2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 3,028 100.0 -37 - -1.2

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の子会社)は、「テクノロジーと心で、たくさんのいい生活を」というミッションの実現に向け、「心地いいくらしが循環する、社会のしくみをつくる」というビジョンを掲げ、不動産業並びに不動産市場におけるさまざまな課題を解決するシステム・アプリケーションを企画・開発し、サブスクリプション(継続課金モデル)で料金をお支払いいただくSaaS(Software as a Service)として提供することで、不動産業並びに不動産市場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業を展開しております。

 

(1)クラウドソリューション事業の構成区分

① サブスクリプションサービス

 不動産市場に必要とされる業務支援システム・アプリケーションをSaaSで提供するサービスであり、当社グループの主力サービスであります。当該サービスは、ソフトウェアをユーザーにパッケージとして納品するのではなく、インターネットを通じてアプリケーションを提供するクラウド・SaaSの提供形式をとっており、主要な顧客である不動産企業からは主にサービスの月額利用料(サブスクリプション)の形で対価を得ております。

 上記のようなビジネスモデルにより、顧客にとっては次のようなメリットがあります。

  ・業務支援システムの導入/維持/管理等に係るコスト削減

  ・オンラインで提供されるアップデートプログラムによりシステムが常時進化

  ・法令改正等への対応にはスピーディにアップデートプログラムが提供されリスク低減

  ・自社でハードウェア設備等を保有する必要がなく、初期投資が僅少

  ・インターネットがあればどこでも業務ができ、リモートワーク等に最適
  ・情報漏洩リスクやサイバー攻撃に対応する最新のセキュリティ対策

 サブスクリプションサービスにおける主なサービスのラインアップは下図のとおりです。なおBPaaS(Business Process as a Service)について、当社SaaSの導入後、継続的な運用支援の契約に基づき発生する売上高についてはサブスクリプションに含んでおります。

 

 

② ソリューションサービス

 「ソリューションサービス」の区分には、主に次のようなサービスが含まれます。

  ・当社SaaSの初期設定料金
  ・当社SaaSの導入・運用支援(BPaaS)

  ・システム・アプリケーションの受託開発

  ・他社サービスの販売代理・取次

 「当社SaaSの初期設定料金」につきまして、これは当社SaaSを新規に導入した顧客に対して、当該顧客用のログイン可能な環境を設定し、顧客が利用を開始した初月に課金されるスポットの利用料金であります。

 「当社SaaSの導入・運用支援(BPaaS)」につきまして、これは当社SaaSの導入に際し既存システムからのデータ移行の支援や、RPA・ローコードツールの活用など業務全般の最適化支援を行うコンサルティングなど、当社SaaSの導入と合わせてご利用いただく付加的なサービスであります。なお既存システムからのデータ移行に際しては、そこに蓄積されたレガシーデータをよりアクセスしやすく、使いやすく、価値ある形式に変換・最適化するデータモダナイゼーション支援を合わせて行っております。これにより、当社SaaSを用いたデータ活用の高度化により有意義な洞察を引き出しやすくし、当社SaaSの活用効果および顧客のビジネス価値の最大化に寄与しております。

 「システム・アプリケーションの受託開発」につきまして、これはいわゆる一般的なソフトウェアの受託開発ではなく、当社のクラウド上での提供を前提としたものであり、顧客側の他のシステムとの連携機能等、当社SaaSをより効果的にご活用いただくための付加的サービスとして提供しております。

 「他社サービスの販売代理・取次」は、主に他社SaaSの販売手数料・紹介手数料等であります。電子契約ソリューション等の業界特化型でないBtoBクラウド・SaaSベンダーが主たる提携の相手先であり、顧客にとっては当社の不動産市場特化型SaaSとの併用が効果的であります。そのためこれら提携先の提供するサービス群についても多くの商談機会が継続的に発生しており、販売手数料・紹介手数料等が当社グループの収益に安定的に寄与しております。

 以上のとおり、「ソリューションサービス」に区分される各サービスにつきましては、当社グループの収益の柱である不動産市場特化型SaaSのラインアップを補完するとともに、より幅広い顧客ニーズに応えていくためのサービス群であります。

 主力である当社SaaSについて引き続き機能開発・ラインアップ拡充を進め、より幅広い顧客に対して課題解決を訴求していく一方で、ソリューションサービスに区分される各サービスにつきましても、引き続き旺盛な市場の需要が存在しております。従いまして、今後も当該サービス群は当社の収益に安定的に寄与していくと考えております。

 

<補足:BPaaS(Business Process as a Service)について>

 「BPaaS」につきまして、これは当社SaaSを導入した顧客に対して、SaaSの導入および運用を支援する各種のサービスを付加的に提供し、その導入効果を最大化するためのサービスであります。このBPaaSは顧客が当社SaaSを利用していることを前提としており、主に連結子会社である株式会社リアルテック・コンサルティングが、当該顧客にBPO(Business Process Outsourcing)やBPR(Business Process Re-engineering)等のサービスを提供しております。

 株式会社リアルテック・コンサルティングに所属する、当社SaaSに精通したコンサルタント/オペレーターが、導入時のスムーズなデータ移行支援、稼働後のSaaSを活用した業務支援、関連したRPA/ローコードツール等の導入支援など、SaaSの付加価値を最大限に引き出す伴走型支援サービスを提供しています。

 BPaaSは当社SaaSの利用を前提としていることから、クラウドを経由した時間/場所にとらわれないサービス提供、標準化されたオペレーションによる効率化、多くのユーザーの検証を経たベストプラクティスのノウハウ吸収など、単なるコンサルティング/オペレーション等の業務支援にとどまらない、高付加価値なサービス提供が可能になります。

 こちらもコアとなるSaaSのユーザー数の増加に伴って、当社グループの第2の柱となる事業として引き続き旺盛なニーズが続いていくものと考えております。

 

 

(2)サービスの主な特徴

① 不動産市場に特化-市場特化型SaaS(バーティカルSaaS)の提供

 当社グループのサービスは不動産市場を主なターゲットとしており、不動産業務や業界に特有なデータ特性等の業務知識をノウハウとして蓄積し、参入障壁の高い市場特化型クラウドソリューション(バーティカルSaaS)を志向しております。開発・セールススタッフ共に不動産業界の業務ノウハウに精通することで、顧客企業と密接かつ継続的な関係を構築・維持し、受注率及び継続率の向上を図っております。また、経営資源を集中投下することで市場における知名度の確立及び競争力の維持・向上を目指しております。

当社グループが不動産市場に特化する主な理由は、以下のとおりであります。

 ・不動産市場は国内最大級産業であり、市場規模が大きい

 ・不動産業界には中小規模の会社が圧倒的に多く、多額の投資を必要としない「使う」システムが最適

 ・不動産会社は全国各地に分散しており、クラウド・SaaSモデルに最適な市場特性

 ・不動産会社の業務フローは各社類似しており、共通のシステムツールへのニーズが高い

 ・消費者の検索ニーズや業者間取引に対応できる物件情報データベースが不可欠

 ・規制や法改正等への対応が求められ、進化するシステム(=SaaS)へのニーズが大きい

SaaSモデルは、これらの特性を持つ不動産市場にとって最適といえる仕組みであります。

 

② SaaSの安定性・堅牢性・可用性を支える優れたシステム基盤

 当社グループは、企業ユーザー向けの保証・サポートのあるハードウェア・ソフトウェア製品を採用し、安定性・堅牢性・可用性の高いシステム基盤上でサービスを提供しております。顧客企業は、一社のみで実現するには高コストとなる優れたシステム基盤・プラットフォームを、SaaSの形態で共同で利用することができるため、自社保有(オンプレミス)の場合と比較して以下のような点でメリットがあります。

 ・短期間でのシステム導入

 ・導入に係る初期費用及び保守・運用の月次費用の低コスト化

 ・面倒なシステムメンテナンスから開放され、顧客本来のビジネスに集中できる

 ・自社で本当に必要とする機能のみを組み合わせて利用することが可能

 ・システムの導入・利用に柔軟性が持てるため、低コストで成果をあげることが期待できる

 ・大切なデータをクラウド上で保管することでBCP(事業継続計画)としても最適

 ・情報漏洩リスクや巧妙化するサイバー攻撃にも対応した最新のセキュリティ技術

 一方、当社グループにとってもクラウド上で顧客企業向けシステム・アプリケーションを運用することで、継続的なシステム利用料収入が見込め、開発完了・納品で途切れることのない顧客との関係構築が容易になり、機能拡張や新機能の追加等、新たな顧客ニーズを掴むことが可能になります。

 

③ 不動産業務を網羅する、フルラインアップのサービスポートフォリオ(マルチプロダクト戦略)

 当社グループの提供するSaaSは、「物件探し~契約~入居~退去」という一般的な住まい探しのプロセスにおいて、あらゆる場面でシームレスに利用されるサービスとなることを目指しております。

 ・賃貸物件の管理/付加価値向上(PM:プロパティ・マネジメント)

 ・不動産管理会社/賃貸仲介会社/家賃債務保証会社等、関連事業者間の物件情報/顧客情報の流通

 ・入居申し込み受付の電子化

 ・インターネットを活用したマーケティング(不動産ポータルへの広告掲載・自社ウェブサイト運営、等)

 ・入居者募集/営業活動(CRM:カスタマー・リレイションシップ・マネジメント)

 ・入居者/オーナーとのコミュニケーション(設備修繕・災害対応・保険対応・退去精算、等)

 以上のとおり不動産業における業務領域は多岐にわたりますが、当社グループは全領域を網羅した統合型不動産業務支援SaaSを提供する唯一のベンダーとして、各業務領域で活用される物件情報データ・顧客情報データの「一元的管理」をその付加価値の源泉とし、業務のプロセスを全体として最適化しシームレスに統合するソリューションの提供を指向し、事業展開しております。

 当社グループは、業務支援SaaSを媒介として、住まいとくらしにまつわるあらゆるデータが行き交うプラットフォームとなり、さらには、豊富なデータに基づき、多彩な取引・トランザクションが活発に展開されるマーケットプレイスとなることを目指してまいります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)当連結会計年度における経営成績の状況及び経営者の視点による分析・検討内容

連結業績概要

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

対前年同期

(千円)

(千円)

差額

(千円)

増減率

(%)

売上高

2,808,027

3,028,187

220,160

7.8

EBITDA(営業利益+減価償却費)

658,755

500,944

△157,811

△24.0

営業利益又は営業損失(△)

176,223

△37,275

△213,499

経常利益又は経常損失(△)

208,984

△42,141

△251,126

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

146,131

△39,536

△185,667

 

当社グループは、「テクノロジーと心で、たくさんのいい生活を」というミッションの実現に向け、「心地いいくらしが循環する、社会のしくみをつくる」というビジョンを掲げ、不動産業並びに不動産市場における様々な課題を解決するシステム・アプリケーションを企画・開発し、サブスクリプション(継続課金モデル)で料金をお支払いいただくSaaS(Software as a Service)として提供することで、不動産業並びに不動産市場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業を展開しております。

 

当連結会計年度においては、売上高は3,028,187千円(前年同期比7.8%増)と、前年同期より220,160千円の増収となりました。

 

サブスクリプション売上は、引き続き新規顧客の獲得や既存顧客へのアップセル/クロスセル等が進み、2,554,778千円(前年同期比4.6%増)となり、前年同期より112,989千円の増収となりました。サブスクリプションの顧客数は3月末時点で1,549法人(前年同月1,505法人)となり、平均月額単価(※1)は3月実績約153,200円/法人(前年同月140,700円/法人)となりました。

 

ソリューション売上につきましては、前期から継続していた特定顧客向けのいくつかの当社SaaSの追加開発・導入支援プロジェクトの完了等により473,409千円(前年同期比29.3%増)となり、前年同期より107,170千円の増収となりました。

 

(※1)「当月のサブスクリプション売上高」を「当月のサブスクリプション顧客数」で除した数字で、100円未満を切り捨てております。

(※2)付帯取引の一部売上高につきまして、2025年3月期から「ソリューション売上」ではなく「サブスクリプション売上」の区分として表示しております。それに伴い、2024年3月期の売上高に関しましても、同方針に基づいて組み替えた数値を表示しております。

 

なお、売上高の内訳については下記のとおりであります。

 

品目詳細

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

対前年同期

売上高(千円)

構成割合(%)

売上高(千円)

構成割合(%)

差額(千円)

増減率(%)

サブスクリプション(注)1

2,441,788

87.0

2,554,778

84.4

112,989

4.6

ソリューション(注)2

366,238

13.0

473,409

15.6

107,170

29.3

 合計

2,808,027

100.0

3,028,187

100.0

220,160

7.8

(注)1. サブスクリプション:SaaSの月額利用料収入など、解約の申し出がない限り毎月継続的に発生する収益であり、当社のMRR(Monthly Recurring Revenue、月間経常収益)であります。

2. ソリューション  :SaaSの初期設定、システム導入・運用支援、システムの受託開発、他社サービスの代理店販売・紹介料など、その他のサービスに係る収益であります。

3.付帯取引の一部売上高につきまして、2025年3月期から「ソリューション売上」ではなく「サブスクリプション売上」の区分として表示しております。それに伴い、2024年3月期の売上高に関しましても、同方針に基づいて組み替えた数値を表示しております。

 

グループ全体での大幅な給与水準の引き上げ、及び新卒を中心とした積極的な人材採用などの人的資本投資により、開発活動にかかる人件費、求人関連費、研修費等が増加いたしました。また、SaaSの新規開発・機能拡充等による無形固定資産の増加に伴い減価償却費が増加いたしました。加えて、前期より継続していた当社SaaS導入に係る追加開発・導入支援プロジェクトの完了等に伴い、仕掛品の売上原価への振替高が増加いたしました。以上の結果、売上原価は1,430,857千円(前年同期比18.6%増)となりました。

 

先述した人的資本投資の拡充による販売活動にかかる人件費および求人関連費等の増加に加え、リード(見込顧客)獲得強化に向けたマーケティング及びインサイドセールス関連投資、ならびに顧客管理SaaSなど社内システムの機能強化等の投資を進めた結果、販売費及び一般管理費は1,634,605千円(前年同期比14.7%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度におけるEBITDAは500,944千円(前年同期比24.0%減)と前年同期より157,811千円の減益、営業損失は37,275千円(前年同期営業利益176,223千円)と前年同期より213,499千円の減益となりました。

 

当連結会計年度の重点項目であった人的資本の拡大に関して、グループ全体で平均10%を超える賃上げの実現、全般的な給与水準の引き上げによる人材の獲得と維持、社内研修の拡充、機動的な人材配置など、中長期的な競争力強化に欠かせない人的資本の拡大に向けた施策を行ってまいりました。

優秀な人材を当社に惹きつけ、違いを創り出す人材を獲得かつ繋ぎとめるために、給与水準の上昇という形での人的資本への投資は避けて通れず、また必要な人材の確保を先行して行っていく必要があり、当連結会計年度としては費用が先行しましたが、今後継続的に売上成長を実現することで、事業の拡大を加速することを見込んでおります。

 

なお、当社グループの開示上の報告セグメントは「クラウドソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメントの業績については記載を省略しております。

 

 

(2) 経営成績に重要な影響を与える要因及び客観的な指標の達成、進捗状況について

当社グループの経営成績は、様々な要因から影響を受けております。中でも経営成績に特に重要な影響を与える要因は、「顧客数」及び「平均月額単価」であります。「顧客数」及び「平均月額単価」が計画どおりに達成できない場合や新サービスの開始時期等が計画通りに進捗しなかった場合は、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

なお、上記に記載した事項以外に、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「3.事業等のリスク」に記載している事項も、経営成績に影響を与えるものとして考えられると見ております。

また、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載している中長期的な経営目標である指標としての「顧客数:5,000社」及び「顧客単価(月額):100,000円以上」の達成、進捗状況につきましては、前述の「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)当連結会計年度における経営成績の状況及び経営者の視点による分析・検討内容」をご参照ください。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての経営者の視点による分析・検討内容

①財政状態の分析

(ⅰ)資産

当連結会計年度末における資産合計は、2,349,571千円となり、前連結会計年度末から191,027千円の減少となりました。

流動資産の残高は594,479千円となり、前連結会計年度末から343,543千円の減少となりました。これは、主に現金及び預金の減少393,821千円等によるものであります。

また、固定資産の残高は1,755,091千円となり、前連結会計年度末から152,515千円の増加となりました。これは主に、ソフトウエアの増加116,267千円等によるものであります。

(ⅱ)負債

当連結会計年度末における負債合計は476,908千円となり、前連結会計年度末から116,970千円の減少となりました。主な減少要因について、前受金の減少71,648千円、未払法人税等の減少36,721千円等であります。前受金の減少に関しましては、IT導入補助金の活用等のため一部の顧客から年額前払いで受領しているSaaS利用料について、前払い期間の経過に伴い通常の月額前払いに移行していったこと等によるものです。

(ⅲ)純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は1,872,662千円となり、前連結会計年度末から74,057千円の減少となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による減少39,536千円、及び配当金実施に伴う利益剰余金の減少34,507千円等によるものであります。

 

②キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べて393,821千円減少し、345,549千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、316,334千円の増加(前年同期618,327千円の増加)となりました。主な収入の要因は、減価償却費538,219千円等であります。主な支出の要因は、前受金の減少額71,648千円、売上債権の増加額54,352千円、税金等調整前当期純損失43,718千円等であります。

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、676,506千円の減少(前年同期656,485千円の減少)となりました。主な支出の要因は、SaaSの新規開発・機能拡充等に係る無形固定資産の取得による支出640,104千円、支店オフィスの内装工事等に伴う有形固定資産の取得による支出35,039千円等であります。

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、34,294千円の減少(前年同期34,484千円の減少)となりました。支出の要因は、配当金の支払額34,279千円等であります。

(ⅳ)資本の財源、資金の流動性等その他キャッシュ・フロー関連分析

当社グループの事業活動における資金需要の主なものとしましては、拡販サービスを始めとするクラウドサービスの開発に必要な資金であり、当該開発投資額につきましては原則として営業活動によるキャッシュ・フローから調達することを基本としており、これが資本の財源であります。

 

その他、資金の流動性等キャッシュ・フローに関連する指標は、次のとおりです。

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

自己資本比率(%)

83.0

78.2

77.9

76.6

79.7

時価ベースの自己資本比率(%)

204.9

125.9

149.3

166.0

143.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

4,179.9

50,250.2

167,084.9

3,306,566.0

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注)2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)をベースに計算しております。

(注)3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。

(注)4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループのクラウドソリューション事業における、システム・アプリケーションの受託開発、当社クラウド・SaaS導入/運用の支援等につきましては、請負契約の形態をとっており、「生産」という概念には適合しないため、記載しておりません。

 

② 受注実績

 当社グループのクラウドソリューション事業における、システム・アプリケーションの受託開発、当社クラウド・SaaS導入/運用の支援等につきましては、請負契約の形態をとっており、その受注実績は下記のとおりであります。

品目

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

システム・アプリケーションの受託開発、

当社クラウド・SaaS導入/運用の支援 等

321,616

94.7

71,100

41.2

 

③ 販売実績

 当連結会計年度のクラウドソリューション事業における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

サブスクリプション (千円)

2,554,778

104.6

ソリューション (千円)

473,409

129.3

合計(千円)

3,028,187

107.8

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

   2.付帯取引の一部売上高につきまして、2025年3月期から「ソリューション売上」ではなく「サブスクリプション売上」の区分として表示しております。それに伴い、前年同期比に関しましても、同方針に基づいて組み替えた数値を表示しております。

 

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

特に、当社は、主力であるクラウド・SaaSの提供にあたり、サービス提供用のシステムを開発しており、収益獲得効果が確実なものについて資産計上しておりますが、マーケット状況の急激な変化等によりその効果が実現しない可能性があります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは、クラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

該当事項はありません。

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

該当事項はありません。

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。