2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,876名(単体) 2,243名(連結)
  • 平均年齢
    41.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.2年(単体)
  • 平均年収
    9,192,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における状況

 

(2025年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

1,802

機能食品事業

176

全社(共通)

265

合計

2,243

 (注)従業員数は、就業人員数であります。

(2)提出会社の状況

 

 

 

(2025年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)*

1,876

41.4

17.2

9,192

*正規従業員平均

 

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

1,594

機能食品事業

97

全社(共通)

185

合計

1,876

   (注)1.従業員数は、就業人員数であります。

    2.平均年間給与は、賞与と基準外賃金を含む税込額であります。

    3.満60歳定年制を採用しております。

(3)労働組合の状況

 提出会社の労働組合は、日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)に加盟しており、2025年3月31日現在の組合員数は1,100人で労使関係は円満であります。なお、子会社では、労働組合は組織されておりません。

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

管理職に占める女性
労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用
労働者

うち非正規雇用
労働者

14.4

76.2

81.0

80.9

90.1

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

  ≪サステナビリティに対する考え方≫

日本新薬グループは、経営理念「人々の健康と豊かな生活創りに貢献する」に基づき、「京都のグローバルヘルスケアカンパニーとして、一人ひとりの新しい生きるを世界に届ける」ことで持続的に成長するとともに、環境問題や、社会課題への対応を経営の重要事項として捉え、持続可能な社会の実現を目指します。社員一人ひとりに対して、サステナビリティに関する意識をより高めるための教育・啓発活動を行います。

・イノベーションの創出により、世界中の人々の健康な未来の実現に貢献します

・気候変動対策を中心に地球環境に配慮した事業活動を行い、環境の保護・維持・改善に取り組みます

・全ての人々の人権を尊重し、社会や地域とのコミュニケーションを積極的に図るとともに、未来を担う子どもたちをはぐくむ活動に取り組みます

・ガバナンスの強化を図るとともに、経営の透明性・客観性を確保し、すべてのステークホルダーへの説明責任を果たします

・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進とウェルビーイングの実現を目指します

 

①ガバナンス

 当社は、マテリアリティに係る対応を通じて、持続的な価値の創出を目指しており、その推進のためにサステナビリティ委員会を中心としたガバナンス体制を構築するとともに、取締役による監督を行っています。

 

<サステナビリティ委員会>

 当社は、より積極的にサステナビリティの推進を図るため、2022年1月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しました。

本委員会は年2回開催し、サステナビリティ推進のための計画策定及びマテリアリティの検討やマテリアリティに対する目標・取り組みの進捗状況の確認を行い、取締役会に報告、提案しています。重要な事項については取締役会で審議、決議を実施します。また、各部門に対する監督及び指示を実施します。

 

<マテリアリティに係る経営者の役割>

 マテリアリティに係る事項は、代表取締役社長が総括します。また、代表取締役社長はサステナビリティ委員会の委員長としてマテリアリティが事業に与える影響について評価し、対応策の立案及び目標の設定を行い、達成状況の管理を統括します。

 

<マテリアリティに係る所管部署>

サステナビリティ推進部は、サステナビリティ委員会の事務局を担当するとともに、マテリアリティへの取り組みに係る企画・立案及び管理並びに全社的な推進を担います。

 

 

 

②戦略

 当社は、経営理念のもと「患者数が少なくとも、確立した治療薬がなく、病気で困っている患者さんとご家族にとって必要となる、高品質で特長のある医薬品を提供できる会社」を目指し、マテリアリティ(重要課題)として「イノベーションの創出による健康未来の実現」、「多様な人材の育成と社員のウェルビーイングの実現」、「社会課題の解決とコミュニティとの共生」、「地球環境保護への取り組み強化」、「ガバナンスの強化」の5つを特定しています。当社が今後も社会において存在意義を示し、持続的に成長するためには、人々の“生きる”ということにこれまで以上に本気で向き合い、価値のある製品・サービスを提供し続けていくことが重要となります。2035年のありたい姿として、「京都のグローバルヘルスケアカンパニーとして、一人ひとりの新しい生きるを世界に届ける会社」を掲げ、2024年度を初年度とした第七次中期経営計画では、「持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ経営の推進」を「5つの経営基盤の強化」の1つに定めました。マテリアリティの解決に取り組むことで持続的(サステナビリティ)な価値の創出を目指してまいります。

 

③リスク管理

 マテリアリティに係るリスクは、サステナビリティ委員会(年2回開催)にて、識別・評価し、定期的に取締役会に報告しています。

 

<マテリアリティに係るリスクを管理するプロセス>

 サステナビリティ推進部は、マテリアリティへの取り組みに係る企画・立案及び管理を行い、全社的なマテリアリティに係るリスクへの対応を推進するとともに、取り組み状況をサステナビリティ委員会に報告します。識別したマテリアリティに係るリスクについて、「リスクマネジメント基本規程」に基づきリスク・コンプライアンス委員会に報告します。

サステナビリティ委員会は、識別・評価したリスクの最小化に向けた方針を示し、サステナビリティ推進部を通じて社内の関係部署及びグループ会社に対応を指示します。また、対応策の取り組み状況や設定した目標の進捗状況について、取締役会に報告します。

(2)気候変動

≪気候変動に対する考え方≫

 日本新薬グループは、2021年12月、TCFD※1の提言への賛同を表明しました。リスクマネジメントの観点からすでに特定しているリスクへの取り組みに加え、TCFD提言の枠組みに沿って、気候変動に関するリスクと機会についてシナリオ分析を行いました。認められたリスクと機会に対する具体的な取り組みについては今後も継続して検討するとともに、関連する情報開示の充実を進めてまいります。

※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は金融安定理事会(FSB)が気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、2015年に設立した気候関連財務情報開示タスクフォースです。

 

①ガバナンス

日本新薬グループはより積極的にサステナビリティの推進を図るため、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会(年2回開催)にて、グループ全体のサステナビリティに関する重要事項についての議論・審議・決定をしています。また、気候変動対策をマテリアリティの1つとして特定し、評価・管理を行っています。また、サステナビリティ推進に関する活動内容や進捗状況については、半期に1度、サステナビリティ委員会において、その内容のレビューを行っています。

気候関連課題への取り組みに対する責任者として、経営企画・サステナビリティ担当取締役を選任しています。本取締役は環境委員会(年4回開催)の委員長を務め、環境委員会は、取締役会が定めた当社グループの環境基本方針の実践を目的として、環境保全に関する方針の立案や環境保全に向けた取り組みなどを推進するとともに、年間のCO2排出削減目標など環境保全活動の進捗についても確認を行っています。また、環境委員会やサステナビリティ委員会での検討結果は、年複数回取締役会にて報告・確認し、監督しています。

 

名称

役割

構成

開催

頻度

サステナビリティ委員会

・日本新薬グループサステナビリティ基本方針の決定

・日本新薬グループ全体のサステナビリティに関する重要事項の議論・審議・決定

・マテリアリティ全体の特定、評価、管理

(気候変動関連含む)

委員長:代表取締役社長
委員 :社内取締役
事務局:サステナビリティ推進部

2回

/年

環境委員会

・日本新薬グループ環境基本方針の策定、日本新薬グループの地球環境保全に関する目標および管理体制についての策定および統括

・環境自主目標の策定および進捗管理

・環境課題への取り組みの推進

委員長:経営企画・ サステナビリティ

        担当取締役
委員 :本社地区、研究拠点、生産拠

        点 ※委員長が各拠点1名以上

        の委員を指名
事務局:サステナビリティ推進部

4回

/年

 

 

②戦略(シナリオ分析)

日本新薬グループでは、気候変動に伴うリスクと機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、下記のプロセスを通じて気候変動に伴うリスクと機会を特定し、その重要性を評価しました。気候変動に関するリスクと機会については、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオを用いて分析、評価を行いました。

はじめに、気候変動に伴うリスクと機会を網羅的に抽出し、次に抽出した気候変動に伴うリスクと機会について、「医薬品」「機能食品」の2つの事業との関連性を整理しました。最後に「自社にとっての影響度」および「発生可能性」の2つの評価基準に基づき、その重要性を評価しました。

 

<1.5℃シナリオ>

炭素税の導入を含む規制強化によるコストの増加が見込まれるほか、原材料等の価格が上昇するリスクが想定されます。当社は、2030年度に6,803t-CO2(基準年度である2020年度比42%減)を掲げており、脱炭素化の取り組みを推進します。

 

<4℃シナリオ>

小田原総合製剤工場では、気候関連の災害が発生し操業が停止した場合、約7.3ヵ月分の在庫を保有しているため財務的な影響は受けないことが分析されました。原材料の安定的な確保のため、多角的な調達先の確保や備蓄機能の強化を行い、サプライチェーン全体のリスクを最小限に抑える取り組みを行っています。また、気象災害を含むBCP対策や災害対策関連投資の促進などを行います。

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、「環境基本方針」のもと、環境保全活動の継続的な改善(省エネルギー、CO2排出量の削減)に取り組んでいます。

脱炭素の取り組みとして太陽光発電設備設置をはじめとした再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを拡大しています。また、営業車両のハイブリッド車両への切り替えを進めており、工場および研究設備の更新時には温室効果ガス排出量削減への貢献を評価項目の1つとしています。

サプライチェーン全体を対象とするScope3への対応は欠かせない課題と認識しており、脱炭素化の取り組みをサプライヤーと協働して進めてまいります。

また当社グループは、低炭素経済への移行を機会と捉え、化石燃料由来のエネルギーコスト削減および機能食品分野等による競争力の強化を認識し取り組んでまいります。

 

(移行リスク)

 

日本新薬への影響

想定されるリスク・機会の施策詳細

指標

財務影響

時間

短期

中期

長期

~2025

2026~

2030

2031~

政策と法

炭素税や省エネ法の強化などにより、エネルギーコスト及び調達品の価格が上昇するリスク

・温室効果ガス排出削減投資促進のためのインターナルカーボンプライス制度の導入

・省エネ・再エネ施策の積極展開

・グループ内啓発や気運醸成の取り組み

・環境委員会での環境規制動向のモニタリングを実施
2030年度に222百万円、2050年に450百万円
2030年の炭素税を140$/t-CO2と仮定して当社の2022 年Scope 1+2 目標値から推計。
2050年の炭素税を250$/t-CO2と仮定して当社の2022 年Scope 1+2 目標値から推計。

費用の

増加

 

 

市場

原材料の需要増加による調達品の市場価格上昇(医薬品)
調達品の市場価格上昇に伴う製品の値上げにより、需要が減少するリスク(機能食品)

・サプライヤーにおける脱炭素活動を積極的に支援し、調達コスト上昇のリスクに対処

売上の

減少

 

 

(物理リスク)

 

日本新薬への影響

想定されるリスク・機会の施策詳細

指標

財務影響

時間

短期

中期

長期

~2025

2026~

2030

2031~

急性

リスク

 局地的な豪雨や大型の台風発生の増加により、原材料調達および製品の出荷物流を含むサプライチェーンが寸断されるリスクが増加

・プロセスの自動化

・多角的な調達先の確保

・サプライヤーとの協働強化

・製造委託先等への工場査察、原料および製品に関する各種情報の整理、製品規格や試験方法の見直しなどにより工場の生産および品質管理体制を強化し、製品リスクの低減につなげる。

売上の

減少

 

 

・異常気象、気象災害による施設の損傷頻度や修復費用の増加

・自社及び共同研究企業を含めた関連施設の損傷による事業活動の中断

・災害時の具体的な行動指針の策定

売上の

減少

 

 

慢性

リスク

降雨パターンの変化による水資源の枯渇・取水制限(生産能力減少による収益減)

・既存拠点の水供給の安全性と渇水及び異常気象に対するリスク評価

 

 

 

 

気候変動による原材料調達不全

・多角的な調達先の確保

 

 

 

 

 

(機会)

市場

気候変動進行による食品保存・品質維持の重要性増大に伴う、当社品質安定保存剤への需要の一層の高まりへの期待

・食品の風味を保ちつつ保存性を高める品質安定保存剤の開発の取り組みにより食品の品質維持向上に貢献し、食品廃棄量削減につなげる。

売上の

増加

 

 

資源

効率
エネルギー

省エネ、水利用量の削減、廃棄物処理などを含めた様々な資源効率の向上による、製造コストの削減

・工場におけるエネルギーの最適化の推進、IoT活用による省エネ生産、工程の整備

費用の

減少

 

 

 

関連するセグメントの営業利益に与える影響額が30%以上の場合

関連するセグメントの営業利益に与える影響額が15%以上30%未満の場合

関連するセグメントの営業利益に与える影響額が15%未満の場合

 

 

③リスク管理

日本新薬グループでは「リスクマネジメント基本規程」を定め、人事・総務・リスク・コンプライアンス・DX担当取締役をリスクマネジメント統括責任者として、リスクマネジメントを統括する専任部門を設置し、気候変動に関するリスクを含め、想定されるさまざまなリスクの洗い出しを行っています。具体的には、事業活動において想定されるリスクを「ガバナンス」「戦略と計画」「経営インフラ」「業務運営」「サプライチェーン」「開示と報告」の6つに大きく分類したうえで、これをさらに小分類へと細分化し、例えば「CSR計画・環境保全の取組み(温室効果ガス等)」といった個別の具体的なリスク項目に整理するとともに、「自社にとっての影響度」と「発生可能性」の2軸からなるリスクマトリクスを用いてリスクの重要度を「高」「中」「低」に分類しています。そして、各責任部門において、当該リスクが顕在化しないための予防策およびリスクが顕在化した場合の対応策を策定し、リスク管理シートとしてまとめ、それぞれのリスクに適切に対応できるように取り組んでいます。

さらに毎年これらリスクの中から、グループ全体や各部門において重要度の高い活動テーマを選定し、1年間のアクションプランを通じてその予防策の強化などに取り組んでいます。取り組みの結果は、年度末のリスク・コンプライアンス委員会で活動報告を行い、取締役会に報告され、次年度以降の活動の改善につなげています。

 

2025年度活動テーマ

リスクマネジメント目標

自然災害(地震・噴火・津波・台風・風災・落雷など)、火災・爆発

・事前予測できる特別警報クラスの自然災害に対して、国・行政発表を基にした注意喚起や対策、啓発を実施する。

・火災・爆発などの有事の際に、初動対応が行えるよう教育、消火器訓練・避難訓練を実施する。

小田原総合製剤工場における各種防災訓練の強化

・4号棟での災害発生を想定した防火・防災訓練の立案・実施する。

・各種災害を想定したマニュアル・規定を整理する。

医薬製品供給不能リスク

当社で初めてとなる凍結液剤を予定通り、生産発売する。

機能食品原材料・製品等の安定調達

当社が取り扱う機能食品全品目に関して、需要と供給のバランスを計測し、適切な在庫管理を実施する。

化学物質の適正管理

化学物質保有量の削減、化学物質管理システム運用及び法改正への迅速かつ適切な対応により「化学物質の適正管理」を推進する。

 

④指標及び目標

日本新薬グループは、気候変動のリスクと機会を管理する指標として、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets」(以下SBT)基準の野心的な目標設定を行い、2020年度を基準に2030年度の温室効果ガス排出量(Scope1,2)42%削減を目標としました。また、サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量(Scope3カテゴリ1)については、2020年度を基準に2030年度の温室効果ガス排出量25%削減を目標としました。これら当社の温室効果ガス排出削減目標は、2024年1月にSBTiから科学的根拠に基づく目標として認証されました。

 

SBT認定 温室効果ガス削減目標

Scope1+2

2030年度の温室効果ガス排出量を42%削減(2020年度基準)

Scope3(カテゴリ1)

2030年度の温室効果ガス排出量を25%削減(2020年度基準)

 

2023年のScope1,2は8,423t-CO2、基準年度である2020年比で28.2%削減となりました。Scope3カテゴリ1は212,430t-CO2、基準年度である2020年度比で29.6%の増加となりました。Scope3カテゴリ1算定方法は調達金額をもとに算定しておりますが、今後は削減に向けて、サプライヤーと協働した取り組みを進めてまいります。

なお、2024年度実績に関しては、日本新薬レポート2025にて開示予定としております。

CO2削減への取り組みは、カーボンニュートラルを見据えたロードマップを設定し、2021年より太陽光発電設備設置をはじめとした再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えを開始し2023年には日本新薬グループ全体のCO2排出量(Scope2)から53%削減しました。今後も再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを拡大してまいります。またサプライチェーンにおけるCO2削減についても、エンゲージメントの強化を推進しCO2排出量削減目標に取り組んでまいります。

また、営業車両のハイブリッド車比率をKPIとして設定しており、豪雪地帯を除き2020年度からの4年間で全てハイブリッド車に入れ替えました。

また機能食品部門においては、食品廃棄物削減による需要から品質安定保存剤の拡大を見込んでおります。

詳細は、当社サステナビリティWebページ内「環境とともに」(https://www.nippon-shinyaku.co.jp/sustainability/esg/environment/tcfd.php)をご参照ください。

 

(3)人権

≪人権方針の考え方≫

私たちは、「人々の健康と豊かな生活創りに貢献する」を経営理念とし、「京都のグローバルヘルスケアカンパニーとして、一人ひとりの新しい生きるを世界に届ける会社」となることを目指しています。これを実現するために、日本新薬グループの全ての役員、従業員が社会からの期待に応え、信頼を得るための事業活動において取るべき行動の実践基準である「日本新薬グループ行動規範」に基づいて、企業の人権尊重を果たすべく「日本新薬グループ人権方針」を定めました。本方針は、日本新薬グループ従業員のみならず、当社に関わるすべての取引先企業に対しても理解と賛同を求めるものです。

 

①ガバナンス

日本新薬グループでは、年2回のサステナビリティ委員会で人権尊重に関する取り組みについて審議・報告し重要な事項は取締役会に報告しています。

人権尊重に対する責任者を経営企画・サステナビリティ担当取締役とし、サステナビリティ推進部で課題解決に向けた取り組みを推進しています。

各人権課題への対応は人権分科会にて定期的に見直しを図り、サステナビリティ委員会にて報告します。また有事が発生した際の迅速な対応に向け、さらなる体制強化を推進します。

 

②戦略

日本新薬グループでは、企業として人権尊重責任を果たすべく、人権方針を遵守するのはもちろんのこと、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを進めています。事業活動を通して引き起こされる可能性のある人権への負の影響を特定・評価した上で、防止・軽減措置を講じ、その効果を確認するために、今後も継続してPDCAサイクルを回すとともに、取り組みの結果については外部への開示を進めてまいります。

 

③リスク管理

(1)人権課題の把握

 関連部門長をメンバーとした人権分科会を設立、業界特有の人権課題を基盤とし各部門の立場から当社の人権リスクと考え得る項目について新たに検討いたしました。

 

(2)人権課題の評価

人権への負の影響と発生可能性の2軸で影響度評価を実施のうえ、各種人権リスクの重要度を評価しました。

 

(3)人権課題の特定

(2)の評価に基づき、人権分科会にて、当社が優先して取り組むべき人権課題を以下の通り特定いたしました。特定にあたっては、全グループ従業員を対象とした人権意識調査結果も踏まえており、今後も同様の調査やステークホルダーとのダイアログを通じて、課題の見直しを図ります。

・患者さんの安全

・職場環境の整備

・差別の禁止・ダイバーシティの推進

・児童労働

・強制労働

・安定供給

・コミュニティへの影響

・賄賂と腐敗

 

(4)ステークホルダーエンゲージメント

2022年度は管理職、2023年度は全グループ従業員を対象に人権意識調査を実施しました。調査結果については、人権専門家とのダイアログを実施した上で、人権課題に反映しました。

また、2023年UNDP主催のビジネスと人権アカデミーにサステナビリティ推進部のメンバーが参加し、人権デュー・ディリジェンスの進め方について基礎から学びました。個別ガイダンスセッションでは、国内外の専門家と意見交換を行うことで理解を深めました。

その他、一般財団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンにも加入しており、ヒューマンライツデューデリジェンス分科会に参加することで最新の人権関連情報の入手に努めています。今後も定期的に専門家やステークホルダーとのダイアログを実施していきます。

 

(5)通報窓口

日本新薬グループでは、一般のお客さまを含め、様々なステークホルダーの方々からご質問・ご意見を承る窓口をWEB上に設置しています。人権やハラスメントに関する内容も当窓口にて受け付けており、匿名によるお問い合わせも可能です。また、お問い合わせ内容について守秘義務など必要な措置を取るとともに、窓口の利用を理由に不利益な取り扱いが行われないよう、適正な運用に努めています。

 

(4)人的資本

①「選ばれる会社」「選ばれる社員」を目指して

 当社では、「特長のある製品は個性あふれる人財から」の考えのもと、多様性を尊重し、一人ひとりが前向きに挑戦し成長する機会を提供することで、「社員一人ひとりが成長し多様な人財が活躍できる人的資本経営の推進」に取り組んでいます。

 (1)「選ばれる会社」になるための施策

当社が今後持続的に成長するためには、社員が自己実現や成長を実感でき、ここで働き続けたいと思うような、社員から「選ばれる会社」にならなければなりません。そこで2023年度からは「一人ひとりが本気で挑戦する」ことができる組織風土醸成のため、「役割・責任・成果に応じた処遇の実現」「主体的なキャリア形成と適所適財の実現」「心理的安全性の高い組織の実現」「柔軟な働き方の実現」の4テーマ(下表)に取り組んでいます。性別や国籍、年齢など個人の背景に関係なく活躍できる制度や環境を整えるため、2024年度より人事諸制度の改定を行いました。今後も必要な改定を行うとともに、運用を強化します。

役割・責任・成果に応じた処遇の実現

主体的なキャリア形成と適所適財の実現

心理的安全性の高い

組織の実現

柔軟な働き方の実現

・ジョブ・

  ディスクリプション

・賃金制度改革

・昇格年数短縮

・評価制度見直し

 

・コンピテンシー

  サーベイ

・NSアカデミー

・専門職の拡大

・CAST制度

  /社内公募

・社内プロボノ

・副業制度

・1on1ミーティング

・エンゲージメント

  サーベイ

・社内称賛アプリ

・リーダーシップ

  アセスメント

・勤務地希望

・テレワーク

・フレックスタイム

・時差勤務

・両立支援

 

(2)「選ばれる社員」になるための施策

 当社が望むのは、社員が主体的に自己育成する姿です。社員が現状を知る→目標とのギャップを明確にする→ギャップを埋める自己育成計画→自己育成計画の実行のサイクルを回し、自らの価値を高めることで、社員は当社から「選ばれる社員」となります。この「選ばれる会社」、「選ばれる社員」の実現こそが成長の駆動力と考えます。

 

 

 

 

また、「選ばれる会社」、「選ばれる社員」の連鎖により、さらに広く社会から求められる存在意義の高い会社へと成長し、社員のエンゲージメントは高まると考えています。当社は今後、社員のエンゲージメントを客観的指標によって測定し、継続的にこれらの取り組みを評価していきます。

 

(評価項目)

 当社では、人的資本経営の時代を見据え、社員のエンゲージメントを測るエンゲージメントサーベイの手法を2023年度に抜本的に見直しました。エンゲージメントサーベイだけでなく、各種施策においても2028年度の目標を設定し取り組んでいます。

 なお、各指標の現在および中長期的な目標は、当社においては具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社で行われていないため、当社の実績および目標となります。

指標

現在

中長期的な目標

エンゲージメントサーベイ※
ⅰ.ポジティブ回答率

ⅱ.ポジティブ回答率

ⅲ.ポジティブ回答率

 

2024年度:68%

2024年度:63%

2024年度:70%

 

2028年度:75%以上

2028年度:75%以上

2028年度:75%以上

研修・自己育成時間(1人あたり)

2024年度:34.1時間

2028年度:100時間

研修・自己育成費用(1人あたり)

2024年度:9.3万円

2028年度:20万円

副業

2024年度:37人

2028年度:100人

※エンゲージメントサーベイはQualtrics社のサーベイを使用

※ポジティブ回答率:5段階評価で「非常にそう思う」、「そう思う」と回答した割合

※エンゲージメントに関する3項目は以下の通り

  ・ⅰ私は、仕事を通して個人として達成感を得ている

  ・ⅱ私は、この会社を素晴らしい職場として、知人に勧めると思う

  ・ⅲ当社では、仕事を成し遂げるために求められる以上の貢献をしようという気持ちになる

 

②さらなる女性活躍の推進

「従業員の状況」に記載している「管理職に占める女性労働者の割合」は、14.4%であり、女性社員構成比(31.9%)との間に格差があります。また、管理職を含めた幹部職全体に占める女性労働者の割合(17.9%)も高くはない状況です。1つの要因として、一部の女性社員が育児や介護など家庭との両立を理由に幹部職を志向しないことが考えられます。フレックスタイム制度やテレワークなどの多様な働き方を支援する制度に加え、2014年には、育児休業期間を昇格に必要な年限に含める制度を導入して、女性の昇格機会が損なわれることがないよう配慮しました。その結果、産休のみで復職する社員もいれば、子の2歳年度末まで取得する社員もおり、個人のニーズに合わせ女性社員自身が育児休業期間を選択できるようになっています。また、これまでにも策定してきた「女性活躍推進法および次世代育成支援対策法に基づく行動計画」を2024年4月より更新し、より高い目標(下記参照)の設定および具体的な取組み内容を策定しました。現状でも男女に格差がある原因については、日本社会において根強くある男女の性別役割意識や、それに基づく職場内での無意識のバイアスが考えられます。当社では管理職・一般社員向けの研修、啓発活動を通じて無意識バイアス解消を図り、残業時間の削減や年休の消失防止に向けた対策を実施すること等により、女性が安心して上位職位に挑戦できる働きやすい環境の整備および男性の育児休業等取得を促進していきます。また、NSアカデミーが提供する多彩な研修プログラムにより育児休業取得後の業務復帰を支援します。

 

 (a)全社員、幹部職、管理職の男女比

 

男性

女性

合計

全社員

1,278人(68.1%)

598人(31.9%)

1,876人(100%)

幹部職

512人(82.1%)

112人(17.9%)

624人(100%)

うち管理職

268人(85.6%)

45人(14.4%)

313人(100%)

 

 (b)育児休業取得率(男女別)

 

男性

女性

育児休業取得率

76.2%

94.4%(※)

※産休のみでの復職者5.6%

(評価項目)

 当社では、女性管理職比率および男性育児休業取得率において、中長期的な目標を設定しています。

 なお、連結グル-プ各社での取り組みが異なるため、各指標の現在および中長期的な目標は、当社の実績および目標になります。

指標

現在

中長期的な目標

女性管理職比率

2024年度:14.4%

2028年度:17%

男性育児休業取得率

2024年度:76.1%

2024~2028年度平均:75%

 

③健康経営

すべての社員が最高のパフォーマンスを発揮するためには、一人ひとりが心身ともに健康でウェルビーイングであることが重要であると考え、基本的な安全衛生活動と健康経営を推進しています。2018年の健康宣言発出に続き、2021年のウェルビーイング宣言では“会社は社員のウェルビーイングを共に創るパートナー”と位置付けました。

推進体制としては、経営者との協議および全社安全衛生委員会で推進方針を決定するほか、健康保険組合・労働組合とも連携した健康経営ワーキンググループにて健康リテラシー向上を目的とした全社向けの健康教育、喫煙対策や生活習慣の改善に向けた機会を提供しています。また現場の声を吸い上げるために各事業所にウェルビーイングサポーターを配置するなど、健康経営の浸透に努めています。

 

(a)健康経営優良法人(ホワイト500)認定状況

認定年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

2024年

2025年

認定状況

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なお、2024年12月に人的資本に関するレポートを公開しました。今後は毎年7月頃に更新予定です。

・ヒューマンキャピタルレポート掲載リンク:https://www.nippon-shinyaku.co.jp/sustainability/esg/human-capital/human_capital_report.php