2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    8,009名(単体) 20,171名(連結)
  • 平均年齢
    45.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.9年(単体)
  • 平均年収
    10,976,771円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    -1.5%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 当社グループでは、急速な事業成長を持続的に支え、信頼されるヘルスケア・イノベーターに向けて躍進していくための源泉は「人」であると考え、人材を最重要資本として位置づけております。強化すべき人的資本として、「Power of individual:成長し続ける個人の強み」「Power in numbers:強化領域への継続的人材供給」「Power of synergy:人や組織のシナジーを創出する環境・仕組み」という三つの柱を掲げ、「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」というパーパスの実現に向けて、経営戦略と連動した人的資本の拡充を進めております。

 

 人的資本の拡充に向けた各人事施策の上位概念・指針として、2024年3月にはグローバル共通の「第一三共グループピープルフィロソフィー」を制定いたしました。このフィロソフィーに基づき、多様な社員がそれぞれの能力を最大限発揮できるよう互いに協力し、信頼し合い、社員一人ひとりの意見が尊重されるインクルーシブな環境づくりに注力しております。そして、フィロソフィーを軸に、人事施策のインプットからアウトプット、そして、人的資本のアウトカムへと至る一連のパスを描き、経営戦略の実現に繋がる人事施策を検討・実行することで、持続的な価値創造の原動力となる「人的資本」の最大化を目指しております。

 

 具体的な人事施策については、「第2 事業の状況 1 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 人的資本への取組」をご参照ください。

 

 

 第5期中期経営計画期間においては、事業の急速なグローバル化に伴う組織・地域横断の協業機会の増大を背景に、グローバル共通の人事制度及び人事情報システムの整備などの基盤構築に注力いたしました。また、組織が一体となってパーパスの実現に向けて進むため、パーパスに加え、永続的な価値観であるCore Values、及びそれを体現するための行動指針となるCore Behaviorsを一体的に捉え、グローバル共通の企業文化「One DS Culture」として醸成を図って参りました。

 

 こうした基盤を踏まえ、第6期中期経営計画期間では、事業リーダーと人事リーダーが密接に連携しながら、人材への投資を中核とした幅広い施策を推進いたします。当社の企業理念やパイプラインに共感し、成長機会を求める高度な専門人材を惹きつけ、DS Academyなどの独自の育成プログラムを通じて、全社視点で価値創出をリードできるリーダーへの成長を促進いたします。また、I&DやOne DS Cultureのさらなる浸透を通じて、高いエンゲージメントのもと優秀な人材が継続的に活躍できる魅力的な組織文化を維持・発展させて参ります。

 

 これらの人材戦略を着実に推進するためには、従業員の成長・挑戦及び成果を適切に評価し、動機づけるとともに、優秀な人材の獲得・定着を実現する仕組みが不可欠であります。当社グループの報酬制度は、グローバル共通のリワードポリシーをベースに、各国・地域の法令や慣行、外部水準も考慮した公正かつ競争力のある報酬設計としております。これにより、従業員のモチベーション向上と優秀な人材の獲得・定着を図っております。

(2)【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

 20,171

合計

20,171

 (注)従業員数は就業人員数であり、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含めております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

8,009

45.0

19.9

10,976,771

△1.5

 

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

8,009

合計

8,009

 (注)1.従業員数は就業人員数であり、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含めております。

2.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含めております。

 

(3) 労働組合の状況

 当社グループには第一三共労働組合等が組織されており、2026年3月31日現在の労働組合の組合員数合計は8,342名であります。

 労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異

① 提出会社の状況

当連結会計年度

管理職に占める

女性従業員の割合(%)

(注)1

男性従業員の

育児休業取得率(%)

(注)2

従業員の男女の賃金の差異(%)

(注)3、4

全従業員

うち正規雇用従業員

うち非正規雇用

従業員

15.3

103.7

78.2

76.8

81.8

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。なお、管理職とは、管轄組織の責任者として業績や人材の管理を行うマネジメント職を指しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。男性の平均賃金(基本給・賞与・諸手当含む)に対する女性の平均賃金の割合を示し、出向者は出向元の従業員として集計しております。

4.男女平均年間賃金の差異は、人事制度上の問題ではなく従業員の年齢構成や世帯状況などによる背景が影響しております。具体的には、次のとおりであります。

・男女の年齢構成の違い:高年齢層ほど男性従業員比率が高く、その結果上位等級に占める男性比率が高くなる傾向にあること。

・男女の諸手当受給状況の違い:女性従業員の各種諸手当(住宅手当・こども手当など)の受給割合が概ね低い(世帯主・家族扶養などの条件に適合しない)こと。

今後の人事諸施策において、更なる是正に向け取り組んで参ります。

 

② 連結子会社の状況

当連結会計年度

名称

管理職に占める女性従業員の

割合(%)

(注)1

男性従業員の

育児休業

取得率(%)

(注)2

従業員の男女の賃金の差異(%)

(注)3、4

全従業員

うち正規雇用

従業員

うち非正規雇用従業員

第一三共ヘルスケア株式会社

10.4

100.0

75.0

75.8

80.6

第一三共バイオテック株式会社

15.2

108.3

80.7

79.4

82.3

第一三共ビジネスアソシエ株式会社

10.7

100.0

77.5

74.0

81.3

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。なお、管理職とは、管轄組織の責任者として業績や人材の管理を行うマネジメント職を指しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。男性の平均賃金(基本給・賞与・諸手当含む)に対する女性の平均賃金の割合を示し、出向者は出向元の従業員として集計しております。

4.男女平均年間賃金の差異は、人事制度上の問題ではなく従業員の年齢構成や世帯状況などによる背景が影響しております。具体的には、次のとおりであります。

・男女の年齢構成の違い:高年齢層ほど男性従業員比率が高く、その結果上位等級に占める男性比率が高くなる傾向にあること。

・男女の諸手当受給状況の違い:女性従業員の各種諸手当(住宅手当・こども手当など)の受給割合が概ね低い(世帯主・家族扶養などの条件に適合しない)こと。

今後の人事諸施策において、更なる是正に向け取り組んで参ります。

 

③ 連結会社の状況

 海外グループ会社も含めたグローバル全体における管理職に占める女性従業員の割合は38.1%であります。なお、グローバル全体における男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異については、集計を実施していないため、記載を省略しております。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ関連財務開示

① 全般的情報

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

(ⅰ) ガイダンスの情報源に関する情報

(a) ガイダンスの情報源によって特定された産業

 当社グループは事業及びビジネスモデルが医薬品等の製造・販売を行っていることに鑑み、当社グループに関連する産業として、ヘルスケア産業(バイオテクノロジー・医薬品)を特定しております。

 

(b) サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別

 当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会並びに重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。適用可否の判断には、当社グループの戦略との整合性を確認いたしました。その結果、当社グループの見通しに影響を与えると考えられるサステナビリティのリスク及び機会を、下表のとおり認識いたしました。なお、当社グループは、リスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸について、「短期」、「中期」及び「長期」をそれぞれ1年、5年、10年と定義しております。これは、当社グループが戦略的意思決定に用いる計画期間と一致しております。

 気候関連のリスク及び機会については、TCFD(注)シナリオ分析に基づく評価の結果を参照しております。なお、移行リスクについては、カーボンプライシングや規制強化等による当社グループの財務的影響は現時点では軽微であり、重要性は「低い」と判断していることから、開示対象としておりません。また、機会については、現時点の影響は限定的であるとともに不確実性が高く、定量的な財務的影響の算定が困難であることから、開示対象としておりません。

 重要性は今後も継続的に再評価して参ります。

(注) Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース

 

サステナビリティ関連のリスク及び機会の一覧

「Be a Global Top 5 Oncology Company by 2035」

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上、医薬品の安定供給

機会

がん治療を「治癒」へと近づけられる革新的な医薬品の提供

「Identify next BGTs by 2030」

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上

機会

DXd ADCsに続く、新BGTsを通じたビジネスポテンシャルのさらなる拡大

「Operational Excellence」

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上、医薬品の安定供給

機会

AI活用等による生産性の飛躍的向上

機会

調達・外注構造の抜本的最適化

「Be a trusted partner for sustainable society」

関連する主なサステナビリティ課題:ステークホルダーとの価値共創、人的資本の強化、人権、環境保全、コンプライアンス

機会

Patient Centricityの醸成

機会

高い倫理観に基づく医療コミュニティへの貢献

機会

ワールドクラス人材の獲得・育成

機会

企業文化・労働環境の更なる向上

リスク

高いコンプライアンス基準の維持

リスク

バリューチェーン全体での環境負荷の軽減

気候関連

物理的リスク

サプライチェーン寸断

物理的リスク

自社拠点の水不足に伴う一時操業停止

 

② ガバナンス

(ⅰ) ガバナンス機関又は個人

 当社グループでは、取締役会が、グループ全体のサステナビリティ関連のリスク及び機会を監督する責任を負っております。

 取締役会の役割・責務は、株主に対する受託者責任を踏まえ、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るべく、サステナビリティ関連のリスク及び機会を含む業務執行に関する重要事項を決定し、取締役の職務執行の監督を行うことであります。これらの取締役会の役割・責務については、取締役会規程に定めております。

 取締役会は、企業経営のほか、リスクマネジメントを含むサステナビリティ関連のリスク及び機会を監督するための適切な知識・経験・能力を備えた多様な人材で構成されております。また、経営層がサステナビリティ関連のリスク及び機会を経営に統合し、適切に管理・対応できるよう、当社グループで定めるサステナビリティ経営ポリシーに基づき、サステナビリティ経営の実効性確保に取り組んでおります。

 当社グループのサステナビリティ関連のリスク及び機会に関するガバナンス体制並びに、サステナビリティコミッティ及びグローバル エシックス&コンプライアンス コミッティの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (1) コーポレートガバナンスの概要」をご参照ください。

 また、当社グループでは、中計業績連動株式報酬(長期インセンティブ報酬)の目標達成指標にESG指標を採用しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等 ① 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針に係る事項 (ⅰ) 取締役の報酬等の決定に関する方針と手続 (h) 中計業績連動株式報酬(長期インセンティブ報酬)」をご参照ください。

 

(ⅱ) 執行体制(経営者の役割)

 当社グループでは、CEOの指示に基づき、Head of Global Corporate Affairsが、サステナビリティ課題のうち、Environment, Health and Safety(以下 EHS)、サステナビリティ情報開示、社会貢献に関するグローバル推進体制を構築・運営し、各組織・各地域における施策を全社戦略に統合させております。これらの課題に特化した、Head of Global Corporate Affairsを委員長とするサステナビリティコミッティ(原則年2回以上開催)を設置し、経営会議の諮問機関として、各組織長から指名されたメンバーが参画する体制のもと、全社戦略・方針について審議するとともに、年度・半期ごとの計画・実績を確認しております。サステナビリティコミッティでは、全社戦略・方針及び重要課題について多角的な観点から審議を行い、審議された案件はその重要性に応じて経営会議に付議され、意思決定が行われます。また、サステナビリティコミッティが実施するサステナビリティ関連のリスク及び機会の識別・評価については、全社的なリスク管理と統合され、経営会議及び取締役会に報告されます。これらの課題のうち、当社グループに対して法定開示対応が求められるサステナビリティ情報開示については、2025年度は開示方針及び開示内容に関する議論を行いました。2026年度以降は、重要課題に紐づくサステナビリティKPIの実績開示や外部要請等を踏まえたサステナビリティ課題のアセスメント結果等についても議論して参ります。

 なお、サステナビリティ課題のうち、当社グループ全体の企業倫理・コンプライアンス推進活動、人権については、グローバル エシックス&コンプライアンス コミッティ(原則年1回以上開催)において審議・報告のうえ、取締役会に報告されます。

 執行側における全社的なリスク管理の適切性については、経営監査部が定期的な監査計画に基づいて、リスク管理プロセスの有効性を監査しております。監査で識別された重要な課題や改善勧告は、経営監査部から経営会議に直接報告されます。

 

③ 戦略

(ⅰ) 第5期中期経営計画の振り返り

 第5期中期経営計画(2021-2025年度)では、「3ADC最大化の実現」、「既存事業・製品の利益成長」、「更なる成長の柱の見極めと構築」、「ステークホルダーとの価値共創」の4つの戦略の柱を掲げ、2025年度目標である「がんに強みをもつ先進的グローバル創薬企業」を実現し成長ステージに移行できるよう取り組んで参りました。その結果、エンハーツの着実な市場浸透、上市国・地域の拡大、新適応取得による当初計画を上回るペースでの売上収益拡大、ダトロウェイの承認及び追加の適応取得により、世界中の患者さんに新たな治療の選択肢を提供するとともに、2025年度目標実現に向けた成長を牽引いたしました。

 サステナブルな社会の発展に貢献するため、長期視点でサステナビリティ経営を進めていく上で、患者さん、医療関係者、株主・投資家、社会・環境、従業員といった「ステークホルダーとの価値共創」も重要な課題でありました。当社グループでは、中長期的な企業価値への影響と社会からの期待の両面からマテリアリティを特定し、「革新的な医薬品の創出」、「高品質な医薬品の安定供給」、「医療アクセスの拡大」、「環境経営の推進」、「多様な人材の活躍推進と育成」等のマテリアリティと連動したKPIを設定・管理して参りました。マテリアリティへの対応として、日本における初のCOVID-19に対するmRNAワクチンであるダイチロナ筋注(1価:オミクロン株 JN.1)の供給によるパンデミックリスクへの対応や、国際イニシアチブである「RE100」への加盟を含む自社拠点における使用電力の再生可能エネルギー化、及びバリューチェーン全体での環境負荷低減の取組等を進めて参りました。

 

(ⅱ) 第6期中期経営計画及びサステナビリティ関連の方針

 第5期中期経営計画を通じて、当社グループが掲げた2025年度目標である「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を実現したことから、第6期中期経営計画(2026-2030年度)の策定にあたり、新たに2035年ビジョン「Trusted healthcare innovator transforming the lives of people through our science and technology」を設定いたしました。あわせて、第5期中期経営計画で掲げた2030年ビジョン「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」を2030年度に向けた具体的な目標として改めて位置づけました。第6期中期経営計画は、価値創造プロセスの循環のもと、2030年度目標の達成を通じて、2035年ビジョンの実現に向けたさらなる成長ステージに移行するための計画であります。

 

 

 当社グループの長期ビジョン、第6期中期経営計画については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

(a) 「Be a Global Top 5 Oncology Company by 2035」

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上、医薬品の安定供給

機会

がん治療を「治癒」へと近づけられる革新的な医薬品の提供

ビジネスモデルに

与える影響

第5期中期経営計画においては、エンハーツとダトロウェイが牽引し、がん事業は飛躍的な成長を遂げ、中核事業へと進化いたしました。また、アストラゼネカ及び米国メルクとの提携により、グローバルでの開発・商業化に向けた体制が強化され、外部パートナーとの連携を軸としたビジネスモデルが進展いたしました。

今後は当該提携により培ったがん事業のノウハウを活かし、当社グループのScience & Technologyに裏付けされた有数のパイプラインを自社単独で開発・商業化できる体制を構築・強化することで将来の利益創出力を高めて参ります。

 

 

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上、医薬品の安定供給

バリューチェーンに

与える影響

当社グループは、がん事業で2035年までにグローバルトップ5企業となることを目指し、自社ケイパビリティをR&D Excellence(開発)、Business Excellence(商業化)、最適化されたグローバルサプライチェーンの三本柱で構築し、バリューチェーン全体の強化を推進して参ります。

財務的影響

当連結会計年度においては、売上収益2兆1,230億円のうち、がん領域売上収益9,540億円を計上しております。第6期中期経営計画においては、主にエンハーツやダトロウェイの売上の成長により、2030年度のがん領域売上収益2兆3,000億円超を目指しております。

戦略及び意思決定

への影響

世界中の重篤な疾患を持つ患者さんに、がん治療を治癒へと一歩近づけられる革新的な治療を提供し、個別化医療により、従来の治療では十分に治療効果が得られなかった患者さんに新たな治療オプションを提供して参ります。そして、医療従事者への付加価値の高い情報提供を通して、2035年には年間70万人以上の対象患者さんに当社の医薬品を届けて参ります。

<主なトレードオフ>

適応追加や製品上市、自社開発・商業化体制の構築・強化に向けた投資は、短期的な利益の確保を制約する可能性があります。当社グループはこのトレードオフを認識したうえで、長期的な企業価値の向上と高収益・高成長型ビジネスモデルへの構造転換を最優先とした意思決定を行って参ります。

 

(b) 「Identify next BGTs by 2030」

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上

機会

DXd ADCに続く、新BGTsを通じたビジネスポテンシャルのさらなる拡大

ビジネスモデルに

与える影響

第5期中期経営計画では、最重要なBGTsとして位置付けているDXd ADCを通じ、がん領域における事業とプレゼンスの拡大を達成いたしました。DXd ADCでは、第6期中期経営計画期間においても、複数の大規模臨床試験のデータリードアウトが予定されており、適応症が拡大していく見込みであります。

第6期中期経営計画では、DXd ADCに続くBGTs候補の継続的な創出、DXd ADCの独占的販売期間終了(Loss of Exclusivity、以下「LOE」という。)後も持続的な成長を実現するためのBGTsの早期同定、開発加速化へ向けた取組をすでに開始しております。これらの取組により、持続的成長を可能とするビジネスモデルの構築を推進して参ります。

バリューチェーンに

与える影響

当社グループは、① 中核技術に基づいた複数の新薬創出による標準治療の変革、② 臨床的に実証された技術を次期プログラムへ応用することによる確度の高い新薬創出、③ 研究・開発・製造の各部門の知見の統合による革新的な医薬品のより迅速かつ効率的な患者さんへの提供、といった研究開発モデルによる、バリューチェーン全体の構造転換を推進して参ります。

財務的影響

第6期中期経営計画では、上記の取組の実現に向けた投資を行い、DXd ADC事業に続く新たな収益基盤の構築を目指して参ります。

戦略及び意思決定への影響

当連結会計年度において、ADC創薬のパラダイムシフトを目指すBGTs候補、マルチモダリティ研究から生まれたBGTs候補、がん免疫におけるブレークスルーアセット等、既に幾つかの候補があります。2030年までにDXd ADCに続く有望な成長の柱と成り得る複数のBGTsを同定し、DXd ADCのLOE後も現在の標準治療を超える製品を患者さんに提供して参ります。

<主なトレードオフ>

成功確率の高い既存技術への投資と、将来の成長を担う新規技術への投資のバランスは、重要なトレードオフとして認識しております。なお、ポートフォリオマネジメントによる撤退判断も含めた早期の意思決定(Go/No-go)の厳格化により、リスクを適切に管理して参ります。

 

 

(c) 「Operational Excellence」

関連する主なサステナビリティ課題:医薬品アクセスの向上、医薬品の安定供給

機会

AI活用等による生産性の飛躍的向上

機会

調達・外注構造の抜本的最適化

ビジネスモデルに

与える影響

当社グループは、グローバルな事業拡大に伴う費用構造の最適化を重要な経営課題と位置づけ、全社横断的なOperational Excellenceの実現に向けた取組を開始しております。AI活用等による生産性の飛躍的向上及び業務効率化と戦略的人材配置の一体的推進、並びに調達・外注構造の抜本的最適化により、事業運営体制の効率性向上を図って参ります。これらの取組により、成長投資の原資確保及び収益性向上につながるビジネスモデルの構築を推進して参ります。

バリューチェーンに

与える影響

当社グループのOperational Excellence推進による影響は、AI活用及び調達・外注構造の最適化を通じて、バリューチェーン全体に及ぶものと見込んでおります。研究開発においては創薬AIの活用による効率化、製造・サプライチェーンにおいてはERPプラットフォームを通じた調達プロセスの標準化と安定供給体制の強化を図って参ります。商業化においては、業務効率化と戦略的人材配置の一体的推進を通じて、付加価値の高い業務へ集中できる環境を整備して参ります。

財務的影響

当連結会計年度においては、CEO直轄のBusiness Transformation組織の立ち上げ及びERPプラットフォームの導入準備に係る費用が販売費及び一般管理費等として計上されております。将来的には、5年累計2,000億円以上のコスト最適化の実現により、収益性の向上及び営業キャッシュ・フローの拡大を通じた成長領域への再投資原資の確保につながるものと見込んでおります。

戦略及び意思決定への

影響

Operational Excellenceによる利益創出力の強化として、「戦略に沿った優先順位に基づくリソース配分及び事業投資判断の最適化」、「持続的な成長基盤の構築に向けたプロセス及びシステムの標準化」、「研究開発及びテクノロジーをはじめとする各ユニット・機能との連携の深化」、「地域を超えて活躍できる人材の育成と次世代グローバルリーダーの継続的な輩出」を実現する事で、スピード感と一貫性のある、グローバルな活動の展開を目指して参ります。

<主なトレードオフ>

短中期的な資本・費用の集中は、同時期の成長投資への資源配分を制約する可能性がありますが、優先順位付けと段階的なシステム展開により、この影響を抑制して参ります。

 

(d) 「Be a trusted partner for sustainable society」

関連する主なサステナビリティ課題:ステークホルダーとの価値共創、人的資本の強化、人権、環境保全、コンプライアンス

機会

Patient Centricityの醸成

機会

高い倫理観に基づく医療コミュニティへの貢献

機会

ワールドクラス人材の獲得・育成戦略

機会

企業文化・労働環境の更なる向上

リスク

高いコンプライアンス基準の維持

リスク

バリューチェーン全体での環境負荷の軽減

ビジネスモデルに

与える影響

当社グループは、患者さんの健康で豊かな生活への貢献を事業の根幹に置き、患者さんとご家族、医療従事者、地域社会、ビジネスパートナー、規制当局、環境、株主・投資家等の多様なステークホルダーとの信頼関係を事業基盤とするビジネスモデルを構築しております。コンプライアンス違反や環境への対応不足は、規制強化・コスト増大・事業レジリエンスの低下を招くリスクを有しているとともに、すべてのステークホルダーからの信頼の毀損を通じて当社グループの事業活動の前提そのものに影響を及ぼし、ビジネスモデルの持続性を低下させる可能性を有しております。

 

 

関連する主なサステナビリティ課題:ステークホルダーとの価値共創、人的資本の強化、人権、環境保全、コンプライアンス

バリューチェーンに

与える影響

本リスク及び機会は、いずれもバリューチェーン全体に及ぶものと認識しております。Patient Centricityの醸成及び高い倫理観に基づく医療コミュニティへの貢献は、製品の研究・開発から市販後活動に至る各段階での意思決定の質を高め、革新的医薬品の継続的な創出につながる機会と捉えております。ワールドクラス人材の獲得・育成及び企業文化・労働環境の向上は、バリューチェーン全体のイノベーション創出力と組織の持続的な競争力の源泉となるものであります。さらに、高いコンプライアンス基準の維持及びバリューチェーン全体での環境負荷の軽減は、信頼性の確保と事業継続の観点から、バリューチェーン全体の基盤をなすものと認識しております。

財務的影響

本機会は、革新的医薬品の継続的な創出と患者さんへの価値提供を通じた売上収益の拡大、及び優秀な人材の確保・定着による研究開発・製造の生産性向上に寄与するものと見込んでおります。これらの機会を着実に捉えることが、当社グループの中長期的な収益基盤の強化につながるものと認識しております。

一方、高いコンプライアンス基準が維持されない場合には、当局による業務停止・制裁金の賦課、訴訟費用の発生、及び社会的信頼の毀損による事業機会の喪失等を通じて、当社グループの財務的価値に影響を及ぼす可能性があります。また、バリューチェーン全体での環境負荷の軽減への取組が不十分な場合には、将来的な炭素税導入等の規制強化に伴うコスト増大、調達コストの上昇、及び機関投資家・取引先からの要請への対応に係る追加費用が発生するリスクがあります。

戦略及び意思決定への

影響

機会として識別したPatient Centricityの醸成、医療コミュニティへの貢献、ワールドクラス人材の獲得・育成、及び企業文化・労働環境の向上については、事業戦略と連動したタレントマネジメントの実施や次世代経営幹部育成プログラムの推進等を通じて、これらの観点を踏まえた経営層の判断が行われる仕組みを構築し、製品の研究・開発から市販後活動に至る各段階の意思決定に反映しております。リスクとして識別した高いコンプライアンス基準の維持については、グローバル エシックス&コンプライアンス コミッティにおける審議・モニタリングを通じて事業運営上の意思決定に反映しております。また、バリューチェーン全体での環境負荷の軽減については、ネットゼロ移行計画の策定・推進をサステナビリティコミッティにおいて審議しております。

<主なトレードオフ>

人材育成・環境対応に係る投資は短期的にはコスト増加要因となり得ますが、中長期的なイノベーション創出力の強化及び規制強化への先行対応を通じた将来コストリスクの低減により、持続的な企業価値向上につながるものと認識しております。

 

(e) 「気候」関連

物理的リスク

サプライチェーン寸断

ビジネスモデルに

与える影響

気候変動に伴う異常気象の激甚化により、一部の調達・生産・物流の各拠点において被災や操業遅延が生じ、代替調達先の確保や事業継続経計画(BCP)運用を余儀なくされる等、グローバルな供給体制の安定的な運用に影響が生じ得る状況にあります。

激甚化する気象災害による生産・物流拠点の長期停止や浸水・渇水等の頻度・規模がさらに拡大することで、供給制約の慢性化や物流コストの持続的な上昇が合理的に見込まれ、気候変動に対して強靭なサプライチェーン・ネットワーク確立の進捗に影響する可能性があります。

バリューチェーンに

与える影響

特定の地域や仕入先への依存度が高い一部の原材料・部品については、異常気象の激甚化を契機とした供給の突発的な途絶が生じる恐れがあります。また、主要な物流ルートや輸送拠点が被災した場合には、安定的な製品供給に支障が生じ得る状況にあります。

気象災害の頻発・長期化により、仕入先の生産停止と物流網の寸断が同時多発的に生じる可能性が高まり、自社製造拠点における生産が長期にわたって制約され、上流では原材料・部品の慢性的な調達難、下流では製品供給能力の持続的な低下が生じる等、バリューチェーン全体に重大かつ広範な影響を及ぼすと見込んでおります。

 

 

物理的リスク

サプライチェーン寸断

財務的影響

当連結会計年度においては、一部地域で発生した記録的な豪雨の影響により物流網が混雑し、売上原価に一定の影響が生じております。なお、増加したコストを区分して識別することが困難であるため、定量的情報は記載しておりません。

将来的には、主要拠点における浸水対策や重要原材料の安全在庫積み増しにより、固定資産の増加及び投資・営業キャッシュ・フローへの影響が生じる可能性があります。さらに、極端な気象現象による一時的な操業停止や、複数購買化・生産拠点分散等の対応に伴い、売上収益・売上原価・投資キャッシュ・フローへの影響が見込まれます。気象災害の頻発・長期化により特定の地域又は仕入先に依存する原材料・部品の調達が長期にわたり途絶した場合、代替調達や緊急輸送への切り替えに伴う売上原価及び物流費の増加に加え、生産活動の制約による売上収益への影響が生じる可能性があります。

 

物理的リスク

自社拠点の水不足に伴う一時操業停止

ビジネスモデルに

与える影響

気候変動に伴う水ストレスの深刻化を背景として、主要生産拠点において水不足が顕在化した場合、取水制限や操業停止のリスクが、グローバルでの生産能力増強の計画・運用に影響を及ぼし得る可能性があります。

将来的には、水ストレスの長期的な増大により、取水制限等を起点とした生産制約がサプライチェーンの寸断へと波及する可能性があり、水資源循環型の生産体制の確立に対しても影響を及ぼし得ると見込んでおります。

バリューチェーンに

与える影響

主要生産拠点はWRI Aqueduct(世界資源研究所が提供する水リスク評価ツール)の評価において水ストレスの高い地域に位置するものが含まれており、取水制限が発生した場合、生産能力が一時的に制約される可能性があります。また、水集約型原材料を供給する一部サプライヤーも同様の水リスクに晒されており、製品の安定供給に支障が生じる可能性があります。

将来的には、水ストレスの長期的な深刻化により、自社拠点における慢性的な操業制約に加え、上流では調達コスト上昇、下流では製品供給能力の低下が生じるリスクがあり、バリューチェーン全体にわたる事業継続性への影響が一層拡大すると見込んでおります。

財務的影響

当連結会計年度においては、生産拠点の水リスクの見直し及び一部拠点での節水設備の試験導入に伴い、売上原価及び一般管理費として費用処理しております。

将来的には、優先対策拠点における節水施策の推進に伴い、水管理システムの高度化・高効率設備の導入等により固定資産の増加及び投資キャッシュ・フローへの影響が生じる可能性がある一方、水使用量削減を通じた水道料金・排水処理費用の低減が見込まれます。また、主要製造拠点での水不足による一時的な操業停止や排水再利用設備への投資に伴い、売上収益・売上原価・投資キャッシュ・フローへの影響が生じる可能性があります。特定拠点での取水困難が生じた場合、拠点の再配置や製法の見直し等により、固定資産・売上原価・研究開発費・投資キャッシュ・フローへの影響も想定されます。

 

ア.「気候」関連のリスクが戦略や意思決定に与える影響

・シナリオ分析の手法及び実施期間

 当社グループは2024年度に、グループ全体(バリューチェーンを含む)を対象として気候シナリオ分析を実施いたしました。分析にあたっては、脱炭素社会への移行を想定するIEA WEO2021 SDS・IEA NZE2050(1.5℃シナリオ)及び物理的リスクの深刻化を想定するIPCC RCP8.5(4℃シナリオ)を採用し、2030年及び2050年の時間軸でリスク・機会を評価しております。1.5℃シナリオにおいては、脱炭素政策・規制の強化により調達・物流を含むコスト増や供給制約が生じ得ることを想定しております。4℃シナリオにおいては、豪雨・洪水・台風の頻発・規模拡大、気温上昇、干ばつ等による水不足(特に米国・中国・ブラジルでの操業影響)を想定しております。なお、今後も外部環境の変化に応じて定量化の拡充及び開示対象の見直しを継続的に行って参ります。

・「気候」関連の移行計画

 当社グループは、脱炭素社会への移行は中長期的に避けられない潮流であると認識しており、早期から積極的に投資・体制整備を進めることが、将来リスクへの備えとなるとともに、長期的な企業価値の向上につながると判断しております。2050年ネットゼロ達成を前提に、2015年度を基準年として段階的な削減目標(2025年度:Scope1及びScope2で2015年比42%削減、2030年度:同63%削減、2040年度:Scope1及びScope2ネットゼロ、2050年度:Scope3を含むサプライチェーン全体でネットゼロ)を設定しており、これらを投資・調達・運用・物流・サプライヤー協働に係る中長期戦略及び主要な意思決定に反映しております。

 具体的な施策として、省エネルギー活動の強化(省エネ・脱炭素機器の導入及び運用改善)、再生可能エネルギー由来電力の100%導入、営業車両のEV化、持続可能な燃料(SAF等)の活用やモーダルシフト・共同配送等の物流施策、及びサプライヤーとの連携による脱炭素化等を、移行計画ロードマップに沿って推進しております。あわせて、CCUS(注)等の革新的技術についても導入の可能性を検討して参ります。

 これらの施策の実行にあたっては、移行計画に関連する投資・費用を第6期中期経営計画及び年度予算に組み込み、CO削減効果や将来の炭素税等のコスト負担等を考慮のうえ、脱炭素推進に向けた重要施策を特定し、当該施策に関連する予算を優先的に配分することを検討しております。また、Scope3削減に向けては、サプライヤーとの定期的な対話・情報収集の仕組みを整備し、サプライチェーン全体での脱炭素化を推進しております。なお、削減目標の詳細は「⑤ 指標及び目標 (ⅰ)「気候」関連」をご参照ください。

 上記の移行計画に基づき、第6期中期EHS経営方針において「バリューチェーン全体での脱炭素施策を推進し、気候変動緩和に貢献する」ことを掲げ、各種施策・取組を推進しております。

(注)Carbon Capture, Utilization and Storage/二酸化炭素を回収し有効利用又は地中等への貯留を行う技術の総称

<主なトレードオフ>

 再生可能エネルギーの導入やサプライチェーンの強靭化は短期的には調達コストや製造原価の上昇要因となります。しかしながら、将来的な炭素税負担の回避や社会的信用の維持が中長期的な企業価値向上に不可欠であると判断し、短期的なコスト増加を許容しております。

 また、環境投資が他の投資案件に劣後することを防ぐため、温室効果ガス削減効果を経済価値として定量評価する手法として内部炭素価格(ICP)の導入を検討しており、将来的に設備投資判断へ活用することで、環境対応設備への投資促進を図って参ります。

・気候関連のリスクに関する対応

<サプライチェーン寸断(物理的リスク)への対応>

 気象災害の激甚化に起因するサプライチェーン寸断リスクへの対応として、当社グループは、重要製品の安全在庫水準の見直し及び代替調達先の確保に取り組んでおり、主要製品を対象に代替調達体制の整備を実施いたしました。なお、在庫の積み増しによる供給リスク低減と運転資本の増加に伴う資本効率への影響はトレードオフの関係にあることを認識しており、需要予測の高度化や在庫配置の最適化を通じて過剰在庫の抑制に努め、両者のバランスを図っております。

<自社拠点の水不足に伴う一時操業停止(物理的リスク)への対応>

 水ストレスの長期的な深刻化を起因とする自社拠点の水不足リスクへの対応として、当社グループは、2024年度においてWRI Aqueductを活用した製造拠点の水リスク評価を実施し、優先的に対応すべき拠点の把握を行っております。現在、特定された優先拠点を対象に、水処理設備・再利用設備の導入に向けた検討をしております。なお、設備投資による水使用量削減・安定操業の維持と、投資負担に伴う資本効率への影響はトレードオフの関係にあることを認識しており、再生可能エネルギーの活用や工程全体の効率改善との統合的な取組を通じて、水資源の保護・環境負荷の抑制と投資効率の両立を図って参ります。

 

イ.気候レジリエンス

・物理的リスクに対する戦略及びビジネスモデルの調整能力

 当社グループは、第6期中期経営計画期間において、防災設備への投資や戦略在庫の確保に必要な経営資源を配分する方針としております。設備投資予算及び運転資本の範囲内で機動的に対応するとともに、サプライチェーンの可視化を進め、リスクの早期把握や代替調達先への切替えを円滑に行う体制の整備を進めております。

 

<サプライチェーン寸断(物的リスク)に関するレジリエンス>

 当社グループは、BCPの観点から拠点ごとの水災リスクを評価し、防災対策の強化を進めております。あわせて、洪水対応を含む緊急時訓練やマニュアル整備を実施し、初動対応力の向上に努めております。また、製品の安定供給に向けて、一定の在庫を確保するとともに、複数調達の推進により調達先の分散を図っております。さらに、防災情報サービス等を活用し、調達先の被災状況を速やかに把握できる体制の整備を進めております。これらの取組により、供給途絶の影響を一定程度抑制できる可能性があると考えております。

<自社拠点の水不足に伴う一時操業停止(物理的リスク)に関するレジリエンス>

 当社グループは、拠点ごとの水リスク評価を進めるとともに、一部の高リスク拠点においては雨水利用設備や節水設備の導入・再利用水の活用を進めております。他拠点での代替生産や製造委託の活用についても検討し、緊急時の供給継続能力の向上に努めております。これらの対応により、操業停止リスクの低減につながる可能性があります。

・不確実性の領域

 気候関連のリスク及び機会の評価にあたっては、各国の気候政策の導入時期や内容、温室効果ガス規制の強化の程度、技術進展の速度、気象災害の頻度及び強度、水資源の地域別の利用可能性等に不確実性があると認識しております。規制負担の水準や関連技術の普及動向については、当社グループの財務影響や対応方針の判断に影響を及ぼす可能性があることから、継続的にモニタリングを行って参ります。

・気候レジリエンスの評価

 当社グループは、短期・中期・長期の時間軸で気候レジリエンスを評価しております。短期的には定期的な指標確認を通じて省エネルギー・再生可能エネルギー利用・BCP対応の改善を、中期的にはサプライチェーン対応や関連投資の進捗を踏まえた目標・計画の見直しを、長期的には技術の見直しや事業基盤の強化を通じた事業運営・ビジネスモデルの適応力強化を進める方針としております。

 

④ リスク管理

(ⅰ) サステナビリティ関連のリスクの識別等及びモニタリングを行うためのプロセス及び関連する方針

(a) サステナビリティ関連のリスクの識別等

ア.全社共通

 当社グループのリスクマネジメントには、気候変動、人権、環境、サプライチェーン等のサステナビリティに関連するリスクも包括的に含まれております。リスクの識別・評価において、サステナビリティ関連のリスクとその他リスクとの評価方法や優先順位付けの方法に差異はなく、リスク識別の段階から総合的リスク管理の枠組みの中で一体的に管理しております。詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

イ.「気候」関連

 気候関連リスクの識別にあたっては、「ア.「気候」関連のリスクが戦略や意思決定に与える影響 ・シナリオ分析の手法及び実施期間」に記載のとおり、IEA(1.5℃)及びIPCC(4℃)のシナリオを活用し、バリューチェーン全体への影響を識別しております。識別されたリスク・機会は移行リスク・物理的リスク等の6分類に整理した上で、「発生頻度」、「財務的影響度」、「投資家の関心」の3軸による定量・定性評価を行い、2030年及び2050年の時間軸で重要性を判定しております。

 重要な気候リスクについては、主要なパラメータ(炭素価格、規制動向等)の変化や対応策の進捗状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて戦略やBCPの見直しを行っております。

 

(b) サステナビリティ関連のリスクのモニタリングを行うためのプロセス

 本項については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(ⅱ) サステナビリティ関連の機会の識別等及びモニタリングを行うためのプロセス

(a) サステナビリティ関連の機会の識別等

ア.全社共通

 当社グループは、サステナビリティ関連を含む機会について、価値創造プロセスの循環を通じた持続的な企業価値向上のプロセスを討議しております。

イ.「気候」関連

 気候関連の機会の識別にあたっては、部門横断のタスクチームを立ち上げ、リスク識別と同様にIEA・IPCCのシナリオを活用しております。識別・評価は、サステナビリティコミッティで審議のうえ、シナリオ分析の結果を企業戦略、BCP、ネットゼロ移行計画、Scope3削減計画等に反映しております。

(b) サステナビリティ関連の機会のモニタリングを行うためのプロセス

 当社グループでは、サステナビリティ関連の機会のモニタリングを、サステナビリティコミッティを中心とした体制のもとで継続的に実施しております。新たに認識された機会は、サステナビリティコミッティで多角的な観点から審議を行い、審議された案件はその重要性に応じて経営会議に付議され、意思決定が行われます。

 

(ⅲ) 上記プロセスと全体的なリスク管理プロセスとの関連性等

 当社グループは気候変動や水に関するリスク等、事業活動の変更を余儀なくされる可能性のあるリスクを把握し、当社グループのリスクマネジメントシステムの一環としてリスク対応策を実施しております。サステナビリティコミッティは、当該リスクが当社グループの事業にどのような影響をもたらすのか、その財務的インパクトを評価・管理し、レジリエンスを高める重要な役割を果たしており、重大リスクの懸念がある場合は経営会議及び取締役会に報告し、総合的リスク管理に統合されます。

 

⑤ 指標及び目標

(ⅰ) 第5期中期経営計画の振り返り

 第5期中期経営計画で設定した指標・目標の達成に向けて、取り組んで参りました。

 各マテリアリティの長期目標、実現に向けた課題、KPI指標、2025年度実績はコーポレートウェブサイトにて公表する予定です(2026年7月公表予定)。

《コーポレートウェブサイト 関連ページ》

株主・投資家の皆さま- IRライブラリ- 第一三共株式会社 (daiichisankyo.co.jp)

 

(ⅱ) 第6期中期経営計画及びサステナビリティ関連

 当社グループは、中長期的な企業価値向上と持続的成長を実現するため、重要課題に基づく戦略に対応した指標・目標を設定しております。なお、「Be a Global Top 5 Oncology Company」、「Identify next BGTs」、「Operational Excellence」、「Be a trusted partner for sustainable society」に関連する指標の開示方法については、現在検討中です。今後コーポレートウェブサイトで公表する予定です(2026年第2四半期公表予定)。
《コーポレートウェブサイト 関連ページ》
株主・投資家の皆さま- IRライブラリ- 第一三共株式会社 (daiichisankyo.co.jp)

 

(ⅲ) 「気候」関連

(a) 温室効果ガス排出に関する開示

ア.温室効果ガス排出の測定方法等に関する開示

 当社グループ国内拠点のScope1温室効果ガス排出の換算係数については、地球温暖化対策の推進に関する法律の数値を使用しております。海外拠点のScope1及びScope2温室効果ガス排出、並びに当社グループ全体のScope3温室効果ガス排出については、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準」(以下、GHGプロトコル)に従って測定しております。なお、海外拠点においては、IEA(国際エネルギー機関)、DEFRA(英国環境・食糧・農村地域省)、eGRID(米国環境保護庁)等の排出係数を活用しております。

 

イ.温室効果ガス排出の測定アプローチ

 当社グループは、GHGプロトコルに基づき、自社が運営する施設からの排出を対象とするため、経営支配力アプローチを用いております。

・温室効果ガス排出の測定方法

 

発生要因

排出量の算定方法

排出係数

Scope1

国内拠点

主に工場・研究所における燃料(都市ガス、軽油、LPG等)の燃焼及び営業用車両の燃料使用

当連結会計年度における各排出源の活動量に、排出源が所在する地域の当局等が定める基準又はGHGプロトコルに基づく排出係数を乗じることにより、Scope1温室効果ガス排出量を算定

地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく排出係数を使用

日本以外の国々

排出源地域の当局等の基準あるいはGHGプロトコルに基づく排出係数を使用。具体的には、ドイツ(バッフェンホーフェン)拠点ではIEA(国際エネルギー機関)の国別係数、米国拠点ではeGRID(米国環境保護庁(EPA)が公表するデータベース)を使用

Scope2

主に購入電力の使用

「GHGプロトコル」に基づき、マーケットベース手法を採用。また、ロケーション基準及びマーケット基準によるScope2温室効果ガス排出量を算定

ロケーション基準:国内拠点は、電力消費量に当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における全国平均係数を乗じることにより測定。海外拠点は、IEA(国際エネルギー機関)の国別係数を使用

マーケット基準:各拠点のサプライヤーが提供する排出係数又は残差係数を使用

 

・温室効果ガス排出の算定期間

 当社グループは、当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)を算定期間として温室効果ガス排出を測定しております。

 

ウ.温室効果ガス排出量に関する開示

 当社グループは、脱炭素に向けた取組を加速するため、Scopeごとの温室効果ガス排出量を用いて温室効果ガス排出目標を設定しております。当社グループの温室効果ガス排出目標は、当社グループ全体を対象とした純量(ネット)ベースの絶対量目標であり、パリ協定を踏まえた我が国の気候変動への取組に沿って、2030年度の中間目標として温室効果ガス排出を2015年度比63%削減するとともに、長期的目標として2050年度までにネットゼロを達成するため、CO2(CH4、N2O、HFCs、NF3、PFCs及びSF6)に関するScope1及びScope2温室効果ガス排出(Scope2:マーケット基準及びロケーション基準)及びScope3温室効果ガス排出の合計値に対して設定しております。なお、セクター別脱炭素アプローチは用いておりません。

 

指標

2025年度実績

単位:kt-CO2(e)

Scope1 温室効果ガス排出

地球温暖化対策の推進に係る法律の数値及びGHGプロトコルに基づく算出値

80

Scope2 温室効果ガス排出

ロケーション基準

118

マーケット基準

24

(注)Scope1及びScope2の当連結会計年度における数値は暫定値であり、2026年8月に第三者保証を取得後、同年9月に確定値を公表する予定です。なお、Scope3の算定値についても、2026年9月にコーポレートウェブサイト(ESGデータ)にて公表する予定です。

 

Scope1及びScope2温室効果ガス排出の内訳に関する情報

指標

2025年度実績   単位:kt-CO2(e)

連結会計グループに関する温室効果ガス排出

その他の投資先に関する温室効果ガス排出

合計

Scope1 温室効果ガス排出

80

0

80

Scope2 温室効果ガス排出

ロケーション基準

118

0

118

マーケット基準

24

0

24

 

・気候関連の目標のそれぞれに対する実績及び変化について

 <GHG排出量(Scope1及びScope2)の推移及び中長期目標>

 下記目標は、目標設定についての方法論とともに、SBTイニシアチブ(Science Based Target:パリ協定の水準に整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標)の認証を受けております。当社グループは、毎年、連結会計年度の期首に目標の変更要否について検討を行っており、2015年度比の削減率を用いてモニタリングしております。

2030年度目標(Scope1及びScope2):2015年度比63%削減

 当連結会計年度における当該削減率は純量ベースで48.6%であり、再生可能エネルギーの導入拡大(特に国内拠点及び欧州)により、売上拡大局面においても大幅な削減を実現していると分析しております。

 <再生可能電力利用率の推移及び中長期目標>

 当社グループは、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるRE100を推進しており、再生可能電力利用率を用いて目標を設定しております。

2023年度実績

2024年度実績

2025年度実績

2030年度目標

80.0%

79.9%

79.9%

100%

 本実績・目標は、各事業拠点の総電力使用量を集計し、そのうち再生可能エネルギー由来電力(自家発電、再エネ電力メニュー購入分、非化石証書・再エネ証書等の環境価値を含む)を区分して集計のうえ、総電力使用量に対する割合として算出しております。

当連結会計年度における再生可能電力利用率は、79.9%であり、その推移について、国内工場のPPAモデル導入や欧州拠点での調達・証書購入等により、計画を上回るペースで推移していると分析しております。

 <カーボンクレジットについて>

 移行計画推進のためのカーボンクレジットの使用計画は現時点ではありません。

 

 <モニタリング>

 気候変動を含む環境活動の実績については、サステナビリティレポートで報告するとともに、年1回以上、マネジメントレビューを実施して、サステナビリティコミッティにて主要KPIの報告や中長期目標の策定・見直し、省エネにかかわる投資等の重要事項について審議しております。また、経営に重要な影響を及ぼすと判断された案件については、必要に応じて経営会議へ付議され、意思決定が行われます。

主要KPI

2025年度実績

2026年度目標

GHG排出量(Scope1及びScope2)

2030年度目標:2015年度比63%削減

2015年度比48.6%削減

前年度より5.9ポイント改善

2015年度比46.2%削減

再生可能電力利用率

2030年度目標:100%

79.9%
前年度と同値

設定なし

 バリューチェーン全体での環境負荷の軽減を進め、2050年ネットゼロ達成を目指して参ります。その移行計画において、2030年度目標(主要KPI)を設定し、取組を開始しております。各種の施策を立案・実行し、長期的な事業レジリエンス獲得と社会的信頼を強化して参ります。

 

(b) 気候関連の物理的リスクに関する開示

 当社グループの主要な生産拠点の一部工場・研究所において、気候変動に伴う水ストレスの深刻化による取水制限や操業停止のリスクがあると認識しております。

指標

2025年度実績

TCFDシナリオ分析による評価による、取水制限や操業停止リスクの拠点数の把握

5拠点

・米国(シャーリー、コロンバス、ブレア)

・ブラジル(アルファビレ)

・中国(上海)

 

(c) 資本投下に関する開示

 当社グループは、当連結会計年度において、温室効果ガス排出削減及び再生可能エネルギー導入に向けて、高効率機器への更新及び太陽光発電設備の設置等を進めております。

 なお、環境関連設備投資の金額は、日本製薬団体連合会の基準に基づいて算出しております。

指標

2025年度実績

環境関連設備投資の金額(国内)

534百万円

 

(d) 内部炭素価格に関する開示

 当社グループは、現時点において、設備投資判断を含む意思決定に内部炭素価格を活用しておりませんが、将来的な活用に向けて導入検討を進めております。

 

(e) 報酬に関する開示

 当社グループでは、長期インセンティブ報酬となる中計業績連動株式報酬は、中長期的な株主価値向上を重視した経営を推進するため、中期経営計画の業績達成に連動した報酬として、社内取締役及び執行役員に対してパフォーマンス・シェア(業績連動株式報酬)の性質を持つ信託型株式報酬制度を採用しております。詳細は、「第4 提出会社の状況  4 コーポレートガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。

 

《ご参考 コーポレートウェブサイト 関連ページ》 (2026年9月公表予定)

ESGデータ - 第一三共株式会社 (daiichisankyo.co.jp)

 

(2)人的資本への取組

① ガバナンス

 当社グループでは、経営と一体となった人材マネジメントを推進するため、CHRO(Chief Human Resource Officer)をトップとする人事組織体制をグローバルに構築しております。CHROが経営会議に参画し、経営・ビジネス上の課題や進捗を直接的に把握した上で、グローバルでの人材マネジメント戦略・施策を立案しております。

 

② 戦略・施策

 戦略については、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」も併せてご参照ください。

 

(i) 人材の採用と育成

 当社グループでは、競争優位の源泉であるサイエンス&テクノロジー(S&T)のさらなる強化を念頭に、グローバル全体で人材獲得を強化しております(2025年度は主として日本で202名、米国*1で408名、欧州で353名のキャリア人材獲得*2)。主な研究機能がある日本では、新卒採用における博士人材獲得にも継続的に取り組んでおります(2023年度21名、2024年度31名、2025年度42名)。*1 American Regent Inc.を除く *²S&T領域以外も含むグローバルな人材交流・育成につなげるべく、国を跨ぐ出向プログラムも充実させており、2025年度末時点で、国内から海外に231名、海外から国内に22名の社員がそれぞれ出向しております。また、社員の自律的な学習を支援するため、LinkedInラーニングツールをグローバルに導入し、多様なコンテンツを展開しております。

 当社グループの持続的成長に極めて重要な次世代経営層の育成を目的に、2024年度にDS Academyを創設し、2025年度末をもって、次期経営幹部候補者を対象とした「Executive Leadership Accelerator」プログラムのパイロットセッションが完了しました。今後、本プログラムを継続するとともに、対象層を拡大したプログラムも開始いたします。

 

(ⅱ) One DS Cultureの浸透

 当社グループでは、社員一人ひとりがグローバルな視野をもって考え、行動し、より広く患者さんや社会へ貢献するための基盤となる企業文化「One DS Culture」の醸成に取り組んでおります。その実現に向けて、社員の行動の指針・原則として3つのCore Values、社員が実践すべき行動様式として3つのCore Behaviorsを策定しております。毎年度、各組織からカルチャーアンバサダーを任命し、Core Values/Core Behaviorsの実践を通じたCulture浸透を推進しております。こうした取組の結果、社員のOne DS Cultureへの理解は着実に深まっております。併せて、エンゲージメントサーベイを実施し、その結果をもとに、当社グループの強みや課題を特定のうえ、改善策を実行しております。なお、2025年度におけるエンゲージメントサーベイ回答率は87%、11項目においてスコアの上昇がみられました(総合値は77、対ベンチマーク(製薬企業を含むグローバル企業約1,000社)+2)。また、グローバル全体でOne DS Cultureを醸成し、当社グループのパーパス・ミッションを共に実現するため、CEO・CHROが国内外の各拠点を訪問し、社員と対面でコミュニケーションを行いました(2023年度から2025年度まで計39社、約20,000名の全社員を対象に実施)。

 

(ⅲ) Inclusion & Diversity

 当社グループでは、国籍・人種・性別・年齢などの属性面に加え、考え方・価値観・ライフスタイルなども異なる多様な社員が共存し、そのすべての社員が自分らしく、最大限に実力を発揮することが、グローバルでの事業拡大やイノベーション創出に繋がると考えております。Core Behaviorsの1つに「Be Inclusive & Embrace Diversity」を定めており、2022年3月の国際女性デーには「Global I&D Statement」を策定し、社内外に当社のI&D (Inclusion & Diversity)に対する姿勢や考え方を明示しております。

 Healthcare Businesswomens Association(HBA)に加盟し、より広い視野でグローバルでのI&D連携を加速するとともに、活躍した女性社員をグローバル全体で称え、表彰する機会としてもこのHBAを活用しております。また、2025年度はHBAが組織向け表彰として新たに設けたグローバル・インパクト・アワードにて、当社が特別賞を受賞しました。本アワードは、リーダーシップ開発、サイエンス・イノベーションへの貢献などを総合的に評価するものです。ADC技術といったサイエンス・イノベーションに加えて、人事領域における、DS Academyを含む人材育成基盤や女性活躍推進プログラムが、受賞につながる重要な評価ポイントとなりました。

 国内においては、2025年度末までに女性管理職15%以上という数値目標を達成し、次の段階として「2030年度末までに女性管理職23%以上」を目標に、組織長との対話や全社アンケートを通じた施策推進のほか、女性マネジメント職ネットワーク(SWAN)による次世代リーダー育成を実施しております。こうした取組が評価され、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD」の2年連続受賞及び「令和7年度なでしこ銘柄」選定を達成しております。また、LGBTQ+支援制度の整備や匿名コミュニティ「レインボーチャット」の運営を通じ、すべての社員の帰属意識向上に努めており、「PRIDE指標」において5年連続ゴールドを受賞しております。

 仕事とライフイベントの両立においては、男性育休取得率100%を目標とした育児支援、及び介護セミナー・個別相談会の実施など多様な支援を展開しており、育児支援についてはプラチナくるみん認定を2019年に取得しました。

 

(ご参考)

・インクルージョン&ダイバーシティーに関する当社ホームページ

 https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/our_workplace/inclusion-diversity/
・令和7年度「なでしこ銘柄」に選定
 https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/performance-reports/news/detail/index_7416.html

(ⅳ) 健康経営・ワークライフバランス推進

(a) 社員の健康と安全

 「健康宣言・安全宣言」を社内外に発信するとともに、必要な投資を積極的に行い、社員が安全に就業し、健康を保持・増進するための環境づくりに取り組んでおります。社員の健康と安全については、EHS(Environment, Health & Safety)として一体的に推進しており、Head of Global Corporate Affairsを委員長とするサステナビリティコミッティにおいて、グローバル全体での方針・目標・施策の審議・報告を行うとともに、経営会議においてもその内容が審議・報告される体制を整えております。

 国内においては、最高健康経営責任者である社長をトップとした健康経営推進体制にて、会社と労働組合で合意した安全衛生管理の中期方針に基づいた安全衛生施策を推進しております。具体的には、「ウェルビーイングの向上により、企業理念及びビジョンの実現に貢献する」を健康経営の目標に定めて、施策と目標のつながりを示す「健康・労働安全戦略マップ」を策定し、国内での重点領域を生活習慣病・がん・メンタルヘルス・運動機能の4領域として、安全衛生施策を推進しております。各施策の効果については、高ストレス者率や喫煙率などの評価指標を設定し、評価に基づき継続的な改善を図っております。これまでの積極的かつ継続的な活動が評価され、経済産業省が実施する「健康経営度調査」において、6年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」の認定を受けております(当社単体としては9年連続)。

 

(ご参考)当社グループの「健康経営推進体制」、「健康・労働安全戦略マップ」、「評価指数」等については、以下を参照

 https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/our_workplace/employee_health/

 

(ご参考)「健康経営優良法人ホワイト500」に認定

 https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/performance-reports/news/detail/index_7405.html

(b) ワークライフバランスの推進

 当社グループは、「第一三共グループピープルフィロソフィー」に定める「ウェルビーイング」の考え方を基に、社員一人ひとりがいきいきと働き続けられる環境整備に継続的に取り組んでおります。国・地域を跨いだコミュニケーションや会議の機会が増えていることを踏まえ、グローバル会議に参加する際の指針となる「Global Meeting Guideline」や、「Global Meeting Measures(深夜帯の会議を避けるためのNo Meeting Timesの設定など)」を展開することで、社員の健康確保や生産性向上に努めております。

 

 国内においては、仕事と生活の好循環を生み出すためのコンセプト「ワークライフサイクル(WLC)」を提唱し、各種施策を実施しております。例えば、時間や場所に縛られない柔軟な働き方の推進(多様な労働時間制度・テレワーク制度など)や勤務間インターバルの確保、休暇取得の促進、会議の生産性向上に関するルールの周知・浸透を図っております。また、育児・介護・治療などライフステージに応じた仕事との両立支援も強化しており、カフェテリアプランを通じて、育児・介護・医療・自己研鑽など社員個々のニーズに応じた柔軟な支援を提供するほか、各種セミナーを開催しております。加えて、キャリア支援休職・副業制度など、社員のキャリア形成を支える施策も展開しております。こうした取組の成果として、国内グループ全社員を対象とした社内アンケートにおいて、9割以上の社員が「仕事と生活のバランスが取れている」と回答しており、当社のワークライフバランス推進施策が着実に浸透していることを確認しております。

 

(ご参考)ワークライフバランスに関する当社ホームページ

 https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/our_workplace/worklife-cycle/

 

(ⅴ) グローバル共通の人事基盤構築

 パーパス実現に向けたグローバル全体での連携強化・シナジー創出を目的に、グローバル共通の人事制度(評価、等級、報酬制度)並びに人事情報システムの構築・導入を進めております。新評価制度は、成長・育成に主眼を置いた仕組みとして導入したものです。従来の総合評価ランクを廃止し、報酬との直接的な結びつきを緩めるとともに、コーチングとフィードバックの対話を強化することで、成長と育成により軸足を置いた仕組みに転換しております。等級制度は、これまでは国や地域ごとに異なる等級体系を運用していましたが、「役割と責任の大きさ」 を軸にグローバル共通に整理し直すことで、国・地域を越えた人材の活躍や異動を、よりスムーズに行う環境を整備しております。報酬制度は、各国の法令や慣行を尊重しながら、グローバルで共通化できる部分は統一し、具体的な水準設計は各国・地域に委ねる形をとっております。職務価値や貢献度に応じたメリハリのある処遇と、市場競争力の確保を両立する考え方です。

 日本・米国*・欧州においては、評価制度の先行導入を皮切りに、等級制度・報酬制度の基幹人事制度、人事情報システムについて、2025年度に全ての新制度、新システムの基盤機能の導入が完了し、アジア・中南米諸国などのASCA地域においては 2026年度に導入が完了する予定です。* American Regent Inc.は未導入

 また国内においては、当社グループ共通の報酬ポリシーに基づき、中長期的な企業価値向上に対する動機付けとインセンティブ付与等を主たる目的として、一部幹部社員を対象に自社株式を用いたLTI(長期インセンティブ)制度を導入いたしました。

 

③ リスク管理

 詳細については、「3 事業等のリスク ⑫人材に関するリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 第5期中期経営計画期間(2025年度まで)においては、「事業基盤マテリアリティ」の「競争力の優位性を生み出す多様な人材の活躍推進」として、グローバルで以下のKPIを設定し、経営会議や取締役会にてモニタリングを実施してきました。現時点では2026年度以降の定量的な目標値は設定していないものの、引き続き各指標の実績を継続的にモニタリングし、改善に向けた取組を進めてまいります。

KPI

2022年度実績

2023年度

実績

2024年度

実績

2025年度

実績

女性上級幹部社員※比率

※部所長あるいはそれと同等以上の役職にある女性社員

19.2%

18.7%

24.2%

26.9%

企業風土・職場環境に関するエンゲージメントサーベイ肯定的回答率

77%

79%

76%

77%

育成・成長機会に関するエンゲージメントサーベイを通じた肯定的回答率

75%

76%

77%

78%

社員一人あたりの教育投資額

145,734円

166,906円

207,430円

226,536円