2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下に記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)外部環境について

① 法的規制について

当社グループは不動産業及び建設業に属し、「宅地建物取引業法」、「建設業法」及び関連する各種法令により規制を受けており、当社においては宅地建物取引業免許及び一般建設業許可について、子会社株式会社ウィル空間デザインにおいては特定建設業許可について、子会社株式会社リノウエストにおいては宅地建物取引業免許について、それぞれ監督官庁より許認可を受けております。現時点において、当該免許及び許認可等が取消しとなる事由は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該許認可等が取消された場合又はそれらの更新が認められない場合には、当社の事業活動に支障をきたすとともに、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、これらの法律等の改廃又は新たな法的規制が今後生じた場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(当社)

許認可等の名称

許認可等の内容

有効期限

許認可取消事由等

宅地建物取引業免許

国土交通大臣免許

(5)第6447号

2028年6月17日

(5年ごとの更新)

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅建業法第66条)

一般建設業許可

国土交通大臣許可

(般-2)第21398号

2025年10月4日

(5年ごとの更新)

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

 

 

(株式会社ウィル空間デザイン)

許認可等の名称

許認可等の内容

有効期限

許認可取消事由等

一般建設業許可

国土交通大臣許可

(般-5)第28980号

2028年10月15日

(5年ごとの更新)

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消(建設業法第29条)

 

(株式会社リノウエスト)

許認可等の名称

許認可等の内容

有効期限

許認可取消事由等

宅地建物取引業免許

兵庫県知事免許

(1)第300607号

2027年8月24日

(5年ごとの更新)

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅建業法第66条)

 

② 住宅市況及び金利状況、経済情勢の変動について

当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利上昇、地価の上昇並びに住宅税制等の諸情勢に変化があった場合には、住宅購入者の購入意欲を減退させる可能性があります。また、金融機関の融資姿勢に変化があった場合には、新規事業用地の取得が困難になる場合があります。これらの場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、上記経済情勢の変化は、事業用地の購入代金、材料費、施工費並びに販売期間の長期化に伴う販売促進費等の変動要因にもなり、これらが上昇した場合には、当社グループの事業利益が圧迫され、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

当社グループが事業展開する不動産業界においては、大手企業を含む事業者が多数存在し、これらの事業者との競合が生じております。当社グループは、「住まい・暮らし」をキーワードとした「人生に関わる総合サービス企業」を標榜し、不動産に関連する各事業を展開しており、今後においては、特に、地域密着型店舗展開の強化、平日会員向け仲介手数料割引サービスや売却期間の短縮で節約できたコストをお客様へ還元する期間報酬制度をはじめとした各種サービスによる流通事業の強化を推進いたします。また、それに伴う「住まいのワンストップサービス」の相乗効果によるリフォーム事業、不動産取引派生事業の強化、開発分譲事業の魅力的な戸建物件の創出等により、他社との差別化を進め、事業基盤の拡充を図っていく方針であります。

しかしながら、同業他社においては、当社グループと比較して、資本力及びブランド力等に優れる企業が多数あり、これら企業との競合等により当社グループの想定どおりの事業拡大を図れる保証はなく、更に競合が激化した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、開発分譲事業については、当社グループの営業地域において多数の事業者が事業を展開しております。当社グループは、地域に密着した営業所展開によって、効率的な事業用地の仕入及び販売活動を推進しておりますが、同業他社も多く、土地の仕入や販売活動において競合が発生しております。当社グループの分譲物件の販売において、近隣に他社の分譲物件等がある場合には、販売活動が想定どおり進捗しない可能性があり、販売期間の長期化や値引販売等による採算悪化等が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業展開について

① 営業地域について

当社グループは、関西圏の阪神間・北摂地域と中部圏の名古屋市、東京圏の東京23区を主たる営業地域として事業展開を行っており、当該地域に営業店舗を20店舗展開(2023年12月末現在)しております。当社グループは、当該店舗において収集・蓄積した地域特性・市場動向・顧客ニーズ等の情報及び集客をグループ全体で総合的に活用することにより、地域密着型店舗を基盤とした事業を展開しております。

しかしながら、これらの事業展開により、当該地域の市場動向等に強い影響を受ける可能性があり、当該地域の不動産市況の低迷や地域的な景況感悪化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは将来においては当該地域以外への進出を計画しており、その場合には現在と同様の事業展開が図れる保証はありません。

 

② リフォーム事業及び開発分譲事業における外部委託業者の活用について

当社グループの開発分譲事業における分譲物件においては、当社グループが分譲物件のマーケティング及びコンセプト策定等を行い、設計・建築工事業務等については、設計・施工等の能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、外部の事業者に委託しております。また、リフォーム事業においては、当社グループがリフォーム物件の設計・施工管理業務等を行い、それ以外の施工業務等については外部の事業者に委託しております。

外部委託業者の選定及び管理については十分に留意しておりますが、必ずしも当社グループのコントロールが充分である保証はなく、外部委託業者においてトラブル等が生じた場合には、当社グループの事業推進に影響が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 開発分譲事業について

当社グループの開発分譲事業においては、戸建分譲開発を中心とした事業展開を図りながら、他事業における手数料収入や請負工事収入の比率を高めることで事業構造のバランス改善に努め、総資産に占める棚卸資産並びに有利子負債を圧縮しつつ、財務リスクの軽減を図ってまいりました。そのようななか、2023年12月期におきましては、総売上高に占める開発分譲事業の売上割合は53.2%、開発分譲事業における棚卸資産計上額の総資産に占める比率は35.6%であります。

景気動向の影響を受けやすい不動産市況に鑑みた場合、当社グループが推進するプロジェクトの開発及び販売計画が想定どおり進捗する保証はなく、何らかの理由により当該プロジェクトの中止、延期及び販売期間の長期化等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 分譲物件等にかかる品質管理等について

住宅供給業者は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、新築住宅の構造上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分については住宅の引渡日から10年間、その他の部分については、「宅地建物取引業法」により住宅の引渡日から最低2年間について契約不適合責任を負います。加えて「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」により、住宅の瑕疵担保責任履行のための資力の確保が義務付けられており、当社グループでは「住宅瑕疵担保責任保険」への加入により、その保証責任を十分履行できるような体制を整えております。

また、当社グループにおいて開発・分譲等を行う住宅については、その品質管理を重視した事業展開を推進しており、地盤調査、アスベスト及び建材の耐火性能等のチェックについては外部委託業者等との協力体制を構築しており、現時点において過年度に供給したものも含め、問題となる物件はないものと認識しております。

しかしながら、当社グループの販売した物件に重大な瑕疵があることが判明した場合には、その直接的な原因が当社グループの責めに帰すべきものでない場合であっても、売主としての瑕疵担保責任を負わなければならない場合があり、損害賠償請求の発生並びに当社グループに対する信頼低下等により、当社グループの事業展開及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また今後、法規制等が強化された場合には、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(3)組織体制について

① 組織体制について

当社グループは2023年12月31日現在、従業員が229名(臨時雇用者等除く)となっており、内部管理体制も現在の組織規模に応じたものとなっております。今後、事業の拡大に伴って、内部管理体制の整備、充実を含め、計画的な人員増強に努める方針ではありますが、当社グループが事業規模の拡大に対して、適切かつ充分な人員の増強ができなかった場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材確保について

不動産業界においては、専門的知識が必要なため、一般に業界経験のある人員を中途採用する企業が多いなか、当社グループは、企業方針にかかる認識の徹底を図るため、創業当初より原則として新卒採用を主体とした人材採用を実践しており、自社において研修制度の充実を図り従業員の教育・育成を行っております。当社グループは、当該方針の徹底及び実践の成果により、現時点において当社グループが求める人材について育成が進み、これが他社との差別化要素の一つとなっているものと認識しております。

しかしながら、当該人材の育成には相応の期間を要することから、人材育成のスピードが事業規模に見合わない場合には事業拡大の制約要因となる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)財政状態及び経営成績の変動について

① 物件の引渡し時期等による経営成績の変動について

不動産業界においては、一般に転勤及び学期末の時期であること等から、3月頃に不動産物件の引渡し等が集中し売上高が増加する傾向にありますが、当社グループにおいては、当該季節要因とは別の営業戦略上の理由により、開発分譲事業における個別物件の引渡し時期が第4四半期に集中する傾向があり、これによる業績偏重が生じる可能性があります。

開発分譲事業における売上高は、会計上、物件の売買契約締結時(営業活動の完了時)には計上されず、引渡時(役務提供の完了時)において計上されます。このことから、天災地変、事故、その他予期し得ない要因による工期遅延等の不測の事態により開発分譲物件の引渡時期について、四半期末並びに年度末を越える遅延が生じた場合、また、市況の影響による販売期間の長期化が余儀なくされた場合には、当社グループの経営成績は著しく変動する可能性があります。

なお、経営成績に占める第4四半期の売上高及び営業利益の割合は以下のとおりであります。

 

2022年12月期(第4四半期)

2023年12月期(第4四半期)

売上高

33.3%

34.0%

営業利益

38.5%

47.1%

 

② 有利子負債への依存度

当社グループは、開発分譲事業に係る用地取得費及び土地造成費等のプロジェクト資金、並びに賃貸事業の物件取得資金について主として金融機関からの借入金によって調達しております。

前述のとおり、2023年12月期における開発分譲事業の売上割合は53.2%、総資産額に占める有利子負債の比率についても、2022年12月期59.7%、2023年12月期58.0%となっております。今後においては、資金調達手段の多様化に積極的に取り組むことにより自己資本の充実に注力する方針でありますが、積極的な開発分譲事業への取り組みにより、有利子負債依存度が増加した場合や市場金利が上昇する局面においては支払利息等の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、資金調達に際しては、当社グループでは特定の金融機関に依存することなく個別案件ごとに金融機関に融資を打診しております。また、プロジェクト開発を目的とした資金調達につきましては、弁済期日に関わらずプロジェクト物件1戸引渡しごとに弁済金額が定められておりますので、プロジェクト物件の販売状況に連動し、販売代金により返済されるものであるため、現時点において借入金返済に支障が生じる状況にはないものと認識しております。しかしながら、何らかの理由により資金調達が不十分あるいは不調に終わった場合には、プロジェクトの中止、延期等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報保護について

当社グループでは、営業活動に伴い様々な個人情報を入手しております。当社グループとしては、内部の情報管理体制の徹底により個人情報の保護に注力しておりますが、不測の事態により、個人情報が流出した場合等には、損害賠償並びに当社グループの信用低下等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)訴訟等の可能性について

当社グループは、事業展開において宅地建物取引業法並びにその他関連法令を遵守した営業活動を推進しておりますが、顧客との認識の齟齬その他に起因したクレーム・トラブル等が発生する場合があります。当社グループにおいては、弁護士等の関与のもと必要と考えられる相手先との協議・対応を行っており、現在、重大な訴訟事件等は生じておりません。

しかしながら、今後においてこれらクレーム・トラブル等に起因して重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループにおける顧客からの信頼低下並びに損害賠償請求等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

(1)配当の基本的な方針

企業価値の最大化に向け、将来の事業拡大及び財務体質の強化を目的とした内部留保の充実に努めるとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要な施策の一つと考え、業績に連動した配当を安定的に実施してまいることを基本方針としております。また、連結当期純利益の30%程度の配当性向を目標としております。

 

(2)毎事業年度における配当の回数についての基本的な方針

当社は、期末配当における年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。今後におきましては、中間配当についても検討を行ってまいる所存であります。

 

(3)配当の決定機関

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 

(4)当事業年度の配当決定に当たっての考え方及び内部留保資金の使途

この方針に基づき、2023年12月期におきましては、現在の財務内容における自己資本の水準と今後の業績拡大を踏まえ、普通配当は16円50銭とし、これに創業30周年記念配当3円50銭を加え、1株当たり20円の期末配当を実施することを決定いたしました。

内部留保資金につきましては、今後の経営戦略である事業規模の拡大に伴って増加すると見込まれる必要運転資金に充当することで、安定的・持続的な成長を実現してまいりたいと存じます。

当社は、「取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

なお、基準日が当事業年度に係る利益剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年3月28日

228

20円00銭

定時株主総会決議