2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,181 100.0 157 100.0 7.2

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、「アイデアと探究心で、”あたりまえ”を革新する。」というパーパスの下、プリント基板のEコマース「P板.com(ピーバンドットコム)」の運営を中心に事業を行っております。
 プリント基板は、自動車、テレビ、スマートフォン、医療機器など、あらゆる“電子機器”に使われる基幹部品です。既存のエレクトロニクス産業の需要に加え、近年では、経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す「Society5.0」においても多様なデバイスの開発・利用の促進がされており、今後益々プリント基板の需要は拡大していくものと思われます。
 プリント基板の調達に必要な、基板設計・製造・部品実装の基幹サービスに加えて、電子機器などを収めるケース(筐体:きょうたい)の製造、基板と基板をつなぐハーネス部品の加工など、周辺サービスの充実を図っております。

 国内でいち早くサービスを開始したこれまでの実績に加え、ニーズに合わせたサービス領域の拡充とお客様に寄り添ったサポートによりサービスの信頼性が向上したことなどで、プリント基板の設計・製造・部品実装を一括で利用するワンストップ・ソリューション(※)の利用頻度が高まり、注文単価の増加に繋がっております。
 近年では、量産の対応や、電子機器製造を一括で受託製造するEMSまでサービス領域を広げ、開発・量産支援サービス「S-GOK(スゴック)」を開始し、IoT関連製品を中心に受注を伸ばしております。
 

 現段階では「P板.com」が収益の柱となっておりますが、「P板.com」で蓄積した顧客基盤による信頼性を活かしながら、ものづくりに必要なリソース「ヒト、モノ、カネ、時間、情報」を満たすためのピーバン・オムニチャネルの構築を目指し、持続的な事業成長に繋げてまいります。

ものづくりの”足りない”を満たす、ピーバン・オムニチャネルの構築

 

 なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。当社の展開する事業概要は以下のとおりになります。

 

※ワンストップ・ソリューション:必要になる作業を一度の手続きで全て完了することが出来るサービスを意味します。当社のサービスは、プリント基板の設計、製造、部品実装までウェブ上で簡単に一括して注文手続きを行うことができます。

 

(1)事業の概要

① プリント基板のEコマース「P板.com」

 当社は、プリント基板のEコマースである「P板.com」の運営を行っております。

 「P板.com」では、顧客が当社Webサイト上で選択した基板の仕様に合わせ、国内又は海外の提携仕入先の中から最適な価格・納期・品質で製造できる工場を自動選定し、4つの納期のコースに合わせた見積金額を提示します。顧客は提示された見積・納期の中から選択し、設計図をアップロードするだけでプリント基板を手軽に注文することができます。当社では、顧客から提示された基板の設計図をカスタマーサポート部にて確認した後、ただちに、提携仕入先へ自社システム上より発注を行う仕組みとなっております。工場では、通常2、3日以内に製造が完了し、顧客の手元に届けられます。

 

 事業のサービス別分類は、下記のとおりであります。

サービス分類

説明

設計

顧客から支給される「電気信号の流れを表した回路図」に基づき、基板を製造するためのデータを、CADソフトによって設計します。

製造

顧客から支給される基板製造用データ又は当社の設計サービスにより設計した基板製造用データに基づき、基板を製造します。事業の主力部分です。

実装

製造した基板に、電子部品を配置し、はんだで接続します。電子部品を当社側で調達を行うオプションの利用が増加しております。

その他

基板へ電子部品を実装する際に必要となる専用治具「メタルマスク」の製造、筐体の製造、部品実装済み基板や外部装置などを接続する電線(ハーネス)を加工するサービス等があります。

 

② 開発・量産支援サービス「S-GOK(スゴック)」

 当社では、広範なサプライチェーンネットワークとものづくりの知見を活かし、電子機器の受託製造サービス「S-GOK(スゴック)」を展開しています。S-GOKは単なる製造請負にとどまらず、ソフトウェア開発、部材調達、組立、検査までを含む包括的な支援体制を構築。開発初期から量産フェーズに至るまで、一貫したモノづくりを支援します。

 サービスの提供を進める中で、顧客企業が製品アイデアを具体的な要件定義へと落とし込む初期段階において、的確なサポートへのニーズが極めて高いことが明らかとなりました。こうした課題に対応するため、当社では新たに「S-GOKコンサルティングサービス」を開始。構想段階から量産体制の確立までを一貫して支援し、製品化へのスムーズな移行を可能にしています。

 特に、スピード感と柔軟性が求められるスタートアップ企業においては、迅速な意思決定と開発体制の立ち上げが成功の鍵となります。S-GOKでは、ハードウェアとソフトウェアを横断する総合的な技術支援により、こうしたニーズに応えることで他社との差別化を図っています。

 現在、S-GOKは数千台~数万台規模の小ロット製造を中心としたIoT分野を主軸に利用いただいており、着実に市場への浸透を進めています。

 

③ エンジニアに向けた技術情報サイト「@ele」の運営

 プリント基板を扱う技術者のすそ野を広げるためのインフラ整備にも力を注いでおります。IoTの広がりに伴い、IT・エレクトロニクス業界のみならず、異業種からの電子機器の開発需要が増加する中、エンジニアに向けた技術情報サイト「@ele(アットマーク・エレ)」をリリースし、主に若手エンジニアの育成の後押しを行っております。プリント基板に関する専門情報を配信することで、当社への技術的信頼度を向上させるとともに、当社サービスの広報活動も並行して行い、ユーザーの獲得、当社サービスの利用拡大へと繋げております。

 

④ エンジニアの登竜門「GUGENコンテスト」の運営

 電子機器産業の持続的な発展のためには、電気・電子エンジニアの人口拡大が不可欠と考えております。そのために、当社は2009年よりエンジニアにスポットを当てる「電子工作コンテスト」を開催し、自身が作成した電子工作の作品を、一般客やメディアに披露できる場を提供してまいりました。以降、毎年開催しており、2013年に「GUGEN(ぐげん)」に名称を変更し、「社会における課題を解決するデバイス」と審査基準を改め、世の中に必要とされる作品の開発を業界のエンジニアに促した結果、今までの累計で1,700作品を超える作品が誕生しております。審査員やスポンサーは業界の著名人やスタートアップ(急成長を目指す新規の立ち上げ企業)への支援企業の方等を中心に招聘し、いまではエンジニアの登竜門の場として定着しました。当社のこのような活動は、2024年の開催で16年目となり、「P板.com」の広報としての要素も兼ねた活動となっております。

 

 

(2)プリント基板のEコマース「P板.com」の特徴

① 試作開発に特化した新しい料金体系の提示

 新製品の開発には試作(プロトタイプの作成)が必要不可欠ですが、それに要するプリント基板の作製には高額なイニシャル費用(初期費用)が発生します。試作は1回だけでなく、2回3回と繰り返しながら製品に磨きを掛けるのが一般的であり、その都度イニシャル費用が発生することは、限られた開発コストを圧迫することになり、エンジニアの悩みの一つでした。

 そこで当社は、「異種面付工法」(※)により、イニシャル費用を大幅に効率化した上で、基板製造費用に全てを含めた料金体系を提示し、当時の一般的なプリント基板製造の相場から大幅に安く提供を行うことで、実績を拡大してまいりました。

※ 異種面付工法:定格サイズ(4~5m四方)の材料で一種類の基板のみを製造する従来の方法に対し、複数種類の基板を共に製造する工法。材料を余すこと無く使用でき、試作等で少量の基板が必要な場合に有用。

 

② 効率的な受発注管理の仕組み化

 当社のプリント基板のEコマース事業では、受発注管理を効率化し、顧客から注文を受けて製造・仕入・出荷まで、すべて自社システム内で完結させることで迅速な対応を実現しております。電子機器の根幹を支える「プリント基板」は一点ごとに意匠の異なるオーダーメイド製品ですが、基板を構成する部品は規格化されたものであることから、当社では基板仕様を汎用標準化して顧客が希望するプリント基板をインターネット上で直販する仕組みを構築し、仕入・発送まで大幅にスピードアップして、商品を迅速にエンドユーザーにお届けしております。商品の仕入・販売に関しては、店舗・営業所を保有せず、顧客からの受注機能、仕入商品の発注機能、商品の入出荷管理機能及び電話による顧客サポート機能を本社に集約しており、受発注管理のほぼ全てを自社システム内で完結し、効率化しております。

 

③ 利便性の高い見積・注文システムの構築

 スピード感を重視し製品の開発・研究を営む企業において、購買に時間をかけることなく商品を仕入れることは重要視されます。オーダーメイド品であるプリント基板は、製造を依頼するプロセスに基板製造業者との対面でのやりとりが不可欠であったため、見積取得や価格交渉に時間を割く必要がありました。当社は、その課題を解決するために、インターネット環境があれば、いつでもどこでも瞬時に見積が取得出来る「1-Click見積」システムを当社WEBサイト上に設置し、電気・電子エンジニアが製品開発時に感じる見積取得の煩わしさを解消いたしました。

 

④ 広範に渡る顧客層

 Eコマースを利用した販売形態を採用することにより、従来の対面販売型と比べ基板発注の敷居が下がり、顧客層を広げることができました。その結果、大学・高専/研究機関など公的機関、国内大手セットメーカやそれを支える電子部品の中堅・中小企業などの法人、さらに個人事業主に至るまで試作開発案件を取り込み、累計取引者数は2万8千社を超え、幅広い顧客層から支持を得ております。品質への要求に対しては、ISO9001:2015規格の認証を取得し、よりよい製品やサービスの提供にコミットしております。また「納期遵守の徹底」により10年連続納期遵守率99%超え達成したこと等により当社への信頼度が向上し、大手企業・中堅企業との取引が拡大しております。

 

⑤ ファブレスによる優良な仕入先との関係構築

 当社は、自社工場を持たない、いわゆるファブレスでの運営を行っております。仕入先については、一社に依存することなく、国内外の複数の仕入先と提携することで、安定した製品の供給と、顧客の要求に沿った、より競争力のある商品を提供しております。

 

 仕入先とは、信頼と実績に基づき、低価格で高品質の商品を納期通りに提供して頂けるように長期にわたり安定した取引関係を築くことを基本としています。当社では、プリント基板の市場価格や需要の変動、求められる品質基準の向上、納期の短縮化を常に意識し、改善を心掛けており、当社の培ったノウハウを仕入先にも共有し、より競争力ある商品を提供いただくことも当社の役割と心得ております。

 

⑥ 取扱う商材の拡大

 プリント基板の中でも、取扱いやすさから様々な製品に採用されているリジッド基板(※1)を主軸として、フレキシブル基板(※2)、アルミ基板(※3)、リジット・フレキシブル基板(※4)などの商材を取り扱っております。近年では、LED照明等に使われるアルミ基板、EV・ロボットなど大電流制御の用途で使われる厚銅基板(※5)の需要拡大に合わせ、充実を図っております。また、プリント基板の周辺商材として、メタルマスク、筐体、ハーネス等の取扱もしております。

※1 リジッド基板:柔軟性のない硬質な材料をベースとした基板、電化製品に主として使用されている。

※2 フレキシブル基板:薄く柔軟性のある材料をベースとした基板、ウエアラブル機器やスマートフォン等に使用されている。

※3 アルミ基板:リジッド基板にアルミ材を合わせ放熱特性を高めた基板、照明機器などによく使用されている。

※4 リジッド・フレキシブル基板:硬質な材料と薄く柔軟性のある材料とを複合した基板。

※5 厚銅基板:基板上の銅箔部分が厚く大電流を流せる基板。

 

(3)新たな成長ドメイン「GUGEN-Hub(グゲンハブ)」構想

 当社のお客様の多くは、研究開発部門(R&D)に従事するハードウェア開発者であり、その業務を効果的に支援するためのツール開発に注力しております。GUGEN Hubはハードウェア開発エンジニアが、研究開発に専念できる環境を提供することを目的とするサービスです。電子部品のみならず、ワイヤーハーネスや筐体のメーカー様、専門商社や他社のECサービスまでも、GUGEN Hubを通して繋ぐことを目指しています。エンジニアは、GUGEN Hubを利用することで最適なサプライチェーンを見つけることができます。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化、エネルギー価格の高止まり、地政学的リスクの高まりなどを背景に、不透明な状況が続きました。一方、電子部品や半導体の供給制約は緩和され、EV・IoTの普及や生成AIの進展などを追い風に、エレクトロニクス業界では新たな成長機会が生まれています。

 当社は、こうした外部環境の変化に対応すべく、2024年10月に新たな中期経営計画を策定し、主力であるネット通販「P板.com」を中核としたワンストップソリューション(プリント基板の設計・製造・実装・電子部品調達)の強化を図るとともに、以下の重点施策に取り組みました。

シェア拡大に向けた取り組み

 BtoB-EC市場の拡大を背景に、当社の強みであるEC運営ノウハウとDX推進力を活かし、国内小規模・中堅基板メーカー市場への参入を進めました。その結果、2024年12月末時点で累計取引企業数が3万社を突破しております。

電子部品調達の自動化

 2024年12月より、国内最大級の半導体・電子部品通販サイト「CoreStaff ONLINE」を運営するコアスタッフ株式会社とのAPI連携により、「P板.com」上で部品見積から発注までをワンストップで完結可能な仕組みを構築し、電子部品調達の利便性を一層高めています。

モノづくりコンサルティング「S-GOK(スゴック)」

 2024年6月より開始した本サービスでは、当社の広範なサプライチェーンネットワークを活かし、構想段階から量産フェーズまでの支援を提供。特にスタートアップ企業に対して、迅速かつ実行力のあるサービスを通じて他社との差別化を図っています。

生成AI技術を活用した「AIハードウェア設計ツール」

 2025年3月にリリースした本ツールは、プロンプト入力により必要部品の自動選定・リスト化が可能な機能を提供。ハードウェア設計の敷居を下げ、初心者やソフトウェアエンジニアの参入を促進しました。

「gene」×「EnerCera®」によるセンサーデモ機開発サービス

 日本ガイシ株式会社が開発・製造する世界最薄クラスのリチウムイオン二次電池「EnerCera®」(エナセラ)と当社のセンサーデモ機開発サービス「gene」とのコラボレーションによるセンサーデモ機の開発を開始いたしました。当社はこの開発により、ウェアラブルデバイスやIoT機器市場のさらなる拡大に向けて、短期間かつ低コストのプロトタイピングを実現します。

北米向け基板ECサイト「PCB Flash」の新規開設

 Mitsui Plastics Inc. (本社 : 米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ、三井物産株式会社(100%出資)、以下MPI)との戦略的パートナーシップを通じ、北米のプリント基板市場に進出しました。日本基準での品質管理や効率的なネット通販の仕組みを活かすことで、高品質・低コストのサービスを提供し、新たな顧客基盤の開拓を目指します。

名古屋証券取引所メイン市場への重複上場

 2025年3月14日から名古屋証券取引所メイン市場に重複上場し、投資家層の拡大と流動性向上を図りました。これにより、投資家層の拡大と株式の流動性向上を図り、より多様なステークホルダーとの対話を促進します。

 

 これらの施策により、販売管理費は成長投資の影響で増加したものの、高付加価値型ビジネスモデルへの集中や業務効率化により、収益性の改善を継続しております。

 

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,180,578千円(前年同期比8.2%増)、販売費及び一般管理費は631,729千円(前年同期比15.6%増)、営業利益は157,193千円(前年同期比18.3%増)、経常利益は159,295千円(前年同期比20.2%増)、当期純利益は112,531千円(前年同期比20.6%増)となりました。

 

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ61,051千円増加し、1,137,609千円となりました。キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動による資金の増加は144,560千円(前事業年度は148,812千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益155,464千円の計上、減価償却費22,090千円の計上、投資事業組合運用損2,842千円の計上、株式報酬費用4,770千円の計上、有形固定資産除売却損3,831千円の計上、仕入債務の増加5,188千円、売上債権の増加39,047千円、破産更生債権等の減少1,257千円、未払金の増加13,973千円、未払消費税等の増加6,965千円、利息の受取額604千円、法人税等の支払額26,277千円等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動による資金の減少は46,174千円(前事業年度は92,503千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,370千円、無形固定資産の取得による支出16,572千円、投資有価証券の取得による支出17,500千円、保険積立金の積立による支出9,731千円等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動による資金の減少は37,333千円(前事業年度は31,570千円の減少)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入100千円、配当金の支払による支出37,434千円によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における仕入実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

1,396,681

105.4

(注)金額は仕入価格によっております。

 

c.受注状況

 当社は受注から販売までの期間が短く、販売実績と近似するため記載を省略いたします。

 

d.販売実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

2,180,578

108.2

(注)主要な相手先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略いたします。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

a.資産の部

 当事業年度末における総資産は1,733,420千円となり、前事業年度末と比較して123,666千円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金61,051千円、売掛金40,018千円、商品5,026千円、投資有価証券14,474千円、保険積立金9,731千円、繰延税金資産3,711千円が増加した一方、電子記録債権970千円、建物附属設備643千円、機械及び装置2,205千円、ソフトウェア5,009千円、破産更生債権1,257千円が減少したこと等によります。

 

b.負債の部

 当事業年度末における負債合計は355,321千円となり、前事業年度末と比較して44,948千円の増加となりました。主な要因は、買掛金5,188千円、未払金13,973千円、未払消費税等6,965千円、未払法人税等21,373千円が増加した一方、預り金2,332千円、退職給付引当金1,520千円が減少したこと等によります。

 

c.純資産の部

 当事業年度末における純資産合計は1,378,098千円となり、前事業年度末と比較して78,717千円増加となりました。主な要因は、利益剰余金が当期純利益を計上したことにより112,531千円増加、配当金の支払により利益剰余金が37,415千円、自己株式の処分により自己株式が6,972千円減少したこと等によります。

 

 資金の運用は安全性の高い商品による運用方針としており、現状は現金及び預金が総資産の中心です。当期末時点の自己資本比率79.5%、また流動比率434.2%と、安全性の高い財務体質を目指しております。

 

③ 経営成績の分析

a.売上高

 当事業年度の売上高は、2,180,578千円と前事業年度と比べ164,799千円(8.2%)の増収となりました。主力事業であるプリント基板Eコマース事業が前年比で増加した等によるものです。

 詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b.売上原価

 当事業年度の売上原価は、1,391,655千円と前事業年度と比べ55,135千円(4.1%)の増加となりました。主な要因としては、売上高が前事業年度と比べ増加したこと等によります。

c.販売費及び一般管理費

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、631,729千円と前事業年度と比べ85,366千円(15.6%)の増加となりました。主な要因としては、人員の増員により給料手当が26,931千円、複数の展示会への参加により広告宣伝費が5,621千円増加したこと等によります。

d.営業外収益、営業外費用

 当事業年度の営業外収益は、5,321千円と前事業年度と比べ2,044千円(62.4%)の増加となりました。主な要因としては、協賛金収入が421千円増加したこと、補助金収入が992千円発生したこと等によるものです。

 当事業年度の営業外費用は、3,218千円と前事業年度と比べ458千円(12.5%)の減少となりました。主な要因としては、投資運用組合損が1,023千円増加した一方、為替差損が1,653千円減少したこと等によるものです。

e.特別損失、法人税等

 当事業年度の特別損失は、3,831千円となりました。要因としては、固定資産除却損3,831千円によるものです。

 当事業年度における法人税等は、42,932千円と前事業年度と比べ6,335千円(17.3%)の増加となりました。主な要因としては、法人税が11,266千円増加した一方、法人税等調整額が4,931千円減少したこと等によります。

 

 これらの結果により、当事業年度の営業利益は157,193千円、経常利益は159,295千円、当期純利益は112,531千円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、提携仕入先への仕入原価のほか、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。なお、これらの資金需要に対しては、内部資金によりまかなっており、有利子負債による資金調達は行っておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
 今後も、IoTやエッジ・コンピューティング、自動運転といった市場が本格化していき、様々な業界の新規参入が見込まれております。当社が展開しているEコマースの形態は、新規参入の企業にとって利用しやすい形態であり、市場の成長と共に当社の事業も拡大していくものと見込んでおります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を行うために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。今後の市場拡大のニーズを取り込むためには、コアサービスの「P板.com」、サービス領域を拡大した「開発・量産支援サービス」の成長が不可欠であり、さらに、それらの受発注を少数精鋭で効率的に行うことにより、事業の成長を図っていく方針であります。