2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,765名(単体) 4,272名(連結)
  • 平均年齢
    42.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.5年(単体)
  • 平均年収
    7,950,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

医薬品事業

4,272

[742]

合計

4,272

[742]

 

(注) 1 従業員数は、就業人員数です。

2 臨時従業員数は[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しています。なお、臨時従業員には、臨時社員・契約社員等を含み、派遣社員は除いています。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,765

[511]

42.6

16.5

7,950

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

医薬品事業

2,765

[511]

合計

2,765

[511]

 

(注) 1 従業員数は、就業人員数です。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 臨時従業員数は[ ]内に当事業年度の平均人員を外数で記載しています。なお、臨時従業員には、契約社員を含み、派遣社員は除いています。

 

(3) 労働組合の状況

当社には「ツムラ労働組合」が結成されており、医薬化粧品産業労働組合連合会に加盟しています。

2025年3月31日現在の組合員数は2,132名で、ユニオン・ショップ制を採用しています。

なお、労使関係は円満であり、特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 

管理職に占める女性
労働者の割合(%)

(注)1,3

男性労働者の育児
休業取得率(%)

(注)2,3

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1,3,4

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

10.26

74.67

78.75

78.76

78.40

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3.管理職に占める女性労働者の割合については、2025年3月31日時点の割合を算出したものであり、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、2024年4月1日から2025年3月31日までを対象期間として算出したものです。

4.労働者の男女の賃金の差異については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。

5.上記指標は、出向者を出向先の従業員として集計しています。

 

② 連結子会社

 

名 称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

株式会社ロジテムツムラ

10.00

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.管理職に占める女性労働者の割合については、2025年3月31日時点の割合を算出したものであり、出向者は出向先の従業員として集計しています。

 

③ 連結ベース

 

名 称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

株式会社ツムラ(当社)及び連結子会社

16.67

 

(注) 1.提出会社及び連結会社15社の集計値を記載しています。

2.提出会社及び国内連結子会社の管理職に占める女性労働者の割合については、2025年3月31日時点の割合を算出したものであり、出向者は出向先の従業員として集計しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

ツムラグループのマテリアリティ(重要課題)は、パーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」、経営理念「自然と健康を科学する」の体現に向けた事業への取り組みそのものを指します。ツムラグループの事業から創出される「自然」と「健康」に関わるすべての価値は、社会との共通価値の創造につながります。

ツムラグループの事業は、原料生薬の栽培からはじまる“漢方バリューチェーン”によって構成され、自然環境と深い関わりがあります。

私たちは、事業の根幹を成す豊かな自然環境を未来へつなげていくために「自然環境の変化や危機に最も敏感な企業」であり続けます。また、持続可能な社会の創造に向けたさまざまな課題の解決に事業を通じて取り組んでいきます。この決意を、「自然と生きる力を、未来へ。」というサステナビリティビジョンのメッセージとし、人間・社会・地球環境のサステナビリティを推進しています。

また、「サステナビリティ憲章」においては、ツムラグループおよびその役職員が「サステナビリティビジョン」実現のために取るべき行動、姿勢を規定しています。本憲章をツムラグループおよびその役職員が遵守し、各ステークホルダーの皆様との価値観の共有とより良い関係の構築を図り、サステナビリティビジョンの実現を目指していきます。

本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

① ガバナンス

自然資本および気候変動を含むリスクと機会や、ツムラグループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るための重要な意思決定は、取締役会が担っています。また取締役会で戦略の決定、投資判断等を行うに際しては、自然資本および気候変動に係る影響を踏まえて意思決定を行っています。

サステナビリティ委員会(2021年10月設置)は自然資本および気候変動を含むサステナビリティに関する議題を扱っています。2023年度には「委員長報告会」も設置し、サステナビリティに関する各分科会の進捗報告とそれに対する経営の指示が迅速に行われる体制を構築しています。

サステナビリティ委員会の委員長はサステナビリティに関する業務の担当役員である取締役Co-COOが担っており、サステナビリティ委員会で審議された全てのテーマは委員長(取締役Co-COO)が取締役会に報告します。

取締役会は、サステナビリティ委員会から報告された全ての案件について、パーパス、経営理念およびサステナビリティビジョンの体現に資するかも含め、内容を確認し、方針の提示や監督を行っています。

また、自然資本および気候変動を含む長期経営ビジョンの実現を通じて当社の企業価値を持続的に向上するため、2022年度より当社の取締役(監査等委員である取締役および非業務執行取締役を除く)および当社と委任契約を締結している執行役員の中長期業績連動株式報酬(長期インセンティブ)の評価の一部として、自然資本および気候変動に関連するサステナビリティ課題の進捗目標の達成度に応じた評価指標を組み入れており、この配分割合は25%です。

人的資本に関しては、取締役会からの諮問を受けて、TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031の実現に必要な施策について当社グループにおける組織・人的資本政策基本方針にもとづき議論し、業務担当部門等へ方針提示するため、2022年10月に「組織・人的資本政策委員会」を設立しました。ツムラ独自の7つの資本※を構成する組織資本・人的資本による価値創造プロセスを可視化し、企業価値の向上につなげてまいります。

 

 

<自然資本および気候変動関連のガバナンス体制図>


 

<自然資本および気候変動関連のガバナンス体制>

取締役会

・自然資本・気候変動対応の方針提示、監督

・サステナビリティ・ターゲットの決定・評価

サステナビリティ
委員会

・自然資本・気候変動リスク・機会の検討

・自然資本・気候変動リスク・機会に関する活動計画の策定、推進

・自然資本・気候変動に関する対応状況およびサステナビリティ・ターゲットの進捗状況のモニタリング

・自然資本・気候変動リスクに関する事項の取締役会への報告

リスクマネジメント委員会

・自然資本・気候変動に関わる経営リスク等の検討、計画立案、進捗確認と
取締役会への報告

 

 

② リスク管理

自然資本および気候変動関連のリスクに関しては、主にサステナビリティに関するテーマを扱うサステナビリティ委員会と、経営リスクに関するテーマを取り扱うリスクマネジメント委員会において審議され、両委員会が情報を共有しながら、リスクを評価・管理しています。

サステナビリティ委員会は、外部専門家の助言も踏まえ、自然資本および気候変動が中長期的にツムラグループの経営戦略に与えるリスクと機会の分析、対策の検討を行います。その結果については取締役会に報告し、取締役会は必要な指示を行い、対応状況を監督します。

リスクマネジメント委員会は、あらゆる要因による工場の操業停止等のリスクを、財務上の影響の多寡、発生確率の高さを勘案し、優先順位を決定のうえBCP対応を含む対策の検討を行い、その結果を取締役会に報告します。サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会で検討するリスクは、事業リスクとして統合・管理しています。

 

※ ツムラ独自の7つの資本

IIRC(国際統合報告評議会)が発行した「国際統合報告フレームワーク」の中では、組織固有の価値創造のあり方を検討する概念として「6つの資本」が提示されています。一方、当社グループでは7つ目の資本として「組織資本」を加えています。この資本は、私たち独自の考え方で、「複数の生薬の組み合わせで構成されている漢方薬のように、固有の能力と個性を持った人々が多く集まり、目指すべき社会価値を創出するために調和している組織」を指しています。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

① 自然資本・気候変動(TNFD・TCFD)の統合

私たちは、社会との共通価値を創造するために、7つの資本を源泉として、理念に基づく経営を実施しています。その中でも、事業の柱となる漢方事業に不可欠な生薬は自然資本そのものです。そのため、生物多様性をはじめとした自然資本の保全・回復や、脱炭素等の気候変動対応は必要不可欠であると認識しており、関連する取り組みを積極的かつ継続的に進めています。開示については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言のフレームワークに基づき、それぞれ2021年度および2024年度に開始しました。

自然資本と気候変動は密接で不可分な関係であり、TNFDの最終提言書においても、自然関連開示と気候関連開示の統合の重要性について明記されています。こうした背景から、2025年度は、「ガバナンス」、「リスクと影響の管理」、「戦略」の一部および「指標と目標」に関し、自然関連課題・気候関連課題の統合的な分析・開示を進めました。

 

a 戦略

昨年度までの分析結果を基に、自然関連・気候関連を統合する形でリスク・機会の特定・評価の更新を行いました。リスク・機会の評価においては、社内の関連部門とのヒアリングやワークショップを実施し、外部専門家の助言も参考にしながら進めました。

自然資本・気候変動等に関し不確実な将来を的確に見据えることは難しい状況ですが、私たちは、起こりうる世界における自社事業のレジリエンスや対応戦略を確認・検討するために、3種類の異なる将来シナリオの下でリスク・機会がどのように発現するかを分析しました。3つのシナリオそれぞれにおいて、2030年および2050年における各リスク・機会項目の重要性を評価しました。

なお、各リスク・機会項目の重要性評価においては、影響度(小:10億円未満、中:10億円以上100億円以下、大:100億円超)と、発生可能性(低:10年に1回程度以下、中:数年に1回程度、高:年に1回以上)を勘案し、対応策の影響を考慮しない場合を想定して評価を進めました。

 

なお、リスク・機会項目の分析等、TCFD・TNFD統合開示の詳細は以下をご覧ください。

 ●TNFD/TCFD提言に基づく統合的な情報開示
   https://www.tsumura.co.jp/sustainability/environment/tnfd-tcfd/ 

 

 

<重要性の評価方法>

<ワークショップの様子>



 

 

<選定したシナリオ>


<シナリオ#1~4の世界観>

 

#1

#2

#3

#4

①生態系サービスの劣化

緩やか

進んでいる

激しい

緩やか

②政策・法規制

強化される

強化される

後手に回る

後手に回る

③技術

大きく進展する

進展する

進展は限定的

進展は限定的

④市場・社会の関心

高い

高い

低い

低い

⑤気候変動の状況

2100年までの気温上昇は
 1.4~1.5℃程度の経路で進捗
(1.5℃シナリオに相当)

2100年までの気温上昇は
 1.7~1.8℃程度の経路で進捗
(2℃シナリオに相当)

2100年までの気温上昇は
 2.4~4.4℃程度の経路で進捗
(4℃シナリオに相当)

2100年までの気温上昇は
 1.4~1.5℃程度の経路で進捗
(1.5℃シナリオに相当)

 

 

 

シナリオ#1から#3において重要度「大」と評価されたリスク・機会(以下、重要なリスク・機会)を整理した結果、生態系サービスの劣化が深刻化する#2や#3のシナリオでは、重要なリスクが比較的多く認められました。

一方、シナリオ#1では「低環境負荷・高効率の生産プロセスへの移行(栽培技術・農法)」が、シナリオ#2および#3では「気候変動に伴うニーズの変化」がツムラグループの事業機会として重要であると評価されました。

なお、評価したリスク・機会項目は全体で13件(リスク8件、機会5件)であり、全てのリスク・機会に対して対応策を講じていることも確認しました。

 

<各シナリオにおける重要なリスク・機会>


 

 

b 指標及び目標

イ 指標

当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、Scope1、2、3のGHG排出量を定めています。

また、第2期中期経営計画より、4つの観点からサステナビリティ活動をとらえ、その活動全体において、ガバナンス・評価を向上させることを戦略としています。気候、自然資本は密接で不可分であるとの考え方のもと、後述するサステナビリティ・ターゲット2027では、サステナビリティ区分とマテリアリティを紐づけ、自然資本への依存・影響を考慮し、気候変動やネイチャーポジティブに対する直接的な目標を設定したほか、前述のリスク・機会に関する目標も部分的に包含させ、管理していきます。

 

<サステナビリティ区分>


 

 

 

ロ 実績

2023年度のScope1、2、3のGHG排出量実績は、以下のとおり(第三者検証済み)です。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

42,744t

(前年度比0.5%減)※

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

45,483t

(前年度比30.6%減)※

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

293,849t

(前年度比15.6%増)※

 

※2022年度から天津津村製薬有限公司、盛実百草薬業有限公司の排出量を算出対象に含めています。

※Scope3の排出量増加の主な要因は、原料生薬調達量の増加によるものです。

 

ハ 目標

サステナビリティ・ターゲット2027では、カーボンニュートラルの実現に向けて、GHG排出量(Scope1、2)の削減に加え、サプライチェーンエンゲージメントを通じたScope3への対応に着手します。

自然資本に関わる目標として、新たに野生生薬の栽培化や生物多様性保全活動、自然共生サイトの登録を推進するとともに、プラスチックの新素材化、産業廃棄物(生薬残渣)の利活用および水の再利用を推進します。自然資本に関わる目標は、気候変動の緩和や適応にも資すると考えています。

 

サステナビリティ・ターゲット2027

基準年:2020年度

 

マテリアリティ

サステナビリティ区分

大項目(課題)

LTI-Ⅱ

指標

目標

※1

 

 

※2

 

2027年度

2031年度

自然①

カーボンニュートラル

の実現

GHG

GHG排出量削減 (Scope1,2)

15%削減

50%削減

 

サプライチェーンエンゲージメント
 (Scope3)件数

生薬・原資材等
 :51件

自然②

自然③

ネイチャーポジティブ

の実現

生薬の栽培化研究

野生生薬の栽培化 (品目数)

7品目※3

23品目

森林・土壌・水源の涵養

 

生物多様性保全活動 (地域数)

4件

 

自然共生サイト登録

2件

自然④

ツムラサーキュラー

エコノミーの構築

プラスチック

新素材化率 (%)

30%

50%

産業廃棄物

 

生薬残渣の利活用推進
   (有価物化、%)

30%

 

水の再利用率 (%)※4

60%

健康①

地域・社会

リレーション構築

生薬産地・生産拠点等の

 ・自然環境保全
 ・地域振興(教育・雇用)
 ・社員教育

 

生薬栽培地や地域との協働
 (次世代育成)

6件

 

役職員向けサステナビリティ教育
 e-learning(件)

5件

 

※1 マテリアリティの略号は、自然①:気候変動対策(カーボンニュートラルの実現)、自然②:生物多様性の保全(森林・土壌・水源の涵養)、自然③:持続可能な原料調達(生薬の栽培化研究等)、

自然④:資源の循環利用(水・生薬残渣の再資源化)、健康①:天然物由来の高品質な医薬品・製商品へのアクセス拡大、を意味します。

※2 〇を付したものは、中長期業績連動株式報酬(LTI-Ⅱ)の指標の一部として管理されています。

※3 当社で使用する生薬119品目のうち、野生生薬を使用する品目数は基準年(2020年度)において34品目です。

※4 対象は、静岡・茨城・上海・天津の4工場です。ツムラグループ全体の排水量のうち、およそ96%(2023年度実績)はこれらの4工場が占めています。工場では、取水時よりも清浄な水を排水しています。

 

●サステナビリティ・ターゲット2027:https://www.tsumura.co.jp/sustainability/environment/manegement/

 

 

② 人的資本・多様性への対応
a 戦略

「組織・人的資本」こそが企業・事業価値を創造する源泉であるとして、「目指すべき人財像」、「目指すべき組織像」、「目指すべき企業文化」を明確にしています。長期的な視点から、パーパスを掲げた理念経営を支える漢方薬的組織※を目指し、人財の潜在能力開発を促し養成し続けます。

 

第2期中期経営計画では、ビジョン実現に資する人的資本の充足と漢方薬的組織の開発を通じて、組織・人的資本価値の向上を目指します。理念経営の昇華を図り、理念浸透とコーチングによる漢方薬的組織の構築を進めるとともに、経営人財養成機能を最適化して多様なグローバル人財を輩出します。また、動的な人財ポートフォリオの実現に向けてスキルマップを策定・更新し、それに基づいた人財の採用、配置、育成を実施します。さらに、ツムラ流“養生”健康経営を実践し、組織の健康と活力を高める取り組みを進めます。

 

※漢方薬的組織:私たちは組織のあり方を、生薬=部門・人、漢方薬=会社・部門とみなし、調和の保たれた組織こそが当社グループの目指すべき人財像・組織像であると定義しています。すなわち、「会社という漢方薬は、それぞれの独立機能を有する部門という生薬で構成され、その調和・協業を図る中でベクトルを合わせ、大きな成果を生み出す。また、部門という漢方薬は、一人ひとり異なる力を有する人という生薬で構成され、協調・協働しながら部門の目標を達成する」というのが、当社グループの組織のあり方であると考えています。


[経営人財養成]

社内人財養成機関である「ツムラアカデミー部」を中心に、グループ経営人財の養成と企業文化の醸成に取り組んでいます。

パーパスを掲げた理念経営・ビジョン経営を実践し、ツムラグループを牽引する経営人財を連綿と輩出するために、若手・中堅社員を対象とした「ベーシックプログラム」、次世代経営人財養成プログラムである「経営人財養成講座」といった養成プログラムを実施しています。

2024年度末時点での3年間の経営人財養成講座プログラム修了者は100名となっており、修了者から執行役員等が複数人選任されています。

さらに、長期ビジョンの実現を牽引する次期・次々期経営人財輩出の仕組み「T-Next」について、人財養成プログラムだけでなく、選抜・育成計画・配置・評価を含めて計画的に実施することで経営人財候補者を輩出しています。

 

 

 

 

 

(単体)

 

2020

2021

2022

2023

2024

女性取締役比率(%)

11.1

11.1

11.1

11.1

11.1

女性執行役員比率(%)

7.1

7.1

7.1

 

 

[組織・人的資本政策]

イ 目指すべき人財の採用

事業戦略実現とのための人財ポートフォリオにおける現状の課題解決と将来あるべき姿に向けて、新卒採用とキャリア採用をバランスよく実施しています。また、「女性の新卒採用比率50%の維持・継続」を掲げ取り組んでいます。

 

<人財ポートフォリオ>

「長期経営ビジョン TSUMURA VISION “Cho-WA”2031」を実現するために、どのような人財の量・質が必要か人財ポートフォリオを策定することで、現状のギャップ及び課題を抽出・整理した上で、短期的・長期的の両観点から、必要な人事戦略・施策を実施していきます。

 

 

 

 

 

 

 

(単体)

 

 

2020

2021

2022

2023

2024

 新卒採用社員数(人)

男性

22

21

21

35

29

 

女性

26

28

24

30

39

 

 

 

 

 

 

 

 キャリア採用社員数(人)

男性

25

40

124

121

109

 

女性

14

24

42

46

41

 

 

 

 

 

 

 

 平均勤続年数(年)

 

19.1

18.9

18.1

17.2

16.5

 新卒3年定着率(%)

 

92

100

86.3

97.9

92.3

 離職率(%)

 

1.8

1.44

2.67

2.78

3.05

 

 

ロ 目指すべき人財の育成・配置

「自ら育つ人を育む企業文化を創造する」を人財開発ポリシーとして掲げ、[人][組織][経営]の観点から各層に対応したさまざまな教育機会を設けています。社員のリスキル教育や若手社員のベーススキル習得支援にも注力し、潜在能力開発のため「キャリアチャレンジ(社内公募)制度」を導入するなど、自立的なキャリア形成を支援しています。

また、タレントマネジメントシステムにより、社員の基本情報や能力・保有スキル等のデータを一元化し、戦略的な人財育成や人員配置を進めています。

 

[人]自ら学び、自ら成長しようとする人財に実践的な教育機会を提供します。あるべき姿、能力要件を明示し、教育機会の充実と自ら学ぶ仕組みをつくります。

■理念経営を担う人財の早期育成

■入社3年間を「ツムラ人の基盤づくり」として育成強化

■上位等級に必要な能力を昇格前に習得

■自立的な学び、成長を支援

 

[組織]自ら成長しようとする人財づくりのため管理職を中心に育成マインドを育みます。部下育成を管理職の最も重要な役割の一つと位置づけ、業務を通して部下を動機づけし、育成する意識を強化します。

■部下育成マインドの強化

■コーチング文化の醸成

■1on1コーチングの実施

■育成計画の共有(上司-本人-人事部)

 

[経営]ビジョンの実現を牽引する次期・次々期の経営人財を養成する仕組み(T-Next)により継続的に育成される体制を整えます。若手教育でツムラ人としての基盤を固め、各層において次世代の経営人財が育成される仕組みをつくります。

■T-Nextによる計画的な育成

■各層のプログラムにより実践を通じた育成

 

 

 

 

 

 

(単体)

 

2020

2021

2022

2023

2024

社員一人当たりの教育費(千円)

93

124

126

120

115

年間教育時間(人事部、ツムラアカデミー部における実施)

1,372

1,702

1,575

1,334

1,324

 

 

ハ ダイバーシティ&インクルージョン推進

当社グループでは、「多様な従業員のさらなる活躍に向けた環境整備と企業文化の醸成」、「多様性を重視した公平・公正な採用と登用の継続」、「女性従業員・キャリア採用入社従業員のキャリア形成支援」を掲げ、多様な視点・発想や価値観を持つすべての社員の活躍と成長を実現するため、「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みを推進していきます。

具体的には、性別、年齢、国籍、障がいの有無などに関わらず、多様な人財を迎え入れ、個性を尊重し合い、組織(チーム)メンバーで目的・価値を求心力とした“対話”により、社員一人ひとりの潜在能力を引き出すことで、イノベーションの創出、企業価値の向上を図っています。

働きがい・生きがいを持って活躍できる職場環境づくりのために、女性管理職育成セミナーの開催や育児・介護等と仕事の両立支援制度のさらなる拡充に取り組んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

(単体)

 

 

2020

2021

2022

2023

2024

 従業員数(人)

 

2,556

2,564

2,631

2,711

2,765

 従業員の女性比率(%)

 

21.7

23.0

24.3

25.3

26.2

 女性管理職比率(%)

 

5.9

6.3

7.4

8.4

10.1

 

 

 

 

 

 

 

 育児休業取得比率(%)

男性

19.0

37.0

52.0

57.3

74.7

 

女性

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

 

 

 

 

 

 

 

 育児休業平均取得日数(日)

男性

24.1

12.3

24.6

26.5

55.0

 

女性

125.4

121.4

119.3

232.2

189.8

 育児休業取得者復職率(%)

 

97.5

100.0

100.0

100.0

100.0

 

 

 

 

 

 

 

 障がい者雇用率(%)

 

2.83

2.91

2.58

2.50

2.23

(注)女性管理職比率については、各年度における4月1日時点の割合を記載しています。

 

 

ニ 従業員エンゲージメント向上

「長期経営ビジョン TSUMURA VISION “Cho-WA”2031」を実現するためには、従業員一人ひとりのエンゲージメント向上が不可欠です。組織に対して自発的に貢献する意欲が高まるよう、理念の浸透、従業員の成長を支援する能力開発やキャリア構築、働き方や健康管理の環境整備に取り組んでいます。

また、目的・価値を求心力とした対話により主体的に行動することで、自身の潜在能力を引き出す企業文化の醸成を進めています。TSUMURA GROUP DNA Pyramidの考え方などを参加者同士で対話する「理念浸透・コーチミーティング」を継続し、「ツムラ“対話”セオリー」として確立するとともに、漢方薬的組織づくりを目指した取り組みとして「チームビルディング」「個別組織サポート」を実施しています。

理念浸透サーベイ結果は4.04点/5点満点と高い水準を維持しています。自業務を高い品質で実行することや職場の改善など、より実践的な内容に焦点が移り、立場や役割にとらわれず、各人が自分なりにパーパスや基本理念を理解し、咀嚼して行動していることが、コメントから読み取れました。


<従業員株式交付制度>

2022年4月に成長性としての「長期経営ビジョン」を10年単位で策定し、持続性としての「サステナビリティビジョン」は2050年のカーボンニュートラルの実現をゴールに見据えて10年ごとのマイルストーンを策定しています。この2つのビジョン実現に向けて、社員の意識向上と能力の発揮、大きな貢献を成す意欲をより一層醸成していくことを目的として、2023年4月に全従業員を対象とした従業員株式交付制度を導入しました。

 

<リスキル「デジタルリテラシー教育」>

全従業員がデジタルリテラシーを習得し、社内のDX化による生産性向上を円滑に進める目的で、2023年度よりデジタルリテラシーを高めるリスキル教育の取り組みをスタートしました。2024年度管理職のMOSExcel取得率は85%、ITパスポートは60%を越えました。

 

<キャリアチャレンジ(社内公募)制度>

2022年度より、やりたい仕事、働きたい組織や場所を選択できる機会を提供することで自発的にキャリアプランを描いて行動できる自主自立した社員を育成するため、キャリアチャレンジ(社内公募)制度を導入しました。社員の働きがい、モチベーションの向上につなげるとともに優秀な社員の発掘や社外流出の抑制を図ること、適切な人員配置により、組織力を強化することを目指しています。

 

<セルフ・キャリアドック制度>

社員一人ひとりが自律的・主体的なキャリア形成を築き、自身の目指す姿に向かって充実した働き方を実現するために、2024年4月にセルフ・キャリアドック制度を制定しました。従来実施してきた年代別のキャリアセミナーやセミナー後のキャリア面談に加え、いつでも気軽に相談できるキャリア相談窓口(キャリア テラス)を設置しました。

2024年度キャリア相談窓口(キャリアテラス)の利用者数は、キャリアセミナー後の相談者が42名、セミナー参加者以外の利用者も42名で、合計84名でした。利用者は、年代(20代~60代)、雇用区分(管理職、一般職、嘱託社員、契約社員)など隔たりなく多様な人財が利用しています。

 

<在宅勤務制度>

2023年4月より業務の適正管理、コミュニケーション確保の内容を規定した「在宅勤務規則」に基づく本格的な運用を開始しています。具体的には、業務及び目標管理の進捗等について、デジタルツールを活用した毎日の業務報告の実施、定期的な1on1による個別面談、課単位の打合せや情報交換により、職場での業務と同様にコミュニケーションを図ることで、円滑に業務を遂行できるような運用を目指しています。

 

 

<副業に関するガイドライン>

新たに「ツムラ副業に関するガイドライン」を制定し2024年4月より運用を開始しました。従業員一人ひとりが、自主・自立的に活躍できる場を社外に広げることでさまざまな分野の人とのつながりが広がり、自らの能力を向上させ、副業で得た経験やスキルを自身の業務へ活用することを支援するとともに、企業経営の基盤である人的資本価値の向上に向けた環境づくりを目指しています。

 

<健康経営の推進>

「ツムラ健康宣言」のもと、養生を中心とした健康経営を推進しています。製品やサービスを通じてステークホルダーの皆様に価値を提供する役職員が、養生を実践し健康に留意していることが、社会の信頼にもつながると考えています。また、健康経営の取り組みが認められ、経済産業省と日本健康会議から「健康経営優良法人2024」の大規模法人部門に認定されました。

 

ツムラ健康宣言

養生人財育成システム



 

 

b 指標及び目標

イ 方針

多様性の確保に向けて、3つの方針を掲げ取り組んでいます。

「多様な従業員のさらなる活躍に向けた環境整備と企業文化の醸成」

・目的や価値を求心力とした「組織横断的な対話」の推進

・多様な価値観を受け入れ、尊重し合う職場環境づくり

・育児・介護等と仕事の両立支援制度のさらなる拡充

・「働きがい向上」活動の継続実施と柔軟な働き方の環境整備

 

「多様性を重視した公平・公正な採用と登用の継続」

・新卒・キャリアを両輪とする採用活動の継続

・女性の新卒採用比率50%の維持・継続

・個々の能力に応じ、経営に関わる重要課題、知見・経験の蓄積につながる職位等に登用

 

「女性従業員・キャリア採用入社従業員のキャリア形成支援」

・経営人財養成講座、次世代育成研修等プログラムへの積極的な女性参加と早期のキャリア開発

・女性リーダー養成プログラムの実施

・キャリア採用入社従業員の入社時導入研修の充実

 

 

ロ 目標及び実績

■数値目標

指標

2023年度

(実績)

2024年度

(実績)

2025年度

2026年度

女性管理職比率(注2)

8.4%

10.1%

11.8%

12.5%

育児休業取得率

男性

57.3%

74.7%

100%

100%

女性

100%

100%

100%

100%

育休平均取得期間

男性

26.5日

55日

60日

60日

女性

232.2日

189.8日

120日

120日

 

(注) 1 指標に関する数値は、連結グループにおける記載が困難であるため、具体的な取り組みが行われている提出会社のものを記載しています。

2 女性管理職比率については、各年度における4月1日時点の割合を記載しています。

なお、2025年度の女性管理職比率11.8%は実績となります。

 

■取り組み

・「女性管理職育成プログラム」による女性管理職育成推進

・「育MEN推進プロジェクト」による男性育休取得推進

・「働きがいを考えるオフサイトミーティング」による従業員エンゲージメント

・「コーチング文化の醸成」による個々の潜在能力発揮

・「チームビルディングサポートチーム」による組織開発推進

・「#OneMoreChoice ※1 推進チーム」による女性社員健康増進

・「人ツムナレッジCafe ※2 」による社員交流と自己啓発推進

 

※1 #OneMoreChoice

「隠れ我慢」を減らし、誰もがもっと心地よく生きられる健やかな社会を目指した取り組み。

※2 人ツムナレッジCafe

社員一人ひとりのキャリアビジョン実現に向け、部門や年代を超えて交流し、自発的に学び合うWEB上の場。