2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,297名(単体) 1,786名(連結)
  • 平均年齢
    42.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.2年(単体)
  • 平均年収
    7,980,826円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    2.2%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

① 連結会社の経営方針・経営戦略等に関連付けた連結会社の人材戦略

当グループの人材戦略は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本に関する取組」をご参照ください。

② 提出会社の従業員の賞与を含む給与・給付の額・給与の内容の決定に関する方針

イ.基本方針

当社は、「役割資格制度」に基づき、年齢や勤続年数にとらわれず、従業員が組織において果たす役割、行動及び担当職務を重視しています。持続的に企業価値を向上させるために、行動評価及び職務評価の結果を給与に反映させ、これにより従業員の貢献意欲が高揚する成長循環を追求しています。給与額の水準については、市場水準や社内の公平性も考慮し、労使協議を経て決定します。

ロ.管理職の給与

管理職の基本給は、役割行動の実践レベルに応じた行動給、職位に基づく役割給、及び業績評価を反映した業績加算により構成しています。なお、賞与は、役割レベル別の評価に基づき算定し、役割に応じた処遇とします。

ハ.一般従業員の給与

一般従業員の基本給は、役割行動の実践度合いに応じた行動給と、役割資格等級に基づく役割給により構成しています。なお、賞与は、基本給に業績評価を反映し、成果配分として支給します。

ニ.高度専門人材の給与

最先端の知識や技術、卓越した技能を持つ高度専門人材には、キャリアパスを複線化させてプロフェッショナル職位を設けており、それぞれの専門性を反映した処遇とします。

ホ.非正規雇用従業員の給与

非正規雇用従業員の給与は、「同一労働同一賃金」の考え方を踏まえ、職務内容、役割及び責任の程度、成果等に基づき決定します。合理的な理由がある場合に限り、正規雇用従業員との待遇差を認めます。

 

(2) 【従業員の状況】

① 連結会社の状況

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

医薬品事業

1,297

 (145)

物品販売事業

41

(16)

情報サービス事業

369

(42)

建設・施設メンテナンス事業

79

(18)

合計

1,786

 (221)

 

(注)  従業員数は就業人員であり、パート及び嘱託職員は(  )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

 

② 提出会社の状況

2026年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前

事業年度増減率(%)

1,297

(145)

42.7

18.2

7,980,826

2.2

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

医薬品事業

1,297

(145)

合計

1,297

(145)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、パート及び嘱託職員は(  )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

 

③ 労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。

 

④ 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

イ.提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

7.1

71.9

72.0

71.3

69.3

正規雇用労働者のうち、正社員は勤務エリアなどの違いによるコース別の賃金テーブルを採用しています。同一コースの賃金に差異はなく、男女の賃金の差異は各コースの男女構成比の違いによるものです。

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

ロ.連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

キッセイコムテック株式会社

9.3

75.0

71.3

74.7

56.9

正規雇用労働者のうち、正社員は同一の賃金テーブルを採用しています。男女の賃金の差異は、等級別の男女構成比の違いによるものです。

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3.連結子会社キッセイ商事株式会社、ハシバテクノス株式会社は、常時雇用労働者数が100人以下であるため、記載を省略しています

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が想定したものです。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

医薬品事業、情報サービス事業、建設・施設メンテナンス事業、物品販売事業から成るキッセイグループでは、これまでグループ各社が、それぞれの事業特性や経営環境に応じたサステナビリティ活動に取り組んできました。近年、経営環境の変化が加速する中、グループとしての総合力を発揮し、持続的な企業価値向上を図るため、サステナビリティに関する取り組みについてグループ全体で共通の方針を設定し、目標や施策の体系化と連携を進めています。

現在は、事業活動への影響度や社会的要請を踏まえた重要性の観点からサステナビリティ課題の優先順位付けを進めるとともに、将来世代にわたっての影響が特に大きい環境分野を中心として、グループ横断的に進めるための体制整備に取り組んでいます。今後は、これらの取り組みの進捗状況や成果、各社の事業特性を踏まえながら、対象分野を段階的に拡大し、グループ全体としてのサステナビリティ経営の高度化を進めていく方針です。

 

①  サステナビリティ基本方針

キッセイ薬品は、「純良医薬品を通じて社会に貢献する」「会社構成員を通じて社会に奉仕する」という経営理念のもとに、事業活動を通じて、世界の人びとの健康に貢献するとともに地球環境や社会課題の解決を目指し、企業価値向上と持続可能な社会の同時実現に取り組みます。

・イノベーションの創出を通じて、革新的な製品(医薬品、食品)を開発・提供することにより、世界の人びとの 健康と医療の向上に貢献します。

・環境問題は人類共通の課題であることを認識し、気候変動対策をはじめ、自主的、積極的な地球環境保全活動に取り組みます。

・事業活動に関わるすべての人びとの人権を尊重するとともに、従業員の多様性、人格、個性を尊重した働きがいのある職場づくりに取り組みます。

・コーポレート・ガバナンスを強化・充実し、倫理性、透明性、公平性の高い企業活動により、ステークホルダーとの良好な関係を保ち、持続的な企業価値の向上に取り組みます。

 

②  ガバナンス

当社は、サステナビリティに関する重要課題(以下、マテリアリティ)への対応を重要な経営上の課題と位置づけ、取締役会の監督のもと、サステナビリティ推進委員会を設置しています。当委員会は、サステナビリティ関連課題に精通する取締役を委員長とし、取締役会の諮問機関としてコーポレート・ガバナンス体制に組み込まれています。

サステナビリティ推進委員会では、サステナビリティに関する全社戦略及び基本方針の策定、当社の事業活動・経営基盤に関するマテリアリティの特定及び定期的な見直しを行うとともに、目標や諸施策の検討・立案を行っています。また、環境経営に関するマテリアリティについては、当社を含むグループ全体での取組状況を踏まえて審議しています。

当委員会で審議・検討された内容のうち、方針、重要な施策及び目標等については、半期に1回以上の頻度で取締役会及び監査役会に付議・報告され、取締役会が監督しています。

なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しています。

 

③  戦略

当社は、全社が一体となってマテリアリティの解決に取り組むことで、人々の健康への貢献と社会的責任の遂行を通じた持続的な企業価値の向上につながると考え、これらのマテリアリティをサステナビリティ戦略の基点として位置付けています。持続的な社会の実現に向け、2021年度に「事業との関連性」と「ステークホルダーへの影響度」の二つの観点から、優先的に取り組むべき15のマテリアリティを特定しました。

その後、事業環境や社会からの要請の変化を踏まえ、中期経営計画Beyond 80(2025年度~2029年度)の策定にあわせて、マテリアリティの見直しを実施しました。本見直しにおいては、「社会からの期待」と「当社にとっての重要度」の観点から、ステークホルダーとの対話や社内アンケート調査等を踏まえ、サステナビリティ推進委員会において中長期的な経営課題の評価及び整理を行いました。これらの検討結果について取締役会で審議を行い、2025年5月に新たに取り組むべき8つのマテリアリティを再特定しました。

 

8つのマテリアリティ


 

これらの8つのマテリアリティは、当社の持続的な成長戦略の中核をなすものであり、取り組みの実効性を高めるため、長期的な視点に基づく目標に加えて、中期経営計画Beyond 80終了年度を見据えた中期目標を設定しています。

 

④  リスク管理

当社は、取締役会の諮問機関として、リスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置し、「リスク管理規程」に基づき全社的なリスク管理体制を構築しています。リスク管理委員会は、当社並びに連結子会社において発生し得るリスクについて、管理体制の整備及び運用状況の確認を行っています。また、コンプライアンス委員会は、コンプライアンス推進体制の整備及びコンプライアンス・プログラムの実践を通じて、法令遵守の徹底を図っています。

サステナビリティ関連リスクについても重要な経営リスクの一つとして捉えており、サステナビリティ推進委員会において、マテリアリティを踏まえて特定されたリスクについては、年に1回以上の頻度で事業活動に及ぼす影響度を確認しています。その評価結果を踏まえ、影響度に応じて優先順位を付け、必要な対応策を講じるとともに、その管理状況を取締役会及び監査役会に付議・報告しています。あわせてリスク管理委員会にも年に1回以上の頻度で報告し、全社の総合的リスクマネジメントにつなげています。

リスク管理の詳細については、「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載しています。

 

⑤  指標及び目標

当社は、各マテリアリティについて、サステナビリティ推進委員会及び取締役会の審議を経て決定した中・長期目標及び中期目標に対する活動指標としてKPIを設定しています。マテリアリティへの取り組み状況については、サステナビリティ推進委員会が進捗を管理し、半期に1回以上の頻度で取締役会に報告しています。

なお、2025年度の活動実績については、コーポレートサイトに6月末に掲載予定です。

https://www.kissei.co.jp/sustainability/materiality/

 

(2) 人的資本に関する取組

①  人事戦略

「キッセイグループは、輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」というグループ経営理念のもと、「キッセイグループ行動憲章」において、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、その資質の向上に努めるとともに、安全で働きやすい労働環境を確保することを行動原則としています。

当グループは、医薬品事業を営む当社及び情報サービス事業、建設・施設メンテナンス事業、物品販売事業を営む連結子会社3社で構成しています。各社は、多様な事業を展開していることから、それぞれの事業特性に応じた人材像を人的資本と捉えており、共通する人材戦略は、各社の経営戦略を遂行する能力を備えた人材の育成及び獲得です。なお、人的資本に関する戦略並びに指標及び目標については、グループ各社において関連するデータの管理とともに具体的な取り組みを実施していますが、その内容は各社の業態や人事諸制度の違いなどから、必ずしも同一ではないため、提出会社の取り組みについて記載しています。

 

イ. 人材の育成・獲得

当社は、「自律型人材の育成」をメインビジョンとして掲げ、経営戦略を実現する創造性のある人材の育成及び獲得に取り組んでいます。2025年度からスタートした中期5ヵ年経営計画Beyond 80にて、創薬研究開発型企業として持続的に成長し社会に貢献することを、10年後(2034年度)の目指す姿に掲げ、以下の成長戦略を推進しています。

・将来に向けた成長投資

・創薬テーマの拡充と成長ドライバーの獲得

・国内医薬品事業の拡大と成長

・海外ライセンス収入の拡大

これらの成長戦略を支える人的基盤の強化を重要な経営課題と捉え、当社は、マテリアリティの一つとして、「経営戦略を実現する創造性のある人材の育成」を特定し、高度な専門性や見識を有する人材の計画的な育成・獲得を進めています。

当社が重点的に育成及び獲得する人材は以下のとおりです。

・経営戦略を的確にマネジメントする人材

・低分子化合物の創薬研究における専門性を有する人材

・低分子及びバイオロジクスのCMC開発、品質保証における専門性を有する人材

・戦略的かつ効率的に臨床開発プロジェクトを推進する人材

・領域戦略に合致したライセンスイン、グローバルでの早期事業化を見据えたライセンスアウトを実現する人材

・希少疾病・難病、がん領域における高度な医薬情報提供活動を担う人材

・DXを経営戦略推進の武器に昇華していく人材

 

人材育成については、階層別教育を通じて経営戦略のマネジメント機能の強化に取り組むとともに、将来の経営・組織運営を担う次世代リーダー層の計画的な育成を推進しています。また、創薬研究開発力の強化を目的として、研究部門においては、イノベーション創出を志向した独自のリーダーシップ研修を実施し、研究テーマ創出力及び組織横断的な連携力の向上を図っています。

人材の獲得については、将来の成長ドライバーを見据え、創薬研究、CMC、臨床開発、DX等の分野における高度専門人材を中心に、新卒採用並びにキャリア採用を積極的に進め、事業戦略を遂行するために必要な人材ポートフォリオの強化を図っています。

DX人材については、全社員を対象に毎年DXリテラシーアセスメントを実施し、その結果に基づき、「スペシャリスト」「ビジネス」「コア」「ポテンシャル」の4層に区分しています。当社は、全社員が業務においてデータやITを活用できる状態を目指し、全社員が「コア層」※以上(スコア50以上)となることを目標としています。各層に応じて外部プラットフォームの活用を含む学習機会を提供し、計画的な育成を進めています。

当社は、人的資本を競争力と価値創造力を生み出す源泉と位置付けています。会社と従業員が一体となって成長し、挑戦する企業文化の醸成を通じて、創薬研究開発型企業としてさらなる社会的価値を創造していくため、「成長戦略を遂行できる人材の育成と獲得」「働きがいのある職場環境」「人材と働き方の多様化」という3つの観点に基づき、人的資本に関する指標を設定し、経営層による定期的なモニタリングを通じて評価・管理しています。

※「コア層」:データ分析や ITの活用において、それら知識一般を有し、スペシャリスト層、ビジネス層のサポートを受けながら業務にDXを利用できる人材層

 

ロ. 社内環境の整備

従業員が存分に能力を発揮することが創造性とイノベーションの創出につながるとの認識のもと、人的資本を支える組織基盤強化の取り組みとして「働きがいのある職場環境づくり」と「人材と働き方の多様化」を推進しています。従業員のエンゲージメントの度合いや職務満足度を重要なモニタリング指標の一つとし、その水準及び変化を人事施策の改善や制度見直しに反映させることで、持続的に価値を創出できる組織風土の醸成を図っています。

(働きがいのある職場環境とエンゲージメント)

自律型人材の育成及び働きがいのある職場環境の実現に向けて、当社では社員のエンゲージメントを重要な経営指標の一つと位置づけています。その把握を目的として、定期的に「人事に関する意識調査」を実施し、エンゲージメントレベル並びに人事諸制度に対する満足度を調査しています。本調査を通じて、社員が当社及び自身の業務をどのように認識しているか、人事諸制度をどのように評価しているか、また業務上何を重視しているかを多角的に把握し、その結果を人事施策の検証及び効果的な推進に活用しています。

本調査は、総合満足度及び「エンゲージメント」「職務満足」「目標管理制度」「処遇・キャリア」「人事制度・ワークシチュエーション」の5つのカテゴリで構成されており、各設問について「満足度」と「重要度」を測定しています。これらの結果を基にポートフォリオ分析を行い、「重点維持項目」「維持項目」「重点改善項目」「改善項目」を特定し、課題の明確化と施策立案につなげています。過去2回実施した調査結果の概要は、下表のとおりです。

人事に関する意識調査結果

肯定的回答率(「大いにそう思う」「ある程度そう思う」の合計)

設 問

2022年度

調査結果

2025年度

調査結果

キッセイ薬品をもっとよくしたい

96.8%

96.8%

キッセイ薬品の社員であることを誇りに感じている

89.0%

87.6%

将来もキッセイ薬品とともに成長していきたい

93.0%

91.6%

キッセイ薬品の経営ビジョンに共感している

97.4%

95.8%

目標以外の業務でも必要だと思った事は上司に提案し実行している

90.2%

91.4%

今の仕事にやりがいを感じている

87.8%

87.3%

仕事は会社の目標達成に重要な意味を持っている

94.3%

94.5%

仕事は自分の強み(能力・知識・技能など)を十分発揮できている

88.5%

86.1%

私は仕事の達成感を感じることができる

84.8%

83.4%

私は仕事を通して成長を実感できている

85.3%

85.3%

仕事を通じて社外顧客に満足感を持ってもらえる製品やサービスを提供できている

82.6%

83.3%

エンゲージメントに関する設問全体

89.2%

89.3%

 

 

(複線型人事制度)

年齢や在籍年数に依拠せず、果たしている役割や実践している行動を重視し、マネジメント人材と高度専門人材に区分した複線型人事制度を運用しています。それぞれの人材が強みを発揮し、経営戦略の実現に貢献していくキャリアパスを整備することで、組織運営力及び専門力の両面を強化しています。

(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンとジェンダー平等の推進)

当社は、多様な価値観を持つ社員が相互に認め合い、その多様性を活かすことによって創造性と活力を生み出し企業価値を向上させていくことを志向し、「キッセイ薬品行動憲章」において、従業員の多様性・人格・個性の尊重を行動規範として掲げ、全ての役職員が実践することを基本としています。具体的には、「プラチナくるみん」の認定維持を通じた次世代育成支援、女性活躍推進、65歳までの継続雇用、障がい者が能力を発揮できる就業環境の整備など、多様な人材が安心して働き続けられる環境づくりに取り組んでいます。

(健康経営)

当社は、社員の心身の健康を人的資本の基盤と位置付け、「キッセイ薬品健康宣言」のもと、健康保険組合と連携した健康保持・増進及び働きがいのある職場づくりを推進しています。健康経営に関する指標として、「ストレスチェック結果」、「年次有給休暇取得率」、「エンゲージメントサーベイ結果」等を設定しモニタリングしています。その結果、各指標は継続的に改善しており、2026年3月には「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」の認定を取得し、2020年以降7年連続で認定を維持しています。

 

②  指標と目標

当社は、人材戦略の進捗及び施策の効果検証並びに人的資本の充実度を継続的にモニタリングするため、人的資本に関する各種指標と目標を設定しています。人的資本に関する3つの観点のうち、「働きがいのある職場環境」についてはエンゲージメントサーベイ等により状況を把握しています。また、「成長戦略を遂行できる人材の育成と獲得」及び「人材と働き方の多様化」については、以下の指標を設定しています。

これらの指標により、経営層が人事施策の進捗や効果を確認するとともに、最高人事責任者(CHRO)を中心に人事部門が人材戦略と経営戦略との連動を意識して、人事施策や制度の改善に反映させ、人的資本の充実と競争力の強化につなげていきます。

観点

主な指標

2025年度

目標

2025年度

実績

2026年度

目標

成長戦略を遂行できる人材の育成と獲得

研究開発に従事する人員の比率

20%以上

22.7%

20%以上

新卒採用人数に占める研究開発職の割合(%)

30%以上

28.9%

30%以上

キャリア採用人数※1(上段)

うち研究・開発部門(下段)

8名

2名

従業員一人あたりの研修実施時間(時間)

45.22

DXリテラシースコアでコア層以上の割合

100%※2

40.8%

100%※2

人材と働き方の多様化

女性社員の育児休業取得率

100%

100%

100%

出産後1年後の在職率

100%

100%

100%

男性社員の平均勤続年数に対する女性社員の平均勤続年数の割合

80%以上

77.8%

80%以上

新卒採用に占める女性の割合

35%以上

34.2%

35%以上

障がい者雇用率

2.7%以上

2.73%

2.7%以上

育児短時間勤務者数

26名

介護短時間勤務者数

3名

ストレスチェック受検率

100%

96.2%

100%

年次有給休暇取得率

100%

73.9%

100%

メモリアル休暇取得率※3

100%

99.1%

100%

 

※1:正規雇用労働者

※2:目標達成年度は2028年度

※3:年次有給休暇の取得促進を目的として、年3日を誕生日などの記念日に計画的に取得する制度

 

 

(3) 気候変動に関する取組(気候関連財務情報開示タスクフォース提言に基づく情報開示)

①  環境保全に関する考え方

当グループは、地球温暖化や気候変動の進行が事業活動及び社会全体に長期的な影響を及ぼす重要課題であると認識し、これらへの対応を重要な経営上の課題の一つとして位置付けています。脱炭素社会及び循環型社会の実現に向けた取り組みを推進することが、社会課題の解決への貢献のみならず、企業の持続的な成長につながるものと考えています。

このような認識のもと、当グループは2025年3月に「キッセイグループ環境基本方針」を制定し、中長期的な視点に立った環境経営を推進しています。本方針に基づき、気候移行計画に基づく脱炭素活動を推進するとともに、廃棄物の削減と資源循環の促進、水資源の適正かつ効率的な活用など、環境負荷低減の取り組みをグループ全体で進めています。

医薬品事業、情報サービス事業、建設・施設メンテナンス事業、物品販売事業から成る当グループは、各事業の特性や強みを活かしながら、脱炭素と省エネルギーをはじめとする環境負荷低減の取り組みを事業活動と一体的に進めることで、事業環境の改善と持続可能な社会の実現の両立を目指しています。

 

②  ガバナンス

当グループは、実効性の高い環境保全活動を行うため、当社のサステナビリティ推進委員長を議長とし、各連結子会社の環境保全オフィサーをメンバーとする「グループ環境保全オフィサー会議」を設置しています。当会議は、グループ全体の脱炭素をはじめとする環境保全活動の方針や諸施策を検討・立案するとともに、その活動実績の管理を行っています。

グループ環境保全オフィサー会議における検討内容や活動状況については、当社のサステナビリティ推進委員会が統括的に管理するとともに、同委員会より、半期に1回以上の頻度で取締役会及び監査役会に付議・報告され、取締役会が最終監督しています。

また、気候関連のリスク及び機会については、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:「TCFD」)の枠組みに基づくシナリオ分析及び評価を含め、サステナビリティ推進委員会において検討を行い、その内容を取締役会に報告し、取締役会がこれらを監督しています。

 

③  戦略

気候変動が及ぼす当グループ事業への影響については、グループの中核を担う医薬品事業を対象とし、主に主要事業所が受ける影響に着目して、TCFDの枠組みに基づく分析を実施しています。

具体的には、世界的な脱炭素化の進展を想定した1.5℃シナリオ※1及び、脱炭素化が十分に進まない場合を想定した4℃シナリオ※2を用い、気候変動に伴う移行リスク及び物理的リスク、並びにそれらに伴う事業上の機会を特定しました。

特定されたリスクと機会については、サステナビリティ推進委員会において、財務的な影響度と発生可能性の観点から分析・評価を行い、事業戦略に与える影響を踏まえた対応の優先順位や必要な対応策の検討を行っています。

※1 1.5℃シナリオはIEA NZEシナリオ等を参考に想定    

※2 4℃シナリオはIPCC RCP8.5シナリオ等を参考に想定

 

 

<シナリオ分析の結果>

移行リスク(1.5℃シナリオ)

分類

優先度が高いリスク

当社への影響

影響度

対応策

事業リスク

移行リスク

脱炭素関連の政策・法規制強化

CO2排出量に対する炭素税の加算

・2030年度:想定炭素価格140$/t- CO2※3から影響額を約2億円と試算

・2035年度:想定炭素価格180$/t- CO2※4から影響額を約1.5億円と試算

・再生可能エネルギーの導入や省エネ設備への更新、省エネ活動の一層の推進によるCO2排出量の削減

CO2排出量規制等の新規創設・強化される脱炭素政策に対応した、設備投資コストの増額

・設備更新時のエネルギー効率の高い省エネ設備等への計画的な置き換え(助成金の利用等も考慮)

気候変動に対する取り組み

気候変動への取り組み不足による、ステークホルダーからの当社に対する評価の低下

・気候変動問題への持続的な取り組みと適切な開示によるステークホルダーからの信頼獲得

 

※3 IEA WEO 2024(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2030年先進国炭素税より引用

※4 IEA WEO 2025(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)2035年先進国炭素税より引用

*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価

*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価

 

物理的リスク(4℃シナリオ)

分類

優先度が高いリスク

当社への影響

影響度

対応策

事業リスク

物理的リスク/(急性)

気象災害の激甚化、発生頻度上昇

洪水被害により当社重要拠点が浸水し、操業停止となる。復旧に際して必要となる費用(総計約36億円)、及び開発計画への影響、安定供給への影響

・洪水等の災害発生により想定される拠点被害について、BCP対策を強化することによる損害の最小化

 

原材料調達先の被災による製造の中断、及び交通網の遮断による安定供給への支障

・各製品の特性に応じた在庫の確保と分散保管による安定供給体制の維持向上

・サプライヤーの複線化による調達リスクの軽減

物理的リスク/(慢性)

自然災害発生率の増加に伴う保険料率の増加

・保険料と実際のリスクを適切に判断し、リスクヘッジに資する保険に加入

気温上昇

気温上昇に伴う、空調コスト増加が想定されるが影響は限定的

・社員への省エネ啓発活動の継続と推進

・高効率/省エネ設備の導入、切り替え

水不足

水資源枯渇に伴う水の使用制限による操業中断、水資源確保のためのコスト増加

・周辺の取水環境の情報収集の強化と、水資源取得リスク※5を想定した緊急時対応体制の構築

 

※5 水リスクについては、AQUEDUCT Water Risk Atlasを使用し、リスクを判定

*影響度:大(年間5億円以上)、中(年間1億円以上~5億円未満)、小(年間1億円未満)を基準として評価

*事業リスクは影響度と発生頻度、対応順等を考慮し総合的に評価

 

 

機会

分類

項目

当社への影響

影響度

機会

資源の効率性

高効率な新規技術/設備導入により、エネルギー調達コストや原材料コストの削減

エネルギー源

エネルギー源は重油、ガス、電力を使用。電力の再生可能エネルギー利用率は82%となる。再生エネルギーの導入に加え、燃料転換による将来の化石燃料枯渇に対する事業の安定化

市場

気温上昇に伴い罹患率が増加する疾患領域に対する治療薬需要の増加、開発機会の拡大

 

*影響度:中長期的な財務的影響額(大:年間5億円以上、中:年間1億円以上~5億円未満、小:年間1億円未満)を基準として評価。中長期的な価値創出効果は含まない。「-」は、財務的影響の定量化が困難、または中長期的・非財務的価値への影響が中心のため、定量評価の対象外とした項目を示す。

 

上記のシナリオ分析の結果、1.5℃シナリオでは、脱炭素化政策や炭素関連コストの増加、並びに社会的要請の高まりへの対応が不十分な場合に想定されるステークホルダー評価の低下等を主な移行リスクとして認識しています。また、4℃シナリオにおいては、台風や豪雨等の激甚化による水害などの急性リスクに加え、気温上昇による空調コスト及び水資源確保に関するコスト増加等の慢性リスクが生じる可能性を想定しています。

これらのリスクへの対応を通じて、高効率設備の導入等によるエネルギー効率の向上や、気温上昇に伴い罹患率が増加する疾患領域への貢献などを機会として捉えています。脱炭素化の推進とレジリエンスの強化を両立させることで、中長期的な事業の持続性及び企業価値の向上を図っていく考えです。

なお、現時点で実施しているシナリオ分析・評価の結果においては、記載した対応策を前提とした場合に、当グループの事業戦略に重大な影響を及ぼすことが直ちに想定されるリスクは認識されていませんが、気候変動に関する外部環境の変化を踏まえ、今後も継続的な見直しを行っていきます。

 

④  指標と目標

当グループは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガス排出量削減に関する中期及び長期目標として以下を設定しています。

・2030年度 CO2排出量目標(Scope1+2):2020年度比42%削減

・2050年度 CO2排出量目標(Scope1+2):実質ゼロ

 

これらの目標を計画的かつ着実に実行するため、当グループの中核事業である医薬品事業を対象として、気候移行計画を策定し、当該計画に基づく取組を運用しています。医薬品事業はエネルギー使用量が多く、気候変動に伴う移行リスク及び物理的リスクが事業活動やコスト構造に影響を及ぼす可能性が相対的に高いことから、優先的に対応を進めることとしました。本気候移行計画は、TCFDの枠組みに基づく気候関連リスク及び機会の分析結果を踏まえて策定されたものであり、当該戦略を具体的な施策として実行に移すための計画です。

当グループの2025年度におけるCO2排出量は10,737トン(Scope1:10,196トン、Scope2:541トン)であり、2020年度比39%の削減となりました。このうちScope2については、2022年度より再生可能エネルギーの導入を順次進めており、2025年度には当グループ全体の電力使用量に占める再生可能エネルギー利用率は約83%に達し、2020年度比で年間7,244トンのCO2排出量削減となりました。

 

 

CO2排出量                                                                           (単位:t-CO2

 

2024年度

2025年度

2030年度(目標値)

Scope1

9,983※1

10,196※2

2020年度比42%削減

(10,225以下)

Scope2

712※1

541※2

Scope3※3

98,194

98,364

カテゴリ1※3

80,499※1

74,578※2

 

※1.2024年度の算定値は第三者保証を受けた数値に更新

※2.2025年度の算定値は速報値(第三者保証を2026年8月取得、9月公表予定)

※3.対象範囲:医薬品事業(当社単体)のみ

 

再生可能エネルギーの導入事業所

セグメントの名称

事業所

医薬品事業

本社、松本工場、中央研究所、製剤研究所、第二研究所、上越化学研究所、塩尻工場、ヘルスケア事業センター、東北支店(仙台市)、東海北陸支店(名古屋市)

情報サービス事業

本社

物品販売事業

製麺所(塩尻市)

 

(注)上記各事業所のうち主要なものについては、「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況」に記載していま

   す。

 

詳細については、当社コーポレートサイト・ESGデータ集をご参考ください(2026年9月公表予定)

https://www.kissei.co.jp/sustainability/esg/