2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,105名(単体) 13,643名(連結)
  • 平均年齢
    42.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.7年(単体)
  • 平均年収
    10,462,753円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

(2025年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数 (人)

医薬品事業

13,643

合計

13,643

 

(注) 従業員数は就業人員を記載しています。

 

(2) 提出会社の状況

(2025年3月31日現在)

従業員数 (人)

平均年令 (歳)

平均勤続年数 (年)

平均年間給与 (円)

4,105

42.3

15.7

10,462,753

 

 

セグメントの名称

従業員数 (人)

医薬品事業

4,105

合計

4,105

 

 

経営基幹職に占める

女性労働者の割合 (%)

男性労働者の

育児休業等取得率 (%)

男女の賃金の差異 (%)

全労働者

うち

正規雇用労働者

うちパート・

有期労働者

18.3

82.5

76.9

77.6

66.6

 

(注) 1.従業員数は就業人員を記載しています。前事業年度末に比べ従業員数が701人減少しています。主な理由は、国内営業戦略及び営業体制の見直しに伴う「特別転進支援制度」による退職者の増加等です。

2.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含総年間賃金を人数で除して算出しています。

3.経営基幹職に占める女性労働者の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」 (平成27年法律第64号) の規定に基づき算出したものです。労働者の母数には取締役及び担当役員を含めていません。

4.男性労働者の育児休業等取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」 (平成3年法律第76号) の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」 (平成3年労働省令第25号) 第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。なお、同第71条の6第1号における育児休業等のみの取得率は 51.5%です。

5.男女の賃金の差異は、男女別に対象労働者の年間平均賃金 (対象労働者の総年間賃金÷対象労働者数) を算出し、女性年間平均賃金÷男性年間平均賃金×100として算出しています。
なお、差異の主な要因は男性の方が高い職務グレードに就いている割合が高いことであり、同等の期待役割を持つ職務レベルであれば男女で賃金に差異が生じることはありません。

 

(3) 労働組合の状況

当社の従業員は、アステラス労働組合を構成し、上部団体として医薬化粧品産業労働組合連合会に加盟しています。2025年3月31日現在における組合員数は2,431名です。また、労使は健全な関係を構築しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1) サステナビリティ

サステナビリティに関する考え方

当社は社会のサステナビリティの向上に貢献していくことが、事業を継続していく上で極めて重要であると考えます。具体的には、アンメットメディカルニーズ (満たされない医療ニーズ) に応える革新的なヘルスケアソリューションを提供することや、事業活動において製薬会社としての社会的責任を果たすことにより、当社は社会のサステナビリティの向上に貢献しています。その結果、自社や自社の製品等に対する社会からの信頼が得られ、当社のサステナビリティを向上させると考えています。このように、本業を通じて社会と当社の双方の持続可能性を向上させる好循環を生み出していくことが当社にとってのサステナビリティの考え方です。このような好循環を生み出すことは、当社の存在意義である「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを通じた「企業価値の持続的向上」 (注) という私たちの使命を果たすことにつながります。

(注) 当社が推進する財務・非財務活動の取り組みは全て、当社の企業価値向上へとつながっています。それぞれの取り組みが互いに関連し、作用し合いながら企業価値を向上させていく流れを表現した「企業価値向上ロジックツリー (下記ウェブサイトの統合報告書P25) 」をご参照ください。

https://www.astellas.com/en/system/files/754dd7b649/astellas_ar2024_j_all_241015.pdf

 

サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理

当社は、コーポレートガバナンス体制に基づき、サステナビリティに関する重要事項は代表取締役社長CEOが議長を務めるエグゼクティブ・コミッティにて協議し、取締役会にて承認します。取締役会が承認する案件例として、サステナビリティの取り組みの指針となるマテリアリティ・マトリックスやサステナビリティ方針が該当します。また、サステナビリティの年度活動実績ならびに次年度活動計画は、業務執行の監督機能を果たす取締役会へ報告しています。長期的、戦略的かつ全社的な視点から各部門によるサステナビリティ向上のための活動を推進するため、推進体制として「サステナビリティ コミッティ」と 「環境・社会・ガバナンスワーキンググループ (E・S・Gワーキンググループ) 」 を設置しています。

サステナビリティ コミッティでは機会やリスクを含め、業務執行に関わる当社の重要なサステナビリティ事項に関しての協議を行います。専門的かつ実行性を伴った議論を行うために、部門横断でファンクショナルユニット (注) 長レベルのメンバーで構成された組織であり、委員長及びメンバーは経営戦略担当 (CStO:Chief Strategy Officer) によって任命されます。

E・S・Gワーキンググループは、案件ごとに部門横断のメンバーで構成され、外部の環境変化や各種原則・ガイドラインを参考にしながら、当社の環境・社会・ガバナンスの取り組むべき課題や機会の特定、関連部門と改善計画の立案と目標の設定、取り組みの進捗確認を実施します。サステナビリティ部門は、サステナビリティ コミッティを主管するファンクショナルユニットとしてE・S・Gワーキンググループの事務局業務を含めたグループ全体のサステナビリティ課題に対応し、活動全体を管理します。

また、コミュニケーション機能と協働しながら社内外へ当社のサステナビリティ活動を展開しています。経営に与える影響が高いリスクが特定された場合は、サステナビリティ コミッティから、グローバル・リスク&レジリエンス委員会事務局へ共有され、必要な検討がなされます。また、コンプライアンスに関連する事項は、グローバル・コンプライアンス委員会事務局へ共有され、必要な検討がなされます。

(注) 各トップマネジメントに直接レポートするビジネス遂行のための組織

 

 

サステナビリティ会議体制

 


(注1) 年に一度、取締役会に年度活動実績ならびに次年度活動計画を報告する。重要度の高い案件は、案件ごとに決裁権限規程に従って、エグゼクティブ・コミッティにおける協議を経て、取締役会で承認される。

(注2) 環境 (Environment) 、社会 (Social) 、ガバナンス (Governance)

(注3) サステナビリティ部門に所属するサステナビリティ・センターオブエクセレンス長はサステナビリティ長の管理下でESGの取り組みをグローバルに主導する責任を持つ。

 

サステナビリティに関する戦略・指標及び目標

当社はサステナビリティの向上の取り組みは、企業価値を持続的に向上させることにつながっていると考えており、経営計画2021の戦略目標4として「サステナビリティ向上の取り組みを強化」を設定しています。

社会及び事業を取り巻く環境が著しく変化するなか、社会と当社の双方にとって最も重要な課題を特定・優先順位付けしたマテリアリティ・マトリックスを策定しています。マテリアリティ・マトリックスでは、19の重要な課題を特定し、うち9つを最重要課題 (マテリアリティ) としました。マテリアリティ・マトリックスの各課題に取り組むことが企業価値にどのようにつながるかを検討し、サステナビリティ向上のための2つの柱としてまとめています。1つ目は「最先端の『価値』駆動型ライフサイエンス・イノベーターへの変革」で、2つ目は「社会の期待に応える強靭で持続可能な事業活動の強化」です。サステナビリティ向上のための中期計画として、2つの柱に関連する9つの最重要課題 (マテリアリティ) 及び社会からの要請が高い環境に関する重要課題について、「中期的に優先する項目」「具体的な取り組み」「2025年度までのコミットメント」を定め、サステナビリティ方針として取り組みを推進しています (注1) 。さらに「2025年度までのコミットメント」に対してはサステナビリティ方針業績評価指標 (SDPIs: Sustainability Direction Performance Indicators) (注2) を設定し、測定可能かつ適切な具体的アクションを開示することで、サステナビリティ向上に向けた取り組みを着実に推進しています。

(注1) 環境の課題の詳細については、(3) 環境 (気候変動) をご参照ください。 

(注2) SDPIsの詳細については下記をご参照ください。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/sdpis

 

 

1. 最先端の「価値」駆動型ライフサイエンス・イノベーターへの変革

最重要課題

当社の中期優先項目

具体的な取り組み

2025年度までの

コミットメント

・保健医療へのアクセス

・イノベーション実現のための人材と組織文化 (注)

・新たなヘルスケアソリューション創出によるアンメットメディカルニーズの充足

・革新的な治療手段による根本治療

・価値に基づく価格設定

研究開発におけるFocus Areaアプローチにより科学の進歩を「価値」に変え、アンメットメディカルニーズの高い疾患の治療のための新しい治療法やモダリティを創出する

アンメットメディカルニーズに応え、従来よりも優れたアウトカムをもたらすソリューションを提供

世界の患者さんや介護者の生活を改善し、ヘルスケアシステム全体の負担軽減に貢献する

・当社が創出するイノベーションへの患者さんのアクセスを最大化し、患者さんがより良いアウトカムを得られるようにする

・医薬品の枠を超え、新しいヘルスケアソリューションを開発し、事業化する

・製品ライフサイクルを通じた包括的な医薬品アクセスプログラムを実施

・パートナーシップやアステラス・グローバルヘルス財団によるヘルスケアシステム強化プログラムを支援

・より多くの患者さんにアステラス製品へのアクセスを提供する

・疾病の認識、予防、ヘルスケアサービスへのアクセスを改善することにより、3,600万人以上 (累計) にインパクトをもたらす

新しいモダリティの革新的な医薬品が世界の患者さんの健康に貢献し、持続可能なヘルスケアシステムを実現していくために、ステークホルダーに向けて価値に基づく価格設定をアドボケートする

革新的な医療へのアクセスを支える基盤として、価値に基づく価格設定をアドボケート

価値に基づく価格設定をアドボケートし、ヘルスケアシステムの維持に貢献する

・当社にイノベーションを創出する環境を構築する

・イノベーションを促進する文化に支えられた、適切なケイパビリティを戦略と連動させる

1人のマネジャーが管理する人数の最適化と階層の削減による組織構造のフラット化、後継者育成の強化、心理的安全性を確保し積極的なフィードバックを促す文化を醸成

イノベーションを実現するための確かなケイパビリティを持つ人材と組織文化を醸成する

 

(注) 人的資本の考え方や取り組みの詳細については、 (2) 人的資本をご参照ください。

 

2. 社会の期待に応える強靭で持続可能な事業活動の強化

最重要課題

当社の中期優先項目

具体的な取り組み

2025年度までの

コミットメント

法令遵守と高い倫理観を持った事業活動

・製品の品質保証と安全性

・責任あるサプライチェーンマネジメント

・製品の適正使用

 

予測不能な事態や緊急事態においても製品を継続的に供給する強靭なビジネスを維持する

・非常用発電の強化や太陽光パネル等の再生可能エネルギーの自社設備への導入の検討等、エネルギー調達の強化

・調達先の二重化や物流拠点の分散化等、原料調達や製品供給網の強化

より持続可能で強靭なバリューチェーンを構築する

製品の品質と安全性を保つためのケイパビリティを更に高め、患者さんにとっての価値を最大化するために顧客との相互コミュニケーションを最適化する

・リーダー層のコミットメント、従業員への働きかけ、患者さん中心の考え方の浸透による「品質重視の文化」を醸成

・デジタルを活用した部門横断によるオムニチャネルでの顧客対応

「品質重視の文化」を醸成し、顧客体験を向上させることによって、製品の品質と安全性を確保する

 

 

 

(2) 人的資本

人的資本に関する考え方

当社では、採用・配置、評価・処遇、人材・組織開発の3つの領域を適切にバランスよく推進することによって、期待する人材像、目指す組織像を実現し、「Employer of Choice:現在そして未来の社員に選ばれる会社」を目指しています。当社において、人的資本への投資は、今日の実行力の強化に加えて、将来の組織をかたちづくる重要な投資として位置づけられており、短期的及び中長期的な視点をもって継続的に実施しています。

 

人的資本に関する戦略・指標及び目標

当社では、経営計画2021の実現に向け、「組織健全性目標」を設定しました。これは、イノベーションの促進、人材の活躍、コラボレーションの浸透を通して意欲的な目標の実現を目指す企業文化を醸成し、当社の実行力を向上させることを目指すものです。人事部門では、設定した目標の実現に向けて、以下に示している、カルチャー、マインドセットの変革、グローバルな人材・組織を支える人事制度の構築、イノベーティブな組織への戦略的改革を最優先事項として取り組んでいます。

また、これら主な3つの取り組みを基盤として支えているのが、データに基づく確実な進捗の確認です。確実な進捗確認の1つの施策として、グローバル・エンゲージメント・サーベイを実施しており、従業員のエンゲージメント向上への取り組みに注力し、各設問項目の進捗を可視化して、強みと改善点の分析結果に応じて具体的な対策を講じています。

 

A. カルチャー、マインドセットの変革

当社は、従業員に賢いリスクテイクと学びによる成長を促すため、心理的安全性の確保とフィードバック文化の促進に注力しています。イノベーションを生み出し続ける組織を作るには、誰もが結果を恐れずに大胆なアイデアを共有し、現状に疑問を持って声を上げ、互いにフィードバックを伝え合うことのできる環境と、他者からのフィードバックを自らの成長につなげていくマインドセットが重要だと考えています。

 

A-1. カルチャー、マインドセットの変革に関する目標

当社は果敢なチャレンジで大きな成果を追求します。適切なリスクを取ることができるよう従業員に権限が与えられるとともに、成果を追求し、イノベーションに注力できる環境の構築を目指します。

 

A-2. カルチャー、マインドセットの変革に関する状況

One Astellasを実現するため、これまで共通の行動規範として導入してきたAstellas Wayを「組織における価値観と行動」に置き換え、2025年4月から統一しました。新しい「組織における価値観と行動」では、当社の従業員が大切にする価値観として「誠実さ」「イノベーション」「変革への挑戦」の3つを掲げ、従業員がすべき行動として「勇気」「迅速な対応」「One Astellas」「成果に拘る」「責任感」の5つを設定しています。

また、トップマネジメントとの双方向のコミュニケーションを促進するため、対話型のセッションである“Ask Me Anything”を継続して実施しています。

 

日本においては、心理的安全性の確保と関わりが強い健康経営にも力をいれています。従業員一人ひとりが高い生産性や創造性を発揮し、自己実現が可能な働き方を実現するための前提として、従業員の健康と健全な組織風土の醸成があります。健全な組織風土は、心理的安全性が高く、従業員が互いに尊重し合い、安心して活発なコミュニケーションができる環境を必要とします。当社では、多様な働き方と従業員の健康増進を支援し、組織の健全化を推進しています。当社の健康経営推進体制は、代表取締役社長を最高責任者とし、人事担当 (CPO: Chief People Officer) の下で、人事部と健康保険組合、労働組合が主体となって企画・運営しています。

健康経営の取り組みの推進の結果、経済産業省の健康経営優良法人2025 (大規模法人部門) の上位500社 (ホワイト500) に認定されました。健康経営推進の取り組みによる成果は下記ウェブサイトに掲載しています。2025年10月以降に更新内容を公開する予定です。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/promoting-health-management

 

 

B. グローバルな人材・組織を支える人事制度の構築及び多様性の確保

当連結会計年度の地域別売上収益比率では、日本が約15%、海外が約85%となっており、当社のビジネスはグローバルに広がっています。それに伴い、従業員構成もグローバル化が進んでいます。ビジネス及び人材の変化に伴い、グローバルに通用する人事戦略・施策の構築が必須のため、グローバル規模で当社のビジネスを支える人事制度・システムの構築に取り組んでいます。

また、人種・国籍・性別・年齢を問わず多様な人材が自分らしさを大切にしながら活躍できるよう、ダイバーシティの推進に取り組んでいます。多様な価値観・考え方・バックグラウンド等を尊重し活かし合うことは、組織の創造性を高めるだけでなく優秀な人材の確保や競争力の向上にもつながると考えています。多様性確保に向けた人材育成と社内環境整備について、下記の方針に従って推進しています。

・人材育成方針:属性によらず、自己責任を基本とする各人の意思・能力・適性に応じたキャリア形成機会を提供し、マネジャーはそのキャリア形成を支援します。高い成果を発揮し続ける能力・意欲のある人材に対して魅力ある成長機会を積極的に提供することで、多様な人材の活躍につながっています。

・社内環境整備方針:多様な人材が活躍できるよう、グローバルで統制・整合性の取れた評価プロセスを設定し、個々人の属性に関係なく役割と成果に基づく公正な評価を徹底しています。さらに、グローバル共通のジョブポスティングシステムの提供や、異なる国や地域での業務を行うグローバルアサインメント等を行っています。国や地域によらないグローバルなメンバーでのチームやグループの形成が進むことで、各組織における多様化にもつながっています。また、組織における多様性を実現するだけでなく、従業員一人ひとりが活躍するために、一人ひとりの強みや違いを理解し、受け入れ、尊重し、活かし合うインクルーシブな組織づくりにも心掛けています。日本においては副業制度を活用し、社内外の人材・知識・経験のネットワークの構築を推進しています。また、2024年度から日本において、居住地選択のフレキシビリティを高める「My Workplace制度」を導入し、社員の多様な働き方を推進することで、社員のエンパワーメントを高めるとともに、パフォーマンスの向上・優秀な人材の獲得を試みています。

 

B-1. グローバルな人材・組織を支える人事制度の構築に関する目標

当社は、本人事制度の構築を通じて、従業員一人ひとりがイノベーティブな活動に取り組み、意欲的な目標にチャレンジし、適切なリーダーシップの下、周囲とコラボレーションできる環境を目指しています。部門単位では、個別部門に閉じない部門横断型の目標を設定し、個人単位では意欲的な目標設定とフィードバックシステムの展開を推進し、One Astellasでパフォーマンスの向上を目指しています。

 

また、多様性を確保するために、下記3つの目標があります。

a. 女性のマネジャー職への登用

グローバルレポートラインの体制で設計されたポジションに対し、実力主義の下、ジェンダーにかかわらず適所適材の考え方に基づき登用を行っています。日本では、女性の活躍推進を優先度の高い課題と位置づけ、取り組んでいます。詳細な取り組みについては、下記ウェブサイトに掲載しています。2025年10月以降に更新内容を公開する予定です。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/major-programs-japan

 

b. 外国人、中途採用者のマネジャー職への登用

グローバルレポートラインの体制で設計されたポジションに対し、実力主義の下、適切に登用を行っています。このことにより、当社ではグローバルで数多くの外国籍従業員、中途採用者がマネジャー職へ登用されており、今後も継続して取り組んでいきます。

 

 

c. サクセッションプランニングと運用

当社では、経営計画2021を実行するために必要なリーダーの要素として、「変革的リーダーシップ」、「結果志向」、「グローバル・マインドセット」を重要視し、それを踏まえてサクセッションプランニングを行っています。当社のサクセッションプランニングの特徴として、1. 完全なグローバル統合プラン、2.社内外問わず最適な人材を後継者候補に、3. 完全な自由競争による人材配置、4. 毎年の見直しにより常に最適な人材による適所適材を実現、があげられます。当社ではファンクショナルユニット長クラス以上のポジションについて後継者プランの作成をグローバルで行っています。適所適材の考え方の下、グローバルに展開した後継者プランに基づき、各ポジションに対し国籍や性別を問わない多様性に富んだ後継者の選定、育成を目指しています。

 

B-2. グローバルな人材・組織を支える人事制度の構築に関する状況

グローバルな人材・組織を支える人事制度の構築に向けた取り組みの1つとして、グローバルでタレントマネジメントのプロセス統合を行っています。2022年度に目標管理と評価制度、報酬・レコグニション制度を改訂し、これまで部門業績を賞与支給金額の算定要素にしていたところを、全社業績に変更し、2023年度から運用を開始しています。社員同士のレコグニション制度として、Shining Star制度を導入し社員同士がお互いに称賛し合える風土を醸成しています。そして、これらの柱を支え、グローバルでの適所適材を実現する基盤として、グローバルで人事システムの統合を進めています。

 

また、多様性確保に関しては、下記のとおりに取り組んでいます。

a. 女性のマネジャー職への登用

日本を含む各地域の女性従業員比率、女性のマネジャー職比率については、下記ウェブサイトに掲載しています。2025年10月以降に更新内容を公開する予定です。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/esg-social

 

b. 外国人、中途採用者のマネジャー職への登用

当社では、国籍にとらわれずさまざまな従業員が中核人材として活躍しています。2025年4月1日現在、ファンクショナルユニット長クラス以上の64%、マネジャー職以上の70%が日本人以外の従業員です。また、積極的に多くの中途採用者を、中核人材へ登用しています。

 

c. サクセッションプランニングの実績

2024年9月時点では、ファンクショナルユニット長クラスのポジションが64ポジションあり、後継者候補として311人を選定しています。その内、外国籍従業員が56%を占めています。

 

d. 日本国内の各制度の利用実績

各種制度及びその利用実績については、下記ウェブサイトに掲載しています。2025年10月以降に更新内容を公開する予定です。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/esg-social

 

 

C. イノベーティブな組織への戦略的改革

当社では、イノベーティブな組織への戦略的改革のため、組織のフラット化に取り組んでいます。社長からの階層を減らし、マネジャー1人が管理する部下の数を増やすことで、意思決定の迅速化と現場への権限委譲をねらいとしています。また、肩書にとらわれず、より効果的に協力・協働する組織に向けて、2024年4月から、階層ではなく役割を表すPosition Titleを用いています。

 

C-1. 組織のフラット化のための指標及び目標

組織のフラット化による意思決定を促すため、社長からの階層数を6以下とすることを目指し、スパン・オブ・コントロール (SPOC:Span of Control) (注) については、6人以上を目指しています。


(注) スパン・オブ・コントロール (SPOC:Span of Control):マネジャー1人が管理する部下の人数

 

C-2. 組織のフラット化の状況

2025年4月時点では、6階層以下の組織の割合が74%、スパン・オブ・コントロールの全組織の平均値が、6.3人となっています。2025年4月付の組織変更に伴い、部門レベルでの組織の統合が発生し、社長から6階層以下の組織の割合が低下しています。引き続きビジネスのニーズに沿って調整を行っていきます。

 

2024年4月

2025年4月

社長からの6階層以下の組織の割合

86%

74%

全組織のスパン・オブ・コントロールの平均値

5.9人

6.3人

 

 

(3) 環境 (気候変動)

①環境 (気候変動) に関する考え方

当社の企業行動憲章には「企業活動と地球環境の調和は経営の必須条件であることを強く認識し、地球環境の改善のために主体的に行動する」を掲げています。持続的な成長を続けていくためには、エネルギーや気候変動、環境汚染、廃棄物処理など地域環境に影響を与える課題を企業活動の重要な要素と認識することが必要だと考えています。

また、世界的な環境問題である気候変動及びそれによってもたらされる結果は、患者さんに貢献していくための当社の事業の継続性に対して脅威となり得ると考えています。具体的には、気候システムの変化によって生じる極端な天候、降雨変化、伝染病の拡大、エネルギーポートフォリオの変化等があげられます。このような影響を低減するために、事業活動由来の温室効果ガスが気候システムに対して危険な人為的影響を及ぼさないよう、温室効果ガスの排出を削減することを目標としています。当社は、気候変動を低減し、また、気候変動に適応していくために、長期的で幅広い視野をもって環境に対する企業の責任を果たしていきます。

 

②環境 (気候変動) に関するガバナンス・リスク管理

当社は、2020年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース (Task Force on Climate-related Financial Disclosures:TCFD) の提言に対し賛同を表明し、気候変動に対する情報は、TCFDの提言に沿って開示しています。

気候変動等の環境への取り組みは、当社が取り組むサステナビリティの重要な課題として位置づけられています。気候変動を含めたさまざまな環境課題への対応や実行計画の策定は、サステナビリティ コミッティで議論されます。気候変動に関する取り組み及び高い透明性をもった情報開示は戦略目標の一つとして取締役会の定期的な議題とされ、また気候変動のリスクと機会の評価を含むTCFD提言に沿った開示はサステナビリティ活動の一つとして取締役会に報告されています。

環境に関するリスク管理はサステナビリティ部門によりモニタリングされ、経営戦略担当に定期的に報告されます。特定されたリスクへの対応等は、課題の重要度に応じてエグゼクティブ・コミッティや取締役会にて決定されます。

 

 

③環境 (気候変動) に対する戦略・指標及び目標

経営計画2021の戦略目標4「サステナビリティ向上の取り組みを強化」において、「環境 (気候変動対策) 」を重点テーマの1つとして、設定しています。また、マテリアリティ・マトリックスでは、「気候変動とエネルギー」を「非常に重要」な課題として位置づけています。

気候変動によって発生する事業のリスク及び機会は、2つのシナリオをもとに分析しています。気候変動に関する1.5℃シナリオでは移行リスクが顕在化すると仮定し、また4℃シナリオでは物理的リスクが顕在化すると仮定して、分析しています。

当社の事業と気候変動によって発生する事業のリスク及び機会の分析の詳細については、下記ウェブサイトにて掲載しています。2025年8月頃に更新内容を公開する予定です。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/TCFD-disclosure

 

また、サステナビリティ方針として策定した環境に関する課題の中期的に優先する項目、具体的な取り組み、2025年度までのコミットメントは下記のとおりです。

 

重要課題

当社の中期優先項目

具体的な取り組み

2025年度までの

コミットメント

・環境負荷の低減

・気候変動とエネルギー

温室効果ガス排出量をパリ協定と整合性のある目標に向け削減し、2050年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを達成する

・エネルギー効率の向上、太陽光や風力等の再生可能エネルギーへの転換

・サプライチェーンにおける温室効果ガスの削減

 

以下目標 (注) に沿った適正な量の温室効果ガス削減を2025年度までに達成する

(注) 2030年度までの温室効果ガス排出量削減目標

・スコープ1+2 63%削減

(基準年:2015年度)

・スコープ3 37.5%削減

(基準年:2015年度)

 

 

④温室効果ガス (GHG) 排出量

気候変動に関する環境行動計画は自社の事業活動による排出 (スコープ1、2) に加え、サプライチェーン全体での排出 (スコープ3) も対象にしています。スコープ3の重要な排出源からのGHG排出についてもSBT (Science Based Target) を設定し、生産委託先をはじめ取引先にもGHG排出削減に向けた取り組みに賛同・協力いただく働きかけを行っています。

 

環境行動計画 (気候変動対策) <2023年1月SBT再認証>

■ GHG排出量 (スコープ1+2) を2030年度までに63%削減す

 (基準年:2015年度、 基準年の排出量:203千トン) 指標:「1.5℃目標」

■ GHG排出量 (スコープ3) を2030年度までに37.5%削減する

 (基準年:2015年度) 指標:「well-below 2℃目標」

 

 

当社の2023年度のバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量

GHG排出量

2023年度

スコープ1

59千トン

スコープ2

63千トン

スコープ3

1,121千トン

合計

1,244千トン

 

2024年度の実績は、下記ウェブサイトにて2025年6月頃公開を予定しています。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/measures-to-address-climate-change

 

■ 第三者保証について

当社の2023年度環境データの実績については信頼性向上を目的として、KPMGあずさサステナビリティ株式会社に第三者検証を依頼し、独立した第三者報告書を取得しています。

2023年4月1日から2024年3月31日までを対象とした環境パフォーマンス指標に対して限定的保証業務が実施されました。当社の集計データ及び算定方法について、国際保証業務基準 (ISAE) 3000及びISAE3410に準拠した検証となります。

第三者報告書の詳細については下記ウェブサイトをご参照ください。

https://www.astellas.com/jp/sustainability/environment