2025年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 3,795 100.0 339 100.0 8.9

事業内容

3【事業の内容】

 

当社は『「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする』をミッションに掲げ、「技術で支えられているサービスを提供する会社」として技術を磨き、利用者同士で質問・回答を寄せ合うウェブサイト「人力検索サイトはてな」を皮切りに、「はてなブログ」や「はてなブックマーク」といったUGC(User Generated Content)サービス(注1)を自社開発し運営しております。

事業の中核となるUGCサービス「はてな」は、当社の運営するインターネットサービス上で会員登録を行ったユーザーとなる個人(以下「登録ユーザー」といいます)が投稿した文章や画像、映像などのコンテンツを登録ユーザー以外のユーザーも閲覧することができるサービス群です。登録ユーザー数は1,289万人(2025年7月時点)となっており、ITリテラシーの高いユーザーから支持を獲得、影響力の高いユーザーコミュニティを形成していることで、他のSNSとの差別化が図られております。

 

当社の事業は「UGCサービス事業」の単一セグメントでありますが、UGCサービスのパイオニアとしてこれまで得てきた「基盤」、「技術力」、「収益化力」を最大限に活用し、狭義のUGCである「コンテンツプラットフォームサービス」に加え、企業向けに「コンテンツマーケティングサービス」及び「テクノロジーソリューションサービス」を展開しています。なお各サービス間ではシナジー効果を図っており、これにより機動的な開発リソース配分と全社最適の実現を目指し、事業拡大に努めております。

 

各サービスの内容は以下のとおりであります。

 

(1)コンテンツプラットフォームサービス

ユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・拡散できるUGCサービスを提供しています。スマートフォンなどのデバイス普及に対応し、便利で使いやすい機能開発を進めることで、登録ユーザーが魅力的なコンテンツを発信・拡散し、より多くの読者を惹きつけ、コンテンツ発信のモチベーション向上に貢献しています。代表的なものは、任意のウェブページを登録し、他のユーザーとも共有することで有益な情報源となる「はてなブックマーク」、無料で開設可能で、スマートフォンアプリからも手軽に投稿・編集が可能な「はてなブログ」などがあります。以下のような構成で収入として売上高に計上しております。

 

a. 課金収入

当社で提供するUGCサービスは全て無料で利用できますが、各サービスにおいて登録ユーザー向けに、より利便性の高い上位プランを有料で提供しております。例えば、「はてなブログ」では有料プランのはてなブログProに加入すると、独自ドメインを利用したりページデザインの自由度を上げたりすることができます。また、codoc株式会社が提供するコンテンツ課金サービス「codoc」と連携することで、登録ユーザーが記事を有料販売した際の手数料を受け取っております。

 

b. アフィリエイト広告収入

当社はUGCサービスを広告媒体として、アフィリエイト広告を提供しております。具体的には、読者がUGCサービス上に掲載するバナーをクリックすることで、ECサイト等に誘導し、商品購入に至った場合に当該ECサイト等より手数料収入を得る、成果報酬型の広告商品です。

 

(2)コンテンツマーケティングサービス

デジタルマーケティングや人材採用などにおいて、企業が自らウェブサイトを所有し(オウンドメディア)、顧客の新規獲得や、既存顧客だけでなく潜在顧客も含めた良好な関係性維持のために情報発信を行うことは、既に当たり前のようになってきました。ウェブサイトだけでなく各種SNSアカウントやアプリなど、顧客との接点は現在多岐にわたっています。

当社は、UGCサービス開発・運用及びユーザー行動に関する深い知見を活かし、コンテンツマーケティングサービスとして、クライアント企業がウェブサイトを作る際に、コンテンツを管理するシステムなども含めて誰でも簡単に安心して使えるCMS(注2)である「はてなCMS」の提供や、コンテンツ自体の企画・制作、加えて前述のコンテンツプラットフォームサービスに記載した「はてなブックマーク」などの広告枠を活用したユーザーの集客などを支援しております。

そして、近年ではそういったウェブサイトやサービスの開発や一連のマーケティング活動において、顧客の声をしっかりと聞き、意思決定に組み込むプロセスが改めて注目を集めてきております。それらを支援するため、生成AIを活用した発話分析ソリューション「toitta」(2024年10月正式リリース)の提供も開始しております。以下のような構成で収入として売上高に計上しております。

 

a.はてなCMS利用料

ウェブサイト構築・運用支援サービスです。はてなブログのシステムを利用したSaaS(注3)型提供であるため、アクセス負荷対策や脆弱性対策といったシステム管理に頭を悩ませることなく、コンテンツ作りに専念することができます。CMSライセンスの供与だけでなく、初期設計や導入サポート、要望に応じたカスタマイズ、保守運用サービス、コンテンツ企画・制作サービスなどを提供しています。

 

b.広告掲載料

当社は、はてなCMSの利用顧客や他のクライアント企業(広告主)のコンテンツや商品等の告知を行うため、当社UGCサービスのユーザー向けの広告メニューを提供しております。広告代理店による間接販売にて提供することもあります。広告メニューの内容は、バナーを掲載するディスプレイ広告や、当社UGCサービスと親和性の高いページからページ内コンテンツと同じデザインの誘導枠を利用して告知することができるネイティブ広告、クライアント企業の商品やサービスを取材し記事コンテンツを制作、UGCサービスを介してSNSなどの情報拡散を促進するタイアップ広告などがあります。これらはそれぞれ広告掲載期間や広告表示回数、広告掲載サイズなどに応じて、広告掲載料を受け取っております。

 

c.toitta利用料

インタビュー調査の内容分析を支援するソリューションです。通常インタビュー調査においては、その後の分析プロセスに多くの時間がかかることが課題でしたが、toittaは、この分析プロセスをAIの力で効率化・高度化することで、クライアント企業のリサーチャーや開発者がより本質的な考察に時間をかけられるようにすることを目的としています。インタビューの内容を単にテキスト化するだけでなく、意味のある発話の最小単位である「切片」として自動的に抽出することで重要な発言を見つけやすくしたり、その切片を文脈に応じて自動的にグルーピングしたりすることができます。SaaS型提供であり、上記のような機能を使うための利用料を受け取っております。

 

(3)テクノロジーソリューションサービス

コンテンツマーケティングサービスと同様に、UGCサービスの企画・開発・運営にて培ってきたサービス開発力やITインフラ構築力、保有する大規模データとその分析力を活かし、クライアント企業のビジネスを成長させていくための支援を行っております。

特に近年は電子書籍市場の成長に伴いマンガ領域に注力しており、ユーザーが快適にマンガ作品を楽しむための各種機能を搭載した「GigaViewer」は17社・25サービス(2025年8月時点)に導入いただいております。ユーザーがマンガ作品を快適に楽しめるだけでなく、マンガサービス提供者側の運用コストを削減する入稿や作品管理、販売システムなどの機能も備えており、中でも株式会社集英社が提供するマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」は、ブラウザ版、アプリ版共に導入されております。その他、株式会社KADOKAWAの小説投稿サイト「カクヨム」の共同開発や、任天堂株式会社のゲーム連動サービスの開発などが含まれます。

また、企業のウェブサイト運用のインフラとしてAmazon Web Servicesなどのクラウドサービスが急速に普及し、その上で稼働するサーバーやアプリケーションをSaaS型で監視する「Mackerel(マカレル)」を提供しております。

 

a.受託サービス開発・保守運用料・課金等のレベニューシェア(収益分配)

クライアント企業の要望に応じて、様々なサービス開発を行っており、受託開発料及び保守・運用料等を受け取っております。ユーザー同士のコミュニケーションやコンテンツ投稿など、当社がこれまで行ってきたUGCサービスの知見を活かした内容が中心となっており、サービスの規模が拡大しても表示速度を低下させず、かつ設備を無駄に使わずローコストな状態を保てるITインフラの設計・構築・運営力などにも強みを持っております。開発するだけでなく、その後の安定運用やサービスの成長支援、マネタイズ支援も行い、一過性の開発売上に留まらず継続的なストック型収入の割合が多くなってきております。

 

b.Mackerel利用料

「Mackerel(マカレル)」では、異なるクラウドサービス間であっても統一的にサーバーやアプリケーションの稼働状況を監視することができ、当社の大規模なUGCサービスの監視・運用経験を踏まえ、監視に最適化し洗練された見やすい管理画面を備えております。サーバー監視において監視エージェントをインストールするだけで簡単に監視を始めることができる他、アプリケーションのエラーやパフォーマンス低下を迅速に把握することができるAPM(アプリケーションパフォーマンスモニタリング)機能の提供も行っております。主にサーバー数とデータ量に応じた利用料、カスタマイズ導入料等を受け取っております。

 

文中における用語の説明は(注)1~3のとおりであります。

(注)1. UGC(User Generated Content)サービス

インターネット上で利用者自身がテキストや画像、映像などのコンテンツを発信することができる場を提供するサービスであります。ブログサービスの他、クチコミサイトやSNS、動画共有サービスなどがあります。

2. CMS

Contents Management Systemの略で、専門知識などがなくてもウェブサイトを簡単に作成・管理・更新できるシステムのことであります。

3. SaaS

Software as a Serviceの略称で、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウエア(主にアプリケーションソフトウエア)もしくはその提供形態のことであります。

 

[事業系統図]

  以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要、及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 ① 我が国経済と当社を取り巻く事業環境の概況

当事業年度における我が国経済は、内閣府の2025年7月の月例経済報告によると、「景気は、米国の通商政策等による影響が一部にみられるものの、緩やかに回復している」とされております。先行きについては、「雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクには留意が必要である。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある。」とされております。

UGCサービス事業(注1)を展開するインターネット関連業界におきましては、2025年6月に総務省情報通信政策研究所が公表した『令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』によりますと、全年代では平日、休日ともに主なメディアにおいてはインターネット利用の平均利用時間が最も長く、また平日においては、ブログやウェブサイトを見る・書く方が動画配信サービスを見るよりも利用割合が高いとされる調査結果となっており、インターネット及びウェブサイトが情報通信メディアとして重要性が高く、マーケットサイズは拡大していくものと予測しております。

更に、『2024年 日本の広告費』(㈱電通)によりますと、「2024年の日本の総広告費は、通年で前年比104.9%の7兆6,730億円で、好調な企業収益や消費意欲の活発化、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりなどに支えられ、3年連続で過去最高を更新した。インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、テレビメディア関連動画広告費、インターネット広告制作費の合算)は、進展する社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、総広告費に占める構成比は47.6%に達した」とされております。インターネット広告媒体費は2025年も堅調に推移し、全体で前年比109.7%の3兆2,472億円まで増加すると予測されております。

このような事業環境のもと、当社におきましては、自社で開発したユーザー参加型サービス群を「コンテンツプラットフォームサービス」と位置づけ、その運営を通して培われた技術力やユーザーコミュニティを活かし、法人顧客向けに「コンテンツマーケティングサービス」、「テクノロジーソリューションサービス」をサービス領域として提供しております。市場環境の変化や、それに伴う経済的予測等を鑑み、人的資本や知的財産、資金等の経営資源を各サービスへ効率的に配分することで、経営の機動力の向上を図ってまいります。

 ② 業績の概況

(ⅰ)サービス別の販売動向

<テクノロジーソリューションサービス>

テクノロジーソリューションサービスでは、受託サービスとして顧客のWebサービスやアプリに関する企画・開発・運用の受託と、システム運用者向けのサーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」の提供を行っております。一部の開発料収入は一過性の売上ですが、多くをストック型ビジネスとして展開しております。

受託サービスについては、任天堂㈱のNintendo Switch™ソフト『スプラトゥーン3』のゲーム連動サービスである「イカリング3」の継続的機能拡充など、複数の受託開発案件で成果物の納品及び検収が完了しました。保守運用サービスについては、特にマンガビューワ「GigaViewer」搭載の案件について、運用案件数の積上げやレベニューシェア(広告・課金収益など)の増加により、堅調な売上成長に繋がりました。

今後の成長の柱と位置づけるアプリマンガサービスに向けたマンガビューワ「GigaViewer for Apps」については、前事業年度の2024年3月28日に搭載開始した「少年ジャンプ+」(サービス提供者:㈱集英社)について、安定的に運用し、継続的な機能開発を進めております。「少年ジャンプ+」iOS版/Android版は、ダウンロード数が3,000万を超える、利用者が極めて多いマンガ誌アプリです。出版業界の調査研究機関である公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、出版市場における2024年の電子コミック市場は前年比6.0%増の5,122億円と規模が拡大しております。このような市場環境において、「GigaViewer for Web」・「GigaViewer for Apps」の利便性や広告運用を含めたソリューションは、顧客から評価されており、2025年7月末現在でアプリ版・Web版合計16社、搭載累計24サービスと多くのシェアを有しております。既にデファクトスタンダードを獲得したWeb版の導入メディアに対して、アプリ版の導入を推進してまいります。一般にアプリ版はWeb版よりもコンテンツの閲覧数や販売額が大きいことから、開発・運用料のみならず、レベニューシェア(広告・課金収益など)の収益の大幅な拡大に資するものと捉え、注力してまいります。

「Mackerel(マカレル)」については、その役割をサーバー監視のみならず、アプリケーションソフトウエアも含めたシステム全体に対するオブザーバビリティ(注2)プラットフォームに拡大すべく開発を進め、2025年4月にアプリケーション・パフォーマンス・モニタリング(APM)機能のベータ版をリリースし、5月に正式リリースいたしました。この機能は、2024年6月に事業譲受した分散トレーシングサービス「Vaxila(ヴァキシラ)」を同年8月にMackerelの機能として使えるようにしたほか、同年11月にソフトウエアの状況等を把握するためのオープンソースによる標準化規格「OpenTelemetry(注3)」に対応したメトリック機能をリリースするなど、順調に機能追加をしてきた集大成というべきものであります。今後、このようなプロダクト転換を通して、まずはサーバー監視の既存顧客へのAPM機能の拡販を進め、続けて新規顧客の獲得を目指し、非連続的な売上成長を図ってまいります。

以上の結果、テクノロジーソリューションサービスの売上高は、2,839,966千円(前年同期比23.0%増)となりました。

 

<コンテンツマーケティングサービス>

コンテンツマーケティングサービスでは、ストック型ビジネスとして、2025年2月提供を開始したにCMS(注4)である「はてなCMS」を活用したオウンドメディア(企業が顧客などに向けて伝えたい情報を発信するための自社メディア)の構築・運用支援サービスや、「はてなブログ」などのUGCサービスを活用したネイティブ広告、バナー広告、タイアップ広告などを展開しております。

デジタルマーケティングを目的としたオウンドメディアの開設が活発化している昨今の市場環境において、フルサービスを提供する「レギュラープラン」はもとより、廉価版としての位置づけである「ライトプラン」、自社で求める人材の獲得や、働き方改革に関する情報発信や社員インタビューなど採用マーケティングの一環として、素早く安価にオウンドメディアを立ち上げられる「採用オウンドメディアプラン」を新たな軸として、サービス訴求してまいりました。一方で、一部の個別案件において、広告・マーケティング予算が縮減されたことによる広告出稿の手控えにより、継続的な受注に至らなかったことなどから、厳しい販売環境となりました。その結果、「はてなCMS」の運用数合計は152件(前年同期末比10件の増加)となりました。「はてなCMS」は、2025年2月に「はてなブログMedia」のブランドを刷新し、コンテンツマーケティングを含むデジタルマーケティング活動における Web サイト制作の幅広いニーズに対応できるようにしております。新ブランド「はてなCMS」の認知拡大を通して導入件数増を図る予定です。また、新規事業として2024年10月に正式にサービス提供を開始した、生成AIを活用した発話分析ソリューションサービス「toitta(トイッタ)」は、AIを活用してインタビュー内容を的確かつ安価に整理・共有できるようになると多くの顧客候補から高い評価を受け始めており、順調に立ち上がりつつあります。人的投資を進めて更に事業を加速させ、売上成長を目指してまいります。

以上の結果、コンテンツマーケティングサービスの売上高は、620,312千円(前年同期比2.5%減)となりました。

 

<コンテンツプラットフォームサービス>

コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信、拡散するUGCサービスとして、「はてなブログ」「はてなブックマーク」などのサービスを展開しております。

主力サービスとなっている「はてなブログ」の登録ユーザー数は順調に増加しました。一方、「はてなブログ」の個人向け有料プラン「はてなブログPro」などについては、各種SNSの普及による競争激化も相まって、「はてなブログPro」の契約件数が減少したため、課金売上は低調に推移しました。今後は、CtoC課金サービスの強化を目的として、ブログ記事の有料販売に対応するなど、ユーザーの収益獲得を支援するとともに、書き手の利便性向上につながる取組みとして、2023年12月に公開した「AIタイトルアシスト」に続けてAIを活用した新機能をリリースすることで、景気動向やトレンドに左右されやすい広告収入をカバーしつつ、売上成長を図ってまいります。

コンテンツプラットフォームサービス上に掲載するアドネットワーク広告については、広告枠を提供したい数多くの広告媒体の運営事業者との間で、広告を出稿したい数多くの広告主を集めた広告配信ネットワーク(アドネットワーク(注5))が形成されており、多数の事業者の関与のもとで、広告単価が決定しております。このような事業環境の中で、広告単価の下落などを主な要因として売上は伸び悩みました。

以上の結果、コンテンツプラットフォームサービスの売上高は、328,309千円(前年同期比9.8%減)となりました。

 

<その他サービス>

当社は2024年10月に日本ブロックチェーン基盤株式会社が運営・管理するパブリックチェーン(注6)「Japan Open Chain(JOC)」に共同運営者(バリデータ(注7))として参画しました。JOCは2024年12月にInitial Exchange Offering(IEO)(注8)を果たし、当社もバリデーション業務を開始しました。その対価としてJOCトークン(注9)を得ており、今後も毎月得る予定です。JOCのバリデータは2024年10月時点では当社を含めて13社・団体で、最終的に21社・団体となる予定です。当社は他の企業・団体と共に、ブロックチェーン技術を安心・安全かつ実用的に利用できるブロックチェーン・インフラの構築に貢献すると共に、JOCを活用した社会課題解決につながるWeb3サービス(注10)の検討を進めていく予定です。

以上の結果、その他サービスの売上高は、6,286千円(前期では発生なし)となりました。

 

(ⅱ)利益の概況

 中期的な成長エンジンとして位置づけているテクノロジーソリューションサービスにおいて、売上成長を加速させていくために、開発投資等に向けて体制拡充を継続してまいります。その他、更なる成長基盤の構築に向け、特に新規サービス「toitta(トイッタ)」に対する効果的な資本投下を行ってまいります。

 営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費の合計)については、3,455,382千円(前年同期は3,241,253千円)となりました。営業費用は増加しておりますが、概ね計画の範囲内であります。

 主な増減要因としては、前年同期と比べて受託サービスの開発規模の減少に伴う受託開発原価の減少があった一方、テクノロジーソリューションサービスの拡大や「toitta」を含めた新たなサービスの創出のため、人材投資を積極的に行った結果、給与手当等の労務費が増加しました。人的資本への経営資源の配分は、当社が将来にわたり、競争優位性を確保するために、収益基盤の確立に向けた重要投資として位置づけております。また、顧客のシステムを運用代行する受託サービスにおいて、データセンター利用料を当社で支払い、それを含めて顧客に運用料として請求するビジネスを一部の顧客に対して行っておりますが、そのような顧客の増加や当該システムの利用が増えることで、データセンター利用料の費用増加が進んでおります。

 営業外損益や特別損益については、受取利息や配当金及び有価証券利息9,144千円の計上、為替差益195千円の計上、当座貸越契約の実行に伴う支払利息1,309千円の計上、譲渡制限付株式報酬の付与対象者の退職に伴い、譲渡制限付株式割当契約に基づき割り当てた当社普通株式の全てを、当社が無償取得したことによる株式報酬費用消滅損6,724千円などがありました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は3,794,875千円(前年同期比14.7%増)、営業利益は339,492千円(同398.0%増)、経常利益は339,578千円(同272.3%増)、当期純利益は230,882千円(同270.2%増)となりました。

 なお、当社はUGCサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

(注)1.User Generated Contentの略。インターネット上で利用者自身がテキストや画像、映像などのコンテンツを発信することができる場を提供するサービス。

2.システムの外部出力から内部の状態を推測・把握する能力や取り組み、それを実現する手法を指す。システムの動作や内部状態を理解することで、システムの異常な挙動を特定し、デバッグや障害復旧など、迅速に対処することができる。

3.ソフトウエアのテレメトリーデータ(トレース、メトリック、ログ)を収集し、監視と分析のために遠隔地に送信するための標準化ツールで、2021年にVer1.0が公開された。Mackerelにおいて、従来は独自規格であったため、容易に導入できなかった企業に対しても「OpenTelemetry」に対応することで導入が進みやすくなるといった効果が期待される。

4.Contents Management Systemの略。HTMLやCSSのようなWEBサイトの制作に必要な専門知識を必要とせず、テキストや画像などの情報を入力するだけで、サイト構築を自動的に行うことができるシステム。

5.アドネットワークとは、多数の広告媒体のWebサイトを束ねた広告配信ネットワークを形成し、それらのWEBサイト上で一括して広告を配信する手法。メディア運営者はサイト上に広告枠のみをアドネットワーク事業者に提供する。サイトが閲覧されるごとに、システムにより広告枠に対して広告が自動配信される。

6.暗号資産の取引情報の記録に用いられるブロックチェーンにおいて、特定の管理主体を置かず、不特定多数の参加者により取引情報の合意形成を行う仕組みのこと。

7.ブロックチェーン上での取引(トランザクション)を承認する役割のこと。

8.日本国内の法規制に則って暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査を行い、暗号資産の公募売出し・流通を行う仕組みのこと。

9.ブロックチェーン技術を利用して発行された暗号資産のこと。

10.特定のプラットフォーマーが強い支配力をもつ中央集権型ではなく、非中央集権型(分散型)のブロックチェーン技術を基盤としたネットワークの概念を体現するサービス。

 

(ⅲ)当社を取り巻く経営環境や想定されるリスクなど

 出版業界の調査研究機関である公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の発表によると、出版市場における2024年の電子コミック市場は前年比6.0%増の5,122億円と、規模が拡大しております。2019年の2,593億円と比べると97%も増加するなど、コロナ禍を経て一気に市場規模が拡大しました。㈱集英社の「鬼滅の刃」が日本映画の歴代興行収入ランキング1位という記録を打ち立てたということを典型的な事例として、マンガ発のIPを映画やドラマ、ゲームなどにマルチユースすることはエンタテインメント産業における主要なプレイヤーの基本戦略となっております。出版社にとってもデジタル化に対応しながらIPを生み出し育成することが事業成長の根幹となっており、当社が保有する情報システム技術やサービス運営の能力についてますます需要が高まっております。

 一方で、エンタテインメント産業特有の不安定さや原材料価格の高騰等、今後の事業環境に対する不透明感から、受託企業の予算の縮小が当社の業績に与える可能性は、依然としてあります。出版社の業績は、コンテンツ販売事業においては景気変動の影響を比較的受けにくい傾向にありますが、広告事業においてはその限りではありません。また、生成AIの活用を背景にしたシステム開発案件の納期短縮への要請が強まるなどの技術面での事業環境の変化が、今後の当社の業績に意図に反する影響を及ぼす可能性があります。

 当社としては、生成AIの積極活用によるサービス開発力の更なる充実に加えて、マンガ領域においては「GigaViewer」というSaaSプロダクトを多くの大手・中堅出版業顧客に提供することで、利用者数の拡大を狙い、その結果として、マンガや小説の課金収入の伸長の実現を図ることといたします。また、「はてなブログ」や「はてなブックマーク」など一般ユーザー向けコンテンツプラットフォームサービスにおける機能開発や機能改善を図ることや、「Mackerel」「toitta」など当社の技術力が直接的に評価されるようなサービスを効果的に展開するなどして、新たな収益機会の獲得を見込んでおります。そのために、これらのサービスの売上の立ち上がりを見通しつつ、新たな収益基盤の確立に向けた戦略的投資を継続してまいります。

 経済的不透明感や危機感が継続することが予想される経営環境の中で、当社の資金の財源及び流動性については次のとおりであります。また、事業継続に対して万全の備えをする方針であります。

 当社における事業活動のための資金の財源として、主に手元の資金と営業活動により獲得したキャッシュ・フローでありますが、資金の手元流動性については、現金及び預金2,136,804千円と月平均売上高に対し6.8ヶ月分であり、現下、当社における資金流動性は十分確保されていると考えております。

 また、当社は事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本的な財務方針としており、金融機関からの借入により調達することを目的として、取引銀行5行との間で、総額1,700,000千円の当座貸越契約を締結しております。バックアップラインを確保し、資金の手元流動性の補完が実現しております。今後は、運転資金や設備投資の需要動向や、それに伴うキャッシュ・ポジションを精査しつつ、適切なタイミングで資金調達を実行してまいります。

 なお、当座貸越契約の未実行残高は、1,700,000千円となっております。

 

 

 

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前事業年度に比べ、677,961千円増加し、

2,121,864千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は711,577千円(前年は147,015千円の収入)となりました。

これは主に、増加要因として、税引前当期純利益342,450千円の計上があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は38,434千円(前年は106,157千円の支出)となりました。

 これは主に、増加要因として、投資有価証券の売却による収入79,614千円があったものの、減少要因として、無形固定資産の取得による支出154,318千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は2,011千円(前年は1,548千円の収入)となりました。

 これは主に、増加要因として、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,150千円があったことによるもの であります。

 

   (3)生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(b)受注実績

 当事業年度の受注実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2024年8月1日

 至 2025年7月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

テクノロジーソリューションサービス

522,575

74.4

258,325

65.6

合計

522,575

74.4

258,325

65.6

 (注)1. 金額は、販売価格によっております。

2. コンテンツプラットフォームサービス、コンテンツマーケティングサービスは受注によらないため、記載はしておりません。

3.当社は単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。

 

(c)販売実績

 当事業年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

前事業年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当事業年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

販売高(千円)

コンテンツプラットフォームサービス

363,954

328,309

コンテンツマーケティングサービス

636,093

620,312

テクノロジーソリューションサービス

2,309,374

2,839,966

その他サービス

-

6,286

合計

3,309,422

3,794,875

 

 (注)1.当社は単一セグメントであるため、サービスごとに記載しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当事業年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社集英社

426,722

12.9

903,280

23.8

株式会社KADOKAWA

347,510

10.5

367,409

9.7

任天堂株式会社

275,384

8.3

300,365

7.9

ストライプジャパン株式会社

276,521

8.4

266,447

7.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わねばなりません。経営者は、債権、棚卸資産、投資、繰延税金資産等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、

「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり

ます。

 

 

(2)当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社が重視している経営指標は、売上高、営業利益及び経常利益であります。

 主要3サービスのシナジー効果を最大限に活用しつつ、売上高、営業利益及び経常利益を継続的に成長させることにより、企業価値の向上、株主価値の向上を目指してまいりました。当社は、経営方針に則った業績目標について、2024年9月13日に業績予想値を公表いたしました。当社が定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況については次のとおりです。

 なお、経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

(単位:百万円)

 

区分

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

業績予想値(A)

3,760

203

203

140

実績(B)

3,794

339

339

230

増減(B-A)

34

135

135

90

増減率(%)

0.9

66.5

66.5

64.1

 

 当社の資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。当社における事業活動のための資金の財源として、主に手元の資金と営業活動によるキャッシュ・フローによっております。資金の手元流動性については現金及び預金2,136,804千円と月平均売上高に対し6.8ヶ月分であり、当社における資金の流動性は十分確保されていると考えております。なお、当事業年度末時点において、有利子負債残高はありません。

 運転資金需要のうち主なものは、人件費やデータセンター利用料等の営業費用、法人税等の税金費用であります。また、投資を目的とした資金需要の主なものは、ITインフラ設備や事務所設備等の設備投資であります。

 当社は、事業運営上、必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。そのため、より一層の事業拡大を継続することに備え、金融機関からの借入により調達することを目的として、取引銀行5行との間で、総額1,700,000千円の当座貸越契約を締結しております。借入に関しては、経常的な運転資金需要の場合には、短期借入を基本方針とし、多額の設備投資需要の場合には、長期借入を基本方針としております。また、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し、対応してまいります。

 また、当社は、フリーキャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計と定義しております。当社の経営者は、この指標を戦略的投資または負債返済に充当可能な資金の純額、あるいは資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、投資家に有用な指標であると考えており、以下の表のとおり、フリーキャッシュ・フローを算出しています。

(単位:千円)

区分

前事業年度

(自 2023年8月1日

   至 2024年7月31日)

当事業年度

(自 2024年8月1日

   至 2025年7月31日)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

147,015

711,577

564,561

投資活動によるキャッシュ・フロー

△106,157

△38,434

67,723

フリーキャッシュ・フロー

40,858

673,143

632,285

 

 なお、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

 

(3) 財政状態の分析

(資産)

 流動資産は2,849,675千円となり、前事業年度末に比べ、570,698千円増加いたしました。

 これは主に、増加要因として、現金及び預金が631,917千円増加したことによるものであります。

 

 固定資産は601,294千円となり、前事業年度末に比べ、28,906千円減少いたしました。

 これは主に、増加要因として、ソフトウエアが48,722千円及び繰延税金資産が19,884千円増加したものの、減少要因として、投資有価証券が94,295千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 流動負債は595,148千円となり、前事業年度末に比べ、284,920千円増加いたしました。

 これは主に、増加要因として、未払法人税等が103,300千円、未払費用が63,724千円及び未払消費税等が38,526千円増加したことによるものであります。

 

 固定負債は39,625千円となり、前事業年度末と比べ、149千円増加いたしました。

 これは、増加要因として、資産除去債務が149千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産は2,816,196千円となり、前事業年度末に比べ、256,721千円増加いたしました。

 これは主に、増加要因として、当期純利益を230,882千円計上したことによるものであります。

 

(4) 経営成績等の状況に関する分析

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(売上高)

 当事業年度の売上高は、3,794,875千円(前年同期は3,309,422千円)となりました。

 これは主に、テクノロジーソリューションサービスにおける受託開発売上や保守運用売上が堅調に推移したことによります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、547,584千円(前年同期は596,258千円)となりました。

 これは主に、テクノロジーソリューションサービスが堅調に推移したことに伴い受託開発に係る労務費が増加したこと、広告レベニューシェアに伴う収益配分原価が増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は、3,247,290千円(前年同期は2,713,163千円)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,907,797千円(前年同期は2,644,994千円)となりました。

 これは主に、社員数の増加に伴う給料及び手当、及び各サービスの伸長に伴うデータセンター利用料の増加によるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は、339,492千円(前年同期は68,169千円)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は、10,167千円(前年同期は25,646千円)となりました。

 これは主に、受取利息及び配当金8,916千円の計上があったことによるものであります。

 当事業年度の営業外費用は、10,082千円(前年同期は2,592千円)となりました。

 これは主に、株式報酬費用消滅損6,724千円の計上があったことによるものであります。

 この結果、当事業年度の経常利益は、339,578千円(前年同期は91,222千円)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

 当事業年度の特別利益は、6,955千円(前年同期は1,290千円)となりました。

 これは、投資有価証券売却益6,552千円の計上があったことによるものであります。

 当事業年度の特別損失は、4,083千円(前年同期は0円)となりました。

 これは、投資有価証券売却損4,083千円の計上があったことによるものであります。

 この結果、当事業年度の当期純利益は、230,882千円(前年同期は62,372千円)となりました。

 

(投下資本利益率、株主資本利益率)

 税引後営業利益(NOPAT:営業利益×(1-実効税率))は、235,539千円となり、投下資本(自己資本+有利子負債:期中平均)2,844,668千円に対する利益率(ROIC)は、8.3%となりました。また、株主資本利益率(ROE)は、8.6%となりました。株主資本コストと負債コストの加重平均(WACC)は、2.8%と認識しており、ROE、ROICの維持・向上によって株主資本に対する利益率(ROE)の維持・向上に努めてまいります。

 

 

2024年7月期

2025年7月期

税引後営業利益(NOPAT)(千円)

47,295

235,539

投下資本利益率(ROIC)(%)

1.8

8.3

加重平均資本コスト(WACC)(%)

3.7

2.8

 

 

 

(5) キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度末の現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前事業年度に比べ、677,961千円増加し、

2,121,684千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は711,577千円(前年は147,015千円の収入)となりました。

これは主に、増加要因として、税引前当期純利益342,450千円の計上があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は38,434千円(前年は106,157千円の支出)となりました。

 これは主に、増加要因として、投資有価証券の売却による収入79,614千円があったものの、減少要因として、

無形固定資産の取得による支出154,318千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は2,011千円(前年は1,548千円の支出)となりました。

 これは主に、増加要因として、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,150千円があったことによるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2024年7月期

2025年7月期

自己資本比率(%)

88.0

81.6

時価ベースの自己資本比率(%)

78.1

123.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

185.6

543.6

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

3.有利子負債がないため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は記載しておりません。

 

(企業価値・キャッシュ創出力)

キャッシュ創出力を示す減価償却前の営業利益(EBITDA:償却前営業利益=営業利益+減価償却費)は、473,473千円となっております。今後も、運転資金の確保のための有利子負債の水準を一定程度に維持しつつ、人材投資やインフラ投資を行う方針を継続するとともに、主要3サービスにおける収益の柱を成長させることで、キャッシュ創出力を高め、企業価値を向上させてまいります。

2025年7月末の企業価値(EV:時価総額+ネット有利子負債)は、4,246,150千円、企業価値とキャッシュ創出力の倍率を示すEV/EBITDA倍率は、9.0倍となっております。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(7) 戦略の現状と見通し

 当社は『「知る」「つながる」「表現する」で新しい体験を提供し、人の生活を豊かにする』をミッションに掲げ、「技術で支えられているサービスを提供する会社」として技術を磨き、インターネット領域において様々なサービス提供を行っております。

 当社は今後も拡大されることが予想されるIT市場において、競争優位性を確保するために、顧客企業に対して高付加価値を提供するサービスの創造に鋭意努めてまいります。また、より強固なポジションを獲得するために、開発体制及び営業体制の強化を重要な戦略と認識し、事業の拡大に取り組んでまいります。

 

(8) 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社の経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。

 

(9) その他会社の現況に関する重要な事項

 該当事項はありません。