2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 4,697 100.0 739 100.0 15.7

事業内容

3【事業の内容】

(1)当社の事業の特徴

当社は、不動産オーナー、不動産管理会社、ハウスメーカー等が建築・管理する戸建て・集合住宅を対象に、物件の付加価値を高め、入居率を向上させる設備・サービスを提供しております。また、当社の最たる強みとして、債権流動化の仕組みを活用した初期導入費用ゼロ円のファイナンススキーム「BRO-ZERO」を、提供サービスに適用することで、オーナーの経済的負担を軽減しております。

賃貸アパート・マンションをはじめ、戸建て・ビル・宿泊施設をターゲットに、増え続ける空室・空き家の利活用を促進させるべく、付加価値向上サービスと独自のファイナンススキームで不動産運用の新たな選択肢を提案し、地方創生・活性化に貢献しております。

また、当社は現状ではインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)具体的な製品・商品又はサービスの特徴

① 「B-CUBIC」

「B-CUBIC」は、マンションの全居室に対してインターネット環境を一斉に導入する「全戸一括型」のインターネットサービスです。大手通信事業者の入居者向けインターネットサービスは、利用を希望する入居者からの個別の申し込みと導入工事が必要であり、各入居者には初期工事費用や月額利用料の負担が発生しますが、「B-CUBIC」は、マンションオーナーが全戸一括で契約することで、入居者からの申し込みは不要、かつ無料でインターネット利用が可能となります。

入居者へのアフターフォローとして「接続ガイド」の配布や、インターネットに関する問い合わせ窓口としてコールセンターを自社で運営しておりますので、インターネットの通信障害等による現地対応(出張サービス)・機器の故障によるメンテナンスサポートも迅速な対応が可能です。また導入いただいたお客様へ入居促進活動のサポートとしてのぼり・看板の無償提供も行っております。

また、「B-CUBIC」は、インターネット設備の提供を軸に、IoT(Internet of Things)商材である顔認証付きIoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」やスマートカメラ、スマートホーム等の商品やサービスを組み合わせ、スマートフォン・タブレット・PCでの遠隔監視が可能となっております。

 

② 「BRO-LOCK」

「BRO-LOCK」は、マンションのエントランスをオートロック化するための顔認証付きIoTインターフォンシステムです。当システムは、インターネット回線を利用することで、取り付けにあたり住戸内までの配線工事が不要であり、かつ「B-CUBIC」のインターネット回線と共用できるため、インターネット利用料を重複して支払う必要がなく、マンションオーナーのコスト負担が軽減されます。

集合玄関機は「顔認証」「ICカード認証」「QRコード認証」「時限式暗証番号認証」など様々な方法で解錠が可能です。また、室内モニターからの通話・解錠だけでなく、専用のアプリを利用することで、入居者が所有するスマートフォンで外出先から来訪者と応答でき、訪問履歴の確認、不在時の訪問者の画像確認など様々な機能を持たせることが可能となります。また、クラウドサービス(注)を利用することにより、不動産管理会社における業務効率化ツールとしての利用も可能となっております。具体的には入居者へのメッセージ通知機能による掲示物の削減、時限式の暗証番号・QRコードの発行機能により対面での鍵の受け渡し作業を不要にするなどが挙げられます。

入居者へのアフターフォローとして、インターフォンに関しての問い合わせ窓口としてコールセンターを自社で運営しておりますので、機器の不具合や故障による対応も迅速に行っております。

(注)具体的なサービスとして、1:カードキー管理、2:スマホ管理、3:入居ステータス管理、4:入室履歴管理、5:メッセージ送信、6:機器動作ステータス確認などが挙げられます。

 

③ 「BRO-ROOM」

「BRO-ROOM」は、空室に悩む不動産オーナー向けに、1戸単位で空室対策を行うサービスです。通常であれば空室のリフォーム・リノベーションは多額の投資が初期段階で必要となり、分割での支払いにするとしても銀行借入やローン、リースに頼らざるを得ません。「BRO-ROOM」では当社独自のファイナンススキーム「BRO-ZERO」のメリットを最大限活かし、初期投資は当社が立て替え、オーナーは毎月のお支払いのみで、リスクを最小限に抑えて空室対策が可能となります。

 リノベーションはお部屋の構造や設備など課題点を徹底的にお調べし、最適な工事を施すことで、適正な募集家賃を実現します。さらに、サブリース会社とのパッケージプランを利用することで、サブリース料金からBRO-ROOM料金を差し引き、オーナーの手出しをゼロ円にし、導入後すぐに収入が確定します。

 

④ 「BRO-WALL」

  「BRO-WALL」は賃貸・分譲・ビル・戸建て等不動産の修繕に関わる建築工事を初期導入費用ゼロ円のファイナンススキーム「BRO-ZERO」で実現するサービスです。不動産オーナーは、老朽化した建物を修繕することで、入居者等利用する方にとって魅力的な物件へとバリューアップが可能になります。当社は元請けとなり、不動産オーナーより外壁塗装・屋上防水・外構エクステリア等、建物の修繕工事をご発注いただきます。工事内容によって、工務店や塗装業者等、下請け業者に工事を依頼します

 

[事業系統図]

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)の我が国経済におきましては、インバウンド需要の回復や賃金の上昇による個人消費の持ち直しが見られ、全体的に緩やかな回復基調を維持しました。その一方、人手不足や円安の進行による物価上昇、金利上昇リスクなど、景気動向についてもいまだ予断を許さない状況が続いております。

当社を取り巻く業界として、住宅市場では、全国の空き家が約900万戸と過去最多、かつ新築着工数が減少し、都市部のマンション価格が高騰する一方、リノベーション需要は増加し、築古物件の再利用が進んでいます。不動産の付加価値向上による差別化は、入居率向上の重要な要素となっております。また、インバウンド需要の回復に伴い、ホテルや民泊も活性化し、宿泊施設への投資が進んでおります。

このような状況の下、当社は入居者様にとって魅力的な物件にすることで入居率・賃料アップを図り、最大の強みである、債権流動化を活用した初期導入費用ゼロ円のファイナンススキーム「BRO-ZERO」を軸に、各事業で新規顧客・販売代理店の獲得、管理会社・既存顧客との連携強化を推し進め、不動産オーナー様のキャッシュ・フロー最大化に貢献し続けております。また、賃貸マンションだけではなく、戸建て住宅やビル・テナント、民泊などの宿泊施設に対しても「BRO-ZERO」と既存商材を掛け合わせて提案の幅を拡大し、案件の獲得を進めております。

マンション向け高速インターネット「B-CUBIC」におきましては、契約期間を撤廃したプラン「B-CUBIC Next」の販売を推し進め、新規顧客・パートナー企業の獲得及び連携強化を推進した結果、受注件数は順調に推移しております。

IoTインターフォンシステム「BRO-LOCK」におきましては、防犯意識の高まりによるオートロック・インターフォンの新設や、既存設備の経年劣化によるリニューアル工事を希望する新規顧客獲得を推進してまいりました。その結果、受注件数、売上は堅調に推移しております。

宅内IoTリノベーション「BRO-ROOM」におきましては、販売代理店の獲得を主眼に置き、リフォーム会社や民泊代行会社との連携強化を進め、拡販に注力してまいりました。その結果、前期を大幅に上回る受注を獲得し、持続的な売上成長を続けております。

外壁塗装・大規模修繕工事「BRO-WALL」におきましては、当第4四半期より正式に提供を開始しました。賃貸・戸建・分譲・ビル等不動産の修繕に関わる建築工事を遂行するにあたり、1級建築士資格を持つスタッフを増員し、建築一式工事、塗装工事をはじめとする特定建設業許可を取得しました。既存の管理会社との連携を強め、拡販に注力した結果、順調に案件を獲得してまいりました。

 

以上の結果、当事業年度における売上高は4,697,147千円(前事業年度比18.7%増)、営業利益は738,692千円(前事業年度比45.5%増)、経常利益は564,001千円(前事業年度比55.2%増)、当期純利益は346,004千円(前事業年度比5.5%増)となり、売上高においては過去最高値を更新することができました。

なお、当社はインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりませ

ん。

 

② 今後の見通し

今後も住宅市場における最も大きな課題である空き家問題について引き続き社会課題になるとみられる中、不動産の付加価値を高めるインターネット環境整備に対する需要の高まりと、生活の利便性向上に繋がるIoTデバイスや管理効率を向上させるDX設備、そして外装・内装の修繕とリノベーションへの関心の高まりは継続することが見込まれます。

このような状況の下、当社は、空き家問題を起因とする不動産オーナー様の課題を総合的に解決するべく「B-CUBIC」「BRO-LOCK」「BRO-ROOM」「BRO-WALL」の提供戸数・室数・棟数の増加を図るとともに、不動産経営の収支を改善させるAIシステムの開発を推し進め、当社最大の強みである初期導入費用ゼロ円のファイナンススキーム「BRO-ZERO」を掛け合わせることで、賃貸のアパート・マンション市場のみならず、戸建・分譲・ビルなど住宅全体に対してマーケットを拡大してまいります。

今後もこれらの市場環境と当社の事業経験を最大限に活用して中期的な事業成長と企業価値の向上を実現してまいります。

 

当事業年度末時点で入手可能な情報や予測等に基づき、業績予想を算定いたしました。

(単位:百万円)

 

2024年12月期実績

2025年12月期予想

増減率(%)

売上高

4,697

6,000

27.7%

営業利益

738

905

22.5%

経常利益

564

655

16.1%

当期純利益

346

400

15.6%

 

以上の背景より、2025年12月期の業績予想は、売上高6,000百万円(前事業年度比27.7%増)、営業利益905百万円(前事業年度比22.5%増)、経常利益655百万円(前事業年度比16.1%増)、当期純利益400百万円(前事業年度比15.6%増)を見込んでおります。

なお、上記の業績予想は当事業年度末時点において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。

 

③ 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は7,950,757千円となり、前事業年度末に比べ671,443千円(9.2%)増加いたしました。流動資産は、前事業年度末に比べ950,558千円(16.1%)増加し、6,860,637千円となりました。これは主に前払費用が241,197千円(23.1%)減少したものの、売掛金が1,182,771千円(40.4%)増加、未収入金が167,358千円(63.6%)増加、前渡金が16,778千円(62.1%)増加したことなどによるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べ279,114千円(20.4%)減少し、1,090,120千円となりました。これは主に繰延税金資産が215,974千円(30.0%)減少、工具、器具及び備品が55,773千円(13.9%)減少したことなどによるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債合計は6,743,177千円となり、前事業年度末に比べ323,171千円(5.0%)増加いたしました。流動負債は、前事業年度末に比べ228,811千円(4.4%)増加し、5,390,946千円となりました。これは主に前受金が833,777千円(25.8%)減少したものの、短期借入金が908,952千円(112.2%)増加、買掛金が48,304千円(14.5%)増加したことなどによるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べ94,359千円(7.5%)増加し、1,352,231千円となりました。これは主に長期借入金が112,528千円(10.5%)増加したことなどによるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は1,207,579千円となり、前事業年度末に比べ348,272千円(40.5%)増加いたしました。これは当期純利益を計上したことにより利益剰余金が346,004千円増加したことなどによるものであります。

 

④ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ71,736千円減少し、1,002,930千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動による資金は、1,096,803千円の支出(前事業年度は631,206千円の支出)となりました。これは主に、前払費用の減少額242,077千円(前事業年度は44,314千円の減少)、仕入債務の増加額48,304千円(前事業年度は63,723千円の減少)などの収入がありましたものの、売上債権の増加額1,183,574千円(前事業年度は1,687,436千円の増加)、前受金の減少額833,777千円(前事業年度は522,238千円の増加)などの支出があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動による資金は、26,691千円の支出(前事業年度は21,522千円の支出)となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入14,740千円(前事業年度は288千円の収入)などがありましたものの、長期前払費用の支払いによる支出15,570千円(前事業年度は4,761千円の支出)、関係会社株式の取得による支出10,000千円(前事業年度は支出なし)などがあったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動による資金は、1,051,758千円の収入(前事業年度は775,682千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出739,595千円(前事業年度は542,260千円の支出)などがありましたものの、短期借入金の純増加額908,952千円(前事業年度は405,878千円の増加)、長期借入れによる収入900,000千円(前事業年度は850,000千円の収入)などがあったことによるものであります。

 

⑤ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は、インターネットサービス事業を行っており、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社は、インターネットサービス事業を行っており、提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

インターネットサービス事業

4,697,147

18.7

合計

4,697,147

18.7

1.当社のセグメントは、インターネットサービス事業の単一セグメントであります。

2.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りであります。

 

② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績等につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、③財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社における資金需要は、主として運転資金とインターネットサービス事業における設備投資であります。運転資金需要のうち主なものは売上原価であるインターネットサービス事業の外注費及び回線原価や販売費及び一般管理費である広告宣伝費や人件費であります。これらに加えインターネットサービス事業における設備投資につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金による調達資金により充当することとしております。

自己資金及び上記の資金調達を併用することにより、当社の事業を継続していくうえで十分な手元流動性を確保するとともに、必要とされる運転資金及び設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。

また、資金の流動性については、当事業年度末現在、現金及び預金が1,040,934千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、より一層、十分な流動性を維持していく考えであります。