2024年4月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業環境に関するリスクについて

① 経済状況に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループが展開する事業は、主に不動産業界向けにサービスを提供しております。国内の景気動向、金利動向、地価動向等の変化により、国内不動産市況が大幅に悪化した場合、提供サービスの新規受注の減少等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループのHomeIT事業における集合住宅向けISPサービス及び不動産事業における社宅管理代行サービスは、サービス提供数に応じて、継続的に回線利用料収益(以下「ランニング収益」という。)及び社宅管理代行手数料が積み上がるストック型の収益モデルであり、これにより安定した収益基盤を確立しております。また、集合住宅向けISPサービスの提供戸数及び社宅管理代行サービスの取扱件数を重要指標と位置付け、それぞれの拡大に注力することで、収益基盤の更なる強化を目指し、当該リスクの影響を最小限に抑えるよう努めております。

② 技術革新に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループのHomeIT事業は、インターネット関連技術を基盤としております。当社が注視する情報通信業界においては、5GやIoTの進展等、情報通信技術の高度化が進み、それに応じて顧客ニーズも変化することで、より利便性の高い有益なサービスが求められており、今後もこの流れは続くと予想されます。当社は、将来のWi-Fi規格の変更に低コストで対応可能な「PWINS」等、想定される通信技術の高度化を見据えて独自の通信機器を開発してまいりました。しかし、現在の想定を超える技術革新や環境変化が生じ、適応が遅れることにより当社グループの市場競争力が低下した場合、新技術に適応した他社への切替えや新たな競合企業の市場への参入等により、市場シェア及び収益力が低下するおそれがあります。また、新技術の研究開発や既存サービスの切替え、廃止等の大規模なリストラクチャリングが必要になり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループでは、技術革新及び顧客ニーズの変化に対応すべく、常に新技術の状況・動向を注視し、またサービス提供先との連携により顧客ニーズをいち早く捉え、それらに適応する独自サービスの開発を推進しております。また、新技術や独自性の高い技術を持つパートナー企業との協創により、既存市場でのシェア拡大及び新たな市場への展開を図り、優位性の創出を目指しております。

③ 競合に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループの集合住宅向けISPサービスが属する市場には、競合企業が数多く存在しております。既存の競合企業の競争力向上や、新たな企業の参入等により更に競争が激化し、当社グループの優位性が相対的に劣る状態になった場合、収益力が低下し、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループでは、独自ノウハウと技術力で、市場の潜在的課題に柔軟に対応できる体制構築と最適なサービス提供に注力し、市場でのシェア拡大を進めております。加えて、サービス品質の向上に向けた運用体制の効率化及び高度化を図り、高い付加価値を提供し続けることで、既存のサービス提供先との関係を強化いたします。

また、独自技術を有する他業種の企業との提携や、当社不動産事業との連携による販売チャネルの拡大により、潜在顧客へのアプローチを強化し、市場での競争力の更なる強化を図ってまいります。

④ 自然災害や予期せぬ事象の発生等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループの事業は、通信ネットワーク及びコンピュータシステムに業務の多くを依存しており、継続な事業運営のために必要な対策を講じております。しかし、想定を超える地震、台風、洪水等の自然災害や戦争、テロ等の予測不可能な事象の発生によって、広範囲にわたる通信機器の故障、大規模なシステム障害等が生じた場合、営業停止や提供サービスの中断を余儀なくされるおそれがあります。こうした事象による通常の事業活動の再開が遅れることにより、当社グループの信用低下による大手サービス提供先の喪失や、損害に対する賠償金の支払い等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループでは、セキュリティ対策、複数拠点での情報管理によるリスク分散、停電時のバックアップ体制の構築、基幹システムのクラウド化、遠隔操作による復旧を可能とするシステム構築等、事業を継続するために必要な対策を講じており、発生時の初期対応や、業務、サービスの早期復旧のための運用体制及び環境整備を図っております。また、現在講じている様々な対策についても、継続的な検証、改善に取り組んでまいります。

(2)事業運営に関するリスクについて

① 主要取引先への依存度に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループの事業は、HomeIT事業における集合住宅向けISPサービスを主たる事業としており、主なサービス提供先は、D.U-NET株式会社、大東建託株式会社、大東建託パートナーズ株式会社及び積水ハウス不動産東京株式会社であります。当該4社の売上高合計は、当社グループ全体の売上高の69.2%を占める高い状況にあるため、当該4社の経営方針の変更等により、想定を超えるサービス提供価格の下落、競合企業等の進出によるサービス提供数の減少や取引停止等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、サービス提供先への最適なサービスの安定した提供が事業継続における重要項目であると認識しております。顧客ニーズに柔軟に対応できるOEM提供の運営ノウハウと、連結子会社の株式会社ギガテックにより、全国に対応可能な施工体制を構築しております。引き続き、顧客ニーズの変化に対応できるよう運用体制の効率化及び高度化や、安全品質向上を図り、付加価値を提供することで関係を強化してまいります。また、当該4社以外の新規取引先の開拓に注力しており、主要取引先への依存度の低減によりリスク分散を図ってまいります。

② 人的資源に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループは、持続的成長のため、事業規模に合わせて人材の採用を行っております。当社の主力サービスである集合住宅向けISPサービスの運用は、専門知識、豊富な経験を有する人材に依存するところが大きく、そのため、重要な役割を担う人材が流出し、新規採用、育成が当社の事業規模拡大のバランスと大きく乖離した場合、円滑な事業運営が困難となり、当社グループの今後の成長に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループの今後の成長のために、人材の確保及び育成が重要であると考えており、人材の採用及び育成を計画的に行うとともに、既存従業員の更なる成長のため、社内研修の充実や社外研修制度を取り入れております。また、業績に応じた従業員への還元、働きやすい職場環境の提供や福利厚生の充実を推進し、人材の社外流出防止に努めてまいります。

③ 情報セキュリティに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループは、事業運営上入手する個人情報やノウハウを含む機密情報(以下「個人情報等」という。)の徹底管理による社外流出防止を重要な経営課題としております。しかし、外的要因(コンピュータウイルス感染、サイバー攻撃、不正アクセス等)、内的要因(システム障害、従業員の過失、不法行為等)、その他の要因等により、個人情報等の漏洩が発生した場合には、競争力の低下、損害賠償請求の発生、社会的信用の失墜による取引先の喪失等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、個人情報等の重要性を鑑み、情報保護に関する各種規程を定め、それに基づく内部情報管理体制の整備・運用、技術的措置を講じております。また、2006年7月にプライバシーマークの認証を取得し、全従業員に対しての情報管理の重要性、取扱方法、情報漏洩に伴うリスク等について、徹底した教育を行い、情報管理意識の向上に努めております。今後も引き続き、対応策の継続的な検証、改善、従業員の情報管理意識の向上に取り組み、情報管理体制のより一層の強化を推進してまいります。

④ 特定通信事業者への依存度に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループが提供する集合住宅向けISPサービスは、主に東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社が提供する通信回線を利用してサービスを提供しております。今後、両社の経営方針の変更等により、サービスの提供条件や通信回線の仕入価格上昇等、取引条件の悪化等があった場合、また大規模な障害が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、安定したサービス提供のため、両社との関係強化を図るとともに、両社以外の通信事業者が提供する通信回線を積極的に利用し、当該リスクの影響を最小限に抑える取組みを行っております。

⑤ 回線及び各種機器の調達コストに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループが提供する集合住宅向けISPサービスは、インターネット接続に必要な通信回線や関連機器等を他社から調達しております。通信回線につきましては、近年、動画等、帯域を多く利用するサービスが増加し、加えてテレワーク、オンライン授業の普及により、国内のデータ通信量は急増しております。今後当社の想定を超える通信量の急増が生じた場合には、通信速度等のサービス品質を維持するための新規回線や帯域の確保増加等により原価が上昇し、利益を圧迫するおそれがあります。

また、関連機器等につきましても、各種機器の必要数量が調達できない場合や、想定を超える仕入単価の上昇等により、サービス提供先の拡大に支障をきたすおそれがあります。これらのリスクが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、当社集合住宅向けISPサービスの品質の維持、向上のため、通信回線については従来のIPv4方式に加え、IPv6方式の導入や、サービス提供先の利用環境に応じて複数の通信事業者の中から最適な事業者への切替えを行う等、当社の運用ノウハウを駆使して、サービス品質低下のリスクを最小限に抑えております。

各種機器の調達におきましては、受注見込みに基づき数ヶ月先までの必要数量を複数の仕入先から確保可能な体制を構築しており、リスクの分散を図っております。

また、当該リスクに係るコスト上昇要因に対して、効率的な業務運用と徹底したコスト管理により、影響を最小限にするべく取り組んでおります。

⑥ 重大な事故等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループは、サービス提供先からインターネット接続に必要な工事を請け負っており、現場の安全品質確保を重要な経営課題のひとつとしております。当社グループが提供する集合住宅向けISPサービスは、施工業務等を連結子会社ギガテック等へ委託しておりますが、予期せぬクレーム、事故等の可能性をゼロにすることは困難であり、万が一重大な事故が発生した場合には、損害の補償、賠償金の発生や、社会的信用の失墜による取引停止等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、現場の安全品質確保のため、株式会社ギガテックが主体となり、施工実績と品質を重視した委託先の選定、施工方法の指導、施工状況の確認を行っているほか、発生したクレームや事故は、その大小に関わらず適時に全ての委託先に共有されて再発防止に取り組む等、安全品質の維持・向上に努めております。また、施工情報管理システムを導入し、業務効率化による業務委託先の負担の軽減や、現地調査から工事完了報告までを一元管理することで徹底した品質管理に努めております。加えて、毎年安全大会を開催し、具体的な安全対策の方法や安全に対する意識の徹底を図り、常に安全品質の維持・向上に取り組んでおります。

⑦ 法的規制に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループの事業は、HomeIT事業におきましては、「電気通信事業法」、「建設業法」等、不動産事業におきましては、「宅地建物取引業法」等の法的規制を受けており、それらを遵守しております。しかし、法令違反等の事象の発生や、規制の変更、新たな法規制等への適応が遅れることにより事業活動に制限を受けた場合、当社グループの社会的信用の失墜や、当該制限への対応に伴う費用の増加等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループでは、法務担当部門による契約書のリーガルチェック、顧問弁護士による法令適合性審査、従業員への啓発活動を行う等により法令遵守体制を強化し、法令違反の発生防止に努めております。また、当社グループに関連する法規制等の動向につきましては、業界団体や、業界に精通する法律専門家と連携し、随時対応に努めております。

 

⑧ 知的財産権等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループは、新サービスの開発を積極的に行い、競争優位性の確保に努めております。その際、第三者の知的財産権等を侵害しないよう最大限の注意を払っております。しかし、当社グループが認識していない知的財産権が既に成立している可能性や、当社の事業分野において、第三者による知的財産権が成立する可能性があり、万が一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、使用差止請求及び損害賠償請求等の訴訟、当該知的財産権の使用にかかるロイヤリティの支払要求等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、知的財産に関する専門家を通じて調査する等、第三者の権利を侵害しないよう最大限の注意を払うとともに、当社グループの事業活動において、第三者の知的財産を利用する場合は、利用契約の締結等、適切な対応に努めてまいります。

⑨ 棚卸資産の評価に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した場合の影響]

当社グループは、集合住宅向けISPサービスの受注見込み等に基づき、必要数量の機器を確保しており、原材料及び貯蔵品として計上しております。今後受注見込みの大幅な落ち込み、または技術革新による保有機器の陳腐化等が生じた場合には、棚卸資産の評価額が下落し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

[当該リスクへの対応策]

当社グループは、サービス提供先との関係強化を図り、受注見込みの精度を高めるとともに、技術革新の動向及びそれに対する顧客ニーズを勘案し、仕入先との協力により在庫数量の適正化に努めております。

(3)親会社との関係について

親会社であるフリービット株式会社は、「Internetをひろげ、社会に貢献する」という企業理念の下、「5Gインフラ支援事業」、「5G生活様式支援事業」、「企業・クリエイター5G DX支援事業」等を展開しており、当社グループは「5G生活様式支援事業」に区分されております。

① 親会社との人的関係について

本書提出日現在における当社役員12名のうち、親会社であるフリービット株式会社の役員等を兼務している者は5名であり、氏名、当社における役職及び同社における役職は以下のとおりであります。

氏 名

当社における役職

フリービット株式会社における役職

清水  高

取締役(非常勤)

取締役副社長

友松 功一

取締役(非常勤)

取締役

田中 正幸

取締役(非常勤)

技術本部モバイルサービス部長

柴田  巧

取締役(非常勤)

和田 育子

監査役(非常勤)

取締役

 

② 親会社との取引について

フリービットグループとの取引につきましては、当連結会計年度において、当社グループとフリービットグループとの間では、インターネット接続サービス、クラウドサービス等の取引が行われておりますが、記載すべき重要な取引はありません。

③ 親会社からの独立性の確保について

当社の取締役会は、親会社の指示や事前承認によらず独自に経営の意思決定を行っております。そのため、事業展開にあたっては当社グループの利益最大化を目的として経営の意思決定を行っております。また、当社グループの営業取引におけるフリービットグループへの依存度は極めて低く、ほとんどがフリービットグループと資本関係を有しない企業との取引であります。加えて、当社がフリービットグループと取引を行う場合には、少数株主保護の観点から市場価格を勘案し価格交渉の上決定しております。

配当政策

3【配当政策】

 当社は株主の皆様への利益還元を経営の重要な課題と位置づけ、配当につきましては、各期の経営成績及び今後の事業成長に備えるための内部留保の充実を勘案して決定する基本方針であります。

 当社の剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本的な方針としており、期末配当の決定機関は取締役会であります。

 当事業年度の剰余金の配当につきましては、継続的な安定配当の基本方針のもと、1株当たり30円00銭としております。

 内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への準備として投入していくこととしております。

 当社は会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。なお、決算期変更の経過期間となる第28期は、2023年4月1日から2024年4月30日までの13ヶ月であり、同事業年度における剰余金の配当基準日は、10月31日(中間配当)、4月30日(期末配当)となります。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年6月14日

430,892

30.0

取締役会決議