リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
(1)事業環境に関するリスク
① 業界動向について
(ファンビジネスの業界動向)
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、ファンビジネスプラットフォーム事業において、オンラインのファンコミュニティプラットフォーム「Fanicon」を提供しております。当事業が関連するファンビジネスの市場は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境・市場の拡大について」に記載のとおり、大きく広がっていることが想定され、「Fanicon」の今後の成長余地も大きいものと考えております。
また、当社は、「Fanicon」のアイコンの獲得及びファン数の拡大に向けた取り組みを継続的に実施・強化しております。特に「Fanicon」の特徴でもある、そのコミュニティの大きさに関係なく、あらゆる人がアイコンとしてファンと一緒に楽しめ、またファン同士も繋がることで、アイコンとファン双方が楽しんでいただけるオンラインのコミュニティを作ることの出来るユニークな仕組みを構築しております。そのために、従業員一人一人を中心とした組織力を強化し、創業以来培ってきたノウハウを生かすことでサービス機能の追加・強化に取り組んでいくほか、当社の強みでもある、ネイティブアプリ(注)の特徴を生かした技術力及び企画力で、アイコンとファン双方の満足度を高めるサービスを引き続き開発することで差別化を図ってまいります。その一方で、当社と同様のサービスを提供する事業者の参入増加や、資本力、ブランド力、技術力を持つ大手企業等の参入やコアコンピタンスを掛け合わせた企業間の事業提携、価格競争、サービス開発力または全く新しいビジネスモデルや技術によるサービスを提供する事業者の参入等により、当社が「Fanicon」の特徴をアイコン並びにファンに伝えきれず、優位的に事業を展開出来ない場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。加えて、アイコンの所属する芸能事務所等の変更、アイコンの引退、活動休止、グループの場合は解散といった事象が生じた場合や、ファンの嗜好の変化等によりアイコンの人気低下が発生した場合、当事業に係る収益が減少し、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(注)ネイティブアプリとは、スマートフォン等にアプリケーションストアを介してインストールして使用するアプリのこと
(インフルエンサーマーケティングの業界動向)
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社のインフルエンサーセールス事業が関連するインフルエンサーマーケティングの市場は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境・市場の拡大について」に記載しましたように、今後も堅調に推移すると予想しております。また、株式会社博報堂DYメディアパートナーズが発表した「メディア定点調査2023」によると、携帯電話/スマートフォンのメディア接触時間が、メディア総接触時間の1/3を初めて超え、テレビとの差が昨年度の調査と比較し、更に広がっております。加えて、高速・低遅延の5G通信の普及に伴い、スマートフォン向けのオンライン動画コンテンツはさらに増加し、当事業において用いられる主要なマーケティング施策であるインフルエンサーによる動画プロモーションに関しても、今後より身近なコンテンツになると予想しております。
当社はこうした市場及び業界のトレンドについて、第三者の客観的な市場調査結果及び海外での動向などを注視することに加え、クライアント、インフルエンサー双方からのヒアリングを通して随時キャッチしながら、クライアント企業へのインフルエンサーを用いたプロモーションの提案に活かしております。しかしながら、消費者行動の変化により、視聴するサービスへの嗜好の変化や、それによって消費者の動画視聴回数や視聴時間の変化、また、当市場が立脚するSNSユーザーの増加傾向の鈍化などが生じた場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② サービスの陳腐化について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社のデジタルマーケティング事業が関連するインターネット広告業界においては、日々新たな技術革新や新サービスの提供が行われており、競合する各社から、よりクオリティの高いアウトプットを提供する商品や新しい技術を採用したサービスが生まれています。このような状況に対し、当社では常にサービス機能の追加・強化や、優秀な人材の確保に努めておりますが、当社サービスが陳腐化し、市場の求める変化への十分な対応が困難となった場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2)事業展開または事業体制に関するリスク
① 「Fanicon」コミュニティ内でのトラブルの発生と炎上の可能性について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の「Fanicon」は、Apple Inc.が運営するApp Store及びGoogle Inc.が運営するGoogle Playといったプラットフォーム上で提供されるアプリケーションであるため、App Store及びGoogle Playにて定められた厳しいコンテンツガイドラインを遵守する必要があり、また、そのコンテンツガイドラインに抵触しないよう監視も行われております。加えて、当社では、コミュニティのオーナーであるアイコン及びそのコミュニティに入会するファンに対して、公序良俗違反や反社会的活動の禁止及びそのような活動をするグループへの加担、関わりを持つことを禁止し、さらにコミュニティ内でのアイコンもしくは他のユーザーへの誹謗中傷を禁止する規約への同意を求めております。また当社は「Fanicon」のプラットフォーム運営者として、社内に「コミュニティガイドライン違反の場合の対応フロー(アイコン側)」と「コミュニティガイドライン違反の場合の対応フロー(ファン側)」を設け、ファンビジネスプラットフォーム事業本部がコミュニティ内のコンテンツ及びチャット内容のチェック・管理を定期的に行う体制を敷いております。さらに、コミュニティ内のファンから直接当社に報告ができるようになっており、当社が報告を受け調査した結果によっては、不適切な発言等をするユーザーをコミュニティから排除できるようにしております。
しかしながら、これらの対策を講じているにも拘らず、コミュニティ内で何らかのトラブルが発生し、さらに当社の対応が遅れ、また不十分だった場合等によりトラブルの収拾がつかない所謂炎上状態となった場合、「Fanicon」及びその運営者である当社のレピュテーションの低下や、アイコン及びファンが「Fanicon」から離れることに繋がり、当社の事業及び経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
② インフルエンサーとの関係について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社のインフルエンサーセールス事業は、クライアント企業のマーケティングに関する多種多様なニーズや市場の変化に応えるために、影響力のあるインフルエンサーや、特定の分野で著名なインフルエンサーと、安定した信頼に基づくネットワークを確保・維持する必要があります。そのために、当社と専属の取引を行うインフルエンサーの場合は、当社の「各種法令遵守等に関するガイドライン」の理解を特に周知徹底し、イー・ガーディアン株式会社と密に連携し、当該インフルエンサーのSNS上での言動や風評などに問題がないかのリスクモニタリングを実施するなどの社内体制を整えております。しかしながら、様々な要因の変化により、インフルエンサーとのネットワークを確保・維持することが難しくなった場合や、インフルエンサーの不祥事等により、インフルエンサーマーケティング自体の信頼性が低下したり、当社の広告案件以外において炎上したりするなど、当社が管理することのできない事態が発生した場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 個人情報管理について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、ファンビジネスプラットフォーム事業においてはアイコン及びファンの、インフルエンサーセールス事業においてはインフルエンサーであるクリエイターの個人情報を保有しております。当社は、個人情報漏洩による企業経営・信用への影響を十分に認識した上で、全社的な取り組みとして、プライバシーマークを取得し(2023年8月に更新)、コーポレート本部を中心に、個人情報保護等取扱規程及び特定個人情報等取扱規程やPMS(個人情報保護マネジメントシステム)マニュアルを整備するとともに、これら規程及びマニュアルの役職員への周知徹底を行っております。その上で、ファンビジネスプラットフォーム事業本部及びデジタルマーケティング事業本部は、これら規程・マニュアル等に従い、個人情報保護担当者である各部門長が個人情報の特定及びリスク分析等を行い、取り扱う社員を限定した上で、それぞれの事業に関する個人情報の管理を行っております。
しかしながら、万が一、個人情報漏洩が発生した場合、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜等により、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
④ 機密情報の取り扱いについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、ファンビジネスプラットフォーム事業のアイコン及びデジタルマーケティング事業のクライアント企業などの顧客より機密情報を受領することがあります。当社では、これらの機密情報の取り扱いについて「情報セキュリティ規程」に定めるとともに、情報管理統括責任者を取締役CFO、情報セキュリティ担当を情報システム部、情報セキュリティ管理責任者を各部門長とした管理体制を整備しております。情報セキュリティ環境として、Google Workspace(アメリカ合衆国に本社を置くGoogle LLCが提供するグループウェアツール)等の社内情報システムにおいては、所属部門や役職等に応じてアクセスできる情報を個別に制御すると共に、社外とのファイル共有については、いつ誰とどのようなファイルを共有しているかを把握・管理できる状態にしております。加えて、役職員に対し、定期的な研修を通して情報セキュリティの周知徹底を図っております。
しかしながら、万が一、故意又は過失によって事前に知り得た情報が外部に流出した場合、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜等により、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑤ 法的リスクやレピュテーションリスクについて
(知的財産権を侵害するリスク及び侵害されるリスク)
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社のインフルエンサーセールス事業において、当社のクリエイターが制作する動画や著作権を保有する動画について、第三者から意図せずに著作権を侵害される可能性や第三者の権利を侵害してしまう可能性があります。当社は、当社の事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者が保有する知的財産権を侵害することのないよう、第三者の商標権や著作権等の知的財産権への抵触の有無について必要と考えられる調査を実施しておりますが、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であると考えられます。
当社において、第三者が保有する知的財産権の侵害が生じた場合には、当該第三者より使用差止及び損害賠償等の訴えを起こされる可能性や知的財産権の使用にかかる対価等の支払いが発生する可能性等があり、そうした場合、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(インターネット、アプリ等についての法令の解釈適用に関するリスク)
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社のファンビジネスプラットフォーム事業及びインフルエンサーセールス事業は、著作権法のほか、肖像権・プライバシー権、特定商取引に関する法律、景品表示法、個人情報の保護に関する法律、電気通信事業法、動画配信事業に係る租税法、資金決済法の規制対象となります。当社はこれら法令を遵守するため、コーポレート本部が中心となり、各部署と連携して法令に抵触しない実務運用を整備する他、関連法令等の改廃動向についても常に情報収集を行うとともに、適宜顧問弁護士と連携する体制を整備しております。また、代表取締役CEOを委員長とし、四半期に最低1回開催されるリスク管理委員会においても、これら法令遵守に関するリスクの管理・把握を行っております。
当社は上記のような取り組みを行っておりますが、ファンビジネスプラットフォーム事業及びインフルエンサーセールス事業は新しい業態の事業であるため、現行の法令及び権利内容の解釈適用上で論点が生じる可能性があり、その結果として当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥ 重要な訴訟等について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、本書提出日現在において、当社の経営成績等に重要な影響を与えうる訴訟等には関与しておりません。しかしながら、当社の事業活動等が今後重要な訴訟等の対象となった場合、その結果によっては、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦ システム障害について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の「Fanicon」は、自社でサーバーを持たず、Google Cloud Platform(アメリカ合衆国に本社を置くGoogle LLCが提供するクラウドコンピューティングサービス)及びAmazon Web Services(アメリカ合衆国に本社を置くAmazon Web Services Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス)を利用して、24時間365日安定したサービスを提供しております。
しかしながら、災害や事故等の発生により通信ネットワークが切断された場合、急激なアクセス数の増大によりサービス提供のためのサーバーが一時的に作動不能になった場合、又はサーバーハードウェアに不具合が発生した場合には、安定したサービス提供ができなくなる可能性があります。この場合、「Fanicon」のアイコン及びファンに直接的な障害が及び、「Fanicon」及びその運営者である当社のレピュテーションの低下や、アイコン及びファンが「Fanicon」から離れることに繋がり、当社の事業及び経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑧ Apple及びGoogleの動向について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の「Fanicon」は、ユーザー向けにスマートフォンアプリを提供しており、Apple Inc.が運営するApp Store及びGoogle Inc.が運営するGoogle Playといったプラットフォームを通じてアプリを提供することが、同事業にとって重要な前提条件となっております。従って、これらの事業者の動向、事業戦略及び当社との関係等により、当社の事業及び経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑨ 決済代行事業者が提供する決済プラットフォームのリスク
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の「Fanicon」は、決済代行事業者が提供する決済プラットフォームを利用して、サービスの利用料や販売代金等の回収を行っております。当社は決済代行事業者との良好な関係を維持しておりますが、決済代行事業者の経営方針等が変更された場合や、当社と決済代行事業者との関係が悪化した場合などにより、当社の事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑩ 固定資産の減損に係るリスク
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、有形固定資産等の固定資産を保有しています。これらの資産については、減損会計を適用し、減損の兆候がある場合には当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。
しかし、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
⑪ 損失の継続計上について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の注力事業「Fanicon」の成長の鍵は、アイコンの獲得及びファン数の拡大、コミュニティ開設後のアイコンへのサポート、そして「Fanicon」の機能の拡充やユーザビリティなどのサービスの向上と考えております。そのためには、優秀な人材の確保が重要と捉え、「Fanicon」のローンチ以降、システム開発人員の採用及びコミュニティ開設後のコンサルティングとサポートを担当するカスタマーサクセスチームスタッフの採用を継続的に進めてまいりました。これらの活動を積極的に進め、継続的に投資を行ってきたこともあり、創業以来、当事業年度である2023年12月期(第10期)まで損失を計上しております。
今後においては、事業計画上必要な人員は概ね充足しており、既存の経営リソースを効率よく運用し、収支管理を徹底してまいります。
しかしながら、想定通りに事業展開が進まず、先行投資を上回る収益が十分に創出できない場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑫ 新規事業創出について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、「“できっこない”に挑み続ける」ことを掲げ、挑戦し続ける企業・組織・人を目指しております。従って、特に人と組織の成長を会社として後押しするためにも、新規事業を継続して創出してまいります。
費用対効果及び収支予測を立てた上で、新しく生まれる事業を適切に管理してまいりますが、これらの新規事業が想定通りに推移しなかった場合、中長期的な経営成績に影響を与える可能性があります。
(3)会社組織に関するリスク
① 特定人物への依存について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
代表取締役CEOである平良真人は、当社の創業者であり、創業以来代表を務めております。同氏は、当社の事業領域に関する豊富な経験と知識を有しており、当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。当社は、取締役会等における役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
② 優秀な人材の確保・育成について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、今後の企業規模の拡大に伴い、当社の理想とする考え方やマインドに共感し高い意欲をもった優秀な人材を継続的に活用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えており、以下のような取り組みを行っております。
・優秀な人材の確保のため、正社員雇用を基本として、即戦力人材を中途採用にて採用し、次代を担うコア人材を新卒採用にて採用するとともに、ダイレクト・リクルーティング、リファラル(社員紹介)、人材紹介など複数のチャネルを組み合わせた採用アプローチを採っております。
・採用のミスマッチを防ぐため、明確な採用基準を策定して採用活動を行っております。特に全てのポジションに共通して、どんなにスキル・経験において優秀な人材であっても、当社の企業文化と価値観を十分理解し、候補者が当社の企業文化にフィットするであろうとの判断を採用関連部門の部長以上が複数名判断した上で採用合否をつけております。
しかしながら、当社の求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 内部管理体制の構築について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、継続的な成長のために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると認識しております。特に、2023年第3、4四半期では優先事項として、法令遵守・コンプライアンス意識の向上や内部監査の強化、部門間の相互チェック機能の強化、社内規程の改訂や内部通報制度の実効性確保等に注力してまいりました。しかしながら、事業の急拡大等によりコーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合、適切な業務運営を行うことができず、当社の事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(4)その他のリスクについて
① 税務上の繰越欠損金について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:数年以内、影響度:中
当社は、2023年12月期末時点において、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の経営成績が事業計画に比して順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
② ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
発生可能性:大、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中
当社では、取締役、従業員等に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。当事業年度末における新株予約権における潜在株式数は34,250株であり、発行済株式総数2,075,955株の1.6%に相当しますが、権利行使期間において段階的に行使が可能となる条件を付与することで、希薄化の影響が分散するようにしております。なお、新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
③ ベンチャーキャピタル等の当社株式保有割合について
発生可能性:大、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中
当事業年度末における当社の発行済株式総数は2,075,955株であり、このうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下、「VC等」という。)が保有する株式数は324,129株と、当社株式の発行済株式総数に対する割合は15.6%となっております。一般に、VC等が未上場会社の株式を取得する場合、上場後に保有株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、VC等が保有する当社株式の一部または全部を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を与える可能性があります。
④ 配当政策について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
株主への利益還元の重要性を認識しておりますが、当社は成長過程にあると考えていることから、競争力の確保とさらなる成長の継続を経営上の最重要課題としております。また、内部留保の充実を図り、それを原資として中長期的な事業拡大のための投資に充当していくことが、将来的な株主への利益還元に繋がると考えております。以上の理由から、当社は創業以来配当を実施しておりません。
将来的には、財政状態、経営成績、事業計画等を勘案し、株主への利益還元策を決定していく所存でありますが、配当実施の可能性及びその時期等については現時点で未定であります。
⑤ 海外との取引について
発生可能性:小、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の「Fanicon」は、日本語を含む多言語で提供しており、海外のファンにも利用されております。また、韓国のアイコンが開設する等、アイコン側においても海外展開が徐々に広がってきております。デジタルマーケティング事業においては、海外クライアントとの取引が近年増えております。
このような状況において、景気変動等の経済情勢、社会情勢及び地政学的な状況によって事業運営に支障をきたす事態が生じた場合や当社の事業に係る法規制等の成立・改正が行われた場合に、当社事業の海外展開に一定の影響が及び、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しており、当社は、当該リスクに対する迅速な情報収集と適切な対応を検討する体制を構築し、リスクの軽減を図ってまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして認識しておりますが、財務体質の改善に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益力強化と事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後についても現時点において配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。
なお、内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、本書提出日現在において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
なお、当社の剰余金の配当については、期末配当及び中間配当の年2回を基本的な方針としております。期末配当は株主総会が、中間配当は取締役会が決議機関となっております。また、中間配当については、毎年6月30日を基準日として中間配当をできる旨を定款にて定めております。