人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,301名(単体) 1,778名(連結)
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平均年齢43.3歳(単体)
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平均勤続年数18.8年(単体)
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平均年収7,809,429円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 従業員数は就業人員であり、パート及び嘱託職員は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員であり、パート及び嘱託職員は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
② 連結子会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3.連結子会社キッセイ商事株式会社、ハシバテクノス株式会社は、常時雇用労働者数が100人以下であるため、記載を省略しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が想定したものです。
これまで当グループでは、グループ各社が、それぞれの経営環境に応じたサステナビリティ活動を行ってきました。当連結会計年度からは、これまで以上の相乗効果を生み出して企業価値をさらに向上させるために、グループ全体で統一した目標を掲げて活動を体系的に統合し、グループとしての取り組みを強化していくこととしました。その初年度として、キッセイグループ環境基本方針とCO2排出量削減目標を設定し、グループ全体での活動を開始しています。
(1)サステナビリティ基本方針
キッセイ薬品は、「純良医薬品を通じて社会に貢献する」「会社構成員を通じて社会に奉仕する」という経営理念のもとに、事業活動を通じて、世界の人びとの健康に貢献するとともに地球環境や社会課題の解決を目指し、企業価値向上と持続可能な社会の同時実現に取り組みます。
・イノベーションの創出を通じて、革新的な製品(医薬品、食品)を開発・提供することにより、世界の人びとの 健康と医療の向上に貢献します。
・環境問題は人類共通の課題であることを認識し、気候変動対策をはじめ、自主的、積極的な地球環境保全活動に取り組みます。
・事業活動に関わるすべての人びとの人権を尊重するとともに、従業員の多様性、人格、個性を尊重した働きがいのある職場づくりに取り組みます。
・コーポレート・ガバナンスを強化・充実し、倫理性、透明性、公平性の高い企業活動により、ステークホルダーとの良好な関係を保ち、持続的な企業価値の向上に取り組みます。
(2)マテリアリティ
当社は、経営理念の実現に向けて、社内外の環境変化や自社の現状と課題を踏まえ、当社が優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
当社は、持続的な社会の実現に向けて、2021年度に「事業との関連性」と「ステークホルダーへの影響度」の二軸から15のマテリアリティを特定しました。2022年度以降はマテリアリティごとにKPIを設定し、これに基づく取り組みの推進と進捗を管理してきました。
一方で、当社を取り巻く環境は大きく変化しており、事業活動を通じた社会価値の創造と、ESGなど社会からの期待・要請への対応をさらに強化していく必要があります。そこで、中期経営計画「Beyond 80」(2025年度~2029年度)の策定にあわせて、マテリアリティの見直しを行い、2025年5月に再特定しました。
マテリアリティの見直しの具体的なプロセスは以下のとおりです。
<Step1 サステナビリティ課題のリストアップ>
SDGs、SASBスタンダード、GRIスタンダードなどの国際的ガイドライン及び、ステークホルダーとの建設的対話を参考に、当社が抱えるサステナビリティ課題をリストアップしました。
<Step2 重要度評価>
リストアップしたサステナビリティ課題を、社内アンケート調査等を通じて「当社の企業価値に影響を及ぼす重要度」と「社会からの期待」の2軸で評価し、その結果をマッピングして優先順位付けを行いました。
<Step3 マテリアリティの特定>
サステナビリティ推進委員会にて新たなマテリアリティ案を策定し、取締役会での議論を経て、新たに取り組むべき8つのマテリアリティを2025年5月に再特定しました。
<8つのマテリアリティ>
1. 独創的な製品の創製・開発
2. 高品質な医薬品の安定供給
3. 患者さん中心の医療への貢献
4. 医療アクセスの向上
5. 経営戦略を実現する創造性のある人材の育成
6. ガバナンスの強化
7. 環境経営の推進
8. 地域社会との共存共栄
なお、2024年度の活動実績については、コーポレートサイトに掲載しています。
https://www.kissei.co.jp/sustainability/materiality/
(3)サステナビリティ全般に関するガバナンスとリスク管理
①ガバナンス
当社のサステナビリティ活動は、サステナビリティ推進委員会が中心となって全社に展開しています。当委員会は、サステナビリティ関連課題に精通する取締役を委員長とし、取締役会の諮問機関としてコーポレート・ガバナンス体制に組み込まれ、取締役会との連携を密にして活動しています。
サステナビリティ推進委員会では、マテリアリティの特定はもとより、気候変動をはじめとした環境問題、人権尊重、人的資本の拡充など、経営基盤に関連するサステナビリティ活動における方針・諸施策を立案するとともに、関係部門との連携のもと、これを推進しています。その活動内容は、半期に1回以上の頻度で取締役会及び監査役会に付議・報告され、取締役会が管理、監督しています。
なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しています。
②リスク管理
当社は、取締役会の諮問機関として、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置し、全社的なリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」に定めるとともに、リスク管理委員会が、当社並びに連結子会社において発生し得るリスクの発生防止に係る管理体制を整備し、その進捗状況を監視しています。また、コンプライアンス委員会では、コンプライアンス推進の適正化を図るとともに、コンプライアンス・プログラムの実践に取り組んでいます。
サステナビリティ関連リスクについても重要な経営リスクの一つとして捉えており、サステナビリティ推進委員会で特定したリスクについては、年に1回以上の頻度で事業活動に及ぼす影響度の見直しを行い、影響度に応じて費用対効果と緊急度を勘案し、優先順位をつけて対応策を講じています。その管理状況については、サステナビリティ推進委員会より取締役会及び監査役会に付議・報告するとともに、リスク管理委員会へ報告し、全社の総合的リスクマネジメントにつなげています。
(4)人的資本に関する取組
①戦略
「キッセイグループは、輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」というグループ経営理念のもと、「キッセイグループ行動憲章」において、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、その資質の向上に努めるとともに、安全で働きやすい労働環境を確保することを当グループの行動原則としています。
なお、人的資本に関する戦略並びに指標及び目標については、グループ各社において関連するデータの管理とともに具体的な取り組みを実施していますが、その内容は各社の業態や人事諸制度の違いなどから、必ずしも同一ではないため、提出会社の取り組みについて記載しています。
イ.求める人材像及び人材育成方針
経営理念にあるとおり、当社の存在意義は純良医薬品・会社構成員を通じた社会に対する貢献と奉仕にあります。新薬開発の高度化、開発リスクが高まる中で、中長期的に継続して独創的な医薬品を開発し上市するには、経営環境の変化に的確かつ迅速に対応し、より高度な専門性を持ち独自性と卓越性を有した自律的かつプロフェッショナルな人材を獲得、育成していく必要があります。このような考えのもと、当社では新卒採用及びキャリア採用を積極的に展開し、特に研究職については、基礎研究から非臨床研究までをカバーし、最先端技術と柔軟なアプローチで革新的な低分子医薬品の創製と多彩なモダリティの導入品開発に取り組むことができる人材の獲得に取り組んでいます。そして、人材育成については「自律型人材の育成」を人材育成のメインビジョンとして掲げ、経営戦略を実現する創造性のある人材の育成に取り組んでいます。
<人材獲得方針(求める人材像)>
・経営理念や「研究開発なくして製薬企業にあらず」という信念に共感し、強い仲間意識を持って共同の目標に取り組む意欲的な人材。
・「患者さんのために」という誠実な意志を持ち、チームとして一体感をもって働ける人材。
・「創薬・育薬への熱意」と「自分らしさ」の溢れる人材。
<人材育成方針>
・会社は、社員の成長と会社の発展の同時実現を目指す教育・学習環境を提供する。
・会社は、管理者らによる実効性の高い指導・育成を支援し、計画的な次世代育成を促進する。
・会社は、社員の自己啓発を奨励し、自発的な能力・キャリア開発を支援する。
ロ.社内環境整備方針
自律型人材を育成していく環境整備として、当社は2021年度に「職場環境の充実」を経営基盤に関するマテリアリティの一つとして特定し、「働きがいのある職場づくり」に取り組んでいます。働きがいのある職場では、社員一人ひとりが「仕事へのやりがい、使命感」、「仕事の達成感」あるいは「仕事を通じた自己の成長」を実感しているものと考え、社員のエンゲージメントを重視し、定期的に測定しています。その分析結果をもとに、新たな人事施策の検討・実施につなげるとともに、2025年度に再特定したマテリアリティ「経営戦略を実現する創造性のある人材の育成」に対しても、経営戦略と連動させた取り組みを人材育成の基軸として進めてまいります。
(複線型人事制度の運用)
現在の経営環境は予見性に乏しく、常に変化の渦中にあります。このような中で当社が持続的な成長を遂げるためには、「年齢や年数」にとらわれることなく早期から存分に能力を発揮し、社員同士がお互いに強く刺激し合うことによって生まれる高次の一体感を醸成させること、そして、これまでの仕事観や価値観の転換を促し、他人や標準モデルとの比較ではなく、自らが起こすべき行動や果たすべき役割に対して、より健全な緊張感の宿る企業文化へと進化させていくことが重要であると考えます。このような考えのもと、次の3つをコンセプトとする多様性と将来性を重視した複線型人事制度を運用しています。
・果たしている役割の適正な処遇反映
果たしている役割(行動の発揮と担当職務)に焦点を当てた「役割資格制度」を運用し、発揮されている行動のレベルを問う「行動評価」、担当職務の大きさやその遂行実績を問う「職務評価」等の結果を処遇に反映しています。
・スペシャリストの活躍機会の強化
複雑、高度化する事業環境において、一層の活躍が期待される高度専門人材をより適正に処遇することで、社員の貢献意欲に応えるとともに、多様なキャリア開発を支援することを目的として、管理職については、主に組織や人のマネジメントを担うライン管理職以外に、高度専門性を駆使して経営課題に取り組むことに主眼をおくプロフェッショナル管理職を設けることにより、キャリアパスを複線化しています。
・チャレンジ意欲の奨励
資格制度において、上位等級への昇格判定に必要な期間として設けていた標準滞留年数を廃止し、昇格制度に「昇格志願」のステップを組み入れることにより、成長意欲の高い人材の早期昇格を推進しています。
(教育制度及び能力開発支援制度の運用)
人事制度と連動する形で、階層別研修を拡充しマネジメント層の強化を図っているほか、独創的な医薬品の開発に必要なイノベーションを創出するために、DX人材育成施策を実施しています。また、社員のより能動的な学習やリスキリングを促すために、eラーニングの拡充を通じて時間や場所の制約を受けない学習環境を整備し、ビジネス・IT知識、英会話などの継続的学習を奨励し、自発的な免許・資格取得に対して支援を行っています。
主な階層別教育及びその他の教育
能力開発支援制度
(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンとジェンダー平等の推進)
様々な考え方や価値観を持った社員が相互に認め合い、刺激し合うことが企業にとってダイナミズムと創造性をもたらすとの認識のもと、「キッセイ薬品行動憲章」において「従業員の多様性、人格、個性を尊重し、倫理観の高揚と資質の向上に努めること」を行動規範の一つとして掲げ、全ての取締役及び社員がその実践を基本としています。
具体的には、「プラチナくるみん」の認定維持を通じた次世代育成支援や、女性活躍推進法に基づく女性社員が活躍できる基盤整備、65歳までの継続雇用制度の運用、障がい者がそれぞれの能力を発揮しながら業務に従事できる環境の提供などに取り組んでいます。
(健康経営の推進)
当社の経営理念の実現と行動憲章の実践のためには、まず社員一人ひとりが、心とからだの両面において健康でなければならないという考え方から、「キッセイ薬品健康宣言」を制定しています。そして、キッセイ健康保険組合と緊密に連携を取りながら、社員及びその家族の健康保持、増進に努めるとともに、社員一人ひとりが、「生きがい」や「働きがい」を感じながら、その能力を十分に発揮できる、健康的で活力のある職場風土づくりに取り組んでいます。
また、2025年3月に「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を取得し、2020年以降6年連続の取得となりました。
②指標と目標
イ.人材の獲得(2024年度実績)
※正規雇用労働者
ロ.働きがいのある職場づくりと社員のエンゲージメントレベル
自律型人材を育成する、働きがいのある職場づくりを推進するために、当社では社員のエンゲージメントを重視し、「人事に関する意識調査」としてエンゲージメントレベルや人事諸制度への満足度を定期的に測定しています。社員が自分の会社や仕事についてどう思い、人事諸制度をどのように捉え、何を重要視しているかなどを把握し、人事施策の検証、効果的な推進に活用しています。
この調査は、総合満足度と5つのカテゴリー(エンゲージメント、職務満足、目標管理制度、処遇・キャリア、人事制度・ワークシチュエーション)で構成された調査で、各設問について「満足度」と各設問が会社生活においてどの程度重要であるかを「重要度」として測定しています。そして、満足度と重要度の二つの指標からポートフォリオ分析を行い、「重点維持項目」「維持項目」「重点改善項目」「改善項目」を特定しています。中期経営計画「PEGASUS」(2020年度~2024年度)中に実施した調査の結果(2022年)は下表のとおりです。
中期経営計画「Beyond 80」(2025年度~2029年度)期間中に実施予定の調査では、人事制度や教育制度の運用を通じて、エンゲージメント・職務満足に関する設問の平均点を3.30ポイント以上にすることを目標としています。
人事に関する意識調査結果
※満足度評価尺度:「大いにそう思う(4点)」「ある程度そう思う(3点)」「あまりそう思わない(2点)」
「全くそう思わない(1点)」
ハ.教育制度及び能力開発支援制度に関する2024年度実績
※管理職の一段階下位の職層
ニ.ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン指標における2024年度目標と実績及び2025年度目標
その他指標における2023年度実績と2024年度実績
ホ.健康経営指標における2024年度目標と実績及び2025年度目標
※年次有給休暇の取得促進を目的として、年3日を誕生日などの記念日に計画的に取得する制度
(5)気候変動に関する取組(気候関連財務情報開示タスクフォース提言に基づく情報開示)
当グループでは、地球温暖化や気候変動の激甚化への対応を、持続可能な社会の実現と自社の持続的成長における重要課題と認識し、脱炭素と省エネルギーによる事業環境の改善など、事業活動と一体となった環境経営を目指しています。
<キッセイグループ環境基本方針>
・基本理念
「キッセイグループは輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」のグループ経営理念のもと、企業の社会的責任において積極的に地球環境保全に努めるとともに、豊かで住み良い社会の実現に貢献します。
・基本方針
1. 我々は地球環境問題を真摯に受止め、一連の企業活動が環境にさまざまな影響を与えるものであることを認識した上で、バリューチェーン全体における環境への負荷低減を推進します。
2. 地球環境保全の取り組みのため、事業活動の環境と自然への影響を評価分析し、2050年CO2排出量ネットゼロに向けた中長期目標を定めて継続的改善を図ります。
3. 省エネルギー、省資源、廃棄物削減を含めた資源循環、再生可能エネルギーの導入、生物多様性の保全、適切な水資源の利用と排出を積極的に推進します。
4. 社員一人ひとりが、関連する環境法規、協定、その他の要求事項について厳守するとともに、環境教育を通じて環境に対する意識の高揚と倫理観の向上を図り、積極的に環境汚染の未然防止のための活動を推進します。
①ガバナンス
当グループはより実効性の高い環境保全活動を行うため、当社のサステナビリティ推進委員長を議長とし、連結子会社の環境保全オフィサーをメンバーとする「グループ環境保全オフィサー会議」を設置し、グループ全体の脱炭素をはじめとした環境保全活動を推進するとともに、活動実績の管理を行っています。
その活動の方針や進捗状況は、当社のサステナビリティ推進委員会が管理、監督するとともに、同委員会より、半期に1回以上の頻度で取締役会及び監査役会に付議・報告され、取締役会が管理、監督しています。
②戦略
気候変動が及ぼす当グループ事業への影響については、グループの中核を担う医薬品事業において主要事業所が受ける影響を対象とし、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial
Disclosures:「TCFD」)の枠組みで、1.5℃シナリオ※1及び4℃シナリオ※2を想定し、リスクと機会を特定しました。特定したリスクと機会については、財務的な影響度と発生可能性の大きさから分析、評価を行い、事業戦略に与える影響度から優先順位に応じて、対応策を検討しました。
※1 1.5℃シナリオはIEA NZEシナリオ等を参考に想定
※2 4℃シナリオはIPCC RCP8.5シナリオ等を参考に想定
<シナリオ分析の結果>
移行リスク(1.5℃シナリオ)
※3 炭素価格:IEA WEO 2024(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)の2030年先進国炭素税の設定を使用
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
物理的リスク(4℃シナリオ)
※4 水リスクについては、AQUEDUCT Water Risk Atlasを使用し、リスクを判定
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価
機会
*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価
1.5℃シナリオによる脱炭素化への移行リスクとしては、将来の脱炭素関連の政策・法規制の強化によるコストの増加や、気候変動への取り組み不足によるステークホルダーからの評価低下があげられました。脱炭素化が達成されず平均気温が4℃上昇するとした4℃シナリオにおいては、物理的リスクのうち、急性リスクとしては台風や豪雨等での水害による影響が、また慢性リスクとしては、気温上昇による空調コストの増加や水資源確保のためのコスト増加等の可能性を認識しています。一方で、高効率設備導入によるエネルギー調達コストの削減や気候変動に対する積極的な取り組みや適切な情報開示による企業価値の向上等を「機会」として捉え、今後も脱炭素化とレジリエンスの強化を推進し、持続的な企業価値の向上を図ります。
なお、これらのシナリオ分析・評価の結果、事業戦略に重大な影響を及ぼす恐れのあるリスクは特定されませんでした。
③指標と目標
2050年カーボンニュートラルに向けて、当グループにおける中期的な目標として以下を設定し、活動を推進しています。
・2030年度 CO2排出量目標(Scope1+2):2020年度比42%削減
・2050年度 CO2排出量目標(Scope1+2):実質ゼロ
当グループの2024年度CO2排出量は11,098トン(Scope1:10,386トン、Scope2:712トン)であり、2020年度比37%の削減となりました。このうちScope2においては、2022年度より再生可能エネルギーを順次導入し、2024年度には当グループの全電力使用量における再生可能エネルギー利用率は約80%に達し、2020年度比で年間7,072トンのCO2排出量削減となりました。今後は、Scope1のCO2排出量の削減に注力します。
再生可能エネルギーの導入事業所は以下のとおりです。
(注)上記各事業所については、「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況」をご参照ください。