2024年1月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。しかし、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えております。

本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業環境に関する事項

(1) インターネット業界について

当社グループが属するインターネット業界は変化の激しい業界であり、事業に関連する技術革新のスピードが早く、顧客のニーズも日々急速に変化しております。したがって、これらの業界に属する事業者は、多様な顧客ニーズに応えるべく、常に新しい技術やイノベーティブな取り組みをキャッチアップし、また、応用していくことが求められます。

当社グループは、技術革新や顧客ニーズの変化に対応すべく、技術力向上や顧客ニーズの把握に努めておりますが、これらの変化に適切に対応できない場合は当社グループの競争力の低下を招き、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) オンラインゲーム業界について

当社グループが事業展開しているオンラインゲーム業界においては、オンラインゲームの供給会社が多数存在しております。このような中、当社グループではゲームタイトル開発に際し、競合他社との差別化を図るべく、時代の潮流を見据えた企画の立案及び高い技術力を用いた開発を実施し、ユーザーのニーズに合った魅力あるゲームタイトルを提供するよう努めております。

しかしながら、今後当社グループが提供するゲームタイトルがユーザーに支持されず、又は競合他社との競争激化に伴い、当社グループが提供するゲームタイトルのユーザー数及び収益が著しく減少した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2.事業内容に関する事項

(1) 新規事業・サービスの展開について

当社グループは、今後も事業規模・サービスの拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業・サービスの創造に取り組んでいく方針であります。

しかしながら、新規事業・サービスの開始に際しては、当社グループにおいて研究開発及びシステム開発に係る人員不足、技術力不足その他の要因により、事業立ち上げ等に想定以上の時間と費用を要する場合や事業拡大及び収益獲得が当初の想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 新規ゲームタイトルの開発・リリースについて

当社グループのオンラインゲーム事業においては、自社ゲーム及び他社ゲームの継続的な開発が重要な戦略となっております。当社グループは、ユーザーの期待に応えられるようなゲームタイトルの開発・運営に努めており、ユーザーの嗜好の変化等を継続的に確認し、その時々のニーズに合致するような要素を開発期間中に追加したり、様々なゲーム内イベント等を運営期間中に実施したりすることで、ゲームのクオリティやユーザー満足度の維持向上を目指しております。

しかしながら、ゲーム開発には多額の先行投資がかかる一方で、競合企業の新作ゲームタイトルのリリースやユーザーの嗜好の変化により開発した新規ゲームタイトルが想定通りの売上を達成できる保証はなく、開発凍結やサービス停止を決定する可能性があります。また、新規ゲームタイトルのリリース時期については、ゲームのクオリティ向上等のための追加開発や、何らかの不具合発生等により開発期間を延長し、リリース時期を変更する可能性があります。

これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) ゲーム課金の健全性・安全性の維持について

PCやスマートフォンの普及に伴い、昨今では未成年者のユーザーも増加しております。当社グループが運営するゲームタイトルでは、ゲーム内で有料アイテムを販売しており、アイテムを購入する際には、クレジットカードの利用や通信キャリア決済、又はプリペイドカードを利用するなど決済手段がいくつか存在します。特に家族の端末を利用したクレジットカード決済においては、未成年者が誤って有料アイテムを購入すること等により多額の請求が発生するなど、課金に関するトラブルが発生する可能性があります。

当社グループはこうした課金トラブルを防ぐため、自社サイト内で注意喚起を行うなど、サイトの健全性・安全性を維持することに努めておりますが、このような課金トラブル等が、運営するゲームタイトルで発生した場合、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) リアル・マネー・トレードへの対応について

近年、オンラインゲームにおいて一部の悪質なユーザーがリアル・マネー・トレード(RMT)(注)によってアイテム等の譲渡を行うことでゲームの安全性・健全性が阻害されるという問題が発生しております。

当社グループでは、利用規約でリアル・マネー・トレードの禁止を明記するとともに、違反者に対してはゲームの利用停止や強制退会等の厳正な対応を講じる方針であることを明確にしております。

しかしながら、当社グループに関連するリアル・マネー・トレードが大規模に発生、又は拡大した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(注) リアル・マネー・トレード(RMT)とは、オンラインゲーム上のキャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨等を現実の通貨で売買する行為を言います。

 

(5) 他社ゲーム開発の提携先、決済代行会社及びプラットフォーム運営会社との関係について

オンラインゲーム事業における他社ゲーム開発では、提携先から開発費用・固定運営収入・レベニューシェアという収益を受領しております。

当社グループの運営するゲームタイトルは決済代行会社を通じて売上の回収を行っており、また、自社ゲーム開発による当社ゲームタイトルは大手プラットフォーム事業者を中心に、複数のプラットフォーム上において各社のサービス規約に従いサービスを提供しております。

当社グループは、提携先、決済代行会社及びプラットフォーム運営会社とは良好な関係を維持しておりますが、今後何らかの要因により契約継続が不可能となる場合や、手数料率の変更等が行われた場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制について

当社グループが運営するソーシャルゲームは、有料アイテム・コンテンツを購入して利用することが可能であることから「資金決済に関する法律」の適用を受けており、その法律に沿った運用を行っております。

また、当社グループが運営する人材派遣事業は、厚生労働省が指定する「労働者派遣事業」に該当し、厚生労働大臣の認可が必要であります。当社グループでは関係法令の遵守に努め労働者派遣を行っております。

なお、当社グループが事業であるシステム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の適用対象となります。

その他、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」等の種々の法令の規制を受けております。当社グループは、事業に関係する法的規制の把握に努め、法令を遵守し事業を行っておりますが、万が一法令に違反するような事象が発生したような場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) ユーザー保護を目的とした社会的な規制リスク

当社グループが属するオンラインゲーム業界では過去にランダムに入手するアイテムやカードを特定種類そろえることで希少なアイテムやカードを入手できる所謂「コンプリートガチャ」における課金方法が不当景品類及び不当表示防止法に違反する見解が2012年7月に消費者庁より示され、業界各社の業績に大きな影響を及ぼしました。当社グループでは一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)による自主規制、対応を遵守し対応に当たっておりますが、今後社会情勢の変化によって既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制が行われた場合には著しく制約を受け、影響を受ける可能性があります。

 

(8) 訴訟について

当社グループは、当連結会計年度末現在において、重要な訴訟を提起されている事実はありません。事業運営に係る各種リスクの軽減に努めるとともに、法的リスクに対応できる内部管理体制の構築を進めてまいります。しかしながら、当社グループが保有する個人情報の管理不徹底等の人為的ミスの発生、第三者からの不正アクセスによる情報流出又はシステム障害及び当社グループの提供したサービスの不備等に起因して、訴訟を受ける可能性があります。受託開発業務においては、納品遅延、瑕疵担保対応などによる損害賠償請求等の訴えを起こされる可能性があります。その訴訟の内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&A(企業買収等)による事業拡大について

当社グループでは、将来の新規事業分野への参入や事業拡大のため、M&A等の投資活動を行っております。

M&Aにあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定しておりますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、のれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、企業買収等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わります。

 

(10) 個人情報の取扱いについて

当社グループが営むWebソリューション事業においては、委託を受ける開発・保守運用業務等の中で、顧客が保有する個人情報・機密情報を取り扱う場合があります。また、オンラインゲーム事業においても、事業の性質上、多くのユーザーの個人情報を保有しております。当社グループは個人情報を取り扱う企業として、「個人情報の保護に関する法律」や関連法令等の遵守に努め、個人情報に関する従業員の継続的な教育・研修を行っております。

また、当社は、2007年1月に「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項(JISQ15001)」を満たす企業として、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」付与の認定を受け、2年ごとに更新認定を受けております。

当社グループは、取り扱う情報のセキュリティ・管理体制には万全を期しておりますが、万が一個人情報や機密情報が外部に流出した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 知的財産権の管理について

当社グループは、受託業務や運営するゲームタイトルにおいて、第三者の知的財産権の侵害を行わないよう努めておりますが、万が一当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払い等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが申請した知的財産権が認可されない可能性もあります。

こうした事態が発生した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) ゲームタイトルの資産計上について

当社グループは、オンラインゲーム事業を推進する上で、ゲームタイトルの開発を行っており、当該ゲームタイトルの開発費用は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にしたがってソフトウエアとして資産化し、リリース時から減価償却費を計上しております。

会計上において資産化したソフトウエアは、何らかの理由により開発を中止したり、リリース後において収益性が著しく低下する場合等には、減損損失を認識することとなり、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 海外展開について

当社グループは、オンラインゲーム事業において、海外パートナーと連携しオンラインゲームの海外展開を図っております。しかしながら、海外展開においては、各国における市場動向、政治・経済、文化の違いや、現地の法的リスクや債権の回収リスクなど、国内取引以上に高いリスクが存在することは否めず、このようなリスクが顕在化した場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 為替リスクについて

当社グループは、海外展開を行っているため、一部の取引について外貨建での決済を行っております。そのため、為替レートの変動によっては損失が生じる可能性があります。

本書提出日現在においては、全社の取引高に占める外貨建の取引の割合が小さいため、為替変動が当社グループに与える影響は少ないと考えておりますが、今後海外展開が進んだ場合は、為替レートの変動等が、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) システムトラブル等について

当社グループが提供する事業はネットワークシステムを利用しているため、自然災害、コンピューターウィルス、サーバーへの過重負荷、外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入などの不測の要因によってシステムがダウンする可能性があります。

当社グループは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステム強化・セキュリティ強化を徹底しており、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるようバックアップの体制を整えております。

しかしながら、万が一システムトラブルに当社グループが適切に対応できなかった場合、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。また、システムの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し、売上の低下や当社グループに対する損害賠償請求等が発生する場合も想定されます。

このような場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 開発工数の増加について

Webソリューション事業における受託開発業務においては、開発工数が当初の予定より大幅に増加するリスクがあります。当社グループは、このような事態を発生させないように適切な工数計画の策定、工数管理及び品質管理を行っていますが、開発中に顧客の要求する仕様が大幅に変更されたり、予期し得ない不具合が発生したりした場合等には、開発工数が大幅に増加し、採算が悪化する等、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(17) 不具合等の発生について

当社グループが受託開発した成果物については、通常、顧客に対して契約不適合責任を負います。当社グループは品質管理を徹底しておりますが、予期せぬ不具合等が発生した場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 検収時期の遅延等による収益計上時期の期ズレについて

Webソリューション事業及びオンラインゲーム事業における受託開発業務においては、顧客側の検収作業遅延等により、想定どおりに収益を計上できず、計上時期が決算期末を越える「期ズレ」が発生する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他

(1) 自然災害等について

当社グループは、地震等の自然災害の発生等を想定したリスク管理体制を整備しております。しかしながら、当社本店所在地は東京都にあり、他の地域に拠点を分散しておりません。このため、東京都において大地震、台風等の自然災害や火災等の事象により、業務の遂行が困難となった場合や設備の損壊、電力供給の停止又は制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定人物への依存について

当社代表取締役社長である和田順児は、当社の経営方針・事業戦略の決定・遂行においても重要な役割を果たしております。

当社は、人材の採用・育成、取締役会や経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化、職務の分掌を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 人材の確保・育成等について

当社グループが、今後更なる成長を果たすためには、優秀な人材の採用及び育成を継続的に実施し、開発体制の強化及び営業力の向上等を図っていく必要があると考えております。

当社グループは、引き続き優秀な人材の採用及び育成を継続していく方針でありますが、今後、必要な人材の確保が計画と大幅に乖離した場合、人材の流出が生じた場合及び当社グループが求める人材の育成ができなかった場合、開発体制の強化及び営業力の向上等が想定どおりに実現しなかった場合等には、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新株予約権行使による株式の希薄化について

当社は、当社役員及び従業員(元役職員を含む)に対し、新株予約権を付与しております。2024年3月末現在における新株予約権による潜在株式数は402,200株であり、発行済株式総数4,226,700株の9.5%に相当します。これらの潜在株式となる新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(5) 資金使途について

株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、設備投資資金として社内管理システムへの投資、開発体制強化に伴う開発人員の人件費の増加分及び当社グループのサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費に充当する予定であります。

しかしながら、当初の計画に沿って資金を充当した場合でも、想定通りの投資効果を上げられない可能性があります。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置付けております。利益配分にあたっては、経営基盤の確立のための内部留保の充実に配慮し、毎期の業績を反映しつつ、株主資本と収益環境の状況を総合的に勘案して決定する方針です。配当については安定的かつ業績を反映させた増配の継続を目指すことに加え、資本収益性向上への取り組みの結果として発生した余剰資金を利用して、経営を取り巻く諸環境を踏まえ、機動的に自己株式の取得を行う事も選択肢といたします。配当及び自己株式取得における総還元性向30%を目標としてまいります。

当期の期末配当金につきましては、上記の基本方針に基づき1株につき6円といたしました。なお、中間期において、中間配当金1株につき6円を実施いたしておりますので、当期の年間配当金は1株につき12円となります。また、当事業年度に実施しました自己株式取得53,365千円と合わせまして総還元性向は26.6%となります。

 翌事業年度の配当金につきましては、1株当たり中間配当金8円と期末配当金8円を合わせ、年間配当金16円(4円増配)を予定しております。

なお、当社では、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年9月14日

取締役会

24,608

6.00

2024年3月15日

取締役会

24,759

6.00