人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,532名(単体) 4,493名(連結)
-
平均年齢39.4歳(単体)
-
平均勤続年数13.9年(単体)
-
平均年収7,378,332円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2025年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従 業 員 数 (人) |
|
エラストマー素材事業 |
1,937 |
(123) |
高機能材料事業 |
1,375 |
(93) |
その他 |
663 |
(75) |
全社(共通) |
518 |
(165) |
合計 |
4,493 |
(456) |
(注)1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2. 臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
(2)提出会社の状況
|
|
|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
2,532 |
(304) |
39.4 |
13.9 |
7,378,332 |
セグメントの名称 |
従 業 員 数 (人) |
|
エラストマー素材事業 |
860 |
(81) |
高機能材料事業 |
1,163 |
(59) |
その他 |
- |
- |
全社(共通) |
509 |
(164) |
合計 |
2,532 |
(304) |
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
2.臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3.平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4.従業員については60歳定年制を採用しております。
(3)労働組合の状況
当社には、提出会社の本社及び各事業所にそれぞれ支部をもつ日本ゼオン労働組合が組織されており、全国化学労働組合総連合に加盟しております。また、一部の連結子会社で労働組合が組織されております。
労使関係は安定しており、特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児 休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・有期労働者 |
||
6.4 |
93.6 |
75.4 |
80.9 |
63.5 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
<数値に関する補足説明>
労働者の男女の賃金の差異が発生しておりますが、当社では管理職に占める女性労働者の割合が低いことが要因として挙げられます。また、パート・有期労働者においては、最高70歳まで活躍できるシニア社員制度を導入したことにより、人員構成上60歳以降で多くを占める男性の賃金が、若年層や一般事務等で多くを占める女性に対して相対的に高くなっているため賃金格差が生じています。当社では近年女性活躍推進を積極的に行っており、部長・課長職を担える女性社員を増やし、その活躍の場の拡大を図っています。今後管理職を担う女性社員の増加により、これら男女の賃金格差は縮小していくものと考えています。
詳しい考え方や取り組みについては統合報告書、サステナビリティwebサイトをご覧ください。
統合報告書(https://www.zeon.co.jp/ir/library/folder/)
サステナビリティwebサイト(https://www.zeon.co.jp/csr/social/)
②連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
||
全労働者 |
全労働者 |
うち 正規雇用労働者 |
うち パート・有期労働者 |
||
ゼオン化成(株) |
0.0 |
100.0 |
85.9 |
85.8 |
66.7 |
ゼオンメディカル(株) |
4.2 |
66.7 |
47.2 |
82.8 |
49.3 |
ゼオンノース(株) |
10.4 |
0.0 |
83.0 |
84.8 |
81.9 |
東京材料(株) |
9.1 |
33.3 |
84.9 |
88.9 |
36.6 |
(株)トウペ |
0.0 |
50.0 |
86.9 |
87.8 |
40.9 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ共通
ゼオングループは、「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」を企業理念に掲げ、2021年にスタートした中期経営計画では、「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を2030年のビジョンとし、サステナビリティ経営の実現に向け取り組んでいます。サステナビリティに関する基本的な考え方や対応の組織的な枠組みを明確にするため、2022年度に「サステナビリティ基本方針」を制定しました。
①ガバナンス
サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するため、「サステナビリティ会議」と、その下に「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ会議」は代表取締役が議長を務め、サステナビリティに関する諸施策を議論・決定し、必要に応じて取締役会への報告を行っています。
2024年度には「サステナビリティ委員会」の下に、既設の「統合報告部会」に加え、新たに「TCFD部会」「SDGs貢献製品認定部会」を設置しました。「TCFD部会」では、TCFDの枠組みに基づき、気候変動に対してリスクや機会を特定・識別して事業・戦略・財務計画に及ぼす影響を試算し、効果的な対応や開示を進めています。また「SDGs貢献製品認定部会」では、「SDGs貢献製品認定制度※」に基づき、SDGs貢献製品の認定や制度のさらなる充実に向けた検討を行っています。
(2025年3月末時点)
※ゼオングループの製品のうち、特に社会課題解決への寄与度が高いと考えられるものを「SDGs貢献製品」として認定する制度。それらの開発・製造・販売に注力することで、社会への貢献と企業としての持続的な成長の両立を図り、サステナビリティ経営を一層推進していくことを目的としています。
②戦略
ゼオングループは、中期経営計画の中で注力するSDGsのゴールを定め、それらに対応した全社戦略を展開してきましたが、2024年に企業理念「大地の永遠と人類の繁栄に貢献する」の実現に向けて優先的に取り組むべき重要課題をより明確にし、メリハリのある実効性の高い施策を打ち出せるよう、マテリアリティを特定しました。2025年度からの中期経営企画第3フェーズにおいては、これらのマテリアリティを軸として具体的な施策展開を行っていきます。
ゼオングループのマテリアリティ(ゼオンを動かす5つの歯車)
|
心からワクワクできる会社の実現 |
一人ひとりが持てる能力を発揮しワクワクしながら働ける場を作っていくことが会社として最も根本的な課題であり、これが当社の成長の要であるイノベーションにつながります。具体的な要素の例としては、「DI&B」「働きがい・エンゲージメントの向上」「業務の効率化・見直し」などが挙げられます。 |
|
イノベーションでほかにない価値を提供 |
イノベーションは当社が社会の期待に応えながら成長していくための最も重要なキーワードであり、5つの歯車の中央に位置づけています。他者に真似のできない当社にしか生み出せない価値を世の中に提供していくことが、社会とゼオンの持続的な成長につながります。また「イノベーションを起こす仕組み・風土作り」と「独創的な技術・製品・サービス」については、歯車全体を動かしていくうえでのカギとなると考えています。 |
|
強固なガバナンスの構築 |
サステナビリティ基本方針に掲げる「公正で誠実な活動を貫き、信頼される企業であり続ける」ためには、会社としての基盤を強固なものにしていく必要があります。例えば「経営の透明性」「安定・安全な生産」「品質」「腐敗防止」などに加え、近年世の中で重要な課題と認識されてきている「情報セキュリティ」「持続可能な調達」「人権」などの要素も含まれます。 |
|
社会の変化に対応した事業構造の転換 |
イノベーションを起こすことで、社会の期待に対応する製品・サービスを生み出し、事業の軸足を移していくことで、事業構造の転換を図っていきます。サステナビリティの観点から「社会の情報化」「モビリティの進化」「健康と福祉」などの分野が社会的にニーズが高い領域であり、これらの領域を中心に積極的にイノベーションを起こしていくことで、社会の変化に対応した事業構造の転換を進めていきます。 |
|
循環型社会への貢献 |
「循環型社会」とは、例えばリサイクルや廃棄物の削減などにより、限りある資源を最大限に活用し、環境への影響を最小限にする社会を言います。 私たちの製品・サービスやその生産においてイノベーションを起こし事業構造を変えていくことで、循環型社会の実現に貢献し、さらにはその先にある企業理念の実現につながると考えます。 |
③リスク管理
ゼオングループでは、サステナビリティに関わるリスクを全社リスク管理の枠組みの中で管理しています。
特にサステナビリティ経営実現のための重要な基盤の一つと位置づけている人権尊重については、自らの事業活動において影響を受ける全ての人の人権を尊重するべく、2021年度より本格的に取組みを開始し、ビジネスの全体像の中から人権リスクマップを策定して人権リスクを特定しました。さらに、勉強会等を通じて人権尊重の重要性を社内に浸透させた上で、外部専門家からのアドバイザリーを受けながら、課題を日本ゼオン、グループ企業、サプライチェーンの3つに分類し、関係部署で具体的な取組みを進めています。
2023年度には「サステナブル調達基本方針」を制定した上で、ゼオングループが取引先とともに持続可能なサプライチェーンの構築に向けた考え方を共有するため、同方針を含めたゼオングループの様々な方針類をパッケージ化した「サステナブル調達ガイドライン」をとりまとめました。
また2024年1月にはサプライチェーン上での法令・コンプライアンス違反や人権侵害等があった場合に通報を受け付ける窓口として、ゼオングループのサプライチェーン通報窓口を当社ホームページ上に設置しました。
引き続き人権尊重に向けた取組みを計画的に進めていきます。
気候変動に関わるリスクのうち、全社リスクとして管理すべきものを特定した上で、2024年度より、それらを全社リスク体系の中に統合して統制を開始しました。詳細は、「(2)気候変動③リスク管理」をご参照下さい。
④指標及び目標
指標及び目標については、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
(2)気候変動
ゼオングループでは、気候変動が事業に及ぼす影響は非常に大きいと考えており、2020年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。TCFD提言を踏まえ、気候変動が当社事業に及ぼすリスク・機会を分析し、それを経営戦略に反映させることで経営基盤の強化を図り、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
①ガバナンス
〇気候関連リスクおよび機会の評価・管理における経営者の役割
2021年7月にコーポレートサステナビリティ推進本部を設置し、当社のサステナビリティ推進とその結果および進捗の開示を行うとともに、中期経営計画での全社戦略である「カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する『ものづくり』への転換を推進する」ための活動を行っています。これらの体制整備は、取締役会承認のもとに行っています。
サステナビリティ会議およびサステナビリティ委員会では、重要なサステナビリティ課題の一つとして「TCFD活動を含めた気候変動への対応」を掲げて必要な審議・決定を行っています。またサステナビリティ会議の内容については、取締役会において年4回行われる「サステナビリティ報告」の中で報告されており、取締役会での指摘事項をTCFD活動に反映しています。なお、2024年度からは、前述の通りサステナビリティ委員会の下に「TCFD部会」を設置し、全社的な検討体制を強化しました。
〇気候関連リスクおよび機会の評価・管理における経営者の役割
当社はサステナビリティに関する課題を当社の中長期的な方向性に反映させるために、前述のサステナビリティ会議を設置し、議長である当社の代表取締役会長が責任を負う体制としています。
②戦略
○組織が特定・識別した、短期・中期・長期の気候関連リスクおよび機会
当社は2020年度にゴム事業部において2℃・4℃シナリオ(RCP2.6/8.5)分析を行った上で、リスクと機会の特定・識別を実施しました。2021年度にはその取組みを全社に展開し、同様のシナリオ分析を実施しました。また2023年度には全社的な体制を構築した上で、1.5℃シナリオ分析を実施し、さらに2024年度には、従来から分析を行っていた高岡工場、川崎工場、徳山工場、水島工場に加え、新たに氷見二上工場・敦賀工場を含めた全6工場において、物理リスクを中心に4℃シナリオ(RCP8.5)におけるリスクの特定・識別を実施しました。
○気候関連リスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響
・事業インパクト評価
2020年度・2021年度のTCFD活動で、4℃シナリオでは原材料調達コストの増加が、また2℃シナリオでは、原材料調達に加えて炭素税が大きなリスクであると認識しました。さらに自動車のEV化の加速によりエナジー材料の領域で事業機会に大きなインパクトがあると認識しました。2024年度には、中期経営計画第3フェーズの利益計画策定上重要なEVなどの自動車販売台数について前提条件を見直した上で、再評価を行いました。
・リスク重要度評価(リスクおよび機会の認識)
2024年度には、これまでの活動に加え、新たに工場を中心に当社の気候変動に関するリスク・機会を識別した上で、利益へのインパクトを下表の通り試算しました。
[シナリオ分析の概要(特定・識別したリスク・機会、発現時期、影響度、対応策)]
※1 発現時期 短期:0~3年未満、中期:3年~10年未満、長期:10年~30年以上。
※2 影響度 大:50億円以上の利益へのインパクトの概算、中:10億~50億円の利益へのインパクトの概算、
小:10億円未満の利益へのインパクトの概算。-は定量評価の具体化を今後検討。
※3 4℃シナリオについてはIEAのSTEPSシナリオを、1.5℃シナリオについてはIEAのNZEシナリオにおけるEV販売台数や原油価格、炭素税価格にてそれぞれ試算。
※4 国土交通省「重ねるハザードマップ」から、日本ゼオンの全6工場における想定最大規模降雨時(1000年に一度)の浸水深を調査し、その結果を国道交通省「治水経済調査マニュアル」にて被害率を試算し、実際に想定最大規模降雨が発災したベースにて被害想定額を算出。
※5 水使用量が多い高岡工場、川崎工場、徳山工場、水島工場において、渇水時に他地域から水を輸送した場合のコストを試算。
○2℃以下のシナリオを含むさまざまな気候変動シナリオに基づく検討を踏まえた、組織の戦略のレジリエンス
当社は2024年3月にSBT認定を取得し、1.5℃水準を目標としています。2023年度は全社的な体制のもとで1.5℃シナリオ分析を実施し、その中で特定・識別されたリスク・機会について対応策を定義しました。
2024年度は、この活動を上述の通り工場に展開し、中期経営計画第3フェーズの議論の中で従来の活動を踏まえ、戦略の強化を図っています。
③リスク管理
○気候関連リスクを識別・評価するプロセス
これまでに進めてきた4℃・1.5℃におけるシナリオ分析や、2030年およびそれ以降を想定した気候変動に伴う移行リスク・物理的リスクの特定、重要度に応じた分類のレビューを毎年行い、取組みのさらなる強化に努めています。特に2024年度は、上述の通りこれまで分析を行ってきた4工場に新たに2工場を加えて移行リスク・物理リスクを抽出した上で影響度評価を実施しました。
○気候関連リスクを管理するプロセス
気候関連リスクについては、TCFD活動で特定・識別されたリスクおよびその対応をサステナビリティ委員会において議論し、サステナビリティ会議で審議・決定します。リスク管理については、該当部門において発生頻度と影響を掛け合わせてリスク評価を実施した上で、潜在リスクの事前抑止策および顕在リスクの事後対策を明確にして、リスクの低減・管理を行っています。
○気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが、組織の総合的なリスク管理にどのように統合されているか
当社は、リスク管理委員会で全社リスクを把握・議論し、代表取締役を責任者とするCSR会議に報告する体制となっています。2024年度には、TCFD部会の中で工場を中心に抽出された夏場の気温上昇による熱中症や渇水による水不足などの気候変動リスクについて、全社リスクを評価する枠組みの中に追加しました。全社リスク、気候変動リスクは取締役会に報告し、管理しています。
2025年度以降も、引き続き気候変動に関わるリスクについて必要に応じて見直しを行い、上位のサステナビリティ委員会・サステナビリティ会議での議論・審議を通じてリスクの低減、管理を進めていきます。
④指標及び目標
○GHG排出量
2022年4月に第1次カーボンニュートラルマスタープランを設定しました。2030年度における日本ゼオン単体のScope1+2のCO2排出量を2019年度比で50%削減することを目標としています。Scope1・2の削減方策として、①省エネルギー、②プロセス革新、③エネルギー転換の3つのアプローチを採用しています。
さらに2023年度には、ゼオングループ全体でScope1+2、およびScope3の削減目標を以下の通り設定しました。
|
基準年 |
目標年 |
削減目標 |
Scope1,2 |
2020 |
2030 |
42%減(1.5℃水準) |
Scope3 |
25%減(WB2.0℃水準) |
2024年3月にはSBT認定取得し、グループ全体の目標を2023年度に設定した上記表の削減目標に一本化しました。GHG排出量の算定方法は、GHGプロトコルに準拠しています。
[ゼオングループScope1,2,3排出量の推移]
※排出量の算定に用いた排出係数
Scope1:温室効果ガス排出量SHK制度で定められた排出係数
Scope2:温室効果ガス排出量SHK制度で定められた排出係数および電気事業者別排出係数
Scope3:環境省 サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース
○報酬制度
当社は、2023年度に取締役、執行役員を対象に業績連動型株式報酬制度を導入しました。中期経営計画各フェーズの最終年度の目標値として設定したものと連動した財務指標および非財務指標(ESG関連指標を含む)を評価指標としています。
(3)人材戦略
①戦略
○人材育成および社内環境整備に関する方針
当社が求める人材像は「高い目標に向かって、自ら考え抜いて行動し、変え続けられる人材」です。そうした人材をさらに確保し、育成していくために「従業員一人ひとりの能力を引き出し、育成し、活用する」組織づくりや環境づくりを進めています。「心からワクワクできる会社の実現」をはじめとする当社のマテリアティ(ゼオンを動かす5つの歯車)の実現に向けて、引き続き個々の強みを発揮できる「舞台」づくりを進めていきます。
「個々の強みを発揮できる『舞台』づくり」の全体像は、①社員の成長と意欲を引き出す人材マネジメントの推進、②経営戦略と人材戦略の連動強化、③働きやすくキャリアを断絶させない職場環境の整備です。2028年度までのKPIを設定し、達成に向けて図中に示すようなアクションに取り組んでいきます。
②指標及び目標
a.社員の成長と意欲を引き出す人材マネジメントの推進
◆エンゲージメント調査を通じた課題の可視化
課題を可視化し、人材戦略の打ち手につなげるための「エンゲージメント調査」を2021年度より毎年実施しています。従業員と会社の相互信頼の度合いを測る「従業員エンゲージメント」と、個人の能力を発揮し活かせる組織状況を測る「従業員を活かす環境」の2つのカテゴリー計75問の調査を行い、従業員と組織の能力をともに最大化させ双方の成長につながる施策を検討・展開しています。当社が実施するエンゲージメント調査はグローバルに活用されているもので、好業績のグローバル企業や日系企業の平均値をベンチマークにしています。これにより感覚的に捉えがちであった組織の課題を、より客観的に可視化できるようになりました。
2024年度の従業員エンゲージメントは52%、従業員を活かす環境は51%となり、前年度の結果の横ばいとなりました。2030年の目標値である75%達成に向け、従業員が求められる以上のことをやろうという気持ちにさせる、より前向きな後押しが継続的に必要と考えており、そのための鍵である人事制度改革を核とした「人材マネジメント変革」を進めていきます。
◆「自分らしさ」を発揮できる人事制度を運用する
・幹部職新人事制度の導入
当社は2023年7月に幹部職の人事制度を改定し、「職務」を起点とした新人事制度を導入しています。旧制度では「人」の職務遂行能力に基づきマネジメント職へのステップアップを目指した等級・報酬運用をしていましたが、社員に期待される役割(=職務)が多様化する中、社員の意欲に応え、「個々の強みを発揮できる『舞台』づくり」には、一人ひとりの多様な強みと成長を引き出す人事制度への転換が不可欠と考え、制度改定を行いました。
まずは職能資格も残しながらハイブリッド型での幹部職の新しい人事制度を運用していく中で、経営・事業戦略達成のための適正人員確保に向けた人材ポートフォリオ構築、幹部職の各職務遂行のための人材要件の明確化を進めながら、等級体系をつくりこみ、2025年度には職能資格を完全に廃止した当社にあった職務型人事制度を導入予定です。
また、2025年度以降には一般職の人事制度改定を予定しています。対話を通じて働き方・キャリア形成における課題を把握し、若手から自律的なキャリア形成の機会を支援するため検討を進めていきます。
◆人材育成
・人材育成における「ありたい姿」と人材育成の仕組み
当社では「ありたい人材」を『高い目標に向かって、自ら考え抜いて行動し、変え続けられる人材』と掲げています。各人が目標となる「ありたい人材」像を描くことで、現状とのギャップを埋めていき、また日常の具体的な行動につながるように教育・訓練の仕組みを変えています。その行動を通じて達成された成果を公正に評価し、処遇反映することで、さらに高いレベルを目指す人材となることを支援していきます。
人材育成では、経営理念の自覚や相互に協力するマインドの醸成、共通知識の習得を中心とする基本教育を実施するとともに、それぞれの仕事に必要な能力を開発・向上させる職種別専門教育、評価者のスキル強化を目的とした評価者研修や職場で実施するOJT など階層に応じた教育を実施しています。
職種別専門教育の一例に、「安定的かつ安全な生産を徹底的に追及する生産革新活動」を支える人材育成を目的とした「ものづくり研修」があります。製造現場で働く入社後1~3年目までのオペレーターを対象とし、「工場のルール」や「プラント運転の基礎知識」などの各製造現場共通の知識や技能の実技訓練を行い、ゼオンのものづくりに必要な技術の伝承や安全教育も含めた現場教育の充実を図っています。
・女性活躍支援
当社は多様な人材が個々の強みを発揮・活躍できる会社を目指し、女性の活躍を支援する取り組みを進めています。
女性従業員数が絶対的に少ないことを課題として捉え、近年、大学卒業以上の新卒採用に占める女性の割合を事務系で50%以上、技術系で30%以上にすることを目標にするなど女性採用を積極的に進めてきました。これにより、女性従業員の人数は10年前と比較して2.2倍、比率は9.8%から13.8%に増加しました。管理職に占める女性比率は2025年3月末時点で6.4%に留まっていますが、今後はこうした女性従業員のすそ野の広がりが、女性管理職の増加につながっていくと考え、取り組みを強化しています。
2023年7月に幹部職人事制度を一新したことで、管理職ポジションの職務と人材要件がより明確にできるようになりました。今後は登用に向けた人材要件やギャップを確認し、管理職候補者人材プールの整備を行うとともに、スポンサーシップ制度等を通じた女性管理職・女性管理職候補者層への支援を強化していきます。
b.経営戦略と人材戦略の連動強化
2023年7月に導入した「職務型人事制度」により、従来「人」に紐つきがちであった幹部職の職務を戦略起点で見直し、明確化を進めています。また、人材要件の言語化と行動特性情報の蓄積により、次世代経営人材・幹部職人材パイプラインを整備しています。これらにより事業戦略を牽引する人材を戦略的・機動的に配置していく能力を高め、経営戦略の実現に向けた組織能力の向上を図っていきます。
c.働きやすくキャリアを断絶させない職場環境の整備
◆DI&Bの考え方を浸透させる
当社ではD&IにBelongingを加えたDI&Bを推進しています。多様性を尊重したうえで活かし(D&I)、誰もが受け入れられている安心感や信頼感を持っていること(Belonging)を目標として施策を実施しています。また、ゼオンのマテリアリティ「心からワクワクできる会社の実現」の要素として、社員が動く原動力にもなっています。誰もが「ここで働いていてよかった。ここが私の居場所だ」と思えるようなDI&Bな組織風土を推進していくことは、中期経営計画の(個々の強みを発揮できる)「『舞台』を全員で創る」プロセスそのものです。今後は多様性を変革の推進力に変え、イノベーションの創出にも貢献していきます。
推進体制としましては、人事統括部門の中にDI&B推進室という専門の部署を設けると共に「DI&B推進プロジェクト」を組織横断的に展開し、トップダウンとボトムアップの両方から施策を行っています。特にDI&B推進プロジェクトではプロジェクトメンバーが自ら取り組みたいDI&Bに関する課題に取り組みながら、多様性を活かすリーダーに成長していく教育を行っています。このようにメンバーへのリーダーシップ教育を通じて、チェンジエージェントの育成にも取り組んでいます。
DI&Bの取り組み実績
取り組み |
内容 |
心理的安全性に関する教育 |
心理的安全性理解のためのワークショップ(経営~部門長レベル、管理職層)、社内報記事の掲載、講演会、コミュニケーション研修等 |
DI&Bに関する教育 |
DI&Bカルチャーリーダーシッププログラム、アンコンシャスバイアス研修、セルフリーダーシップ研修、1on1導入研修 |
社内広報(専用WEBサイト) |
心理的安全性教育記事、上司向けの産休育休対応記事、その他DI&Bの取組紹介 |
DI&B推進プロジェクト |
社内各部門から集まったメンバーで、リーダーシップ教育を受けながらDI&Bの課題に取組み |
シニア活動推進 |
ミドルシニア向けのキャリアデザイン講演会 |
社員同士がつながる仕組みの展開 |
つなサポ(つながるサポート)ルーム、中途採用者インクルージョン交流会、日本以外出身社員の交流会、子育てパパの交流会等 |
子育て支援 |
子育て社員とそれに関わる人の相互理解ワークショップ |
中途採用者支援 |
事業所見学会、対話会 |
働き方改革 |
働き方改革に関する講演会 |
キャリアづくり |
社員がキャリアを考える機会の提供・ゲーム要素を用いた研修 |
DI&Bウィークの実施 |
DI&Bをゼオンの全員が理解し、DI&Bでゼオンがつながることを目標とした全社キャンペーン週間。DI&Bプロジェクトメンバーが企画・運営を実施 |
経営との対話会 |
DI&B推進プロジェクト報告会及び対話会 |
DI&Bウィークイベント実施の様子
|
|
|
◆健康で意欲的に働ける環境を整える
・健康経営宣言
健康経営の一般的な考え方は「従業員の健康への投資が、企業の成長につながる」とされており、当社でも健康経営を行うことが「ひとり一人がいきいきと活躍し続けること」につながり、「心からワクワクできる会社の実現」につながると考え、取り組みに力をいれています。
当社では2021年に「健康経営宣言」ならびに「Well-beingのための行動指針『わたしが幸せでいるために』」を定め、会社・従業員が共に健康経営に取り組むことを宣言し取組みを本格化しました。2023年からは健康経営推進担当者会議を設置し、従業員目線での施策立案・実行に注力する体制を整えました。今後も会社と従業員が一体となり健康経営を進めていきます。
・健康経営における課題と取り組み
当社では健康経営の取り組みを①心の健康づくり ②体の健康づくり ③健康リテラシーの向上 ④健康推進体制とワーク・ライフサポート制度の強化の4つに整理し、従業員に示しています。
2023年には健康経営の課題のひとつである「生活習慣病リスク割合の低下」達成に向け「日本ゼオン健康行動指標」を設定しました。これにより、行うべきこと・目指すものが明確になり、より健康を自分事として捉えてもらうことができています。
「日本ゼオン健康行動指標」の向上に向けた健康行動の後押しにより「生活習慣病リスク割合の低下」を実現し、「ゼオングループで働くひとり一人がいきいきと活躍し続ける」ことの実現につなげていきます。
健康経営の目標と課題・施策
日本ゼオン健康行動指標
・年次有給休暇取得率の向上
Well-beingのための行動指針「わたしが幸せでいるために」の行動を促す目標値の一つが年次有給休暇の取得率であり、エンゲージメント向上に寄与するKPIであると考えています。2026年度の年次有給休暇取得率70%に向けて、年次有給休暇の取得奨励期間・奨励日の設定、1時間単位および半日単位での取得を可能とする制度整備を行い、2024年度の年次有給休暇取得率は75.6%と2023年度に引き続き2026年度目標を前倒しで達成することができました。一方で個人ごとに目を向けるとまだまだ目標の70%に達していない社員もいるため、全員が年次有給休暇を取得しやすい環境づくりを継続して進めています。
※当社の人材戦略の具体的な取り組みについては当社サステナビリティwebサイトをご参照ください。
(https://www.zeon.co.jp/csr/social/)