(前年同期比22.1%増)となりました。これは主に開発人員に係る外注費の増加、社員数の増加及び給与水準の上昇に伴う人件費の増加によるものになります。この結果、売上総利益は486,756千円(前年同期比12.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は448,182千円(前年同期比32.1%増)となりました。これは主に事業譲受に係るのれんの償却費やアドバイザリー報酬等が発生したことによるものになります。この結果、営業利益は38,573千円(前年同期比59.3%減)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は主に受取利息により1,787千円(前年同期比11.0%減)となりました。営業外費用は主に助成金に係る収益納付の計上により790千円(前年同期比96.8%減)となりました。この結果、経常利益は39,570千円(前年同期比45.0%減)となりました。

 

(特別損失、税引前当期純利益)

 当事業年度における特別損失は、一部固定資産の減損損失計上により350千円(前年同期比91.9%減)となりました。この結果、税引前当期純利益は39,220千円(前年同期比42.1%減)となりました。

 

(当期純利益)

 法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額を含む法人税等合計20,705千円を計上したことにより、当事業年度における当期純利益は18,515千円(前年同期比80.7%減)となりました。

 

(c)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、景気動向や市場環境の変化、法的規制、同業他社、人材等の様々なリスク要因があると認識しております。詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(d)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

 

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりとなります。

 資本政策につきましては、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体制の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主への利益還元を考慮し、実施していくこととしております。

 当社の資金需要の主なものは、人材採用及び人件費、外注加工費、システム利用料等に係る運転資金であります。

 当社は必要になった資金について、主に内部留保と営業活動によるキャッシュ・フローから支出し、必要に応じて借入金による資金調達を行っておりますが、当事業年度末において借入金の残高はありません。

 以上により、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,317,463千円となっております。当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。