2024年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)インターネット関連市場について

 当社グループはオンラインマーケットプレイス「Creema」の運営を主力サービスとし、同サイト上からの販売手数料収入と広告収入を主な収益源としています。同サービスの持続的な成長のためには、インターネットにおける技術の改善、環境の整備、そして利用の拡充が今後とも継続することが重要な要因と考えております。しかしながら、革新的な新技術や大幅な規制変更により、インターネット関連市場の利便性が損なわれ、今後のインターネットショッピングサイトの運営の遂行が困難になった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)ビジネスモデルや消費者の嗜好の変化について

 当社グループが主力サービスを運営するインターネット業界は、技術革新のスピードが速く、新技術の開発、新しいビジネスモデルによる新規参入者、顧客のニーズの変化等のリスクが存在します。そのため当社グループの事業の成長及び成功は、このような経営環境の変化に対して、迅速かつ柔軟に対応する経営執行能力及び技術開発力に依存しています。しかしながら、当社グループが、このような事業環境の変化に機敏に対応できず、消費者のニーズを取り込むことができない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)システムトラブルについて

 当社グループはオンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、その安定的な運用のためのシステム強化及びセキュリティ対策に注力しています。しかしながら、システムへの一時的な過負荷、ソフトウエアの不具合、外部からの不正なアクセスによるシステムへの侵入、地震や火事等の災害、予期せぬ電力供給の停止、事故等によって、当社グループのシステムがダウンした場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)情報セキュリティについて

 当社グループは、第三者からのサーバー等への侵入に対して、ネットワーク監視システム等で常時モニタリングを行い、データの送受信にあたっては暗号化を行う等のセキュリティ対策を講じております。

 しかしながら、ハッカー等の悪意をもった第三者の攻撃等により、顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手される可能性や、顧客が利用するデータが改竄される可能性、又は各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止する可能性は否定できません。

 このような事態が生じた場合には、当社グループに対する法的責任の追求、企業イメージの悪化等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報の管理について

 当社グループは、オンラインマーケットプレイスの運営が主力サービスであり、そこで扱っている会員等の個人情報につきまして、システムを設計するうえでの配慮は当然ながら、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定や外部のデータセンターでの厳重な情報管理等、サーバー、管理画面及び物理的な側面からもその取り扱いに注意を払っております。

 また、社内での個人情報保護に関する研修を行なっており、個人情報を漏洩した際のリスクを含め個人情報保護の重要性の認識の周知徹底を行なっております。

 しかしながら、外部からの不正アクセスや、故意又は過失による情報漏洩、またそれら以外の想定していない事態は完全には排除できないことから、個人情報の外部流出等が発生する可能性があります。

 このような事態が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権について

 当社グループは、運営するサイト及びイベントの名称について商標登録を行っており、当社グループが使用する知的財産権の保護を図っています。しかしながら、当社グループの知的財産権が第三者に侵害された場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう監視を行っていますが、知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起された場合、またその紛争解決のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)第三者への依存について

 当社グループは、ユーザーにスマートフォン向けアプリを提供していることから、Apple Inc.及びGoogle LLCが運営するプラットフォームを通じてアプリを提供することが現段階の当社グループの事業にとって重要な前提条件となっております。また、当社グループは、ユーザーの決済手段として、クレジットカード決済、コンビニ決済等の外部の事業者が提供するサービスを導入しています。したがって、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社グループとの関係等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは商品の配送についてヤマト運輸株式会社や日本郵便株式会社等の配送業者に依存していることから、今後これらの配送業者について取引条件の変更、事業方針等の見直し及び配送状況の変化等があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保と育成について

 当社グループは、継続的な成長を達成するためには、優秀で熱意のある人材を確保し育成することが重要な課題の一つであると認識しており、優秀な人材の確保、育成及び活用に努めております。しかしながら、当社グループが求める優秀な人材を計画どおりに確保できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)組織体制と内部管理体制について

 当社グループの組織体制は小規模であり、内部管理体制もそれに準じたものとなっていますが、今後の事業の成長とともに人員増強及び人材育成を図り、内部管理体制の一層の強化に努める方針であります。しかしながら、内部管理体制強化のための施策が十分に執行できず、内部統制管理に重大な不備が発生した場合や財務報告に係る内部統制システムが有効に機能しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新規事業について

 当社グループは、今後のさらなる事業拡大及び非連続的な成長を目指し、新サービスや新規事業に取り組んでいく方針であります。新規投資においては、将来性を考慮し慎重な判断を行う考えではありますが、人材、システム開発、固定資産や広告宣伝費等の追加投資が発生する可能性があります。そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新サービスや新規事業の属する市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性があり、事業の停止、撤退等を余儀なくされ、当該事業用資産の処分や減損により損失が生じる可能性があり、そのような場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)自然災害等について

 大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、システム開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、配送網の分断、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新型コロナウイルス等の感染症の影響について

 新型コロナウイルスに代表される感染症・伝染病の流行等によって、拡散脅威や外出禁止令による経済活動の停滞や、国内消費量が減退する可能性があります。感染症の再流行・長期化が起きることで、イベントの開催自粛の継続や、直接顧客訪問ができないことで新規営業活動が想定通りに進まなくなる等のリスクがあると考えております。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)関連法規制について

 当社では、「Creema」上で発生した取引の代金を当社にて一時的にお預かりし、作品到着後にクリエイターに代金をお支払いする「あんしん決済システム」や、作品プロモーションサービスにおいて、クリエイターから広告費用としてデポジット金額を受領の上、作品プロモーションの利用料金をそのデポジット金額から充当する等、決済領域での会員への価値も提供しておりますが、いずれも資金決済に関する法律に定める資金移動業や前払い式支払い手段の発行には該当せず、資金決済に関する法律の適用を受けておりません。当社グループでは事業運営にあたり、上記の資金決済に関する法律のほか、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、特定商取引に関する法律、著作権法、意匠法、商標法、個人情報の保護に関する法律、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律、電気通信事業法といった法令に抵触することが無いよう、顧問弁護士等の外部専門家と協議し、法改正等の情報収集を行い、従業員教育等を徹底するとともに、法令遵守体制の構築と強化を図っております。

 しかしながら、これらの法令の改正や新たな法令の制定、監督官庁の見解の変更、社会構造の変化等想定外の事態の発生等により当社グループの展開する事業が法令に抵触した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)新株予約権について

 当連結会計年度末における新株予約権による潜在株式は、345,000株であり、発行済株式総数6,733,100株の5.1%に相当します。当社の株価が行使価格を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(15)ベンチャーキャピタル等の株式保有割合について

 当連結会計年度末におけるベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル等」という。)が所有している株式数は678,700株であり、発行済株式総数6,733,100株に占める割合は10.1%となっております。

 一般的にベンチャーキャピタル等が未上場会社の株式を取得する場合、株式公開後には保有する株式を売却し、キャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであります。当社におきましても、当社の株式公開後、既にベンチャーキャピタル等が保有する当社株式の一部が売却されていますが、今後もベンチャーキャピタル等の保有株式の売却によって当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、上記ベンチャーキャピタル等が所有している株式数には、株式公開後に取得された株式数を含めておりません。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、今後の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来配当を実施しておりません。株主への利益配分につきましては、経営の最重要課題の一つと位置付けておりますが、現在は成長過程にあると考えていることから、経営基盤の安定化を図るために内部留保の充実に注力する方針であります。内部留保資金は事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。数年後には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分につき本格的に検討を開始しますが、配当実施の可能性及びその実施時期につきましては、現時点において未定であります。

 なお、当社は剰余金の配当を行う場合には、期末配当の年1回を基本方針としており、会社法第459条第1項各号に掲げる事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨を定款に定めております。また、期末配当の基準日は毎年2月末日、中間配当の基準日は毎年8月末日とし、このほか基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。