リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 原材料の調達について
当社グループは、原材料を国内外の複数の調達先を確保することで安定的な調達を行うよう努めています。しかしながら、市況環境の大幅な変化による発生量や流通量の減少から市場の需給環境が引き締まった結果、適正価格での調達難、調達不足からの大幅な仕入価格の上昇、生産活動への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 顧客が属する業界の需要動向について
当社グループの製品の主要な顧客は、造船業界、住宅販売、設備関連産業に属しています。したがって、当社グループの製品は、上記業界の非鉄金属に対する需要動向に大きく影響される可能性があります。今後何らかの要因で非鉄金属に対する需要が落ち込んだ場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定の販売先への集中
2023年8月期において、当社グループの売上高に占める住友金属鉱山株式会社の売上高比率は20.5%であります。
当該会社とは長期的な取引関係を継続しておりますが、何らかの理由により、取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等
当社グループの取扱い品目の価格は、毎日の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けます。そのため価格変動リスク及び為替変動リスクのマネジメントは当社グループにとって非常に重要であります。
①非鉄金属相場の影響
海外取引(仕入及び販売)は、ロンドン金属取引所(LME)の価格を基準として刻々と変化します。国内取引(仕入及び販売)は、国内建値(ロンドン金属取引所(LME)×TTS+諸費用)を基準として日々変化します。取引先との価格の決定方法としては、当月平均、前月平均、固定価格等、様々な決め方はありますが、LME価格は、それら全ての基準となっております。また製品及び原材料等については、それらの非鉄金属相場等で変動する直近月の平均販売単価や平均再調達単価等を時価として評価を実施します。これらのことから、非鉄金属相場の変動による利鞘の変動リスクや原材料等の在庫評価額の変動リスクが存在し、業績に影響を与える可能性があります。特に近年は、商品市場への投機資金の流入により価格の変動率は大幅に高まっており、リスク量は増大しております。このためロンドン金属取引所(LME)先物等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。
②為替相場の影響
当社グループでは、主にドル建てによる国際間取引の割合が高いため、為替変動の影響を受けます。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。
(注)TTS:対顧客電信売相場
-ご参考-
2018年9月から2023年8月までのロンドン金属取引所銅相場(LME銅キャッシュ月中平均)及び為替相場
(TTM月中平均)は下記の通りであります。
(注)TTM:電信中値相場
2018.9~2019.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
6,020 |
6,216 |
6,193 |
6,094 |
5,932 |
6,278 |
6,451 |
6,445 |
6,028 |
5,868 |
5,940 |
5,708 |
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
111.91 |
112.82 |
113.36 |
112.51 |
108.98 |
110.38 |
111.24 |
111.73 |
109.86 |
108.12 |
108.28 |
106.32 |
2019.9~2020.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
5,745 |
5,743 |
5,860 |
6,062 |
6,049 |
5,686 |
5,179 |
5,048 |
5,234 |
5,742 |
6,354 |
6,497 |
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
107.45 |
108.15 |
108.90 |
109.24 |
109.39 |
109.98 |
107.41 |
107.96 |
107.35 |
107.55 |
106.84 |
106.05 |
2020.9~2021.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
6,712 |
6,703 |
7,063 |
7,755 |
7,970 |
8,460 |
9,005 |
9,336 |
10,184 |
9,612 |
9,434 |
9,357 |
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
105.76 |
105.27 |
104.41 |
103.84 |
103.69 |
105.37 |
108.63 |
109.14 |
109.20 |
110.13 |
110.31 |
109.85 |
2021.9~2022.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
9,324 |
9,779 |
9,765 |
9,550 |
9,776 |
9,941 |
10,238 |
10,183 |
9,363 |
9,033 |
7,530 |
7,961 |
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
110.17 |
113.11 |
114.14 |
113.88 |
114.85 |
115.22 |
118.53 |
125.98 |
128.81 |
133.93 |
136.79 |
135.24 |
2022.9~2023.8 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
LME銅キャッシュ 単位:ドル/MT |
7,735 |
7,621 |
8,030 |
8,367 |
9,000 |
8,955 |
8,836 |
8,814 |
8,234 |
8,386 |
8,445 |
8,352 |
為替相場(ドル・円) 単位:円 |
143.09 |
147.19 |
142.48 |
135.09 |
130.35 |
132.75 |
133.92 |
133.40 |
137.43 |
141.27 |
141.30 |
144.84 |
(データ出典 LME銅:ロンドン金属取引所 為替相場:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
(5) 有利子負債
2023年8月期末において、当社グループの有利子負債は126億78百万円、総資産に対する割合は50.6%となっております。当社グループは、財務体質の改善に努力いたしておりますが、今後の金利動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 法的規制について
当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に基づいて、産業廃棄物保管基準に則った保管を行い、産業廃棄物処理業者に収集運搬及び処理を委託しています。廃棄物処理法における(不適切な産業廃棄物の保管、委託処理に係る契約書の未作成、マニフェスト虚偽記載等)一定の要件に抵触した場合、行政処分等がなされる可能性があり、当社グループの風評、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、国内事業所において、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律などの環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌等の汚染防止に努めておりますが、関連諸法令の改正・強化によって、当社グループにおいて新たな管理費用・処理費用負担が求められる可能性があります。
さらに、当社グループが製造、販売する一部の製品には、製造過程で毒物及び劇物取締法の対象となる薬品が使用されております。その管理については、法令を遵守するとともに当社グループの環境マネジメントマニュアルに従い、廃液流出や盗難、労災事故等への対応を行っておりますが、万が一、使用、保管上の不測の事態の発生や天災、火災等の事故があった場合、環境汚染を招く可能性があり、当社グループの風評、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) カントリーリスク
当社グループは、多国間取引の割合が高いことから、取引先各国の経済情勢に加え、貿易・通商規制、税制、予期しない法律又は規制の変更並びにそれらの解釈の相違等により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(8) 設備事故等
当社グループは、多くの生産設備等を有しており、運転・保守管理と設備安全化の両面から労働災害及び生産設備等の事故防止の徹底を図っておりますが、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(9) テロ、戦争、事故、地震など自然災害について
当社グループは、北陸地区における大規模な自然災害や、当社グループの製造施設における事故等が発生した場合、製造設備等への損害、生産活動の停止、取引先や製造施設近隣住民への補償等により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループの主要取引先の地域での地震等の大規模な自然災害で、主要取引先の生産活動が停止した場合や広いエリアでの災害のため、経済全体が大きく減速した場合にも営業活動(仕入及び販売)が困難になることで当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。
非鉄金属の鉱山が多い地域での地震、テロ、戦争などが起こった場合も、非鉄金属の供給及び価格に大きく影響を及ぼすことから、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(10) システム障害等
当社グループは、業務処理の基盤をコンピュータシステム及びその通信ネットワークに多く依存していることに加え、近年のリモートワーク拡大により、システム障害等の発生に係る重要性は一段と高いものとして認識しております。またシステムのメンテナンス等の一部はクラウドシステム業者を含む外部業者に委託しております。そのため、不測の事態に対しては、当社グループは障害発生時の体制整備、システムセキュリティの強化、通信回線やハードウェアの増強等、様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず、人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や外部業者のトラブル等により、コンピュータシステムや通信ネットワークが利用できなくなることにより、当社グループの業務が停止する可能性があり、かかる状況が長期にわたる場合、当社グループに対する信頼性の低下を招く等の重大な影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社では、株主の皆様に対する利益還元は経営の最重要目的の一つであるという認識のもと、利益配分につきましては、期間収益、内部留保、財務体質等の経営全般にわたる諸要素を総合的に判断の上、決定する方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、「取締役会決議により、毎年2月末日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり20円(うち、中間配当10円)の配当を実施することを決定いたしました。
内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術・製造開発体制を強化し、さらには、グローバル戦略の展開を図るために有効投資してまいりたいと考えております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年4月14日 |
141,088 |
10.0 |
取締役会決議 |
||
2023年11月22日 |
141,067 |
10.0 |
定時株主総会決議 |