事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 2,906 | 100.0 | 308 | 100.0 | 10.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社及び連結子会社(株式会社ヘッドウォータースコンサルティング、株式会社ヘッドウォータースプロフェッショナルズ、DATA IMPACT JOINT STOCK COMPANY)の計4社で構成されております。連結子会社の事業内容については「4 関係会社の状況」に記載しております。
当社グループは、創業以来基軸として「エンジニアからビジネスパーソンへ」を掲げ事業を推進してまいりました。業務を通じて培った業務コンサルティングや様々な業種業態の企業に対して提供してきたシステム開発の経験、ノウハウをもとに、AI(※1)をはじめとする新技術で経営課題を解決する提案、開発、サービス化を行っていくことで、企業の発展に貢献することを志向しております。創業時にはエンジニアの派遣や受託開発を行うことでシステム開発や業務のノウハウを取得し、幅広い技術領域に対応できる経験を積みました。2014年からPepperをはじめとする人型ロボット向けのアプリケーション開発をスタートしました。さらにロボットの高機能化を実現すべくAIの研究及びロボットへの実装をスタートさせたことで、他社に先駆けてAIソリューション開発の知見を得ることができました。現在は幅広いシステム開発や、営業や客先常駐を通じて培ってきた業務コンサルティングの経験と、AIソリューション開発の経験を組み合わせ、顧客の経営課題を解決することが当社グループのAIソリューション事業になります。
AIを業務利用するためには、業務分析、AIの選定・学習モデルの構築、実証実験、AIを組み込んだシステム開発、追加学習を含めたシステム運用など幅広い知見と体制が必要なため、導入は簡単ではありません。顧客が思い描くAI導入後の姿と実際のAIで実現できる精度や機能的な限界にギャップが生じるほか、顧客が考えるAIの導入ポイントが必ずしも適切ではないといった事象が生じます。当社グループでは業務コンサルティングによって業務を整理することでAI導入、DX推進に対してしっかりと費用対効果を得られるか導入プランを提示して、顧客との認識齟齬が発生しないよう努めております。顧客のデジタル化が遅れている場合は、まずデジタルトランスフォーメーション(DX)を計画的に行うことで、属人化を排除し省人化を進めます。企業内にあるノウハウをデータ化して、活用できるデータを正しく蓄積することがDX推進とその後のAI導入に対して重要なポイントとなります。また、AIを使用するためには、IoT(※2)のデバイス(※3)からデータを収集したり、WebシステムにAIを組み込んだりと、多岐にわたる周辺技術への理解も必要になります。新しい技術はどんどん生み出されており技術情報のアップデートも必要不可欠のものとなっています。当社グループは、さまざまな新技術のノウハウを持ったうえで伴走型の支援を重視しており、顧客と共にオンサイトで発生する課題に対応することで、顧客事業の成功に向けて貢献しております。
当社グループが提供するAIソリューション事業は、以下の事業サービスに記載の通りです。
なお、当社グループは「AIソリューション事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
(1) 事業サービス
当社グループが提供するAIソリューション事業は、企業の経営課題に対してAIやDXを問わず、コンサルティング領域となる企画・提案などの上流工程からシステム開発、運用保守と言ったエンジニア領域までシステムのライフサイクルに対して一気通貫でソリューションを提供するインテグレーションサービスとなります。インテグレーションサービスは、以下の3つのサービス区分に分類しております。
① インテグレーションサービス
a.AIインテグレーションサービス
AIインテグレーションサービスとは、AI技術の導入に向けて大きく4つ(「業務分析」「実証実験」「開発」「運用」)に分かれた工程をワンストップで行うサービスです。最初に行われる「業務分析」では、業務コンサルタントが顧客の業務を分析して、AIの最適な活用部分を抽出します。AIの導入が効果的であるか、デジタル化(DX化)施策を先に行うべきかなど、顧客から業務をヒアリングする中で必要な施策を提案いたします。次に行う「実証実験」では、検証を行う範囲をいくつかの機能単位に分け、顧客とAI導入後の利用イメージやAIの精度について機能単位で確認していきます。利用イメージに違いがあったり精度が十分でない場合は、別の施策によって「実証実験」を繰り返したり、検証期間を延ばして精度向上に努めます。「開発」は、選定したAIを既存の業務に組み込むフェーズとなります。「実証実験」で試した内容をベースに本番開発を行いますが、既存システムとの連携や新しく必要となるアプリケーションのほか、管理WEBサイトなども並行して開発を行います。最終工程となる「運用」では、継続的なデータの蓄積と学習がAIの精度を維持・向上させます。運用業務と保守業務の両面からシステムの改善に取り組んでおります。
また、当社グループはAIを業務で活用するために必要な業務ノウハウや業務システムの開発経験を幅広く積んでおります。業界に特化した形でAIのアルゴリズムを提供したり、月額課金型のAIサービスを提供している会社が増えたりとしておりますが、それだけでは業務の利用に完全に対応できるとは言えません。
顧客が所有するデータをAIに学習させることで、高度な予測機能やリコメンド機能を顧客のサービスに付加したり、スマートスピーカーやドローンにAIを組み込む事で高度な作業を人の代わりに行わせたりと、顧客の事業で活用できる様に、AIの学習モデルはもとよりAIと連携する管理画面やWEBアプリケーションなどの周辺システムについても開発を行います。AIのアルゴリズム自体はMicrosoftやGoogleの様なAIプラットフォーマーが提供するサービスを活用することで開発期間やコストを抑え、AIプラットフォーマーが提供しているアルゴリズムを活用した学習モデルの生成や提供された顔認識機能、自然言語解析機能などを組み込んだソリューション開発を顧客の要望に合わせて行います。
当社グループは公開されている既存技術や、当社グループが過去に生成した学習モデルなどを組み合わせて開発するため、顧客の業種範囲に関わらず広い分野でサービス提供が可能です。
b.DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス
当社グループは顧客企業のIT化を支援し、企業のデジタル化を推進しております。顧客企業のAI化に向けたファーストステップとして、業務やサービスをアナログからデジタルへ移行していくための対応や、オンプレミスからクラウドサービスへのシステム移行なども行っております。
今後国内企業が高い成長を目指すには、各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は必須と考えられております。さらに2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行によってリモートワークによる働き方改革が進み、生産労働人口の減少も重なり、業務はより効率化を求められ、自動化やデータ連携、効率化に伴うソリューション提供の需要は増していく一方となっております。AI活用も普及期に入り、デジタルトランスフォーメーション(DX)からAI化への流れも加速するものと考えております。
当社グループは顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)をワンストップで支援しております。部分的なデジタル化ではなく、顧客の業務全体に対するデジタル化を目指し、計画的にシステムの開発・導入やデータの蓄積を行います。業務分析をはじめ、デジタルトランスフォーメーション計画の策定、システム開発、AI活用を見越したデータの蓄積及び解析、これらのサービスを顧客の必要に応じて提供しております。
c.プロダクトサービス
当社グループが有するAIプロダクト「SyncLect」(※4)は汎用的に利用される機能をライブラリ化することで顧客に提供、もしくはカスタマイズすることによって顧客の経営課題を解決するサービスです。
当社グループはAIソリューションの開発を短納期、低コストで行うためのAIプラットフォーム「SyncLect」を有しております。システム開発時に「SyncLect」を通して提供したAIの機能は、実装後にライセンス提供することもでき月額課金の安定した収益基盤となるサービスとして注力しております。
※1 AI(Artificial Intelligence 人工知能)とは、人工的にコンピュータ上等で人間と同様の知能を実現させようとする試み、あるいはその一連の基礎技術をいいます。
※2 IoT(Internet of Things)とは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけでなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みをいいます。
※3 デバイスとは、情報端末機のことをいいます。
※4 SyncLectとは、当社のAIソリューション開発用の社内向けプラットフォームです。SyncLectを活用することで、AIと各種デバイスを連動させたり、WebシステムやスマートフォンアプリにAI機能を簡単に組み込むことが可能です。AmazonやMicrosoftなどがクラウド上で提供しているAIの機能を評価し、適切なものをスイッチングして顧客に提供する機能もあります。このプラットフォームを活用することで、コストと工期の削減が可能になります。
(2) 事業の特徴
当社グループのAIソリューション事業の特徴は下記の通りです。
① 営業フェーズのコンサルティングによる課題解決提案
当社グループは、顧客の経営課題を解決するために、営業フェーズからコンサルティングを行います。顧客の状況に合わせて、経営全般に関わるDXロードマップを作成するケースと、AIの導入に絞って適切なAIの選択や導入に関するイメージの共有を行うケースがあります。
DXのロードマップを作成する場合は、顧客業務を分析・把握した後に課題・改善点の抽出を行い、理想的な業務フローを検討します。具体的には、属人化の排除、業務効率の向上、AI導入を目論んだデータの蓄積などの施策を計画します。
AIの導入計画を支援する場合は、顧客の有するデータが生成AIや機械学習に適しているか、どの様なAIを使用することが適切か、実証実験から実業務に組み込み稼働させるまでにどの程度の期間とコストがかかるかの概要を計画します。また、当社グループでは実証実験の数値的なレポートを顧客に提出するだけではなく、実際に顧客自身がAIを触って検証できる状態にして納品するため、AI導入へのイメージを顧客と共有することが可能です。
当社グループでは、創業期よりビジネスを意識した事業展開やエンジニアに対する教育を行っておりました。当社グループのエンジニアは技術に長けているだけではなく、技術をどのようにビジネスに役立てるかを考えることができ、顧客が望んでいる成果を達成するために、どのような施策が必要かを提案できることが特徴となっております。
通常はインテグレーションサービスに対する営業の一環として上記のコンサルティングを行っておりますが、より詳細な分析が必要な場合には、別途業務分析のための契約を締結することもあります。
② 生産性向上を実現するワンストップのAI導入支援
AIソリューション事業の提供に際しては、AIによって何を解決するか顧客と共通認識を持つことが全ての始まりになります。そのためには顧客事業の業務分析やデジタル環境分析を行うことで当該顧客の業務を理解し、適切な課題抽出を行うことが重要です。当社グループは業務分析を行うチームを有しており、適切なAI導入の提案を行うことが可能となっております。その後、顧客の課題解決のために最適であろうデータ整備とAIの選定を行います。期待した効果が得られるかどうか範囲を限定したうえで実証実験を行い、方針の是非を確かめます。確証が得られれば、周辺のシステム開発を含めて、AIを実業務に実装します。この一連のAI導入の流れを前提に、各パートを実行することで顧客が納得できる成果を得ることが可能になります。また、AIの精度を向上させるためには継続的な学習を必要としますが、その事を顧客に予め伝え了承を得ることが重要です。
当社グループでは納品したシステムに対する継続的な運用保守の他、IoTデバイスとのデータ連携、顧客との契約に基づき、AIの精度を向上させるための継続的な学習を前提としたプラットフォーム構築の提供も行っております。早期からAIに携わり、創業以来培ってきたシステム開発のノウハウにAI導入を組み込むことによって、様々な顧客にAIを導入する支援を行ってまいりました。この経験によりAI導入の提案、システムの開発、データ連携、追加学習、マルチデバイスという一連のプロセスを提供できるようになり、このプロセスをワンストップで提供できることが、当社グループの特徴の一つになっております。
当社グループにおけるAI導入のプロセスは、下記の通りです。
各プロセスにおける主な業務について
〔事業系統図〕
当社グループの事業系統図は、次の通りであります。
(3) 経営戦略
当社グループは、顧客の事業を変革し成長させるコアの技術をAIと定めて、あらゆる企業に対してワンストップでAIソリューションの提供を行っております。多くの企業にAIを活用したソリューションを使ってもらうためには、使いやすく、適切な金額でAI機能を提供することが必要となります。
また、当社グループは長期的に利用されるAI活用を目的として、そのファーストステップとなる顧客各社のデジタルトランスフォーメーションを支援いたします。
これらの事業を推進する当社グループの取り組みは、以下の3つとなります。
① 営業戦略
当社グループでは、営業戦略の1つとしてアライアンス戦略を実施しております。アライアンスを組む会社間で「共同営業×共同マーケティング×共同ソリューション」を行ってお互いの強みを活かしあうことで、各社が持つ顧客に対して自社だけではできなかったソリューションの提案を行うことが可能となっております。新規の顧客開拓においてもアライアンス先の営業リソースを活用できる一方、当社グループはアライアンス先や顧客に対して新技術を利用したシステムの企画力・提案力に加えて、開発力まで一気通貫でソリューションを提供しております。
その他、当社グループでは案件実績や事例をIR活動の中で積極的に公開しており、新技術を利用したサービス化もコーポレートサイトを通じて公開しております。これらのSEO(※1)対策を行うことでwebマーケティングによるプル型営業(※2)が実行できており、営業工数を大幅に削減しております。削減できた工数を利用して企画作成を行うことで競合他社を上回る提案力を実現しております。
② 技術的優位性
最新の技術やデバイスの研究開発を継続的に行っております。様々なAIを簡単に使うためにマルチAIプラットフォーム「SyncLect」を構築し短納期、高利益によるAI提供を実現しております。また豊富なロボット・アプリケーション開発の経験に基づいた、IoTデバイス、マルチクラウド(※3)、マルチAI(※4)を複合的に組み合わせたソリューション開発を目的とした研究開発にも取り組んでおります。
③ 人材育成
当社グループでは、様々な技術に習熟したITエンジニアに対しOJT及びOFFJTによるAI研修を行うことでAIエンジニアの育成に取り組んでおります。AIの知識だけではなく、顧客の業務や周辺技術の知識をベースに持つAIエンジニアを育成することで、他社が真似のできない顧客に寄り添ったAIソリューションの提供を実現します。
以上の活動から競争優位性を確保し、業績の最大化を目指すと共に、顧客に対して高付加価値なAIソリューションの提供を実現いたします。
※1 SEO(Search Engine Optimizationの略)とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからWebサイトに訪れる人を増やすことで、Webサイトの成果を向上させる施策のことをいいます。特定のキーワードによる検索結果で、自分のWebサイトを検索ページの上位に表示させることで、アクセス数を伸ばすことを目的とします。
※2 プル型営業とは、製品・サービスに対して顧客が自発的に興味を持ち資料請求や問いあわせなどの行動を喚起する営業スタイルのことをいいます。対義語となるプッシュ営業は、逆に製品・サービスを売りたい会社から顧客に対して営業を仕掛けるスタイルを指します。
※3 マルチクラウドとは、AWS(Amazon Web Service)やMicrosoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)などの複数のクラウドサービスを組み合わせて利用することをいいます。
※4 マルチAIとは、複数のAIエンジンを組み合わせて利用することをいいます。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2024年1月1日~2024年12月31日)における日本の経済は、インバウンド需要や設備投資の増加、賃上げ効果などの景気上昇要因がある一方で、物価高騰や地政学リスク、政情変化など多くの懸念材料によって依然として不安定な状況が続いております。
このような経済環境の中、当社グループが属するIT業界は、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの技術革新により、急速な成長を続けております。とりわけ生成AIの登場・進化は、生産年齢人口の減少をはじめとする社会課題だけでなく、新たなビジネスモデルの創出やイノベーションの促進に大きく貢献しております。当連結会計年度においても生成AI技術は、マルチモーダル処理(自然言語/画像/音声)をはじめ顕著な進歩を遂げており、技術革新によって処理速度、精度、コストなどの課題をクリアした新しい生成AIサービスが次々と登場しております。一方で、企業が保有する大規模データと生成AIの利便性をどのように活用していくかは、引き続き課題として認識しております。
当連結会計年度におきましては、大型案件が安定的に推進されたことに加えて、顧客深耕によって既存顧客からの複数案件化を実現できたことが売上を大きく伸ばした要因と考えられます。さらに、採用活動が順調に進捗したことは生産コストの一部となる外部パートナー(外部委託)を一定の比率で抑えることに繋がり、売上総利益・営業利益の増加に大きく寄与しております。営業面においては、上場以来推進しているアライアンス戦略によって、顧客のロイヤルクライアント化がいっそうの進展を遂げ、案件単価やエンジニア単価の上昇に繋がっております。これまで行われていた一般的なシステム開発案件(DX案件)にも生成AIが徐々に組み込まれており、AI化の波が確実に進行していることが当連結会計年度の特徴として挙げられます。
また、当連結会計年度においては、デリバティブ評価益による営業外収益が発生しており、経常利益が増加した主な要因となっております。このデリバティブ取引については、資本業務提携に伴う株式取得の一環として行われたものであり、投機的取引に該当するものではありません。
当社グループは、AIソリューション事業を以下の3つのサービス区分に分けて事業を推進しております。
AIインテグレーションサービス:生成AI、エッジAI、AIエージェントなどのコンサルティング・開発案件
DXサービス:プラットフォーム開発、DXコンサルティング、Azureクラウド開発、ローコード開発など
プロダクトサービス:自社サービス、クラウド利用料などのライセンス・販売代理店モデル
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ506,150千円増加し、1,800,388千円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ195,213千円増加し、527,793千円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ310,936千円増加し、1,272,595千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度末の売上高は2,905,981千円(前年同期比25.5%増)、営業利益は307,954千円(前年同期比224.6%増)、経常利益は362,432千円(前年同期比268.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は272,787千円(前年同期比285.9%増)となりました。また、重要な経営指針と位置付けている売上総利益率は、42.2%の目標値に対し、42.7%(前連結会計年度36.9%)となりました。
<AIソリューション事業を構成するサービスライン>
[AIインテグレーションサービス]
当社グループでは、生成AIをはじめとする新技術を積極的にキャッチアップして実業務で使われるサービス、ソリューションを展開しております。アライアンス戦略のパートナーから紹介された顧客に対してハンズオンワークを実施することで顧客へ伴走型の開発支援を提供しております。ハンズオンとは「手を触れる位置にいる」ということを指し、現場のプロである顧客とともに当社グループメンバーが新技術の活用(オンボーディング)を進めることで現場ニーズの拾い上げと各顧客から得たノウハウを相互に共有して、顧客の内製化やDX化を支援しております。
当連結会計年度からは大規模データの活用案件が生成AI案件の大半を占めており、顧客が提供するサービスに対して多様なユーザーインターフェース(Webサービスやスマホアプリ、電話など)で生成AIを活用しております。AIインテグレーションサービスの案件内容としては、PoC(Proof of Concept:概念実証)案件が主体だった期初から徐々にサービス提供を目指した本番開発案件が増加してまいりました。
また、RAG(Retrieval-Augmented Generation)の精度向上も生成AIのビジネス活用において大きな課題となっておりますが、当社グループは国内トップクラスの案件実績を通じて、これらの課題を解決するための手法とノウハウを確立しております。特定のタスクをAIによって自動実行するAIエージェントは、自律性・適応性・インタラクション性・問題解決能力といった特徴を持ち、生産年齢人口の減少といった社会的課題に対する有効な対応策としてすでに複数の案件で開発や実運用が開始されております。
データプラットフォームは顧客が保持する大量の業務データを管理することができ、生成AIと連携させることで高度なデータ分析・可視化が可能となります。生成AIの活用が広がる中、データプラットフォームの活用は特に独自データを保有する顧客にとって重要な技術要素として高いニーズを有しております。このようなニーズに応える生成AIとデータ活用の企画・提案といったコンサルティング領域から、その設計や顧客が提供するユーザーインターフェースの開発まで一貫したサービスを提供できる企業は非常に限られております。当社グループでは、これに内製化支援も含めた顧客伴走型のプロジェクト推進(ハンズオンワーク)を実践することで顧客深耕を図り、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の増加に繋げております。当連結会計年度におきましては、生成AI案件の売上拡大によってAIインテグレーションサービスの売上高は1,451,702千円(前年同期比51.8%増)となりました。
[DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス]
当社グループのDXサービス案件では、Microsoft Azureを中心としたクラウドサービスのプラットフォーム開発やモダナイゼーションやマイグレーションと呼ばれる古いシステムを先進的な技術・手法に更新・改善する案件、企業のDX化に向けたコンサルティング、Microsoft Power Platformに代表されるローコードツールを活用した内製化支援を行っております。
当連結会計年度におきましては、複数年にわたって実施される大型案件が順調に進捗していることや、既存顧客に対する顧客深耕が進んだことで顧客から複数の案件を受注するケースが増加しました。一方で、DXサービス案件においても生成AIの活用が徐々に浸透しており、DXサービスの売上からAIインテグレーションサービスへの売上へと移行が進んでおります。その結果、DXサービス売上高は1,312,035千円(前年同期比5.0%増)となりました。
[プロダクトサービス]
プロダクトサービスは、人月に頼らない2つの収益モデルを軸としております。
自社サービスモデル:自社サービス「SyncLect」の初期導入費+月額ライセンス費
他社サービスモデル:クラウドサービス利用料(月額回収)やIoT機器の仕入れ販売による販売代理店
当連結会計年度におきましては、生成AI活用プラットフォーム「SyncLect Generative AI」を軸にサービス開発を進め、マイクロソフト社との連携を通じてエンタープライズ系企業を中心に導入が進んでおります。モビリティAI基盤案件のほかにAIカメラに代表されるエッジAIのライセンス型ビジネスモデル案件で売上を伸ばし、さらにAzureクラウドをベースとした開発によってクラウド利用料が増加したことから、プロダクトサービスの売上高は142,243千円(前年同期比30.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ、54,665千円減少し、843,233千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、144,409千円(前連結会計年度は87,661千円の獲得)となりました。
主な要因は、売上債権及び契約資産の増加270,504千円、法人税等の支払額29,150千円、デリバティブ評価益49,459千円があったものの、税金等調整前当期純利益362,432千円、減価償却費20,442千円、仕入債務の増加19,417千円、未払費用の増加42,332千円、未払消費税等の増加31,992千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、210,970千円(前連結会計年度は16,221千円の支出)となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出26,574千円、投資有価証券の取得による支出72,029千円及びデリバティブ取引による支出112,367千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、10,250千円(前連結会計年度は8,143千円の獲得)となりました。
主な要因は、株式の発行による収入10,250千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであります。
c.売上実績
当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1.当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b.経営成績等
(売上高)
当連結会計年度の売上高は2,905,981千円となり、前連結会計年度に比べ590,893千円増加いたしました。主な変動要因については、本書「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況」に記載の通りであります。
(売上原価・売上総利益・売上総利益率)
当連結会計年度の売上原価は1,665,908千円となり、前連結会計年度に比べ205,908千円増加いたしました。この主な内訳は、売上高が増加した事に伴い、外注加工費、労務費等も増加したことによるものであります。
この結果、売上総利益は1,240,073千円となり、前連結会計年度に比べ384,984千円増加となりました。
また、重要な経営指針と位置付けている売上総利益率は、42.7%となりました。
(販売費及び一般管理費・営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は932,119千円となり、前連結会計年度に比べ171,892千円増加いたしました。この主な内訳は、従業員の増加による人件費及び教育に係る費用等の増加によるものであります。
この結果、営業利益は307,954千円となり、前連結会計年度に比べ213,092千円増加しました。
(営業外損益・経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は主としてデリバティブ評価益により54,605千円となり、前連結会計年度に比べ51,166千円増加いたしました。営業外費用は127千円となり、前連結会計年度に比べ126千円の増加となりました。
この結果、経常利益は362,432千円となり、前連結会計年度に比べ264,131千円増加しました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当連結会計年度において、特別損益は発生しませんでした。その結果、税金等調整前当期純利益は362,432千円となり、前連結会計年度に比べ264,131千円増加しました。
また、法人税、住民税及び事業税は、105,537千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は272,787千円となり、前連結会計年度に比べ202,104千円増加しました。
c.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、1,800,388千円となり、前連結会計年度末と比較して506,150千円の増加となりました。
流動資産は1,459,812千円となり、前連結会計年度末と比較して233,316千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が54,665千円、仕掛品が12,537千円減少したものの、売掛金及び契約資産が270,504千円、前払費用が32,048千円増加したことによるものであります。固定資産は前連結会計年度末と比較して272,834千円増加し、340,576千円となりました。主な要因は、無形固定資産が3,661千円減少したものの、有形固定資産が9,501千円、投資有価証券が95,042千円、デリバティブ債権が161,827千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は527,793千円となり、前連結会計年度末と比較して195,213千円の増加となりました。これは主に、買掛金が19,417千円、未払金が7,247千円、未払費用が42,332千円、未払消費税等が31,992千円、未払法人税等が76,940千円、預り金が10,338千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,272,595千円となり、前連結会計年度末と比較し310,936千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が272,787千円増加したことによるものです。
d.キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
e.資本の財源及び資金の流動性
主な資金需要は、労務費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で対応していくこととしております。なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
f.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
g.経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続提供していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針であります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
当社グループは、AIソリューション事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
(注)当連結会計年度よりサービス区分を変更しているため、前連結会計年度についても当該変更後のサービス区分に基づき記載しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。