2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 5,306 100.0 824 100.0 15.5

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、体外診断用医薬品等の臨床検査薬及び医療機器等の製造、販売を主な内容として事業を営んでおります。なお、当社は子会社及び関連会社を有していないため企業集団の状況については記載を行っておりません。

 (関連当事者との取引)
 当社との間で継続的で緊密な事業上の関係がある関連当事者は、旭化成ファーマ株式会社であり、関係を図示しますと次のとおりであります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境やインバウンド需要の改善等により緩やかな回復傾向がみられる一方で、不安定な国際情勢等による資源価格の高騰や円安の継続、国内の物価上昇等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 臨床検査薬分野においては、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎やマイコプラズマ肺炎、さらにはインフルエンザ感染症等、新型コロナウイルス対策の下で抑えられていた様々な既存感染症が急拡大し、コロナ禍以前の状況に戻っています。こうした感染症検査をはじめ、各種疾患の診断や治療等に不可欠な臨床検査試薬や医療機器の重要性は変わることなく、臨床的に価値ある検査の継続的な供給に応えていくことが求められています。

 このような状況の中、当社では敗血症診断用プロカルシトニンキット「LATECLE PCT試薬」の早期採用に向けた積極的な学術及び販売活動に注力し、当初の目標である年間売上高1億円を概ね達成しました。また、既存の生化学試薬及び輸血検査試薬等の販売と継続的な品質改善に取り組んでいます。

 これらの活動の結果、生化学検査分野は、前期同水準の22億7千2百万円(前期比1.7%減)、免疫検査分野では輸血検査試薬及び腫瘍マーカー試薬等が順調に推移し27億5千2百万円(前期比11.8%増)となりました。また、その他の分野は、2億8千万円(前期比0.8%減)となり、当事業年度における売上高は、53億5百万円(前期比4.9%増)となりました。営業利益は、8億2千3百万円(前期比4.8%減)、経常利益は、8億2千8百万円(前期比10.8%減)、当期純利益は、6億4千1百万円(前期比0.5%増)となりました。

 

 ②財政状態の状況

 当事業年度末における資産合計は、87億8千5百万円となり、前事業年度末と比べ1億9千4百万円の増加となりました。流動資産は、58億2千万円となり、前事業年度末と比べ1億2千6百万円の増加となりました。これは、売掛金が1億7千8百万円減少し、現金及び預金が2億2千2百万円、棚卸資産が1億8百万円増加したこと等によります。固定資産は29億6千4百万円となり、前事業年度末と比べ6千7百万円の増加となりました。これは、固定資産の取得により1億2千1百万円、投資有価証券が4千2百万円、繰延税金資産が1千7百万円増加し、減価償却の進捗に伴い1億3百万円が減少したことによります。

 当事業年度末における負債合計は、20億9百万円となり、前事業年度末と比べ3億1千4百万円の減少となりました。これは、借入金が2億4千万円、未払法人税等が6千7百万円、未払費用が3千2百万円減少したこと等によります。

 当事業年度末における純資産合計は、67億7千5百万円となり前事業年度末と比べ5億8百万円の増加となりました。これは、配当金の支払いによる減少と、当期純利益により増加したこと等によります。

 

 ③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は30億5千6百万円となり、前事業年度末と比べ2億2千2百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動は、7億4百万円の資金の増加(前事業年度は4億3千万円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益8億2千7百万円、売上債権の減少1億6千8百万円、減価償却費1億3百万円により増加し、法人税等の支払い3億2百万円、棚卸資産の増加1億2千9百万円により減少したこと等によります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動は、7千1百万円の資金の支出(前事業年度は7千2百万円の支出)となりました。これは、分析機器を中心とした固定資産の取得による支出7千6百万円等によります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動は、4億1千1百万円の資金の支出(前事業年度は2億3百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払い1億4千2百万円、短期借入金の返済2億4千万円等によります。

 

 ④生産、受注及び販売の実績

 (1)生産実績

  当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

臨床検査薬の製造及び販売事業

4,488,372

105.9

 (注)当事業年度の生産実績を検査分野別に示すと、次のとおりであります。

検査分野別

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

生化学検査試薬(千円)

2,271,142

97.5

免疫血清検査試薬(千円)

2,041,278

121.1

その他(千円)

175,951

78.4

合計(千円)

4,488,372

105.9

 1.その他の検査分野に著しい変動がありました。これは、主に検査機器の生産数量の増加によるものであります。

 

 (2)商品仕入実績

  当事業年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

臨床検査薬の製造及び販売事業

679,931

98.4

 (注)当事業年度の商品仕入実績を検査分野別に示すと、次のとおりであります。

検査分野別

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

生化学検査試薬(千円)

79,520

103.7

免疫血清検査試薬(千円)

543,325

100.7

その他(千円)

57,085

76.7

合計(千円)

679,931

98.4

 1.その他の検査分野に著しい変動がありました。これは、主に感染症検査試薬の仕入の減少によるものであります。

 

 (3)受注実績

 当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 (4)販売実績

  当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

臨床検査薬の製造及び販売事業

5,305,569

104.9

 (注)当事業年度の販売実績を検査分野別に示すと、次のとおりであります。

検査分野別

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

生化学検査試薬(千円)

2,272,734

98.3

免疫血清検査試薬(千円)

2,752,768

111.8

その他(千円)

280,066

99.2

合計(千円)

5,305,569

104.9

 1.最近2期の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東邦薬品株式会社

622,827

12.3

645,674

12.2

アルフレッサ株式会社

601,164

11.9

639,238

12.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、決算日現在における資産・負債並びに会計期間における収益・費用に影響を与える事象に対し、当社の確かな見込み及び合理的な一定の前提による判断によって見積り及び仮定を行っている部分があります。これらの見積り及び仮定については、継続して評価を行っており、また必要に応じて見直しを行っておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

 繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当課税所得を見積るに当たって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

(棚卸資産の評価)

 検査装置等は販売頻度が少なく、期末前後の販売実績に基づく価額を把握することが困難な場合や、販売価額の変動が大きい場合があるため、正味売却価額は期末付近の合理的な期間の平均的な売価を基礎として算定しており、一定の仮定を設定しております。正味売却価額の算定は見積りの不確実性が高く、市況等によって実際の販売価額が変動することにより、翌事業年度以降の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の業績につきましては、売上高を検査分野別で見ると、生化学検査分野は、前期同水準の22億7千2百万円(前期比1.7%減)、免疫検査分野は堅調に推移し、27億5千2百万円(前期比11.8%増)となりました。また、その他の分野は、2億8千万円(前期比0.8%減)となりました。

 なお、前事業年度及び当事業年度に係る製品・商品の売上構成は下記に示したとおりであります。

区分

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

構成比

(%)

金額(千円)

構成比

(%)

製品

生化学検査試薬

2,271,075

44.9

2,240,833

42.2

免疫血清検査試薬

1,747,480

34.6

2,035,164

38.4

その他

267,670

5.3

275,421

5.2

4,286,225

84.8

4,551,419

85.8

商品

生化学検査試薬

39,967

0.8

31,900

0.6

免疫血清検査試薬

715,521

14.1

717,603

13.5

その他

14,750

0.3

4,645

0.1

770,238

15.2

754,149

14.2

合計

生化学検査試薬

2,311,042

45.7

2,272,734

42.8

免疫血清検査試薬

2,463,001

48.7

2,752,768

51.9

その他

282,420

5.6

280,066

5.3

5,056,464

100.0

5,305,569

100.0

 

当社は、流動性資金を安定的に確保するための基本方針として、年次資金計画に基づき、事業運営のために必要な資金(主に銀行借入)を調達しております。また、一時的な余剰資金は安全性の高い金融資産で運用し、現金及び現金同等物の十分な流動性を確保しながら、事業継続と将来に向けた事業の拡大のため、効率的に資本を投下、運用していくことが経営課題であると認識しております。

 

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、営業利益率と経常利益率としております。当事業年度の営業利益率は、前事業年度と比べ1.6ポイント減の15.5%となりました。経常利益率につきましては、前事業年度と比べ2.8ポイント減の15.6%となりました。なお、増加要因につきましては、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、診療報酬改定をはじめとした国の医療保険制度改革や医療機関の経営合理化による医療費引き下げ等の外的要因による収益の変動が考えられます。

 

④戦略的現状と見通し

 当社におきましては、基幹領域である生化学及び免疫検査分野を中心とした既存の臨床検査試薬・機器事業を拡充すると共に、提携企業各社との協業を強化し、ユーザーニーズをいち早く取り入れた診断薬の開発・製造販売を目指し、事業拡大につなげてまいります。

 

⑤経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の臨床検査薬業界における市場の動向や事業環境の変化及び資金調達環境等、日々変化する情報を可能な限り迅速に入手できる体制を整備し、最善の経営方針と意思決定を行えるように努めております。

 当社は、体外診断用医薬品の製造販売会社として、臨床検査試薬・機器の開発から生産・販売を通じ、「医療への貢献を目指し、医療現場へのサービス向上と充実を目指した経営」に取り組んでまいりました。現代医療における臨床検査は、診断と医療だけでなく医療費適正化の観点からも早期確定が求められており、当社の役割は益々大きくなってまいります。臨床検査業界自体が新たな流れを生み出すなか、医療現場のニーズに応えるべく独創的な製品開発と高品質な製品供給に努めてまいります。

 臨床検査薬業界における市場環境は、今後も診療報酬改定等の医療費抑制政策や価格競争等の影響により厳しさを増していくものと予想しております。当社におきましては、市場の動向や顧客ニーズに対応した魅力ある製品の開発に努めるとともに、経営効率の改善による財務体質の強化に引き続き注力し、収益性の高い開発型企業を目指してまいります。