2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 (1)売上について

 当社の売上高は各種有機化学品の中間物等の販売が主なものであります。したがって、売上高は当社のユーザーである医薬メーカー、農薬メーカー等の最終製品の販売状況及び新製品の開発状況により少なからず左右される面があり、財政状態及び経営成績に影響があります。

 当社は、これらの業績への影響を極力低減するため、関連業界の情報収集と早期の受注確定を目指した営業活動を行っております。また、機能性用中間物の新製品開発を積極的に進めるとともに、独自製品の開発にも力を入れております。

 なお、農薬用中間物の販売については、天候による病害虫等の発生状況による影響もありますが、各種の農薬用中間物を製造販売することで業績への影響を極力低減するようにしております。

 また、当社は、農薬用中間物の売上構成比が高く、顧客から指定される納期の関係上、1~3月の中で特に3月に売上が集中する傾向があります。

 (2)為替の影響

 当社は、製品の売上よりも原材料の仕入における外貨建て取引が多いため、当該通貨に対して円安が進行した場合、輸入仕入額が増加することになり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 これに対して当社は、為替相場の変動によるリスクをヘッジするため、為替予約等の対策を講じていますが、影響を緩和することは可能であっても、影響を全て排除することは不可能であります。

 (3)棚卸資産について

 当社は受注見込による生産を行っていますので、当社のユーザーでの販売状況及び在庫調整等により、棚卸資産が増加する可能性があります。このため、この影響を極力回避するため受注の早期確定を目指した営業活動を行うとともに、マルチパーパスプラントにより柔軟な生産切替え体制を取って、棚卸資産が増加しないよう努めております。

 (4)金利変動リスクについて

 当社の2024年3月末の有利子負債残高は1,649百万円となっています。この有利子負債の金利変動リスクを可能な限り回避するため、総額20億円のコミットメントライン契約締結等の資金の効率的な調達、固定金利での長期安定資金の確保等に努めておりますが、急激な金利変動が生じた際には、業績が変動する可能性があります。

 (5)安全環境問題について

 当社は有機化学品を製造する会社であり、工場運営においては安全第一、環境対策を最優先課題として取り組んでおります。このため、火災、爆発及び化学物質漏えい等を防止し、安全で安定な操業を維持するとともに、設備の定期的な保守点検、巡視、保安訓練等を実施し、事故等の発生防止に努めております。しかし、万一、工場火災、土壌汚染、悪臭及び排出ガス等の事故、公害問題が発生した場合は、社会的信用の失墜、業績に影響を与える可能性があります。

 (6)自然災害について

 当社の工場は和歌山県和歌山市及び福井県福井市に分散しておりますが、大規模な地震、気候変更に伴う自然災害及び感染症等により操業停止となった場合、業績に影響を与える可能性があります。

 このため、各事業所での緊急事態に備え定期的に訓練を行っております。また、緊急事態発生時は、社長を本部長とする緊急事態対策本部を即時に立ち上げ、事業継続計画(BCP)が実行できるよう対応の強化に努めております。

 (7)原材料等について

 当社が大規模な自然災害等で直接被災しなくても、交通遮断による原材料等の調達に支障が生じた場合、当社の取引先の原材料メーカーにおいて被災や事故が発生した場合に備え、可能な限り複数購買等を実施するなど対策を講じておりますが、影響が長期に及ぶ場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社の主要製品に使用されている原材料等は、原油・ナフサ価格や貴金属価格の動向等に影響され変動いたします。これらの原料購入価格の変動が、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 (8)情報セキュリティに係るリスク

 当社は、サイバー攻撃、不正アクセス等により情報システム等に障害が生じた場合や機密情報及び個人情報等が社外に流出した場合には、社会的信用の低下等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当社は情報システム・ネットワークにセキュリティ対策を実施しており、社員教育の徹底、セキュリティ強化

及び情報管理体制の厳重化に取り組んでおります。

 (9)株価変動による影響

 当社は、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、これらは株価の変動によるリスクを負っております。当該リスクに対し、所有株式を継続的に見直し整理する等、業績への影響を低減するよう努めておりますが、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 (10)その他のリスクについて

 当社にはその他にも、製品欠陥等の品質リスク、知的財産や製造物責任などの訴訟リスク、取引先に対する債権の貸倒リスク、情報システムへの不正侵入リスクなどがあり、可能な限り保険に加入するなど、対策を強化しておりますが、これらのリスクが顕在化した場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、継続中の重要な訴訟の詳細については、注記「貸借対照表関係」の偶発債務の項をご参照ください。

 

 (11)財務維持要件について

 当社の借入金の一部には財務維持要件が付されており、これが充足されない場合、銀行団による貸付義務の終了等、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様に対する利益還元を重要政策の一つと認識し、業績に対応しながら財務体質の充実と将来に備えた内部留保の強化を総合的に勘案して、継続的に安定した配当を行うことを基本方針としております。

 当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

 当事業年度の剰余金の配当金につきましては、1株当たり60円としております。

 また、内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への備えとしております。

 なお、当社は、会社法第454条第5項の規定により、毎年9月30日を基準日として、取締役会の決議をもって中間配当を行うことができる旨を定款に定めています。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月20日

78,386

60

定時株主総会決議