リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 事業環境に関するリスク
① 景気変動について
マーケティング・サービスの業績は、他の広告会社と同様に、市場変化や景気の影響を受けやすい傾向があります。その中で、当社が提供するソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービスやブランド・マーケティング・サービスにおいて、ソーシャルメディア広告を含むインターネット広告市場については堅調に推移すると予想しておりますが、当社グループの想定通りに市場規模が推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ライセンスサービスの業績は、キャラクターグッズ等が、ユーザーにとって日常生活において必ずしも必要不可欠な商品ではないため景気動向により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業に関しては、在宅でも楽しめるSNS、動画配信サイト、ソーシャルゲーム、コミュニケーションアプリ、動画編集・投稿アプリなどのサービス利用の拡大も期待されますが、一方で、企業のマーケティング施策の縮小などの影響も懸念されております。
当社グループにおいては、ICTを活用して在宅勤務を取り入れつつ、コンテンツ制作など可能な限り従来通りの業務を行っており、現段階においては新型コロナウイルスの業績への顕著な影響はございませんが、今後、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合、企業の景況感悪化に伴う受注数の減退など、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合環境について
当社は映像制作の制作ツールとして主にFlashを採用しております。Flashを採用した映像コンテンツは、容量が小さく、拡大・縮小しても劣化せず解像度による制約が少ないなどの特徴があるため、多様なメディアやデバイスごとのデータ形式の変換が不要となります。このため、当社が制作する映像コンテンツの多くは、様々なメディアやデバイスに低コストで同時に展開することを可能としております。
Flashは2Dや3Dなど他の制作手法と比べると、工数が少なく、一般的な性能のPCでも動作することから、制作環境を整えるのは比較的容易であるため、当社を上回るブランド力と安定供給能力及びIP成長のためのプロデュース能力と資金力を備えた新規参入企業が現れた場合、競争激化により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
そのため、当社ではFlashを活用して映像の動きによる表現を意図的に制限する一方で、ストーリーやアイディアによりコンテンツの価値を高める制作手法を開発しております。このため、当社では、コンテンツのストーリー性やアイディアに関するクオリティを担保するブランド力のさらなる向上を図っております。
また、Flash作品の商業化を維持・発展させるために大量の作品を安定供給する制作システムの最適化、及びIPを成長させるための様々なメディアやデバイスへの展開のさらなる進化を図っております。
③ 技術革新について
当社は、適時に多様なコンテンツを手軽に視聴したいという市場ニーズに迅速で柔軟に対応できる制作システムを構築しており、現在はFlashを主な映像制作のための制作ツールとして採用しております。しかし、制作ツールの技術革新が当社の予想を超えて進行し、当社が新しい制作ツールにスムーズに移管できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
そのため、新たな制作ツールを採用した表現手法の多様化も進めており、さらなる付加価値の追求も図っております。
(2) 当社グループ事業に関するリスク
① IPの成長について
当社はクオリティの高い新規IPを開発するよう努めておりますが、新規IPの全てがユーザー等の嗜好に合致するとは限らず、当初計画していた通りに進捗しない可能性があります。多数のIPの成長が計画通りに進捗しない場合、製作委員会に対する出資金について減損損失を計上するなど、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社では継続的に新規IPを開発することでIPポートフォリオを構築してリスクの軽減を図っております。
② 当社保有IPの侵害について
当社グループは単独及び共同で保有するIPの認知度が当該国の著作権保護水準を大幅に上回った場合、海賊版や模倣品、違法配信等の権利侵害によって生じる機会損失がプロモーションコストを超過する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、IPをもとにビジネスをグローバルに展開しており、IPの認知度と著作権保護水準のバランスによってIP戦略を柔軟に選択しております。また、個別に適切な対応を図る方針ではあります。
③ 第三者の保有するIPの侵害について
当社グループの事業分野におけるIPの現況を全て把握することは非常に困難であり、当社グループが把握できていないところで第三者の保有するIPを侵害している可能性は否定できません。万一、当社グループが第三者の保有するIPを侵害した場合には、当該第三者より損害賠償請求又は使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があります。こうした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは第三者の保有するIPに関して、これを侵害することのないよう留意し、制作・開発を行っております。
④ 新規事業
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も、積極的に新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資が回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ グローバル展開について
当社グループは、世界的なスマートデバイスの普及、ブロードバンド網の発達及び成長メディアの興隆に合わせてグローバル展開を進めております。その中で各国の市場ニーズや嗜好の変化などの不確実性や、景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、大幅な為替の変動などの潜在的なリスクが存在しており、それらのリスクに対処できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 業務・資本提携・合弁等について
当社グループでは、業務・資本提携・合弁等を通じた事業拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先・合弁先の持つ経営資源を融合することで、大きなシナジー効果を発揮することを目指しておりますが、当初見込んだ効果が計画通り発揮されない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦ IP買収について
IPポートフォリオの成長を加速する有効な手段として、他社の保有するIPの買収を有効に活用していく方針です。IPの買収に当たっては、リスクを吟味した上で決定していますが、当初見込んだ効果が計画通り発揮されない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 取引慣行等について
広告業界においては、知的財産権に関する事項を除き、取引の柔軟性や機動性を重視する取引慣行から、契約書の取り交しや発注書等の発行が行われないことが一般的であります。そのため、不測の事故又は紛争が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
現在大手広告代理店等を中心に取引慣行の改善や取引の明確化が進められており、当社グループも取引先との間で事前に文書を取り交すように努め、取引の明確化を図っております。
⑨ 広告・映像制作事業について
当社グループの主力事業である広告・映像制作事業においては、受注から売掛金の回収まで数か月から1年程度の期間を要する案件があります。特に映像制作事業の場合、近年急速に拡大している映画事業は受注額も拡大しており、完成まで長期を要するものも多く、売掛債権の回収期間は長期化する傾向にあります。当社グループは今後、売掛金回収の促進及びサイトの短縮等につとめる考えではありますが、一時的な運転資金の必要額が増加した場合、当社グループの資金繰りに影響を与える可能性があります。
なお、取引先は業界大手から構成されており、また、与信管理の徹底により回収リスクへの対応を図っております。
(3) 当社グループ事業体制に関するリスク
① 小規模組織であること
当社グループの組織体制は、小規模であり、業務執行体制もそれに応じたものになっております。当社グループは、今後の事業展開に応じて、人材の確保や能力開発が計画通りに進まない等の場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
そのため、採用・能力開発等によって業務執行体制の充実を図っていく方針です。
また、当社グループは、今後の事業拡大に対応するにあたって、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。
② 少数の事業推進者への依存について
当社グループは小規模組織であるため、事業戦略の推進は各部門の責任者に強く依存する傾向があり、人材の確保及び教育が想定通りに進まない場合あるいは人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業戦略の推進に支障をきたす可能性があります。
そのため、当社グループは、今後も優秀な人材の確保及び教育に努めております。
(4) 内部統制及び法令遵守に関するリスク
不測の事態により、重大な過失や不正、法令違反等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、内部統制が十分に機能していないと評価されるような事態が発生した場合には、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制報告制度への対応等での支障が生じる可能性や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、全役職員が問題意識を持ち、内部管理体制の整備・強化を継続してまいります。
(5) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社は、継続的な営業キャッシュ・フローのマイナスにより継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
しかしながら、2019年5月に朝日放送グループホールディングス株式会社との間で、資本業務提携に関する契約を締結しそれに基づく第三者割当による新株式の発行を行ったことによる自己資本の増強等により、当連結会計年度末において現金及び預金1,007,373千円を保有していること、事業連携についても協業を継続的に検討していくこと、投資有価証券勘定に資金化が可能な投資有価証券が含まれていること、より徹底した資金管理を行っていくことから、必要な資金を確保できると判断しております。
また、以下に示す課題への対処を的確に行うことにより、当該重要事象が早期に解消されるよう取り組んでまいります。
以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、連結財務諸表等への注記は記載しておりません。
① ソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービスの強化
当社保有IPであるソーシャル・キャラクターを活用した広告・マーケティングプラン等の企画提案及びテレビコマーシャルやインターネット動画広告等のデジタルコンテンツ制作等を提供し、主に広告・マーケティング収入を得ることを目的としたソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービスは、当社において売上総利益率が高く、過年度より安定的な収益の基盤となっております。
そのため、当社は、当該事業を強化していくことで、安定した収益獲得を目指してまいります。
具体的には、当社の主要IPである「秘密結社 鷹の爪」を中心とした当社保有IPの提案の実施、提案件数の増加を目的とした外部機関の活用等の施策を講じてまいります。
② 当社保有IPのIP価値向上
上記①に記載のとおり、ソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービスを強化していくためには、当社保有のIP価値向上が必要不可欠であると判断しております。
そのため、当社は、当社保有IPの価値向上に努め、安定した収益獲得を目指してまいります。
具体的には、SNS等での露出及び過去のテレビシリーズの配信等を通じたメディアへの露出機会を増加するための施策を講じてまいります。また、これにともなうライセンス収入の獲得も、安定した収益基盤の構築へ寄与するものと考えております。
③ ブランドとのシナジー創出
朝日放送グループホールディングス株式会社が保有する「放送事業(テレビ及びラジオ)等」、経営参画する「amadana」等のブランドとの協業を推進し、シナジー効果を創出することにより、収益の拡大に努めてまいります。
具体的には当社の強みであるプロデュース力を活かし、朝日放送グループホールディングス株式会社及び株式会社アマダナ総合研究所と連携し、積極的な営業推進、新規ビジネスの展開等の施策を講じてまいります。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費の削減
当社は、当社事業の強みであるプロデュース力及びクリエイティブ力を確保した上で、引き続き、外注費等の売上原価、販売費及び一般管理費の削減に努め、収益性の改善に注力してまいります。
⑤ 事業の選択と集中
当社とのシナジーが期待できない資産については処分することを検討し、当社の強みである事業に投資を集中してまいります。
(6) その他のリスク
① 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しております。現時点では、内部留保の充実を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当し、事業を拡大発展させることが株主に対する利益還元につながると考えております。
現時点において、配当実施の可能性、その実施時期等については未定であります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役、従業員及び取引先に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下、「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。当連結会計年度末現在これらのストック・オプションによる潜在株式数は321,300株であり、発行済株式総数42,514,200株の0.76%に相当しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、財務体質の強化及び事業の拡大発展のため、内部留保の充実を図ることが重要であると考えております。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の剰余金の配当につきましては、業績、財務状況及び事業計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。
なお、剰余金の配当を行う場合は、年1回の期末配当を行うことを基本としており、その他年1回の中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会となっております。