2024年6月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、投資家の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、潜在的リスクや不確定要素はこれらに限られるものではありません。

 

(1)経済、市場の動向について

 当社のパッケージ事業およびシステムインテグレーション事業は、企業を主要顧客としております。したがって、国内の景気および顧客企業の基幹業務システム関連の設備投資動向が悪化した場合には、当社の事業展開、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、弊社パッケージの対応業種や機能を増やす等、より魅力ある製品になるよう研究開発活動を継続するとともに、1件あたりの単価が低いSaaS版の拡販等により、業種や導入企業数の分散を図ってまいります。また、パッケージの需要が一時的に減退したときの社内リソースの活用先として、システムインテグレーション事業の販路の確保・開拓にも努めてまいります。

 

(2)競合について

 当社と主要顧客ターゲットが重複するERP製品を販売している会社は20社程度存在しております。そのため、競合他社の営業力および技術力等の向上により、競争が激化する場合は、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、引き続き顧客のニーズを汲んだパッケージの開発に努めてまいります。

 

(3)特定のERP製品への高い依存度について

 当社の製品はERPに特化しております。また、当社は現状成長過程であり事業規模が小さく、当製品の新規販売1件当たりの売上高およびその積み上げであるフロー型売上が当社全体の売上高の一定割合を占めている状況にあります。したがって、対象とする業界における当製品の市場競争力の低下等によって計画通りの受注が出来なかった場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、1件あたりの単価が低いSaaS版の拡販等によって弊社パッケージ導入企業数を増やすことにより、保守料等のストック型売上を増やしていくよう努めてまいります。また、パッケージの需要が一時的に減退したときの社内リソースの活用先として、システムインテグレーション事業の販路の確保・開拓にも努めてまいります。

 

(4)解約について

 当社のERP製品を導入した企業が、当社製品を継続利用することで生じるストック型売上につきましては、新規受注案件の稼働に伴い増加傾向にありますが、当製品の市場競争力の低下等によって解約が増加し、ストック型売上が減少した場合は、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、定期的な訪問やヒアリング等により顧客のニーズや不満を的確に捉え、提供できるサービス等を提案することによって、顧客満足度の向上や継続的なサービスの提供に努めてまいります。

 

(5)技術革新による影響について

 当社は、Javaおよびオープンソースソフトウエアの技術に特化しておりますが、技術革新等によりこれらの技術への需要が減少した場合は、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、社内で技術レポートの提出を推奨するなど最新の技術動向や環境の変化を捉える体制を推進するとともに、優秀な人材の確保及び教育等によって迅速に把握・対応できるよう努めてまいります。

 

(6)開発工数の増加について

 当社がERP製品のカスタマイズを請け負う場合、仕様の大幅な変更や予期しえない不具合の発生等によりその開発工数が増加し、当初の納入予定日が変更となって、売上および利益の計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする可能性があります。そのような期ずれが発生した場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、最終的に納品できなかった場合には受注金額を回収できないことや損害賠償責任が発生する可能性があることに加え、当社の信用が損なわれ、その後の事業展開、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、入口である見積りの段階で金額及び工数が適切であるかを経験豊富な上位者が確認しております。また、開発の進捗についてはプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)において随時監視しており、工数の大幅な超過が発生しないよう努めてまいります。

 

(7)製品の不具合の可能性について

 一般にソフトウエア製品の高度化および複雑化により、完全に不具合を解消することは不可能といわれており、想定以上の規模の不具合や当社の過失によるシステムの不具合が顧客に損害を与えた場合には、当社の信用力の低下により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、システム運用段階で発生する不具合への対応を一定程度見込んだ体制を構築しております。

 

(8)契約不適合責任について

 当社がERP製品のカスタマイズを請け負う場合、通常、顧客に対して契約不適合責任を負います。当社は定期的に顧客企業のプロジェクト責任者や関係者と会議を行い、プロジェクトの進捗状況の確認や各フェーズの開始および終了判定を行う等プロジェクト管理を徹底し品質管理を行っておりますが、重大な不適合が発生した場合は、人員を投入して無償補修を行う必要があり、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、契約書に一定の免責条項を規定することによりリスクの低減を図るほか、PMOにおける品質管理を徹底することにより納品物の品質向上に努めてまいります。

 

(9)人材の確保と育成について

 当社の基幹事業であるソフトウエア開発は、知識集約型の業務であり、一定水準以上の専門技術や知識を有する技術者やそれを販売する営業部員の確保と育成ならびに当社への定着が重要であると認識しております。また、管理部門の人員についても、会社の重要な業務を担う部門であるため、人材の確保と定着が重要であると認識しております。当社が必要とする人材を十分に確保できない場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、従業員が働きやすい環境の整備や人事制度の構築、及び教育研修体制の充実を進めることによって人材の確保に努めてまいります。

 

(10)特定人物への依存について

 当社創業者である白岩次郎は、当社の大株主かつ代表取締役であり、当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中核として重要な役割を果たし、新たな事業モデルの創出においても中心的な役割を担っております。何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、同氏への依存が過度にならないよう、マネージャー層の拡充・育成や、権限移譲を進めることにより経営組織の強化に努めてまいります。

 

(11)小規模組織について

 当社は、2024年6月30日現在において、取締役(監査等委員である取締役を除く。)4名、取締役(監査等委員)4名、従業員148名と小規模な組織となっており、内部管理体制もこれに応じたものとなっております。当社は、今後の事業規模の拡大に応じて、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、今後、事業規模の拡大に応じて人員を増強し、内部管理体制の拡充を図る方針であります。

 

(12)法的規制等について

 当社は、事業者との間で業務委託契約を締結し、業務を委任しておりますが、「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)が適用される場合があります。また、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)および「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律」(同改正法)に基づき、派遣契約を締結し、労働者派遣を一部行っております。

 当社は、法令を遵守し事業運営を行っておりますが、運用の不備等により法令義務違反が発生した場合には、当社の社会的信用の失墜等により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、顧問契約をする弁護士や社労士等の専門家と適宜連携し、新法制定や法改正を確認し、適宜社内にて情報を共有することで法令違反が発生しないように努めてまいります。

 

(13)知的財産権について

 当社では、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、当社が認識していない第三者の知的財産権がすでに成立している可能性や、使用しているフリーソフトウエアが第三者の知的財産権を侵害している可能性などから、当社による第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求およびロイヤリティの支払い請求等が発生した場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、使用する外部ソフトウエアの定期的なライセンス契約チェックを実施し、権利の侵害が発生しないように努めてまいります。

 

(14)情報管理体制について

 当社は、顧客の秘密情報および顧客が保有する個人情報を知り得る場合があることから、当該情報を漏えいするリスクがあります。また、人為的ミス等により知り得た情報が漏えいした場合には、当社の社会的信用の失墜等により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、プライバシーマークを取得するとともに、情報管理体制を構築し、定期的にセキュリティ研修を実施するなど情報管理の徹底をはかっております。また、全ての協力会社との間で機密保持に関する契約を締結し、全ての従業員および協力技術者から機密保持に関する誓約書を取得するなどの対策を講じております。

 

(15)訴訟等について

 当社は、その事業活動の遂行過程において、取引先および従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。これらの手続は結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社に不利な判断がなされた場合には、当社の業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 本リスクへの対応策として、法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先、従業員その他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めてまいります。また、現時点において、当社が当事者として関与している訴訟はありません。

 

(16)情報システムのトラブルについて

 当社は、社内システムに関して、地震や火災等の災害、コンピュータ・ウイルス、電力共有の停止、通信障害等によるシステムトラブルが生じた場合、当社の事業活動および経営成績に影響を与える可能性があります。

 本リスクへの対応策として、事業継続に影響のある主要サーバーのバックアップ体制を確立しており、今後も必要に応じて事業継続性の強化に努めてまいります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

 当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本方針としております。

 期末配当の決定機関は株主総会でありますが、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款で定めております。

 内部留保資金につきましては、今後の事業展開および経営基盤の強化に係る投資に充当していく所存であります。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年9月27日

22,826

15

定時株主総会決議