2026年5月期有価証券報告書より
  • 社員数
    71名(単体) 2,031名(連結)
  • 平均年齢
    41.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    8.0年(単体)
  • 平均年収
    5,742,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    0.4%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

当社グループは、人財を持続的な成長と企業価値向上を支える重要な経営資本と位置付けています。中期経営計画の実現に向け、人財の確保・育成及びエンゲージメント向上を重要課題とし、社員一人ひとりが能力を発揮できる環境整備に取り組んでおります。これらの取組を通じて、地域の皆様に選ばれ、信頼される調剤薬局グループの実現を目指しております。

 

① 人財育成に関する方針

当社グループは、「年齢や職種を問わず長く成長できる教育」と、「すべての社員が主体的に考え、行動できる自由闊達な組織風土の醸成」を基本方針としています。

 

a. 専門性及びホスピタリティの向上

地域の皆様の健康・医療を支えるためには、薬剤師をはじめとする社員一人ひとりが、専門知識を深めるとともに、患者・利用者のニーズを的確に受け止め、心を込めて対応する力を身につけることが重要であると考えております。

地域包括ケアシステムの進展や在宅医療ニーズの拡大を踏まえ、階層別研修、部門別研修及び職種別の教育などの薬学的知見のみならず、多職種との連携能力や患者とのコミュニケーション能力の向上に取り組んでおります。

 

b. リーダー人財の育成

中期経営計画においては、今後の当社グループを担うリーダー人財の育成を重要な取組の一つと位置づけております。

次世代リーダー研修等を通じて、部門や職種を超えて組織を牽引し、目標設定から計画実行、振り返りまでのPDCAサイクルを主体的に回すことができる人財の育成を進めております。

 

c. DX及びチーム力の向上

DXの進展や地域医療を取り巻く環境変化に対応するため、電子薬歴、オンライン服薬指導その他のデジタルツールの活用を推進し、業務効率化及び患者サービスの向上につながる知識・スキルの習得を支援してまいります。

また、薬剤師、メディカルケアスタッフその他の社員が、それぞれの役割と専門性を生かしながらチームとして成長できる組織づくりを進めてまいります。

今後も、社員一人ひとりの成長を組織力の向上及び地域医療への貢献につなげることで、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

② 社内環境整備に関する方針

当社グループは、社員一人ひとりが安心して働き、それぞれの能力や専門性を発揮できる環境を整備することが、患者・利用者へのより良いサービスの提供及び持続的な成長につながると考えております。

 

a. エンゲージメント及びキャリア形成の支援

社員のエンゲージメント向上及びエンプロイーエクスペリエンス(社員が企業・組織において得る経験価値)の向上を目的として、新卒社員と人事部採用研修課の社員による個別面談を通じた「1on1プロジェクト」、人事考課における目標設定・評価に関する1on1面談及び社内公募制度を推進しております。

これらの取組を通じて、社員の定着率向上、主体的なキャリア形成及び組織活性化につなげております。

 

b. 健康及び働きやすい職場環境の整備

ストレスチェック、エンゲージメントサーベイ及び従業員満足度アンケートを実施し、その結果を踏まえた職場環境、福利厚生制度の改善に取り組んでおります。

また、健康経営優良法人の認定を取得しており、社員の心身の健康保持・増進、長時間労働の抑制及び働きやすい職場環境の整備を推進しております。

加えて、ハラスメント防止を含む人権尊重の取組、並びに育児休業、出生時育児休業及び育児短時間勤務等の制度利用を支援し、仕事と家庭生活を両立しやすい環境の整備に取り組んでおります。

 

 

c. グループとして協働できる環境の整備

PMIにおいては制度統合のみならず、人財交流や理念浸透を通じた組織文化の融合を重視しております。グループ各社・各店舗における制度、業務運営及び組織風土に関する理解を深め、社員が円滑に協働できる環境を整備してまいります。

今後も、社員との対話を重視し、現場の声を踏まえながら、働きがいと働きやすさの両面を高める施策を継続的に推進してまいります。

 

③ 給与等決定の考え方

当社グループは、持続的な企業価値の向上には「人財」が最も重要な経営資源であるとの認識のもと、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に取り組んでおります。地域医療を支える専門職としての成長を支援するとともに、多様な人財が安心して長期的に活躍できる環境づくりを推進しています。

給与の決定にあたっては、医療・調剤薬局業界における市場水準や当社の経営環境を踏まえつつ、職務・役割・能力・成果等を総合的に評価し、公正かつ透明性の高い処遇を行うことを基本方針としております。

賃金は基本給・賞与及び各種手当により構成しており、賞与については、会社業績及び個人の成果・貢献度を反映させることで、従業員が業績向上の成果を実感できる仕組みとしております。

また、地域生活水準に応じた関連手当や資格手当等、当社グループの事業特性を踏まえた手当を設けることで、
専門職としての就業継続を後押ししております。

こうした処遇の充実に加え、福利厚生を含めた給与以外の処遇の整備を図ることで、従業員エンゲージメントの向上及び人財の確保・定着に努め、当社グループでの就業継続の価値をトータルで実現してまいります。

 

(2) 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

令和8年5月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

調剤薬局事業

1,658

(246)

物販事業

139

(95)

医学資料保管・管理事業

30

(5)

医療モール経営事業

18

(1)

その他

83

(10)

全社(共通)

103

(24)

合計

2,031

(380)

 

(注) 1 従業員数は当社グループから当社グループ外への出向を除き、当社グループ外から当社グループへの出向を含めた、就業人員数であります。

2 従業員数の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

3 全社(共通)として記載しております従業員数は、特定セグメントに区分できない管理部門の人数であります。

 

(2) 提出会社の状況

令和8年5月31日現在

従業員数(名)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(千円)

平均年間給与の対前事業年度増減率(%)

71

(17)

41歳6ケ月

8年7ケ月

5,742

0.4

 

(注) 1 従業員数は当社から他社への出向を除き、他社から当社への出向を含む就業人員数であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 従業員数の(外書)は、臨時従業員(パートタイマーを含み、嘱託社員・派遣社員を除く)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

4 当社は純粋持株会社であるため、セグメント別の従業員数は記載しておりません。

5 平均年齢、平均勤続年数はそれぞれ表示単位未満の端数を切り捨てて表示しております。

 

(3)最大人員会社の状況

  当事業年度における従業員数が最も多い会社

  ファーマライズ株式会社

令和8年5月31日現在

従業員数(名)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(千円)

平均年間給与の対前事業年度増減率(%)

1,352

(240)

40歳1ケ月

7年11ケ月

4,883

1.8

 

 

(注) 1 従業員数は当社から他社への出向を除き、他社から当社への出向を含む就業人員数であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3 従業員数の(外書)は、臨時従業員(パートタイマーを含み、嘱託社員・派遣社員を除く)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

4 平均年齢、平均勤続年数はそれぞれ表示単位未満の端数を切り捨てて表示しております。

 

(4) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(5) 役職者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

管理的地位にある労働者に占める
女性労働者の割合
(注1、2、3)

男性労働者の育児休業取得率(注3、4)

労働者の男女の賃金の額の差異(注1、3、5、6)

全労働者

正規雇用労働者

パート・
有期労働者

提出会社(注2)

―

―

―

―

―

ファーマライズ株式会社

32.1%

89.5%

70.3%

69.6%

79.1%

next PH株式会社

0.0%

100.0%

51.7%

54.5%

41.1%

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下、「女活法」とします)の規定に基づき算出したものです。

2 「女活法」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下、育休法とします)の規定による公表をしない提出会社及び連結子会社の数値は記載を省略しております。

3 出向者については出向元の労働者として集計しております。

4 男性の育児休業取得率については、「育休法」の規定に基づき、「育休法施行規則」第71条の6第1号における育児休業取得割合を算出したものです。

5 パート・有期労働者については、嘱託社員、パートタイマーを含み、派遣社員を除いております。

6 同一労働の賃金に男女差は無く、主に職種の違いによるものです。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

 

1.サステナビリティに関する考え方及び取り組み

 

(1)サステナビリティ基本方針

持続可能(サステナビリティ)な開発目標(SDGs)と言った国際目標に取り組むことと、利潤の追求の両立を目指すことが企業にとっての重要なテーマとなっています。企業が持続的に成長して行く為には、環境のこと、未来の社会のことを考え企業活動を行うことが大切だと考えています。ファーマライズグループは、テーマとして掲げる「あなたの健康に寄り添う」ことを実践することで健康や医療、私たちを取り巻く環境、経済など社会に気を配り、持続可能な社会の実現のために行動いたします。

(2)サステナビリティの取り組み

当社グループは、サステナビリティに関するリスクや機会の重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。私たちにとってのマテリアリティは、①グループの社是や企業理念に記されたミッションの実現、②調剤薬局を含めたヘルスケア産業に求められている社会的な役割期待、③予想される経済、政治、社会、技術、地球環境などの長期的展望の3つの「共通集合」のなかにあるという観点から、5つのマテリアリティを特定し、更により具体的な21の課題に落とし込みました。令和6年12月13日付に公表された21の課題に対応するマテリアリティKPIを経営戦略と紐づけることで実効性を高め、持続可能社会の実現への貢献と企業価値の向上の両立を目指します。

また、気候変動問題への対応をサステナビリティ経営の重要な取り組みと認識し、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、金融安定理事会(FSB)が設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言に賛同しています。当社では気候変動に関する情報開示にあたり、TCFD提言の推奨する4つの開示項目(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標)に沿って開示を行っています。

なお、現在、当社の重要課題(マテリアリティ)の見直しを進めており、その内容については内容がまとまり次第、公表する予定です。

以下の記載のうち将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

2.ガバナンス

「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を基本に事業を運営するため、当社グループは令和3年6月に「サステナビリティ委員会」を立ち上げました。加えて、当社グループのサステナビリティ推進を統括する事務局を当社経営企画部に設置しました。サステナビリティ委員会は、取締役会長を委員長、代表取締役社長を副委員長、常任委員を経営の執行側役員、必要に応じ委員長が指名した委員により構成されます。現状、年に3~4回開催されている委員会において、気候変動問題を始めとするサステナビリティに関する社会課題や環境課題を含めたリスクや機会を幅広く議論し、それらへの対応を事業戦略などに適時性をもって反映させます。

サステナビリティ委員会は、「取締役会」の諮問機関として、取締役会の指示に基づき、サステナビリティに関する課題に関して提案・報告を行います。 取締役会は、気候変動を含めたサステナビリティ課題に係る基本方針や重要課題を踏まえた上で、総合的なコンプライアンス、リスク管理の観点から、事業戦略、投資計画、BCP等を審議・決定します。

 

 

3.戦略

(1)全体戦略

当社は、サステナビリティに関するリスクや機会の重要課題(マテリアリティ)、及びマテリアリティKPIを下記①から⑤の過程を経て特定していきました。

① 直近の社会環境変化と当社の社会的課題の抽出

サステナビリティ委員会において、長期ビジョンの検討と社会的課題を抽出し、そのうえで企業理念・価値観や外部のステークホルダーも交えて情報の整理・検討。

② 社内外のヒアリング

従業員を対象にSDGsやサステナビリティに関する研修とアンケートを行い、幹部社員に対してはマテリアリティに関するアンケートを実施し、その内容について外部の有識者から意見を聴取。

③ グループ内における横断的な検討

アンケート結果を踏まえて、サステナビリティ委員会において、社会と当社グループに係るリスクと機会に関する重要課題(マテリアリティ)を検討。

④ 選出された課題の優先順位付けとマテリアリティの特定

サステナビリティ委員会において、外部コンサルタントと意見を交えながら、マテリアリティの優先順位付けを行い、そのうえで最終的なマテリアリティの特定と対応策を検討。

⑤ 5つのマテリアリティとそれらを具体化した21の課題に対して、マテリアリティKPIを設定

 

上記過程を経て、特定されたマテリアリティと設定された21の課題は下記のとおりです。

5つのマテリアリティ

21の課題

重要度

(リスク)

重要度

(機会)

健康と幸せを支えるパートナー、
心を込めたホスピタリティ

・「かかりつけ薬局・薬剤師」としての予防医療と心と体の健康維持の追求

・超高齢化社会に対応したヘルスケアサービスの提供

・製品・サービスの安全・品質管理の徹底

・情報管理とプライバシー保護の徹底

◎

◎

新しい時代の地域医療システムの改革と協創

・地域を支える包括ケアシステム/ネットワークの構築

・社会保障制度や財政の持続可能性への貢献

・ステークホルダーとの価値協創

◎

◎

サステナブルな社会と未来に向けての取り組み

・気候変動問題への対応

・循環型経済・社会実現への貢献

・持続性あるエネルギー・天然資源の活用

・生物多様性・地球環境の保全

◎

〇

“知識”と“優しさ”をもった人財の育成

・安全・安心・公正・健全な雇用環境の整備

・ヘルスケア分野の技術革新やDXへの対応と貢献

・人権重視経営の徹底

・多様性、公平性、包摂性(DEI)を重視した経営

◎

◎

「パーフェクト(完璧)」な経営の基盤構築

・コーポレート・ガバナンス体制の継続的な改善

・法令順守・コンプライアンス、企業倫理、腐敗防止

・自然災害へのレジリエンスの強化

・基幹インフラの障害やサイバーセキュリティへの対策

・リスク管理・BCP強化

・ファーマライズ・ブランドの強化

〇

△

 

 

 

上記過程を経て、特定されたマテリアリティKPIは下記のとおりです。

5つのマテリアリティ

21の課題

マテリアリティKPI

健康と幸せを支えるパートナー、
心を込めたホスピタリティ

・「かかりつけ薬局・薬剤師」としての予防医療と心と体の健康維持の追求

・超高齢化社会に対応したヘルスケアサービスの提供

・製品・サービスの安全・品質管理の徹底

・情報管理とプライバシー保護の徹底

・連携薬局数/ 150店舗

・かかりつけ薬剤師数:全店舗1人以上配置

 

・在宅・施設調剤実施/全薬局の90%以上

・薬局店舗のバリアフリー化率100%

・ハッキングによる情報漏洩件数0を維持

 

・従業員の情報管理トレーニング完了率100%

新しい時代の地域医療システムの改革と協創

・地域を支える包括ケアシステム/ネットワークの構築

・社会保障制度や財政の持続可能性への貢献

・ステークホルダーとの価値協創

・健康サポート薬局/ 110店舗以上

 

・GE医薬品比率のグループ平均90%以上

・当社選定の一般用医薬品群を全店配置

・認知症カフェ対応店舗の拡充(目標:50店舗)

サステナブルな社会と未来に向けての取り組み

・気候変動問題への対応

・循環型経済・社会実現への貢献

・持続性あるエネルギー・天然資源の活用

 

・生物多様性・地球環境の保全

・CO2排出削減/ 2022年度対比30%減

・医薬品廃棄率0.07%以下

・新店についてソーラーパネルを設置

・既存店について再生エネルギー100%の電気プランへ切り替えを推進

・取り組み内容について、引き続き検討中

“知識”と“優しさ”をもった人財の育成

・安全・安心・公正・健全な雇用環境の整備

 

・ヘルスケア分野の技術革新やDXへの対応と貢献

・人権重視経営の徹底

・多様性、公平性、包摂性(DEI)を重視した経営

・健康経営優良法人の取得

・平均残業時間20%削減

・全薬局の60%にあたる主要薬局にクラウドサービスを導入

・各種ハラスメント研修受講率100%

・パパ育休取得率50%

・育休・育短申請取得率100%維持

「パーフェクト(完璧)」な経営の基盤構築

・コーポレート・ガバナンス体制の継続的な改善

・法令順守・コンプライアンス、企業倫理、腐敗防止

・自然災害へのレジリエンスの強化

 

 

・基幹インフラの障害やサイバーセキュリティへの対策

 

・リスク管理・BCP強化

・ファーマライズ・ブランドの強化

・独立社外取締役1/3以上維持

 

・コンプライアンス研修を年2回以上開催、受講率100%

・全拠点での防災訓練年2回以上

・普通救命講習 1店舗あたり1名以上

・災害時用の各拠点の備蓄100%

・UTMの導入率100%

・サイバーセキュリティに関する研修・トレーニング等を年に2回以上実施

・BCP事業計画書の再構築と浸透

・流通が不安定であっても、必ず患者の手元に医薬品を届ける(医薬品手配100%)

・年に1回以上の患者・顧客アンケートの実施(患者・顧客の思いを受けとめる)

 

 

(2)気候変動

当社グループは、気候変動問題はリスクとしても機会としても、非常に重要な経営課題であると認識しています。気候変動問題に関して、私たちが直面するリスクと機会並びに対応策について、以下の2つのシナリオに基づき検討・分析を行いました。

 

① 当社グループが直面している主要な気候変動関連のリスクと機会(シナリオ分析)

気候変動に関しては、主要国の温暖化対策の動向等により様々なシナリオが考えられます。当社グループでは、1)移行リスクシナリオ(1.5℃以下シナリオ)、2)物理的リスクシナリオ(4.0℃シナリオ)、の2つの代表的なシナリオを利用して、当社グループにおけるリスクと機会を検討しました。

 

1) 移行リスクシナリオ(1.5℃以下シナリオ)

2050年(令和32年)までに地球規模で温室効果ガス排出量ゼロを実現する規範的シナリオ。政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「NZE2050シナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP1-1.9シナリオ」に原則として準拠。

2) 物理的リスクシナリオ(4.0℃シナリオ)

現時点で公表されている温室効果ガス削減に関する政策や目標の撤回を含めて、気候変動問題に対する有効な政策が実施されないシナリオ。政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「STEPSシナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP5-8.5シナリオ」に原則として準拠。

 

リスクと機会の選出と特定、またその対応策については、当社グループ企業の幹部社員への意識調査に基づき、サステナビリティ委員会が外部有識者の意見も踏まえて検討・決定しました。その主要な検討結果は、以下のとおりです。

 

リスク

 

分類

顕現する時期

重要なリスク

対応策

1.5℃シナリオ

政策・法規制

短期

~中期

・カーボンプライシング導入(炭素税等)による電力料金や輸送コスト等の増加

・GHG規制強化による投資負担の増加

 

・電気料削減対策の推進、省電力設備、EV導入

・輸送・在庫管理システムの効率化と省エネルギー化

・他社と共同したクリーンエネルギー活用の物流網構築

短期

・情報開示コストの増大

・必要とされる情報を効率よく収集できる体制の構築

市場

中期

~長期

・サプライヤー側のコスト増による原燃料価格の上昇リスク

・取引業者と共同でのコスト管理

・適正な価格転嫁の実施

評判

短期

~長期

・環境関連対策や情報開示の遅れによるレピュテーション・リスクの増大(ブランド、評判、採用難、離職者増等)

・環境対策を始めとするサステナビリティ情報に関する情報開示や社内教育の徹底

・GX(グリーントランスフォーメーション)の施策企画及び実施

4.0℃シナリオ

慢性

中期

~長期

・店舗の気温上昇・洪水等への対策費の増加

・店舗・事務所内の温度管理の推進

・防水対策の実施

急性

短期

~長期

・大規模災害等の発生による営業停止リスク及び復旧コスト

・BCPの作成、災害対策の強化

・ハザードマップ周知と避難訓練実施

短期

~長期

・異常気象を起因とした大規模災害発生後の医薬品供給の不安定化

・医薬品等の在庫確保及び備蓄分散によるリスクヘッジ

 

 

機会

 

分類

顕現する時期

重要なリスク

対応策

1.5℃シナリオ

政策・法規制

短期

~中期

・再生可能エネルギー活用などによるクリーンで効率的な営業拠点整備

・店舗等へのソーラーパネル・HEMSの設置や省エネ性の高い設備等の導入

評判

短期

~長期

・環境関連対策や情報開示の強化によるレピュテーションの改善

・環境対応の推進による人材維持・獲得

・環境対策を始めとするサステナビリティ情報に関する情報開示や社内教育の徹底

・GX(グリーントランスフォーメーション)の施策企画及び実施

短期

~長期

・店舗の緊急時の補給拠点化など地域インフラの整備支援

・スマートシティ等への積極的な出店

4.0℃シナリオ

慢性

中期

~長期

・DXを活用した医療サービスの提供による新規取引拡大

・高温多湿化や異常気象対策による商品ニーズの高まり

・DXによる販売ネットワークのBCP機能強化

・ドローンを活用した物流ネットワークの整備

・関連商品の売上増加

急性

短期

~中期

 

 

② 財務的影響

移行リスクシナリオの中で、財務的な影響が特に大きいと予想されるのは、カーボンプライシン(炭素税導入)等による電力価格や輸送コストの上昇などです。物理的リスクシナリオの中で、財務的な影響が大きいと予想されるのは、大規模災害等の発生による営業停止リスク及び復旧コスト、店舗の気温上昇・洪水等への対策費の増加などです。その具体的な影響について、当社グループは試算を行う予定であり、同時に対応策の具体化を進める予定です。

 

4.リスク管理

サステナビリティ課題に関するリスクと機会については、サステナビリティ委員会を中心に、社内外ステークホルダーへのヒアリングや事業部・関連部門との議論を整理分類して明らかになった課題をもとに、5つの重要課題(マテリアリティ)を特定しています。 気候変動問題を含めた「サステナブルな社会と未来に向けての取り組み」は、事業活動に関するマテリアリティの最重要項目のひとつとして認識しています。気候変動に関するリスクと機会に関しては、サステナビリティ委員会が幹部社員への意識調査に基づき重要なリスクと機会を特定しています。特定したリスクと機会に関しては、取締役会に報告され対応策が討議・決議されます。取締役会は、サステナビリティ委員会の報告に基づき、サステナビリティ課題を含めた総合的な外部的・内部的な経営リスクを勘案し、その相対的重要性や相互作用性などを考慮した上で、サステナビリティ課題に関する重要課題(マテリアリティ)の特定を行います。

なお当社グループは、経営課題に内在・関連する様々なリスクに対応するため、「コンプライアンス委員会」、「サステナビリティ委員会」を設置し、必要に応じて外部の専門家の助言を受け、リスク管理の充実に努めています。

 

 

5.指標と目標

(1)気候変動

① 気候関連リスク及び機会を評価する指標と目標

当社グループは、気候関連リスク及び機会を評価する指標として、温室効果ガス(GHG)排出量を設定しております。GHG排出量については、1)自社の製造プロセス・事業活動における重油・ガス等燃料使用による直接排出(Scope1)、2)他社からの電力・熱の購入等による間接的な排出(Scope2) 、3)Scope1、Scope2以外の間接排出(Scope3,当社グループの活動に関連するサプライチェーンの排出)のうちScope1とScope2について、 GHGプロトコルの基準に則して算出をしました。Scope3についても、定重要なカテゴリーを中心に測定を進める予定です。

 

② 温室効果ガス排出量の削減目標及び実績

1) 削減目標

当社グループは、GHG排出量について、2035年(令和17年)に向けてのScope1・Scope2の合計の削減目標を設定する予定です。

国際連合「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第6次統合報告書では、地表の平均気温を産業革命前(1850年-1900年平均)比1.5℃以下に抑制するためには、2035年(令和17年)までにGHG排出量を2019年(令和元年)比60%削減、2050年に実質ゼロにする必要があると指摘しています。当社グループは、各グループ企業において実施可能なGHG削減策と必要な対策を検討し、IPCCの提言と整合する削減目標を設定する予定です。

現時点では、暫定的なGHG削減目標として、2035年(令和17年)に向けての中間年にあたる2030年のGHG排出量を2022年比30%削減、最終目標として2050年のカーボンニュートラルの実現を想定しております。

 

2) 実績

当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1・2の合計)は、2025年度(令和8年5月期)現在で5,924t-CO2eとなっています。2030年度における削減目標は売上高1億円当たりの排出量で2022年度対比30%の削減を目指します。

 

2025年度(令和8年5月期)実績

削減目標(売上1億円あたりの暫定値)

総量

売上高1億円あたり

2030年(令和12年)

2050年(令和32年)

Scope1

357t-CO2e

     0.5t-CO2e

―

―

Scope2

5,567t-CO2e

     8.0t-CO2e

―

―

Scope1+Scope2

5,924t-CO2e

     8.5t-CO2e

6.7t-CO2e

実質ゼロ