2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    8,501名(単体) 45,004名(連結)
  • 平均年齢
    41.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.9年(単体)
  • 平均年収
    7,763,995円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

14,192

[1,692]

北中南米

12,900

[607]

中国

6,426

[1,208]

アジア

7,130

[3,798]

欧州・アフリカ

4,356

[552]

合計

45,004

[7,857]

(注)1 従業員数は、就業人員(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グ

ループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しておりま

す。

2 臨時従業員には、期間工、パートタイマー、嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

8,501

[821]

41.6

17.9

7,763,995

(注)1 従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、

臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 労働組合の状況

 特記すべき事項はありません。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

3.0

69.0

73.7

74.0

72.2

賃金は性別に関係なく同一の基準を適用しているが、管理職人数比率、短時間勤務制度の利用率に男女の差が生じている。

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 

② 連結子会社

 

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

トヨタ紡織東北㈱

-

52.0

74.0

78.0

83.2

㈱コベルク

-

62.5

84.6

85.5

70.9

アラコ㈱

3.7

50.0

79.2

79.9

83.5

TBソーテック東北㈱

16.7

-

87.9

86.3

94.4

トヨタ紡織九州㈱

2.9

40.5

76.7

78.8

78.3

トヨタ紡織精工㈱

0.0

48.0

67.3

67.8

38.5

TBコーポレートサービス㈱

(注)3

-

-

69.5

85.4

70.3

TBロジスティクス㈱

2.4

0.0

78.6

78.6

74.4

TBソーテック九州㈱

0.0

50.0

-

-

-

㈱TBエンジニアリング

7.7

85.7

76.3

76.3

-

トヨタ紡織滋賀㈱

0.0

100.0

-

-

-

トヨタ紡織広瀬㈱

-

91.6

74.8

74.2

84.6

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.男性の育児休業取得対象者はいません。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ

 

[戦略]

トヨタ紡織グループは、創業者である豊田佐吉の考えをまとめた「豊田綱領」に基づき、すべてのステークホルダーから信頼され続けるために「基本理念」を制定し、事業活動において着実に実践しています。持続可能な成長の追求を通じて経済的価値の向上を図り、その成果をステークホルダーのみなさまに還元するとともに、持続可能な成長への投資をすることで、中長期的に企業価値の向上を図り、ステークホルダーのみなさまの期待に応え、国際社会・地域社会の発展に貢献します。

これまでもCSR活動に取り組み、SDGsの達成に貢献してきましたが、世の中の変化に合わせ、2019年3月よりCSRからCSV経営へのシフトを加速させています。そして2020年7月、さまざまな社会課題の中から本業を通じて優先的に取り組む重要な課題を特定し、解決する姿をマテリアリティとして策定しました。

さらに、CSV経営の考え方を明確にするため、CSRの考え方を見直し、2021年11月に取締役会の承認を受け、「トヨタ紡織グループサステナビリティ基本方針」を策定しました。

また、「基本理念」を実践するために、グローバルでの共通の価値観や行動パターンとして「TB Way」「トヨタ紡織グループ行動指針」を制定し、共有しています。

 

 

 

トヨタ紡織グループ サステナビリティ基本方針

トヨタ紡織グループのサステナビリティ基本方針は、「経営の考え方」、「マテリアリティ」、「経営の目指す姿」で構成されています。

 

 

 

1.経営の考え方

トヨタ紡織グループは、「豊田綱領」に基づいて「マテリアリティ」を定め、本業を通じて、社会に貢献していきます。

※トヨタグループの創始者である豊田佐吉の考えをまとめたもの

 

 

 

2.マテリアリティ

インテリアスペースクリエイターとして

快適・安全・安心を創造し、こころ豊かな

暮らしと交通事故死傷者ゼロ社会に貢献

していきます。

また、再生可能エネルギーの活用やサーキュ

ラーエコノミーでカーボンニュートラルの

実現に挑戦していきます。

 

 

 

 

3.経営の目指す姿

よき企業市民として社会的価値への貢献と、競争

力・経営基盤の強化の取り組みを軸に経済的価値

の向上を図り、ステークホルダーのみなさまの期

待に応えると同時に持続可能な成長を追求して

いくことで、企業価値の向上を目指します。

 

 

 

 

 

 

 

[ガバナンス]

「CSV推進会議」(議長:CSO(Chief Strategy Officer))で、企業価値向上に向けた課題や方向性の報告、審議を行うとともに、目標を設定し、活動をフォローしています。

CSV推進会議には、ESGの観点で整理し、マテリアリティの進捗を測るESG KPIの責任者である全てのチーフオフィサーが出席し、ESG KPIのモニタリングを実施しています。これらの活動を通して、マテリアリティの達成度合いを正確に把握し、必要に応じてPDCAサイクルを回し、リカバリーを図ります。また、CSV推進会議で報告、審議された内容は取締役会に報告しています。

各機能や関係部署と協力し、日々の活動を通じて、トヨタ紡織グループ全体の社会的価値に貢献できるよう取り組みを推進しています。

 

体制図

 

 

[リスク管理]

2019年4月から2020年7月にかけて、全社をあげて重要課題の特定に取り組み、マテリアリティを策定しました。

特定した重要課題は、人と生活を豊かにする「プラスの影響を最大化するもの」と、リスクを回避する「マイナスの影響を最小化するもの」に分類し、それらを「本業を通じて解決する安全・環境・快適に関する課題」と、「競争力を発揮するための源泉となる人・組織に関する課題」に整理。それぞれの課題へ「解決する姿」を加えたものを、トヨタ紡織グループのマテリアリティとしました。

 

 

[指標及び目標]

2021年12月に、社会的価値を測る非財務KPIのESG KPIを設定しました。さらに、2030年中期経営計画策定にともない、2023年10月にESG KPIを見直しました。

ESG KPIで進捗を測りながらマテリアリティ実現に向けた活動を進め、企業価値を向上することで、ステークホルダーのみなさまの期待に応えていきます。

なお、ESG KPIは、CSV推進会議(議長:CSO(Chief Strategy Officer))で、フォローしています。

 

<ESG KPI策定の考え方>

1.ESGの観点で整理

2.トヨタ紡織グループサステナビリティ基本方針に沿っている

3.マテリアリティの進捗を測ることができる

4.コーポレートガバナンスコードに則している

5.社会からの要請に対応している

No (※)

関連する

マテリアリティ

KPI項目

2024年度

目標

2024年度

実績

目標値

2025年度

2030年度

工場GHG排出量削減率(総量)(2019年度比)

▲20%

▲40%

▲25%

▲50%

SCOPE3排出量削減率(総量)(2019年度比)

▲15%

集計中

▲18%

▲30%

再生可能エネルギー導入率

33%

39%

35%

50%

廃棄物排出量削減率(2011年度比)

▲13%

▲19%

▲14%

▲20%

水使用量低減率(2013年度比)

▲5.5%

▲42%

▲6%

▲8%

①③

製品のリサイクル材適用率

リサイクル樹脂開発

リサイクル樹脂開発

リサイクル樹脂開発

完了

25%以上

自然共生(植樹本数)

累計61万本

累計76万本

累計64万本

累計77万本

③④

”人にやさしい” 自働化アイテムの実装件数

①号口導入実施率

②加工費低減目標達成率

①100%

②100%

①71%

②56%

①100%

②100%

①100%

②100%

サプライヤー満足度調査の実施

展開率100%

展開率100%

展開率100%

展開率100%

10

社会貢献活動の推進 参加者数(年間)

延べ

3,000人

延べ

3,085人

延べ

3,100人

延べ

3,500人

11

女性管理職比率

3.5%

3.0%

4.0%

5.0%

12

男性育児休職取得率

80%(希望者100%)

69%(希望者99%)

90%(希望者100%)

90%(希望者100%)

13

外国籍社員数

120人

153人

135人

180人

14

インテリアスペースクリエイターにつながる新製品開発率

15%

15%

30%

15

①②

特許出願数

305件/年

371件/年

320件/年

500件/年

16

①②

社外発表・論文数

82件/年

93件/年

90件/年

120件/年

17

運動習慣がある人の比率(40歳以上)

23%

21%

24%

30%

18

定期健康診断後の精密検査受診率

100%

99%

100%

100%

19

社員の重大災害発生件数

0件

0件

0件

0件

20

③⑤

外来工事業者・外来者の重大災害件数

0件

0件

0件

0件

21

国・地域への持続的な納税の実施

全ての進出国での納税実施

全ての進出国での納税実施

全ての進出国での納税実施

全ての進出国での納税実施

22

行動指針の実践度

90%

89%

90%

90%

23

③⑤

環境異常・苦情発生件数

0件

0件

0件

0件

24

サイバーセキュリティ重大インシデント発生件数

0件

0件

0件

0件

(※) 上記KPIの実績および目標のうち、No.1、2、4、5、6、7、19、20、21、22、23、24は、トヨタ紡織グループグローバル、No.3、8、9、10、11、12、13,14、15、16、17、18は、トヨタ紡織㈱単体の数値です。

 

 

個別項目

 

(2)人的資本

 

1.人的資本経営の取組み

トヨタ紡織グループは2030年目指す姿を「インテリアスペースクリエイターとして快適な移動空間を実現し、製品、顧客の幅を広げながら社会課題の解決に貢献している会社」としています。今後、自動車市場の変化や顧客ニーズの多様化に対応し、ものづくりの競争力を磨き続けることに加え、お客さまへの提供価値の拡大を図り、車室空間全体を企画・提案できるインテリアスペースクリエイターへ成長していくことが必要です。

これを実現するためには、多様なアイデンティティを持つ人材がトヨタ紡織グループに魅力を感じて集まり、自由に意見を出し合い尊重し合うことで、これまでにない新しい価値やアイデアを創出し続けられる環境をつくっていくことが重要です。このため、事業戦略と整合した人材戦略が必要であり、2023年には人的資本経営のフレームワークとして7つの人材戦略を策定するとともに、それぞれの達成度をモニタリングするためのKPIを設定しました。2024年からは人材戦略の実行とKPIを用いた評価によりPDCAサイクルを回し、2030年に向けて必要な人づくりを体系的に進めています。

私たちのありたい姿の実現に向け、人的資本経営のサイクルを確立しレベルアップすることにより、すべての社員、その家族、さらにはお客さまのWell-beingの実現につなげたいと考えています。

 

 

2.取り組むべき人材戦略

 ※ 人的資本に関する取り組み・KPIの詳細は、「人的資本レポート」をご参照ください。
https://www.toyota-boshoku.com/_assets/dl/company/library/human_capital_2024.pdf

 

1)必要な人材の明確化

人材ポートフォリオに基づく採用・育成と、人材の活躍状況をモニタリングする仕組みを構築し、活躍の3領域における必要な人材の適時かつ効率的な確保を目指します。2030年に向けて必要な専門スキル別に、必要人数と現在のスキル保有者数を見える化するため、全社員の専門スキルの保有状況を調査しました。その結果、将来においてDX系スキルなど一部のスキルについて人材が不足する可能性があることが分かったため、人材確保に向けた取り組みを立案、推進しています。適性検査などで人員構成を見える化し、各組織へフィードバックを実施した後、スキル別や人材のタイプ別に必要数を達成するためのアクションプランを策定し、人材育成につなげていきます。

 

また、日本本社との連携のために海外に派遣している多くの日本人コーディネーター(非ライン長)を適正化し、帰任者が新領域で活躍できるよう、日本以外の国の拠点長・統括会社機能トップポストのローカル化も推進しています。

 

 

2)優秀な人材の確保

インテリアスペースクリエイターの実現・グローバル拡大に向けて、活躍の3領域に必要なスキルや経験を具体的に明示し、それにマッチする優秀な人材を積極的に迎え入れることで、事業戦略の実現につなげていきます。

入社後は、新入社員一人ひとりに職場先輩をつけ、OJTサポートを行っています。具体的には、定期的な面談や成果の発表会を通じて、新入社員の成長を支援します。さらに、月に1回、新入社員の心理状態や上司からの評価をアンケートで確認することで、必要に応じて適切なサポートを提供しています。また、ダイバーシティの観点から、外国籍者や障がい者を積極採用しています。インターンシップなどの機会を提供し、外国籍者に対して2ヶ月半の職場実習、障がい者に対して1DAYイベントを行いました。実際の業務を経験するプログラムを通じて、採用候補者と職場の双方が互いに理解を深め、納得したうえでの採用に努めています。今後も採用を強化していきます。

※1.正社員、ICT(Intra Company Transferee)の人数

 

3)成長への支援

活躍の3領域それぞれで活躍できる人材育成に注力し、幹部人材や経営者層を育成するとともに、専門分野を超えた教育やキャリア機会の提供、デジタル人材の育成を進めています。社員一人ひとりがキャリアを主体的に考え、挑戦を後押しする制度を拡充し、成長への支援を促進しています。トヨタ紡織グループの将来を担う若手・女性・外国籍社員を中心とした「Next100」を選抜し、グローバル幹部教育プログラムの受講や、人材育成・最適配置の観点でGSC・RSC(※2)においてグループ企業・部門を超えた議論を通じて、計画的な人材育成を実施しています。

2023年度からは、越境学習を目的とした「TBシェアプロ活動」(※3)を開始し、業務革新につながる挑戦を促進しています。2024年度には参加者8人が3チームに分かれ、日頃取引関係のない企業3社さまと協力して企業さまが目指す理想の状態を実現できるよう、個人向け商品販売やイベントを企画しました。新たな知見を得るとともに自身の成長を実感し活動後も主体的に自己成長に励み続けています。

さらに、事業領域の拡大や新規ビジネス創出を目指した「Re:act」「We:ave」プログラムを実施し、アイデア創出ワークショップを開催しました。社員の専門分野を超えた挑戦を後押しするため、社内公募制度の対象を若手社員に拡大し、2024年度には30人の異動を実現しました。また、他部門業務経験を通じてキャリアを広げるため、対象部門限定で社内副業制度の試行運用にも取り組んでいます。これらの取り組みにより、社員の成長とキャリア形成を促進しています。

※2.GSC:Global Succession Committee  RSC:Regional Succession Committee

※3.地域の中小企業・団体の事業推進・経営革新プロジェクトに期間限定で取り組む、越境学習をベースとした実践型人材育成プログラム

 

4)ダイバーシティ&インクルージョンの浸透

2022年、社員の生の声を把握し、経営陣に伝えて問題解決につなげるための従業員ネットワークグループ、ENRG(Employee Network Resources Group)を設立しました。「女性」「若手」「外国人」「シニア」「障がい者」の5つのグループに分かれて総勢100人が活動しています。2023年からは年1回、ENRGが主体となり「D&Iウィーク」を開催しています。妊婦体験、車いす体験、手話体験、多国籍料理紹介、育児休職取得者(男性・女性)の経験談紹介、先進他社の方をお招きしてD&Iに関するパネルディスカッションなどを行いました。

女性社員のキャリア支援では、重点育成対象者を登録し、個別育成計画を立案して各職場で育成しています。女性社員のさらなる活躍促進のため、育休後の復職を見据えた、上司・女性社員・配偶者向けのセミナー、女性主任職を対象としたキャリアセミナー、アンコンシャスバイアス研修などを行っています。

そして、性別に限らず、育児や介護などさまざまなライフイベントに直面した社員に多様な選択肢を与えることでキャリアとの両立を図れるよう、各種制度の見直しも行ってきました。2024年4月から、家族のケア(育児・介護・配偶者の妊娠サポート)・不妊治療で取得できる「ライフサポート休暇」を新設しました。この休暇は時間単位での取得も可能なため、フレックスタイムの利用ができない技能職場でも、家庭の事情に合わせたフレキシブルな働き方が可能です。また、社員のさまざまな事情に配慮し、名称の問題から取得しがたかった生理休暇やつわり休暇といった女性特有の休暇を統合し、名称を「F(Female)ケア休暇」へと変更しました。育児理由の短時間勤務制度もフレックスやテレワークが可能なことに加え、選択できる勤務時間を拡充し、子どもの年齢が18歳まで利用できます。

仕事と家庭を両立できる環境整備が、社員のモチベーション向上や業務の進め方の見直しにつながると考え、男性の育休への意識向上と職場の理解を推進しています。2023年からは、育児休業給付金の受給後も減少する収入を補填する支援金制度を開始し、育休中の経済面でのサポートを行い、取得を後押ししています。

 

5)働きやすさの追求

2024年4月に人材戦略部、総務部の関連機能を統合し、専門組織としてウェルビーイング推進室を設置しました。ウェルビーイング推進室では、社会貢献活動、企業スポーツ推進、会社イベントを通じたWell-beingの実現を追求しつつ、中長期的なロードマップを描き、持続的な活動となるよう取り組みを進めています。

また、働き方改革として、テレワークガイドラインの見直し、遠隔地における長期リモートワークの導入、会議体の見直しやノー会議デーの設定など、より柔軟で効率的かつ創造的に働けるよう、環境整備を行っています。同時に、誰もが自分の考えを気兼ねなくオープンにできる「風通しのよい職場風土」を醸成するため、社長との職場懇談会、職場対話会、思いやりコミュニケーション研修、いきいきコミュニケーション活動(コミュニケーション費用を会社が補助)を実施しました。

2024年度より、従来の従業員サーベイから各職場での分析や他社とのベンチマークが可能なトヨタ紡織EX(Employee Experience)サーベイに刷新し、従業員エンゲージメントの肯定回答率を重要なKPIとして捉えていくことにしました。従業員の声を人材戦略・施策・職場改善へ効果的に繋げ、従業員エンゲージメント(組織や業績目標に自発的に貢献しようとする意欲)の向上に向けて、多様な価値観や考え方を持つ社員が協力し合い、ともに成長できる職場づくりを推進します。

 

6)健康・安全の増進

「安全衛生基本方針」に基づいて、「社員の健康と安全はすべてに優先する」という企業風土の確立のため、健康経営および安全衛生マネジメントを推進しています。

健康経営では、社員の健康増進を経営課題の一つと捉え、「トヨタ紡織 健康宣言」のもと、一人ひとりが心身ともに健康にいきいきと働くことで、持てる能力を最大限発揮できる会社づくりを進めています。CEOを最高責任者とした関係部署と推進体制を構築し、戦略マップをもとに取り組んでいます。当社の活動が評価され、4年連続で2024年度「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に認定されました。安全衛生では、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に沿った活動をグローバルに行っており、安全な職場環境を地域や職種を問わず当社のあらゆる職場で実現できるよう、生産トップによる安全防火点検や安全防火クロスチェックなどを実施しています。

 

7)コンプライアンス・倫理の遵守

「よき企業市民として社会との調和ある成長を目指す」ことを基本理念に掲げ、経営トップの強いリーダーシップのもとで、グローバルにコンプライアンスのあり方、推進体制、活動内容・目標を明確にし、各地域の法務担当者が課題を共有しながらコンプライアンス活動の強化を図っています。コンプライアンスを重視した倫理的な職場づくりとして、ハラスメント防止活動を強化し、2023年度は全ライン長にフォローアップ研修を実施、2024年度はアニメを活用した動画教材を新たに制作して全従業員に展開しました。

また、経営に関わるリスクや外部環境に起因するリスクにも迅速に対応するため、リスクマネジメントの強化とリスク低減にも積極的に取り組んでいます。

 

(3)TCFDへの対応

 

トヨタ紡織グループは「地球環境保護を重視した企業活動の推進」を基本理念に、持続可能な社会の実現に向け、トヨタ紡織グループ一体となって地球環境保護に貢献しています。

2016年に「2050年環境ビジョン」を策定し、2020年には「取引先とともに「ものづくり」の革新を図り、環境負荷のミニマム化を実現する」をマテリアリティ(本業を通じて優先的に取り組む重要課題)として特定し、環境へ配慮した取り組みを推進しています。また、2023年に社会動向を踏まえ「2050年環境ビジョン」を一部見直しました。

2020 年4月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しました。気候変動が事業に与える影響と、それによるリスクと機会をシナリオに基づいて広範に分析することで、それらの対応費用を整理し、経営戦略に反映しています。今後も、シナリオ分析の結果を踏まえ、リスクや機会への対応を強化していくとともに、さらなる情報開示に取り組んでいきます。

 

※ Task Force on Climate-related Financial Disclosures

 

 

[ガバナンス]

気候変動を含む環境問題に関する具体的な取り組み施策は、取締役会での意思決定を経て業務執行し、経営戦略会議、経営企画会議、経営会議などへ報告しています。

取締役会、経営戦略会議、経営企画会議で指示された環境問題への対応方針などは、年3回開催される環境推進会議で共有し、トヨタ紡織グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗管理につなげています。また、実行計画に基づくKPIを設定し、毎月の経営会議に報告し、マネジメントレビューを実施しています。

環境推進会議で報告、議論された内容は、必要に応じて取締役会に報告し、取締役会の指示・監督のもと、戦略への反映を実施しています。

 

[戦略]

気候関連のリスクと機会のシナリオ分析

①シナリオ分析結果

国際エネルギー機関(IEA)による移行面で影響が顕在化する「1.5~2℃シナリオ※1」と、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による物理面で影響が顕在化する「4℃シナリオ※2」を踏まえ、短期・中期・長期のリスクと機会を抽出し、特にリスク・機会の評価が高いものを下表に記載。

 

※1 1.5℃シナリオ:NZE(IEA World Energy Outlook 2021)、2℃未満シナリオ:SDS(IEA World Energy Outlook 2021)

※2 4℃シナリオ:RCP8.5(IPCC第5次評価報告書)

 

②重点取り組み

製品材料のサーキュラーエコノミーによるカーボンニュートラルへの挑戦

トヨタ紡織グループは製品のライフサイクルでのGHG排出量の削減を推進しています。

製品の軽量化や植物由来材料(バイオマス)の活用、電動化製品に対応した技術開発に加え、製品のリサイクル性向上も進めます。また、カーボンニュートラルに向け、製品に使われている材料のGHG排出量削減も進めていきます。

 

※1 製品を原料として再利用し、新たな製品にすること

※2 使用済製品を化学的に分解して製品の原料として再利用すること

※3 再生可能な生物由来の資源

 

 

 

[リスク管理]

カーボンニュートラル環境センターが気候変動にともなう外部環境の変化と内部環境の変化を全社的にモニタリングし、事業に影響を与えるリスクを洗い出しています。

気候関連リスクは、人事総務本部を担当するCHRO(Chief Human Resource Officer)が議長を務めるリスク管理推進会議で特定します。リスク管理推進会議では、各部からの報告をもとに、気候変動に起因する「台風」「洪水」を含むあらゆるリスクについて議論し、相対的に重要性を判断した上で、最終的に全社にとっての気候関連リスクを特定しています。

特定されたリスクは取締役社長であるCRO(Chief Risk Officer)のマネジメントのもと、取締役会へ報告しています。

 

[指標と目標]

中期・長期目標

 

・2050年環境ビジョン

 ライフサイクルGHGネットゼロ

 工場GHGネットゼロ

 

GHG排出量

[目標]

 

スコープ1,2

スコープ3

・2035年目標

・2030年目標

工場GHG排出量2019年度比 ▲100% を目指す

GHG排出量2019年度比 ▲30%

・2030年目標

工場GHG排出量2019年度比 ▲50%

・2025年環境取り組みプラン

工場CO2排出量2019年度比 ▲25%

 

[実績]

 

項目

2024年度(概算)(※1)

2019年度

2019年度比削減率

 

 

GHGスコープ1

59,018  t-CO₂e

76,444  t-CO₂e

▲37%

 

 

GHGスコープ2

153,600  t-CO₂e

260,470  t-CO₂e

 

 

GHGスコープ3

算出中(※2)

 

 

 

※1 KPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証を取得予定です。

※2 スコープ3の一部算定方法を変更したため、算出中です。